JP2833470B2 - マイクロマニピュレータシステム - Google Patents

マイクロマニピュレータシステム

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JP2833470B2
JP2833470B2 JP6080584A JP8058494A JP2833470B2 JP 2833470 B2 JP2833470 B2 JP 2833470B2 JP 6080584 A JP6080584 A JP 6080584A JP 8058494 A JP8058494 A JP 8058494A JP 2833470 B2 JP2833470 B2 JP 2833470B2
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光二 井上
光夫 山下
孝宏 金内
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロマニピュレー
タシステム、特に、微小器具を移動させて微小試料を処
理するためのマイクロマニピュレータシステムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】たとえば細胞にDNA溶液の注入処理を
施す場合、一方に微小針をまた他方に捕捉針を配置した
マイクロマニピュレータと、その操作内容を観察するた
めの顕微鏡とを備えたマイクロマニピュレータシステム
が用いられる。一般的なマイクロマニピュレータシステ
ムでは、顕微鏡視野内で微小針や捕捉針等の微小器具を
操作してその映像をCRTディスプレイ等に表示し、表
示内容を観察しながらシャーレ等の容器内に入れられた
細胞等の微小試料に所定の処理を施すようになってい
る。
【0003】この種のマイクロマニピュレータシステム
では、たとえば前後左右に傾動可能なX,Y軸用のジョ
イスティックと、Z軸用の回転ダイヤルとを用い、それ
らを両手で操作して空間内の3軸方向(X,Y,Z軸方
向)にマイクロマニピュレータを微小動作させる。Z軸
用の回転ダイヤルがジョイスティック頭部に設けられ、
片手で3軸方向の操作を行えるものも存在する。
【0004】マイクロマニピュレータ先端に保持される
微小針等の微小器具は、通常水平面(X−Y平面)に傾
斜角をもって配置される場合が多い。したがって、微小
器具を長さ方向に移動するためには、水平方向(X軸方
向、Y軸方向またはその合成方向)と鉛直方向(Z軸方
向)との合成方向に駆動する必要がある。上述したよう
なジョイスティックでは、微小器具の長さ方向に応じて
複数の軸方向に同時に操作を行うことが困難である。特
に、ジョイスティック頭部にZ軸用の回転ダイヤルを設
けている場合には、片手でスティックの傾動と回転ダイ
ヤルの回動を同時に行う必要があり、微小器具の移動制
御を正確に行うことは困難である。
【0005】このため、3次元マニピュレータの先端部
にさらに1次元のマニピュレータを微小器具の長さ方向
に応じて取り付けることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】微小器具を長さ方向に
移動させるためのマニピュレータを設ける場合には、部
品点数が多くなり、装置が大型化するとともにコストダ
ウンも困難となる。また、このマニピュレータを操作す
るための操作部を別個に設ける必要があり、操作が煩雑
となる。
【0007】また、前述したように微小器具は水平面
(X−Y平面)に対して傾斜角度をもって配置されてお
り、通常のマイクロマニピュレータを用いて微細振動を
行うためには、2軸以上の合成方向に駆動する必要があ
る。従来のマイクロマニピュレータにおいては、任意の
角度で微小器具を移動させる構成となっていないため、
このような微細振動を微小器具の長さ方向に行うことは
困難である。
【0008】さらに、微小針先端位置を顕微鏡等により
目測で確認しながらジョイスティックを用いて移動する
場合に、目標位置に正確に移動させることが困難であ
る。この場合にも、微小針を長さ方向に移動させる必要
があり、従来のマイクロマニピュレータにおいては、任
意の移動角度で任意の設定距離を正確に移動させること
はできない。
【0009】本願発明の目的は、マイクロマニピュレー
タを任意の角度で移動でき、操作性を良好なものとする
ことにある。本発明の他の目的は、任意の角度で微細振
動を可能とすることにある。本発明のさらに他の目的
