JP2004258583A - 情報記録媒体およびこれを用いた真偽判定方法 - Google Patents
情報記録媒体およびこれを用いた真偽判定方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】不正な意図を持つ者が、記録前のカードを不正に入手もしくは偽造して、知り得た個別情報を記録しても、真正性の判断が容易な情報記録媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】被着体7上に、接着剤層6、着色層6、光反射性層4、光反射性層4側に微細凹凸を有するホログラム形成層3、保護層2が順に積層されて情報記録媒体1を構成し、光反射性層4への記録4Aとして、一連番号等の情報Aと個別情報Bとを、互いの対応関係を決め、かつ照合可能とすることにより、偽造防止性を高めることができた。
【選択図】 図1
【解決手段】被着体7上に、接着剤層6、着色層6、光反射性層4、光反射性層4側に微細凹凸を有するホログラム形成層3、保護層2が順に積層されて情報記録媒体1を構成し、光反射性層4への記録4Aとして、一連番号等の情報Aと個別情報Bとを、互いの対応関係を決め、かつ照合可能とすることにより、偽造防止性を高めることができた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不正な意図で偽造を試みても、偽造されたものであることが容易に判明し、偽造の困難化が可能な情報記録媒体およびこの情報記録媒体を用いた真偽判別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
我々の身の回りには、それ自身、高品質で高価な種々の品物や、それを使用することにより価値を生じ得る種々の品物が存在する。しかしながら、それらの品物が持つ、もしくはそれらの品物の使用により生じる価値を不正に得ようとする者が、外観を本物に似せた粗悪な品物を製造して販売したり、本物と同様に使用でき不正に価値を生じさせる品物を製造して使用することがある。
【0003】
従来から、それらの品物に、本物か偽物かを判定することが可能なラベル等を積層することが行なわれており、例えば、ホログラム(ホログラムを有する薄い層のことを指すものとする。)が、しばしばその目的で用いられている。しかしながら、ホログラムは多数の工程を経て製造されるので、大量生産上、同じホログラムの図柄を、多数の品物に共通で使用することが普通である。
【0004】
そこで、ホログラムが伴なっていることが多いアルミニウム薄膜等の反射層の反射率の部分的変化により個別情報を記録したホログラム付きカードが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−85102号公報(第2頁、第2図)
【0006】
特許文献1に記載のホログラム付きカードにおいては、個別情報の記録が可能であり、記録のために生じさせる反射層の反射率の変化は不可逆であるため、不正な意図を持つ者が書き替えることはほぼ不可能と言える。
【0007】
しかし、個別情報を記録する前のカードを不正に入手するか、もしくは、新たなカードを不正に複製し、それらのカードに、不正に知り得た個別情報の記録を行なうことによる偽造の余地が依然として残る。また、仮に、本物と同様に複製されたホログラムが使用されている場合、本物かどうかを見分けるには、詳しい分析を要する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、不正な意図を持つ者が、知り得た個別情報の付与を行なうことによる偽造を防止可能な情報記録媒体を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決する手段】
発明者の検討により、情報記録媒体に、個別情報に加えて、個別情報とは別の情報であり、もともと個別情報との関係を持たない、例えば、一連番号を併せて記録し、一連連番号と個別番号とを1:1に対応させることにより、課題を解決することができた。
【0010】
第1の発明は、互いに異なる情報どうしの集合から取り出された情報Aと、前記の情報Aとは1:1の対応関係を有し、前記情報Aとは異なる個別情報である情報Bが、同一な記録媒体に記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記情報Aと前記情報Bが、前記基材に積層された着色層の光学的な変化により記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、前記情報Aと前記情報Bが、前記基材に積層された光反射性層の光学的な変化により記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記光反射性層がホログラム形成層に隣接したホログラムの反射層であることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0014】
第5の発明は、第3または第4の発明において、前記光反射性層の背面側に着色層が積層されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0015】
第6の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、前記情報Aと前記情報Bが、可視可能に記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0016】
第7の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、前記情報Aと前記情報Bが、機械読み取り可能に記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0017】
第8の発明は、第1〜第7いずれかの発明の構成に加えて、背面側に粘着剤層が積層されていることを特徴とするラベル形式の情報記録媒体に関するものである。
【0018】
第9の発明は、第1〜第7いずれかの発明の構成に加えて、剥離性基材が剥離可能に積層されていることを特徴とする転写シート形式の情報記録媒体に関するものである。
【0019】
第10の発明は、第8の発明の情報記録媒体が前記粘着剤層を介して、被着体に貼り付けられているか、もしくは、第9の発明の情報記録媒体が、前記剥離性基材を伴なわずに被着体に積層されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0020】
第11の発明は、第1の発明で規定される情報Aと情報Bが、記録媒体に可視不能に記録されている情報記録媒体に関するものである。
【0021】
第12の発明は、第1の発明で規定される情報Aと情報Bの対応関係を記録したデータベースを準備し、情報記録媒体に記録された前記情報Aおよび前記情報Bを読み出して、前記データベース内の記録と比較することにより、真偽判定を行うことを特徴とする真偽判定方法に関するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の情報記録媒体1は種々の積層構造をとり得るが、一例を挙げると、図1に示すように、上から、保護層2、ホログラム形成層3、光反射性層4、および着色層(もしくは模様層)5が順に積層され、着色層5の下面側が感熱接着剤からなる接着剤層6を介して、被着体7に積層されたものである。保護層2およびホログラム形成層3は、いずれも透明樹脂で構成され、ホログラム形成層3は例えば下面側にレリーフホログラムの微細凹凸を有しているものである。また、光反射性層4は、アルミニウム等の金属薄膜層から構成されており、光反射性層4には、光反射性層4を貫通する孔により光学的な記録4Aが形成されている。
【0023】
上記の例の情報記録媒体1に記録4Aの形成を行なうには、例えば、レーザー光を光反射性層4に照射する光学的な方式により、照射した部分において、光反射性層4に微細な孔をあける等して、光学的な変化を生じさせることにより行なわれるが、この孔は、図の上面側から眺めたときに、光反射性層4の下層が透視できるよう、貫通した孔として形成することが好ましい。このように、光学的な方式による記録は、積層構造を有する情報記録媒体1中の所定の層に焦点を絞って行なうことが容易である上、照射以外の格別な付加的工程を要しない利点を有する。後述するように、このような光学的な変化は、着色層を用いても、同様な手段を用いて行なえる。なお、光反射性層、着色層のいずれの層も、点状加熱手段を備えた感熱プリンター等を用いて、光学的な変化を生じさせることができる。
【0024】
