JP2818845B2 - 櫛型連続壁とその構築工法 - Google Patents

櫛型連続壁とその構築工法

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、連続壁基礎における櫛型連続壁およびその
構築工法に関するものである。
【従来の技術】 従来、建築物などの基礎として、第7図と第8図に示
すように、T字型、十字型の本体部1′に側方へ突出部
2′を設けた連続壁基礎がある。そしてこれらの連続壁
の施工は、前記本体部の掘削域と突出部の掘削域とも同
時に掘削し、配筋やコンクリート打設も同時進行で行わ
れ、本体部と突出部とが一体に構築されている。
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年建物が高層化するとともに、第9図に示
すような、連続壁本体部1にその側方へ連続した複数の
突出部2を設けた櫛型連続壁基礎3が設計されるように
なってきた。 しかしながら、上記櫛型連続壁の基礎を得る場合、連
続壁本体部の掘削域と突出部の掘削域とを同時に掘削す
ると、突出部掘削域間の掘削地山4の安定を保つことが
困難になっている。特に建物の高層化によって、突出部
2の間隔dが小さくなる傾向があり(突出部2の幅寸法
が大きくなる)、より一層前記掘削地山4が崩壊する危
険性が増すという問題があった。 また、ウォーターフロントのように超軟弱地盤での大
深度掘削が必要な場合は、より深刻な問題となってき
た。 そこで本発明は、連続壁本体部の掘削域と突出部の掘
削域とを分離しながら掘削して地盤の安定を図ることを
課題とし、上記掘削地山の崩壊を避けることを目的とす
る。
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を考慮してなされたもので、
連続壁基礎の連続壁本体部の側方に複数の突出部を有す
る櫛型連続壁において、前記連続壁本体部と突出部との
境界に、鋼板の片面に複数本の連結棒状材を植設してな
る連結手段を有し、他面に幅方向に亘ってアングル材等
を位置させてなる補剛手段を有した仕切り板を配して、
該仕切り板を介して前記連続壁本体部と突出部とが連結
していることを特徴とする櫛型連続壁を提供して、上記
課題を解消するものである。 またもう一つの発明は、連続壁基礎の連続壁本体部の
側方に複数の突出部を有する櫛型連続壁を構築するにあ
たり、連続壁本体部の掘削域と突出部の掘削域とを分割
して、相対する連続壁本体部の掘削域と突出部の掘削域
との何れか一方を先行掘削し、先行掘削した掘削域内に
配筋を行うとともに、鋼板の片面に複数本の連結棒状材
を植設してなる連結手段を有し、他面に幅方向に亘って
アングル材等を位置させてなる補剛手段を有した仕切り
板を、該仕切り板の連結手段が前記配筋側に向くように
して、連続壁本体部の掘削域と突出部の掘削域との境界
部分に配して、前記配筋と連結手段とを連結し、前記先
行掘削域にコンクリート打設を行ったのち、この先行掘
削域に対向する後行掘削域を掘削し、該後行掘削域内に
配筋を行ってコンクリート打設することを特徴とする櫛
型連続壁の構築工法であって、上記課題を解消するもの
である。
【作 用】
第1の本発明においては、仕切り板によって連続壁本
体部と突出部とが分離され、この連続壁本体部と突出部
とが別々に施工できるようになり、よって分割掘削後に
別々に施工した連続壁本体部と突出部の一体化が行える
ようになる。連続壁本体部と突出部とを分離して施工す
る場合、前記連続壁本体部と突出部とから構成される基
礎杭としての一体性を保つため、連続壁本体部と突出部
との間での剪断力(垂直方向)の伝達を完全に行う必要
があり、補剛手段である前記仕切り板がその剪断力の伝
達を行う。 第2の発明においては、先行掘削後にこの掘削域で配
筋、仕切り板の設置、コンクリート打設が行われ、この
後に後行掘削が行われることから、突出部掘削域間の掘
削地山の三方の面が同時に露出せず、この掘削地山の形
