JP2833724B2 - ソフトフェライト磁性材料の製造方法 - Google Patents

ソフトフェライト磁性材料の製造方法

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JP2833724B2
JP2833724B2 JP3159055A JP15905591A JP2833724B2 JP 2833724 B2 JP2833724 B2 JP 2833724B2 JP 3159055 A JP3159055 A JP 3159055A JP 15905591 A JP15905591 A JP 15905591A JP 2833724 B2 JP2833724 B2 JP 2833724B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はソフトフェライト磁性材
料の製造方法に係わり、更に詳しくは気孔が少なく高密
度の、例えば磁気ヘッド材料に適したMnZnフェライト焼
結体等の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オフィスコンピュータおよびパーソナル
コンピュータの普及は、急速に進むOA化に不可欠なも
のであり、これらのコンピュータの高機能化のキーユニ
ットであるハードディスク装置(HDD)およびフロッ
ピーディスク装置(FDD)は、小型化、大容量化、高
記録密度化、高速化の技術的要請が年々高まっている。
これらの装置に使用される磁気ヘッド用材料として高周
波特性に優れ、かつ硬度が高く、磁気記録媒体との摺動
に対して耐摩耗性の良好なソフトフェライトが広く用い
られている。
【0003】この材料は、材質的に上記の条件を満たす
だけでなく、磁気ヘッドの精密加工に耐え得る機械加工
性も必要とされており、通常結晶粒径が約20μmの気孔
の少ない高密度のMnZnフェライトが使用されている。こ
のような性質を具備するMnZnフェライトの製造にあたっ
ては、例えば特開平1−234357号公報、特開平1−2595
08号公報、特開平2−121106号公報および特開平2−16
0626号公報の実施例で示される如く、従来は殆どの場
合、熱間静水圧プレス(HIP)技術を利用した方法に
依っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】製造者によって製造条
件に多少の相違はあるが、高密度MnZnフェライトの従来
の製造方法を特開平1−259508号公報の実施例1を取り
あげて以下に説明する。Fe2O3、 MnOおよび ZnOが最終
的に所定の比率になるように原料を秤量・混合した後、
850℃大気中で2時間仮焼を行う。続いてこの粉末を微
粉砕しバインダを加えて必要な形状に成形し、これを12
50℃で3時間の一次焼成を施し焼結体を得る。更にこの
焼結体をArガス中で1200℃、1000kgf/cm2 、4時間のH
IP処理を行い、引続いて 800℃、1時間の後熱処理を
加え目的とする高密度焼結体を得る。
【0005】以上のように従来の方法では非常に複雑な
多数の工程で長時間かけて処理する必要があった。また
本来MnZnフェライトはその焼成にあたって、焼成温度に
応じて雰囲気中の酸素分圧を微妙に制御することが優れ
た磁気特性を得るためには重要であるが、従来工程の特
にHIP工程では雰囲気を制御することが難しく、長時
間の処理中にその被焼結体の表面近傍の層は内部と異な
る相組成となり磁気的に劣る結果となり、その除去が必
要になる場合が多い。
【0006】更にこのようにして得られたフェライト多
結晶焼結体は結晶粒径が15〜30μmであり、記録媒体の
高記録密度化等に対応した超精密加工に対応し得る機械
加工性に関しては必ずしも十分とは言えなかった。本発
明は上述した高密度フェライト製造上の課題の解決を目
的とし、従来法のものより、結晶粒度が細かく、かつ密
度も高く、その製造方法もより簡単なソフトフェライト
磁性材料の製造方法を提案するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ソフトフェラ
イトのスピネル相を主要構成部分とする粉末集合体を直
接放電させ、これに引続いて加圧と通電を同時に行い、
短時間で高密度のフェライト焼結体を得るものである。