光反射性層4の下層の着色層5は、記録4Aの情報を読み取る側と反対側に光源が存在する場合、着色層5を省くことにより、透過光による情報の読取りを確実に行うことが可能となるが、このような場合以外、光反射性層4の下層に着色層5を伴なう方が、光反射性層4に形成した孔から、その部分の着色層3が見えるから、記録4Aが、光反射率の差に加えて、色相の差も有することになり、一層見えやすくなる。また、このとき、着色層5に蛍光染料もしくは蛍光顔料等の蛍光色素を含有させておけば、紫外線もしくは紫外線等の照射により、孔の部分から蛍光発光が生じるように構成することもできる。以降において、蛍光染料および蛍光顔料等を総称して、蛍光色素と言うものとする。なお、着色層5の着色されたことによる機能、もしくは蛍光色素を含有させたことによる機能は、着色層5を設けず、接着剤層6として着色されたもの、もしくは蛍光色素を含有させたものを使用することによっても得られるので、そのように構成してもよい。
【0025】
ホログラム形成層3にアルミニウム等からなる光反射性層4を積層する代りにホログラム形成層3とは屈折率の異なる、例えば、ホログラム形成層3よりも屈折率の高いTiO2、もしくはZnS等の素材の透明薄膜を積層しても、透視性を有しながらも、ホログラム画像を見ることができ、この場合には、その薄膜のさらに下層に着色層を積層しておき、その着色層に光学的な記録を行なってもよい。このケースは、透明なホログラムの下層に組合せた着色層への記録である。ここで、着色層は、単色の層であってもよいが、絵柄、文字、バーコード、もしくはその他の情報を印刷した印刷層であってもよく、それらのうちの任意のものが組合せられたものであってもよい。着色層が絵柄、文字、バーコード、もしくはその他の情報を有するときは、光学的な記録は、それらの情報を損なわない程度に行なうことが好ましい。このようにホログラム形成層3、透明薄膜、および情報を有する着色層を備えることにより、ホログラムの情報、印刷層である着色層が有する情報、および着色層の光学的な記録による情報の三種類の情報を持つ情報記録媒体とすることができる。
【0026】
図1を引用して説明した情報記録媒体1は、被着体7に、転写もしくはラベル貼り等により製造するのに適している。もちろん、適宜な基材に、光学記録の可能な層を積層した構成のものであっても、情報記録媒体となり得る。
【0027】
被着体7は、偽造されては困るものであれば何でもよいが、例えば、ID(本人確認)用の預貯金カード、クレジットカード、身分証明書等、紙幣や各種の金券、高級ブランド商品と言われる腕時計、貴金属、宝飾品等、ソフトウェア類、例えば、音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶媒体、コンピュータ用の出力端末等に用いる消耗品類、例えば、トナー、印画紙を挙げることができる。あるいは、車両、バイク、自転車等の、屋外に置かれるため、盗難に会うことの多い物品も、ナンバープレート等を付け替えて、異なる物品であるかのように加工されるものも、被着体7となり得る。これらには、一品の単価が必ずしも高額ではないが、大量に消費されるため、偽造した品物が出回ると、正規の品物の販売が打撃を受ける可能性があるものも含まれる。なお、被着体7は、これらの列挙した品物そのものではなく、それらを収納するケース、包装箱等であってもよい。
【0028】
本発明の情報記録媒体1は、図1を引用した説明では、保護層2側より記録4Aを確認することを想定したが、上記の被着体7として、無色透明もしくは着色透明(両方の意味を含めて、単に透明と言うことがある。)であるものを対象としたときは、被着体7側から記録4Aを確認することもできる。例えば、ガラス製の被着体7であれば、被着体側から、記録4Aを確認することができ、乗用車等のガラス製の窓の内側に貼り付けた情報記録媒体1を外側から確認することもでき、外側からのいたずらも防止可能である。
【0029】
なお、情報記録媒体1が粘着剤層を伴なったラベルタイプのものである場合、粘着剤層及び剥離性シートが可視光域で透明であり、さらにレーザー波長域で透明であれば、粘着剤層側からのレーザー加工による記録の形成も可能となる。
【0030】
記録4Aに盛られるべき情報としては、本発明においては、大別して、(1)各々の情報どうしは異なるものである情報Aと、(2)情報Aとは関係が無い別の情報Bの二種類がある。このうち、情報Aは、代表的には連続番号をなす数字である。連続番号は、必要な桁数を有し、隣り合う各番号の差が1であるような番号どうしであり、仮に番号が4桁であれば、0001、0002、0003、……、のような番号である。情報Aは、0002、0004、0006、……、のような各番号の差が2である偶数番号、もしくは、0001、0003、0005、……のような奇数番号であってもよい。これらの番号の集合は、等差数列をなすものであるが、等比数列をなすものであってもよい。
【0031】
連続番号でなくても、あいうえお、かきくけこ、……、あるいは、a、b、c、……、のように、かな文字やアルファベット等の文字は、順番を決めることができる。かな文字の場合には、いろはにほへと……の順もある。また、漢字も、漢字コードを利用することにより、漢字コードの大小の順を付けることができるから、文字もまた、番号と同様に扱うことができる。
【0032】
上記の数字、および文字は、各々の単独でも、あるいは互いに任意に組み合わせて使用することもできるが、重複を避ける意味で、連続番号や、連続番号の最初や最後に文字を付した文字付きの連続番号を使用することが好ましい。もちろん、重複を避けて作成されたランダムな番号、もしくは文字付きの番号であってもよい。
【0033】
情報Bの個別情報は、例えば、人を扱う場合であれば、住所、郵便番号、氏名、生年月日、性別、電話番号、もしくは住民基本台帳における各人の番号等の個人の属性に関する情報である。これらの情報は、文字や数字で表現されるもののほか、容貌(顔写真など)、指紋、声紋、署名等の文字や数字では表現できない情報であってもよい。
【0034】
個別情報は、人に限るものではなく、種々の工業製品の製造日、製造ロット番号、製造番号、……等も個別情報として扱える。なお、自動車もしくはバイク等のナンバープレートのナンバーは、重複が無い一連番号であるので、連続番号として扱うこともできるし、個別番号とみなして扱うこともできる。
【0035】
情報Aと情報Bは、異なる別の情報であることが望ましい。異なる別の情報であるとは、一方の情報から他方の情報を、一定の手順や数式等により発生させることができない事を言う。また、情報Aと情報Bとは、互いに1:1に対応した対応関係を持たせることが望ましい。即ち、情報AであるA1、A2、A3と、情報BであるB1、B2、B3とは、A1とB1、A2とB2、A3とB3のように対応関係が決められていて、しかも、それらの対応関係が、予めデータベースに記録されており、直接もしくはオンライン等で照合可能とされていることが望ましい。このようにすることにより、情報記録媒体に記録された前記情報Aおよび前記情報Bを読み出して、データベース内の記録と比較し、真偽判定を行うことが容易になる。また、情報Aと情報Bの対応関係は固定されていて、仮に、情報BであるB2が事情により変更され、B2’となるべき必要が生じた場合、A2とB2の対応関係を変更して、A2とB2’の対応関係とせずに、空いている次の番号、例えばA4を新たに用いて、A4とB2’とを対応させるようにすることが望ましい。
【0036】
なお、情報Aと情報Bのいずれかが暗号化されている場合であって、例えば情報Bが情報Aを暗号化したものであるときは、通常の方法で解読できなければ、「情報A≠情報B」とみなせるので、情報Bは、情報Aを暗号化したものであってもよい。また、情報Aと情報Bが異なる別の情報であるとき、いずれか一方、もしくは両方が暗号化された情報であってもよい。また、以上の説明では、情報Aと情報Bの二種類の情報を例に説明したが、これらに加えて、情報C、情報D、…のように、扱う情報の種類を増やし、情報Aと情報B、情報Aと情報C、情報Aと情報D、…のように、それぞれを1:1に対応させてもよい。即ち、互いに異なる情報どうしの集合から取り出された情報Aと、前記の情報Aとは1:1の対応関係を有し、前記情報Aとは異なる個別情報である複数の情報(B、C、D、…)を、同一な記録媒体に記録して情報記録媒体とすることもできる。この複数の情報(B、C、D、…)は、1個の多元情報とみなすこともできる。
【0037】
本発明においては、情報Aと情報Bとが上記のような対応関係を有しているので、不正な意図を持つ人が、外観を似せて、情報Aおよび情報Bに相当する情報を記録したとしても、情報Aと情報Bとを読み取って、予め記録された対応関係と一致しなければ、情報記録媒体1が偽物であることの判定が容易になる。
【0038】
本発明の情報記録媒体1は、図1を引用して例示した以外にも種々のタイプのものがあり得る。
【0039】
本発明の情報記録媒体1は、光学的に記録されていることが好ましいので、適宜な基材上に光学的な記録が可能な層が積層されているものであればよい。光学的な記録が可能な層は、代表的には、金属薄膜等の光反射性層であるが、着色された樹脂層等の着色層も利用することができ、これらのほか、光照射や点状加熱等により、化学的もしくは物理的な変化を生じ得る層であればいずれでもよい。このうち、金属薄膜等の光反射性層は、記録の部分と周囲の部分とのコントラストがよく、好ましい。