状が安定したものとなる。
【実施例】
つぎに、本発明を第1図から第6図に示す一実施例に
基づいて詳細に説明する。 第1図に示すように、櫛型連続壁3は、連続壁本体部
1にその側方へ突出した複数の突出部2を、所定の間隔
で、例えば柱間隔で配置している。そして前記連続壁本
体部1と突出部2との境界部分には仕切り板5が配置さ
れていて、この仕切り板5を介して後述する工法によっ
て前記連続壁本体部1と突出部2とが連結されている。 仕切り板5は、第2図から第4図に示すように、鋼板
6の片面に複数本の連結棒状材7aを所定間隔で溶接によ
り植設してなる連結手段7を備えていて、前記連結棒状
材7aは例えばスタッドボルトが利用される。また鋼板6
の反対面には幅方向に亘るアングル材8aを溶接によって
位置させてなる補剛手段8が設けられている。この仕切
り板5は、前記連結手段7が先行エレメントに連結さ
れ、補剛手段8が後行エレメントに向くように配置され
るものであり、そして前記連結棒状材やアングル材のサ
イズ、配置間隔などは剪断力に応じて計算し算出され
る。 つぎに、櫛型連続壁の構築を説明する。連続壁本体部
の掘削域9と突出部の掘削域10とを分割して、相対する
連続壁本体部の掘削域9と突出部の掘削域10との何れか
一方が先行掘削される。例えば第5図に示すように、二
つの突出部の掘削域10が先行掘削され、配筋aが行われ
る。またこの先行掘削された掘削域10において、連続壁
本体部と突出部との境界部分11に上記仕切り板5が配置
され、仕切り板5の連結手段7と前記配筋aとの連結が
行われる。こののち掘削域10にコンクリート打設して二
つの突出部2が独立した状態で構築され、掘削域10に挟
まれた掘削地山4の三方の表面総てが同時に表出するこ
とがない。前記仕切り板5の連結手段7はコンクリート
中に埋設され、補剛手段8はコンクリート打設時の側圧
に対する抵抗力を生じさせる。なお、図中bはコンクリ
ート打設前に埋め戻された骨材などを示す。 先行掘削される掘削域10での突出部2の構築と同時に
或は遅れて、この掘削域10に相対しない連続壁本体部の
掘削域9aでも、所定長さで掘削、配筋aが行われる。そ
してこの掘削域9aに相対する掘削域10aとの境界部分に
仕切り板5が設置され、上記と同様にその仕切り板5の
連結手段7が前記配筋aと連結される。こののちこの掘
削域9aにコンクリート打設が行われる。 第6図に示すように、上記掘削域9aにてコンクリート
打設が行われて連続壁本体部1が構築されると、上記掘
削域10aに相対する掘削域9が所定長さで後行掘削さ
れ、連続壁本体部の構築が行われる。すなわち、掘削域
9aの間となったこの掘削域9を掘削するとともに境界部
分11の骨材bなども除去し、配筋a、コンクリート打設
を行って連続壁本体部1を構築する。この連続壁本体部
1の構築によって、先行した上記突出部2とこの連続壁
本体部1とが仕切り板5を介して一体に連結され、基礎
杭が構成される。 上記掘削域9での連続壁本体部1が構築されると、上
記掘削域9aに相対する掘削域10aにて掘削が行われる。
そしてこの掘削域10a内に配筋aを行ったのちにコンク
リート打設を行い、突出部2を構築し、先行した連続壁
本体部1に仕切り板5を介して一体化する。 以上の手順を経て掘削地山4の三方の表面を同時に表
出させることなく櫛型連続壁3が構築される。 本実施例における補剛手段としては、アングル材に限
定されるものではなく、丸パイプ、角パイプ等であって
もよい。さらに連結手段もスタットボルト、鉄筋材、ジ
ベル等であってもよい。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、櫛型連結壁
は、連続壁本体部と突出部との境界に、鋼板の片面に複
数本の連結棒状材を植設してなる連結手段を有し、他面
に幅方向に亘ってアングル材等を位置させてなる補剛手
段を有した仕切り板を配して、該仕切り板を介して前記
連続壁本体部と突出部とが連結しているので、先行して
