JP2829242B2 - 擁壁の施工方法 - Google Patents

擁壁の施工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はコンクリート擁壁の施
工を容易に行える型枠を用いて擁壁を施工する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来のコンクリート擁壁の施工は、コン
クリート基礎の施工に際して予め縦筋を埋め込んでお
き、このコンクリート基礎の上に突出した縦筋に擁壁を
構成する鉄筋を溶接などの手段で接続し、この鉄筋をパ
ネルで囲み、各パネルをセパレーターボルトで連結固定
した後、パネル内に生コンクリートを投入する方法や、
コンクリートブロックを積み上げていく方法等が行なわ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来工法は、コ
ンクリート基礎上に設ける鉄筋の形成やパネルの取り付
け等に著しく手数がかかり、工期が長くなる。また、コ
ンクリートブロックを用いる工法は、施工は容易で工期
も短いという利点はあるが大型の擁壁の建設には向かな
いという問題がある。
【0004】この発明は、上記のような従来のコンクリ
ート擁壁の施工方法の問題点を解決するために、施工を
容易とする擁壁の施工用型枠を用いた施工方法を提供す
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、表面に石等の化粧材を打込み、裏面に
トラス状,馬蹄形,H型等の係止具を設けた縦盤と、該
縦盤の下端から裏面側に向かう底盤からなり、この底盤
の一部に貫通孔を設けた擁壁の施工用型枠と、この施工
用型枠を基礎コンクリートの上に載せ、該基礎コンクリ
ートに予め連結して立ち上げてある鉄筋を該底盤の貫通
孔に挿入してその上方に鉄筋を構成し、更に該底盤後部
上にパネルを立て、該縦盤とパネルとをセパレータボル
トで固定したのち、縦盤とパネルの間に生コンクリート
を投入してコンクリート擁壁を施工する施工方法を採用
したものである。
【0006】また、上記のように施工したコンクリート
擁壁の上に前記同様の施工を施すことを繰り返すことに
より上方にコンクリート擁壁を施工して擁壁を高くして
いく工法、基礎コンクリートに予め連結して立ち上げて
ある鉄筋篭を該底盤に設けた貫通孔に挿入し、更に、底
盤後部上にパネルを立て、該縦盤とパネルとをセパレー
ターボルトで固定したのち縦盤とパネルの間に生コンク
リートを投入して擁壁を施工する工法や、このように施
工したコンクリート擁壁の上に前記同様の施工を施すこ
とを繰り返すことにより上方にコンクリート擁壁を施工
して擁壁を高くしていく工法も提供する。
【0007】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。
【0008】図1、図2は擁壁の施工用型枠Aの実施例
を示すもので、表面に石等からなる複数の化粧材1を打
込み、裏面にトラス状の係止具2を、その一部を埋め込
むことにより固定した縦盤3と、該縦盤3の下端から裏
面側に向かう底盤4からなり、この底盤4に貫通孔5を
設けた構造のものをコンクリートにより一体に形成す
る。
【0009】該係止具2は、図1、図2のようなトラス
状の他、図3(I)のように鉄棒を曲げて馬蹄形にした
ものを複数埋め込むもの、図3(II)のように短く切
ったH型鋼を埋め込むもの等の種々の形状のものを用い
ることができる。
【0010】また、施工時に、セパレーターボルトを型
枠Aに固定するために、図1,図2のように型枠Aの縦
盤3の後側に雌ねじを有する複数のインサート15を埋
め込んでおく。さらに、底盤4の後端面にもパネルを固
定するボルトを螺合する雌ねじを有する複数のインサー
ト16を埋め込む。
【0011】上記の型枠Aにより擁壁を施工する方法を
以下に説明する。即ち、最初に図4(I)のように目的