【0040】
基材上に光学的な記録が可能な層を積層するには、基材の観察側に積層するやり方もあるが、透明な基材(以降、透明基材)を使用し、その背面側に積層しても、記録や記録が形成されたものの観察が可能である上、透明基材に光学的な記録が可能な層の保護機能を持たせることも可能となるので好ましい。もちろん、光学的な記録が可能な層を基材の観察側に積層しても、さらにその上に、透明な樹脂からなる保護層を積層すれば、保護機能を有したものとすることができる。
【0041】
図2は、本発明の情報記録媒体1の別の態様を示す図である。図2(a)に示す態様によれば、情報記録媒体1は、上から、透明基材8、模様層9、および光反射性層4が順に積層され、光反射性層4の下面側に粘着剤層6Aおよび剥離性シート10が順に積層されたものであって、光反射性層4に記録4Aが形成された、ラベル形式のものである。
【0042】
図2(b)に示す態様によれば、情報記録媒体1は、情報記録媒体1は、上から、透明基材8、および着色層5が順に積層され、着色層5の下面側に粘着剤層6Aおよび剥離性シート10が順に積層されたものであって、着色層5に記録5Aが形成されたラベル形式のものである。着色層5に形成される記録5Aは、例えば、レーザー照射により形成された着色層5の貫通孔、もしくは無色化した部分からなる。
【0043】
上記の例において、透明基材8は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムのような、透明で強度のあるプラスチックフィルムを用いることが好ましい。模様層9は印刷等により、適宜な図柄もしくは文を透明基材8側から眺められるように形成されたものである。また、光反射性層4は図1を引用して説明した際の、ホログラムの視認性を高めるためのものと、素材的には同様のものであり、記録4Aは、光反射性層4および上層の模様層9にわたって形成された、貫通した孔により構成されていることが好ましい。図1を引用して説明したときと同様である。
【0044】
図2を引用して説明した例では、光反射性層4もしくは着色層5の下層は粘着剤層6Aであり、使用までの間、粘着剤層6Aの下面を保護する目的で、剥離性シート10が積層されており、必要の都度、剥離性シート10は剥離して除去され、露出した粘着剤層6Aを利用して、被着体の表面に感圧接着させることができる。図1を引用して説明した例では、接着剤層6を感熱接着剤で構成することを例示しており、感熱接着剤は、厚みが薄くても接着性が高く、接着剤層の積層の効率もよい上、熱と圧力をかけることにより、ほぼ瞬間的に接着できる利点があるが、接着剤層を粘着剤で構成すれば、必要の都度、手で貼ることもできるから、情報記録媒体1を被着体に適用する頻度が少ないときには、有利である。なお、粘着剤としては、不正に剥がされたり、貼り替えられることを防止する意味で、接着力の強いものを使用することが好ましい。
【0045】
なお、図2(a)を引用して説明した例においては、透明基材8、光反射性層4、および粘着剤層6Aの各層が最小限必要であるが、透明基材8と粘着剤層との間に着色層が積層されていてもよく、着色層が蛍光色素を含有するものであってもよいし、着色層を設けずに、粘着剤層6Aに着色したり、蛍光色素を含有させてもよい。
【0046】
また、図2(b)を引用して説明した例においては、着色層5と粘着剤層6Aとの間に、第2の着色層を介在させ、先の着色層(第1の着色層とする。)としてはレーザー照射により照射部分が除去可能なタイプを、また、第2の着色層としてはレーザー照射により照射部分が除去されないタイプを選ぶことにより、記録5Aの読取りを容易にすることができる。
【0047】
また、図2を引用して説明した例のものを透明基材8と光反射性層4の間、もしくは透明基材と着色層5の間を、必要なら保護層を兼ねた剥離性の層を介して構成し、粘着剤層6Aを接着剤層、好ましくは感熱接着剤層とすることにより転写シートの構成とすることもできる。
【0048】
金属薄膜等の光反射性層4は、単独で基材上に積層しても、光学的な記録を行なうことができるが、ホログラム形成層に隣接した光反射性層を利用することもできる。ホログラム形成層は、一例として、透明な樹脂からなる層の表面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成したもので、光反射性層として金属薄膜を微細凹凸に沿って形成し、ホログラムの視認性を高めることが行なわれているからである。このように、ホログラム形成層に隣接した光反射性層を利用する場合は、ホログラムが有する高度で独特な意匠性、製造上の困難性が、偽造防止性の向上に寄与する。
【0049】
図3は、図1の情報記録媒体1を構成するために準備することが好ましい、ラベル形式(図3(a))および転写シート形式(図3(b))の情報記録媒体1の例を示す図である。
【0050】
図3(a)に示すように、ラベル形式の情報記録媒体1は、上から透明基材8、ホログラム形成層3、光反射性層4、および着色層5が順に積層され、着色層5の下面に粘着剤層6Aおよび剥離性シート10が順に積層された構造を有し、光反射性層4に記録4Aが形成されたものである。図1を引用して説明した例の被着体7よりも上の部分における保護層2が透明基材8に、また、接着剤層6が粘着剤層6Aとされたものに相当する。図3(a)中、矢印で示す粘着剤層6Aと剥離性シート10の間で剥離して使用する。
【0051】
図3(a)を引用して説明した上記の積層構造の情報記録媒体1は、透明基材8を準備し、ホログラム形成層3を構成するための樹脂層を形成し、その露出面にレリーフホログラムの複製用型を圧着して、ホログラムの微細凹凸を賦型してホログラム形成層を形成し、その後、アルミニウム等の金属の蒸着による光反射性層4を形成し、塗料もしくはインキを用いて着色層を形成し、その後、粘着加工して製造するというように、順次、層を積層して製造するのに適した積層構造を有している。記録4Aの形成は、光反射性層4が積層された以降、いつでも行なうことができるが、粘着加工まで済ませたものに対して行なうことが一般的である。なお、透明基材8〜ホログラム形成層3の間に脆質な層(以降、脆質層とも言う。)を介在させておくと、被着体に貼ったのち、不正な意図で剥がそうとすると、情報記録媒体1が破壊され、ほかの被着体に貼り替えることが不可能になるので好ましい。
【0052】
図3(b)に示すように、転写シート形式の情報記録媒体1は、上から透明基材8、保護層2、ホログラム形成層3、光反射性層4、および着色層5が順に積層され、着色層5の下面に接着剤層6が順に積層された構造を有し、光反射性層4に記録4Aが形成されたものである。図3(b)に示す構造から透明基材8を除去したものが、図1を引用して説明した例の被着体7よりも上の部分に相当する。ここで、保護層2は、転写後のホログラム形成層3を保護するためのものであるが、転写の際に、透明基材8とホログラム形成層3との間の剥離を適度にするための役割を持たせることもできる。図3(b)中、矢印で示す透明基材8と保護層2の間で剥離して使用する。
【0053】
図3(b)を引用して説明した上記の積層構造の情報記録媒体1も、保護層2を形成する点と、粘着剤層6Aおよび剥離性シート10の積層に替えて接着剤層6の積層を行なうことを除けば、図3(a)を引用して説明したのと同様にして、順次、層を積層して製造するのに適した積層構造を有している。記録4Aの形成は、光反射性層4が積層された以降、いつでも行なうことができるが、転写シートとして完成した以降に行なうことが一般的である。なお、保護層2〜ホログラム形成層3の間に脆質な層を介在させておくと、被着体に転写したのち、不正な意図で剥がそうとすると、情報記録媒体1が破壊され、ほかの被着体に貼り替えることが不可能になるので好ましい。
【0054】
図3(a)および図3(b)を引用して説明した例において、光反射性層5の下層の着色層5は、既に述べた通り、省くことも可能であるが、また、設けたことによる意義も有している。なお、粘着剤層6Aもしくは接着剤層6を着色することにより、着色層5の働きを兼ねることができるので、このようにすれば、着色層5の積層を省略することもできる。なお、図3(a)および図3(b)を引用して説明した例において、ホログラム形成層3は、その上層側に接する着色層を伴なっていてもよく、着色層の上層側に脆質層を伴なっていてもよい。なお、脆質層もしくはホログラム形成層を着色することにより、着色層を別の層として形成しなくても、着色層を兼ねさせることができる。
【0055】
本発明における記録4Aは、人が直接的に読取れる数字や文字の形式でなされていてもよいが、人も機械も読取れるOCR文字でもよいし、二次元バーコードの形式として機械読取り可能なものとしてもよく、読取りと対応関係の照合を迅速に行なうことが可能となる。また、情報Aおよび情報Bの記録を、磁気記録層や光磁気記録層等の可視不能に記録できる記録媒体を用いて行なえば、そのような記録を行った情報記録媒体は、記録が、人の目に触れないので、内容の書き替え等が非常の困難になり、好ましい。
