JP2003272941A - フェライト焼結磁石の製造方法 - Google Patents

フェライト焼結磁石の製造方法

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JP2003272941A
JP2003272941A JP2002071133A JP2002071133A JP2003272941A JP 2003272941 A JP2003272941 A JP 2003272941A JP 2002071133 A JP2002071133 A JP 2002071133A JP 2002071133 A JP2002071133 A JP 2002071133A JP 2003272941 A JP2003272941 A JP 2003272941A
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sintered magnet
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oxygen atmosphere
excess oxygen
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Hiroshi Iwasaki
洋 岩崎
Takashi Takami
崇 高見
Shuichi Shiina
修一 椎名
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の過剰酸素雰囲気中焼成品と同等の磁気
特性を保持しつつ、生産性を向上した新しい高性能フェ
ライト焼結磁石の製造方法を提供する。 【解決手段】 フェライト焼結磁石用原料粉末を成形
し、焼成し、次いで750℃以上1000℃未満の温度で熱処
理することを特徴とするマグネトプランバイト型結晶構
造相を主相とするフェライト焼結磁石の製造方法を用い
る。また、フェライト焼結磁石用原料粉末を成形し、焼
成し、加工し、得られた加工部分を有する焼成体を750
℃以上1000℃未満の温度で熱処理することを特徴とする
マグネトプランバイト型結晶構造相を主相とするフェラ
イト焼結磁石の製造方法を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広範囲な磁石応用
製品分野、例えば自動車または電気機器用等の各種回転
機、電子写真や静電記録等において現像ロール用に使用
するマグネットロール、音響用スピーカ、ブザー、ある
いは吸着または磁界発生用磁石等に好適な高性能フェラ
イト焼結磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平11-195517号公報には、Sr、B
a、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素
を含むものをAとし、希土類元素(Yを含む)及びBi
から選択される少なくとも1種の元素をRとし、Co及
び/またはZnをMとしたとき、A、R、Fe及びMそ
れぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に
対し、A:1〜13原子%、R:0.05〜10原子%、Fe:
80〜95原子%、M:0.1〜7原子%である六方晶フェラ
イトを主相として有する六方晶フェライト焼結磁石を製
造するにあたり、原料を混合、仮焼、粉砕、成形、本焼
成する製造工程において、仮焼または本焼成の少なくと
も一方を、酸素分圧0.02MPa(0.2atm)超の過剰酸素雰
囲気中で行う六方晶フェライト焼結磁石の製造方法が開
示されている。この方法は高い残留磁束密度と高い保磁
力等を得られる極めて有効なものであるが、工業生産上
下記(1)、(2)の問題があり改善の余地を残していた。
(1)特開平11-195517号公報の実施例2の段落107には、
「成形後のコアA、Bを、大気中で室温から100℃まで
を6時間、100℃から360℃までを40時間で脱脂した。焼
成は管状炉を用い1200℃×1時間の条件で行った。」、
と記載されている。即ち、この方法では成形体を脱脂
し、次いで脱脂後の成形体をそのまま焼成している。こ
のため焼結不良品や割れ発生品などの不良品が良品とと
もに過剰酸素雰囲気中で焼成されて発生するので無駄に
なり、フェライト焼結磁石の生産性低下の一因になって