本発明は、MnZnフェライト、NiZnフェライト、MnMgZnフ
ェライト等のソフトフェライトの製造に有利に用いるこ
とができる。
【0008】また、ソフトフェライトのスピネル相を主
要構成部分とする粉末集合体として、鉄ならびにその他
フェライト構成元素の酸化物および/または炭酸塩等を
混合後、粉末状態でスピネル化処理を行い、必要に応じ
て粉砕を施した粉末を用いることができる。
【0009】
【作 用】本発明による方法によって処理する粉末集合
体の例にMnZnフェライトのスピネル相をとって説明す
る。まず粉末の調整にあたっては、 Fe2O3、 MnOおよび
ZnOが所定の比率になるように原料酸化物および/また
は炭酸塩等の化合物を秤量混合した後、温度と雰囲気中
の酸素分圧条件をMnZnフェライトのスピネル相が安定
で、かつスピネル中に含まれるFe2+量が適量となる条件
範囲に設定して熱処理することによってスピネル単相の
粉末を簡単かつ容易に得ることができる。
【0010】最終的なフェライトの高密度化熱処理にあ
たって、MnZnフェライトのスピネル相粉末を直接利用す
ることは本発明の際立った特徴の一つである。本発明の
方法では従来の高密度フェライトの製造工程で、プレス
成形時高密度の成形体を得るための粉体粒度の調整や焼
成時のバインダ除去のために好ましい相構成の調整に必
要とされていた空気中での仮焼工程は不要となる。
【0011】従来法では仮焼後の粉末は30〜60%のスピ
ネル相、40〜60%の Fe2O3相、0〜10%の Mn2O3相から
構成され、かつスピネル相も最終的な焼成によって得ら
れるスピネル相とは異なる中間的なスピネル相となって
おり、これを成形し一次焼成によって最終スピネル相と
する。これに対し本発明の方法では高密度化処理を放電
に引続き通電と比較的低い圧力を同時に付加することに
より、短時間で処理できるために、従来工程で考慮しな
ければならなかった高い成形密度を得るための粉体粒度
調整、成形時のバインダ添加は不要であり、被処理材は
MnZnフェライトのスピネル単相でよい。スピネル相以外
の相を含んだ状態でもよいが、最終的に優れた磁気特性
を得るためにはスピネル層は90%以上であることが望ま
しい。
【0012】高密度化処理を施すMnZnフェライトのスピ
ネル相粉末の平均粒子径は特に限定はしないが、本発明
による処理では焼結体の結晶粒径を細粒化できる特徴が
あり、この特徴を有効に生かすためには3μm以下であ
ることが望ましく、必要により粉砕工程を施し粒度調整
を行う。このようにして得たMnZnフェライトのスピネル
相粉末を電極パンチとダイで構成される目的とする形状
のキャビティに充填する。続いてキャビティ内に充填さ
れた集合体に対し雰囲気を望ましくは10Torr以下とした
後、電極パンチ間に直流電圧またはこれに重畳した低周
波電圧を印加して放電プラズマを発生させる。この放電
による電子やイオンの衝撃のスパッタ効果により、粉末
粒子の表面は清浄化され、表面エネルギが増加し焼結の
駆動力が高められる。またプラズマの発生はこれに加え
て昇熱速度を著しく高める効果があり、このことによっ
て焼結初期において支配的な緻密化を伴わずに粒成長を
著しく促進させる表面拡散による物質移動を抑制するこ
とが可能となり、かつ後続の高温域まで焼結粉末粒子の
表面曲率を大きく維持でき焼結駆動力を大きくできるこ
と、粒界と粒子中心との距離が短いため拡散距離が短く
て済むこと、および粒界移動による気孔の集合化が起こ
らないこと等によって、非常に短い時間での結晶粒を微
細に維持したままでの高密度化が実現されることにな
る。
【0013】このプラズマ放電を望ましくは約100sec以
内発生させた後、望ましくは 0.2〜0.5kgf/cm2の圧力と
共に、望ましくは3cm2 当たり1000〜3500Aの通電を行
い、プラズマ放電により著しく活性化された粒子にジュ
ール熱を発生させ緻密化を促進させる。ジュール熱は加
圧によって接触した粒子接触点を中心に拡がり、粒子の
塑性変形を促進することも緻密化に大きな寄与を与え
る。加圧は放電に先立って行ってもよい。
【0014】以上に述べた本発明の方法により、従来の
一次焼結の上で更に数時間に及ぶHIP処理を行ってい
た高密度フェライトの製造方法と比較して、本発明では
約20分以下と著しく短い時間での処理が可能となった。