の地盤6にコンクリート基礎7を施工する。この際、複
数の鉄筋8を埋め込んでおく。次に、該基礎7上に図4
(II)に示すように複数の型枠Aを載せ、各鉄筋8を
貫通孔5に挿入して底盤4上に突出させる。この際基礎
7と底盤4の間にモルタルを介在させるとよい。
【0012】そして、図5のように各底盤4上に突出し
た鉄筋8上に鉄筋9を溶接等の手段で固定し、この鉄筋
8,9に横筋10等を溶接等の手段で固定する。
【0013】また、各底盤4の後端にパネル11の下端
を当て、このパネル11の下端に設けた複数の孔に挿入
した固定ボルト18をインサート16の雌ねじに捩じ込
んでパネル11を立て、該縦盤3とパネル11とを連結
する複数のセパレーターボルト12をインサート15の
雌ねじに捩じ込んで固定したのち、縦盤3とパネル11
の間に生コンクリート13を投入して擁壁Bとするが、
この際一番端の型枠Aの側面にもパネルを固定して側面
からコンクリートがもれないようにする。
【0014】上記のようにして、コンクリート擁壁Bを
施工したのち、図6のように更に該施工済のコンクリー
ト擁壁Bの上に前記同様の施工を施すことを繰り返すこ
とにより上方にコンクリート擁壁Bを高く建造してい
く。
【0015】上記のように施工時に縦の鉄筋8,9と横
筋10を組み立てて擁壁Bを順次上方に形成していく方
法の他に、図7のように縦筋21と螺旋筋22により、
予め形成した篭型鉄筋Cを鉄筋8上に連結し、図4乃至
図6と同様の工程で該篭型鉄筋Cを継ぎ足しながらコン
クリート擁壁Bを施工する方法もある。
【0016】この方法は篭型鉄筋Cをあらかじめ工場生
産しておくことにより現場での鉄筋の組み立ての手数が
省略されるので施工期間の短縮となる。
【0017】上記の各実施例はパネルが必要であり、施
工後にパネルを取り除く作業が必要であるが、以下の工
法はパネルが不要である。
【0018】即ち、図8のように幅の広い基礎7上に一
対の型枠Aを背中合せに載せ、各型枠Aの対向する底盤
4の各インサート16にそれぞれボルト25を固定し、
この各ボルト25の相対向する部分に設けた逆ねじにタ
ーンバックル26を捩じ込んで、両型枠Aの間隔を調整
し、この一対の型枠Aの間に前記各実施例と同様に、鉄
筋を適宜構成し、コンクリートを打設する工法では型枠
Aの2倍以上の広幅の擁壁の構築が行え、しかもパネル
が不要である。
【0019】図9の場合は表面に石等からなる複数の化
粧材1を打込み、裏面にトラス状の係止具2を、その一
部を埋め込むことにより固定した平面盤30をコンクリ
ートにより形成し、この平面盤30の上端付近に雌ねじ
を有する複数のインサート31を埋め込み、下端には複
数の挿入孔32を設ける。
【0020】上記のような平面盤30の挿入孔32に挿
入した固定ボルト33を各型枠Aの各インサート16に
螺合して型枠Aと平面盤30とを固定してチャンネル状
とし、対向するインサート15,31にそれぞれボルト
25を螺合し、この各ボルト25の相対向する部分に設
けた逆ねじにターンバックル26を捩じ込んで、型枠A
と平面盤30の間隔を調整し、型枠Aと平面盤30の間
に鉄筋を構成するか、篭型鉄筋Cを連結したのち、コン
クリートを流し込んでコンクリート擁壁をつくる工法を
繰り返す。この工法もパネルが全く不要である。
【0021】
【発明の効果】この発明は、上記のように予めL型に形
成してある型枠を用いることにより、パネルの使用数が
著しく少なくなり、現場での施工が極めて容易となり施
工期間の短縮につながる。
【0022】又縦盤の表面に化粧材が埋め込んであるか
ら極めて体裁が良く、更に縦盤と底盤が一体になってい
るから分厚くて極めて安定した擁壁が製造できるなどの
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この本発明の一実施例の側面図。
【図2】同上の平面図。
【図3】係止具の各例を示す一部拡大側面図。