は、任意の角度で設定距離を正確に移動可能とすること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るマイクロマ
ニピュレータシステムは、マイクロマニピュレータと、
操作手段と、角度設定手段と、演算手段と、制御手段
と、振幅・振動数設定手段と、バイブレーション制御手
段とを備えている。マイクロマニピュレータは、互いに
直交する3軸方向に独立して設けられ、微小器具を3次
元移動する。操作手段は微小器具の移動位置を指定する
ために各軸方向に操作可能となっている。角度設定手段
は微小器具の移動角度を設定するためのものである。演
算手段は、操作手段の特定方向の操作量及び角度設定手
段により設定された移動角度に基づいて、マイクロマニ
ピュレータの各軸方向の移動量の比を算出する。制御手
段は、演算手段による移動量の比に基づいて、マイクロ
マニピュレータに各軸方向の制御信号を与える。振幅・
振動数設定手段は、微小器具を微細振動するときの振幅
及び振動数を設定する。バイブレーション制御手段は、
角度設定手段により設定された移動角度に基づいて演算
手段が算出した移動量の比と、振幅・振動数設定手段で
設定された振幅及び振動数とに基づいてマイクロマニピ
ュレータに各軸方向の制御信号を与え、微小器具を微細
振動させる。
【0011】また、距離・速度設定手段とスラスト/プ
ルアウト制御手段とをさらに備える構成とすることがで
きる。この場合、距離・速度設定手段は、微小器具のス
ラスト/プルアウト動作時の移動距離及び移動速度を設
定するためのものである。また、スラスト/プルアウト
制御手段は、角度設定手段により設定された移動角度に
基づいて演算手段が算出した移動量の比と、距離・速度
設定手段で設定された移動距離及び移動速度とに基づい
てマイクロマニピュレータに各軸方向の制御信号を与
え、微小器具をスラスト/プルアウト動作させるもので
ある。
【0012】
【0013】
【作用】本発明に係るマイクロマニピュレータシステム
では、角度設定手段により微小器具の移動角度を設定す
る。演算手段は、操作手段の特定方向の操作量及び角度
設定手段により設定された移動角度に基づいてマイクロ
マニピュレータの各軸方向の移動量の比を算出する。制
御手段は、演算手段による移動量の比に基づいて、マイ
クロマニピュレータに各軸方向の制御信号を与え、マイ
クロマニピュレータを設定された移動角度で駆動する。
したがって任意の設定角度でマイクロマニピュレータを
駆動することが可能であり、操作手段の特定方向の操作
のみで任意の設定角度に微小器具で移動することが可能
となり、微小器具を長さ方向に移動させることができ
る。
【0014】ここで、バイブレーション制御手段は、角
度設定手段により設定された移動角度と、振幅・振動数
設定手段により設定された振幅及び振動数に基づいて、
マイクロマニピュレータを微細振動させる制御信号をマ
イクロマニピュレータに与える。このことにより、微小
器具を任意の角度で微細振動させることが可能となり、
微小器具の長さ方向への微細振動も可能となる。
【0015】また距離・速度設定手段とスラスト/プル
アウト制御手段とを設けた場合には、角度設定手段によ
り設定された移動角度と距離・速度設定手段で設定され
た移動距離及び移動速度とに基づいて各軸方向の制御信
号をマイクロマニピュレータに与える。このことより微
小器具を任意の角度、特に微小器具の長さ方向に、設定
した移動距離及び移動速度で正確に移動することが可能
となる。
【0016】
【実施例】図1は、本発明の一実施例によるマイクロマ
ニピュレータシステムを示している。図において、マイ
クロマニピュレータシステムは、顕微鏡3の側方に位置
してマイクロマニピュレータ4,5が配置されており、
それぞれ結合フレーム6,7を介して顕微鏡3に固定さ
れている。図においては1対のマイクロマニピュレータ
4,5を示しているが、マイクロマニピュレータ4,5
の後方(紙面鉛直下方)に位置してさらに1対のマイク
ロマニピュレータが配置されている。
【0017】マイクロマニピュレータ4,5は、操作ユ
ニット8,9に設けられるジョイスティック10,11
の操作にしたがって制御が行われる。操作ユニットはマ
イクロマニピュレータに対応して設けられ、4つのマイ
クロマニピュレータが配置される場合には4つの操作ユ
ニットが設けられるが、図においては2つの操作ユニッ
ト8,9を示す。
【0018】顕微鏡3は、その中央部に操作台12を有
しており、操作台12には細胞等の微小試料が収容され
