JP3001660B2 - スチレン系共重合体の製造方法 - Google Patents

スチレン系共重合体の製造方法

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JP3001660B2
JP3001660B2 JP3089509A JP8950991A JP3001660B2 JP 3001660 B2 JP3001660 B2 JP 3001660B2 JP 3089509 A JP3089509 A JP 3089509A JP 8950991 A JP8950991 A JP 8950991A JP 3001660 B2 JP3001660 B2 JP 3001660B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスチレン系共重合体及び
その製造方法に関し、詳しくはスチレン系モノマーに由
来する構造単位とヘテロ原子系不飽和炭化水素モノマー
に由来する構造単位からなる特定の立体構造を有するス
チレン系共重合体及びその効率の良い製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
らラジカル重合法等により製造されるスチレン系重合体
は、その立体構造がアタクチック構造を有しており、耐
熱性,耐薬品性に劣るという欠点があった。ところで、
本発明者らのグループは、先般、シンジオタクティシテ
ィーの高いスチレン系重合体を開発することに成功し、
さらにこのスチレンモノマーと他の成分を共重合したス
チレン系重合体を開発した(特開昭62−104818
号公報,同63−241009号公報)。これらのシン
ジオタクチック構造の重合体あるいは共重合体は、耐熱
性,耐薬品性及び電気的特性に優れ、多方面にわたる応
用が期待されている。しかしながら、上記重合体、特に
シンジオタクチックポリスチレンは、靱性や伸びが乏し
く、用途に制限があった。これを改善するためには、ポ
リオレフィン類等の汎用樹脂やポリアミド,ポリカ
ネートを始めとするエンジニアリングプラスチックとブ
レンドすることが効果的である。しかし、シンジオタク
チックポリスチレンは、これら他の樹脂との相溶性に乏
しく、物性面の向上には限界を生じていた。これを改善
するために、相溶化剤としてアタクチックポリスチレン
を不飽和カルボン酸で変性した重合体(特開平2−21
9843号公報)や、エポキシ基を含有するビニル化合
物を共重合したスチレン系共重合体又はα,β−不飽和
カルボン酸無水物を共重合したスチレン系共重合体(特
開平2−209938号公報)等が開発された。しかし
ながら、これらの重合体を相溶化剤として用いると、相
溶化剤を含む組成物の結晶性を低下させるという問題が
あった。また、スチレン系繰り返し単位及びマレイミド
繰り返し単位からなり、スチレン系繰り返し単位連鎖の
立体規則性が主としてシンジオタクチック構造であるス
チレン系共重合体も知られている(特開平2−2588
05号公報)が、ポリアミド等のエンジニアリングプラ
スチックとの相溶性が不充分であった。そこで本発明者
らは、上記他樹脂との相溶性に優れるとともに、その製
造効率の良好なスチレン系共重合体及びその製造方法を
開発すべく鋭意研究を重ねた。
【0003】
【課題を解決するための手段】その結果、特定のコモノ
マーを含有すると同時に、スチレン系繰り返し単位連鎖
の立体規則性が高度なシンジオタクティシィティーを有
するスチレン系共重合体が上記目的に適うものであるこ
とを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成し
たものである。すなわち、本発明は、一般式(I)
【0004】
【化6】
【0005】〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子,
あるいは炭素原子及びケイ素原子のいずれか1種以上含
む置換基を示し、mは1〜5の整数を示す。但し、mが
複数のときは、各R1 は同一でも異なってもよい。〕で
表される少なくとも1種の構造単位(I)及び一般式
(II)
【0006】
【化7】
【0007】〔式中、R2 〜R5 は、少なくとも2つが
−(CH2 ) n −COOR(Rは水素原子,周期律表第
I族,第II族,第III 族,第IVA族もしくは第VIII族の
金属,炭素数1〜20のアルキル基(無置換又はハロゲ
ン原子,アルキルチオ基,アシルチオ基,アリールチオ
基,ハロゲノアルコキシ基から選ばれた置換基で置換さ
れていてもよい。),炭素数2〜5のアルケニル基,炭
素数2〜5のアルキニル基,炭素数7〜20のアリール
アルキル基又は炭素数6〜20のアリール基(無置換又
はハロゲン原子,水酸基,炭素数1〜20のアルキル基
から選ばれた置換基で置換されていてもよい。)であ
り、nは0〜10の整数を示す。)で表される置換基、
又はR2 〜R5 の2つで式(III)
【0008】
【化8】
【0009】を形成したものであり、他は水素原子,ハ
ロゲン原子,炭素数1〜4のアルキル基(無置換又はカ
ルボキシル基で置換されていてもよい。),炭素数1〜
4のアルキルチオ基,炭素数1〜4のアルコキシ基,炭
素数6〜10のアリール基,又は炭素数6〜10のアリ
ールオキシ基を示す。]で表される構造単位(II)を有
し、かつ前記構造単位(II)が0.01〜99.9モル%含
有するとともに、135℃の1,2,4−トリクロロベ
ンゼン中で測定した極限粘度が、0.01〜20dl/gで
あって、前記構造単位(I)の連鎖の立体規則性が高度
のシンジオタクチック構造であることを特徴とするスチ
レン系共重合体の製造方法であって、一般式(IV)
【0010】
【化9】
【0011】〔式中、R1 ,mは前記と同様である。〕
で表されるスチレン系モノマーを遷移金属化合物とアル
ミノキサンからなる触媒の存在下で重合させ重合体を生
成した後、一般式(V)
【0012】
【化10】
【0013】〔式中、R2 〜R5 は前記と同様であ
る。〕で表されるモノマーを添加し、引続き共重合反応
を行うことにより、上記スチレン系共重合体を製造する
方法を提供するものである。
【0014】本発明のスチレン系共重合体は、基本的に
は、上記の如く一般式(I)で表される繰返し単位と、
一般式(II)で表される繰返し単位からなる。ここで一
般式(I)で表される繰返し単位は、上記一般式(IV)
で表されるスチレン系モノマーから誘導される。上記一
般式(IV)で表されるスチレン系モノマーの具体例とし
ては、スチレン;p−メチルスチレン;o−メチルスチ
レン;m−メチルスチレン;2,4−ジメチルスチレ
ン;2,5−ジメチルスチレン;3,4−ジメチルスチ
レン;3,5−ジメチルスチレン;p−ターシャリーブ
チルスチレンなどのアルキルスチレン、p−クロロスチ
レン;m−クロロスチレン;o−クロロスチレン;p−
ブロモスチレン;m−ブロモスチレン;o−ブロモスチ
レン;p−フルオロスチレン;m−フルオロスチレン;
o−フルオロスチレン;o−メチル−p−フルオロスチ
レンなどのハロゲン化スチレン、4−ビニルビフェニ
