JP2829848B2 - ピリジル基を有する非対称コバルトシッフ塩基錯体、その中間体及びそれらの製造方法 - Google Patents

ピリジル基を有する非対称コバルトシッフ塩基錯体、その中間体及びそれらの製造方法

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JP2829848B2
JP2829848B2 JP8083796A JP8083796A JP2829848B2 JP 2829848 B2 JP2829848 B2 JP 2829848B2 JP 8083796 A JP8083796 A JP 8083796A JP 8083796 A JP8083796 A JP 8083796A JP 2829848 B2 JP2829848 B2 JP 2829848B2
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利一 中辻
一郎 仲山
歩 岡本
浩 川上
延義 伊東
貴義 足立
誠 内野
泰三 市田
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Taiyo Toyo Sanso Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸素分離や酸素活性
化への利用価値の高いピリジル基を有するコバルトシッ
フ塩基錯体、その中間体およびそれらの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】コバルトシッフ塩基錯体は酸素に対する
吸着性能が優れており、酸素の吸着・活性化剤としてよ
く知られている。しかし有機溶媒に対する溶解性や酸素
吸脱着性能は今一つ満足できるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機溶媒へ
の溶解能や酸素吸着能に優れた新しいコバルトシッフ塩
基錯体、その中間体及びそれらの製造方法を提供するこ
とをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で
表されるピリジル基を有する非対称コバルトシッフ塩基
錯体が有機溶媒中への溶解性が高くしかも優れた酸素吸
着能を有することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0005】すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【化1】 (式中、Rは2−(2−ピリジルアルキレンオキシ)
メチル−−プロペニル基、2−、3−もしくは4−ピ
リジルオキシアルキレンオキシ基またはN−ピリジルア
ルキル−N−メチルアミノメチル基からなる群から選択
され、R〜Rは水素、置換または未置換フェニル
基、置換または未置換アルキル基、ハロゲンおよび置換
または未置換アルコキシ基からなる群より選択され、M
eはメチル基を表す)で示されるピリジル基を有するコ
バルトシッフ塩基錯体を提供するものである。
【0006】また、本発明は、下記一般式(2)
【化2】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)示され
るピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導体をも提
供する。
【0007】さらに、本発明は、下記一般式(3)
【化3】 (式中、R及びR〜Rは前記と同じ意味を有す
る)で示されるイミノメチルフェノール誘導体をも提供
する。
【0008】さらにまた、本発明は、前記一般式(1)
で示されるピリジル基を有するコバルトシッフ塩基錯体
を製造する方法において、前記一般式(2)で表される
ピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導体を、式
(3)
【化3】 (式中、R及びR〜R及びMeは前記と同じ意味
を有する)で示されるアミノテトラメチルエチレンイミ
ノメチルフェノール誘導体と反応させて、一般式(6)
【化6】 (式中、R〜R及びMeは前記と同じ意味を有す
る)で示される化合物となし、このものを2価のコバル
ト塩と反応させることを特徴とする、前記一般式(1)
で示されるピリジル基を有するコバルトシッフ塩基錯体
の製造方法を提供する。
【0009】さらにまた、本発明は、前記一般式(2)
で示されるピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導
体を製造する方法において、一般式(7)
【化7】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
れるサリチルアルデヒド化合物を、式(8)
【化8】 で示される3−クロロ−2−クロロメチル−1−プロペ
ンと反応させて、式(9)
【化9】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
れるクロル誘導体となし、このクロル誘導体を、式(1
0)
【化10】 (式中、nは1〜10の数である)で示されるピリジン
アルコール化合物と塩基の存在下反応させて、一般式
(11)
【化11】 (式中、R〜R及びnは前記と同じ意味を有する)
で示されるエーテル化合物となし、このエーテル化合物
を熱分解することを特徴とする前記一般式(2)で示さ
れるピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導体の製
造方法を提供する。
【0010】さらに、また、本発明は、前記一般式
(2)で示されるピリジル基を有するサリチルアルデヒ
ド誘導体を製造する方法において、一般式(7)