るシャーレ13が配置されている。操作台12の下方に
は対物レンズ(図示せず)が配置されており、対物レン
ズの他端にはTVカメラ14が接続されている。操作台
12は、図示しない駆動機構によって水平方向(X,Y
軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に駆動され得る。あ
るいは対物レンズが上下動することで、Z方向の位置調
整が行われる。また顕微鏡3には接眼レンズ15が設け
られており、対物レンズによる画像を確認することが可
能となっている。
【0019】マイクロマニピュレータ4には、先端に器
具ホルダ16を有するアーム17が操作台12側に突設
されている。器具ホルダ16はインジェクションピペッ
トや吸着用ピペット等の微小器具18を保持するもので
ある。器具ホルダ16は図示しないインジェクタ等に接
続されている。またマイクロマニピュレータ4には、器
具ホルダ16に保持された微小器具18を移動するため
に、水平方向(X,Y軸方向)及び上下方向(Z軸方
向)の駆動機構が設けられている。この駆動機構は、X
軸方向に駆動するX軸ステッピングモータ19、Y軸方
向に駆動するY軸ステッピングモータ(図示せず)、Z
軸方向に駆動するZ軸ステッピングモータ20及びX,
Y,Z各軸方向に案内するためのガイドレール(図示せ
ず)から構成されている。マイクロマニピュレータ5に
は、同様にして先端に器具ホルダ21を有するアーム2
2が操作台12側に突設されている。器具ホルダ21は
微小器具18と同様のインジェクションピペットや吸着
用ピペット等の微小器具23を保持するものである。器
具ホルダ21は図示しないインジェクタ等に接続されて
いる。また、マイクロマニピュレータ5には、器具ホル
ダ21に保持された微小器具23を移動するために、水
平方向(X,Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)の駆
動機構が設けられている。この駆動機構は、X軸方向に
駆動するX軸ステッピングモータ24、Y軸方向に駆動
するY軸ステッピングモータ(図示せず)、Z軸方向に
駆動するZ軸ステッピングモータ25及びX,Y,Z各
軸方向に案内するためのガイドレール(図示せず)から
構成されている。
【0020】操作ユニット8,9のジョイスティック1
0,11は、鉛直軸方向(図1上下方向)に対して前後
左右に傾動可能となっており、マイクロマニピュレータ
4,5の水平方向(X,Y軸方向)の制御量を指示する
ことが出来る。またジョイスティック10,11の上部
には回転ダイヤルが設けられており、この回転ダイヤル
を操作することによってマイクロマニピュレータ4,5
の上下方向(Z軸方向)の制御量を与えることが可能と
なっている。操作ユニット8,9にはその他の制御を行
うキースイッチが設けられている。
【0021】操作ユニット8,9の操作信号はコントロ
ールユニット26に入力されている。コントロールユニ
ット26は操作ユニット8,9の操作信号に応じてマイ
クロマニピュレータ4,5を駆動するための制御信号を
出力する。また、コントロールユニット26は顕微鏡3
を制御して焦点調整や操作台12の移動駆動を行う。さ
らに、TVカメラ14の画像が入力されモニタ27に表
示を行う。
【0022】図2に示すように、コントロールユニット
26には、CPU,RAM,ROM等を含むマイクロコ
ンピュータから構成された制御部28が設けられてい
る。制御部28には、TVカメラ14、操作ユニット8
(9)、マイクロマニピュレータ4,5のそれぞれのモ
ータを3軸方向で駆動するための駆動部29,30、各
種の設定値等を記憶するためのメモリ31、ビデオRA
M32、及びビデオRAM32の出力とTVカメラ14
の撮像画像とをスーパーインポーズするための加算器3
3が接続されている。ビデオRAM32には、倍率に応
じたスケールを表示するための情報等が表示位置に対応
して格納される。加算器33にはスーパーインポーズし
た画像を表示するモニタ27が接続されている。
【0023】次に上述の実施例の動作を、図3〜図5の
制御フローチャートにしたがって説明する。制御部28
では、図3のステップS1で初期設定を行う。ここでは
たとえば、マイクロマニピュレータ4,5の駆動部2
9,30を初期位置にセットする。ステップS2では、
X+Zモードを設定するか否かを判断する。X+Zモー
ドは、マイクロマニピュレータ4(5)のX軸方向及び
Z軸方向の合成方向移動をジョイスティック10(1