【0056】
また、本発明の情報記録媒体1を屋外に曝される用途に用いる場合、耐候性のあるフッ素系樹脂フィルム等を基材として用いるか、最上層の保護層を兼ねて用いることにより、長期間の使用に耐えるよう構成することができ、同様な意味で粘着剤中に紫外線吸収剤を配合する等して、粘着剤の粘着効果を長期間、保つようにすることも好ましい。
【0057】
【実施例】
(実施例1)
透明基材として厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを準備し、その片面に、絵柄を印刷した後、印刷面にアルミニウムを蒸着し、厚みが400Åの光反射性層を形成した。次に、光反射性層上に、粘着剤を塗布し、剥離性フィルムをラミネートして、ラベル状の情報記録媒体を得た。
【0058】
得られたラベル状の情報記録媒体を、レーザープリンター用のトナーカセットの包装用箱の表示用として貼るため、透明基材側より光反射性層に、YAGレーザー(波長;1064nm、スポット径;100μm)を用い、トナーカセット用に予め決められた桁数、および開始する際の番号に基づいて、連続番号(情報A)を発生させ、所定の間隔で印字した。また、この連続番号の情報Aとは異なる連続番号(情報B)を発生させ、情報Aと同様の方法により印字し、こうして得られたラベルの各々をトナーカセットの包装用箱の表面の所定の位置に、内部に収容するトナーカセットに刻印された連続番号とラベルの情報Aの連続番号とを一致させて貼り付けた。また、情報Aを構成する各番号と情報Bを構成する各番号との対応関係を、製品管理用のコンピュータのメモリーに記憶させた。
【0059】
以上のようにしてトナーカセットの包装箱に貼り付けられたラベルに印字された情報Aを見ることにより、トナーカセットに付された連続番号を知ることができ、また、開封した時に、内容物のトナーカセットが使用を目的とするものであるかの確認が可能となった。また、ラベルに付されている二つの番号を読み取って、上記の製品管理用のコンピュータのメモリーに記憶させたデータと照合し、二つの番号の対応関係を確認することによって、ラベルの真正性、およびトナーカセットの真正性を確認することができた。
【0060】
(実施例2)
実施例1におけるのと同じ素材の透明基材の片面に、絵柄を印刷した後、印刷面に透明なインキメジウムをコーティングし、コーティング面に、厚みが900ÅのSnの反射層を蒸着により形成し、蒸着面に粘着剤を塗布し、剥離性フィルムをラミネートして、ラベル状の情報記録媒体を得た。
【0061】
得られたラベル状の情報記録媒体の透明基材側より、サーマルヘッドを有する感熱プリンターを用いて、実施例1におけるのと同様にして情報Aおよび情報Bを印字したところ、ラベル状の感熱記録媒体に印字された情報を、機械読み取りすることができ、実施例1におけるのと同様な効果が確認された。
【0062】
(実施例3)
実施例1におけるのと同様な透明基材上に、紫外線硬化性樹脂を塗布し、レリーフホログラムの複製用型を圧着した状態で紫外線を照射して硬化させ、ホログラムの微細凹凸を有するホログラム形成層を形成した。得られたホログラム形成層の微細凹凸上に、アルミニウムを厚みが400Åになるよう蒸着し、蒸着面に、粘着剤を塗布し、剥離性フィルムをラミネートして、ラベル状の情報記録媒体を得た。
【0063】
得られたホログラム付きのラベル状の情報記録媒体を、車両の盗難防止用として貼るため、実施例1におけるのと同様にして情報Aおよび情報Bを印字し、情報Aを構成する各番号と情報Bを構成する各番号とを対応させて、ラベル管理用のコンピュータのメモリーに記憶させた。情報Aとしては、実施例1におけるのと同様に、予め決められた桁数、および開始する際の番号に基づいて、連続番号を発生させて使用し、情報Bとしては車両メーカーが付与する車両の一両毎に固有な車体番号を使用した。車体番号は、車種等による固有の記号、および連続番号からなるものを使用した。
【0064】
得られたラベルの各々を車両のリアガラスの内側に貼って使用することにより、情報Bである車体番号の確認が容易になる上、情報Aと情報Bとを読み取って、上記のラベル管理用のコンピュータのメモリーに記憶させたデータと照合し、二つの番号の対応関係を確認することによって、ラベルの真正性を確認することができた。また、情報Bとして、自転車およびバイクの車体番号を使用することにより、自転車およびバイクのフレーム、カバー等に貼ることにより、ラベルの真正性を確認することができた。
【0065】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、個別情報に加えて、一連番号等の番号を有し、しかも、それらの番号が対応関係を有するため、不正な意図で、情報Aおよび情報Bに相当する情報を記録しても、予め記録された対応関係と一致しなければ、偽物であることの判定が容易であり、偽造防止性の高い情報記録媒体を提供することができる。
【0066】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、情報が着色層への光学的な記録によるものであるので、所定の層への記録を格別な付加的工程を必要とせずに行なうことが可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0067】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、情報が光反射性層への光学的な記録によるものであるので、所定の層への記録を格別な付加的工程を必要とせずに行なうことが可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0068】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、ホログラムが有する高度で独特な意匠性、製造上の困難性により偽造防止性の高められた情報記録媒体を提供することができる。
【0069】
請求項5の発明によれば、請求項3または請求項4の発明の効果に加え、記録が貫通した孔により構成される場合、観察側から着色層が見えるために、記録が色相のコントラストを有して形成され、記録の視認性の向上した情報記録媒体を提供することができる。
【0070】
請求項6の発明によれば、請求項1〜請求項5いずれかの発明の効果に加え、記録された情報を直接的に見ることが可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0071】
請求項7の発明によれば、請求項1〜請求項5いずれかの発明の効果に加え、記録された情報が機械読取り可能であるため、読取りと同時に対応関係の照合が可能になる情報記録媒体を提供することができる。
【0072】
請求項8の発明によれば、請求項1〜請求項7いずれかの発明の効果に加え、背面側に粘着剤層が積層されているので、種々の被着体に貼り付けにより適用可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0073】
請求項9の発明によれば、請求項1〜請求項7いずれかの発明の効果に加え、種々の被着体に転写により適用可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0074】
請求項10の発明によれば、請求項8に記載されたようなラベル、もしくは請求項9に記載されたような転写シートが、種々の品物である被着体に適用された情報記録媒体を提供することができる。
【0075】
請求項11の発明によれば、情報Aおよび情報Bの記録が、人の目に触れないので、内容の書き替えが困難な情報記録媒体を提供することができる。
【0076】
請求項12の発明によれば、情報記録媒体に記録された情報Aと情報Bを読み取り、準備されたデータベース内の記録と比較することにより容易に行なえる真偽判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録媒体の積層構造を例示する図である。
【図2】本発明の別の態様の情報記録媒体の積層構造を例示する図である。
【図3】ラベルもしくは転写シート形式の情報記録媒体を例示する図である。
【符号の説明】
1 情報記録媒体
2 保護層
3 ホログラム形成層
4 光反射性層
5 着色層
6 接着剤層
7 被着体
8 透明基材
9 模様層
10 剥離性シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、不正な意図で偽造を試みても、偽造されたものであることが容易に判明し、偽造の困難化が可能な情報記録媒体およびこの情報記録媒体を用いた真偽判別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
