JP2931642B2 - スチレン系重合体の製造方法とその触媒 - Google Patents

スチレン系重合体の製造方法とその触媒

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JP2931642B2 JP18273790A JP18273790A JP2931642B2 JP 2931642 B2 JP2931642 B2 JP 2931642B2 JP 18273790 A JP18273790 A JP 18273790A JP 18273790 A JP18273790 A JP 18273790A JP 2931642 B2 JP2931642 B2 JP 2931642B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、スチレン系重合体の製造方法とその触媒に
関し、詳しくは重合体連鎖の立体化学構造が主としてシ
ンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を効率
よく製造する触媒、及びそれを用いたスチレン系重合体
の製造方法に関するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来より、ラジカル重合等により製造されるスチレン
系重合体は、その立体構造がアタクチック構造を有して
おり、種々の成形法、例えば射出成形,押出成形,中空
成形,真空成形,注入成形等の方法により、種々な形状
のものに成形され、家庭電気器具,事務機器,家庭用
品,包装容器,玩具,家具,合成紙その他産業資材など
として幅広く用いられている。
しかしながら、このようなアタクチック構造のスチレ
ン系重合体は、耐熱性,耐薬品性に劣るという欠点があ
った。
ところで、本発明者らのグループは、先般、シンジオ
タクティシティーの高いスチレン系重合体の開発に成功
し、耐熱性,耐薬品性,機械的強度に優れていることを
示した(特開昭62−104801号公報など)。ここで、シン
ジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の合成方
法として、1990年日本化学会春季年会の予稿集の記載で
は、埼玉大学の野平氏らにより、アルキリデン基により
架橋されたビスシクロペンタジエニルチタンジクロリド
とトリメチルアルミノキサンとを触媒としてスチレンを
重合し、シンジオタクチックポリスチレンを合成する方
法が示されている。
しかしながら、上記のように塩素原子を配位子として
有するアルキリデン基により架橋されたシクロペンタジ
エニルチタン触媒を用いる重合法では、触媒の活性が必
ずしも充分でなく、生成する重合体に対するシンジオタ
クチックポリスチレンの選択性も低いという欠点があっ
た。また、触媒溶液として使用する場合、トルエン等の
芳香族溶媒に対する溶解度が低いという問題があった。
そこで、本発明者らは主としてシンジオタクチック構
造を有するスチレン重合体を、一層効率良く製造する方
法及び活性の向上した触媒を開発すべく、鋭意研究を重
ねた。
〔課題を解決するための手段〕
その結果、触媒の一成分として共役π電子を有する2
個の配位子をもち、かつハロゲン原子を含まない遷移金
属化合物を用いることによって、高い触媒活性を示し、
また高い選択性でシンジオタクチック構造のスチレン系
重合体を製造できる触媒を開発することに成功した。本
発明はかかる知見に基いて完成したものである。
すなわち、本発明は(A)共役π電子を有する配位子
を2個もち、かつハロゲン原子を含まない遷移金属化合
物及び(B)アルキルアルミノキサンを含有する有機ア
ルミニウム化合物を主成分とする、主としてシンジオタ
クチック構造を有するスチレン系重合体製造用触媒を提
供するものである。
本発明の触媒は、上記(A)及び(B)成分を主成分
とするものであるが、ここで(A)成分に用いる遷移金
属化合物は、上述した如く共役π電子を有する配位子を
2個持つとともに、ハロゲン原子を含まないものであ
る。この共役π電子を有する配位子としては、各種のも
のがあるが、例えばジシクロペンタジエニル基,置換シ
クロペンタジエニル基(置換基として1〜5のメチル
基,炭素数1〜5のアルキル基を持つアルキルシリル基
および炭素数1〜5のアルキル基を持つアルキルゲルミ
ル基など),インデニル基,フルオレニル基,置換イン
デニル基(置換基として1〜3のメチル基,炭素数1〜
5のアルキル基を持つアルキルシリル基,炭素数1〜5
のアルキル基を持つアルキルゲルミル基など),置換フ
ルオレニル基(置換基としてメチル基,炭素数1〜5の
アルキル基を持つアルキルシリル基あるいは炭素数1〜
5のアルキル基を持つアルキルゲルミル基など)を好適
なものとして挙げることができる。遷移金属に配位する
2個の配位子は、同じものでもよく、また異なるもので
もよい。
一方、遷移金属としては、チタン,ジルコニウムある
いはハフニウムをあげることができる。
このような(A)成分である遷移金属化合物について