ル;3−ビニルビフェニル;2−ビニルビフェニルなど
のビニルビフェニル類、1−(4−ビニルフェニル)−
ナフタレン;2−(4−ビニルフェニル)−ナフタレ
ン;1−(3−ビニルフェニル)−ナフタレン;2−
(3−ビニルフェニル)−ナフタレン;1−(2−ビニ
ルフェニル)−ナフタレン;2−(2−ビニルフェニ
ル)ナフタレンなどのビニルフェニルナフタレン類、1
−(4−ビニルフェニル)−アントラセン;2−(4−
ビニルフェニル)−アントラセン;9−(4−ビニルフ
ェニル)−アントラセン;1−(3−ビニルフェニル)
−アントラセン;2−(3−ビニルフェニル)−アント
ラセン;9−(3−ビニルフェニル)−アントラセン;
1−(2−ビニルフェニル)−アントラセン;2−(2
−ビニルフェニル)−アントラセン;9−(2−ビニル
フェニル)−アントラセンなどのビニルフェニルアント
ラセン類、1−(4−ビニルフェニル)−フェナントレ
ン;2−(4−ビニルフェニル)−フェナントレン;3
−(4−ビニルフェニル)−フェナントレン;4−(4
−ビニルフェニル)−フェナントレン;9−(4−ビニ
ルフェニル)−フェナントレン;1−(3−ビニルフェ
ニル)−フェナントレン;2−(3−ビニルフェニル)
−フェナントレン;3−(3−ビニルフェニル)−フェ
ナントレン;4−(3−ビニルフェニル)−フェナント
レン;9−(3−ビニルフェニル)−フェナントレン;
1−(2−ビニルフェニル)−フェナントレン;2−
(2−ビニルフェニル)−フェナントレン;3−(2−
ビニルフェニル)−フェナントレン;4−(2−ビニル
フェニル)−フェナントレン;9−(2−ビニルフェニ
ル)−フェナントレンなどのビニルフェニルフェナント
レン類、1−(4−ビニルフェニル)−ピレン;2−
(4−ビニルフェニル)−ピレン;1−(3−ビニルフ
ェニル)−ピレン;2−(3−ビニルフェニル)−ピレ
ン;1−(2−ビニルフェニル)−ピレン;2−(2−
ビニルフェニル)−ピレンなどのビニルフェニルピレン
類、4−ビニル−p−ターフェニル;4−ビニル−m−
ターフェニル;4−ビニル−o−ターフェニル;3−ビ
ニル−p−ターフェニル;3−ビニル−m−ターフェニ
ル;3−ビニル−o−ターフェニル;2−ビニル−p−
ターフェニル;2−ビニル−m−ターフェニル;2−ビ
ニル−o−ターフェニルなどのビニルターフェニル類、
4−(4−ビニルフェニル)−p−ターフェニルなどの
ビニルフェニルターフェニル類、4−ビニル−4’−メ
チルビフェニル;4−ビニル−3’−メチルビフェニ
ル;4−ビニル−2’−メチルビフェニル;2−メチル
−4−ビニルビフェニル;3−メチル−4−ビニルビフ
ェニルなどのビニルアルキルビフェニル類、4−ビニル
−4’−フルオロビフェニル;4−ビニル−3’−フル
オロビフェニル;4−ビニル−2’−フルオロビフェニ
ル;4−ビニル−2−フルオロビフェニル;4−ビニル
−3−フルオロビフェニル;4−ビニル−4’−クロロ
ビフェニル;4−ビニル−3’−クロロビフェニル;4
−ビニル−2’−クロロビフェニル;4−ビニル−2−
クロロビフェニル;4−ビニル−3−クロロビフェニ
ル;4−ビニル−4’−ブロモビフェニル;4−ビニル
−3’−ブロモビフェニル;4−ビニル−2’−ブロモ
ビフェニル;4−ビニル−2−ブロモビフェニル;4−
ビニル−3−ブロモビフェニルなどのハロゲン化ビニル
ビフェニル類、4−ビニル−4’−トリメチルシリルビ
フェニルなどのトリアルキルシリルビニルビフェニル
類、4−ビニル−4’−トリメチルスタンニルビフェニ
ル;4−ビニル−4’−トリブチルスタンニルビフェニ
ルなどのトリアルキルスタンニルビニルビフェニル類、
4−ビニル−4’−トリメチルシリルメチルビフェニル
などのトリアルキルシリルメチルビニルビフェニル類、
4−ビニル−4’−トリメチルスタンニルメチルビフェ
ニル;4−ビニル−4’−トリブチルスタンニルメチル
ビフェニルなどのトリアルキルスタンニルメチルビニル
ビフェニル類、p−クロロエチルスチレン;m−クロロ
エチルスチレン;o−クロロエチルスチレンなどのハロ
ゲン置換アルキルスチレン、p−トリメチルシリルスチ
レン;m−トリメチルシリルスチレン;o−トリメチル
シリルスチレン;p−トリエチルシリルスチレン;m−
トリエチルシリルスチレン;o−トリエチルシリルスチ
レン;p−ジメチルターシャリ−ブチルシリルスチレン
などのアルキルシリルスチレン類、p−ジメチルフェニ
ルシリルスチレン;p−メチルジフェニルシリルスチレ
ン;p−トリフェニルシリルスチレンなどのフェニル基
含有シリルスチレン類、p−ジメチルクロロシリルスチ
レン;p−メチルジクロロシリルスチレン;p−トリク
ロロシリルスチレン;p−ジメチルブロモシリルスチレ
ン;p−ジメチルヨードシリルスチレンなどのハロゲン
含有シリルスチレン類、p−(p−トリメチルシリル)
ジメチルシリルスチレンなどのシリル基含有シリルスチ
レン類等が挙げられる。
【0015】一方、一般式(II)で表される繰返し単位
は、前記一般式(V)で表されるヘテロ原子を含む不飽
和炭化水素モノマーから誘導される。この不飽和炭化水
素モノマーの特徴は、式中のR2 〜R5 の少なくとも2
つがカルボキシル基あるいはそれから誘導される基を有
すること、又はこの2つのカルボキシル基が脱水縮合
(あるいは誘導された基が結合)して環を形成すること
である。このような少なくとも2つのカルボキシル基あ
るいはそれから誘導される基を有する不飽和炭化水素モ
ノマーとしては、例えばマレイン酸類,イタコン酸類,
フマル酸類,グルタコン酸類などが挙げられ、式(III)
で表される環を形成するものとしては、無水マレイン酸
類,無水イタコン酸類などがある。さらに、これらを具
体的に例示すると、マレイン酸類としてマレイン酸,メ
チルマレイン酸,ジメチルマレイン酸,フェニルマレイ
ン酸,クロロマレイン酸,ジクロロマレイン酸,フルオ
ロマレイン酸,ジフルオロマレイン酸,ブロモマレイン
酸,マレイン酸ジメチル,マレイン酸ジエチル,メチル
マレイン酸ジエチル,マレイン酸ジプロピル,マレイン
酸ジイソプロピル,マレイン酸ジブチル,マレイン酸ジ
イソブチル,マレイン酸ジペンチル,マレイン酸ジイソ
ペンチル,マレイン酸ジヘキシル,マレイン酸ジヘプチ
ル,マレイン酸ジオクチル,マレイン酸ビス(2−エチ
ルヘキシル),マレイン酸ジノニル,マレイン酸ジヘキ
サデシル,マレイン酸ジプロパルギル,マレイン酸ビス
〔2−(2−クロロエトキシ)エチル〕,マレイン酸ジ
ベンジル,マレイン酸メチルアリル,マレイン酸メチル
−2−ブテニル,マレイン酸メチル−3−ブテニル,マ
レイン酸アリル−3−メチルチオプロピル,マレイン酸
アリル−3−エチルチオプロピル,マレイン酸アリル−
3−アセチルチオプロピル,マレイン酸アリル−3−フ
ェニルチオプロピル,マレイン酸メチル−p−クロロフ
ェニル,マレイン酸ブチル−p−クロロフェニル,マレ
イン酸ベンジル−p−クロロフェニル,マレイン酸ジフ
ェニル,マレイン酸ジ−m−クレジル,マレイン酸ジ−
p−クレジル,マレイン酸−n−ペプチル,マレイン酸