我々の身の回りには、それ自身、高品質で高価な種々の品物や、それを使用することにより価値を生じ得る種々の品物が存在する。しかしながら、それらの品物が持つ、もしくはそれらの品物の使用により生じる価値を不正に得ようとする者が、外観を本物に似せた粗悪な品物を製造して販売したり、本物と同様に使用でき不正に価値を生じさせる品物を製造して使用することがある。
【0003】
従来から、それらの品物に、本物か偽物かを判定することが可能なラベル等を積層することが行なわれており、例えば、ホログラム(ホログラムを有する薄い層のことを指すものとする。)が、しばしばその目的で用いられている。しかしながら、ホログラムは多数の工程を経て製造されるので、大量生産上、同じホログラムの図柄を、多数の品物に共通で使用することが普通である。
【0004】
そこで、ホログラムが伴なっていることが多いアルミニウム薄膜等の反射層の反射率の部分的変化により個別情報を記録したホログラム付きカードが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−85102号公報(第2頁、第2図)
【0006】
特許文献1に記載のホログラム付きカードにおいては、個別情報の記録が可能であり、記録のために生じさせる反射層の反射率の変化は不可逆であるため、不正な意図を持つ者が書き替えることはほぼ不可能と言える。
【0007】
しかし、個別情報を記録する前のカードを不正に入手するか、もしくは、新たなカードを不正に複製し、それらのカードに、不正に知り得た個別情報の記録を行なうことによる偽造の余地が依然として残る。また、仮に、本物と同様に複製されたホログラムが使用されている場合、本物かどうかを見分けるには、詳しい分析を要する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、不正な意図を持つ者が、知り得た個別情報の付与を行なうことによる偽造を防止可能な情報記録媒体を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決する手段】
発明者の検討により、情報記録媒体に、個別情報に加えて、個別情報とは別の情報であり、もともと個別情報との関係を持たない、例えば、一連番号を併せて記録し、一連連番号と個別番号とを1:1に対応させることにより、課題を解決することができた。
【0010】
第1の発明は、互いに異なる情報どうしの集合から取り出された情報Aと、前記の情報Aとは1:1の対応関係を有し、前記情報Aとは異なる個別情報である情報Bが、同一な記録媒体に記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記情報Aと前記情報Bが、前記基材に積層された着色層の光学的な変化により記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、前記情報Aと前記情報Bが、前記基材に積層された光反射性層の光学的な変化により記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記光反射性層がホログラム形成層に隣接したホログラムの反射層であることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0014】
第5の発明は、第3または第4の発明において、前記光反射性層の背面側に着色層が積層されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0015】
第6の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、前記情報Aと前記情報Bが、可視可能に記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0016】
第7の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、前記情報Aと前記情報Bが、機械読み取り可能に記録されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0017】
第8の発明は、第1〜第7いずれかの発明の構成に加えて、背面側に粘着剤層が積層されていることを特徴とするラベル形式の情報記録媒体に関するものである。
【0018】
第9の発明は、第1〜第7いずれかの発明の構成に加えて、剥離性基材が剥離可能に積層されていることを特徴とする転写シート形式の情報記録媒体に関するものである。
【0019】
第10の発明は、第8の発明の情報記録媒体が前記粘着剤層を介して、被着体に貼り付けられているか、もしくは、第9の発明の情報記録媒体が、前記剥離性基材を伴なわずに被着体に積層されていることを特徴とする情報記録媒体に関するものである。
【0020】
第11の発明は、第1の発明で規定される情報Aと情報Bが、記録媒体に可視不能に記録されている情報記録媒体に関するものである。
【0021】
第12の発明は、第1の発明で規定される情報Aと情報Bの対応関係を記録したデータベースを準備し、情報記録媒体に記録された前記情報Aおよび前記情報Bを読み出して、前記データベース内の記録と比較することにより、真偽判定を行うことを特徴とする真偽判定方法に関するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の情報記録媒体1は種々の積層構造をとり得るが、一例を挙げると、図1に示すように、上から、保護層2、ホログラム形成層3、光反射性層4、および着色層(もしくは模様層)5が順に積層され、着色層5の下面側が感熱接着剤からなる接着剤層6を介して、被着体7に積層されたものである。保護層2およびホログラム形成層3は、いずれも透明樹脂で構成され、ホログラム形成層3は例えば下面側にレリーフホログラムの微細凹凸を有しているものである。また、光反射性層4は、アルミニウム等の金属薄膜層から構成されており、光反射性層4には、光反射性層4を貫通する孔により光学的な記録4Aが形成されている。
【0023】
上記の例の情報記録媒体1に記録4Aの形成を行なうには、例えば、レーザー光を光反射性層4に照射する光学的な方式により、照射した部分において、光反射性層4に微細な孔をあける等して、光学的な変化を生じさせることにより行なわれるが、この孔は、図の上面側から眺めたときに、光反射性層4の下層が透視できるよう、貫通した孔として形成することが好ましい。このように、光学的な方式による記録は、積層構造を有する情報記録媒体1中の所定の層に焦点を絞って行なうことが容易である上、照射以外の格別な付加的工程を要しない利点を有する。後述するように、このような光学的な変化は、着色層を用いても、同様な手段を用いて行なえる。なお、光反射性層、着色層のいずれの層も、点状加熱手段を備えた感熱プリンター等を用いて、光学的な変化を生じさせることができる。
【0024】
光反射性層4の下層の着色層5は、記録4Aの情報を読み取る側と反対側に光源が存在する場合、着色層5を省くことにより、透過光による情報の読取りを確実に行うことが可能となるが、このような場合以外、光反射性層4の下層に着色層5を伴なう方が、光反射性層4に形成した孔から、その部分の着色層3が見えるから、記録4Aが、光反射率の差に加えて、色相の差も有することになり、一層見えやすくなる。また、このとき、着色層5に蛍光染料もしくは蛍光顔料等の蛍光色素を含有させておけば、紫外線もしくは紫外線等の照射により、孔の部分から蛍光発光が生じるように構成することもできる。以降において、蛍光染料および蛍光顔料等を総称して、蛍光色素と言うものとする。なお、着色層5の着色されたことによる機能、もしくは蛍光色素を含有させたことによる機能は、着色層5を設けず、接着剤層6として着色されたもの、もしくは蛍光色素を含有させたものを使用することによっても得られるので、そのように構成してもよい。
【0025】
ホログラム形成層3にアルミニウム等からなる光反射性層4を積層する代りにホログラム形成層3とは屈折率の異なる、例えば、ホログラム形成層3よりも屈折率の高いTiO2、もしくはZnS等の素材の透明薄膜を積層しても、透視性を有しながらも、ホログラム画像を見ることができ、この場合には、その薄膜のさらに下層に着色層を積層しておき、その着色層に光学的な記録を行なってもよい。このケースは、透明なホログラムの下層に組合せた着色層への記録である。ここで、着色層は、単色の層であってもよいが、絵柄、文字、バーコード、もしくはその他の情報を印刷した印刷層であってもよく、それらのうちの任意のものが組合せられたものであってもよい。着色層が絵柄、文字、バーコード、もしくはその他の情報を有するときは、光学的な記録は、それらの情報を損なわない程度に行なうことが好ましい。このようにホログラム形成層3、透明薄膜、および情報を有する着色層を備えることにより、ホログラムの情報、印刷層である着色層が有する情報、および着色層の光学的な記録による情報の三種類の情報を持つ情報記録媒体とすることができる。
【0026】
図1を引用して説明した情報記録媒体1は、被着体7に、転写もしくはラベル貼り等により製造するのに適している。もちろん、適宜な基材に、光学記録の可能な層を積層した構成のものであっても、情報記録媒体となり得る。