は各種のものがある。例えば、一般式 MR1R2XY ・・・(I) 〔式中、Mはチタン,ジルコニウムあるいはハフニウム
を示し、R1及びR2はそれぞれシクロペンタジエニル基,
置換シクロペンタジエニル基,インデニル基あるいはフ
ルオレニル基を示し、X及びYはそれぞれ水素,炭素数
1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,ア
ミノ基あるいは炭素数1〜20のチオアルコキシ基を示
す。ただし、R1及びR2は炭素数1〜5の炭化水素基,炭
素数1〜20及び珪素数1〜5のアルキルシリル基あるは
炭素数1〜20及びゲルマニウム数1〜5のゲルマニウム
含有炭化水素基によって架橋されていてもよい。〕 で表わされる遷移金属化合物よりなる群から選ばれた少
なくとも1種の化合物がある。
この一般式(I)中のR1,R2はシクロペンタジエニル
基,置換シクロペンタジエニル基(具体的にはメチルシ
クロペンタジエニル基;1,3−ジメチルシクロペンタジエ
ニル基;1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基;1,
2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル基;ペンタ
メチルシクロペンタジエニル基;トリメチルシリルシク
ロペンタジエニル基;1,3−ジ(トリメチルシリル)シク
ロペンタジエニル基;1,2,4−トリ(トリメチルシリル)
シクロペンタジエニル基など),インデニル基,置換イ
ンデニル基(具体的にはメチルインデニル基;ジメチル
インデニル基;トリメチルインデニル基など),フルオ
レニル基あるいは置換フルオレニル基(例えばメチルフ
ルオレニル基)を示し、R1,R2は同一でも異なってもよ
く、更にR1とR2が炭素数1〜5のアルキリデン基(具体
的には、メチン基,エチリデン基,プロピリデン基,ジ
メチルカルビル基等)又は炭素数1〜20及び珪素数1〜
5のアルキルシリル基(具体的には、ジメチルシリル
基,ジエチルシリル基,ジベンジルシリル基等)により
架橋された構造のものでもよい。一方、X,Yは、上述の
如くであるが、より詳しくは、それぞれ独立に、水素,
炭素数1〜20のアルキル基(メチル基,エチル基,プロ
ピル基,n−ブチル基、イソブチル基,アミル基,イソア
ミル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基等),炭素数
6〜20のアリール基(具体的には、フェニル基,ナフテ
ル基等)、炭素数7〜20のアリールアルキル基(具体的
には、ベンジル基等)、炭素数1〜20のアルコキシル基
(具体的には、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ
基,ブトキシ基,アミルオキシ基,ヘキシルオキシ基,
オクチルオキシ基,2−エチルヘキシルオキシ基等)、炭
素数6〜20のアリールオキシ基(具体的には、フェノキ
シ基等)、さらにはアミノ基や炭素数1〜20のチオアル
コキシ基を示す。
このような一般式(I)で表わされる遷移金属化合物
の具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジ
メチル;ビスシクロペンタジエニルチタンジエチル;ビ
スシクロペンタジエニルチタンジプロピル;ビスシクロ
ペンタジエニルチタンジブチル;ビス(メチルシクロペ
ンタジエニル)チタンジメチル;ビス(1,3−ジメチル
シクロペンタジエニル)チタンジメチル;ビス(1,2,4
−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジメチル;
ビス(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)
チタンジメチル;ビスシクロペンタジエニルチタンジメ
チル;ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)
チタンジメチル;ビス(1,3−ジ(トリメチルシリル)
シクロペンタジエニル)チタンジメチル;ビス(1,2,4
−トリ((トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)
チタンジメチル;ビスインデニルチタンジメチル;ビス
フルオレニルチタンジメチル;メチレンビスシクロペン
タジエニルチタンジメチル;エチリデンビスシクロペン
タジエニルチタンジメチル;メチレンビス(1,2,3,4−
テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジメチル;
エチリデンビス(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタ
ジエニル)チタンジメチル;ジメチルシリルビス(1,2,
3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジメ
チル;メチレンビスインデニルチタンジメチル;エチリ