構築する側のコンクリート打設時の側圧を仕切り板によ
って受けることができ、よって連続壁本体部と突出部と
を分離して別々に施工時期を変えて構築できるようにな
る。このため先行構築した連続壁本体部や突出部によっ
て掘削地山の側面を支持させる施工手順が組めるように
なる。 またもう一つの発明において、連続壁本体部の掘削域
と突出部の掘削域とを分割して、相対する連続壁本体部
の掘削域と突出部の掘削域との何れか一方を先行掘削
し、先行掘削した掘削域内に配筋を行うとともに、鋼板
の片面に複数本の連結棒状材を植設してなる連結手段を
有し、他面に幅方向に亘ってアングル材等を位置させて
なる補剛手段を有した仕切り板を、該仕切り板の連結手
段が前記配筋側に向くようにして、連続壁本体部の掘削
域と突出部の掘削域との境界部分に配して、前記配筋と
連結手段とを連結し、前記先行掘削域にコンクリート打
設を行ったのち、この先行掘削域に対向する後行掘削域
を掘削し、該後行掘削域内に配筋を行ってコンクリート
打設するので、突出部間における掘削地山の三方の表面
が同時に表出することがなく、この掘削地山の崩壊を確
実に防止することができるようになる。よって突出部の
幅が大きい櫛型連結壁の構築に際しても、土留め作業を
軽減することができるようになるなど、実用性にすぐれ
た効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る櫛型連続壁の一実施例を示す説明
図、 第2図は仕切り板の補剛手段を示す説明図、 第3図は仕切り板の側面を示す説明図、 第4図は仕切り板の連結手段を示す説明図、 第5図と第6図は櫛型連続壁の構築手順を示す説明図、 第7図から第9図は従来例を示す説明図である。 1……連続壁本体部 2……突出部 3……櫛型連続壁 5……仕切り板 7……連結手段 8……補剛手段 9,9a……連続壁本体部の掘削域 10,10a……突出部の掘削域 11……境界部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝吉 忠市 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 宇野 壽郎 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 5/18 - 5/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続壁基礎の連続壁本体部の側方に複数の
    突出部を有する櫛型連続壁において、 前記連続壁本体部と突出部との境界に、 鋼板の片面に複数本の連結棒状材を植設してなる連結手
    段を有し、他面に幅方向に亘ってアングル材等を位置さ
    せてなる補剛手段を有した仕切り板を配して、 該仕切り板を介して前記連続壁本体部と突出部とが連結
    していることを特徴とする櫛型連続壁。
  2. 【請求項2】連続壁基礎の連続壁本体部の側方に複数の
    突部を有する櫛型連続壁を構築するにあたり、 連続壁本体部の掘削域と突出部の掘削域とを分割して、
    相対する連続壁本体部の掘削域と突出部の掘削域との何
    れか一方を先行掘削し、 先行掘削した掘削域内に配筋を行うとともに、 鋼板の片面に複数本の連結棒状材を植設してなる連結手
    段を有し、他面に幅方向に亘ってアングル材等を位置さ
    せてなる補剛手段を有した仕切り板を、該仕切り板の連
    結手段が前記配筋側に向くようにして、連続壁本体部の
    掘削域と突出部の掘削域との境界部分に配して、前記配
    筋と連結手段とを連結し、 前記先行掘削域にコンクリート打設を行ったのち、この
    先行掘削域に対向する後行掘削域を掘削し、該後行掘削
    域内に配筋を行ってコンクリート打設することを特徴と
    する櫛型連続壁の構築工法。
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