JP2833108B2 - 脱臭装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は硫化水素、アンモニア、各種メルカプタン、
アミン類等の悪臭成分を浄化する脱臭装置に関するもの
である。

従来の技術 近年クリーン思考を反映して住設機器に脱臭装置が導
入されつつあり、その中で悪臭発生源であるトイレに脱
臭装置を搭載した便器が提案されている。

この種の脱臭機能付き便器は、たとえば特開昭63−14
672号公報によって開示されたものがある。その構成を
第３図に基づいて説明する。同図において１は脱臭装置
であり、便器２の内部後方あるいは側方に開口する吸入
口３と、トイレ内に臨む排出口４を有するダクト５の内
部にファンモータからなる送風機６及び悪臭成分を貯留
するための活性炭からなる吸着部材７が設けられてい
る。

上記構成において送風機６を駆動すると吸入口３から
排出口４にいたる空気流が発生し、排便時の悪臭成分を
含んだ空気は吸入口２から吸入され吸着部材７を通過す
る時に悪臭成分が吸着浄化され排出口４からトイレ内に
排出される。

発明が解決しようとする課題 このような従来の脱臭装置では吸着部材として活性炭
を用いているため悪臭成分の吸着量は有限である。した
がって飽和吸着量に達すると脱臭効果はなくなるため交
換が必要である。またトイレ内の温度が上昇すると臭気
成分によっては逆に脱着する場合があり、かえって悪臭
が増加し、不快感が増加する。また脱臭効果を長期に渡
って継続するためには飽和吸着量を増加させる、つまり
吸着部材の容積を大きくするしかなく装置全体の大型化
につながる。

本発明は上記課題を解決するものであり、吸着部材の
交換を必要とせず、かつ小型の脱臭装置を提供すること
を目的としている。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するために本発明は、吸入口と排出口
と送風機を有するダクト内に配設され、悪臭成分を吸着
保持する吸着部材と、前記吸着部材に吸着された悪臭成
分を強制脱着させる脱着部材と、前記吸着部材の下流側
に開口部を有し他端は貯水容器の水内に連設されたバイ
パス管と、前記バイパス管の流路内に配設されたポンプ
と、前記バイパス管を開閉するダンパーを有するととも
に、前記送風機、脱着部材、ポンプ、及びダンパーを制
御する制御回路から構成したものである。

作用 本発明の脱着装置は上記構成により、脱臭時には送風
機により悪臭成分を吸引して吸着部材で吸着浄化し、所
定期間脱臭して飽和吸着量に達する前にダンパーを動作
させてバイパス管を開口させ、同時に脱着部材及びポン
プを動作させ、吸着部材に吸着された悪臭成分を脱着さ
せ、バイパス管を通じて貯水容器の水にバブリングし溶
解するものである。ここで悪臭成分は水に容易に溶解し
効率的に悪臭成分を処理することができ、悪臭成分が溶
解した汚水はたとえば下水として廃棄する。

これにより吸着部材の再生及び悪臭成分の処理が自動
的に行われるため吸着部材の交換なしで長期に渡って脱
臭効果を継続することが可能となる。

実施例 以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづいて説明
する。第１図は本発明による脱臭装置の断面図であり、
便器への実施例を示す。

同図において、８は脱臭装置であり、吸引口９と排出
口10を設けたダクト11の内部には送風機12及び悪臭成分
を物理吸着する活性炭からなる吸着部材13、吸着部材13
にトラップされた悪臭成分を加熱して脱着させるヒータ
からなる脱着部材14が設けられている。

15はバイパス管であり、脱着部材13の下流側に開口部
16を有し、他端は便器である貯水容器17の水中に開口さ
れており、流路の途中には悪臭を含んだ空気を水中に排
出してバブリングさせるためのポンプ18が設けられてい
る。

19はバイパス管15の開口部16の開閉を行うためのダン
パーである。また20は送風機12、脱着部材14、ポンプ18
及びダンパー19を制御する制御回路であり着座スイッチ
21がオンすると送風機12を動作させて脱臭が行われ、内
蔵された時限要素（図示せず）により脱着部材13の飽和
吸着量に達する前の所定の時期に自動的にダンパー19を
動作させて排出口10を閉じるとともにバイパス管15を開
口し、同時に脱着部材14に通電して吸着部材13を加熱す
るとともにポンプ18を動作させて臭気成分を水中にバブ
リングさせる。

以上の構成において、次に動作を説明する。排便時に
便器に着座すると着座スイッチ21がオンして送風機12が
動作し、吸引口９から排出口10にいたる大風量の流れが
発生し、排便時の悪臭成分は吸引口９から吸引され吸着
部材13に物理吸着される。浄化された空気は排出口10か
らトイレ内に放出される。