1)のX軸方向への操作によって制御させるものであ
る。X+Zモードの設定は、操作ユニット8(9)に設
けられているX+Zモード設定スイッチ(図示せず)を
操作するかまたはモニタ27に表示されるX+Zモード
設定用のアイコンを画面上で指定することによって設定
することが可能である。ステップS3では、バイブレー
ションモードを設定するか否かを判断する。バイブレー
ションモードは、微小器具18(23)を設定された角
度、振幅及び振動数に基づいて微細振動させるものであ
る。バイブレーションモードの設定は、X+Zモードと
同様に操作ユニット8(9)に設けられているバイブレ
ーションモード設定キー(図示せず)を操作するかまた
はモニタ27に表示されるバイブレーションモード設定
用のアイコンを指定することにより設定可能である。
【0024】ステップS4ではスラスト/プルアウトモ
ードの設定を行うか否かを判断する。スラスト/プルア
ウトモードでは、設定された角度、移動速度及び移動距
離に基づいてマイクロマニピュレータ4(5)を駆動し
て微小器具18(23)を設定位置に移動するモードで
ある。このスラスト/プルアウトモード設定は、X+Z
モード設定と同様にして、操作ユニット8(9)に設け
られているスラスト/プルアウトモード設定キー(図示
せず)を操作するかまたはモニタ27に表示されている
スラスト/プルアウト設定用のアイコンを設定すること
によって設定が可能となっている。
【0025】ステップS5ではジョイスティック10
(11)が操作されたか否かを判断する。ステップS6
では他のキーが操作されたか否かを判断する。ステップ
S6での判断がNOの場合にはステップS7に移行す
る。ステップS7では他の処理を行いステップS2に戻
る。ステップS6において、他のキーが操作されたと判
断すると、ステップS12に移行してキー操作に応じた
処理を行う。X+Zモード ステップS2において、X+Zモード設定を行うと判断
した場合には、ステップS8に移行する。ステップS8
では図4に示すようなX+Zモード処理を行う。
【0026】このX+Zモード処理では、ステップS2
1において移動角度θの設定を行うか否かを判断する。
移動角度θの設定を行う場合には、ステップS22に移
行する。ステップS22では、操作ユニット8(9)に
設けられた設定キー(図示せず)の操作またはモニタ2
7の画面上における数値入力を待ってこれを移動角度θ
としてXメモリ31に格納する。ステップS21で、移
動角度θを設定しないと判断した場合には、自動的にデ
フォルト値を移動角度θとする。ステップS23では、
ジョイスティック10(11)のX軸方向の操作によ
り、X+Z方向の制御を行うか否かを判断する。ジョイ
スティック10(11)のX軸方向の操作により、X+
Z方向の制御を行う場合には、ステップS24に移行す
る。ステップS24では、ジョイスティック8(9)の
X軸方向の操作量xに応じてマイクロマニピュレータ4
(5)のX軸方向制御量X=x及びZ軸方向の制御量Z
=xtanθと設定する。この後、メインルーチンに復
帰する。ステップS5において、ジョイスティック8
(9)が操作されると、この操作量に基づいて、設定さ
れた移動角度θでマイクロマニピュレータ4(5)が駆
動される。たとえば、X軸方向の操作によりX+Z方向
制御を行う設定がなされている場合には、ジョイスティ
ック8(9)のX軸方向操作量xに基づいてX軸方向制
御量X=x,Z軸方向制御量Z=xtanθでマイクロ
マニピュレータ4(5)が制御される。バイブレーションモード ステップS3においてバイブレーションモードの設定を
行うと判断した場合にはステップS9に移行する。ステ
ップS9では図5に示すようなバイブレーション処理を
行う。このバイブレーション処理では、ステップS31
において、バイブレーション動作が実行中であるか否か
を判断する。バイブレーション動作が実行中である場合
には、ステップS32に移行する。ステップS32で
は、バイブレーション動作の停止を行うか否かを判断す
る。ここでは、操作者によるバイブレーション動作の停
止要求がなされた場合にはステップS33に移行して、
バイブレーション動作の停止を行う。
【0027】ステップS31においてバイブレーション
動作の実行中でないと判断した場合には、ステップS3
4に移行する。ステップS34では、振幅及び振動数の
設定を行うか否かを判断する。振幅及び振動数の設定を
行う場合にはステップS35に移行して、操作者が入力
する振幅及び振動数をメモリ31内に格納する。たとえ
