JP2834806B2 - スチレン系共重合体およびその製造方法 - Google Patents

スチレン系共重合体およびその製造方法

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JP2834806B2 JP30787289A JP30787289A JP2834806B2 JP 2834806 B2 JP2834806 B2 JP 2834806B2 JP 30787289 A JP30787289 A JP 30787289A JP 30787289 A JP30787289 A JP 30787289A JP 2834806 B2 JP2834806 B2 JP 2834806B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電気製品,自動車部品などの素材として好
適に用いることのできる、耐熱性や成形性等の良好なス
チレン系共重合体およびその製造方法に関するものであ
る。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
電気製品の部材や自動車部品の部材として耐熱性や成
形性の良好な樹脂が要望されている。
このため、主としてシンジオタクチック構造を有する
ポリスチレン(特開昭62−104818号公報,同62−187708
号公報など)が提案されている。この主としてシンジオ
タクチック構造を有するポリスチレンは耐熱性に優れる
ものの、結晶化速度が小さいため成形サイクルが長くな
りやすいという欠点があった。
本発明はこのような従来の課題を解決し、耐熱性に優
れ、しかも結晶化速度が大きく、また成形性に優れたス
チレン系共重合体およびその効率的な製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、本発明の第1は 一般式 〔式中、R1は水素原子,ハロゲン原子,または炭素原
子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セレン
原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上を含
む置換基を示し、mは1〜3の整数を示す。但し、mが
複数のときは、各R1は同一でも異なるものであってもよ
い。〕 で表わされる少なくとも一種の構造単位〔I〕および一
般式 〔式中、R2,R3,R4は水素原子,ハロゲン原子,または炭
素原子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セ
レン原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上
を含む置換基を示し、nは1〜6の整数を示す。但し、
nが複数のときは、各R4は同一でも異なるものであって
もよい。〕 で表わされる構造単位〔II〕を有し、重合度が5以上
で、かつ、そのスチレン連鎖部の立体規則性が主として
シンジオタクチック構造であるスチレン系共重合体を提
供するものである。
また、本発明の第2は、触媒成分として、(A)一般
式 M1R5 aR6 bR7 cR8 [4−(a+b+c)] ……〔V〕 〔式中、R5〜R8は、それぞれ水素原子,ハロゲン原子,
炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ
基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリー
ルアルキル基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素
数1〜20のアシルオキシ基,アセチルアセトニル基,シ
クロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基或
いはインデニル基を示す。また、a,b,cは、それぞれ0
≦a+b+c≦4を満たす0以上の整数を示す。さら
に、M1はチタンまたはジルコニウムを示す。〕 で表わされる遷移金属化合物よりなる遷移金属成分およ
び(B)有機アルミニウム化合物と縮合剤との接触生成
物を用い、 一般式 〔式中、R1は水素原子,ハロゲン原子,または炭素原
子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セレン
原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上を含
む置換基を示し、mは1〜3の整数を示す。但し、mが
複数のときは、各R1は同一でも異なるものであってもよ
い。〕 で表わされる少なくとも一種のスチレン系モノマーおよ
び 一般式 〔式中、R2,R3,R4は水素原子,ハロゲン原子、または炭
素原子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セ
レン原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上
を含む置換基を示し、nは1〜6の整数を示す。但し、
nが複数のときは各R4は同一でも異なるものであっても
よい。〕 で表わされるアセナフチレン系化合物を共重合すること
を特徴とする、本発明の第1のスチレン系共重合体の製
造方法を提供するものである。
本発明におけるスチレン系共重合体は、前記一般式
〔I〕で表わされる構造単位〔I〕(繰り返し単位)お
よび一般式〔II〕で表わされる構造単位〔II〕(繰り返
し部位)を有するものである。
ここで構造単位〔I〕および〔II〕中のR1〜R4は、水
素原子,ハロゲン原子、または炭素原子,酸素原子,窒
素原子,硫黄原子,リン原子,セレン原子,ケイ素原子
および錫原子のいずれか1種以上を含む置換基を示して
いる。
ここでハロゲン原子としては、塩素,弗素,臭素,沃
