JP2827788B2 - カード及びその真偽判定方法並びにカードの製造に用いるホログラム転写箔 - Google Patents

カード及びその真偽判定方法並びにカードの製造に用いるホログラム転写箔

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、偽造・改ざん防止機能
を有するクレジットカード・キャッシュカード・プリペ
イドカード等のカード及び真偽判定方法と、カードの製
造に用いるホログラム転写箔に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、代金等の支払をクレジットカード
・キャッシュカード・プリペイドカード等により行うこ
とが一般化してきている。そして、使用に際しては、カ
ード及びカード所持者が正当であるか否かを判断する必
要がある。その一つの方法としてカード基体へのホログ
ラム層の貼着がある。
【0003】しかし、このホログラム層もカード基体か
ら剥して、別のカード基体の当該位置に貼着すれば、カ
ード所有者は正当でなくてもこのカードを利用すること
ができる。つまり、ホログラム層の真偽の確認及びカー
ドの確認は人間の目視によるのみであるため、現在はそ
の偽造を防止する有効な手段は存在しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の課題に
鑑みてなされたものであって、その課題とするところ
は、偽造、改ざん等によるカードの不正使用を有効に防
止することのできるカードとその真偽判定方法、並びに
カードの製造に用いるホログラム転写箔を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
カード基体の表面に、保護層,ホログラム形成層,光反
射層,接着層からなり、かつ、前記保護層,ホログラム
形成層,接着層の少なくとも1つの層に磁気ファイバー
を含むホログラム層を貼着したカードである。
【0006】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明を前提とし、前記磁気ファイバーがランダムに分布し
ているカードである。
【0007】請求項3記載の発明は、カード基体の表面
に、保護層,ホログラム形成層,光反射層,接着層から
なり、かつ、前記保護層,ホログラム形成層,接着層の
少なくとも1つの層に磁気ファイバーを含むホログラム
層を貼着したカードの真偽判定方法であって、前記ホロ
グラム層に磁気ファイバー読み取りヘッドを走行させる
ことにより出力波形を生成し、カードの真偽を判定する
ことを特徴とするカードの真偽判定方法である。
【0008】請求項4記載の発明は、カード基体の表面
に、保護層,ホログラム形成層,光反射層,接着層から
なり、かつ、前記保護層,ホログラム形成層,接着層の
少なくとも1つの層に磁気ファイバーを含むホログラム
層を貼着したカードの真偽判定方法であって、前記ホロ
グラム層に磁気ファイバー読み取りヘッドを走行させる
ことにより出力波形を生成し、この出力波形をカード基
体が保持するID情報に基づいたID信号と比較するこ
とにより、カードの真偽を判定することを特徴とするカ
ードの真偽判定方法である。
【0009】請求項5記載の発明は、支持体フィルムか
ら剥離可能なホログラム層を有するホログラム転写箔に
おいて、前記ホログラム層は、保護層,ホログラム形成
層,光反射層,接着層からなり、かつ、前記保護層,ホ
ログラム形成層,接着層の少なくとも1つの層に磁気フ
ァイバーを含むホログラム転写箔である。
【0010】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明を前提とし、前記磁気ファイバーがランダムに分布し
ているホログラム転写箔である。
【0011】
【作用】本発明によれば、カード基体に貼着したホログ
ラム層に磁気ヘッドで出力波形を計測することにより、
カードの真偽判定を行うことができる。すなわち、ホロ
グラム層の少なくとも1つの層には磁気ファイバーが含
まれているため、応答出力波形の有無の検知によりカー
ドの真偽を判定することができる。また、磁気ファイバ
ーをランダムに分布させた場合には、応答出力波形はカ
ード毎に異なり、この出力波形を信号処理し、カード基
体の有するID情報に基づいたID信号と比較すること