ノニル,マレイン酸デシル,マレイン酸ドデシル,マレ
イン酸オクタデシル,マレイン酸フルオロアルキル等、
イタコン酸類としてはイタコン酸,イタコン酸ジエチ
ル,無水イタコン酸等、フマル酸類としてはフマル酸,
フマル酸ジエチル,フマル酸ジフェニル,メチルフマル
酸,メチルフマル酸ジエチル等、無水マレイン酸類とし
ては無水マレイン酸,メチル無水マレイン酸,ジメチル
無水マレイン酸,フェニル無水マレイン酸,ジフェニル
無水マレイン酸,クロロ無水マレイン酸,ジクロロ無水
マレイン酸,フルオロ無水マレイン酸,ジフルオロ無水
マレイン酸,ブロモ無水マレイン酸,ジブロモ無水マレ
イン酸等が挙げられる。また、その他にもcis −グルタ
コン酸,cis −グルタコン酸ジエチル,trans −グルタ
コン酸,trans −グルタコン酸ジエチル等を挙げること
もできる。さらに、ナトリウム,カルシウム,リチウ
ム,マグネシウム,亜鉛,スズ,アルミニウム,銅,鉄
等の周期律表第I族,第II族,第III 族,第IVA族もし
くは第VIII族の金属イオンと上記化合物のうちカルボン
酸を有する化合物との反応により、イオン化して得られ
るマレイン酸ナトリウム,マレイン酸カルシウム,フマ
ール酸亜鉛等多数の金属イオン含有不飽和炭化水素モノ
マーを挙げることができる。
【0016】本発明のスチレン系共重合体において、繰
返し単位(I)は、二種以上の成分から構成されていて
もよく、この点は繰返し単位(II)についても同様であ
り、二元,三元,四元共重合体が可能となる。また、金
属を含む繰り返し単位(II)は、対応する単量体をその
まま用いても、さらに、カルボン酸単位を含む単量体を
用いて共重合した後、周期律表第I族,第II族,第III
族,第IVA族もしくは第VIII族の金属を含む化合物でイ
オン化してもよく、又はカルボン酸エステル単位を含む
単量体を用いて共重合した後、加水分解,熱分解した
後、周期律表第I族,第II族,第III 族,第IVA族もし
くは第VIII族の金属を含む化合物でイオン化してもよ
い。また、上記の繰返し単位(II)の含有割合は、目的
とする共重合体の組成により適宜選定可能であり、通
常、共重合体全体の0.01〜99.9モル%、好ましくは
0.01〜80モル%、更に好ましくは0.1〜60モル%
の範囲である。この繰返し単位(II)の含有割合が0.0
1モル%未満であると、相溶性の改良などの本発明の目
的とする改善効果が充分に達成されない。また、99.9
モル%を超えると、シンジオタクチック構造のスチレン
系重合体の特徴である耐熱性が発現しない。この共重合
体の分子量は、一般に1,2,4−トリクロロベンゼン
溶液(温度135℃)で測定した極限粘度が0.01〜2
0dl/g のものであり、好ましくは0.1〜15dl/g の
ものである。極限粘度が0.01dl/g 未満では、力学的
物性が低く、実用に供しえない。また、極限粘度が20
dl/g を超えると、通常の溶融成形に適さない。さら
に、本発明では、得られる共重合体の性質あるいは繰返
し単位(I)の連鎖におけるシンジオタクチック構造を
著しく損なわない範囲で第三成分を添加することもでき
る。このような化合物としては、例えば上記不飽和炭化
水素モノマー以外のジエン類,ビニルシロキサン類,不
飽和カルボン酸エステル類,アクリロニトリル等があげ
られる。
【0017】本発明のスチレン系共重合体は、繰返し単
位(I)、即ちスチレン系繰返し単位の連鎖が高度なシ
ンジオタクチック構造を有するものである。ここで、ス
チレン系重合体における高度なシンジオタクチック構造
とは、立体化学構造が高度なシンジオタクチック構造、
即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖で
あるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位
置する立体構造を有するものであり、そのタクティシテ
ィーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR
法)により定量される。13C−NMR法により測定され
るタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存
在割合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合は
トリアッド,5個の場合はペンタッドによって示すこと
ができるが、本発明で言う高度なシンジオタクチック構
造を有するスチレン系共重合体とは、スチレン系繰返し
単位の連鎖において、通常はラセミダイアッドで75%
以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッ
ドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタク
ティシティーを有するものを示す。しかしながら、置換
基の種類や繰返し単位(II)の含有割合によってシンジ
オタクティシティーの度合いは若干変動する。このよう
に本発明の共重合体は、繰返し単位(I),(II)に相
応するモノマーの共重合により、また得られた共重合体
を原料として、分別,ブレンド若しくは有機合成的手法
を適用することにより、所望の立体規則性及び反応性置
換基を有する態様のものを製造することができる。
【0018】本発明の方法によれば、上記構造を有する
スチレン系共重合体を一層効率よくかつ高品質のものと
して得ることができる。本発明の製造方法に用いる原料
モノマーは、前記一般式(IV)で表されるスチレン系モ
ノマー及び一般式(V)で表されるヘテロ原子を含む不
飽和炭化水素モノマーである。このスチレン系モノマー
とヘテロ原子を含む不飽和炭化水素モノマーが、重合し
てそれぞれ繰返し単位(I),(II)を構成する。した
がって、このスチレン系モノマー及びヘテロ原子を含む
不飽和炭化水素モノマーの具体例としては、前述の繰り
返し単位(I),(II)の具体例に対応したものを挙げ
ることができる。
【0019】本発明の製造方法は、先ず、これらのスチ
レン系モノマーを、(A) 遷移金属化合物および(B)
アルミノキサンを主成分とする触媒の存在下で重合さ
せ、次いで得られたスチレン系ポリマーないしオリゴマ
ーにヘテロ原子を含む不飽和炭化水素モノマーと共重合
させて、共重合体を製造する方法である。ここで、触媒
の(A)成分である遷移金属化合物としては様々なもの
があるが、好ましくは一般式(VI),(VII),(VIII)
,(IX)
【0020】
【化11】
【0021】〔式中、R6 〜R17は、それぞれ水素原
子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素
数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール
基,炭素数7〜20のアリールアルキル基,炭素数6〜
20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアシルオキ
