JP2980367B2 - スチレン系共重合体およびその製造方法 - Google Patents

スチレン系共重合体およびその製造方法

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JP2980367B2
JP2980367B2 JP2314327A JP31432790A JP2980367B2 JP 2980367 B2 JP2980367 B2 JP 2980367B2 JP 2314327 A JP2314327 A JP 2314327A JP 31432790 A JP31432790 A JP 31432790A JP 2980367 B2 JP2980367 B2 JP 2980367B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスチレン系共重合体およびその製造方法に関
し、詳しくはスチレン系モノマーに由来する構造単位お
よびヘテロ原子を含む不飽和炭化水素モノマーに由来す
る構造単位とからなる特定の立体構造を有するスチレン
系共重合体およびその効率の良い製造方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来からラジカル重合法塔により製造されるスチレン
系重合体は、種々の成形法によって様々な形状のものに
形成され、家庭電気器具,事務機器,家庭用品,包装容
器,玩具,家具,合成紙その他産業資材などとして幅広
く用いられているが、その立体構造がアタクチック構造
を有しており、耐熱性,耐薬品性に劣るという欠点があ
った。
本発明者らのグループは、このようなアタクチック構
造のスチレン系重合体の欠点を解消したものとして、こ
れまでに高度のジンジオタクチック構造であるスチレン
系重合体の開発に成功し、さらにこのスチレン系モノマ
ーと他の成分を共重合したスチレン系共重合体をも開発
した(特開昭62−104818号公報,同62−187708号公報,
同63−241009号公報)。
これらの重合体は、耐熱性,耐薬品性及び電気的特性
に優れ、多方面にわたる応用が期待されている。
しかしながら、上記重合体、特にシンジオタクチック
ポリスチレンは、ガラス転移温度90〜100℃、融点250〜
275℃の重合体であり、低荷重の熱変形温度は、融点付
近の高レベルであるが、高荷重の熱変形温度はガラス転
移温度付近であり、従来の汎用ポリスチレン(GPPS)の
それとほとんど変わりはない。
また、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体の
性質を改良するため、他の熱可塑性樹脂,無機充填剤な
どと複合化することを提案したが、それらの界面の接着
性,相溶性について未だ改善の余地が残されていた。
ところで、シンジオタクチック構造のスチレン系重合
体は、無機充填剤などと複合化する際、界面の接着性に
乏しく、組成物の力学的性質を向上するには限界があっ
た。
そこでかかる重合体の耐熱性,耐薬品等を維持しつつ
無機充填剤との界面ぬれ性を向上する為に、スチレン系
繰返し単位がシンジオタクチック構造の不飽和カルボン
酸およびエステルとのスチレン系共重合体を提案した
(特願平1−78168号明細書,国際公開WO90/12039)。
しかし、界面の接着性については、更に一層の改善が
望まれていた。
〔課題を解決するための手段〕
そこで本発明者らは、上述の問題を解決し、界面の接
着性の一層の向上を図るべく鋭意研究を重ねた。その結
果、不飽和カルボン酸およびその誘導体として特定の構
造をもつモノマーを用いることにより、目的を達成でき
ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完
成したものである。
すなわち、本発明は、 一般式〔I〕 〔式中、R1は水素原子,ハロゲン原子あるいは炭素原
子,スズ原子,ケイ素原子のいずれか1種以上含む置換
基を示し、mは1〜5の整数を示す。但し、mが複数の
ときは、各R1は同一でも異なってもよい。〕 で表わされる少なくとも1種の構造単位〔I〕および 一般式〔II〕 〔式中、R2は水素原子,ハロゲン原子,シアノ基あるい
は炭素数1〜20の炭化水素残基を示し、nは0〜20の整
数であり、R3−O−(エーテル結合), −N,−SO3−,Si及び金属の1種以上を有する
置換基または水素原子を示す。但し、R3が水素原子のと
きは、nは1〜20の整数である。〕 で表わされる構造単位〔II〕を有し、かつ構造単位〔I
I〕を0.01〜99.9モル%含有するとともに、135℃の1,2,
4−トリクロロベンゼン中で測定した極限粘度が0.01〜2
0dl/gであって、前記構造単位〔I〕の連鎖の立体規則
性が高度のシンジオタクチック構造であることを特徴と
するスチレン系共重合体を提供するものである。また、
本発明は、一般式〔I′〕 〔式中、R1,mは前記と同じである。〕 で表わされるスチレン系モノマーを遷移金属化合物とア
ルミノキサンからなる触媒の存在下で重合させ、実質的
に重合体を生成した後に、 一般式〔II′〕 〔式中、R2,R3およびnは前記と同じである。〕 で表わされるモノマーを添加し、引続き共重合反応を行
うことを特徴とする上記スチレン系共重合体の製造方法
を提供するものである。
本発明のスチレン系共重合体は、上記の如く一般式
〔I〕で表わされる繰返し単位(構造単位)と一般式
〔II〕で表わされる繰返し単位(構造単位)からなる
が、ここで一般式〔I〕で表わされる繰返し単位は、上
記の一般式〔I′〕で表わされるスチレン系モノマーか
ら誘導される。式中、R1は水素原子,ハロゲン原子(例
えば塩素,臭素,フッ素,沃素)あるいは炭素原子,ス
ズ原子,ケイ素原子のいずれか1種以上含む置換基を示
す。また、mは1〜5の整数を示す。但し、mが複数の