いる。このことはまた高価な過剰酸素中焼成処理による
製造コストの上昇を促進する。 (2)フェライト焼結磁石
は焼成体の一部または全面を加工し所定の寸法に仕上げ
たものが実用に供されているが、加工により保磁力が劣
化するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、前記従来の過剰酸素雰囲気中
焼成品と同等の磁気特性を保持しつつ、生産性を向上し
た新しい高性能フェライト焼結磁石の製造方法を提供す
ることである。また本発明の課題は、従来に比べて保磁
力等を高められる新しい高性能フェライト焼結磁石の製
造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明のマグネトプランバイト型結晶構造相を主相とするフ
ェライト焼結磁石の製造方法は、フェライト焼結磁石用
原料粉末を成形し、焼成し、次いで750℃以上1000℃未
満の温度で熱処理することを特徴とする。この方法によ
り保磁力を高められるとともに生産性を向上できる。特
に酸素分圧0.02MPa(0.2atm)超の過剰酸素雰囲気中に
おいて熱処理を行うと、従来の過剰酸素雰囲気中で焼成
し加工したフェライト焼結磁石と同等の高い保磁力が得
られる。
【0005】また本発明のマグネトプランバイト型結晶
構造相を主相とするフェライト焼結磁石の製造方法は、
フェライト焼結磁石用原料粉末を成形し、焼成し、加工
し、得られた加工部分を有する焼成体を750℃以上1000
℃未満の温度で熱処理することを特徴とする。この方法
により保磁力を高められるとともに生産性が向上する。
特に酸素分圧0.02MPa(0.2atm)超の過剰酸素雰囲気中
において熱処理を行うと、従来の過剰酸素雰囲気中で焼
成し加工したフェライト焼結磁石を超える高い保磁力が
得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明によるフェライト焼結磁石
はマグネトプランバイト型結晶構造相を主相とするもの
を包含するが、マグネトプランバイト型結晶構造相単相
のものが実用性に富む。具体的にはBaフェライト焼結
磁石、Srフェライト焼結磁石、(Ba、Sr)フェラ
イト焼結磁石、(Ba、Ca)フェライト焼結磁石、
(Sr、Ca)フェライト焼結磁石、または(Ba、S
r、Ca)フェライト焼結磁石が挙げられる。
【0007】また本発明によるフェライト焼結磁石が、 (A1−x)O・n[(Fe1−y
(原子比率) (AはSr、Ba及びCaから選択される少なくとも1
種であり、RはYを含む希土類元素の少なくとも1種で
あってLa、Pr、Nd及びCeから選択される少なく
とも1種を必ず含み、MはCoまたはCo及びZnであ
る。 )、0.01≦x≦0.4,0.005≦y≦0.04,及び5.0≦
n≦6.4で表される主要成分組成を有する場合に特に高
い磁気特性が得られる。前記フェライト焼結磁石の組成
限定理由を以下に説明する。n(モル比)は5.0〜6.4が
好ましく、5.6〜6.2がより好ましく、5.8〜6.0が特に好
ましい。nが6.4超ではマグネトプランバイト相以外の
異相(α-Fe等)の生成が顕著になり固有保磁
力HCJが大きく低下し、nが5.0未満では最大エネルギー
積(BH)max、残留磁束密度Brが大きく低下する。xの値
は0.01〜0.4が好ましく、0.1〜0.3がより好ましく、0.1
5〜0.25が特に好ましい。xが0.4超では(BH)max、HCJ
大きく低下し、xが0.01未満では添加効果が認められな
い。RにはLa、Pr、Ce及びNd以外の希土類元素
(Yを含む)を不可避的に含むことが許容される。R原
料としてLa、Pr、Ce及びNdから選択される少な
くとも2種の混合希土類酸化物または水酸化物を用いる
のが安価であり好ましい。飽和磁化を高めるために、R
に占めるLa、Pr、Ce及びNdから選択される少な
くとも1種の比率を、好ましくは50原子%以上、より好
ましくは70原子%以上、さらに好ましくは95原子%以上
とするのがよい。特に、不可避的に混入するR成分を除
いてRがLaからなる場合が最も好ましい。本発明によ
るフェライト焼結磁石を高保磁力型にしたい場合はMと
してCoを選択するのが好ましい。本発明によるフェラ
イト焼結磁石を高残留磁束密度型にしたい場合はMとし
てCo及びZnを選択するのがよく、Mに占めるCoの
比率を10〜90原子%にするのが好ましく、30〜80原子%
にするのがより好ましい。Mに占めるCoの比率が10原