により、カードの真偽を判定することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図面を参照して詳細に説明す
る。まず、カードの製造に用いるホログラム転写箔の製
造について詳述する。
【0013】〔製造例1〕本製造例に係るホログラム転
写箔の断面構成を図1に示す。このホログラム転写箔
は、支持体フィルム10と支持体フィルム10の片面に
形成された剥離層12と、前記剥離層12上に形成され
た磁気ファイバーを含む保護層14と、前記保護層14
上に形成された表面にレリーフ型のホログラム18が形
成されたホログラム形成層20と、前記ホログラム形成
層20上に蒸着により形成された金属反射層24と、前
記金属反射層24上に形成された接着層26からなる。
【0014】支持体フィルム10としては、耐熱性を有
したポリエステルフィルム,ポリプロプレンフィルムや
セロファンなどの使用が可能である。支持体フィルムの
厚みは10〜50μm程度が好ましい。これらの中では
ポリエステルフィルムが耐熱性、物理的強度や平滑性が
良く、フィッシュアイが少ないなどの理由から最も良好
な結果が得られる。
【0015】剥離層12は、ホログラム層28をより効
果的に被転写体に転写するために必要に応じて設けられ
る層である。その材質としては、熱可塑性アクリル樹
脂,塩化ゴム系樹脂及びこの樹脂と併用しうる樹脂とし
てニトロセルロース,アセチルセルロース,セルロース
アセテートブチレート,ポリスチレン,塩化ビニル,塩
酢ビ系樹脂等が使用できる。さらにはメラミン樹脂,ア
ルキド樹脂,エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の単独又は
混合系での使用可能であり、シリコーン樹脂,パラフィ
ンワックス,反応型フッ素樹脂等の使用も可能である。
【0016】保護層14は、耐熱性,耐引っかき性,耐
薬品性,透明性に優れているポリエステル樹脂,エポキ
シ樹脂,ウレタン樹脂,塩ビ樹脂等の熱可塑性樹脂や熱
硬化性樹脂が使用できる。その厚さとしては、1〜5μ
mが適当である。
【0017】また、本製造例においては保護層14中
に、磁気ファイバー30を添加させる。この磁気ファイ
バー30はその材料として、Fe,Fe−Si,Fe−
Al,Fe−Si−Al,Fe−Si−B,Fe−N
i,Fe−Co,Fe−Ni−CoやFe−Si二元系
とFe−Ni二元系を主体とする各種材料やFe−A
s,Fe−Sn,Fe−Pなどで、約5〜20μm径、
3〜5mmの長さを有するものとする。例えばこの保護
層14中に1g/m2 の分布密度でランダムに分布する
ように、磁気のファイバー30を剥離層に分散して調整
したものである。
【0018】ホログラム形成層20には、エンボス成形
性が良好でプレスムラが生じ難く、明るい再生像が得ら
れ、保護層14との密着性が良好でさらに金属反射層2
4との接着性に優れた樹脂が要求される。これらの特徴
を有する樹脂としては酸性を有したアクリル樹脂やセル
ロースアセテートブチレート樹脂,ニトロセルロース樹
脂,セルロースアセテートプロピオネート樹脂,エチル
セルロース樹脂,メチルセルロース樹脂等がある。この
ようなホログラム形成樹脂をコートする方法として、塗
料化した樹脂をグラビアコート,ロールコート,ブレー
ドコート等があり、塗料化した樹脂をコートした後、乾
燥し、0.5〜5.0μmの膜厚を得る。
【0019】ホログラム18をエンボス成形するにはプ
レス機を使用する。これのリレーフ型ホログラムスタン
パをホログラム形成層20に重ね合わせ、加熱、加圧、
冷却を行うことにより。ホログラム形成層20の表面に
ホログラム18を形成する。
【0020】金属反射層24としては、表面の反射率が
高い金属が好ましく、具体的にはアルミニウム,金,
銀,銅及びこれらの金属を含む合金を使用することがで
きる。または、酸化スズ,酸化チタン,酸化インジウム
ないしは硫化亜鉛等を透明反射層として使用することも
できる。金属反射層24を作製するには、通常よく知ら
れている真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレー
ティング法等の方法によって、設けることができる。厚
みとしては10〜10000nmの範囲が適当である。