ときは、各R1は同一でも異なってもよい。
一般式〔I′〕で表わされるスチレン系モノマーの具
体例としては、スチレン;p−メチルスチレン;m−メチル
スチレン;o−メチルスチレン;2,4−ジメチルスチレン;
2,5−ジメチルスチレン;3,4−ジメチルスチレン;3,5−
ジメチルスチレン;p−ターシャリーブチルスチレンなど
のアルキルスチレン(好ましくは、炭素数1〜10のアル
キル基を有するアルキルスチレン)、p−クロロスチレ
ン;m−クロロスチレン;o−クロロスチレン;p−ブロモス
チレン;m−ブロモスチレン;o−ブロモスチレン;p−フル
オロスチレン;m−フルオロスチレン;o−フルオロスチレ
ン;o−メチル−p−フルオロスチレンなどのハロゲン化
スチレン、4−ビニルビフェニル;3−ビニルビフェニ
ル;2−ビニルビフェニルなどのビニルビフェニル類、1
−(4−ビニルフェニル)−ナフタレン;2−(4−ビニ
ルフェニル)−ナフタレン;1−(3−ビニルフェニル)
−ナフタレン;2−(3−ビニルフェニル)−ナフタレ
ン;1−(2−ビニルフェニル)−ナフタレン;2−(2−
ビニルフェニル)ナフタレンなどのビニルフェニルナフ
タレン類、1−(4−ビニルフェニル)−アントラセ
ン;2−(4−ビニルフェニル)−アントラセン;9−(4
−ビニルフェニル)−アントラセン;1−(3−ビニルフ
ェニル)−アントラセン;2−(3−ビニルフェニル)−
アントラセン;9−(3−ビニルフェニル)−アントラセ
ン;1−(2−ビニルフェニル)−アントラセン;2−(2
−ビニルフェニル)−アントラセン;9−(2−ビニルフ
ェニル)−アントラセンなどのビニルフェニルアントラ
セン類、1−(4−ビニルフェニル)−フェナントレ
ン;2−(4−ビニルフェニル)−フェナントレン;3−
(4−ビニルフェニル)−フェナントレン;4−(4−ビ
ニルフェニル)−フェナントレン;9−(4−ビニルフェ
ニル)−フェナントレン;1−(3−ビニルフェニル)−
フェナントレン;2−(3−ビニルフェニル)−フェナン
トレン;3−(3−ビニルフェニル)−フェナントレン;4
−(3−ビニルフェニル)−フェナントレン;9−(3−
ビニルフェニル)−フェナントレン;1−(2−ビニルフ
ェニル)−フェナントレン;2−(2−ビニルフェニル)
−フェナントレン;3−(2−ビニルフェニル)−フェナ
ントレン;4−(2−ビニルフェニル)−フェナントレ
ン;9−(2−ビニルフェニル)−フェナントレンなどの
ビニルフェニルフェナントレン類、1−(4−ビニルフ
ェニル)−ピレン;2−(4−ビニルフェニル)−ピレ
ン;1−(3−ビニルフェニル)−ピレン;2−(3−ビニ
ルフェニル)−ピレン;1−(2−ビニルフェニル)−ピ
レン;2−(2−ビニルフェニル)−ピレンなどのビニル
フェニルピレン類、4−ビニル−p−ターフェニル;4−
ビニル−m−ターフェニル;4−ビニル−o−ターフェニ
ル;3−ビニル−p−ターフェニル;3−ビニル−m−ター
フェニル;3−ビニル−o−ターフェニル;2−ビニル−p
−ターフェニル;2−ビニル−m−ターフェニル;2−ビニ
ル−o−ターフェニルなどのビニルターフェニル類、4
−(4−ビニルフェニル)−p−ターフェニルなどのビ
ニルフェニルターフェニル類、4−ビニル−4′−メチ
ルビフェニル;4−ビニル−3′−メチルビフェニル;4−
ビニル−2′−メチルビフェニル;2−メチル−4−ビニ
ルフェビニル;3−メチル−4−ビニルビフェニルなどの
ビニルアルキルビフェニル類、4−ビニル−4′−フル
オロビフェニル;4−ビニル−3′−フルオロビフェニ
ル;4−ビニル−2′−フルオロビフェニル;4−ビニル−
2−フルオロビフェニル;4−ビニル−3−フルオロビフ
ェニル;4−ビニル−4′−クロロビフェニル;4−ビニル
−3′−クロロビフェニル;4−ビニル−2′−クロロビ
フェニル;4−ビニル−2−クロロビフェニル;4−ビニル
−3−クロロビフェニル;4−ビニル−4′−ブロモビフ
ェニル;4−ビニル−3′−ブロモビフェニル;4−ビニル
−2′−ブロモビフェニル;4−ビニル−2−ブロモビフ
ェニル;4−ビニル−3−ブロモビフェニルなどのハロゲ
ン化ビニルビフェニル類、4−ビニル−4′−トリメチ
ルシリルビフェニルなどのトリアルキルシリルビニルビ
フェニル類、4−ビニル−4′−トリメチルスタンニル
ビフェニル;4−ビニル−4′−トリブチルスタンニルビ
フェニルなどのトリアルキルスタンニルビニルビフェニ
ル類、4−ビニル−4′−トリメチルシリルメチルビフ
ェニルなどのトリアルキルシリルメチルビニルビフェニ
ル類、4−ビニル−4′−トリメチルスタンニルメチル
ビフェニル;4−ビニル−4′−トリブチルスタンニルメ
チルビフェニルなどのトリアルキルスタンニルメチルビ
ニルビフェニル類、p−クロロエチルスチレン;m−クロ
ロエチルスチレン;o−クロロエチルスチレンなどのハロ
ゲン置換アルキルスチレン、p−トリメチルシリルスチ
レン;m−トリメチルシリルスチレン;o−トリメチルシリ
ルスチレン;p−トリエチルシリルスチレン;m−トリエチ
ルシリルスチレン;o−トリエチルシリルスチレン;p−ジ
メチルターシャリ−ブチルシリルスチレンなどのアルキ
ルシリルスチレン類、p−ジメチルフェニルシリルスチ
レン;p−メチルジフェニルシリルスチレン;p−トリフェ
ニルシリルスチレンなどのフェニル基含有シリルスチレ
ン類、p−ジメチルクロロシリルスチレン;p−メチルジ
クロロシリルスチレン;p−トリクロロシリルスチレン;p
−ジメチルブロモシリルスチレン;p−ジメチルヨードシ
リルスチレンなどのハロゲン含有シリルスチレン類、p
−(p−トリメチルシリル)ジメチルシリルスチレンな
どのシリル基含有シリルスチレン類等、更にはこれらを
二種以上混合したものなどが挙げられる。
一方、一般式〔II〕で表わされる繰返し単位(構造単