子%未満ではHCJが大きく低下し、90原子%超ではZn
によるBrの向上効果が事実上得られない。電荷補償の目
的を実現するために、yとxの間には理想的にはy=x
/(2.0n)の関係が成り立つ必要があるが、yがx/(2.6
n)以上、x/(1.6n)以下であれば電荷補償による効果
を実質的に損なうことは無く、好ましい。例えばR=L
aでかつM=Coの場合の理想的な電荷補償はLa3+
とCo2+により相殺されるとして扱える。ところでy
の値がx/(2.0n)からずれた場合、本発明によるフェラ
イト焼結磁石のマグネトプランバイト相のFeサイトの
Fe3+がFe2+になり電荷補償が行われるものと判
断されるが、後述の実施例に示す通り、酸素過剰雰囲気
中で熱処理するとHCJ等を向上できるとともにFe2+
が低減されるのがわかった。HCJを高めるためにFe
2+の含有量を0.005〜0.10質量%(重量%)にするの
が好ましく、0.01〜0.07質量%にするのがより好まし
い。Fe2+の含有量を0.005質量%未満にするのは工
業生産上困難であり、Fe2+の含有量が0.10質量%を
超えて大きくなるに従い相対的にHCJが小さくなる傾向
にある。典型的な例では、yの好ましい範囲は0.005〜
0.04であり、0.01〜0.03とするのがより好ましい。前記
主要成分組成を有するフェライト焼結磁石は結晶粒界の
R濃度が結晶粒内のR濃度よりも高い傾向にある。特に
n=5.7〜6.2,x=0.15〜0.3及び1.0<x/(2ny)≦1.
3,より好ましくは1.05≦x/(2ny)≦1.25というR過剰
組成、及びCaO含有量を0.5〜1.5質量%にし、SiO
含有量を0.25〜0.55質量%にしたときに高い(BH)max
が得られ、かつ結晶粒界のR濃度が結晶粒内のR濃度よ
りも高い傾向が顕著になる。
【0008】本発明によるフェライト焼結磁石の製造
は、「原料粉の混合→仮焼によるフェライト化(固相反
応)→粗粉砕→微粉砕→磁場中成形→焼成→熱処理(過
剰酸素雰囲気中)→加工」 という製造工程によるのが
実用的である。また、「原料粉の混合→仮焼によるフェ
ライト化(固相反応)→粗粉砕→微粉砕→磁場中成形→
焼成→加工→熱処理(過剰酸素雰囲気中)」 という製
造工程が有用である。仮焼の加熱条件は1150〜1350℃×
1〜5時間とするのが好ましい。仮焼の加熱条件が1150
℃×1時間未満ではフェライト化が不十分になり、1350
℃×5時間超では仮焼物が硬くなり粉砕性が劣化する他
マグネトプランバイト相が不安定になる。公知の粉砕機
を任意に組合せて粗粉砕及び微粉砕を行う。乾式または
湿式のアトライター、ボールミル、あるいは振動ミル等
を用いるのが実用的である。本発明によるフェライト焼
結磁石のHCJ及びBrを高めるために微粉砕粉の平均粒径
を0.4〜0.9μm(空気透過法により測定。)とするのが
好ましく、0.6〜0.8μmにするのがより好ましい。この
平均粒径に制御することにより最終的に得られる異方性
フェライト焼結磁石のc軸方向の平均結晶粒径を2μm
以下、好ましくは1μm以下にでき、高いHCJ及びBrを
得ることができる。次に湿式磁場中成形または乾式磁場
中成形を行う。磁場中成形は室温で397.9〜1193.7kA/m
(5〜15kOe)の磁場を印加しつつ、34.3〜44.1MPa(0.35
〜0.45トン/cm2)程度の成形圧力で行うのが好ましい。こ
のようにして得られる成形体の密度は2.6〜3.2Mg/m3 (g
/cm3)程度である。次に成形体を1180〜1230℃×1〜5
時間の加熱条件で焼成する。加熱条件が1180℃×1時間
未満では焼成体の密度が十分に上がらずBr、(BH)maxが
低くなり、1230℃×5時間超では結晶粒が粗大化してH
CJの低下が顕著になる。熱処理は大気中でもよいが、特
に過剰酸素雰囲気中での熱処理が好ましい。過剰酸素雰
囲気中熱処理時の酸素分圧(PO2)は0.02MPa(0.2atm)超
にする必要があり、好ましくは0.03MPa(0.3atm)以上、
より好ましくは0.05〜0.1MPa(0.5〜1atm)に調整する
のがよい。大気中及び過剰酸素雰囲気中での熱処理の加
熱条件は同様であり、750℃以上1000℃未満×0.5〜5時
間加熱するのが好ましく、800〜980℃×1〜3時間にす
るのがより好ましい。酸素分圧が0.02MPa以下ではHCJ
向上及びFe2+の低減が十分ではなく、酸素分圧が0.