デンビスインデニルチタンジメチル;ジメチルシリルビ
スインデニルチタンジメチル;メチレンビスフルオレニ
ルチタンジメチル;エチリデンビスフルオレニルチタン
ジメチル;ジメチルシリルビスフルオレニルチタンジメ
チル;メチレン(シクロペンタジエニル)(インデニ
ル)チタンジメチル;エチリデン(シクロペンタジエニ
ル)(インデニル)チタンジメチル;ジメチルシリル
(シクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジメチ
ル;メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニ
ル)チタンジメチル;エチリデン(シクロペンタジエニ
ル)(フルオレニル)チタンジメチル;ジメチルシリル
(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジメ
チル;メチレン(インデニル)(フルオレニル)チタン
ジメチル;エチリデン(インデニル)(フルオレニル)
チタンジメチル;ジメチルシリル(インデニル)(フル
オレニル)チタンジメチル;ビスシクロペンタジエニル
チタンジベンジル;ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)チタンジベンジル;ビス(1,3−ジメチルシクロペ
ンタジエニル)チタンジベンジル;ビス(1,2,4−トリ
メチルシクロペンタジエニル)チタンジベンジル;ビス
(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)チタ
ンジベンジル;ビスペンタメチルシクロペンタジエニル
チタンジベンジル;ビス(トリメチルシリルシクロペン
タジエニル)チタンジベンジル;ビス(1,3−ジ−(ト
リメチルシリル)シクロペンタジエニル)チタンジベン
ジル;ビス(1,2,4−トリ(トリメチルシリル)シクロ
ペンタジエニル)チタンジベンジル;ビスインデニルチ
タンジベンジル;ビスフルオレニルチタンジベンジル;
メチレンビスシクロペンタジエニルチタンジベンジル;
エチリデンビスシクロペンタジエニルチタンジベンジ
ル;メチレンビス(1,2,3,4−テトラメチルシクロペン
タジエニル)チタンジベンジル;エチリデンビス(1,2,
3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジベ
ンジル;ジメチルシリルビス(1,2,3,4−テトラメチル
シクロペンタジエニル)チタンジベンジル;メチレンビ
スインデニルチタンジベンジル;エチリデンビスインデ
ニルチタンジベンジル;ジメチルシリルビスインデニル
チタンジベンジル;メチレンビスフルオレニルチタンジ
ベンジル;エチリデンビスフルオレニルチタンジベンジ
ル;ジメチルシリルビスフルオレニルチタンジベンジ
ル;メチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)
チタンジベンジル;エチリデン(シクロペンタジエニ
ル)(インデニル)チタンジベンジル;ジメチルシリル
(シクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジベン
ジル;メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニ
ル)チタンジベンジル;エチリデン(シクロペンタジエ
ニル)(フルオレニル)チタンジベンジル;ジメチルシ
リル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタン
ジベンジル;メチレン(インデニル)(フルオレニル)
チタンジベンジル;エチリデン(インデニル)(フルオ
レニル)チタンジベンジル;ジメチルシリル(インデニ
ル)(フルオレニル)チタンジベンジル;ビスシクロペ
ンタジエニルチタンジメトキサイド;ビスシクロペンタ
ジエニルチタンジエトキシド;ビスシクロペンタジエニ
ルチタンジプロポキサイド;ビスシクロペンタジエニル
チタンジブトキサイド;ビスシクロペンタジエニルチタ
ンジフェノキサイド;ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)チタンジメトキサイド;ビス(1,3−ジメチルシク
ロペンタジエニル)チタンジメトキサイド;ビス(1,2,
4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジメトキ
サイド;ビス(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジ
エニル)チタンジメトキサイド;ビスペンタメチルシク
ロペンタジエニルチタンジメトキサイド;ビス(トリメ
チルシリルシクロペンタジエニル)チタンジメトキサイ
ド;ビス(1,3−ジ(トリメチルシリル)シクロペンタ
ジエニル)チタンジメトキサイド;ビス(1,2,4−トリ
(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)チタンジ
メトキサイド;ビスインデニルチタンジメトキサイド;