【化7】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
れるサリチルアルデヒド化合物を、式(12)
【化12】 (式中、nは1〜10の数である)で示されるN−メチ
ル−N−メトキシメチルアミノアルキルピリジン誘導体
と反応させることを特徴とする、前記一般式(2)で示
されるN−ピリジルアルキル−N−メチルアミノメチル
基を有するサリチルアルデヒド誘導体の製造方法を提供
する。
【0011】さらに、また、本発明は、前記一般式
(2)で示されるピリジル基を有するサリチルアルデヒ
ド誘導体を製造する方法において、一般式(13)
【化13】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
れる3−ヒドロキシサリチルアルデヒド化合物を臭化ア
リルと反応させて、式(14)
【化14】 (式中、R〜R及びnは前記と同じ意味を有する)
で示される2−アリルオキシ誘導体となし、このアリル
オキシ誘導体をα、ω−ジハロゲノアルカンと反応させ
て、式(15)
【化15】 (式中、R〜R及びnは前記と同じ意味を有し、X
はハロゲン基である)で示される3−ハロゲンアルキル
オキシ−2−アリルオキシ誘導体とヒドロキシピリジン
と反応させて、式(16)
【化16】 (式中、R〜R、n及びXは前記と同じ意味を有す
る)で示されるピリジルオキシアルコキシ誘導体とな
し、この誘導体を水素活性化金属触媒の存在下で水添す
ることを特徴とする、前記一般式(2)で示されるピリ
ジル基を有するサリチルアルデヒド誘導体の製造方法を
提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
【0013】前記した一般式(1)〜(16)のそれぞ
れにおいて、Rは2−(2−ピリジルアルキレンオキ
シ)メチル−−プロペニル基、2−、3−もしくは4
−ピリジルオキシアルキレンオキシ基、またはN−ピリ
ジルアルキル−N−メチルアミノメチル基からなる群か
ら選択される。好ましくは、Rは炭素数1〜10のア
ルキレン鎖からなる群から選択される。R〜Rは水
素、置換または未置換フェニル基、置換または末置換ア
ルキル基、ハロゲンおよび置換または未置換アルコキシ
基からなる群より選択される。好ましくは、R〜R
はフェニル基、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン
および炭素数1〜10のアルコキシ基からなる群より選
択される。置換基としては、アルキル、フェニル、アル
コキシ、ハロゲン等の前記一般式(1)および(2)の
合成反応に不活性なものであればどのようなものでもよ
い。
【0014】前記一般式(2)で示されるサリチルアル
デヒド誘導体は、一般式(1)で示される本発明のピリ
ジル基を有するコバルトシッフ塩基錯体を製造するため
の合成中間体である。この合成中間体を式(3)のイミ
ノメチルフェノール誘導体(3)と反応させて式(6)
のシッフ塩基化合物(6)となし、この化合物を2価の
コバルト塩と反応させることにより、一般式(1)で表
されるピリジル基を有するコバルトシッフ塩基錯体
(1)が得られる。この工程における反応を式で示すと
次の通りである。
【化17】
【0015】この工程においてサリチルアルデヒド誘導
体(2)とイミノメチルフェノール誘導体(3)との反
応は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等のよう
な不活性有機溶媒中で行うのが好ましい。反応温度は用
いられた溶媒の如何にもよるが、30〜100℃、好ま
しくは60〜80℃である。イミノメチルフェノール誘
導体は、サリチルアルデヒド誘導体(2)1モル当り、
0.6〜1.4モル、好ましくは0.9〜1.1モル、
より好ましくは1モルの割合で用いられる。
【0016】次にこうして得られたシッフ塩基化合物
(6)を2価のコバルト塩と反応させる。反応はこのま
しくはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の不活
性溶媒中で行われ、反応温度は30〜100℃、好まし
くは40〜80℃である。2価のコバルト塩としては酢
酸塩、硝酸塩、ジクロリド塩、ジブロミド塩等が好適に
用いられる。こうして、一般式(1)で表されるピリジ
ル基を有するコバルトシッフ塩基錯体が得られる。
【0017】前記した合成中間体である一般式(2)の
ピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導体は、3−
クロロ−2−クロロメチル−1−プロペン(8)とサリ
チルアルデヒド化合物(7)とを塩基の存在下で反応さ
せて、エーテル結合を有するクロル誘導体(9)を生成
させた後、得られたクロル誘導体(9)とピリジンアル
コール(10)を塩基の存在下反応させてエーテル化合
物(11)とし、このものの熱分解により得られるもの
である。この工程における反応を式で示すと以下に通り
である。
【化18】
【0018】前記した工程中、3−クロロ−2−クロロ
メチル−1−プロペン(8)とサリチルアルデヒド化合
物(7)との反応は、塩基の存在下で行われ、反応温度
は40〜150℃、好ましくは70〜100℃である。
サリチルアルデヒド化合物は、3−クロロ−2−クロロ
メチル−1−プロペン1モル当り、0.025〜0.5
モル、好ましくは0.05〜0.25モルの割合で用い
られる。また、反応は好ましくはテトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等のよう
な不活性溶媒の存在下で行われる。
【0019】この反応で使用される塩基としては、第3
級ブトキシカリウム、第3級ブトキシナトリウム、エト