1MPa超ではHCJの向上効果が飽和する。熱処理の加熱条
件が750℃×0.5時間未満ではHCJが事実上向上せず、熱
処理温度が1000℃以上では焼成体の変形や焼成体同士が
接触状態で熱処理された場合に焼き付くなどの問題を生
じる。更に過剰酸素雰囲気中焼成炉の場合とほぼ同程度
に過剰酸素雰囲気炉用加熱源(抵抗発熱体等)の寿命が
短くなるという問題を招く。なお本発明における熱処理
は少なくとも焼成体を1000℃未満750℃以上の温度域に
0.5時間以上保持できればよく特に限定されない。例え
ば焼成体を990℃に保持後750℃までの冷却を0.5〜5時
間かけて行うとHCJを向上し、かつFe2+を低減する
効果を得ることができる。
【0009】本発明によるフェライト焼結磁石に適量の
SiO及びCaOを含有する場合に緻密な焼結体組織
になり、有用な磁気特性を得られる。SiOは焼結時
の結晶粒成長を抑制する添加物であり、含有量は質量%
で0.05〜0.55%が好ましく、0.25〜0.55%がより好まし
い。SiO含有量が0.05%未満では焼成時の不均一結
晶粒成長が顕著になってHCJが大きく低下し、0.55%を
超えると結晶粒成長が過度に抑制され、結晶粒成長とと
もに進行する配向度の改善が不十分となりBr、(BH)max
が大きく低下する。一方CaOは結晶粒成長を促進する
添加物であり、Caは一部マグネトプランバイト相に固
溶するが、CaO含有量は質量%で0.35〜1.5%が好ま
しく、0.4〜1.2%がより好ましく、0.5〜1.0%が特に好
ましい。CaO含有量が1.5%を超えると焼結時に結晶
粒成長が過度に進行してHCJが大きく低下し、0.35%未
満では有用な添加効果が得られず、配向度の改善が不十
分となりBr、(BH)maxが劣化する。
【0010】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、それら実施例により本発明が限定されるものではな
い。
【0011】(実施例1) [焼成体を酸素濃度を変えた雰囲気中で熱処理し、加工
したSrLaCo系異方性フェライト焼結磁石]SrCO
末(不純物としてBa,Caを含む),α−Fe
粉末,La粉末及びCo粉末を用いて、仮
焼後にSr0.80La0.20Fe11.70Co
0.2018.85で表される主要成分組成になるよ
うに配合した。次いで前記配合物に対しSiO粉末及
びCaCO粉末をそれぞれ0.25質量%及び0.20質量%
配合し、混合した。次に1300℃で2時間、大気中で仮焼
し、室温まで冷却した。次に仮焼物を粗砕後、ローラー
ミルで乾式粗粉砕し粗粉を得た。次いでアトライターに
より湿式微粉砕し、平均粒径0.6μm(空気透過法によ
る。)の微粉砕粉を含むスラリーを得た。微粉砕初期に
焼結助剤としてSrCO粉末,SiO粉末,CaC
粉末及びLa粉末を微粉砕に投入した粗粉の
総重量に対しそれぞれ0.25質量%,0.40質量%,0.80質
量%及び0.60質量%添加した。得られた微粉砕スラリー
により795.8kA/m(10kOe)の磁場中で圧縮成形し、厚み方
向に異方性を付与した円筒状成形体を得た。次に成形体
を大気中で1200℃×2時間焼成し、室温まで冷却した。
得られた焼成体には焼結不良品及び割れ発生品等の不良
品が合計で約3%含まれていたのでそれら不良品を除外