ビスフルオレニルチタンジメトキサイド;メチレンビス
シクロペンタジエニルチタンジメトキサイド;エチリデ
ンビスシクロペンタジエニルチタンジメトキサイド;メ
チレンビス(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエ
ニル)チタンジメトキサイド;エチリデンビス(1,2,3,
4−テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジメト
キサイド;ジメチルシリルビス(1,2,3,4−テトラメチ
ルシクロペンタジエニル)チタンジメトキサイド;メチ
レンビスインデニルチタンジメトキサイド;メチレンビ
ス(メチルインデニル)チタンジメトキサイド;エチリ
デンビスインデニルチタンジメトキサイド;ジメチルシ
リルビスインデニルチタンジメトキサイド;メチレンビ
スフルオレニルチタンジメトキサイド;エチリデンビス
フルオレニルチタンジメトキサイド;ジメチルシリルビ
スフルオレニルチタンジメトキサイド;メチレン(シク
ロペンタジエニル)(インデニル)チタンジメトキサイ
ド;エチリデン(シクロペンタジエニル)(インデニ
ル)チタンジメトキサイド;ジメチルシリル(シクロペ
ンタジエニル)(インデニル)チタンジメトキサイド;
メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チ
タンジメトキサイド;エチリデン(シクロペンタジエニ
ル)(フルオレニル)チタンジメトキサイド;ジメチル
シリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタ
ンジメトキサイド;メチレン(インデニル)(フルオレ
ニル)チタンジメトキサイド;エチリデン(インデニ
ル)(フルオレニル)チタンジメトキサイド;ジメチル
シリル(インデニル)(フルオレニル)チタンジメトキ
サイド等が挙げられる。
これらのチタン化合物のうち、アルコキサイド(具体
的には、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブト
キシ基,アミルオキシ基,ヘキシルオキシ基,オクチル
オキシ基,2−エチルヘキシンオキシ基等)及びアリール
オキシ基(具体的には、フェノキシ基等)を有するもの
が好適である。特にケイ素含有基(具体的には、アルキ
ルシリル基等)で架橋したものが好ましい。
また、ジルコニウム化合物としては、エチリデンビス
シクロペンタジエニルジルコニウムジメトキサイド,ジ
メチルシリルビスシクロペンタジエニルジルコニウムジ
メトキサイド等があり、更にハフニウム化合物として
は、エチリデンビスシクロペンタジエニルハフニウムジ
メトキサイド,ジメチルシリルビスシクロペンタジエニ
ルハフニウムジメトキサイド等がある。
本発明の触媒における(A)成分としては、上述のよ
うにπ電子系配位子を2個有するとともに、ハロゲン原
子を含まない遷移金属化合物が用いられる。
一方、本発明の触媒における(B)成分であるアルキ
ルアルミノキサンとはアルキルアルミニウム化合物と水
との反応生成物であって、具体的に一般式 〔式中、nは重合度を示し、2〜50の数でありR3は炭素
数1〜8のアルキル基を示す。〕 で表わされる鎖状アルキルアルミノキサンあるいは一般
で表わされる繰り返し単位を有する環状アルキルアルミ
ノキサン等がある。このようなアルキルアルミノキサン
のうち、R3がメチル基であるもの、すなわちメチルアル
ミノキサンが特に好ましい。
一般に、トリアルキルアルミニウム等のアルキルアル
ミニウム化合物と水との接触生成物は、上述の鎖状アル
キルアルミノキサンや環状アルキルアルミノキサンとと
もに、未反応のトリアルキルアルミニウム、各種の縮合
生成物の混合物、さらにはこれらが複雑に会合した分子
であり、これらはアルキルアルミニウム化合物と水との
接触条件によって様々な生成物となる。
このアルキルアルミニウムと水との反応は特に限定は
なく、公知の手法に準じて反応させればよい。例えば、
アルキルアルミニウムを有機溶剤に溶解しておき、こ
れを水と接触させる方法、重合時に当初アルキルアル
ミニウムを加えておき、後に水を添加する方法、さらに
は金属塩などに含有されている結晶水、無機物や有機
物への吸着水をアルキルアルミニウムと反応させるなど
の方法がある。なお、上記の水にはアンモニア,エチル
アミン等のアミン,硫化水素等の硫黄化合物,亜燐酸エ
ステル等の燐化合物などが20%程度まで含有されていて
もよい。
(B)成分として用いるアルキルアルミノキサンとし
ては、上記の接触反応の後、含水化合物等を使用した場
合には、固体残渣を濾別し、濾液を常圧下あるいは減圧
下で30〜200℃の温度、好ましくは40℃〜150℃の温度で
20分〜8時間、好ましくは30分〜5時間の範囲で溶媒を
留去しつつ熱処理したものが好ましい。この熱処理にあ
たっては、温度は各種の状況によって適宜定めればよい
が、通常は上記範囲で行う。一般に、30℃未満の温度で
は、効果が発現せず、また200℃を超えると、アルミノ