素を挙げることができる。
また、炭素原子を含む置換基の具体例としてはメチル
基,エチル基,イソプロピル基,ターシャリーブチル基
などの炭素数1〜20のアルキル基;炭素数6〜30のベン
ゼン環に水素原子,ハロゲン原子,炭素原子,酸素原
子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セレン原子,ケイ
素原子あるいは錫原子などを含む置換基をもつアリール
基;クロロエチル基,、ブロモメチル基,ブロモエチル
基などの炭素1〜20のハロゲン置換アルキル基などが挙
げられる。
ここで炭素数6〜30のベンゼン環に、水素原子,ハロ
ゲン原子,炭素原子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,
リン原子,セレン原子,ケイ素原子あるいは錫原子など
を含む置換基をもつアリール基としては、例えばベンゼ
ン環,ナフタレン環,フェナントレン環,アントラセン
環,インデン環,アズレン環,ヘプタレン環,ビフェニ
レン環,as−インダセン環,s−インダセン環,アセナフ
チレン環,フェナレン環,フルオランテン環,アセフェ
ナントレン環,アセアントリレン環,トリフェニレン
環,ナフタセン環,プレイアデン環,ピセン環,ペリレ
ン環,ペンタフェン環,ペンタセン環,ルビセン環,コ
ロセン環,ピラントレン環,オバレン環,およびこれら
のアルキル置換基(メチル基,エチル基,イソプロピル
基,ターシャリーブチル基など),ハロゲン置換アルキ
ル基(クロロエチル基,ブロモエチル基など),酸素原
子を含む置換基(メトキシ基,エトキシ基,イソプロポ
キシ基,メトキシカルボニル基,アセチルオキシ基な
ど),ケイ素原子を含む置換基(トリメチルシリル基な
ど),錫原子を含む置換基(トリメチルスタンニル基,
トリブチルスタンニル基,トリフェニルスタンンニル基
など),窒素原子を含む置換基(ジメチルアミノ基,ジ
アゾ基,ニトロ基,シアノ基など),硫黄原子を含む置
換基(スルホン基,スルホン酸メチルエステル基、フェ
ニルチオ基,エチルチオ基,メルカプト基など),セレ
ン原子を含む置換基(メチルセレノ基,フェニルセレノ
基,メチルセレノキシル基,フェニルセレノキシル基な
ど),リン原子を含む置換基(リン酸メチルエステル
基,亜リン酸エステル基,ジメチルホスフィノ基,ジフ
ェニルホスフィノ基,メチルホスフィニル基,フェニル
ホスフィニル基など)などを任意の位置に置換したもの
が含まれる。
また酸素原子を含む置換基としては、メトキシ基,エ
トキシ基,イソプロポキシ基,メトキシカルボニル基,
アシルオキシ基などが挙げられ、ケイ素原子を含む置換
基としては、トリメチルシリル基などが挙げられる。次
に、錫原子を含む置換基としては、トリメチルスタンニ
ル基,トリブチルスタンニル基,トリフェニルスタンニ
ル基などがあげられる。さらに、窒素原子を含む置換基
としては、ジメチルアミノ基,ジアゾ基,ニトロ基,シ
アノ基などが挙げられ、硫黄原子を含む置換基として
は、スルホン基,スルホン酸メチルエステル基,フェニ
ルチオ基,メチルチオ基,メルカプト基などがあげられ
る。また、セレン原子を含む置換基としては、メチルセ
レノ基,フェニルセレノ基,メチルセレノキシル基,フ
ェニルセレノキシル基などが挙げられ、リン原子を含む
置換基としては、リン酸メチルエステル基,亜リン酸エ
ステル基,ジメチルホスフィノ基,ジフェニルホスフィ
ノ基,メチルホスフィニル基,フェニルホスフィニル基
などが挙げられる。
また、一般式〔I〕で表わされる構造単位〔I〕にお
いて、mは1〜3の整数であり、一般式〔II〕で表わさ
れる構造単位〔II〕において、nは1〜6の整数であ
る。ここでm,nがそれぞれ複数のときは、m個あるR1
たはn個あるR4は、それぞれ同じものであってもよい
し、異なるものであってもよい。
このような置換基を有する構造単位〔I〕の具体例と
しては、スチレン,p−メチルスチレン,m−メチルスチレ
ン,o−メチルスチレン,2,4−ジメチルスチレン,2,5−ジ
メチルスチレン,3,4−ジメチルスチレン,3,5−ジメチル
スチレン,p−ターシャリーブチルスチレンなどのアルキ
ルスチレン;p−クロロスチレン,m−クロロスチレン,o−
クロロスチレン,p−ブロモスチレン,m−ブロモスチレ
ン,o−ブロモスチレン,p−フルオロスチレン,m−フルオ
ロスチレン,o−フルオロスチレン,o−メチル−p−フル
オロスチレンなどのハロゲン化スチレン;4−ビニルフェ
ニル,3−ビニルビフェニル,2−ビニルフェニルなどのビ
ニルビフェニル類;1−(4−ビニルフェニル)ナフタレ
ン,2−(4−ビニルフェニル)ナフタレン,1−(3−ビ
ニルフェニル)ナフタレン,2−(3−ビニルフェニル)
ナフタレン,1−(2−ビニルフェニル)ナフタレン,2−
(2−ビニルフェニル)ナフタレンなどのビニルフェニ
ルナフタレン類;1−(4−ビニルフェニル)アントラセ
ン,2−(4−ビニルフェニル)アントラセン,9−(4−
ビニルフェニル)アントラセン,1−(3−ビニルフェニ
ル)アントラセン,2−(3−ビニルフェニル)アントラ
セン,9−(3−ビニルフェニル)アントラセン,1−(2
−ビニルフェニル)アントラセン,2−(2−ビニルフェ
ニル)アントラセン,9−(2−ビニルフェニル)アント
ラセンなどのビニルフェニルアントラセン類;1−(4−
ビニルフェニル)フェナントレン,2−(4−ビニルフェ
ニル)フェナントレン,3−(4−ビニルフェニル)フェ
ナントレン,4−(4−ビニルフェニル)フェナントレ
ン,9−(4−ビニルフェニル)フェナントレン,1−(3
−ビニルフェニル)フェナントレン,2−(3−ビニルフ
ェニル)フェナントレン,3−(3−ビニルフェニル)フ
ェナントレン,4−(3−ビニルフェニル)フェナントレ
ン,9−(3−ビニルフェニル)フェナントレン,1−(2