キシナトリウム等のようなアルカリ金属アルコラートや
水素化ナトリウム等のような金属水素化合物が用いられ
る。また、反応促進のためのヨウ化カリウム、ヨウ化ナ
トリウム等のアルカリ金属ヨウ化物等を微量併用するこ
とができる。前記した塩基の使用量は、サリチルアルデ
ヒド化合物1モル当り、1.0〜10モル、好ましくは
3〜5モルの割合である。こうしてクロル誘導体(9)
が得られる。
【0020】このクロル誘導体(9)とピリジンアルコ
ール誘導体(10)との反応は、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド等の不活性溶媒中で塩基の存
在下で行うのが好ましい。反応温度は使用される溶媒の
種類にもよるが、40〜150℃、好ましくは70〜1
00℃である。ピリジンアルコール誘導体はクロル誘導
体1モル当り、0.9〜1.2モル、好ましくは1〜
1.1モルの割合で用いられる。ここで使用される塩基
としては、前段階における同様第3級プトキシカリウ
ム、第3級プトキシナトリウム、エトキシナトリウム等
のようなアルカリ金属アルコラートや水素化ナトリウム
等のような金属水素化合物が用いられる。また、反応促
進のためのヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のアル
カリ金属ヨウ化物等を微量併用することができる。塩基
の使用量は、ピリジンアルコール誘導体1モル当り、
0.8〜1.2モル、好ましくは約1モルの割合が好適
である。こうして、一般式(11)で示されるエーテル
化合物が得られる。
【0021】このエーテル化合物(11)の熱分解反応
は、沸点150〜250℃の不活性有機溶媒中において
反応温度は150〜250℃、好ましくは170〜20
0℃で、2〜12時間撹拌下加熱することにより行われ
る。これにより、一般式(2)で示されるサリチルアル
デヒド誘導体が得られる。使用する溶媒としては、ジメ
チルアニリン、デカリン、テトラリン等が挙げられる。
【0022】本発明による前記一般式(1)で表される
ピリジン基を有する非対称コバルトシッフ塩基錯体は、
その分子中に含まれる2価のコバルトイオンにより酸素
分子との親和性を持ち、しかも、ピリジル基を分子内に
持つためにさらに酸素分子との親和性が向上し、酸素ガ
スの分離、回収及び濃縮等の目的に好適に使用できる。
【0023】また、前記した合成中間体である一般式
(2)のピリジン基を有するサリチルアルデヒド誘導体
は、N−メチルオキシメチル−N−メチルアミノアルキ
ルピリジン誘導体とサリチルアルデヒド化合物(7)と
の反応により得られるものである。この工程における反
応を式で示すと以下の通りである。
【化19】
【0024】サリチルアルデヒド化合物(7)とN−メ
チルオキシメチル−N−メチルアミノアルキルピリジン
(12)との反応は、窒素雰囲気下、トルエン、ベンゼ
ン、キシレン等のような脱水不活性溶媒中、加熱還流し
て行うのが好ましい。反応温度は60〜150℃、好ま
しくは100〜140℃である。N−メトキシメチル
N−メチルアミノアルキルピリジン(12)はサリチル
アルデヒド化合物1モル当り、0.9〜1.2モルの割
合で用いられる。
【0025】さらに、前記した合成中間体である一般式
(2)のピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導体
は、臭化アリルと3−ヒドロキシサリチルアルデヒド化
合物(7)とを反応させて、2−アリルオキシ基を有す
るサリチルアルデヒド誘導体(14)となし、このアリ
ルオキシ誘導体をα、ω−ジハロゲノアルカンと反応さ
せた後、ヒドロキシピリジンと反応させて、ピリジルア
ルキレンオキシアリルオキシ誘導体となし、この誘導体
を水素活性化金属触媒の存在下で水添することで得られ
るものである。この工程における反応を式で示すと以下
の通りである。なお、水素活性化金属触媒としては、P
d、Pt、Ni、Co、Mo等の遷移金属を含むもの、
例えばパラジウム付カーボンブラック等が用いられる。
【化20】
【0026】3−ヒドロキシサリチルアルデヒド誘導体
(13)と臭化アリルの反応は、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド等の不活性溶媒中で塩
基の存在下で行うのが好ましい。反応温度は使用される
溶媒の種類にもよるが、40〜150℃、好ましくは6
0〜100℃である。臭化アリルは、3−ヒドロキシサ
リチルアルデヒド誘導体(13)1モル当り、0.9〜
1.5モル、好ましくは1〜1.1モルの割合で用いら
れる。ここで使用される塩基としては、第3級ブトキシ
カリウム、第3級ブトキシナトリウム、エトキシナトリ
ウム等のようなアルカリ金属アルコラートや水素化ナト
リウム等のような金属水素化合物が用いられる。また、
反応促進のためにヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等
のアルカリ金属ヨウ化物等を微量併用することができ
る。塩基の使用量は、3−ヒドロキシサリチルアルデヒ
ド誘導体1モル当り、0.8〜1.2モル、好ましくは
約1モルの割合が好適である。こうして、一般式(1
4)で示されるエーテル化合物が得られる。
【0027】次に、3−ヒドロキシ−2−アリルオキシ
ベンズアルデヒド誘導体(14)とα、ω−ジハロゲノ
アルカンの反応は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド等の不活性溶媒中で塩基の存在下で
行うのが好ましい。反応温度は使用される溶媒の種類に
もよるが、40〜150℃、好ましくは60〜100℃
である。α、ω−ジハロゲノアルカンは、3−ヒドロキ
シサリチルアルデヒド誘導体(13)1モル当り、1.