キサン自体の熱分解が起こり、好ましくない。熱処理の
処理条件により反応生成物は、無色の固体又は溶液状態
で得られる。このようにして得られた生成物を、必要に
応じて炭化水素溶媒で溶解あるいは希釈して触媒溶液と
して使用することができる。
このようなアルキルアルミノキサンの好適な例は、プ
ロトン核磁気共鳴吸収法で観測されるアルミニウム−メ
チル基(Al−CH3)結合に基くメチルプロトンシグナル
領域における高磁場成分が50%以下のものである。つま
り、上記の接触生成物を、室温下、トルエン溶媒中でそ
のプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルを観測す
ると、Al−CH3に基くメチルプロトンシグナルは、テト
ラメチルシラン(TMS)基準において1.0〜0.5ppmの範囲
に見られる。TMSのプロトンシグナル(0ppm)がAl−CH3
に基くメチルプロトン観測領域にあるため、このAl−CH
3に基くメチルプロトンシグナルを、TMS基準におけるト
ルエンのメチルプロトンシグナル2.35ppmを基準にして
測定し、高磁場成分(即ち、−0.1〜−0.5ppm)と他の
磁場成分(即ち、1.0〜−0.1ppm)とに分けたときに、
該高磁場成分が全体の50%以下、好ましくは45〜5%の
ものが本発明の触媒の(B)成分として好適に使用でき
る。
本発明の触媒の(B)成分は、上記アルキルアルミノ
キサンのみでもよいが、これと共に他の有機アルミニウ
ム化合物を用いることができる。この有機アルミニウム
化合物としては、例えば、一般式 R4 kAl(OR5mHp ・・(IV) 〔式中、R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜8、好ま
しくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、kは0<k≦
3、mは0≦m<3、pは0≦p<3、であって、しか
もk+m+p=3である〕 で表わされる有機アルミニウム化合物がある。
前記の一般式(IV)で表わされる有機アルミニウム化
合物としては、次のものを例示することができる。p=
0の場合に相当するものは、一般式 R4 kAl(OR53-k 〔式中、R4及びR5は前記と同じで、kは好ましくは1.5
≦k≦3の数である〕 で表わされる。m=p=0の場合に相当するものは、一
般式 R4 kAl 〔式中、R4は前記と同じである〕 で表わされる。m=0の場合に相当するものは、一般式 R4 kAlH3-k 〔式中、R4は前記と同じであり、kは好ましくは2≦k
<3である〕 で表わされる。
前記の一般式(IV)で表わされる有機アルミニウム化
合物において、p=0で、k=3の化合物は、例えばト
リエチルアルミニウム,トリブチルアルミニウム等のト
リアルキルアルミニウム又はこれらの組み合わせから選
ばれ、好ましいものはトリエチルアルミニウム,トリ−
n−ブチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム
である。p=0で、1.5≦k<3の場合は、ジエチルア
ルミニウムエトキシド,ジブチルアルミニウムブトキシ
ド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルア
ルミニウムセスキエトキシド,ブチルアルミニウムセス
キブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキ
シドの他に、R4 2.5Al(OR50.5等で表わされる平均組
成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミ
ニウムをあげることができる。m=0の場合に相当する
化合物の例は、ジエチルアルミニウムヒドリド,ジブチ
ルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒ
ドリド(k=2),エチルアルミニウムジヒドリド,プ
ロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウ
ムジヒドリド(m=k)等の部分的に水素化されたアル
キルアルミニウムである。これらの中でも特に好適なも
のは、トリイソブチルアルミニウム,ジイソブチルアル
ミニウムヒドリドである。
本発明の触媒は、前記の(A),(B)成分を主成分
とするものであり、前記の他に、さらに所望により他の
触媒成分、例えば他の有機金属化合物などを加えること
もできる。
上記のような本発明の触媒は、主としてシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体の製造において高
い活性を示す。
したがって、本発明はさらに上記触媒を用いてスチレ
ン系重合体を製造する方法をも提供するものである。
本発明の方法によりスチレン系重合体を製造するに
は、前記(A),(B)成分を主成分とする触媒の存在
下で、スチレン系単量体を重合すればよい。本発明の方