シ基,アセチルアセトニル基,シクロペンタジエニル
基,置換シクロペンタジエニル基あるいはインデニル基
を示す。また、a,b,cは、それぞれ0≦a+b+c
≦4を満たす0以上の整数を示し、d,eはそれぞれ0
≦d+e≦3を満たす0以上の整数を示し、fは0≦f
≦2を満たす整数を示し、g,hは各々0≦g+h≦3
を満たす0以上の整数を示す。更に、M1 ,M2 はチタ
ン,ジルコニウム,ハフニウムあるいはバナジウムを示
し、M3 ,M4 はバナジウムを示す。〕で表される遷移
金属化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物であ
る。これらの遷移金属化合物の中でも、前記一般式(V
I)中のM1 が、チタンあるいはジルコニウムであるも
のを用いるのが好ましい。
【0022】ここで、前記式中のR6 〜R17で示される
もののうち、ハロゲン原子として、具体的には塩素原
子,臭素原子,沃素原子あるいはフッ素原子がある。ま
た、置換シクロペンタジエニル基は、例えば炭素数1〜
6のアルキル基で1個以上置換されたシクロペンタジエ
ニル基、具体的には、メチルシクロペンタジエニル基;
1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基;1,3−ジ
メチルシクロペンタジエニル基;1,3,4−トリメチ
ルシクロペンタジエニル基;ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル基等である。また、前記式中のR6 〜R17はそ
れぞれ独立に水素原子,炭素数1〜20のアルキル基
(具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,n−
ブチル基,イソブチル基,アミル基,イソアミル基,オ
クチル基,2−エチルヘキシル基)、炭素数1〜20の
アルコキシ基(具体的には、メトキシ基,エトキシ基,
プロポキシ基,ブトキシ基,ヘキシルオキシ基,オクチ
ルオキシ基,2−エチルヘキシルオキシ基等)、炭素数
6〜20のアリール基(具体的には、フェニル基,ナフ
チル基等)、炭素数7〜20のアリールアルキル基(具
体的には、ベンジル基,フェネチル基,9−アントリル
メチル基等)、炭素数1〜20のアシルオキシ基(具体
的には、アセチルオキシ基,ステアロイルオキシ基等)
であってもよい。これらR6 〜R17は上記条件を具備す
る限り、同一のものであっても、異なるものであっても
よい。
【0023】このような、前記一般式(VI),(VII),
(VIII) 又は(IX)で表される遷移金属化合物のうちチ
タン化合物の具体例としては、テトラメトキシチタン,
テトラエトキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,
テトライソプロポキシチタン,四塩化チタン,三塩化チ
タン,シクロペンタジエニルトリメチルチタン,シクロ
ペンタジエニルトリエチルチタン,シクロペンタジエニ
ルトリプロピルチタン,シクロペンタジエニルトリブチ
ルチタン,メチルシクロペンタジエニルトリメチルチタ
ン,1,2−ジメチルシクロペンタジエニルトリメチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリメチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリエチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリプロピ
ルチタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリブチ
ルチタン,シクロペンタジエニルメチルチタンジクロリ
ド,シクロペンタジエニルエチルチタンジクロリド,ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルメチルチタンジクロリ
ド,ペンタメチルシクロペンタジエニルエチルチタンジ
クロリド,シクロペンタジエニルジメチルチタンモノク
ロリド,シクロペンタジエニルジエチルチタンモノクロ
リド,シクロペンタジエニルチタントリメトキシド,シ
クロペンタジエニルチタントリエトキシド,シクロペン
タジエニルチタントリプロポキシド,シクロペンタジエ
ニルチタントリフェノキシド,ペンタメチルシクロペン
タジエニルチタントリメトキシド,ペンタメチルシクロ
ペンタジエニルチタントリエトキシド,ペンタメチルシ
クロペンタジエニルチタントリプロポキシド,ペンタメ
チルシクロペンタジエニルチタントリブトキシド,ペン
タメチルシクロペンタジエニルチタントリフェノキシ
ド,シクロペンタジエニルチタントリクロリド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルチタントリクロリド,シク
ロペンタジエニルメトキシチタンジクロリド,シクロペ
ンタジエニルジメトキシチタンクロリド,ペンタメチル
シクロペンタジエニルメトキシチタンジクロリド,シク
ロペンタジエニルトリベンジルチタン,ペンタメチルシ
クロペンタジエニルメチルジエトキシチタン,インデニ
ルチタントリクロリド,インデニルチタントリメトキシ
ド,インデニルチタントリエトキシド,インデニルトリ
メチルチタン,インデニルトリベンジルチタンなどが挙
げられる。
【0024】これらチタン化合物のうち、スチレン系モ
ノマー部の分子量を高くする必要のある場合、アルコキ
シド,置換シクロペンタジエニル基などの置換π電子系
配位子をもつチタン化合物を用いることが好ましい。ま
た、分子量を低くする場合はシクロペンタジエニル基な
どのπ電子系配位子,ハロゲン配位子をもつチタン化合
物が好ましい。また、前記一般式(VI),(VII),(VI
II) ,又は(IX)で表される遷移金属化合物のうち、ジ
ルコニウム化合物の具体例としては、シクロペンタジエ
ニルジルコニウムトリメトキシド,ペンタメチルシクロ
ペンタジエニルジルコニウムトリメトキシド,シクロペ
ンタジエニルトリベンジルジルコニウム,ペンタメチル
シクロペンタジエニルトリベンジルジルコニウム,ビス
インデニルジルコニウムジクロリド,ジルコニウムジベ
ンジルジクロリド,ジルコニウムテトラベンジル,トリ
ブトキシジルコニウムクロリド,トリイソプロポキシジ
ルコニウムクロリドなどが挙げられる。同様に、ハフニ
ウム化合物の具体例としては、シクロペンタジエニルハ
フニウムトリメトキシド,ペンタメチルシクロペンタジ
エニルハフニウムトリメトキシド,シクロペンタジエニ
ルトリベンジルハフニウム,ペンタメチルシクロペンタ
ジエニルトリベンジルハフニウム,ビスインデニルハフ
ニウムジクロリド,ハフニウムジベンジルジクロリド,
ハフニウムテトラベンジル,トリブトキシハフニウムク
ロリド,トリイソプロポキシハフニウムクロリドなどが
挙げられる。さらに、同様にバナジウム化合物の具体例
としては、バナジウムトリクロリド,バナジルトリクロ
リド,バナジウムトリアセチルアセトナート,バナジウ
ムテトラクロリド,バナジウムトリブトキシド,バナジ