0〜20モル、好ましくは5〜10モルの割合で用いら
れる。ここで使用される塩基としては、前段階における
と同様第3級ブトキシカリウム、第3級ブトキシナトリ
ウム、エトキシナトリウム等のようなアルカリ金属アル
コラートや水素化ナトリウム等のような金属水素化合物
が用いられる。また、反応促進のためにヨウ化カリウ
ム、ヨウ化ナトリウム等のアルカリ金属ヨウ化物等を微
量併用することができる。塩基の使用量は、3−ヒドロ
キシサリチルアルデヒド誘導体1モル当り、0.8〜
1.2モル、好ましくは約1モルの割合が好適である。
こうして、一般式(15)で示されるエーテル化合物が
得られる。用いられるジハロゲンアルカンのハロゲン基
として塩素、臭素、ヨウ素のいずれでもよいが、好まし
くは臭素またはヨウ素である。
【0028】次に、3−(ハロゲノアルキルオキシ)−
2−アリルオキシベンズアルデヒド誘導体(15)とヒ
ドロキシピリジンの反応は、N,N−ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド等の不活性溶媒中で塩基の
存在下で行うのが好ましい。反応温度は使用される溶媒
の種類にもよるが、40〜150℃、好ましくは60〜
100℃である。ヒドロキシピリジンは、3−(ハロゲ
ノアルキルオキシ)−2−アリルオキシベンズアルデヒ
ド誘導体(15)1モル当り、0.9〜1.5モル、好
ましくは1〜1.1モルの割合で用いられる。ここで使
用される塩基としては、前段階におけると同様第3級ブ
トキシカリウム、第3級ブトキシナトリウム、エトキシ
ナトリウム等のようなアルカリ金属アルコラートや水素
化ナトリウム等のような金属水素化合物が用いられる。
また、反応促進のためにヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリ
ウム等のアルカリ金属ヨウ化物等を微量併用することが
できる。塩基の使用量は、ベンズアルデヒド1モル当
り、0.8〜1.2モル、好ましくは約1モルの割合が
好適である。こうして、一般式(16)で示されるエー
テル化合物が得られる。
【0029】次に、得られた3−(ピリジルオキシアル
キルオキシ)−2−アルキルオキシベンズアルデヒド誘
導体(16)を、窒素雰囲気下、水−アルコール混合系
中少量の酸素存在下、Pd、pt、Ni、Co、Mo等
の水素活性化金属触媒、例えばパラジウム付カーボンと
ともに加熱還流して行うのが好ましい。
【0030】さらに、(2−アミノテトラメチルエチレ
ンイミノ)−2−メチルフェノール誘導体(3)は、テ
トラエチレンジアミン(5)とサリチルアルデヒド誘導
体(4)とを反応させることで得られるもので、この工
程における反応を式で示すと以下の通りである。
【化21】
【0031】サリチルアルデヒド誘導体(4)とテトラ
エチレンジアミン(5)との反応は、40〜150℃、
好ましくは60〜100℃で行われる。サリチルアルデ
ヒド誘導体は、テトラエチレンジアミン1モル当り、
0.2〜1.0モル、好ましくは0.2〜0.4モルの
割合で用いられる。また反応は、好ましくは、テトラヒ
ドロフラン、メタノール、エタノール等の不活性溶媒の
存在下で行われる。
【0032】本発明による前記一般式(1)で表される
ピリジン基を有する非対称コバルトシッフ塩基錯体は、
その分子中に含まれる2価のコバルトイオン及び分子内
のピリジル基により酸素分子との親和性を持ち、酸素ガ
スの分離、回収及び濃縮等の目的で使用される。
【0033】
【発明の効果】本発明のピリジン基を有する非対称コバ
ルトシッフ塩基錯体を酸素ガスの捕捉剤として用いると
きには、ピリジル基を分子内に持つ有機溶媒中での溶解
性が優れ、その捕捉速度が大きく、またきわめて効率的
な捕捉を可能とする。
【0034】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0035】実施例1 ピリジル基を有する非対称コバルトシッフ塩基錯体およ
びその中間体の製造(前記一般式(1)中、R=2−
(2−ピリジルアルキレンオキシ)メチル−−プロペ
ニル基、R=t−Bu、R,R=OMe、R
,R,R=H) (1)5−第3級ブチルサリチルアルデヒド3.21g
(18ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミドに溶
解し、この溶液に水素化ナトリウム0.43g(18ミ
リモル)を加え、気体の発生が止むまで撹拌した。次に
2−クロロメチル−3−クロロ−1−プロペン10.0
g(80ミリモル)を加え、80℃で20時間加熱撹拌
した。この反応液を減圧濃縮した後、水を加えクロロホ
ルムで2回抽出した。クロロホルム抽出液を水で2回洗
浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過し
た後、溶媒を減圧下留去して得た残留物を、クロロホル
ムを溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィー
により精製し、相当するクロル化合物3.50g(収率
72.9%)を得た。
【0036】 (2)2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン1.60
g(13ミリモル)をテトラヒドロフラン150mlに
溶解し、この溶液に水素化ナトリウム0.31g(13
ミリモル)を加え、気体の発生が止むまで撹拌した。次
に上記工程で得たクロル化合物3.50g(13ミリモ
ル)を加え、72時間加熱環流した。この反応液を減圧
濃縮した後、水を加え、クロロホルムで2回抽出した。
クロロホルム溶液を水で2回洗浄後、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧下留去
して得た残留物を、クロロホルムを溶出液とするシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、相当する
ピリジン基包含エーテル化合物1.00g(収率21.
8%)を得た。
【0037】 (3)上記工程で得たエーテル化合物1.0gをデカヒ
ドロナフタレン20mlに溶解し、170℃で2時間加
熱撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残留物を、クロロホ
ルムを溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで精製し、相当するピリジン基包含サリチルアルデヒ
ド誘導体0.12g(収率12%)を得た。NMR,I
R等で構造を確認した。H−NMR(CDCl)δ
=1.31(9H,s,tBu),3.06−3.10
(2H,t,O−CHCH −Py),3.35
(2H,s,Ar−CH −C=CH),3.78−
3.82(2H,t,O−CH −CH−Py),
3.94(2H,s,CH2=C−CH −O),4.