法に使用するスチレン系単量体は、スチレン及び/又は
スチレン誘導体である。スチレン誘導体の具体例として
は、p−メチルスチレン;m−メチルスチレン;o−メチル
スチレン;2,4−ジメチルスチレン;2,5−ジメチルスチレ
ン;3,4−ジメチルスチレン;3,5−ジメチルスチレン;p−
エチルスチレン;m−エチルスチレン;p−tert−ブチルス
チレンなどのアルキルスチレン、p−クロロスチレン;m
−クロロスチレン;o−クロロスチレン;p−ブロモスチレ
ン;m−ブロモスチレン;o−ブロモスチレン;p−フルオロ
スチレン;m−フルオロスチレン;o−フルオロスチレン;o
−メチル−p−フルオロスチレンなどのハロゲン化スチ
レン、p−メトキシスチレン;m−メトキシスチレン;o−
メトキシスチレン;p−エトキシスチレン;m−エトキシス
チレン;o−エトキシスチレンなどのアルコキシスチレ
ン、p−カルボキシメチルスチレン;m−カルボキシメチ
ルスチレン;o−カルボキシメチルスチレンなどのカルボ
キシエステルスチレン、p−ビニルベンジルプロピルエ
ーテルなどのアルキルエーテルスチレン等、あるいはこ
れら二種以上混合したものがあげられる。
本発明の方法を実施するにあたって、アルキルアルミ
ノキサンの使用割合は、特に制限はないが、好ましくは
スチレン系単量体1あたり0.001〜1モルとし、アル
キルアルミノキサン(場合により有機アルミニウム化合
物を含む)と遷移金属化合物の割合はアルミニウムとチ
タンとの比、即ちアルミニウム/チタン(モル比)とし
て1〜106、好ましくは10〜104である。
スチレン系単量体の場合(あるいは共重合)は、塊状
でもよく、ペンタン,ヘキサン,ヘプタンなどの脂肪族
炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素あるい
はベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素
溶媒中で行ってもよい。また、重合温度は特に制限はな
いが、一般には0〜100℃、好ましくは30〜80℃であ
る。さらに、得られるスチレン系重合体の分子量を調節
するには、水素の存在下で重合反応を行うことが効果的
である。
このようにして得られるスチレン系重合体は、主とし
てシンジオタクチック構造を有するものである。ここ
で、スチレン系重合体における主としてシンジオタクチ
ック構造とは、立体化学構造が主としてシンジオタクチ
ック構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対
して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反
対方向に位置する立体構造を有することを意味し、その
タクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13
C−NMR法)により定量される。13C−NMR法により測定さ
れるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の
存在割合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合は
トリアッド,5個の場合はペンタッドによって示すことが
できるが、本発明に言う「主としてシンジオタクチック
構造を有するスチレン系重合体」とは、通常はダイアッ
ドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはペンタッ
ド(ラセミペンタッド)で30%以上、好ましくは50%以
上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン,
ポリ(アルキルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレ
ン),ポリ(アルコキシスチレン),ポリ(ビニル安息
香酸エステル)及びこれらの混合物、あるいはこれらを
主成分とする共重合体を意味する。なお、ここでポリ
(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレ
ン),ポリ(エチルスチレン),ポリ(イソプロピルス
チレン),ポリ(ターシャリーブチルスチレン)等があ
り、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロ
ロスチレン),ポリ(ブロモスチレン),ポリ(フルオ
ロスチレン)等がある。また、ポリ(アルコキシスチレ
ン)としては、ポリ(メトキシスチレン),ポリ(エト
キシスチレン)等がある。これらのうち特に好ましいス
チレン系重合体としては、ポリスチレン,ポリ(p−メ
チルスチレン),ポリ(m−メチルスチレン),ポリ
(p−ターシャリーブチルスチレン),ポリ(p−クロ
ロスチレン),ポリ(m−クロロスチレン),ポリ(p
−フルオロスチレン)、さらにはスチレンとp−メチル
スチレンとの共重合体をあげることができる。
本発明の方法により製造されるスチレン系重合体は、