位)において、R2は水素原子,ハロゲン原子,シアノ基
あるいは炭素数1〜20の炭化水素残基、好ましくは炭素
数1〜10個の炭化水素基(例えばメチル基,エチル基,
プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基などの
飽和炭化水素基(特にアルキル基)あるいはアリール
基,アリールアルキル基,アルキルアリール基,ビニル
基などの不飽和炭化水素基、さらにはこれらのハロゲン
置換体など)である。また、nは0〜20の整数であり、
R3は −O−(エーテル結合),−N−,Si及び金属の
1種以上を有する置換基または水素原子を示す。但し、
R3が水素原子のときは、nは1〜20の整数である。ここ
で金属としては、ナトリウム,カリウム等のアルカリ金
属やカルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属、
さらにはスズ,亜鉛,銅,コバルト,銀などがあげられ
る。また、この金属は塩を構成することは勿論、有機金
属化合物を構成してもよい。
このような一般式〔II〕で表わされる繰返し単位は、
一般式〔II′〕で表わされるモノマーから誘導される。
このモノマー、即ちヘテロ原子を含む不飽和炭化水素と
しては、各種のものがあるが、その具体例をあげれば、
テトラヒドロフルフリルメタクリレート;グリシジルア
クリレート;グリシジルメタクリレート;テトラヒドロ
フルフリルアクリレート;テトラヒドロ−2H−ピラン−
2−イルアクリレート;9−オキシラニルノニルアクリレ
ート;N−フェニル−N−エチルアミノエチルメタクリレ
ート;ジエチルアミノエチルアクリレート;ジエチルア
ミノエチルメタクリレートおよびそれらの四級塩、2−
(ブチルエチルアミノ)エチルアクリレート;モルホリ
ノエチルメタクリレート;2−モルホリノエチルアクリレ
ート;アクリル酸ナトリウム;アクリル酸カリウム;ア
クリル酸マグネシウム;アクリル酸カルシウム;10−ウ
ンデセン酸ナトリウム;10−ウンデセン酸;β−エトキ
シエチルアクリレート;フェノキシエチルアクリレー
ト;フェノキシジエチルエチルアクリレート;2−ベンゾ
オキシエチルアクリレート;メタクリロメトキシトリメ
リット酸;アクリル酸−3−トリメトキシシリルプロピ
ルエステル等、さらにはメタクリル酸−3−トリメトキ
シシリルプロピルエステル等をあげることができる。
本発明の共重合体においては、構造単位〔I〕は二種
類以上の成分から構成されていてもよく、この点におい
ては構造単位〔II〕についても同様である。したがっ
て、二元,三元あるいは四元共重合体の合成が可能とな
る。また、上記の構造単位〔II〕の含有割合は、通常、
共重合体全体の0.01〜99.9モル%、好ましくは0.05〜90
モル%、特に好ましくは0.05〜40モル%含有するもので
ある。この構造単位〔II〕が0.01モル%未満であると、
界面接着性が低下するため、他の樹脂との相溶性が低下
し、目的とする改善効果が充分に達成されない。また、
99.9%モル%を超えると、結晶化が阻害され、シンジオ
タクチック構造のスチレン系重合体の特徴である耐薬品
性が損なわれ、成形時に着色(焼け)の原因となりやす
い。
また、この共重合体の分子量については、一般に1,2,
4−トリクロロベンゼン溶液(温度135℃)で測定した極
限粘度が0.01〜20dl/gのものであり、好ましくは0.3〜1
0dl/gのものである。極限粘度が0.01dl/g未満では、力
学的物性が低く、実用に供しえない。また、極限粘度が
20dl/gを超えると、通常の溶融成形が困難となる。
本発明においては、得られる共重合体の性質あるいは
構造単位〔I〕の連鎖におけるシンジオタクチック構造
を著しく損なわない範囲で第三成分を添加することもで
きる。このような化合物としては、例えばジエン類,ビ
ニルシロキサン類,α−オレフィン類,アクリロニトリ
ル等があげられる。
本発明のスチレン系共重合体は、構造単位〔I〕、即
ちスチレン系繰返し単位の連鎖が高度のシンジオタクチ
ック構造を有するものである。ここで、スチレン系重合
体における高度のシンジオタクチック構造とは、立体化
学構造が高度のシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭
素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル
基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構
造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体
炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量され
る。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、
連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場
合はダイアッド,3個の場合はトリアッド,5個の場合はペ
ンタッドによって示すことができるが、本発明に言う高
度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系共重合
体とは、スチレン系繰返し単位の連鎖において、通常は
ダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくは
ラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシ
ンジオタクティシティーを有するものを示す。しかしな
がら、置換基の種類や構造単位〔II〕の含有割合によっ
てシンジオタクティシティーの度合いは若干変動する。