して良品のみとした焼成体を大気雰囲気(PO=0.02
MPa)及び過剰酸素雰囲気(PO=0.05,0.1MPa)に
調整した熱処理炉(管状電気炉)に入炉し900℃×2時
間保持後、室温まで炉冷した。熱処理炉の雰囲気酸素濃
度はOとNとの流量比を変化させて制御した。次に
熱処理後の各焼成体の焼結肌が無くなるまで研磨し、外
径15mm×厚み10mmの試料(厚み方向が異方性付与方
向。)を得た。次に20℃でB-Hトレーサーにより各試料
の磁気特性を測定した結果を表1に示す。各試料はいず
れも下記組成式(La/Co=1.2のLa過剰組成)で示
される組成になっていた。 (Sr0.77La0.23)O・5.72[(Fe
0.983Co0.017] SiO含有量:0.41質量%,CaO含有量:0.56質量
%, 次に各試料の単位重量あたりのFe2+含有量をJISM82
13に準拠して分析し、表1の結果を得た。またこれら分
析の結果、各試料のFe2+以外の含有Feは全てFe
3+になっていることがわかった。
【0012】(実施例2、比較例1) (熱処理時の加熱条件)熱処理時の酸素分圧及び加熱条
件を表1のようにした以外は実施例1と同様にしてフェ
ライト焼結磁石を作製し、評価した。結果を表1に示
す。 (比較例2) (大気中で焼成し、加工したものの磁気特性)実施例1
と同じ大気中焼成体(良品)に熱処理を施さないまま、
以降は実施例1と同様にして研磨し、評価した。結果を
表1に示す。 (比較例3) (過剰酸素雰囲気中で焼成し、加工したものの磁気特
)実施例1と同じ成形体を酸素分圧が0.1MPaの過剰酸
素雰囲気の焼成炉(管状電気炉)に入炉し1200℃×2時
間焼成し、室温まで炉冷した。焼成炉の雰囲気酸素濃度
はOとNとの流量比を変化させて制御した。得られ
た焼成体には収縮不良品及び割れ発生品等の不良品が合
計で約3%含まれていたので焼成体の良品をサンプリン
グし、以降は実施例1と同様にして研磨し、評価した。
結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】表1の実施例1と比較例2との比較から、
大気中焼成体に熱処理を施した後加工するとHCJが向上
するのがわかる。特に過剰酸素雰囲気中での熱処理を施
すとH CJが顕著に向上するのがわかる。表1の実施例2
と比較例1、2との比較から、熱処理の加熱条件を750
℃×0.5時間〜980℃×5時間にすると固有保磁力HCJ
向上できるのがわかる。表1の実施例2のNo.16,17と比
較例3との比較から、本発明によれば過剰酸素雰囲気中
焼成品と同等のHCJを得られるのがわかる。
【0015】(実施例3) (熱処理の変形例)実施例1と同じ大気中焼成体(良
品)を過剰酸素雰囲気(PO=0.1MPa)の990℃に保
持した熱処理炉(管状電気炉)中に入炉し、次いで800
℃まで1℃/分の冷却速度で冷却し、800℃未満は炉冷し
た。得られた熱処理後の焼成体の焼結肌が無くなるまで
研磨し、外径15mm×厚み10mmの試料(厚み方向が異方性
付与方向。)を得た。以降は実施例1と同様にして評価
した結果を表2に示す。
【0016】(実施例4) (焼成+全面加工+熱処理)実施例1と同じ円筒状焼成
体(良品)の焼結肌が無くなるまで研磨し、外径15mm×
厚み10mmの全面研磨試料(厚み方向が異方性付与方
向。)を得た。この試料を過剰酸素雰囲気(PO=0.