−ビニルフェニル)フェナントレン,2−(2−ビニルフ
ェニル)フェナントレン,3−(2−ビニルフェニル)フ
ェナントレン,4−(2−ビニルフェニル)フェナントレ
ン,9−(2−ビニルフェニル)フェナントレンなどのビ
ニルフェニルフェナントレン類;1−(4−ビニルフェニ
ル)ピレン,2−(4−ビニルフェニル)ピレン,1−(3
−ビニルフェニル)ピレン,2−(3−ビニルフェニル)
ピレン,1−(2−ビニルフェニル)ピレン,2−(2−ビ
ニルフェニル)ピレンなどのビニルフェニルピレン類;4
−ビニル−p−ターフェニル,4−ビニル−m−ターフェ
ニル,4−ビニル−o−ターフェニル,3−ビニル−p−タ
ーフェニル,3−ビニル−m−ターフェニル,3−ビニル−
o−ターフェニル,2−ビニル−p−ターフェニル,2−ビ
ニル−m−ターフェニル,2−ビニル−o−ターフェニル
などのビニルターフェニル類;4−(4−ビニルフェニ
ル)−p−ターフェニルなどのビニルフェニルターフェ
ニル類;4−ビニル−4′−メチルビフェニル,4−ビニル
−3′−メチルビフェニル,4−ビニル−2′−メチルビ
フェニル,2−メチル−4−ビニルビフェニル,3−メチル
−4−ビニルビフェニルなどのビニルアルキルビフェニ
ル類;4−ビニル−4′フルオロビフェニル,4−ビニル−
3′−フルオロビフェニル,4−ビニル−2′フルオロビ
フェニル,4−ビニル−2−フルオロビフェニル,4−ビニ
ル−3−フルオロビフェニル,4−ビニル−4′−クロロ
ビフェニル,4−ビニル−3′−クロロビフェニル,4−ビ
ニル−2′−クロロビフェニル,4−ビニル−2−クロロ
ビフェニル,4−ビニル−3−クロロビフェニル,4−ビニ
ル−4′−ブロモビフェニル,4−ビニル−3′−ブロモ
ビフェニル,4−ビニル−2′−ブロモビフェニル,4−ビ
ニル−2−ブロモビフェニル,4−ビニル−3−ブロモビ
フェニルなどのハロゲン化ビニルビフェニル類;4−ビニ
ル−4′−メトキシビフェニル,4−ビニル−3′−メト
キシビフェニル,4−ビニル−2′−メトキシビフェニ
ル,4−ビニル−2−メトキシビフェニル,4−ビニル−3
−メトキシビフェニル,4−ビニル−4′−エトキシビフ
ェニル,4−ビニル−3′−エトキシビフェニル,4−ビニ
ル−2′−エトキシビフェニル,4−ビニル−2−エトキ
シビフェニル,4−ビニル−3−エトキシビフェニルなど
のアルコキシビニルビフェニル類;4−ビニル−4′−メ
トキシカルボニルビフェニル,4−ビニル−4′−エトキ
シカルボニルビフェニルなどのアルコキシカルボニルビ
ニルビフェニル類;4−ビニル−4′−メトキシメチルビ
フェニルなどのアルコキシアルキルビニルビフェニル
類;4−ビニル−4′−トリメチルシリルビフェニルなど
のトリアルキルシリルビニルビフェニル類;4−ビニル−
4′−トリメチルスタンニルビフェニル,4−ビニル−
4′−トリブチルスタンニルビフェニルなどのトリアル
キルスタンニルビニルビフェニル類;4−ビニル−4′−
トリメチルシリルビフェニルなどのトリアルキルシリル
メチルビニルビフェニル類;4−ビニル−4′−トリメチ
ルスタンニルメチルビフェニル,4−ビニル−4′−トリ
ブチルスタンニルメチルビフェニルなどのトリアルキル
スタンニルメチルビニルビフェニル類などのアリールス
チレン類;p−クロロエチルスチレン,m−クロロエチルス
チレン,o−クロロエチルスチレンなどのハロゲン置換ア
ルキルスチレン;p−メトキシスチレン,m−メトキシスチ
レン,o−メトキシスチレン,p−エトキシスチレン,m−エ
トキシスチレン,o−エトキシスチレンなどのアルコキシ
スチレン;p−メトキシカルボニルスチレン,m−メトキシ
カルボニルスチレンなどのアルコキシカルボニルスチレ
ン;アセチルオキシスチレン,エタノイルオキシスチレ
ン,ペンゾイルオキシスチレンなどのアシルオキシスチ
レン;p−ビニルベンジルプロピルエーテルなどのアルキ
ルエーテルスチレン;p−トリメチルシリルスチレンなど
のアルキルシリルスチレン;p−トリメチルスタンニルス
チレン,p−トリブチルスタンニルスチレン,p−トリフェ
ニルスタンニルスチレンなどのアルキルスタンニルスチ
レン;ビニルベンゼンスルホン酸エチル,ビニルベンジ
ルジメトキシホスファイド,p−ビニルスチレンなどのビ
ニルスチレン等が挙げられる。
また、構造単位〔II〕の具体例としては、アセナフチ
レンあるいは1−メチルアセナフチレン,4−メチルアセ
ナフチレン,5−メチルアセナフチレン,6−メチルアセナ
フチレン,1,4−ジメチルアセナフチレン,1,5−ジメチル
アセナフチレン,1,6−ジメチルアセナフチレン,1,8−ジ
メチルアセナフチレン,1,9−ジメチルアセナフチレン1,
10−ジメチルアセナフチレン,4−エチルアセナフチレ
ン,5−エチルアセナフチレン,6−エチルアセナフチレ
ン,4−n−プロピルアセナフチレン,5−n−プロピルア
セナフチレン,6−n−プロピルアセナフチレンなどのア
ルキル置換アセナフチレン類;4−クロロアセナフチレ
ン,5−クロロアセナフチレン,6−クロロアセナフチレ
ン,4−ブロモアセナフチレン,5−ブロモアセナフチレ
ン,6−ブロモアセナフチレン,4−ヨードアセナフチレ
ン,5−ヨードアセナフチレン,6−ヨードアセナフチレ
ン,4−フルオロアセナフチレン,5−フルオロアセナフチ
レン,6−フルオロアセナフチレン,4,5−ジクロロアセナ
フチレン,4,6−ジクロロアセナフチレン,4,8−ジクロロ
アセナフチレン,4,9−ジクロロアセナフチレン,4,10−
ジクロロアセナフチレン,5,6−ジクロロアセナフチレ
ン,5,8−ジクロロアセナフチレン,5,9−ジクロロアセナ
フチレン,6,8−ジクロロアセナフチレン,4,5−ジブロモ
アセナフチレン,4,6−ジブロモアセナフチレン,4,8ジブ
ロモアセナフチレン,4,9−ジブロモアセナフチレン,4,1