【0027】
被着体7は、偽造されては困るものであれば何でもよいが、例えば、ID(本人確認)用の預貯金カード、クレジットカード、身分証明書等、紙幣や各種の金券、高級ブランド商品と言われる腕時計、貴金属、宝飾品等、ソフトウェア類、例えば、音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶媒体、コンピュータ用の出力端末等に用いる消耗品類、例えば、トナー、印画紙を挙げることができる。あるいは、車両、バイク、自転車等の、屋外に置かれるため、盗難に会うことの多い物品も、ナンバープレート等を付け替えて、異なる物品であるかのように加工されるものも、被着体7となり得る。これらには、一品の単価が必ずしも高額ではないが、大量に消費されるため、偽造した品物が出回ると、正規の品物の販売が打撃を受ける可能性があるものも含まれる。なお、被着体7は、これらの列挙した品物そのものではなく、それらを収納するケース、包装箱等であってもよい。
【0028】
本発明の情報記録媒体1は、図1を引用した説明では、保護層2側より記録4Aを確認することを想定したが、上記の被着体7として、無色透明もしくは着色透明(両方の意味を含めて、単に透明と言うことがある。)であるものを対象としたときは、被着体7側から記録4Aを確認することもできる。例えば、ガラス製の被着体7であれば、被着体側から、記録4Aを確認することができ、乗用車等のガラス製の窓の内側に貼り付けた情報記録媒体1を外側から確認することもでき、外側からのいたずらも防止可能である。
【0029】
なお、情報記録媒体1が粘着剤層を伴なったラベルタイプのものである場合、粘着剤層及び剥離性シートが可視光域で透明であり、さらにレーザー波長域で透明であれば、粘着剤層側からのレーザー加工による記録の形成も可能となる。
【0030】
記録4Aに盛られるべき情報としては、本発明においては、大別して、(1)各々の情報どうしは異なるものである情報Aと、(2)情報Aとは関係が無い別の情報Bの二種類がある。このうち、情報Aは、代表的には連続番号をなす数字である。連続番号は、必要な桁数を有し、隣り合う各番号の差が1であるような番号どうしであり、仮に番号が4桁であれば、0001、0002、0003、……、のような番号である。情報Aは、0002、0004、0006、……、のような各番号の差が2である偶数番号、もしくは、0001、0003、0005、……のような奇数番号であってもよい。これらの番号の集合は、等差数列をなすものであるが、等比数列をなすものであってもよい。
【0031】
連続番号でなくても、あいうえお、かきくけこ、……、あるいは、a、b、c、……、のように、かな文字やアルファベット等の文字は、順番を決めることができる。かな文字の場合には、いろはにほへと……の順もある。また、漢字も、漢字コードを利用することにより、漢字コードの大小の順を付けることができるから、文字もまた、番号と同様に扱うことができる。
【0032】
上記の数字、および文字は、各々の単独でも、あるいは互いに任意に組み合わせて使用することもできるが、重複を避ける意味で、連続番号や、連続番号の最初や最後に文字を付した文字付きの連続番号を使用することが好ましい。もちろん、重複を避けて作成されたランダムな番号、もしくは文字付きの番号であってもよい。
【0033】
情報Bの個別情報は、例えば、人を扱う場合であれば、住所、郵便番号、氏名、生年月日、性別、電話番号、もしくは住民基本台帳における各人の番号等の個人の属性に関する情報である。これらの情報は、文字や数字で表現されるもののほか、容貌(顔写真など)、指紋、声紋、署名等の文字や数字では表現できない情報であってもよい。
【0034】
個別情報は、人に限るものではなく、種々の工業製品の製造日、製造ロット番号、製造番号、……等も個別情報として扱える。なお、自動車もしくはバイク等のナンバープレートのナンバーは、重複が無い一連番号であるので、連続番号として扱うこともできるし、個別番号とみなして扱うこともできる。
【0035】
情報Aと情報Bは、異なる別の情報であることが望ましい。異なる別の情報であるとは、一方の情報から他方の情報を、一定の手順や数式等により発生させることができない事を言う。また、情報Aと情報Bとは、互いに1:1に対応した対応関係を持たせることが望ましい。即ち、情報AであるA1、A2、A3と、情報BであるB1、B2、B3とは、A1とB1、A2とB2、A3とB3のように対応関係が決められていて、しかも、それらの対応関係が、予めデータベースに記録されており、直接もしくはオンライン等で照合可能とされていることが望ましい。このようにすることにより、情報記録媒体に記録された前記情報Aおよび前記情報Bを読み出して、データベース内の記録と比較し、真偽判定を行うことが容易になる。また、情報Aと情報Bの対応関係は固定されていて、仮に、情報BであるB2が事情により変更され、B2’となるべき必要が生じた場合、A2とB2の対応関係を変更して、A2とB2’の対応関係とせずに、空いている次の番号、例えばA4を新たに用いて、A4とB2’とを対応させるようにすることが望ましい。
【0036】
なお、情報Aと情報Bのいずれかが暗号化されている場合であって、例えば情報Bが情報Aを暗号化したものであるときは、通常の方法で解読できなければ、「情報A≠情報B」とみなせるので、情報Bは、情報Aを暗号化したものであってもよい。また、情報Aと情報Bが異なる別の情報であるとき、いずれか一方、もしくは両方が暗号化された情報であってもよい。また、以上の説明では、情報Aと情報Bの二種類の情報を例に説明したが、これらに加えて、情報C、情報D、…のように、扱う情報の種類を増やし、情報Aと情報B、情報Aと情報C、情報Aと情報D、…のように、それぞれを1:1に対応させてもよい。即ち、互いに異なる情報どうしの集合から取り出された情報Aと、前記の情報Aとは1:1の対応関係を有し、前記情報Aとは異なる個別情報である複数の情報(B、C、D、…)を、同一な記録媒体に記録して情報記録媒体とすることもできる。この複数の情報(B、C、D、…)は、1個の多元情報とみなすこともできる。
【0037】
本発明においては、情報Aと情報Bとが上記のような対応関係を有しているので、不正な意図を持つ人が、外観を似せて、情報Aおよび情報Bに相当する情報を記録したとしても、情報Aと情報Bとを読み取って、予め記録された対応関係と一致しなければ、情報記録媒体1が偽物であることの判定が容易になる。
【0038】
本発明の情報記録媒体1は、図1を引用して例示した以外にも種々のタイプのものがあり得る。
【0039】
本発明の情報記録媒体1は、光学的に記録されていることが好ましいので、適宜な基材上に光学的な記録が可能な層が積層されているものであればよい。光学的な記録が可能な層は、代表的には、金属薄膜等の光反射性層であるが、着色された樹脂層等の着色層も利用することができ、これらのほか、光照射や点状加熱等により、化学的もしくは物理的な変化を生じ得る層であればいずれでもよい。このうち、金属薄膜等の光反射性層は、記録の部分と周囲の部分とのコントラストがよく、好ましい。
【0040】
基材上に光学的な記録が可能な層を積層するには、基材の観察側に積層するやり方もあるが、透明な基材(以降、透明基材)を使用し、その背面側に積層しても、記録や記録が形成されたものの観察が可能である上、透明基材に光学的な記録が可能な層の保護機能を持たせることも可能となるので好ましい。もちろん、光学的な記録が可能な層を基材の観察側に積層しても、さらにその上に、透明な樹脂からなる保護層を積層すれば、保護機能を有したものとすることができる。
【0041】
図2は、本発明の情報記録媒体1の別の態様を示す図である。図2(a)に示す態様によれば、情報記録媒体1は、上から、透明基材8、模様層9、および光反射性層4が順に積層され、光反射性層4の下面側に粘着剤層6Aおよび剥離性シート10が順に積層されたものであって、光反射性層4に記録4Aが形成された、ラベル形式のものである。
【0042】
図2(b)に示す態様によれば、情報記録媒体1は、情報記録媒体1は、上から、透明基材8、および着色層5が順に積層され、着色層5の下面側に粘着剤層6Aおよび剥離性シート10が順に積層されたものであって、着色層5に記録5Aが形成されたラベル形式のものである。着色層5に形成される記録5Aは、例えば、レーザー照射により形成された着色層5の貫通孔、もしくは無色化した部分からなる。
【0043】
上記の例において、透明基材8は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムのような、透明で強度のあるプラスチックフィルムを用いることが好ましい。模様層9は印刷等により、適宜な図柄もしくは文を透明基材8側から眺められるように形成されたものである。また、光反射性層4は図1を引用して説明した際の、ホログラムの視認性を高めるためのものと、素材的には同様のものであり、記録4Aは、光反射性層4および上層の模様層9にわたって形成された、貫通した孔により構成されていることが好ましい。図1を引用して説明したときと同様である。