一般に数平均分子量1,000〜5,000,000、好ましくは50,0
00〜4,000,000のものであり、上記のようにシンジオタ
クティシティーの高いものであるが、重合後、必要に応
じて塩酸等を含む洗浄液で脱灰処理し、さらに洗浄,減
圧乾燥を経てメチルエチルケトン等の溶媒で洗浄して可
溶分を除去し、得られる不溶分をさらにクロロホルム等
を用いて処理すれば、極めてシンジオタクティシティー
の大きい高純度のスチレン系重合体が入手できる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
実施例1 (1)アルキルアルミノキサンの調製 アルゴン置換した内容積1000mlのガラス製容器に、硫
酸銅5水塩(CuSO4・5H2O)17.8g(71ミリモル),トル
エン200ml及びトリメチルアルミニウム24ml(250ミリモ
ル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体部
分を除去して得られた溶液から、更に、トルエンを室温
下で減圧留去して接触生成物6.7gを得た。このものの凝
固点降下法によって測定した分子量は610であった。
(2)スチレンの重合 内容量500mlの反応容器にスチレン200mlを入れ、50℃
に昇温し、上記(1)で得られた接触生成物をアルミニ
ウム原子として15ミリモルおよびビス(メチルシクロペ
ンタジエニル)チタニウムメトキサイド0.15ミリモルを
加え、同温度で3時間反応を行った。反応後、析出物を
塩酸−メタノール溶液で脱灰し、メタノールで洗浄を行
った後、乾燥して重合体8.1gを得た。
次いで、この重合体をソックスレー抽出器を用いてメ
チルエチルケトンで抽出したところ、61.9重量%で抽出
残物(MIP)を得た。このものは、立体規則性がラセミ
ペンタッドで90%程度のシンジオタクチックポリスチレ
ンであることを13C−NMRにより確認した。
実施例2,3及び比較例1〜3 下記の第1表に示す成分及び条件にて実施例1と同様
にしてスチレンを重合させた。スチレン重合体の収量,
シンジオタクチックポリスチレン(MIP)の選択率,触
媒活性及びシンジオタクティシティーを第1表に示す。
〔発明の効果〕 以上の如く、本発明の触媒によれば、高度のシンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体を、高選択率
かつ高い触媒活性にて効率よく製造することができる。
かくして得られる主として(即ち高度の)シンジオタ
クチック構造を有するスチレン系重合体は、耐熱性,耐
薬品性,機械的強度等の各種物性に優れたものであり、
様々な用途に幅広くかつ有効に利用される。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 12/00 - 12/36 C08F 112/00 - 112/36 C08F 212/00 - 212/36 C08F 4/00 - 4/82

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一般式 MR1R2XY 〔式中、Mはチタン,ジルコニウムあるいはハフニウム
    を示し、R1及びR2はそれぞれシクロペンタジエニル基,
    置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換イン
    デニル基,フルオレニル基あるいは置換フルオレニル基
    を示し、X及びYはそれぞれ水素,炭素数1〜20の炭化
    水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,アミノ基あるい
    は炭素数1〜20のチオアルコキシ基を示す。ただし、R1
    及びR2は炭素数1〜5の炭化水素基,炭素数1〜20及び
    珪素数1〜5のアルキルシリル基あるいは炭素数1〜20
    及びゲルマニウム数1〜5のゲルマニウム含有炭化水素
    基によって架橋されていてもよい。〕 で表される遷移金属化合物及び(B)アルキルアルミノ
    キサンを含有する有機アルミニウム化合物を主成分とす
    る、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン
    系重合体製造用触媒。
  2. 【請求項2】(B)アルキルアルミノキサンが、プロト
    ン核磁気共鳴法で観測されるアルミニウム−メチル基
    (Al−CH3)結合に基づくメチルプロトンシグナル領域
    の高磁場成分(トルエン溶媒測定条件下でトルエンのメ
    チルプロトンシグナル2.35ppmを基準として−0.1〜−0.
    5ppm)が50%以下である請求項1記載の触媒。
  3. 【請求項3】スチレン及び/又はスチレン誘導体を重合
    するにあたり、請求項1記載の触媒を用いることを特徴
    とするスチレン系重合体の製造方法。
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