0−ジブロモアセナフチレン,5,6−ジブロモアセナフチ
レン,5,8−ジブロモアセナフチレン,5,9−ジブロモアセ
ナフチレン,6,8ジブロモアセナフチレンなどのハロゲン
置換アセナフチレン類;4−フェニルアセナフチレン,5−
フェニルアセナフチレン,6−フェニルアセナフチレンな
どのアリール置換アセナフチレン類;4−メトキシアセナ
フチレン,5−メトキシアセナフチレン,6−メトキシアセ
ナフチレンなどのアルコキシ置換アセナフチレン類;4−
メトキシカルボニルアセナフチレン,5−メトキシカルボ
ニルアセナフチレン,6−メトキシカルボニルアセナフチ
レンなどのアルコキシカルボニル置換アセナフチレン
類;4−メチルカルボニルオキシアセナフチレン,5−メチ
ルカルボニルオキシアセナフチレン,6−メチルカルボニ
ルオキシアセナフチレンなどのアシルオキシ置換アセナ
フチレン類;4−トリメチルシリルアセナフチレン,5−ト
リメチルシリルアセナフチレン,6−トリメチルシリルア
セナフチレンなどのアルキルシリル置換アセナフチレン
類;4−トリ−n−ブチルスタンニルアセナフチレン,5−
トリ−n−ブチルスタンニルアセナフチレン,6−トリ−
n−ブチルスタンニルアセナフチレンなどのアルキルス
タンニル置換アセナフチレン類等が挙げられる。
なお、本発明で得られる重合体は、一般式〔II〕で表
わされるアセナフチレン系モノマーの共存下に、一般式
〔I〕で表わされるスチレン系モノマーを重合させて得
られる重合体であり、共重合体であっても、また高度に
分散された各々の単独重合体混合物を含んでいてもよ
い。
また、上記構造単位〔I〕と〔II〕は、必ずしも一種
のみを示すものではなく、二種類以上の構造単位をも示
すことから、本発明の共重合体は、二元共重合体のほ
か、三元共重合体,四元共重合体等の多元共重合体をも
包含する。
ここで、本発明の第1は、構造単位〔II〕の含量が、
好ましくは全体の0.1〜70モル%、より好ましくは全体
の0.4〜40モル%のものである。このため結晶化温度が
高く、成形性に優れたものである。一般に構造単位〔I
I〕の含量が、全体の0.1モル%未満では結晶化温度が低
く、成形が難しい。
本発明のスチレン系共重合体は、以上の如き構造単位
(繰り返し単位)を有し、かつ重合度が5以上のもので
あるが、さらに、そのスチレン連鎖部の立体規則性が、
主としてシンジオタクチック構造、即ちスチレンあるい
はアセナフチレン部において、炭素−炭素結合から形成
される主鎖に対して側鎖である置換フェニル基が交互に
反対方向に位置する立体構造を有するものであり、その
タクティシティーは核磁気共鳴法(NMR法)により定量
される。
具体的には13C−NMR法(同位体炭素による核磁気共鳴
法スペクトル)による芳香環のC1炭素シグナル,メチン
・メチレン炭素シグナルまたは、1H−NMRのプロトンシ
グナルの解析による。NMRにより定量されるタクティシ
ティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合(すな
わち、連続する構成単位の相対的立体配座関係の存在割
合)、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリ
アッド,5個の場合はペンタッドによって示すことができ
るが、本発明に言う主としてシンジオタクチック構造を
有するとは、置換基の種類や各繰返し単位の含有割合に
おってシンジオタクティシティーの度合いは若干変動す
るが、スチレン系繰返し単位の連鎖において、通常は、
ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若
しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以
上のシンジオタクティシティーを有するものを示す。
なお、本発明にいう主としてシンジオタクチック構造
のスチレン系共重合体は、必ずしも単一の共重合体であ
る必要はない。シンジオタクティシティーが上記範囲に
存する限り、アイソタクチックもしくはアタクチック構
造のスチレン系共重合体との混合物や重合鎖中に組み込
まれたものであってもよい。
また、本発明のスチレン系共重合体は、分子量が異な
るものの混合物であってもよく、重合度は少なくとも5
以上、好ましくは10以上のものを指称する。重量平均分
子量(Mw)で言うと、好ましくは5,000〜100万、さらに
好ましくは1万〜80万のものである。なお、分子量分布
に特に制限はない。
上記の如き本発明の第1のスイレン系共重合体は、例
えば本発明の第2の方法により効率的に製造することが
できる。
上記の如き本発明の第1のスチレン系共重合体は、例
えば本発明の第2の方法により効率的に製造することが
できる。
すなわち、本発明の第2は、触媒成分として、(A)
前記一般式〔V〕で表わされる遷移金属化合物よりなる
遷移金属成分および(B)有機アルミニウム化合物と縮
合剤との接触生成物を用い、前記一般式〔III〕で表わ
されるスチレン系モノマーおよび前記一般式〔IV〕で表
わされるアセナフチレン系モノマーを共重合させること
を特徴とするものである。
換言すれば、前記一般式〔III〕で表わされる少なく
とも一種のスチレン系モノマーと、前記一般式〔IV〕で
表わされるアセナフチレン系モノマーに二種類あるいは
それ以上のモノマーを原料として、これらを(A)前記
一般式〔V〕で表わされる遷移金属化合物よりなる遷移
金属成分および(B)有機アルミニウム化合物と縮合剤
との接触生成物よりなる触媒の存在下に、共重合させる
わけである。
ここで、前記式中のR5〜R8で示されるもののうち、ハ
ロゲン原子として具体的には塩素,臭素,沃素あるいは
弗素がある。また、置換シクロペンタジエニル基は、例
えば炭素数1〜6のアルキル基で1個以上置換されたシ