【0021】接着層26としては、ポリエステル樹脂,
アクリル樹脂,塩化ビニル樹脂,ポリアミド樹脂,ポリ
酢酸ビニル樹脂,ゴム系樹脂,エチレン−酢酸ビニル共
重合樹脂,塩化ビニル酢酸共重合樹脂等の熱可塑性樹脂
が使用できる。これらの樹脂のうちから、金属反射層2
4および被転写物の材質との接着性を考慮して、任意の
樹脂が選定される。これらの樹脂を適当な溶剤でワニス
化したものをグラビアコート法,ロールコート法,ブレ
ードコート法等の公知の手法で塗布して形成する。膜厚
は1〜20μmが好ましい。
【0022】〔製造例2〕磁気ファイバー30を、ホロ
グラム形成層20に含ませた以外は、製造例1と同様な
材料でホログラム転写箔を作成した。図2は本製造例に
係るホログラム転写箔の構成を示す断面図である。
【0023】〔製造例3〕磁気ファイバー30を、接着
層26に含ませた以外は、製造例1と同様な材料でホロ
グラム転写箔を作成した。図3は本製造例に係るホログ
ラム転写箔の構成を示す断面図である。
【0024】前記製造例により作成したホログラム転写
箔を、紙,塩ビシート,ポリエステルシート等の任意の
材質からなるカード基材32に転写するときの状態を図
4に示す。すなわち、カード基材に接着層26面を合わ
せ、支持体フィルム側から加熱、加圧を行い、接着層2
6をカード基材32に接着をさせた後、支持体フィルム
10及び剥離層12を剥すとホログラム層28がカード
基材32に転写する。
【0025】このようにして製造されたカード50を図
5に示す。なお、図5のカードには磁気テープが貼着さ
れており、後述する磁気ファイバー50の分布を検索し
て得られる信号と同等な意義を有するものを記録するこ
ともできる。
【0026】次に、カード50の真偽を判定するための
磁気再生装置の動作原理を図6に示す。図中二点鎖線と
実線とで示されたカード50は、矢印Z方向に搬送され
るように、先ず二点鎖線図示の位置におかれる。次にこ
のカード50の裏側にはゴムローラとモータ等からなる
搬送手段が設けられており、図中の矢印C方向に回転す
ることで、カード50を図中の二点鎖線図示の位置から
実線図示の位置に搬送させる。また、カード50上に設
けられているホログラム層28と同じ位置に磁気ファイ
バー読み取りヘッド41が固定されている。そして、カ
ード50が二点鎖線から実線の位置に走行(搬送)した
後の出力波形の振幅は、1つ以上の磁気ファイバー30
の存在を示している。前記ホログラム層28に含有され
る磁気ファイバー30の分布によって、その出力波形は
例えば図7に示すような4つの種類の波形(A)〜
(D)を示す。これらの出力波形のパターンは分布密
度、厚み、長さの異なる磁気ファイバー30を組み合わ
せることにより得られるものである。
【0027】磁気ファイバー30の出力波形の信号は、
さらに、当業者には公知の方法でデジタル走査信号に変
換される。このシステムでカード50を走査したときに
得られるデジタル走査信号を用いて、暗号変換コード化
式に基づくID情報を有するID信号とすることもでき
る。このID信号を、例えば読み取り可能な印刷文字、
バーコード、穿孔、プログラムされた集積回路あるいは
磁気読み取りヘッドで読み取り可能な磁気ストライプ5
2の形態でカード50に付与することができる。これに
より、ホログラム層28に付与されたID信号と、カー
ド50に付与されたコード等を参照して、カード50及
びホログラム層28の真偽判定を行うことができるもの
である。
【0028】したがって、このカード50の真偽を判定
するには、前記チェック装置の検出部にカード50を挿
入する。このカード50のホログラム層28部分の磁気
出力波形を磁気ファイバー読み取りヘッド41で読み取
る。このとき、ホログラム層28中には磁気ファイバー
30を分布、埋め込んでいるため、図7の(A)〜
(D)に示すような出力波形を示す。そして、この出力
波形を信号化してカード50の例えば磁気ストライプ5
2から読み込んだ信号と比較することにより、そのカー
ド50の真偽を判定する。一致していれば正当なカード
の使用である。
【0029】この場合、ホログラム層28中には多数の
磁気ファイバー30がランダムに分布しているため、そ
の組み合わせは無限大に近く、そのため、カードを偽造
しようとしても、ホログラム層28が1つ1つ異なるも