以上の如き本発明の共重合体は、構造単位〔I〕,
〔II〕に相応するモノマーの共重合により、また得られ
た共重合体を原料として、分別,ブレンド若しくは有機
合成的手法を適用することにより、所望の立体規則性及
び反応性置換基を有する態様のものを製造することがで
きる。
そのうち、上述した本発明の製造方法によれば、一層
効率よくかつ高品質のスチレン系共重合体を得ることが
できる。
本発明の方法によれば、まず、一般式〔I′〕で表わ
されるスチレン系モノマーを遷移金属化合物とアルミノ
キサンからなる触媒の存在下で重合させ、実質的に重合
体(すなわち、構造単位〔I〕、即ちスチレン系繰返し
単位の連鎖が高度のシンジオタクチック構造を有するス
チレン系重合体あるいはオリゴマー)を生成させる。
この際に用いる触媒の一成分である遷移金属化合物と
しては様々なものがあるが、好ましくは 一般式 又は 〔式中、R4〜R15は、それぞれ水素原子,ハロゲン原
子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコ
キシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数7〜20のア
リールアルキル基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,
炭素数1〜20のアシルオキシ基,アセチルアセトニル
基,シクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニ
ル基あるいはインデニル基を示す。また、a,b,cは、そ
れぞれ0≦a+b+c≦4を満たす0以上の整数を示
し、d,eはそれぞれ0≦d+e≦3を満たす0以上の整
数を示し、fは0≦f≦2を満たす整数を示し、g,hは
各々0≦g+h≦3を満たす0以上の整数を示す。更
に、M1,M2はチタン,ジルコニウム,ハフニウムあるい
はバナジウムを示し、M3,M4はバナジウムを示す。〕で
表わされる遷移金属化合物から選ばれた少なくとも一種
の化合物である。これらの遷移金属化合物の中でも、前
記一般式〔III〕の中のM1が、チタンあるいはジルコニ
ウムであるものを用いるのが好ましい。
ここで、前記式中のR4〜R15で示されるもののうち、
ハロゲン原子として、具体的には塩素,沃素,あるいは
弗素がある。また、置換シクロペンタジエニル基は、例
えば炭素数1〜6のアルキル基で1個以上置換されたシ
クロペンタジエニル基、具体的には、メチルシクロペン
タジエニル基;1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基;
ペンタメチルシクロペンタジエニル基等である。また、
前記式中のR4〜R15はそれぞれ独立に水素原子,炭素数
1〜20のアルキル基(具体的には、メチル基,エチル
基,プロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,アミル
基,イソアミル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基,
炭素数1〜20のアルコキシ基(具体的には、メトキシ
基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基,アミルオ
キシ基,ヘキシルオキシ基,オクチルオキシ基,2−エチ
ルヘキシルオキシ基等)、炭素数6〜20のアリール基
(具体的には、フェニル基,ナフチル基等)、炭素数6
〜20のアリールアルキル基(具体的には、ベンジル基,
フェネチル基,9−アントリルメチル基等)、炭素数1〜
20のアシルオキシ基(具体的には、アセチルオキシ基,
ステアロイルオキシ基等)であってもよい。これらR6
R17は上記条件を具備する限り、同一のものであって
も、異なるものであってもよい。
このような、前記一般式〔III〕,〔IV〕,〔V〕又
は〔VI〕で表わされる遷移金属化合物のうちチタン化合
物の具体例としては、テトラメトキシチタン,テトラエ
トキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトライ
ソプロポキシチタン,四塩化チタン,三塩化チタン,ジ
クロルジエトキシチタン,ジクロルジイソプロポキシチ
タン,シクロペンタジエニルトリメチルチタン,シクロ
ペンタジエニルトリエチルチタン,シクロペンタジエニ
ルトリプロピルチタン,シクロペンタジエニルトリブチ
ルチタン,メチルシクロペンタジエニルトリメチルチタ
ン,1,2−ジメチルシクロペンタジエニルトリメチルチタ
ン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリメチルチタ
ン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリエチルチタ
ン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリプロピルチ
タン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリブチルチ
タン,シクロペンタジエニルメチルチタンジクロリド,
シクロペンタジエニルエチルチタンジクロリド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルメチルチタンジクロリド,
ペンタメチルシクロペンタジエニルエチルチタンジクロ
リド,シクロペンタジエニルジメチルチタンモノクロリ
ド,シクロペンタジエニルジエチルチタンモノクロリ
ド,シクロペンタジエニルチタントリメトキシド,シク
ロペンタジエニルチタントリエトキシド,シクロペンタ
ジエニルチタントリプロポキシド,シクロペンタジエニ
ルチタントリフェノキシド,ペンタメチルシクロペンタ