80(1H,s,C=CH),5.05(1H,s,
C=CH),7.11−8.54(6H,m,芳香環
−H,ピリジン環−H),9.87(1H,s,CH
O),11.08(1H,s,OH)
【0038】 (4)4,6−ジメトキシサリチルアルデヒド2.00
g(11ミリモル)をエタノール80mlに溶解した。
この溶液にテトラメチルエチレンジアミン・2塩酸塩
6.24g(33ミリモル)を加え、さらにトリエチル
アミン6.68g(66ミリモル)を添加した。その
後、24時間加熱還流した。この反応液を減圧濃縮した
後、残留物に飽和食塩水および適量のトリエチルアミン
を加えクロロホルムで2回抽出し、抽出液を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧
下留去して得た残留物をクロロホルム:エタノール=
9:1を溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーで精製し、テトラメチルエチレンジアミン誘導体
1.07g(収率34.7%)を得た。NMR等で構造
を確認した。H−NMR(CDCl)δ=1.18
(6H,s,N−C−CH),1.39(6H,s,
N−C−CH),3.78(6H,s,−OC
),5.52−5.53(1H,d,芳香環−
H),5.58(1H,d,芳香環−H),8.35−
8.36(1H,s,Ar−CH=N),14.83
(1H,s,OH),
【0039】 (5)上記工程(3)で得たピリジン基包含サリチルア
ルデヒド誘導体0.11g(0.31ミリモル)をエタ
ノール40mlに溶解した。この溶液に上記工程(4)
で得たテトラメチルエチレンジアミン誘導体0.095
g(0.32ミリモル)を加え、24時間還流した。反
応液を減圧濃縮して得た残留物をクロロホルム:エタノ
ール=9:1を溶出液とするシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製し、相当するピリジン基包含シッフ塩
基0.020g(収率10.5%)を得た。NMR,I
R等で示した構造を確認した。H−NMR(CDCl
)δ=1.30(9H,s,tBu),1.39(6
H,s,N−C−CH),1.45(6H,s,N−
C−CH),3.06−3.12(2H,t,O−C
CH −Py),3.36(2H,s,Ar−
−C=CH),3.63(6H,s,−OC
),3.76(6H,s,−OCH),3.78
−3.84(2H,t,O−CH −CH−Py),
3.97(2H,s,CH=C−CH −O),4.
83(1H,s,C=CH),5.06(1H,s,
C=CH),5.49−5.50(1H,d,芳香環
−H),5.84−5.85(1H,d,芳香環−
H),7.09−8.54(6H,m,芳香環−H,ピ
リジン環−H),8.24−8.28(2H,s,Ar
−CH=N),13.63(1H,s,OH),14.
99−15.03(1H,s,OH)
【0040】 (6)上記工程(5)で得たピリジン基包含シッフ塩基
0.020g(0.0324ミリモル)を窒素雰囲気下
エタノール15mlに溶解した。この溶液に酢酸コバル
ト・4水和物0.008g(0.0324ミリモル)を
加え、3時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮して得た
残留物をクロロホルムを溶出液とするシリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製し、目的とするピリジン基を
有する非対称コバルトシッフ塩基錯体0.010g(収
率45.9%)を得た。IR,元素分析等で構造を確認
した。 元素分析値 (C3748Co・1/2HOとして) 計算値 C 65.09 ,H 7.23 ,N 6.15 実測値 C 65.11 ,H 7.01 ,N 6.01
【0041】実施例2 ピリジル基を有する非対称コバルトシッフ塩基錯体およ
びその中間体の製造(前記一般式(1)中、R=N−
ピリジルアルキル−N−メチルアミノメチル基、R
,R=t−Bu、R,R,R,R=H) (1)2〔2−(N−メチルアミノ)エチル〕ピリジン
5.00g(36.7ミリモル)を脱水メタノールに溶
解した。この溶液にパラホルムアルデヒド1.10g
(36.ミリ7モル)を加え、室温で24時間撹拌し
た。この反応液を減圧濃縮することにより、相当するN
−メチル−N−メトキシメチルアミノピリジン誘導体を
ほぼ定量的(6.36g)に得た。
【0042】 (2)上記工程(1)で得たN−メチル−N−メトキシ
メチルアミノピリジン誘導体2.0g(11ミリモル)
を窒素雰囲気下脱水トルエン120mlに溶解した。こ
の溶液に5−第3級ブチルサリチルアルデヒド2.50
g(14ミリモル)を加え12時間加熱環流した。溶媒
を減圧下留去し、残留物を、クロロホルム:酢酸エチル
=1:4を溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで精製し、相当するピリジン基包含サリチルアル
デヒド誘導体0.76g(収率21.2%)を得た。N
MR,IR等で構造を確認した。H−NMR(CDC
)δ=1.28(9H,s,tBu),2.39
(3H,s,N−CH3),2.94−2.98(2
H,t,N−CHCH −Py),3.04−3.
09(2H,t,N−CH −CH−Py),3.7
7(2H,s,Ar−CH−N),7.10−8.5
9(6H,m,芳香環−H,ピリジン環−H),10.
28(1H,s,CHO)
【0043】 (3)3,5−第3級ブチルサリチルアルデヒド2.0
0g(85ミリモル)をエタノール150mlに溶解し
た。この溶液にテトラメチルエチレンジアミン・2塩酸
塩4.82g(25.5ミリモル)を加え、さらにトリ
エチルアミン8.16g(80.6ミリモル)を添加し
た。その後、24時間加熱還流した。この反応液を減圧
濃縮した後、残留物に飽和食塩水および適量のトリエチ
ルアミンを加えクロロホルムで2回抽出し、抽出液を無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶
媒を減圧下留去して得た残留物をクロロホルム:酢酸エ
チル=4:1を溶出液とするシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製し、テトラメチルエチレンジアミン誘
導体0.55g(収率19.4%)を得た。NMR等で
構造を確認した。H−NMR(CDCl)δ=1.