クロペンタジエニル基、具体的には、メチルシクロペン
タジエニル基,1,2−ジエチルシクロペンタジエニル基,
ペンタメチルシクロペンタジエニル基等である。
また、前記式中のR5〜R8はそれぞれ独立に水素原子,
炭素数1〜20のアルキル基(具体的には、メチル基,エ
チル基,プロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,アミ
ル基,イソアミル基,オクチル基,2−エチルヘキシル
基,炭素数1〜20のアルコキシ基(具体的には、メトキ
シ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基,アミル
オキシ基,ヘキシルオキシ基,オクチルオキシ基,2−エ
チルヘキシルオキシ基等),炭素数6〜20のアリール基
(具体的には、フェニル基,ナフチル基等),炭素数6
〜20のアリールアルキル基(具体的には、ベンジル基,
フェネチル基,9−アントリルメチル基等),炭素数1〜
20のアシルオキシ基(具体的には、アセチルオキシ基,
ステアロイルオキシ基等)であってもよい。これらR3
R16は上記条件を具備する限り、同一のものであって
も、異なるものであってもよい。
このような前記一般式〔V〕で表される遷移金属化合
物のうちチタン化合物の具体例としては、テトラメトキ
シチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−n−ブトキ
シチタン,テトライソプロポキシチタン,シクロペンタ
ジエニルトリメチルチタン,シクロペンタジエニルトリ
エチルチタン,シクロペンタジエニルトリプロピルチタ
ン,シクロペンタジエニルトリブチルチタン,メチルシ
クロペンタジエニルトリメチルチタン,1,2−ジメチルシ
クロペンタジエニルトリメチルチタン,ペンタメチルシ
クロペンタジエニルトリメチルチタン,ペンタメチルシ
クロペンタジエニルトリメチルチタン,ペンタメチルシ
クロペンタジエニルトリプロピルチタン,ペンタメチル
シクロペンタジエニルトリブチルチタン,シクロペンタ
ジエニルメチルチタンジクロリド,シクロペンタジエニ
ルエチルチタンジクロリド,ペンタメチルシクロペンタ
ジエニルメチルチタンジクロリド,ペンタメチルシクロ
ペンタジエニルエチルチタンジクロリド,シクロペンタ
ジエニルジメチルチタンモノクロリド,シクロペンタジ
エニルジエチルチタンモノクロリド,シクロペンタジエ
ニルチタントリメトキシド,シクロペンタジエニルチタ
ントリエトキシド,シクロペンタジエニルチタントリプ
ロポキシド,シクロペンタジエニルチタントリフェノキ
シド,ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメ
トキシド,ペンタメチルシクロペンタジエニルチタント
リエトキシド,ペンタメチルシクロペンタジエニルチタ
ントリプロポキシド,ペンタメチルシクロペンタジエニ
ルチタントリブトキシド,ペンタメチルシクロペンタジ
エニルチタントリフェノキシド,シクロペンタジエニル
チタントリクロリド,ペンタメチルシクロペンタジエニ
ルチタントリクロリド,シクロペンタジエニルジメトキ
シチタンクロリド,ペンタメチルシクロペンタジエニル
メトキシチタンジクロリド,シクロペンタジエニルトリ
ベンジルチタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルメ
チルエトキシチタン,インデニルチタントリクロリド,
インデニルチタントリメトキシド,インデニルチタント
リエトキシド,インデニルトリメチルチタン,インデニ
ルトリベンジルチタン等が挙げられる。
これらのチタン化合物のうち、ハロゲン原子を含まな
い化合物が好適であり、特に、上述した如き少なくとも
1配位子が不飽和なπ電子系配位子であるような4配位
型のチタン化合物が好ましい。
また、前記一般式〔V〕で表される遷移金属化合物の
うちジルコニウム化合物の具体例としては、シクロペン
タジエニルジルコニウムトリメトキシド,ペンタメチル
シクロペンタジエニルジルコニウムトリメトキシド,シ
クロペンタジエニルトリベンジルジルコニウム,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルトリベンジルジルコニウ
ム,ビスインデニルジルコニウムジクロリド,ジルコニ
ウムジベンジルジクロリド,ジルコニウムテトラベンジ
ル,トリブトキシジルコニウムクロリド,トリイソプロ
ポキシジルコニウムクロリドなどが挙げられる。
一方、本発明の第2の方法で用いる触媒の他の成分で
ある(B)有機アルミニウム化合物と縮合剤との接触生
成物は、例えば特開昭62−187708号公報に記載されたも
のと同種のものであるが、詳しくは下記の通りである。
即ち、この接触生成物は、各種の有機アルミニウム化
合物と縮合剤とを接触させて得られるものである。
ここで有機アルミニウム化合物としては、通常一般式 AlR17 3 〔式中、R17は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕 で表わされる有機アルミニウム化合物、具体的にはトリ
メチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイ
ソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムが
挙げられ、中でもトリメチルアルミニウムが好ましい。
なお、縮合剤については、典型的には水が挙げられる
が、そのほか上記トリアルキルアルミニウムが縮合反応
するもの、例えば硫酸銅5水塩,無機物や有機物への吸
着水など各種のものが挙げられる。
本発明の第2において用いる触媒の(B)成分である
有機アルミニウム化合物と縮合剤との接触生成物の代表
例としては、前記一般式AlR17 3で表わされるトリアルキ