ジエニルチタントリメトキシド,ペンタメチルシクロペ
ンタジエニルチタントリエトキシド,ペンタメチルシク
ロペンタジエニルチタントリプロポキシド,ペンタメチ
ルシクロペンタジエニルチタントリブトキシド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルチタントリフェノキシド,
シクロペンタジエニルチタントリクロリド,ペンタメチ
ルシクロペンタジエニルチタントリクロリド,シクロペ
ンタジエニルメトキシチタンジクロリド,シクロペンタ
ジエニルジメトキシチタンクロリド,ペンタメチルシク
ロペンタジエニルメトキシチタンジクロリド,シクロペ
ンタジエニルトリベジルチタン,ペンタメチルシクロペ
ンタジエニルメチルジエトキシチタン,インデニルチタ
ントリクロリド,インデニルチタントリメトキシド,イ
ンデニルチタントリエトキシド,インデニルトリメチル
チタン,インデニルトリベンジルチタンなどが挙げられ
る。
これらチタン化合物のうち、スチレン系モノマー部の
分子量を高くする必要のある場合、アルコキシド,置換
π電子系配位子をもつチタン化合物が好ましい。また、
分子量を低くする場合はπ電子系配位子,ハロゲン配位
子をもつチタン化合物が好ましい。
また、前記一般式〔III〕,〔IV〕,〔V〕又は〔V
I〕で表わされる遷移金属化合物のうち、ジルコニウム
化合物の具体例としては、シクロペンタジエニルジルコ
ニウムトリメトキシド,ペンタメチルシクロペンタジエ
ニルジルコニウムトリメトキシド,シクロペンタジエニ
ルトリベンジルジルコニウム、ペンタメチルシクロペン
タジエニルトリベンジルジルコニウム,ビスインデニル
ジルコニウムジクロリド,ジルコニウムジベンジルジク
ロリド,ジルコニウムテトラベンジル,トリブトキシジ
ルコニウムクロリド,トリイソプロポキシジルコニウム
クロリドなどが挙げられる。
さらに、同様にハフニウム化合物の具体例としては、
シクロペンタジエニルハフニウムトリメトキシド,ペン
タメチルシクロペンタジエニルハフニウムトリメトキシ
ド,シクロペンタジエニルトリベンジルハフニウム,ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルトリベンジルハフニウ
ム,ビスインデニルハフニウムジクロリド,ハフニウム
ジベンジルジクロリド,ハフニウムテトラベンジル,ト
リブトキシハフニウムクロリド,トリイソプロポキシハ
フニウムクロリドなどが挙げられる。
また、同様にバナジウム化合物の具体例としては、バ
ナジウムトリクロリド,バナジルトリクロリド,バナジ
ウムトリアセチルアセトナート,バナジウムテトラクロ
リド,バナジウムトリブトキシド,バナジルジクロリ
ド,バナジルビスアセチルアセトナート,バナジルトリ
アセチルアセトナートなどが挙げられる。
一方、本発明の方法において触媒の他の成分として用
いられるアルミノキサンは、各種の有機アルミニウムと
縮合剤とを接触させて得られるものである。
ここで、有機アルミニウム化合物としては、通常、一
般式 AlR16 3 〔式中、R16は炭素数1〜20のアルキル基を示す。〕で
表わされる有機アルミニウム、具体的には、トリメチル
アルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソブチ
ルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムが挙げ
られ、中でもトリメチルアルミニウムが好ましい。
なお、縮合剤としては、典型的には水が挙げられる
が、そのほか上記トリアルキルアルミニウムが縮合反応
するもの、例えば硫酸銅5水塩,無機物や有機物への吸
着水など各種のものが挙げられる。
本発明において用いる触媒の一成分であるアルミノキ
サンの代表例として、前記一般式 AlR16 3で表わされる
トリアルキルアルミニウムと水との接触生成物である
が、具体的には 一般式 〔式中、R16は炭素数1〜8のアルキル基、qは重合度
を示し、0〜50の数である。〕で表わされる鎖状アルキ
ルアルミノキサンあるいは 一般式 〔式中、R16は前記と同じである。〕で表わされる繰返
し単位を有する環状アルキルアルミノキサン(繰返し単
位数2〜50)等がある。
一般に、トリアルキルアルミニウム等のアルキルアル
ミニウムと水との接触生成物は、上述の鎖状アルキルア
ルミノキサンや環状アルキルアルミノキサンとともに、
未反応のトリアルキルアルミニウム,各種の縮合生成物
の混合物、さらには、これらが複雑に会合した分子であ
り、これらはトリアルキルアルミニウムと縮合剤である
水との接触条件によって様々な生成物となる。
この際のアルミニウム化合物と縮合剤との反応は特に
限定はなく、公知の手法に準じて反応させれば良い。例
えば、有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解して
おき、これを水と接触させる方法、重合時に当初有機
アルミニウム化合物を加えておき、後で水を添加する方
法、さらには金属塩などに含有されている結晶水,無
機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反
応させる方法などがある。なお、この反応は無機溶媒下
でも進行するが、溶媒中で行なうことが好ましく、好適
な溶媒としては、ヘキサン,ヘプタン,デカン等の脂肪
族炭化水素あるいはベンゼン,トルエン,キシレン等の
芳香族炭化水素を挙げることができる。また、上記の水
にはアンモニア,エチルアミン等のアミン,硫化水素等
の硫黄化合物,亜燐酸エステル等の燐化合物などが20%
程度まで含有されていてもよい。
本発明において触媒の一成分であるアルミノキサン
は、上記の接触反応後、含水化合物等を使用した場合に
は、固体残渣を濾別し、濾液を常圧下あるいは減圧下で