21(6H,s,N−C−CH),1.30(9H,
s,tBu),1.32(6H,s,N−C−C
),1.45(9H,s,t−Bu),7.13
(1H,s,芳香環−H),7.37(1H,s,芳香
環−H),8.39(1H,s,Ar−CH=N),1
4.38(1H,s,OH)
【0044】 (4)上記工程(2)で得たピリジン基包含サリチルア
ルデヒド誘導体0.31g(0.90ミリモル)をテト
ラヒドロフラン60mlに溶解した。この溶液に上記工
程(3)で得たテトラメチルエチレンジアミン誘導体
0.30g(0.90ミリモル)を加え、24時間加熱
還流した。反応液を減圧濃縮して得た残留物をクロロホ
ルム:酢酸エチル=1:3を溶出液とするシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製し、相当するピリジン基
包含シッフ塩基0.32g(収率55.4%)を得た。
NMR,IR等で構造を確認した。H−NMR(CD
Cl)δ=1.21(9H,s,tBu),1.30
(9H,s,tBu),1.39(12H,s,N−C
−CH),1.43(9H,s,tBu),2.35
(3H,s,N−CH),2.88−2.90(2
H,t,N−CHCH −Py),3.05−3.
08(2H,t,N−CH −CH−Py),3.6
8(2H,s,Ar−CH−N),7.09−8.5
2(8H,m,芳香環−H,ピリジン環−H),8.3
9(2H,s,Ar−CH=N),13.63(1H,
s,OH),14.99−15.03(1H,s,O
H)
【0045】 (5)上記工程(4)で得たピリジン基包含シッフ塩基
0.050g(0.078ミリモル)を窒素雰囲気下エ
タノール15mlに溶解した。この溶液に酢酸コバルト
・4水和物0.019g(0.078ミリモル)を加
え、3時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮して得た残
留物をクロロホルムを溶出液とするシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製し、目的とするピリジン基を有
する非対称コバルトシッフ塩基錯体0.040g(収率
73.5%)を得た。IR,元素分析等で構造を確認し
た。IR(KBr)2957,1612,1588,1
529cm−1
【0046】実施例3 ピリジル基を有する非対称コバルトシッフ塩基錯体およ
びその中間体の製造(前記一般式(1)中、R=2
−,3−,または4−ピリジルオキシアルキレンオキシ
基、R,R,R=tBu、R,R,R,R
=H) (1)2,3−ヒドロキシベンズアルデヒド4.00g
(29ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミドに溶
解し、この溶液に水素化ナトリウム0.696g(29
ミリモル)を加え、気体の発生が止むまで撹拌した。次
に臭化アリル3.50g(29ミリモル)を加え、60
℃で24時間加熱撹拌した。この反応液を減圧濃縮した
後、水を加えクロロホルムで2回抽出した。クロロホル
ム抽出液を水で2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧下留去して得た
残留物を、クロロホルムを溶出液とするシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより粗精製した。さらにシクロ
ヘキサンにより再結晶を行い、相当する3−ヒドロキシ
ベンズアルデヒド誘導体2.10g(収率40.7%)
を得た。
【0047】 (2)上記工程(1)で得た3−ヒドロキシベンズアル
デヒド誘導体2.10g(0.0118モル)をN,N
−ジメチルホルムアミド100mlに溶解し、この溶液
に水素化ナトリウム0.283g(11.8ミリモル)
を加え、気体の発生が止むまで撹拌した。次に1,4−
ジブロモブタン22.93g(10.6ミリモル)を加
え、60℃で24時間加熱撹拌した。この反応液を減圧
濃縮した後、水を加え、クロロホルムで2回抽出した。
クロロホルム溶液を水で2回洗浄後、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧下留去
して得た残留物を、クロロホルムを溶出液とするシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、相当する
ブロモ化合物2.59g(収率70.2%)を得た。
【0048】 (3)3−ヒドロキシピリジン0.44g(4.57ミ
リモル)をN,N−ジメチルホルムアミド120mlに
溶解し、この溶液に炭酸セシウム0.745g(0.0
0229モル)を加え、50℃で1〜2時間撹拌した。
次に上記工程(1)で得たブロモ化合物1.30g
(4.15ミリモル)を加え、60℃で24時間加熱撹
拌した。この反応液を減圧濃縮して得た残留物を、クロ
ロホルムを溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより精製し、相当するピリジン基包含ベンズア
ルデヒド誘導体0.98g(収率72.1%)を得た。
NMR,IR等で構造を確認した。H−NMR(CD
Cl)δ=2.03−2.141(4H,m,O−C
CH CH −CH−O),4.09−4.