ルアルミニウムと水と接触生成物があるが、具体的には 一般式 〔式中、pは重合度を示し、0〜50であり、R17は炭素
数1〜8のアルキル基を示す。〕 で表わされる鎖状アルキルアミノキサンあるいは 一般式 〔式中、R17は前記と同じである。〕 で表わされる繰り返し単位を有する環状アルキルアルミ
ノキサン(繰返し単位数2〜50)等がある。
一般に、トリアルキルアルミニウム等のアルキルアル
ミニウムと水との接触生成物は、上述の鎖状アルキルア
ミノキサンや環状アルキルアルミノキサンとともに、未
反応のトリアルキルアルミニウム、各種の縮合生成物の
混合物、さらにはこれらが複雑に会合した分子であり、
これらはトリアルキルアルミニウムと縮合剤である水と
の接触条件によって様々な生成物となる。
この際のアルキルアルミニウムと縮合剤との反応は特
に限定はなく、公知の手法に準じて反応させればよい。
例えば、有機アルミニウム化合物有機溶剤に溶解して
おき、これを水と接触させる方法、重合時に当初有機
アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方
法、さらには金属塩などに含有されている結晶水、無
機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反
応させるなどの方法がある。なお、この反応は無溶媒下
でも進行するが、溶媒中で行なうことが好ましく、好適
な溶媒としては、ヘキサン,ヘプタン,デカン等の脂肪
族炭化水素あるいはベンゼン,トルエン,キシレン等の
芳香族炭化水素を挙げることができる。また、上記の水
はアンモニア,エチルアミン等のアミン、硫化水素等の
硫黄化合物、亜燐酸エステル等の燐化合物などが20%程
度まで含有されていてもよい。
本発明の第2においての触媒(B)成分として用いる
有機アルミニウム化合物と縮合剤との接触生成物(例え
ば、アルキルアルミノキサン)は、上記の接触反応の
後、含水化合物等を使用した場合には、固体残渣を濾別
し、濾液を常圧下あるいは減圧下で30〜200℃の温度、
好ましくは40〜150℃の温度で20分〜8時間、好ましく
は30分〜5時間の範囲で溶媒を留去しつつ熱処理するこ
とが望ましい。
この熱処理にあたっては、温度は各種の状況によって
適宜定めればよいが、通常は上記範囲で行なう。一般
に、30℃未満の温度では、効果が発現せず、また200℃
を超えると、アルキルアルミノキサン自体の熱分解が起
こり、いずれも好ましくない。
熱処理の処理条件により反応生成物は、無色の固体又
は溶液状態で得られる。このようにして得られた生成物
を、必要に応じて炭化水素溶媒で溶解あるいは希釈して
触媒溶液として使用することができる。
このような触媒の(B)成分として用いる有機アルミ
ニウム化合物と縮合剤との接触生成物、特にアルキルア
ルミノキサンの好適な例は、プロトン核磁気共鳴吸収法
で観測されるアルミニウム−メチル基(Al−CH3)結合
に基くメチルプロトンシグナル領域における高磁場成分
が50%以下のものである。つまり、上記の接触生成物
を、室温下、トルエン溶媒中でそのプロトン核磁気共鳴
1H−NMR)スペクトルを観測すると、Al−CH3に基くメ
チルプロトンシグナルは、テトラメチルシラン(TMS)
基準において1.0〜−0.5ppmの範囲に見られる。TMSのプ
ロトンシグナル(0ppm)がAl−CH3に基くメチルプロト
ン観測領域にあるため、このAl−CH3に基くメチルプロ
トンシグナルを、TMS基準におけるトルエンのメチルプ
ロトンシグナル2.35ppmを基準にして測定し、高磁場成
分(即ち、−0.1〜−0.5ppm)と他の磁場成分(即ち、
1.0〜−0.1ppm)とに分けたときに、該高磁場成分が、
全体の50%以下、好ましくは45〜5%のものが触媒の
(B)成分として好適に使用できる。
本発明の方法に用いる触媒は、前記(A),(B)成
分を主成分とするものであり、前記の他にさらに所望に
より他の触媒成分、例えば 一般式 AlR18 3 〔式中、R18は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕 で表わされるトリアルキルアルミニウムや他の有機金属
化合物などを加えることもできる。
本発明の第2では、上記のようにして得られた触媒を
用いて、スチレン系モノマーおよびアセナフチレン系モ
ノマーを共重合するが、重合方法は塊状重合,溶液重
合,懸濁重合等いずれの方法を用いてもよい。そしてこ
れらの場合、溶剤としてはペンタン,ヘキサン,ヘプタ
ンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式
炭化水素;ベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族
炭化水素が用いられる。これらの中でも芳香族炭化水素
が好ましく、とりわけトルエン,キシレンが好ましい。
この場合において、モノマー/溶媒(体積比)は任意に
選択することができる。
また、重合条件としては特に制限はないが、一般的に
は、重合温度は0〜120℃、好ましくは10〜70℃であ
り、また重合時間は5分〜24時間、好ましくは1時間以
上である。
さらに、得られるスチレン系共重合体の分子量を調節
するには、水素の存在下で行なうことが効果的である。
さらに、この触媒を使用するにあたって、触媒中の
(A)成分と(B)成分との割合は、各成分の種類や、
原料であるスチレン系モノマーおよびアセナフチレン系
モノマーの種類その他の条件により異なり、一義的に定
めることは困難であるが、通常は、触媒成分(B)中の
アルミニウムと、(A)遷移金属成分中の遷移金属との
比、すなわち、アルミニウム/遷移金属(モル比)とし
て、1〜106(モル比)、好ましくは10〜104(モル比)
である。
また原料の仕込比、すなわちスチレン系モノマー/ア