30〜200℃の温度、好ましくは40〜150℃の温度で、20分
〜8時間、好ましくは30分〜5時間の範囲で溶媒を留去
しつつ熱処理することが好ましい。
この熱処理にあたっては、温度は各種の状況によって
適宜定めれば良いが、通常は、上記範囲で行なう。一般
に、30℃未満の温度では、効果が発現せず、また200℃
を超えるとアルキルアルミノキサン自体の熱分解が起こ
り、いずれも好ましくない。
熱処理の処理条件により反応生成物は、無色の固体ま
たは溶液状態で得られる。このようにして得られた生成
物を、必要に応じて炭化水素溶媒で溶解あるいは希釈し
て触媒溶液として使用することができる。
このような触媒の一成分として用いるアルミノキサン
の好適な例は、プロトン核磁気共鳴スペクトルで観測さ
れるアルミニウム−メチル基(Al−CH3)結合に基づく
メチルプロトンシグナル領域における高磁場成分が50%
以下のものである。つまり、上記の接触生成物を室温
下、トルエン溶媒中でそのプロトン核磁気共鳴(1H−NM
R)スペクトルを観測すると、Al−CH3に基づくメチルプ
ロトンシグナルは、テトラメチルシラン(TMS)基準に
おいて、1.0〜−0.5ppmの範囲に見られる。TMSのプロト
ンシグナル(0ppm)がAl−CH3に基づくメチルプロトン
観察領域にあるため、このAl−CH3に基づくメチルプロ
トンシグナルを、TMS基準におけるトルエンのメチルプ
ロトンシグナル2.35ppmを基準に測定し高磁場成分(即
ち、−0.1〜−0.5ppm)と他の磁場成分(即ち、1.0〜−
0.1ppm)とに分けたときに、該高磁場成分が全体の50%
以下、好ましくは45〜5%のものが触媒成分として好適
に使用できる。
本発明の方法に用いる触媒は、前記の遷移金属化合物
とアルミノキサンを主成分とするものであるが、前記の
他にさらに所望により他の触媒成分、例えば 一般式 AlR17 3 〔式中、R17は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕 で表わされるトリアルキルアルミニウムや他の有機金属
化合物などを加えるこもできま。また、立体規則性を損
なわない範囲において、 一般式 W−R18−(Q)−R19−W′ …(θ) 〔式中、R18,R19は炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数
7〜30の置換芳香族炭化水素基及びO,N,S等ヘテロ原子
を含む置換基を有する炭素数6〜40の置換芳香族炭化水
素基を示し、Qは炭素数1〜20の炭化水素基,−O−, −S−,−S−S−, 又は (R20は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、W,W′は水酸
基,アルデヒド基,カルボキシル基を表わすrは1〜5
の整数を示す。〕 で表わされる少なくとも2個の水酸基又はアルデヒド
基,カルボキシル基を有する有機化合物を加えることが
できる。好ましくは、遷移金属成分との反応物を用い
る。
上記一般式(θ)で表わされる有機化合物の具体例と
しては、例えば2,2′−ジヒドロキシ−3,3′−ジ−t−
ブチル−5,5′−ジメチルジフェニルスルフィド;2,2′
−ジヒドロキシ−3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメ
チルジフェニルエーテル等があげられる。
この触媒を使用するにあたっては、触媒中の遷移金属
化合物とアルミノキサンとの割合は、各成分の種類,原
料である一般式〔I′〕で表わされるスチレン系モノマ
ー及び一般式〔II′〕で表わされるモノマーの種類やそ
の他の条件により異なり一義的に定められないが、通常
はアルミノキサン中のアルミニウムと遷移金属化合物中
のチタンとの比、すなわちアルミニウム/チタン(モル
比)として、1〜106、好ましくは10〜104である。
本発明の方法は、上記触媒の存在下で前記一般式
〔I′〕で表わされるスチレン系モノマーを重合し、ス
チレン系重合体(オリゴマーを含む)を製造する工程
(重合工程)と、この重合工程で得られたスチレン系重
合体に前記一般式〔II′〕で表わされるモノマーを共重
合させて目的とする共重合体を製造する工程(共重合工
程)の二段工程からなる。
第一段の重合工程では、一般式〔I′〕のスチレン系
モノマーと触媒の一成分であるアルミノキサンとの割合
は、通常はスチレン系モノマー/アルミノキサン(モル
比)として、1〜106、好ましくは10〜104である。ま
た、第二段の共重合工程においては、一般式〔I′〕の
スチレン系モノマーと一般式〔II′〕のモノマーとの割
合は、目的とする共重合体の組成により任意に選定すれ
ばよい。
さらに、第一段の重合工程では、重合温度は特に制限
はないが、通常は0〜120℃、好ましくは10〜70℃の範
囲で選定すべきであり、重合時間は、実質的にスチレン
系重合体(オリゴマーを含む)が生成する時間以上であ
ればよく、一般には5秒〜5時間、好ましくは200秒〜
2時間の範囲で適宜定めればよい。
一方、第二段の共重合工程では、共重合温度は特に制
限はないが、通常は−100〜120℃、好ましくは−10〜80
℃の範囲で選定すべきであり、共重合時間は目的とする
共重合組成により様々であるが、通常は5秒〜24時間、
好ましくは100秒〜10時間の範囲で適宜定めればよい。
なお、製造すべき共重合体の組成を調節するには、一
般式〔I′〕のスチレン系モノマーと一般式〔II′〕の
モノマーとの仕込み比、第一,二段での(共)重合温
度,時間等を適宜選定することによって行うことができ
る。
また、この重合および共重合は、塊状重合,溶液重合
あるいは懸濁重合など、様々な方法で行うことができ
る。使用しうる溶媒としては、ペンタン,ヘキサン,ヘ
プタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂
環式炭化水素あるいはベンゼン,トルエン,キシレンな
どの芳香族炭化水素などがあるが、とりわけトルエン,
キシレン,ヘプタンが好ましい。なお、上記重合および
共重合は、同じ重合形式であってもよく、また異なる形
式であってもよい。
さらに、得られるスチレン系共重合体の分子量を調節
するには、水素の存在下で共重合反応を行うことが効果
的である。
本発明の方法によって得られるスチレン系共重合体
は、スチレン系繰返し単位連鎖のシンジオタクティシテ
ィーが高いものであるが、重合後、必要に応じて塩酸等
を含む洗浄液で脱灰処理し、さらに洗浄,減圧乾燥を経
てメチルエチルケトン等の溶媒で洗浄して可溶分を除去
し、極めてシンジオタクティシティーの大きい高純度の
スチレン系共重合体を入手することができる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
実施例1 (1)メチルアルミノキサンの調製 アルゴン置換した内容積500mlのガラス製容器に、ト
ルエン200ml,硫酸銅5水塩(CuSO4・5H2O)17.7g(71ミ
リモル)およびトリメチルアルミニウム24ml(250ミリ
モル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後固体成
分を除去して得られた溶液から更にトルエンを減圧留去
して接触生成物6.7gを得た。このものの凝固点降下法に
より測定した分子量は610であった。
また、1H−NMR測定による高磁場成分、即ち、室温
下、トルエン溶液中でそのプロトン核磁気共鳴スペクト
ルを観測すると、(Al−CH3)結合に基くメチルプロト
ンシグナルは、テトラメチルシラン基準において1.0〜
−0.5ppmの範囲に見られる。テトラメチルシランのプロ
トシグナル(0ppm)がAl−CH3結合に基くメチルプロト
ンに基く観測領域にあるため、このAl−CH3結合に基づ
くメチルプロトンシグナルをテトラメチルシラン基準に
おけるトルエンのメチルプロトンシグナル2.35ppmを基
準にして測定し、高磁場成分(即ち−0.1〜−0.5ppm)
と他の磁場成分(即ち1.0〜−0.1ppm)とに分けた時
に、該高磁場成分が全体の43%であった。
(2)共重合体の製造 アルゴン雰囲気下、乾燥した100ml反応容器に、室温
下、トルエン20ml、触媒成分として上記(1)で得られ
たメチルアルミノキサン2ミリモルを加え、更にパラメ
チルスチレン10mlを加えた後50℃で30分静置した。
この容器に1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジ
エニルチタニウムトリメトキシドを5マイクロモル添加
し、重合を開始した。
8分間反応を行った後、グリシジルメタクリレートの
トルエン溶液(2モル/リットル)を10ミリモル相当添
加し、1時間重合を行った。その後、メタノール−塩酸
混合液に反応生成物を投入し、反応を停止し脱灰した
後、更にメタノールで洗浄し乾燥した。更に非品質ポリ
マーを除去するために、メチルエチルケトンでソックス
レー抽出を8時間行い、不溶部を乾燥して、0.44gの重
合体を得た。この重合体の極限粘度〔η〕は3.8dl/gで
あった。
13C−NMRを測定したところ、142.8ppmに鋭いピークが
見られた。このことは、パラメチルスチレン連鎖がシン
ジオタクチック構造であることを示している。また、赤
外線吸収スペクトル(IR)には1730cm-1付近にカルボニ
ルの吸収が認められ、1H−NMRにより求めたグリシジル
メタクリレート単位含量は2.7モル%であることが判明
した。結果を表1に示した。
また、シンジオタクティシティーはラセミペンタッド
で95%以上であった。なお、シンジオタクティシティー
13C−NMRより求めた。
実施例2 実施例1において、表1に示した条件に変更したこと
以外は、実施例1と同様にして共重合体を製造した。結
果を表1に示す。
また、13C−NMRより求めたシンジオタクティシティー
はラセミペンタッドで94%以上であった。
実施例3 実施例2で得た共重合体0.15gを10%水酸化ナトリウ
ム水溶液に分散し、沸とう状態で10時間反応した。
反応終了後、濾別し、水洗した後、加熱減圧乾燥を行
った。この共重合体をIRにて測定したところ−COOHに起
因する1720cm-1付近の吸収強度は低下し、新たに1560cm
-1に−COONaに基づく吸収を確認した。両者の吸光度比
より求めたイオン化度は92%であった。結果を表1に示
す。
また、13C−NMRより求めたシンジオタクティシティー
はラセミペンタッドで94%以上であった。
実施例4 実施例1において、表1に示した条件に変更したこと
以外は、実施例1と同様にして共重合体を製造した。結
果を表1に示す。
また、13C−NMRより求めたシンジオタクティシティー
はラセミペンタッドで96%以上であった。
実施例5 実施例1において、グリシジルメタクリレートに変え
てアクリル酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て共重合体0.52gを製造した。
この共重合体を0.15gとり、実施例3と同様にして反
応を行った。その結果、イオン化度は89%であり、アク
リル酸ナトリウム含量は2.6モル%であった。結果を表
1に示す。
また、13C−NMRより求めたシンジオタクティシティー
はラセミペンタッドで94%以上であった。
実施例6〜9 実施例1において、表1に示した条件に変更したこと
以外は、実施例1と同様にして共重合体を製造した。結
果を表1に示す。
また、13C−NMRより求めたシンジオタクティシティー
は、それぞれラセミペンタッドで95%以上であった。