1MPa)に調整した熱処理炉(管状電気炉)に入炉し950
℃×3時間保持後、室温まで炉冷した。得られた炉冷物
(試料)の磁気特性の測定及び分析を実施例1と同様に
行った結果を表2に示す。
【0017】(実施例5) (焼成+部分加工+熱処理+部分加工)実施例1と同じ
円筒状焼成体(良品)の外周面は焼結肌とし、上面及び
下面は研磨し、外径約15mm×厚み10mmの部分加工試料
(厚み方向が異方性付与方向。)を得た。この試料を過
剰酸素雰囲気(PO=0.1MPa)に調整した熱処理炉
(管状電気炉)に入炉し950℃×3時間保持後、室温ま
で炉冷した。得られた炉冷物(試料)の外周面を研磨
し、外径15mm×厚み10mmの試料を得た。磁気特性の測定
及び分析を実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】表2の実施例1、3と比較例2との比較か
ら、焼成体を990℃〜800℃まで1℃/分で冷却し以後は
炉冷し、次いで加工した実施例3の場合も実施例1とほ
ぼ同程度にHCJが向上するのがわかる。実施例4、5と
比較例3との比較から、大気中焼成→加工→過剰酸素雰
囲気中熱処理(→加工) した場合に比較例3を超える
高いHCJが得られ、特に全面加工品を熱処理した場合に
最も高いHCJを得られるのがわかる。
【0020】(実施例6) (焼成体を熱処理し、加工したSrLaCoZn系異方性フェラ
イト焼結磁石)SrCO粉末(不純物としてBa,C
aを含む),α−Fe粉末,La粉末、Z
nO粉末及びCo粉末を用いて、仮焼後にSr
0.80La0.20Fe11.70Co0.14Zn
0.0618.8 で表される主要成分組成になるよ
うに配合した。次いで前記配合物に対しSiO粉末及
びCaCO粉末をそれぞれ0.25質量%及び0.20質量%
配合し、混合した。次に1300℃で2時間、大気中で仮焼
し、室温まで冷却した。次に仮焼物を粗砕後、ローラー
ミルで乾式粗粉砕し粗粉を得た。次いでアトライターに
より湿式微粉砕し、平均粒径0.5μm(空気透過法によ
る。)の微粉砕粉を含むスラリーを得た。微粉砕初期に
焼結助剤としてSrCO粉末,SiO粉末,CaC
粉末及びLa粉末を微粉砕に投入した粗粉の
総重量に対しそれぞれ0.30質量%,0.40質量%,0.85質
量%及び0.60質量%添加した。得られた微粉砕スラリー
により795.8kA/m(10kOe)の磁場中で圧縮成形し、厚み方
向に異方性を付与した円筒状成形体を得た。次に成形体
を大気中で1210℃×2時間焼成し、室温まで冷却した。
得られた焼成体には焼結不良品及び割れ発生品が含まれ
ていたのでそれら不良品を除去して良品のみとした焼成
体を大気雰囲気(PO=0.02MPa)及び過剰酸素雰囲
気(PO=0.05,0.1MPa)に調整した熱処理炉(管状
電気炉)に入炉し950℃×2時間保持後、室温まで炉冷
した。次に熱処理後の各焼成体の焼結肌が無くなるまで
研磨し、外径15mm×厚み10mmの試料(厚み方向が異方性
付与方向。)を得た。次に20℃でB-Hトレーサーにより
各試料の磁気特性を測定した結果を表3に示す。各試料
はいずれも下記組成式(La/Co=1.2のLa過剰組
成)で示される組成になっていた。 (Sr0.77La0.23)O・5.73[(Fe
0.983Co0.012Zn0.005] SiO含有量:0.42質量%,CaO含有量:0.59質量
%, 次に各試料の単位重量あたりのFe2+含有量をJISM82
13に準拠して分析しし、表3の結果を得た。この分析に
より、各試料のFe2+以外の含有Feは全てFe3+
になっているのがわかった。
【0021】(実施例7) (焼成+全面加工+熱処理)実施例6と同じ円筒状焼成
体(良品)の焼結肌が無くなるまで研磨し、外径15mm×
厚み10mmの全面研磨試料(厚み方向が異方性付与方
向。)を得た。この試料を過剰酸素雰囲気(PO=0.