15(4H,m,O−CH −CH−CHCH
−O),4.65−4.69(2H,d,O−CH
CH=CH),5.25−5,39(2H,m,O
−CH−CHCH ),6.00−6.15(1
H,m,O−CHCH =CH),7.09−
8.41(7H,m,芳香環−H,ピリジン環−H),
10.48(1H,s,CHO)
【0049】 (4)10%パラジウムカーボン0.153gを水20
mlに溶解した。この溶液に60%過塩素酸0.1ml
を加え、窒素雰囲気下、室温で10分ほど撹拌した。次
に上記工程(3)で得たピリジン基包含ベンズアルデヒ
ド誘導体0.90g(2.75ミリモル)をメタノール
80mlに溶解したものを加え、48時間加熱環流し
た。この反応液を減圧濃縮して得た残留物を、クロロホ
ルムを溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにより精製し、相当するピリジン基包含サリチルアル
デヒド誘導体0.18g(収率22.8%)を得た。N
MR,IR等で構造を確認した。H−NMR(CDC
)δ=2.00−2.09(4H,m,O−CH
CH CH −CH−O),4.09−4.17
(4H,m,O−CH −CH−CHCH
O),6.93−8.32(7H,m,芳香環−H,ピ
リジン環−H),9.91(1H,s,CHO),1
1.09(1H,s,OH)
【0050】 (5)3,5−第3級ブチルサリチルアルデヒド2.0
0(85ミリモル)をエタノール150mlに溶解し
た。この溶液にテトラメチルエチレンジアミン・2塩酸
塩4.82g(25.5ミリモル)を加え、さらにトリ
エチルアミン8.16g(80.6ミリモル)を添加し
た。その後、24時間加熱還流した。この反応液を減圧
濃縮した後、残留物に飽和食塩水および適量のトリエチ
ルアミンを加えクロロホルムで2回抽出し、抽出液を無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶
媒を減圧下留去して得た残留物をクロロホルム:酢酸エ
チル=4:1を溶出液とするシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製し、テトラメチルエチレンジアミン誘
導体0.55g(収率19.4%)を得た。NMR等で
構造を確認した。H−NMR(CDCl)δ=1.
21(6H,s,N−C−CH),1.30(9H,
s,tBu),1.32(6H,s,N−C−C
),1.45(9H,s,t−Bu),7.13
(1H,s,芳香環−H),7.37(1H,s,芳香
環−H),8.39(1H,s,Ar−CH=N),1
4.38(1H,s,OH)
【0051】 (6)上記工程(4)で得たピリジン基包含サリチルア
ルデヒド誘導体0.10g(0.35ミリモル)をテト
ラヒドロフラン60mlに溶解した。この溶液に上記工
程(5)で得たテトラメチルエチレンジアミン誘導体
0.116g(0.35ミリモル)を加え・24時間加
熱還流した。反応液を減圧濃縮して得た残留物をクロロ
ホルム:酢酸エチル=1:3を溶出液とするシリカゲル
カラムクロマトグラフィーで精製し、相当するピリジン
基包含シッフ塩基0.10g(収率47.8%)を得
た。NMR,IR等で構造を確認した。H−NMR
(CDCl)δ=1.29(9H,s,tBu),
1.40(6H,s,N−C−CH),1.41(6
H,s,N−C−CH),1.43(9H,s,tB
u),2.05−2.07(4H,m,O−CH
CH −CH−O),4.09−4.15(4
H,m,O−CH −CH−CHCH −O),
6.71−8.37(9H,m,芳香環−H,ピリジン
環−H),8.30−8.33(2H,d,Ar−CH
=N),14.15(1H,s,OH),14.78
(1H,s,OH)
【0052】 (7)上記工程(6)で得たピリジン基包含シッフ塩基
0.10g(0.166ミリモル)を窒素雰囲気下エタ
ノール15mlに溶解した。この溶液に酢酸コバルト・
4水和物0.050g(0.201ミリモル)を加え、
3時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮して得た残留物
をクロロホルムを溶出液とするシリカゲルカラムクロマ
トグラフィーで精製し、目的とするピリジン基を有する
非対称コバルトシッフ塩基錯体0.050g(収率4
5.9%)を得た。IR,元素分析等で構造を確認し
た。 IR(KBr)2955,1589,1250,1229cm−1
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 利和 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 春日 和行 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 中辻 利一 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 仲山 一郎 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 岡本 歩 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 川上 浩 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 伊東 延義 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 足立 貴義 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 内野 誠 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 市田 泰三 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 審査官 伊藤 幸司 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 15/06 C07C 251/24 C07D 213/30 C07D 213/68 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (前記式中、Rは2−(2−ピリジルアルキレンオキ
    シ)メチル−−プロペニル基、2−、3−もしくは4
    −ピリジルオキシアルキレンオキシ基、またはN−ピリ
    ジルアルキル−N−メチルアミノメチル基からなる群か
    ら選択され、R〜Rは水素、置換または未置換フェ
    ニル基、置換または未置換アルキル基、ハロゲンおよび
    置換または未置換アルコキシ基からなる群より選択さ
    れ、Meはメチル基を表す)で示されるピリジル基を有
    する非対称コバルトシッフ塩基錯体。
  2. 【請求項2】 下記一般式(2) 【化2】 (式中、Rは2−(2−ピリジルアルキレンオキシ)
    メチル−−プロペニル基、2−、3−もしくは4−ピ
    リジルオキシアルキレンオキシ基、またはN−ピリジル
    アルキル−N−メチルアミノメチル基からなる群から選
    択され、R〜Rは水素、置換または未置換フェニル