ば、図7に示すように、シャーレ13内の細胞34を吸
着ピペット等の微小器具23で吸着し、微小器具18を
微細振動させて処理を行う場合、微小器具18を振動さ
せる振幅aと、必要であると推測される振動数が操作者
によって入力される。振幅及び振動数の設定を行わない
場合にはデフォルト値を用いて振幅及び振動数を自動的
に設定する。ステップS39では、バイブレーション動
作の実行を行うか否かを判断する。ここでは操作者によ
るバイブレーション動作の実行要求を待ってステップS
40に移行する。ステップS40では、メモリ31内に
格納されている振幅、振動数に応じてマイクロマニピュ
レータ4(5)の各軸方向の制御量を演算し、この制御
量に応じた駆動信号を各軸方向のステッピングモータに
与える。
【0028】ここで、ステップS2においてX+Zモー
ド設定がなされている場合には、ステップS22で設定
された移動角度θに基づいて、各軸方向の制御量を演算
する。したがって、図7の場合、マイクロマニピュレー
タ4(5)のX軸ステッピングモータ19(24)には
acosθに対応した駆動信号が、Z軸ステッピングモ
ータ20(25)にはasinθに対応した駆動信号が
与えられる。各駆動信号は、前進用と後退用の信号が交
互に発生され、それぞれ同期して各ステッピングモータ
に与えられる。このことにより、微小器具18は、移動
角度θ(長さ方向)で振幅aの微細振動を行う。ステッ
プS39においてバイブレーション動作の実行要求がな
されなかった場合にはメインルーチンに復帰する。スラスト/プルアウト ステップS4においてスラスト/プルアウトモードの設
定を行うと判断した場合にはステップS10に移行す
る。ステップS10では、図6に示すようなスラスト/
プルアウト処理を行う。
【0029】このスラスト/プルアウト処理は、ステッ
プS51において移動距離及び移動速度の設定を行うか
否かを判断する。移動距離及び移動速度の設定を行う場
合にはステップS52に移行する。ステップS52で
は、操作ユニット8(9)に設けられた設定キー(図示
せず)の操作またはモニタ27の画面上で操作者が入力
する移動距離及び移動速度を設定値としてメモリ31に
格納する。たとえば、図8に示すように、吸着用の微小
器具23に吸着された細胞34の細胞核35の中心位置
まで微小器具18の先端を移動させる場合を考える。こ
のときの微小器具18の移動距離はaである。したがっ
て、操作者は、移動距離aを入力し、必要であれば移動
速度の入力を行う。移動距離及び移動速度の設定を行わ
ない場合には自動的にデフォルト値を移動距離及び移動
速度とする。ステップS56では、スラスト/プルアウ
ト動作の実行を行うか否かを判断する。操作者によって
スラスト/プルアウト動作の実行要求がなされた場合に
は、ステップS57に移行する。ステップS57では、
メモリ31内に格納されている移動距離及び移動速度に
基づいてマイクロマニピュレータ4(5)の各軸方向の
移動量を算出し、これに基づいた制御信号を各ステッピ
ングモータに与える。ステップS2においてX+Zモー
ドの設定がなされている場合には、設定された移動角度
θに基づいて各軸方向の移動量が算出される。したがっ
て、図8の場合、マイクロマニピュレータ4(5)のX
軸ステッピングモータ19(24)にはacosθに対
応した駆動信号が、Z軸ステッピングモータ20(2
5)にはasinθに対応した駆動信号が、それぞれ同
期して与えられる。スラスト/プルアウト動作の実行中
止要求があった場合にはメインルーチンに復帰する。
【0030】メインルーチン中のステップS6は、X+
Zモード,バイブレーションモード及びスラスト/プル
アウトモードの設定解除の動作を含む。設定解除の指令
がなされるとモード中に設定された各パラメータをデフ
ォルト値としてメモリ31内に格納し、モードの解除を
行う。
【0031】
【発明の効果】本発明に係るマイクロマニピュレータシ
ステムでは、操作手段の特定方向の操作量及び角度設定
手段により設定された移動角度に基づいてマイクロマニ
ピュレータの各軸方向の移動量の比を算出し、この移動
量の比に基づいて、マイクロマニピュレータに各軸方向
の制御信号を与えているため、マイクロマニピュレータ
を設定された移動角度で駆動することができる。したが
って任意の設定角度でマイクロマニピュレータを駆動す
ることが可能であり、操作手段の特定方向の操作のみで
任意の設定角度に微小器具を移動することが可能とな
る。このことから微小器具をその長さ方向に操作性良く