次に吸着部材13の再生について説明する。吸着部材13
の大きさ（吸着面積）に応じた飽和吸着量にいたらない
までの所定時間経過後、制御回路20が動作してダンパー
19が動作し、排出口10を閉じるとともにバイパス管15開
口し、同時に脱着部材14に通電して吸着部材13を加熱す
る。この時悪臭成分によって比較的低温で脱着するもの
と高温にしないと脱着しない成分があるが約300℃以上
に加熱することにより完全に脱着することができる。ま
た吸着部材13として活性炭を用いる場合、約400℃以上
となると燃えてしまうので脱着部材14の温度制御が必要
である。脱着した悪臭成分はポンプ18によって所定時間
吸引されバイパス管15を通じて貯水容器（便器）17の水
中にバブリングされる。悪臭成分は容易に水に溶解する
が、たとえ溶解されずに再度便器内に放散したとしても
吸引口９から再度吸引されバブリングされる。悪臭成分
が溶解した汚水はトイレ使用時に糞便とともに下水に廃
棄する。

なお上記説明では吸着部材13の飽和吸着量を予測して
自動的に制御回路20によって脱着再生動作を行う例を述
べたが、専用の再生スイッチ（図示せず）を設け、任意
の時期に再生動作を行うようにしてもよい。

以上のように本実施例によれば、脱臭は吸着部材13へ
の物理吸着によって圧力損失を少なくして大風量で行
い、吸着部材13の飽和吸着量になる前に自動的に、もし
くは手動によりダンパー19を動作させて風路切替えを行
い、脱着部材14によって吸着部材13に吸着した悪臭成分
を脱着させるとともに、ポンプ18によりバイパス管15を
通じて水中にバブリングさせて溶解させることにより吸
着部材13の再活性を図るものであり、従来必要であった
吸着部材13の交換が不要となり、長期間に渡って脱臭効
果を継続することができる。またこれにより吸着部材13
の飽和吸着量を少なく設定することができるため吸着部
材13の小型化が図れる。

またたとえば酸化触媒体等を設けて分解処理する場合
触媒体を400℃以上に加熱する必要があり、ヒータ及び
断熱部材が必要であるが、本実施例では悪臭成分を水中
にバブリングさせて溶解することにより処理するため、
常温での処理が可能であり、構造の簡素化が図れるとと
もに低コスト化が実現できる。

第２図は本発明の他の実施例を示すものであり、脱着
部材14aとして陽極22と陰極23を吸着部材13を介して配
設するとともに、吸着部材13にパルスアークを印加する
高圧発生装置24から構成したものである。その他は第１
図実施例と同じであり同一番号を付して説明を省略す
る。

この構成により高圧発生装置24に通電されると陽極2
2、陰極23間に吸着部材13の大きさに応じたパルスアー
クが発生し、吸着部材13は全体としての温度は比較的低
温であるが、ミクロ構造的領域内では千数百度の高温に
達し、有機物などの被吸着成分は炭化あるいは熱分解を
受ける。同時に共存する微量の水分が瞬間的に過熱水蒸
気状態となり、炭化された有機物との間に、いわゆる水
性ガス反応が起こり部分的にガス化して除去されること
となる。このような反応がパルスアークによって短時間
に続発し、連鎖反応的に進行する。

ヒータ等により加熱して脱着する場合周囲への熱伝
導、熱放散があり脱着温度300℃を得るには比較的長時
間を要するが、パルスアークによれば短時間に脱着が完
了する効果がある。

発明の効果 以上詳述したように本発明は、吸着部材によって悪臭
成分を吸着するとともに、所定の時期に脱着部材により
脱着し、ポンプによってバイパス管を通じて水中にバブ
リングして悪臭成分を溶解して処理するものであり以下
の効果を得ることができる。

（１） 吸着部材をくり返し再生して使用できるため、
従来必要であった吸着部材の交換が不要となり、長期間
に渡って高効率の脱臭効果を継続することができる。ま
たこれにより吸着部材の飽和吸着量を少なく設定するこ
とができるため吸着部材及び装置全体の小型化が図れ
る。

（２） 悪臭成分を水中にバブリングさせて溶解するこ
とにより常温での処理が可能であり、たとえば酸化触媒
体等を設けて分解処理する方法に比べて構造の簡素化が
図れるとともに低コスト化が実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す脱臭装置の断面図、第
２図は同他の実施例を示す脱臭装置の断面図、第３図は
従来の脱臭装置の断面図である。 ８……脱臭装置、９……吸引口、10……排出口、11……
ダクト、12……送風機、13……吸着部材、14、14a……
脱着部材、15……バイパス管、16……開口部、17……貯
水容器、18……ポンプ、19……ダンパー、20……制御回
路、22……陽極、23……陰極、24……高圧発生装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 郁夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭62−99677（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭61−20138（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E03D 9/00 - 9/16

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吸入口と排出口と送風機を有するダクト
   と、このダクト内に配設され悪臭成分を吸着保持する吸
   着部材と、前記吸着部材に吸着された悪臭成分を脱着さ
   せる脱着部材と、前記吸着部材の下流側に開口部を有し
   他端は貯水容器の水内に連設されたバイパス管と、前記
   バイパス管の流路内に配設されたポンプと、前記バイパ
   ス管を開閉するダンパーを有するとともに、前記送風
   機、脱着部材、ポンプ、及びダンパーを制御する制御回
   路から構成した脱臭装置。
2. 【請求項２】脱着部材は陽極と陰極と高圧発生装置を有
   し、吸着部材にパルスアークを印加する構成とした特許
   請求の範囲第１項記載の脱臭装置。