セナフチレン系モノマー(モル比)は特に制限はなく、
目的物の組成に応じて定めることができるが、好ましく
は1以上である。また、モノマーと触媒成分(B)中の
アルミニウムとの比、すなわちモノマー合計量/アルミ
ニウム(モル比)としては1〜106(モル比)である。
さらに、原料と触媒成分の仕込みの順序は特に制限は
なく、任意の順序で行なうことができる。
叙上の如くして、本発明の第1のスチレン系共重合体
を製造することができる。この共重合体は、前記の如く
シンジオクタティシティーの高いものであるが、重合
度、必要に応じて塩酸等を含む洗浄液で脱灰処理し、さ
らに洗浄,減圧乾燥を経てメチルエチルケトン等の溶媒
で洗浄して可溶分を除去すれば、極めてシンジオタクテ
ィシテーの大きい高純度のスチレン系共重合体を入手す
ることができる。
〔実施例〕
次に本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例1 (1) メチルアルミノキサンの調製 アルゴン置換した内容積500mlのガラス製容器にトル
エン200ml,硫酸銅5水塩(CuSO4・5H2O)17.7g(71ミリ
モル)及びトリメチルアルミニウム24ml(250ミリモ
ル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体成
分を除去し、得られた溶液からさらにトルエンを減圧留
去して接触生成物6.7gを得た。このものの凝固点降下法
により測定した分子量は610であった。
また、1H−NMR測定による高磁場成分、すなわち、室
温下、トルエン溶媒中でそのプロトン核磁気共鳴スペク
トルを観測すると、(Al−CH3)結合に基づくメチルプ
ロトンシグナルは、テトラメチルシラン基準において1.
0〜−0.5ppmの範囲に見られる。テトラメチルシランの
プロトンシグナルは(0ppm)がAl−CH3結合に基づくメ
チルプロトンに基づく観測領域にあるため、このAl−CH
3結合に基づくメチルプロトンシグナルをテトラメチル
シラン基準におけるトルエンのメチルプロトンシグナル
2.35ppmを基準にして測定し、高磁場成分(すなわち、
−0.1〜−0.5ppm)と他の磁場成分(すなわち、1.0〜−
0.1ppm)とに分けたときに、該高磁場成分が全体の43%
であった。
(2) スチレン−アセナフチレン共重合体の製造アル
ゴン雰囲気下において、乾燥した反応容器に、窒素下、
トルエン2ml,トリイソブチルアルミニウム(TIBA)2×
10-3モル(2モル/l−トルエン溶液)および触媒成分
(B)として上記(1)で得られたメチルアルミノキサ
ン2×10-3モル(2.6モル/l−トルエン溶液)を加え、
その後、70℃の温度に保持した。この反応溶液に、触媒
成分(A)として、1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペ
ンタジエニルチタニウムトリメトキシド(CpTi(OM
e))1×10-5モル(0.01モル/l−トルエン溶液)お
よび合計モノマー濃度2モル/l−トルエン溶液に調製さ
れたアセナフチレン・スチレン混合溶液〔アセナフチレ
ン/スチレン=5/5(モノマー仕込み比),モノマー合
計量1.75×10-3モル〕を加え、2時間反応させた。
その後、メタノール−塩酸混合液に反応生成物を注
ぎ、反応を停止、脱灰し、濾過し、メチルエチルケトン
で2回,さらにメタノールで3回洗浄した。これを減圧
下で乾燥させて、0.34gのスチレン・アセナフチレン共
重合体を得た。
この共重合体の分子量を、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)により測定したところ、重量平
均分子量(Mw)は、ポリスチレン(PS)換算で13,000で
あり、数平均分子量(Mn)はPS換算で5,400であった。
また、示差走査熱量測定(DSC)〔測定条件300℃,5
分間保持,30℃まで7℃/分で冷却(ファーストクー
リング),30℃,5分間保持,300℃まで20℃/分で
昇温(セカンドヒーティング)〕により求めた、この共
重合体のガラス転移点(Tg)及び融点(Tm)は、それぞ
れ106.6℃,266.6℃であり、冷却時結晶化温度(Tc)は2
32.8℃であった。また、この共重合体の組成比は、赤外
線吸収スペクトルの検量線法(ラジカル重合により得た
ポリアセナフチレンと、公知の手法で合成したシンジオ
タクチック構造を有するポリスチレンを、所定量均一に
混合したものを用意し、それぞれの赤外線吸収スペクト
ルを測定し、696cm-1の吸収と814cm-1の吸収ピーク強度
比を求め、その混合比と、ピーク強度比から検量線を作
成し、得られた共重合体の696cm-1の吸収と814cm-1の吸
収のピーク強度比と、その検量線により共重合体の組成
比を決定した。)により求めたところ、アセナフチレン
/スチレン=38/62であった。これらの測定結果を第1
表に示す。
なお、GPC測定条件は以下の通りであった。
・装置:ウオーターズ ALC/GPM 150℃ ・カラム:TSK HM+GMH 6×2 ・流量:1.0ml/min. ・温度:135℃ ・溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン ・流入量:400μ また、第1図に得られた共重合体の13C−NMR(67MHz,
溶媒:重クロロホルム)の測定結果を示す。
Macromolecules,,175(1970)には、13C−NMRにお
ける145.2ppmのピークがラセミペンタッド配列に基づく
フェニルC1炭素に帰属できることが示されているが、第
1図にも145.2ppmの位置に鋭いピークがあることから、
このものがラセミペンタッド配列のシンジオタクチック
構造を有するこがわかる。
また、第1図のC1のピークの半値幅から、この高分子