【0044】
図2を引用して説明した例では、光反射性層4もしくは着色層5の下層は粘着剤層6Aであり、使用までの間、粘着剤層6Aの下面を保護する目的で、剥離性シート10が積層されており、必要の都度、剥離性シート10は剥離して除去され、露出した粘着剤層6Aを利用して、被着体の表面に感圧接着させることができる。図1を引用して説明した例では、接着剤層6を感熱接着剤で構成することを例示しており、感熱接着剤は、厚みが薄くても接着性が高く、接着剤層の積層の効率もよい上、熱と圧力をかけることにより、ほぼ瞬間的に接着できる利点があるが、接着剤層を粘着剤で構成すれば、必要の都度、手で貼ることもできるから、情報記録媒体1を被着体に適用する頻度が少ないときには、有利である。なお、粘着剤としては、不正に剥がされたり、貼り替えられることを防止する意味で、接着力の強いものを使用することが好ましい。
【0045】
なお、図2(a)を引用して説明した例においては、透明基材8、光反射性層4、および粘着剤層6Aの各層が最小限必要であるが、透明基材8と粘着剤層との間に着色層が積層されていてもよく、着色層が蛍光色素を含有するものであってもよいし、着色層を設けずに、粘着剤層6Aに着色したり、蛍光色素を含有させてもよい。
【0046】
また、図2(b)を引用して説明した例においては、着色層5と粘着剤層6Aとの間に、第2の着色層を介在させ、先の着色層(第1の着色層とする。)としてはレーザー照射により照射部分が除去可能なタイプを、また、第2の着色層としてはレーザー照射により照射部分が除去されないタイプを選ぶことにより、記録5Aの読取りを容易にすることができる。
【0047】
また、図2を引用して説明した例のものを透明基材8と光反射性層4の間、もしくは透明基材と着色層5の間を、必要なら保護層を兼ねた剥離性の層を介して構成し、粘着剤層6Aを接着剤層、好ましくは感熱接着剤層とすることにより転写シートの構成とすることもできる。
【0048】
金属薄膜等の光反射性層4は、単独で基材上に積層しても、光学的な記録を行なうことができるが、ホログラム形成層に隣接した光反射性層を利用することもできる。ホログラム形成層は、一例として、透明な樹脂からなる層の表面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成したもので、光反射性層として金属薄膜を微細凹凸に沿って形成し、ホログラムの視認性を高めることが行なわれているからである。このように、ホログラム形成層に隣接した光反射性層を利用する場合は、ホログラムが有する高度で独特な意匠性、製造上の困難性が、偽造防止性の向上に寄与する。
【0049】
図3は、図1の情報記録媒体1を構成するために準備することが好ましい、ラベル形式(図3(a))および転写シート形式(図3(b))の情報記録媒体1の例を示す図である。
【0050】
図3(a)に示すように、ラベル形式の情報記録媒体1は、上から透明基材8、ホログラム形成層3、光反射性層4、および着色層5が順に積層され、着色層5の下面に粘着剤層6Aおよび剥離性シート10が順に積層された構造を有し、光反射性層4に記録4Aが形成されたものである。図1を引用して説明した例の被着体7よりも上の部分における保護層2が透明基材8に、また、接着剤層6が粘着剤層6Aとされたものに相当する。図3(a)中、矢印で示す粘着剤層6Aと剥離性シート10の間で剥離して使用する。
【0051】
図3(a)を引用して説明した上記の積層構造の情報記録媒体1は、透明基材8を準備し、ホログラム形成層3を構成するための樹脂層を形成し、その露出面にレリーフホログラムの複製用型を圧着して、ホログラムの微細凹凸を賦型してホログラム形成層を形成し、その後、アルミニウム等の金属の蒸着による光反射性層4を形成し、塗料もしくはインキを用いて着色層を形成し、その後、粘着加工して製造するというように、順次、層を積層して製造するのに適した積層構造を有している。記録4Aの形成は、光反射性層4が積層された以降、いつでも行なうことができるが、粘着加工まで済ませたものに対して行なうことが一般的である。なお、透明基材8〜ホログラム形成層3の間に脆質な層(以降、脆質層とも言う。)を介在させておくと、被着体に貼ったのち、不正な意図で剥がそうとすると、情報記録媒体1が破壊され、ほかの被着体に貼り替えることが不可能になるので好ましい。
【0052】
図3(b)に示すように、転写シート形式の情報記録媒体1は、上から透明基材8、保護層2、ホログラム形成層3、光反射性層4、および着色層5が順に積層され、着色層5の下面に接着剤層6が順に積層された構造を有し、光反射性層4に記録4Aが形成されたものである。図3(b)に示す構造から透明基材8を除去したものが、図1を引用して説明した例の被着体7よりも上の部分に相当する。ここで、保護層2は、転写後のホログラム形成層3を保護するためのものであるが、転写の際に、透明基材8とホログラム形成層3との間の剥離を適度にするための役割を持たせることもできる。図3(b)中、矢印で示す透明基材8と保護層2の間で剥離して使用する。
【0053】
図3(b)を引用して説明した上記の積層構造の情報記録媒体1も、保護層2を形成する点と、粘着剤層6Aおよび剥離性シート10の積層に替えて接着剤層6の積層を行なうことを除けば、図3(a)を引用して説明したのと同様にして、順次、層を積層して製造するのに適した積層構造を有している。記録4Aの形成は、光反射性層4が積層された以降、いつでも行なうことができるが、転写シートとして完成した以降に行なうことが一般的である。なお、保護層2〜ホログラム形成層3の間に脆質な層を介在させておくと、被着体に転写したのち、不正な意図で剥がそうとすると、情報記録媒体1が破壊され、ほかの被着体に貼り替えることが不可能になるので好ましい。
【0054】
図3(a)および図3(b)を引用して説明した例において、光反射性層5の下層の着色層5は、既に述べた通り、省くことも可能であるが、また、設けたことによる意義も有している。なお、粘着剤層6Aもしくは接着剤層6を着色することにより、着色層5の働きを兼ねることができるので、このようにすれば、着色層5の積層を省略することもできる。なお、図3(a)および図3(b)を引用して説明した例において、ホログラム形成層3は、その上層側に接する着色層を伴なっていてもよく、着色層の上層側に脆質層を伴なっていてもよい。なお、脆質層もしくはホログラム形成層を着色することにより、着色層を別の層として形成しなくても、着色層を兼ねさせることができる。
【0055】
本発明における記録4Aは、人が直接的に読取れる数字や文字の形式でなされていてもよいが、人も機械も読取れるOCR文字でもよいし、二次元バーコードの形式として機械読取り可能なものとしてもよく、読取りと対応関係の照合を迅速に行なうことが可能となる。また、情報Aおよび情報Bの記録を、磁気記録層や光磁気記録層等の可視不能に記録できる記録媒体を用いて行なえば、そのような記録を行った情報記録媒体は、記録が、人の目に触れないので、内容の書き替え等が非常の困難になり、好ましい。
【0056】
また、本発明の情報記録媒体1を屋外に曝される用途に用いる場合、耐候性のあるフッ素系樹脂フィルム等を基材として用いるか、最上層の保護層を兼ねて用いることにより、長期間の使用に耐えるよう構成することができ、同様な意味で粘着剤中に紫外線吸収剤を配合する等して、粘着剤の粘着効果を長期間、保つようにすることも好ましい。
【0057】
【実施例】
(実施例1)
透明基材として厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを準備し、その片面に、絵柄を印刷した後、印刷面にアルミニウムを蒸着し、厚みが400Åの光反射性層を形成した。次に、光反射性層上に、粘着剤を塗布し、剥離性フィルムをラミネートして、ラベル状の情報記録媒体を得た。
【0058】
得られたラベル状の情報記録媒体を、レーザープリンター用のトナーカセットの包装用箱の表示用として貼るため、透明基材側より光反射性層に、YAGレーザー(波長;1064nm、スポット径;100μm)を用い、トナーカセット用に予め決められた桁数、および開始する際の番号に基づいて、連続番号(情報A)を発生させ、所定の間隔で印字した。また、この連続番号の情報Aとは異なる連続番号(情報B)を発生させ、情報Aと同様の方法により印字し、こうして得られたラベルの各々をトナーカセットの包装用箱の表面の所定の位置に、内部に収容するトナーカセットに刻印された連続番号とラベルの情報Aの連続番号とを一致させて貼り付けた。また、情報Aを構成する各番号と情報Bを構成する各番号との対応関係を、製品管理用のコンピュータのメモリーに記憶させた。
【0059】