のであり、全く同一の物を作成しようとしても、磁気フ
ァイバー30を同じ配列に並べることは困難である。さ
らには、このホログラム層28にはID情報を付加して
おり、その判定を特別の検出装置で行うことができ、人
間の目視で確認するような判断ミスを引き起こす可能性
がない。このようにカード基体50は真正な物であって
も、その正当な所有者以外の者の使用を確実に排除する
ことができる。
【0030】
【発明の効果】以上、本発明によれば、ホログラム層の
少なくとも1つの層には磁気ファイバーが含まれている
ため、応答出力波形の有無の検知によりカードの真偽を
判定することができる。また、磁気ファイバーをランダ
ムに分布させた場合には、応答出力波形はカード毎に異
なり、この出力波形を信号処理し、カード基体の有する
ID情報に基づいたID信号と比較することにより、カ
ードの真偽を判定することができる。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一製造例に係るホログラム転写箔の断
面図である。
【図2】本発明の一製造例に係るホログラム転写箔の断
面図である。
【図3】本発明の一製造例に係るホログラム転写箔の断
面図である。
【図4】本発明のホログラム転写箔をカード基体に転写
するときの状態を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施例に係るカードの平面図であ
る。
【図6】本発明の一実施例に係るカードの真正さをチェ
ックするためのチェック装置を示す模式図である。
【図7】本発明の一実施例に係る磁気出力波形のパター
ンを示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 支持体フィルム 12 剥離層 14 保護層 18 ホログラム 20 ホログラム形成層 24 金属反射層 26 接着層 28 ホログラム層 30 磁気ファイバー 32 カード基体 41 読み取りヘッド 50 カード 52 磁気テープ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カード基体の表面に、保護層,ホログラム
    形成層,光反射層,接着層からなり、かつ、前記保護
    層,ホログラム形成層,接着層の少なくとも1つの層に
    磁気ファイバーを含むホログラム層を貼着したことを特
    徴とするカード。
  2. 【請求項2】前記磁気ファイバーがランダムに分布して
    いることを特徴とする請求項1記載のカード。
  3. 【請求項3】カード基体の表面に、保護層,ホログラム
    形成層,光反射層,接着層からなり、かつ、前記保護
    層,ホログラム形成層,接着層の少なくとも1つの層に
    磁気ファイバーを含むホログラム層を貼着したカードの
    真偽判定方法であって、前記ホログラム層に磁気ファイ
    バー読み取りヘッドを走行させることにより出力波形を
    生成し、カードの真偽を判定することを特徴とするカー
    ドの真偽判定方法。
  4. 【請求項4】カード基体の表面に、保護層,ホログラム
    形成層,光反射層,接着層からなり、かつ、前記保護
    層,ホログラム形成層,接着層の少なくとも1つの層に
    磁気ファイバーを含むホログラム層を貼着したカードの
    真偽判定方法であって、前記ホログラム層に磁気ファイ
    バー読み取りヘッドを走行させることにより出力波形を
    生成し、この出力波形をカード基体が保持するID情報
    に基づいたID信号と比較することにより、カードの真
    偽を判定することを特徴とするカードの真偽判定方法。
  5. 【請求項5】支持体フィルムから剥離可能なホログラム
    層を有するホログラム転写箔において、前記ホログラム
    層は、保護層,ホログラム形成層,光反射層,接着層か
    らなり、かつ、前記保護層,ホログラム形成層,接着層
    の少なくとも1つの層に磁気ファイバーを含むことを特
    徴とするホログラム転写箔。
  6. 【請求項6】前記磁気ファイバーがランダムに分布して
    いることを特徴とする請求項5記載のホログラム転写
    箔。
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