ルジクロリド,バナジルビスアセチルアセトナート,バ
ナジルトリアセチルアセトナートなどが挙げられる。一
方、触媒の他の成分である(B)アルミノキサンは、例
えば特開昭62−187708号公報に記載されたもの
と同種のものであるが、詳しくは下記の通りである。即
ち、各種の有機アルミニウムと縮合剤とを接触させて得
られるものである。ここで、有機アルミニウム化合物と
しては、通常、一般式 AlR18 3 ・・・(X) 〔式中、R18は炭素数1〜20のアルキル基を示す。〕
で表される有機アルミニウム、具体的には、トリメチル
アルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソブチ
ルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムが挙げ
られ、中でもトリメチルアルミニウムが最も好ましい。
【0025】一方、縮合剤としては、典型的には水が挙
げられるが、この他にトリアルキルアルミニウムが縮合
反応する任意のもの、例えば、硫酸銅5水塩,無機物や
有機物への吸着水など各種のものが挙げられる。本発明
において用いる触媒の(B)成分であるアルミノキサン
としては、前記一般式AlR18 3 で表されるトリアルキ
ルアルミニウムと水との接触生成物があるが、具体的に
は一般式
【0026】
【化12】
【0027】〔式中、R18は前記と同様である。また、
pは重合度を示し、0〜50の数である。〕で表される
鎖状アルキルアルミノキサンあるいは一般式
【0028】
【化13】
【0029】〔式中、R18は前記と同じである。〕で表
される繰り返し単位を有する環状アルキルアルミノキサ
ン(繰り返し単位数2〜50)等がある。このようなア
ルキルアルミノキサンのうち、R18がメチル基であるメ
チルアルミノキサンが特に好ましい。
【0030】一般に、トリアルキルアルミニウムなどの
有機アルミニウム化合物と水との接触生成物は、上述の
鎖状アルキルアルミノキサンや環状アルキルアルミノキ
サンとともに、未反応のトリアルキルアルミニウム,各
種の縮合生成物の混合物、さらには、これらが複雑に会
合した分子であり、これらはトリアルキルアルミニウム
と水との接触条件によって様々な生成物となる。この際
の有機アルミニウム化合物と水との接触方法には特に限
定はなく、公知の手法に準じて反応させれば良い。例え
ば、有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解してお
き、これを水と接触させる方法、重合時に当初有機ア
ルミニウム化合物を加えておき、後で水を添加する方
法、さらには金属塩などに含有されている結晶水,無
機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反
応させる方法などがある。なお、上記の水にはアンモニ
ア,エチルアミン等のアミン,硫化水素等の硫黄化合
物,亜燐酸エステル等の燐化合物などが20%程度まで
含有されていてもよい。上記触媒の(B)成分として用
いるアルミノキサン(例えばアルキルアルミノキサン)
は、上記の接触反応後、含水化合物を使用した場合に
は、固体残渣を濾別し、濾液を常圧下あるいは減圧下で
30〜200℃の温度、好ましくは40〜150℃の温
度で、20分〜8時間、好ましくは30分〜5時間の範
囲で溶媒を留去しつつ熱処理したものが好ましい。この
熱処理にあたっては、温度は各種の状況によって適宜定
めれば良いが、通常は、上記範囲で行なう。一般に30
℃未満の温度では、効果が発現せず、また200℃を超
えるとアルキルアルミノキサン自体の熱分解が起こり、
いずれも好ましくない。上記熱処理の処理条件により反
応生成物は、無色の固体または溶液状態で得られる。こ
のようにして得られた生成物を、必要に応じて炭化水素
溶媒で溶解あるいは希釈して触媒溶液として使用するこ
とができる。このような触媒(B)成分として用いるア
ルミノキサン、特にアルキルアルミノキサンの好適な例
は、プロトン核磁気共鳴スペクトルで観測されるアルミ
ニウム−メチル基(Al−CH3 )結合に基づくメチル
プロトンシグナル領域における高磁場成分が50%以下
のものである。つまり、上記の接触生成物を室温下、ト
ルエン溶媒中でそのプロトン核磁気共鳴( 1H−NM
R)スペクトルを観測すると、Al−CH3 に基づくメ
チルプロトンシグナルはテトラメチルシラン(TMS)
基準において1.0〜−0.5ppm の範囲に見られる。TM
Sのプロトンシグナル(0ppm )がAl−CH3 に基づ
くメチルプロトン観測領域にあるため、このAl−CH
3 に基づくメチルプロトンシグナルを、TMS基準にお
けるトルエンのメチルプロトンシグナル2.35ppm を基
準に測定し高磁場成分(即ち、−0.1〜−0.5ppm)と他
の磁場成分(即ち、1.0〜−0.1ppm)とに分けたとき
に、該高磁場成分が全体の50%以下、好ましくは45
〜5%のものが触媒の(B)成分として好適に使用でき
る。
【0031】ここに使用する触媒は、前記(A),
(B)成分を主成分とするものであるが、前記の他にさ
らに所望により他の触媒成分例えば一般式 AlR19 3 ・・・(XIII) 〔式中、R19はハロゲン原子又は炭素数1〜8のアルキ
ル基を示す。また、複数あるR19は同一でも異なってい
てもよい。〕で表されるトリアルキルアルミニウムや他
の有機金属化合物などを加えることができ、また、立体
規則性を損なわない範囲において、一般式 W−R20−(Q)r −R21−W' ・・・ (XIV) 〔式中、R20,R21は炭素数1〜20の炭化水素基,炭
素数7〜30の置換芳香族炭化水素基あるいは酸素,窒
素,硫黄等のヘテロ原子を含む置換基を有する炭素数6
〜40の置換芳香族炭化水素基を示し、Qは炭素数1〜
20の炭化水素基,
【0032】
【化14】
【0033】(R22は水素又は炭素数1〜6の炭化水素
基を示す。)を示し、W,W' は水酸基,アルデヒド
基,カルボキシル基を示し、rは0〜5の整数を示
す。〕で表される有機化合物を加えることができる。上
記一般式(XIV)で表される有機化合物の具体例として
は、例えば2,2′−ジヒドロキシ−3,3′−ジ−t
−ブチル−5,5′−ジメチルジフェニルスルフィド;
2,2′−ジヒドロキシ−3,3′−ジ−t−ブチル−
5,5′−ジメチルジフェニルエーテル等があげられ
る。一般式(XIV)で表される有機化合物を使用する場合
には、好ましくは、遷移金属化合物との反応物を用い
る。この際の反応条件としては、遷移金属化合物中の金
属原子1モルに対し、該有機化合物を0.1〜10モルと
し、溶媒の存在下または不存在下で反応させればよい。
溶媒としては、トルエンやヘキサン等の炭化水素溶媒,
THF(テトラヒドロフラン)などの極性溶媒を用いる
ことができる。これらの触媒を使用するにあたって、触
媒中の(A)成分と(B)成分との割合は、各成分の種
類,原料である一般式(IV)で表されるスチレン系モノ
マー及び一般式(V)で表されるヘテロ原子を含む不飽
和炭化水素の種類やその他の条件により異なり一義的に