【図4】施工順序を示す斜視図。
【図5】施工された擁壁の縦断側面図。
【図6】上方に延ばした擁壁の縦断側面図。
【図7】篭型鉄筋を用いた実施例の縦断側面図。
【図8】型枠を対向させた実施例の縦断側面図。
【図9】型枠と平面盤を用いた実施例の縦断側面図。
【符号の説明】
1 化粧材 2 係止具 3 縦盤 4 底盤 5 貫通孔 6 地盤 7 基礎 8 鉄筋 9 鉄筋 10 螺旋筋 11 パネル 12 セパレータボルト 13 生コンクリート A 擁壁施工型枠
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 29/02 309

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に石等の化粧材を打込み、裏面にト
    ラス状,馬蹄形,H型等の係止具を設けた縦盤と、該縦
    盤の下端から裏面側に向かう底盤からなり、この底盤の
    一部に貫通孔を設けた擁壁の施工用型枠を基礎コンクリ
    ートの上に載せ、該基礎コンクリートに予め連結して立
    ち上げてある鉄筋を該底盤の貫通孔に挿入してその上方
    に鉄筋を構成し、更に該底盤後部上にパネルを立て、該
    縦盤とパネルとをセパレータボルトで固定したのち、縦
    盤とパネルの間に生コンクリートを投入してコンクリー
    ト擁壁を施工することを特徴とする擁壁の施工方法。
  2. 【請求項2】 表面に石等の化粧材を打込み、裏面にト
    ラス状,馬蹄形,H型等の係止具を設けた縦盤と、該縦
    盤の下端から裏面側に向かう底盤からなり、この底盤の
    一部に貫通孔を設けた擁壁の施工用型枠を基礎コンクリ
    ートの上に載せ、該基礎コンクリートに予め連結して立
    ち上げてある鉄筋を該底盤の貫通孔に挿入してその上方
    に鉄筋を構成し、更に、底盤後部上にパネルを立て、該
    縦盤とパネルとをセパレータボルトで固定したのち、縦
    盤とパネルの間に生コンクリートを投入してコンクリー
    ト擁壁を施工し、更に該施工済のコンクリート擁壁の上
    に前記同様の施工を施すことを繰り返すことにより上方
    にコンクリート擁壁を施工していくことを特徴とする擁
    壁の施工方法。
  3. 【請求項3】 表面に石等の化粧材を打込み、裏面にト
    ラス状,馬蹄形,H型等の係止具を設けた縦盤と、該縦
    盤の下端から裏面側に向かう底盤からなり、この底盤の
    一部に貫通孔を設けた擁壁の施工用型枠を基礎コンクリ
    ート上に載せ、該基礎コンクリートに予め連結して立ち
    上げてある鉄筋篭を該底盤に設けた貫通孔に挿入し、更
    に、底盤後部上にパネルを立て、該縦盤とパネルとをセ
    パレーターボルトで固定したのち縦盤とパネルの間に生
    コンクリートを投入してコンクリート擁壁を施工するこ
    とを特徴とする擁壁の施工方法。
  4. 【請求項4】 表面に石等の化粧材を打込み、裏面にト
    ラス状,馬蹄形,H型等の係止具を設けた縦盤と、該縦
    盤の下端から裏面側に向かう底盤からなり、この底盤の
    一部に貫通孔を設けた擁壁の施工用型枠を基礎コンクリ
    ート上に載せ、該基礎コンクリートに予め連結して立ち
    上げてある鉄筋篭を該底盤に設けた貫通孔に挿入し、更
    に底盤後部上にパネルを立て、該縦盤とパネルとをセパ
    レーターボルトで固定したのち縦盤とパネルの間に生コ
    ンクリートを投入してコンクリート擁壁を施工し、更に
    該施工済のコンクリート擁壁の上に前記同様の施工を施
    すことを繰り返すことにより上方にコンクリート擁壁を
    施工していくことを特徴とする擁壁の施工方法。
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