以上のようにしてトナーカセットの包装箱に貼り付けられたラベルに印字された情報Aを見ることにより、トナーカセットに付された連続番号を知ることができ、また、開封した時に、内容物のトナーカセットが使用を目的とするものであるかの確認が可能となった。また、ラベルに付されている二つの番号を読み取って、上記の製品管理用のコンピュータのメモリーに記憶させたデータと照合し、二つの番号の対応関係を確認することによって、ラベルの真正性、およびトナーカセットの真正性を確認することができた。
【0060】
(実施例2)
実施例1におけるのと同じ素材の透明基材の片面に、絵柄を印刷した後、印刷面に透明なインキメジウムをコーティングし、コーティング面に、厚みが900ÅのSnの反射層を蒸着により形成し、蒸着面に粘着剤を塗布し、剥離性フィルムをラミネートして、ラベル状の情報記録媒体を得た。
【0061】
得られたラベル状の情報記録媒体の透明基材側より、サーマルヘッドを有する感熱プリンターを用いて、実施例1におけるのと同様にして情報Aおよび情報Bを印字したところ、ラベル状の感熱記録媒体に印字された情報を、機械読み取りすることができ、実施例1におけるのと同様な効果が確認された。
【0062】
(実施例3)
実施例1におけるのと同様な透明基材上に、紫外線硬化性樹脂を塗布し、レリーフホログラムの複製用型を圧着した状態で紫外線を照射して硬化させ、ホログラムの微細凹凸を有するホログラム形成層を形成した。得られたホログラム形成層の微細凹凸上に、アルミニウムを厚みが400Åになるよう蒸着し、蒸着面に、粘着剤を塗布し、剥離性フィルムをラミネートして、ラベル状の情報記録媒体を得た。
【0063】
得られたホログラム付きのラベル状の情報記録媒体を、車両の盗難防止用として貼るため、実施例1におけるのと同様にして情報Aおよび情報Bを印字し、情報Aを構成する各番号と情報Bを構成する各番号とを対応させて、ラベル管理用のコンピュータのメモリーに記憶させた。情報Aとしては、実施例1におけるのと同様に、予め決められた桁数、および開始する際の番号に基づいて、連続番号を発生させて使用し、情報Bとしては車両メーカーが付与する車両の一両毎に固有な車体番号を使用した。車体番号は、車種等による固有の記号、および連続番号からなるものを使用した。
【0064】
得られたラベルの各々を車両のリアガラスの内側に貼って使用することにより、情報Bである車体番号の確認が容易になる上、情報Aと情報Bとを読み取って、上記のラベル管理用のコンピュータのメモリーに記憶させたデータと照合し、二つの番号の対応関係を確認することによって、ラベルの真正性を確認することができた。また、情報Bとして、自転車およびバイクの車体番号を使用することにより、自転車およびバイクのフレーム、カバー等に貼ることにより、ラベルの真正性を確認することができた。
【0065】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、個別情報に加えて、一連番号等の番号を有し、しかも、それらの番号が対応関係を有するため、不正な意図で、情報Aおよび情報Bに相当する情報を記録しても、予め記録された対応関係と一致しなければ、偽物であることの判定が容易であり、偽造防止性の高い情報記録媒体を提供することができる。
【0066】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、情報が着色層への光学的な記録によるものであるので、所定の層への記録を格別な付加的工程を必要とせずに行なうことが可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0067】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、情報が光反射性層への光学的な記録によるものであるので、所定の層への記録を格別な付加的工程を必要とせずに行なうことが可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0068】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、ホログラムが有する高度で独特な意匠性、製造上の困難性により偽造防止性の高められた情報記録媒体を提供することができる。
【0069】
請求項5の発明によれば、請求項3または請求項4の発明の効果に加え、記録が貫通した孔により構成される場合、観察側から着色層が見えるために、記録が色相のコントラストを有して形成され、記録の視認性の向上した情報記録媒体を提供することができる。
【0070】
請求項6の発明によれば、請求項1〜請求項5いずれかの発明の効果に加え、記録された情報を直接的に見ることが可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0071】
請求項7の発明によれば、請求項1〜請求項5いずれかの発明の効果に加え、記録された情報が機械読取り可能であるため、読取りと同時に対応関係の照合が可能になる情報記録媒体を提供することができる。
【0072】
請求項8の発明によれば、請求項1〜請求項7いずれかの発明の効果に加え、背面側に粘着剤層が積層されているので、種々の被着体に貼り付けにより適用可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0073】
請求項9の発明によれば、請求項1〜請求項7いずれかの発明の効果に加え、種々の被着体に転写により適用可能な情報記録媒体を提供することができる。
【0074】
請求項10の発明によれば、請求項8に記載されたようなラベル、もしくは請求項9に記載されたような転写シートが、種々の品物である被着体に適用された情報記録媒体を提供することができる。
【0075】
請求項11の発明によれば、情報Aおよび情報Bの記録が、人の目に触れないので、内容の書き替えが困難な情報記録媒体を提供することができる。
【0076】
請求項12の発明によれば、情報記録媒体に記録された情報Aと情報Bを読み取り、準備されたデータベース内の記録と比較することにより容易に行なえる真偽判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録媒体の積層構造を例示する図である。
【図2】本発明の別の態様の情報記録媒体の積層構造を例示する図である。
【図3】ラベルもしくは転写シート形式の情報記録媒体を例示する図である。
【符号の説明】
1 情報記録媒体
2 保護層
3 ホログラム形成層
4 光反射性層
5 着色層
6 接着剤層
7 被着体
8 透明基材
9 模様層
10 剥離性シート
Claims (12)
- 互いに異なる情報どうしの集合から取り出された情報Aと、前記の情報Aとは1:1の対応関係を有し、前記情報Aとは異なる個別情報である情報Bが、同一な記録媒体に記録されていることを特徴とする情報記録媒体。
- 前記情報Aと前記情報Bが、前記基材に積層された着色層の光学的な変化により記録されていることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
- 前記情報Aと前記情報Bが、前記基材に積層された光反射性層の光学的な変化により記録されていることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
- 前記光反射性層がホログラム形成層に隣接したホログラムの反射層であることを特徴とする請求項3記載の情報記録媒体。
- 前記光反射性層の背面側に着色層が積層されていることを特徴とする請求項3または請求項4記載の情報記録媒体。
- 前記情報Aと前記情報Bが、可視可能に記録されていることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれか記載の情報記録媒体。
- 前記情報Aと前記情報Bが、機械読み取り可能に記録されていることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれか記載の情報記録媒体。
- 請求項1〜請求項7いずれか記載の構成に加えて、背面側に粘着剤層が積層されていることを特徴とするラベル形式の情報記録媒体。
- 請求項1〜請求項7いずれか記載の構成に加えて、剥離性基材が剥離可能に積層されていることを特徴とする転写シート形式の情報記録媒体。
- 請求項8記載の情報記録媒体が前記粘着剤層を介して、被着体に貼り付けられているか、もしくは、請求項9記載の情報記録媒体が、前記剥離性基材を伴なわずに被着体に積層されていることを特徴とする情報記録媒体。
- 請求項1で規定される情報Aと情報Bが、記録媒体に可視不能に記録されている情報記録媒体。
- 請求項1で規定される情報Aと情報Bの対応関係を記録したデータベースを準備し、情報記録媒体に記録された前記情報Aおよび前記情報Bを読み出して、前記データベース内の記録と比較することにより、真偽判定を行うことを特徴とする真偽判定方法。
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2003
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