定められないが、通常は(B)成分中のアルミニウムと
(A)成分中の遷移金属との比、すなわちアルミニウム
/遷移金属(モル比)として、1〜106 、好ましくは
10〜104 である。
【0034】このように、本発明の方法によれば、上記
(A)及び(B)成分を主成分とする触媒の存在下で、
前記一般式(IV)で表されるスチレン系モノマーと前記
一般式(V)で表されるヘテロ原子を含む不飽和炭化水
素モノマーを用いて重合し、目的とする共重合体を製造
することができる。具体的に方法の一例を示せば、スチ
レン系重合体(オリゴマーを含む)を製造する工程(重
合工程)と、この重合工程で得られたスチレン系重合体
に前記一般式(V)で表されるヘテロ原子を含む不飽和
炭化水素モノマーと共重合させて目的とする共重合体を
製造する工程(共重合工程)の二段工程などからなる。
この(共)重合は、塊状(共)重合,溶液(共)重合あ
るいは懸濁(共)重合など、様々の方法で行うことがで
きる。上記(共)重合において使用しうる溶媒として
は、制限されるものではなく、ペンタン,ヘキサン,ヘ
プタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂
環式炭化水素、ベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳
香族炭化水素などが挙げられるが、好ましくは芳香族炭
化水素である。ここで、モノマー/溶媒(体積比)は任
意に選択することができるが、好ましくは1以下であ
る。本発明の前記重合工程の条件は、特に制限はなく、
各種の状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は次の
通りである。すなわち、スチレン系モノマー/(B)成
分中のアルミニウム(モル比)は、1〜106 、好まし
くは10〜104 である。また、重合温度は0〜120
℃、好ましくは10〜70℃であり、重合時間は5秒〜
5時間、好ましくは200秒〜2時間である。ここで、
前記共重合工程の条件についても上記重合工程の場合と
同様に制限はないが、通常は次の通りである。即ち、ヘ
テロ原子を含む不飽和炭化水素モノマーの供給量は、目
的とするスチレン系共重合体の組成により任意に決定可
能である。また、共重合温度は、−78〜120℃、好
ましくは−10〜80℃であり、重合時間は5秒〜24
時間、好ましくは100秒〜10時間である。また、得
られる共重合体における仕込み比(スチレン系モノマー
/不飽和炭化水素モノマー)は、温度又は重合時間によ
り調節される。
【0035】上記の如く、本発明の方法によって得られ
るスチレン系共重合体は、スチレン系繰返し単位連鎖の
シンジオタクティシティーが高いものである。また、重
合後、必要に応じて塩酸等を含む洗浄液で脱灰処理し、
さらに洗浄,減圧乾燥を経てメチルエチルケトン等の溶
媒で洗浄して可溶分を除去すれば、極めてシンジオタク
ティシティーの大きな高純度のスチレン系共重合体が得
られる。また、本発明のスチレン系共重合体は、ポリア
ミド等のエンジニアプラスチックとの相溶性に優れてお
り、目的に応じて適宜以下のものを組み合わせて用いる
ことができる。上記スチレン系共重合体と相溶化可能な
樹脂としては、
【0036】
【化15】
【0037】(式中、R23,R24は各々水素原子又は炭
素数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される末端官
能基を有するものが挙げられる。具体的には、ポリアミ
ド,ポリアセタール,ポリカーボネート,ポリサルフォ
ン,全芳香族ポリエステル,全芳香族ポリイミド,ポリ
アミドイミド,全芳香族ポリアミド,ポリエーテルエー
テルケトン,ポリエーテルイミド,ポリフェニレンオキ
シド,飽和芳香族系ポリエステル,ポリフェニレンサル
ファイド,ポリアリレート,ポリウレタンなどが挙げら
れる。樹脂を相溶化した場合の構成比率は、一般に上記
スチレン系共重合体100重量部に対して0.01〜60
0重量部であり、好ましくは5〜300重量部である。
同様に、スチレン系共重合体に相溶化可能な充填剤とし
ても、種々のものがあり、チタニア,ジルコニア,シリ
カ,酸化鉄,アルミナ,酸化スズ,シリカアルミナ,フ
ェライトなどの金属酸化物、銅,アルミニウム,ニッケ
ル,鉄,スズ,クロム,銀,ステンレスなどの金属、炭
酸カルシウム,炭酸バリウムなど金属炭酸塩、マイカ、
カーボンブラック、タルク、クレー、ガラス粉、ガラス
繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、チタンホワイ
ト、炭素繊維、ホウ化チタン,ホウ化ジルコニウム,ホ
ウ化タンタル,ケイ化チタン,ケイ化タンタル,ケイ化
モリブデン,ケイ化タングステン,炭化ケイ素,炭化ク
ロム,炭化チタン,炭化ジルコニウム,炭化ホウ素,ダ
イアモンド,窒化ホウ素,窒化ケイ素,窒化ジルコニウ
ム,窒化ニオブ,窒化チタンなど各種セラミックス等の
無機充填剤及び木粉、セルロース、リグニンなどの有機
充填剤が挙げられる。上記の充填剤は、粉末状,粒状,
フレーク状,ウィスカー状,繊維状などの形態で上記ス
チレン系共重合体に添加される。その際の組成割合は、
一般に上記スチレン系共重合体と前記樹脂の合計100
重量部対して0.01〜200重量部であり、好ましくは
0.5〜100重量部である。これら樹脂及び充填剤のス
チレン系共重合体への混合方法は、種々の方法があり特
に限定されるものはない。この混合手段の具体例として
は、ミキシングロール,バンバリーミキサー,ニーダ等
の混練機及び単軸,2軸押出機を挙げることができる。
【0038】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。 実施例1 メチルアルミノキサンの調製 アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製
容器に、トルエン200ml,硫酸銅5水塩(CuSO
4 ・5H2 O) 17.7g(71ミリモル)およびトリメ
チルアルミニウム24ml(250ミリモル)を入れ、
40℃で8時間反応させた。その後、固体成分を除去
し、得られた溶液から更にトルエンを減圧留去して接触
生成物6.7gを得た。このものの凝固点降下法により測
定した分子量は610であった。また、プロトン核磁気
共鳴スペクトル( 1H−NMR)測定による高磁場成
分、即ち、室温下、トルエン溶液中でその 1H−NMR
を観測すると、(Al−CH3 )結合に基くメチルプロ
トンシグナルは、テトラメチルシラン基準において1.0
〜−0.5ppmの範囲に見られる。テトラメチルシラン
のプロトンシグナル(0ppm)がAl−CH3 結合に
基くメチルプロトンに基く観測領域にあるため、このA
l−CH3 結合に基づくメチルプロトンシグナルをテト
ラメチルシラン基準におけるトルエンのメチルプロトン
シグナル2.35ppmを基準にして測定し、高磁場成分
(即ち−0.1〜−0.5ppm)と他の磁場成分(即ち1.