は、ラセミペンタッドで90%以上であることがわかっ
た。
実施例2〜5および比較例1 アセナフチレン/スチレンのモノマー仕込み比を、そ
れぞれ4/6,3/7,2/8,1/9,0/10としたこと以外は、実施例
1と同様に行なった。結果を第1表に示す。
共重合体の存在の確認 ポリスチレンとして比較例1で得られたシンジオタク
チックポリスチレン(SPS)を用いて、ポリアセナフチ
レン(ラジカル重合により合成したもの:MW=11,000,MN
=4,500)との混合物のDSCによる熱挙動を実施例1と同
様にして測定した。結果を参考例1〜3として第2表に
示す。
第1表による重合系と、第2表による混合系による結
果を比較してみると、重合系は混合系に比べTcの向上,T
mの低下、Tgの低下が認められ、これにより実施例1〜
5で得られた重合体は共重合体を含んでいることがわか
る。
〔発明の効果〕
本発明の第1の共重合体は、アセナフチレンを共重合
させることにより、シンジオタクチックポリスチレンに
比べ、結晶化速度が大きいものとなっている。従って、
この共重合体を用いれば射出成形等の成形サイクルを短
縮することができる。
また、この共重合体は充分な耐熱性を有している。
それ故、本発明の第1の共重合体は、成形材料に極め
て有効に用いられる。
また、本発明の第2の製造方法を用いれば、上記共重
合体を極めて効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例1で得られた共重合体の13C
−NMR(67MHz)測定結果を示すチャートである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 12/00 - 12/12 C08F 212/00 - 212/12 C08F 32/08 C08F 232/08 C08F 4/64 - 4/70

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 〔式中、R1は水素原子,ハロゲン原子,または炭素原
    子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セレン
    原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上を含
    む置換基を示し、mは1〜3の整数を示す。但し、mが
    複数のときは、各R1は同一でも異なるものであってもよ
    い。〕 で表わされる少なくとも一種の構造単位〔I〕および一
    般式 〔式中、R2,R3,R4は水素原子,ハロゲン原子,または炭
    素原子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セ
    レン原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上
    を含む置換基を示し、nは1〜6の整数を示す。但し、
    nが複数のときは、各R4は同一でも異なるものであって
    もよい。〕 で表わされる構造単位〔II〕を有し、重合度が5以上
    で、かつ、そのスチレン連鎖部の立体規則性が主として
    シンジオタクチック構造であるスチレン系共重合体。
  2. 【請求項2】触媒成分として、 (A)一般式 M1R5 aR6 bR7 cR8 [4−(a+b+c)] ……〔V〕 〔式中、R5〜R8は、それぞれ水素原子,ハロゲン原子,
    炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ
    基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリー
    ルアルキル基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素
    数1〜20のアシルオキシ基,アセチルアセトニル基,シ
    クロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基或
    いはインデニル基を示す。また、a,b,cは、それぞれ0
    ≦a+b+c≦4を満たす0以上の整数を示す。さら
    に、M1はチタンまたはジルコニウムを示す。〕 で表わされる遷移金属化合物よりなる遷移金属成分およ
    び(B)有機アルミニウム化合物と縮合剤との接触生成
    物を用い、 一般式 〔式中、R1は水素原子,ハロゲン原子、または炭素原
    子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セレン
    原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上を含
    む置換基を示し、mは1〜3の整数を示す。但し、mが
    複数のときは、各R1は同一でも異なるものであってもよ
    い。〕 で表わされる少なくとも一種のスチレン系モノマーおよ
    び 一般式 〔式中、R2,R3,R4は水素原子,ハロゲン原子,または炭
    素原子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セ
    レン原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上
    を含む置換基を示し、nは1〜6の整数を示す。但し、
    nが複数のときは各R4は同一でも異なるものであっても
    よい。〕 で表わされるアセナフチレン系モノマーを共重合するこ
    とを特徴とする請求項1記載のスチレン系共重合体の製
    造方法。
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