    基、置換または未置換アルキル基、ハロゲンおよび置換
    または未置換アルコキシ基からなる群より選択される)
    で示されるピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導
    体。
  3. 【請求項3】 下記一般式(3) 【化3】 (式中、R及びR〜Rは水素、置換または未置換
    フェニル基、置換または未置換アルキル基、ハロゲンお
    よび置換または未置換アルコキシ基からなる群より選択
    される)で示される2−(アミノテトラメチルエチルイ
    ミノメチル)フェノール誘導体。
  4. 【請求項4】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、Rは2−(2−ピリジルアルキレンオキシ)
    メチル−−プロペニル基、2−、3−もしくは4−ピ
    リジルオキシアルキレンオキシ基、またはN−ピリジル
    アルキル−N−メチルアミノメチル基からなる群から選
    択され、R〜Rは水素、置換または未置換フェニル
    基、置換または未置換アルキル基、ハロゲンおよび置換
    または未置換アルコキシ基からなる群より選択され、M
    eはメチル基を表す)で示されるピリジル基を有する非
    対称コバルトシッフ塩基錯体の製造方法において、下記
    一般式(4) 【化4】 (式中、R,R〜Rは前記と同じ意味を有する)
    で示されるサリチルアルデヒド誘導体を、式(5) 【化5】 (式中、Meは前記と同じ意味を有する)で示されるテ
    トラメチルエチレンジアミンと反応させて一般式(3) 【化3】 (式中、R,R〜R及びMeは前記と同じ意味を
    有する)で示される化合物となし、このものを、一般式
    (2) 【化2】 (式中、R,R〜Rは前記と同じ意味を有する)
    で示されるサリチルアルデヒド誘導体と反応させること
    により一般式(6) 【化6】 (式中、R〜R及びMeは前記同じ意味を有する)
    で示される化合物となし、このものを2価のコバルト塩
    と反応させることを特徴とする前記一般式(1)で示さ
    れるシッフ塩基錯体の製造方法。
  5. 【請求項5】 下記一般式(2) 【化2】 (式中、Rは2−(2−ピリジルアルキレンオキシ)
    メチル−−プロペニル基、2−、3もしくは4−ピリ
    ジルオキシアルキレンオキシ基、またはN−ピリジルア
    ルキル−N−メチルアミノメチル基からなる群から選択
    され、R〜Rは水素、置換または未置換フェニル
    基、置換または未置換アルキル基、ハロゲンおよび置換
    または未置換アルコキシ基からなる群より選択される)
    で示されるピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導
    体を製造する方法において、下記一般式(7) 【化7】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
    れるサリチルアルデヒド化合物を、式(8) 【化8】 で示される3−クロロ−2−クロロメチル−1−プロペ
    ンと反応させて、式(9) 【化9】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
    れるクロロ誘導体となし、このクロロ誘導体を、式(1
    0) 【化10】 (式中、nは1〜10の数を示す)で示されるピリジン
    アルコール化合物と塩基の存在下で反応させて一般式
    (11) 【化11】 (式中、R〜R及びnは前記と同じ意味を有する)
    で示されるエーテル化合物となし、このエーテル化合物
    を熱分解することを特徴とする、前記一般式(2)で示
    されるピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導体の
    製造方法
  6. 【請求項6】 下記一般式(2) 【化2】 (式中、Rは2−(2−ピリジルアルキレンオキシ)
    メチル−−プロペニル基、2−、3−もしくは4−ピ
    リジルオキシアルキレンオキシ基、またはN−ピリジル
    アルキル−N−メチルアミノメチル基からなる群から選
    択され、R〜Rは水素、置換または未置換フェニル
    基、置換または未置換アルキル基、ハロゲンおよび置換
    または未置換アルコキシ基からなる群より選択される)
    で示されるピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導
    体を製造する方法において、前記一般式(7) 【化7】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
    れるサリチルアルデヒド化合物を、式(12) 【化12】 (式中、nは2〜10の数を示す)で示されるN−メチ
    ル−N−メトキシメチルアミノアルキルピリジン誘導体
    と反応させることを特徴とする、前記一般式(2)で示
    されるN−ピリジルアルキル−N−メチルアミノメチル
    基を有するサリチルアルデヒド誘導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 下記一般式(2) 【化2】 (式中、Rは2−(2−ピリジルアルキレンオキシ)
    メチル−−プロペニル基、2−、3−もしくは4−ピ
    リジルオキシアルキレンオキシ基、またはN−ピリジル
    アルキル−N−メチルアミノメチル基からなる群から選
    択され、R〜Rは水素、置換または未置換フェニル
    基、置換または未置換アルキル基、ハロゲンおよび置換
    または未置換アルコキシ基からなる群より選択される)
    で示されるピリジル基を有するサリチルアルデヒド誘導
    体を製造する方法において、下記一般式(13) 【化13】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
    れる3−ヒドロキシサリチルアルデヒド化合物を臭化ア
    リルと反応させて式(14) 【化14】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有する)で示さ
    れる2−アリルオキシ誘導体となし、このアリルオキシ
    誘導体をα、ω−ジハロゲノアルカンと反応させて、式
    (15) 【化15】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を有し、nは1〜
    10の数、Xはハロゲン基である)で示される3−ハロ
    ゲンアルキルオキシ−2−アリルオキシ誘導体とヒドロ
    キシピリジンと反応させて、式(16) 【化16】 (式中、R〜R及びnは前記と同じ意味を有する)
    で示されるピリジルオキシアルコキシ誘導体となし、こ
    の誘導体を水素活性化金属触媒の存在下で水添すること
    を特徴とする、前記一般式(2)で示されるピリジル基
    を有するサリチルアルデヒド誘導体の製造方法。
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