0〜−0.1ppm)とに分けた時に、該高磁場成分が全
体の43%であった。
【0039】 共重合体の製造 アルゴン雰囲気下、乾燥した100ミリリットル反応容
器に、室温下、トルエン20ミリリットル、触媒成分と
して上記(1)で得られたメチルアルミノキサン2ミリ
モルを加え、更にスチレン10ミリリットルを加えた後
50℃で30分静置した。この容器に1,2,3,4,
5−ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリ
メトキシドを5マイクロモル添加し、重合を開始した。
8分間重合反応を行った後、無水マレイン酸のトルエン
溶液(2モル/リットル)を10ミリモル相当を添加
し、1時間重合を行った。その後、メタノール−塩酸混
合液に反応生成物を投入し、反応を停止し脱灰した後、
更にメタノールで洗浄し乾燥した。更に非晶質ポリマー
を除去するために、メチルエチルケトンでソックスレー
抽出を8時間行い、不溶部を乾燥して、0.39gの重合
体を得た。この重合体の極限粘度〔η〕は2.8dl/g
であった。示差走査熱量(DSC)測定により求めた融
点(Tm)は269℃であり、13C−NMRを測定した
ところ、145.2ppmに鋭いピークが見られ、スチレ
ン連鎖はシンジオタクチック構造であることを示してい
る。また、赤外線吸収スペクトル(IR)によると17
30cm-1付近にカルボニルの吸収が認められ、 1H−
NMRより求めた無水マレイン酸単位含量は1.4モル%
であることが判明した。得られた結果を表1に示す。
【0040】実施例2〜5 表1に示したヘテロ原子系不飽和炭化水素を用い、表1
に示す反応条件に従って共重合反応を実施した。得られ
た結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】実施例6 実施例1で得られた共重合体0.15gを、水酸化ナトリ
ウム6.7g,メタノール50ミリリットル,純水3ミリ
リットルに混合し、沸点下で20時間反応させ、加水分
解,イオン化を行い分散液を得た。この分散液の一部を
取り、濾過した後、過剰の塩酸水溶液に接触させ、水洗
した後乾燥した。この共重合体のIRは、−COOHに
起因する1720〜1740cm-1の吸収が認められ
た。このことから、得られた共重合体はスチレン無水マ
レイン酸共重合体であることがわかった。また、残りの
分散液を濾過した後、充分水で洗浄して乾燥させた。こ
の共重合体の赤外線吸収スペクトルは−COONaに起
因する1560cm-1の吸収が認められた。このことか
ら、得られた共重合体はスチレン無水マレイン酸ナトリ
ウム塩共重合体であることがわかった。
【0043】実施例7 実施例4および実施例5で得た共重合体を、実施例6に
示した反応条件で加水分解,イオン化を行った。その結
果、それぞれスチレンイタコン酸共重合体(IR:−C
OOH,1720cm-1),スチレンイタコン酸ナトリ
ウム共重合体(IR:−COONa,1560cm-1
(以上、実施例4で得た共重合体から)およびスチレン
フマル酸共重合体(IR:−COOH,1720c
-1),スチレンフマル酸ナトリウム共重合体(IR:
−COONa,1560cm-1)(以上、実施例5で得
た共重合体から)を得た。
【0044】実施例8 チタン触媒成分の合成 Polymer Preprints, Japan Vol.36, No.6, 1415(1987)
記載の方法に従って、下記錯体〔A〕を合成し、トルエ
ン溶液(10ミリモル/リットル)とした。
【0045】
【化16】
【0046】 共重合体の製造 触媒成分を上記実施例8の錯体〔A〕を用いたこと以
外は、実施例1と同様に共重合体を製造した。得られ
た結果を表2に示す。
【0047】実施例9,10 チタン触媒成分としてテトラエトキシチタン(実施例
9),四塩化チタン(実施例10)を用いたこと以外
は、実施例8と同様に共重合体を製造した。得られた
結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】実施例11 パラメチルスチレンと無水マレイン酸との共重合体
の製造 500ミリリットル三つ口丸底フラスコを乾燥,窒素置
換した後、トルエン200ミリリットル,パラメチルス
チレン20ミリリットルを加え、70℃に上昇した後、
実施例1で調製したメチルアルミノキサン40ミリモ
ル加え、更に1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロ
ペンタジエニルチタニウムメトキシド100μモル添加
して重合を開始した。4分30秒後、無水マレイン酸の
トルエン溶液70ミリリットル(49ミリモル相当)を
17分にわたって滴下した。更に1時間共重合反応を行
った後、多量のメタノールに投入して失活,脱灰洗浄し
乾燥して10.6gの共重合体を得た。この共重合体の
〔η〕は2.1dl/gであった。
【0050】 カラム分別による共重合体の同定 実施例11で得た共重合体(ホールポリマー)7.36
gを塩化メチレン40〜50ミリリットルに溶解し、シ
リカを充填した3cm(直径)×80cm(長さ)のカ
ラムで分別した。まず、クロロホルム:ヘキサン=5
0:50体積比の展開液で、共重合体の留出が認められ
た後、1200ミリリットル留出分から1350ミリリ
ットル留出分の間の150ミリリットルを分取した(こ
れをサンプルAとする)。更に共重合体の留出が認めら
なくなるまで展開を続け、次に展開液をクロロホルム:
ヘキサン=100:0体積比に変えて展開した。同様に
共重合体の留出を認めた後、1100ミリリットル留出
分から1250ミリリットル留出分の間の150ミリリ
ットルを分取した(これをサンプルBとする)。上記サ
ンプルA,Bを除いたポリマー回収量は、4.2gであ
り、展開による回収率は59.1%であった。サンプル
A,Bの同定結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】図1には、上記ホールポリマー(実施例1
1で得た共重合体),サンプルA,Bの13C−NMR
チャートを示す。図2には、上記ホールポリマー,サン
プルA,B及びシンジオタクチックポリパラメチルスチ
レン(比較のため)のIRチャートを示す。図3には、
上記ホールポリマー,サンプルA,Bのゲルパーミエシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布チ
ャートを示す。図1よりパラメチル連鎖は、高度のシン
ジオタクチック構造を有すること、図2より1720c
-1付近にマレイン酸単位の吸収を有すること、図3よ
り分別したサンプルA,Bはホールポリマーに比較して
分子量分布が狭いことが認められ、以上の結果より得ら
れた重合体は共重合体であることが確認された。
【0053】実施例12 無水マレイン酸−スチレンブロック共重合体の製造 4リットルステンレス製オートクレーブに、乾燥後、ト
ルエン630ミリリットル,スチレン1.2リットル,ト
リイソブチルアルミニウム24ミリモル,実施例1で調
製したメチルアルミノキサン24ミリモルを投入し、7
0℃で30分攪拌した。更に1,2,3,4,5−ペン
タメチルシクロペンタジエニルトリメトキシドチタン1
20マイクロモル投入し、重合を開始した。50分後、
更に無水マレイン酸のトルエン溶液360ミリリットル
(260ミリモル相当)を添加し、引きつづき60分重
合した。重合終了後、オートクレーブよりポリマーを回
収し、塩酸−メタノール混合溶液で脱灰後、メタノール
洗浄してポリマーを精製し、乾燥後、570gの共重合
体を得た。この共重合体について分析した結果、IRに
よれば1780cm-1に無水マレイン酸単位に起因する
吸収があり、また 1H−NMRより求めた無水マレイン
酸含有量は、1.5モル%であった。さらに13C−NMR
解析の結果、145.2ppmにC1 炭素の吸収が認めら
れ、また熱分析の結果、269.5℃に融点を示した。こ
のことから、上記共重合体は、シンジオタクチックポリ
スチレンブロック共重合体であることが明らかになっ
た。また、この共重合体のシンジオタクティシティーは
ラセミペンタッドで97%であった。この共重合体の
〔η〕は2.3dl/gであった。
【0054】 組成物の製造 内容量100ミリリットルの東洋精機(株)製ラボブラ