1MPa)に調整した熱処理炉(管状電気炉)に入炉し950
℃×2時間保持後、室温まで炉冷した。得られた炉冷物
(試料)の磁気特性の測定及び分析を実施例6と同様に
行った結果を表3に示す。
【0022】(実施例8) (焼成+部分加工+熱処理+部分加工)実施例6と同じ
円筒状焼成体(良品)の外周面は焼結肌とし、上面及び
下面は研磨し、外径約15mm×厚み10mmの部分加工試料
(厚み方向が異方性付与方向。)を得た。この試料を過
剰酸素雰囲気(PO=0.1MPa)に調整した熱処理炉
(管状電気炉)に入炉し950℃×2時間保持後、室温ま
で炉冷した。得られた炉冷物(試料)の外周面を研磨
し、外径15mm×厚み10mmの試料を得た。磁気特性の測定
及び分析を実施例6と同様に行った結果を表3に示す。
【0023】(比較例4)実施例6と同じ大気中焼成体
(良品)に熱処理を施さないまま、以降は実施例6と同
様にして研磨し、評価した。結果を表3に示す。 (比較例5)過剰酸素雰囲気中で焼成し、加工したものの磁気特性
実施例6と同じ成形体を酸素分圧が0.1MPaの過剰酸素雰
囲気の焼成炉(管状電気炉)に入炉し1210℃×2時間焼
成し、室温まで炉冷した。得られた焼成体には収縮不良
品及び割れ発生品等の不良品が含まれていた。焼成体の
良品をサンプリングし、以降は実施例6と同様にして研
磨し、評価した。結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】表3の実施例6と比較例4、5との比較か
ら大気中焼成品に熱処理を施し加工するとHCJが向上す
るのがわかる。特に過剰酸素雰囲気中で熱処理すると過
剰酸素雰囲気中焼成品と同等の高いHCJが得られる。表
3の実施例7、8と比較例5との比較から、大気中焼成
→加工→過剰酸素雰囲気中熱処理(→加工) すると比
較例5を超える高いHCJが得られることがわかる。特に
全面加工し、次いで熱処理した場合に最も高いHCJを得
られる。
【0026】上記実施例では最終的に焼成体の全面を加
工する場合を記載したが特に限定されない。例えば、焼
成体を部分的に加工し焼結肌を有する状態とするか、あ
るいは全くの焼成あがりの状態(全面無加工品)で熱処
理を施して得られたフェライト焼結磁石は上記実施例と
ほぼ同じ傾向でHCJの向上効果及びFe2+の低減効果
を示すことが確認された。
【0027】上記実施例に記載の各フェライト焼結磁石
をX線回折したところ、いずれもマグネトプランバイト
型結晶構造相のX線回折ピークのみが観察され、マグネ
トプランバイト型結晶構造を有するのが確認された。
【0028】
【発明の効果】以上記述の通り、本発明では、従来の過
剰酸素雰囲気中焼成品と同等の磁気特性を保持しつつ、
良品の焼成体のみを熱処理しているので、たとえ高価な
過剰酸素雰囲気中熱処理を実施した場合でも実質的に熱
処理歩留がほぼ100%になり(熱処理効率が非常に高く
なり)、もって製造コストの上昇を抑えることができ
る。したがって生産性を向上した新しい高性能フェライ
ト焼結磁石の製造方法を提供することができる。また従
来に比べて保磁力を高められる新しい高性能フェライト
焼結磁石の製造方法を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト焼結磁石用原料粉末を成形
    し、焼成し、次いで750℃以上1000℃未満の温度で熱処
    理することを特徴とするマグネトプランバイト型結晶構
    造相を主相とするフェライト焼結磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸素分圧0.02MPa(0.2atm)超の過剰酸
    素雰囲気中において熱処理を行う請求項1に記載のフェ
    ライト焼結磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 フェライト焼結磁石用原料粉末を成形
    し、焼成し、加工し、得られた加工部分を有する焼成体
    を750℃以上1000℃未満の温度で熱処理することを特徴
    とするマグネトプランバイト型結晶構造相を主相とする
    フェライト焼結磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 酸素分圧0.02MPa(0.2atm)超の過剰酸
    素雰囲気中において熱処理を行う請求項3に記載のフェ
    ライト焼結磁石の製造方法。
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