比較例1 スチレン単独重合体の結果を表1に示す。なおこのも
のの13C−NMRより求めたシンジオタクティシティーは、
それぞれラセミペンタッドで98%以上であった。
比較例2 アルゴン雰囲気下、乾燥した100ml反応容器に、室温
下、トルエン20ml、触媒成分として実施例1(1)で得
られたメチルアルミノキサン2ミリモルを加え、更にス
チレン10mlを加えた後50℃で30分静置した。
この容器に1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジ
エニルチタニウムトリメトキシドを5マイクロモル添加
し、更に、メチルメタクリレートのトルエン溶液(2モ
ル/リットル)を10ミリモル相当添加し、1時間重合を
行った。その後、メタノール−塩酸混合液に反応生成物
を投入し、反応を停止し脱灰した後、更にメタノールで
洗浄を行ない、乾燥して0.05gの重合体を得た。この重
合体の極限粘度〔η〕は0.48dl/gであった。
13C−NMRを測定したところ、145.1ppmに鋭いピークが
見られた。このことは、パラメチルスチレン連鎖がシン
ジオタクチック構造であることを示している。また、IR
には1730cm-1付近にカルボニルの吸収が認められ、1H−
NMRより求めたメチルメタクリレート単位含量は2.0モル
%であることが判明した。結果を表1に示す。
このものの13C−NMRより求めたシンジオタクティシテ
ィーは、それぞれラセミペンタッドで95%以上であっ
た。
なお、表1における共重合体の分析方法は、下記の通
りである。
〔融点〕 装置:セイコー電子製DSC−200型示差走査熱量計 測定条件:300℃,5分間保持,30℃まで7℃/分で
冷却(ファーストクーリング),30℃,5分間保持,
300℃まで20℃/分で昇温(セカンドヒーティング) このセカンドヒーティング時に融点を求めた。
〔極限粘度の測定〕
1,2,4−トリクロルベンゼン中、135℃で測定した。
〔接着強度の測定〕
15mm幅のアルミニウム板(厚さ50μ)を2枚用意し、
共重合体又は単独共重合体40mgをはさみ込んだ。
温度340℃で2時間融解した後、10kg/cm2圧でプレス
を2分間行った。このようにして作成したテストピース
の接着強度を2cm/分の引張速度で測定した。
実施例10 (1)チタン触媒成分の合成 Polymer Preprints,Japan Vol.36,1415(1987)記載
の方法に従って、下記式の錯体〔A〕を合成し、トルエ
ン溶液(10ミリモル/リットル)とした。
(2)実施例1(2)において、チタン触媒成分として
上記錯体〔A〕を用いたこと以外は、実施例1(2)と
同様に共重合体を製造した。結果を表2に4示す。
また、13C−NMRより求めたシンジオタクティシティー
はラセミペンタッドで93%以上であった。
実施例11および12 チタン触媒成分としてテトラエトキシチタンあるいは
四塩化チタンを用いたこと以外は、実施例10(2)と同
様に共重合体を製造した。結果を表2に示す。
また、13C−NMRより求めたシンジオタクティシティー
はラセミペンタッドで94%以上であった。
〔発明の効果〕 本発明のスチレン系共重合体は、シンジオタクチック
ポリスチレンの耐熱性,耐薬品性等を保有しつつ、相溶
性,接着性,ぬれ性が著しく改善されたものである。
したがって、本発明のスチレン系共重合体は、ガラス
繊維,タルク,金属等との複合化が容易であり、シンジ
オタクチック構造のスチレン系樹脂の複合材料への応用
展開を可能にするものである。
また、本発明のスチレン系共重合体は、様々な構造資
材,相溶化剤等として有効に利用される。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔I′〕 〔式中、R1は水素原子,ハロゲン原子あるいは炭素原
    子,スズ原子,ケイ素原子のいずれか1種以上含む置換
    基を示し、mは1〜5の整数を示す。但し、mが複数の
    ときは、各R1は同一でも異なってもよい。〕 で表わされるスチレン系モノマーを重合させ、実質的に
    重合体を生成した後に、 一般式〔II′〕 〔式中、R2は水素原子,ハロゲン原子,シアノ基あるい
    は炭素数1〜20の炭化水素残基を示し、nは0〜20の整
    数であり、R3は−O−(エーテル結合),−N,Si
    及び金属の1種以上を有する置換基または水素原子を
    示す。但し、R3が水素原子のときは、nは1〜20の整数
    である。〕 で表わされるモノマーを添加し、引続き共重合反応を行
    うことで製造される 一般式〔I〕 〔式中、R1,mは前記と同じである。〕 で表わされる少なくとも1種の構造単位〔I〕および 一般式〔II〕 〔式中、R2,R3およびnは前記と同じである。〕 で表わされる構造単位〔II〕を有し、かつ構造単位〔I
    I〕を0.01〜99.9モル%含有するとともに、135℃の1,2,
    4−トリクロロベンゼン中で測定した極限粘度が0.01〜2
    0dl/gであって、前記構造単位〔I〕の連鎖の立体規則
    性がラセミペンタッドで30%以上のシンジオタクティシ
    ティーを有することを特徴とするスチレン系共重合体。
  2. 【請求項2】一般式〔I′〕 〔式中、R1,mは前記と同じである。〕 で表わされるスチレン系モノマーを遷移金属化合物とア
    ルミノキサンからなる触媒の存在下で重合させ、実質的
    に重合体を生成した後に、 一般式〔II′〕 〔式中、R2,R3およびnは前記と同じである。〕 で表わされるモノマーを添加し、引続き共重合反応を行
    うことを特徴とする請求項1記載のスチレン系共重合体
    の製造方法。
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