このことにより非酸化性雰囲気中での長時間のHIP処
理中の焼結体表面層の変質を最少限に抑制できるという
利点も得られた。
【0015】
【実施例】実施例1 最終組成として Fe2O3: 52.75モル%、 MnO: 26.50モ
ル%および ZnO: 20.75モル%となる基本組成の原料に
CaCO3 450重量ppm およびV2O5 100重量ppm を加え混合
した後、 0.5体積%の酸素を含む窒素雰囲気中で1150
℃、2時間の熱処理を行い、窒素中で空冷した。得られ
た粉末はX線回折測定の結果、MnZnフェライトのスピネ
ル相単相が得られていることがわかった。得られた粉末
をボールミルを用いて平均粒径 1.5μmまで粉砕、乾燥
後約15gを直径20mmの円筒状のキャビティ内に充填し
た。このキャビティは電極の役目を兼備する一対のパン
チとダイから構成されているが、該キャビティ内の圧力
を 0.5Torrに減圧した後、直流重畳のパルス電圧を45秒
間印加、プラズマ放電を生起させた。その後2000Aの電
流を 1.5分通電し、続いて 250℃まで冷却してから脱型
し、アルキメデス法による密度の測定と断面の顕微鏡組
織の観察を行い、線分切断法による平均結晶粒径を求め
た。
【0016】焼結体の密度は5.08g/cm3 とX線回折法
から得た理論密度5.11g/cm3 の99.4%に達していた。
また結晶粒径は約3μmと非常に微細であった。比較例
として前に引用した特開平1−259508号公報の実施例1
に準拠して、上述の本発明例と同一組成の原料を秤量混
合後空気中で 950℃で2時間仮焼し、平均粒径 1.1μm
まで粉砕、バインダを加え、粉末約15gを20mm直径の円
盤状に成形した。これに 0.5体積%の酸素を含む窒素中
で1250℃の3時間の一次焼結を行った後、Arガス中で12
00℃、 1000kgf/cm2、4時間のHIP処理、800℃、1
時間の後熱処理を行い、上記発明例と同一の材質測定を
行った。焼結体の密度は5.05g/cm3 、平均結晶粒径は
18μmであった。
【0017】
【発明の効果】本発明は、ソフトフェライトの焼結体の
製造において、ソフトフェライト粉末集合体を直接放電
させ、これに続いて加圧と通電を行うことにより、従来
のHIP処理を用いる高密度フェライト製造法に比較し
て、著しく短時間で従来法と同等以上の特性を有する高
密度フェライトが製造できる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソフトフェライト焼結体の製造におい
    て、スピネル化したフェライト粉末集合体を直接放電さ
    せ、これに引続いて加圧と通電を同時に行うことを特徴
    とするソフトフェライト磁性材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 ソフトフェライトがMnZnフェライトであ
    ることを特徴とする請求項1記載のソフトフェライト磁
    性材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 スピネル化したフェライト粉末集合体と
    して、鉄ならびにその他フェライト構成元素の酸化物お
    よび/または炭酸塩を混合後、粉末状態でスピネル化熱
    処理を行い、必要に応じて粉砕を施した粉末を用いるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のソフトフェライ
    ト磁性材料の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101310358B1 (ko) * 2011-07-14 2013-09-23 김선기 소성 페라이트 파우더, 이를 적용한 전자파 흡수체 시트 어셈블리 및 그 제조방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101310358B1 (ko) * 2011-07-14 2013-09-23 김선기 소성 페라이트 파우더, 이를 적용한 전자파 흡수체 시트 어셈블리 및 그 제조방법

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