制御することが可能となる。
【0032】振幅・振動数設定手段と、バイブレーショ
ン制御手段とを設けた場合には、角度設定手段により設
定された移動角度と振幅・振動数設定手段により設定さ
れた振幅及び振動数に基づいて、微小器具を微細振動さ
せる制御信号をマイクロマニピュレータに与えるため、
微小器具を任意の角度で微細振動させることが可能とな
る。したがって、微小器具をその長さ方向に微細振動さ
せることが可能となる。
【0033】また距離・速度設定手段とスラスト/プル
アウト制御手段とを設けた場合には、角度設定手段によ
り設定された移動角度と距離・速度設定手段で設定され
た移動距離及び移動速度とに基づいて各軸方向の制御信
号を与えてマイクロマニピュレータを駆動するため、微
小器具を任意の角度で設定した移動距離及び移動速度で
正確に移動することが可能となる。したがって、微小器
具をその長さ方向に正確に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるマイクロマニピュレー
タシステムの正面図。
【図2】コントロールユニットのブロック図。
【図3】制御部の制御フローチャート。
【図4】制御部の制御フローチャート。
【図5】制御部の制御フローチャート。
【図6】制御部の制御フローチャート。
【図7】バイブレーションモードの説明図。
【図8】スラスト/プルアウトモードの説明図。
【符号の説明】
3 顕微鏡 4,5 マイクロマニピュレータ 8,9 操作ユニット 10,11 ジョイスティック 12 操作台 14 TVカメラ 16,21 器具ホルダ 26 コントロールユニット 27 モニタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金内 孝宏 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式 会社島津製作所三条工場内 (56)参考文献 特開 平6−8171(JP,A) 特開 平2−31160(JP,A) 特開 昭64−3560(JP,A) 特開 平6−90770(JP,A) 特開 昭63−153513(JP,A) 特開 平7−159698(JP,A) 特開 平6−75171(JP,A) 特開 平7−159698(JP,A) 実公 平3−45600(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 21/00 - 21/36 B25J 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに直交する3軸方向に独立して設けら
    れ、微小器具を3次元移動するマイクロマニピュレータ
    と、 前記微小器具の移動位置を指定するために前記各軸方向
    に操作可能である操作手段と、 前記微小器具の移動角度を設定するための角度設定手段
    と、 前記操作手段の特定方向の操作量及び前記角度設定手段
    により設定された移動角度に基づいて、前記マイクロマ
    ニピュレータの各軸方向の移動量の比を算出する演算手
    段と、 前記演算手段による移動量の比に基づいて、前記マイク
    ロマニピュレータに各軸方向の制御信号を与える制御手
    段と、 前記微小器具を微細振動するときの振幅及び振動数を設
    定する振幅・振動数設定手段と、 前記角度設定手段により設定された移動角度に基づいて
    前記演算手段が算出した移動量の比と、前記振幅・振動
    数設定手段で設定された振幅及び振動数とに基づいて前
    記マイクロマニピュレータに各軸方向の制御信号を与
    え、前記微小器具を微細振動させるバイブレーション制
    御手段と、 を備えるマイクロマニピュレータシステム。
  2. 【請求項2】前記微小器具のスラスト/プルアウト動作
    時の移動距離及び移動速度を設定するための距離・速度
    設定手段と、 前記角度設定手段により設定された移動角度に基づいて
    前記演算手段が算出した移動量の比と、前記距離・速度
    設定手段で設定された移動距離及び移動速度とに基づい
    て前記マイクロマニピュレータに各軸方向の制御信号を
    与え、前記微小器具をスラスト/プルアウト動作させる
    スラスト/プルアウト制御手段と、 をさらに備える、請求項1に記載のマイクロマニピュレ
    ータシステム。
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