ストミルに表4に示した割合で上記共重合体(無水マレ
イン酸−スチレンブロック共重合体)と各種樹脂を、2
80℃,50回転で8分間溶融混練した。得られた混練
組成物の破断面を電子顕微鏡により拡大した写真を比較
例A,B,Cとともに示した(図中、11〜16参
照)。なお、比較例A,B,Cは、無水マレイン酸を添
加しなかった以外は実施例12と同様に製造したシン
ジオタクチックポリスチレン(SPS)を、上記実施例
12および表4に示した混練条件で製造した組成物を
用いた。これらの拡大写真によれば、いずれの場合も上
記無水マレイン酸−スチレンブロック共重合体は、SP
Sと比べて混合状態が良好になっている。また、表5に
組成物の結晶化度及び分散粒子径を示した。
【0055】比較例1 共重合体の製造 無水マレイン酸に代えて、N−フェニルマレイミドを添
加したこと以外は、実施例12と同様にして共重合体
を製造した。得られた共重合体の収量は520gであっ
た。また、ラジカル重合により合成したポリ(N−フェ
ニルマレイミド)とシンジオタクチックポリスチレンの
混合比を変えて作成した検量線(IRにおける1704
cm-1と1605cm-1の吸光度比)から求めたN−フ
ェニルマレイミド含量は1.9モル%であった。さらに、
13C−NMR解析の結果、145.2ppmにC1 炭素の
鋭い吸収が認められた。このことから、上記共重合体
は、スチレン連鎖がシンジオタクチック構造であること
が明らかになった。
【0056】 組成物の製造 比較例で得られた共重合体42gとナイロン6,6
(2020B,宇部興産(株)製)42gを実施例12
と同様にして溶融混練した。得られた組成物は、表面
肌あれが激しく、大変脆いものであった。得られた混練
組成物の破断面を電子顕微鏡により拡大した写真を図
に示した。これらの拡大写真によれば、いずれの場合も
上記無水マレイン酸−スチレンブロック共重合体は、S
PSと比べて混合状態が良好になっている。また、表5
に組成物の結晶化度及び分散粒子径を示した。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】なお、上記で行った融点,極限粘度,I
R,NMR,GPC測定は、以下の条件で行った。 融点(℃):300℃で5分間保持した後、30℃まで
7℃/分で冷却(ファーストクーリング)し、30℃で
5分間保持してから、300℃まで20℃/分で昇温
(セカンドヒーティング)した。このセカンドヒーティ
ング時に融点を求めた(セイコー電子製 DSC−20
0型示差走査熱量計)。 極限粘度(η):135℃の1,2,4−トリクロルベ
ンゼン中で測定した(離合社製自動粘度測定装置)。 赤外線吸収スペクトル(IR):KBr法により測定し
た。 1 H−NMR:1,2,4−トリクロロベンゼン/重水
素化クロロホルム溶媒系(体積比50/50)で測定し
た。13 C−NMR:1,2,4−トリクロルベンゼン/重水
素化クロロホルム溶媒系(体積比50/50)で測定し
た。 GPC測定:室温にて、溶媒にクロロホルムを用い測定
した(測定装置:ウォーターズ ALS/GPC)。
【0060】
【発明の効果】以上の如く、本発明のスチレン系共重合
体は、高度のシンジオタクチック構造を有するととも
に、結晶性を損なうことなく、他の樹脂との相溶性を有
するものである。したがって、本発明のスチレン系共重
合体は、成形物の加工性が良く、成形材料として利用で
きることは勿論、他の成形材料にブレンドして該材料の
物性の向上に有効に利用できる。それゆえ、本発明のス
チレン系共重合体は、耐熱性,機械的強度のすぐれた複
合材料の素材として、有効な利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホールポリマー,サンプルA及びサンプルBの
13C−NMRスペクトルを示す。
【図2】ホールポリマー,サンプルA及びサンプルBの
IRスペクトルを示す。
【図3】ホールポリマー,サンプルA及びサンプルBの
GPCによる分子量分布チャートを示す。
【図4】実施例12A,Bで得られた組成物の破断面の
電子顕微鏡写真を示す。
【図5】実施例12C及び比較例Aで得られた組成物の
破断面の電子顕微鏡写真を示す。
【図6】比較例B,Cで得られた組成物の破断面の電子
顕微鏡写真を示す。
【図7】比較例1で得られた組成物の破断面の電子顕微
鏡写真を示す。
【符号の説明】
1 ホールポリマーの13C−NMRスペクトル 2 サンプルAの13C−NMRスペクトル 3 サンプルBの13C−NMRスペクトル 4 シンジオタクチックポリパラメチルスチレンのIR
スペクトル 5 ホールポリマーのIRスペクトル 6 サンプルAのIRスペクトル 7 サンプルBのIRスペクトル 8 サンプルBのGPCによる分子量分布チャート 9 ホールポリマーのGPCによる分子量分布チャート 10 サンプルAのGPCによる分子量分布チャート 11 実施例12Aの組成物 12 実施例12Bの組成物 13 実施例12Cの組成物 14 比較例Aの組成物 15 比較例Bの組成物 16 比較例Cの組成物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08F 4/642 C08F 4/642 (56)参考文献 特開 平3−70746(JP,A) 特開 平2−258805(JP,A) 特開 平2−258810(JP,A) 特開 平2−258812(JP,A) 特開 昭57−25355(JP,A) 特開 昭59−33347(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 212/00 - 212/36 C08F 222/00 - 222/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子,あるいは炭素
    原子及びケイ素原子のいずれか1種以上含む置換基を示
    し、mは1〜5の整数を示す。但し、mが複数のとき
    は、各R1 は同一でも異なってもよい。〕で表される少
    なくとも1種の構造単位(I)及び一般式(II) 【化2】 〔式中、R2 〜R5 は、少なくとも2つが−(CH2 )
    n −COOR(Rは水素原子,周期律表第I族,第II
    族,第III 族,第IVA族もしくは第VIII族の金属,炭素
    数1〜20のアルキル基(無置換又はハロゲン原子,ア
    ルキルチオ基,アシルチオ基,アリールチオ基,ハロゲ
    ノアルコキシ基から選ばれた置換基で置換されていても
    よい。),炭素数2〜5のアルケニル基,炭素数2〜5
    のアルキニル基,炭素数7〜20のアリールアルキル基
    又は炭素数6〜20のアリール基(無置換又はハロゲン
    原子,水酸基,炭素数1〜20のアルキル基から選ばれ
    た置換基で置換されていてもよい。)であり、nは0〜
    10の整数を示す。)で表される置換基、又はR2 〜R
    5 の2つで式(III) 【化3】 を形成したものであり、他は水素原子,ハロゲン原子,
    炭素数1〜4のアルキル基(無置換又はカルボキシル基
    で置換されていてもよい。),炭素数1〜4のアルキル
    チオ基,炭素数1〜4のアルコキシ基,炭素数6〜10
    のアリール基,又は炭素数6〜10のアリールオキシ
    示す。〕で表される構造単位(II)を有し、かつ前記
    構造単位(II)が0.01〜99.9モル%含有するととも
    に、135℃の1,2,4−トリクロロベンゼン中で測
    定した極限粘度が、0.01〜20dl/gであって、前記
    構造単位(I)の連鎖の立体規則性が高度のシンジオタ
    クチック構造であることを特徴とするスチレン系共重合
    体の製造方法であって、一般式(IV) 【化4】 〔式中、R1 ,mは前記と同様である。〕で表されるス
    チレン系モノマーを遷移金属化合物とアルミノキサンか
    らなる触媒の存在下で重合させて実質的に重合体を生成
    した後、一般式(V) 【化5】 〔式中、R2 〜R5 は前記と同様である。〕で表される
    モノマーを添加して共重合反応を行うことを特徴とする
    スチレン系共重合体の製造方法。
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