JP2824550B2 - 電磁調理鍋 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願発明は、電磁調理鍋の構造に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】最近では、加熱手段として電磁誘導加熱
装置（所謂ＩＨ）を採用した電気炊飯器が一般に提供さ
れてきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電磁調
理器具としての鍋などでは電磁誘導加熱タイプのものが
提供されていない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本願各発明は、上記の事
情に鑑み、新に電磁調理鍋を構成するに際し、上記のよ
うな従来の問題を解決することを目的としてなされたも
のであって、次のように構成されている。

【０００５】器体を構成する内ケース及び外ケースと、
この内ケースの底部裏面側に設けられたワークコイル部
と、上記内ケースに収納されて電磁誘導にて加熱される
鍋とからなり、上記鍋は開口縁部に鍔部を形成して、こ
の鍔部を内ケースの開口縁部にこの鍔部裏面に形成した
リブを介在して載置し、上記内ケース底部と鍋底部との
間に上記リブの突出量に応じた所定の隙間を有して吊持
状態で内ケースに収納すべくし、上記鍋の鍔部は、逆Ｕ
字状に折り曲げられ、下方への延設端が内ケースの開口
縁部上端よりも低く位置されて形成されていることを特
徴とする。

【０００６】

【作用】以上のように、鍋の鍔部裏面に形成したリブの
作用によって鍋の吊持収納状態において、鍋の底部と内
ケースの底部との間に上記リブの突出量に応じた所定間
隔の隙間が形成されるようになり、他方鍋鍔部と内ケー
スの開口縁部との間にも隙間が形成されて、この隙間を
介して外部に開放されることになる。従って、鍋から内
ケースへの直接的な伝熱量が小さくなるとともに上記隙
間が上記鍋から内ケースへの断熱空間として有効に作用
するようになり、鍋が内ケースを高温状態に加熱するよ
うなことがなくなる。

【０００７】また鍋が内ケースに直接載置されることと
相俟って内ケースを例えば耐熱性のある高価格な合成樹
脂部材などで形成する必要がなく、低価格で加工、成形
が容易な合成樹脂で内ケースを形成することが可能とな
り、それと相俟って上記断熱空間による断熱作用によ
り、内ケース裏面のワークコイル部に対する特別な断熱
対策が不要となるので、ワークコイル部の設置も容易と
なる。特に、鍋の鍔部が逆Ｕ字状に折り曲げられ下方へ
の延設端が内ケースの開口縁部上端よりも低く形成され
ていることから、例え鍋から煮汁等の吹きこぼれが生じ
ても、それが内ケース内に侵入して内ケース内を汚すよ
うなことがなくなる。

【０００８】

【発明の効果】以上の結果、本願発明の電磁調理鍋によ
ると、電磁誘導加熱の特性を利用して加工、成形が容易
で低コストの電磁調理鍋を提供することができるように
なる。

【０００９】

【実施例】（１）第１実施例 図１〜図３は、本願発明の第１実施例に係る電磁調理鍋
の構成を示している。

【００１０】図中、符号１は有底筒状の合成樹脂プレー
トよりなる外ケースであり、該外ケース１の上端側開口
縁部２は内周側に内ケース載置用の鍔部２ａを備えて形
成されている。そして、該外ケース１の鍔部２ａに対し
て上方側から、その上端側開口縁部４ａ外周に形成され
た鍔部３を載置係合することにより当該外ケース１内に
耐熱性の合成樹脂プレートよりなる内ケース４が吊持状
態で収納されている。

【００１１】内ケース４は、その底部４ｂ外周側３ケ所
に下方に延びる抜け止め用の支持スリーブ３４ａ〜３４
ｃを介して上記外ケース１の底面部側凸状の支持部１ａ
〜１ｃに衝合当接され、ビス５ａ〜５ｃで当該支持部１
ａ〜１ｃの下面側から相互に連結されることにより支持
固定されている。そしてこの内ケース１と上記外ケース
４により器体を構成している。

【００１２】また、該内ケース４の底部４ｂ中央には、
センタセンサ６が設けられており、該センタセンサ６を
包囲するように環状のワークコイル７が配設されてい
る。上記センタセンサ６内には、次に述べる鍋１０の温
度を検出する感温素子（図示省略）及び同鍋１０がセッ
トされているか否かを検知する鍋セットセンサ（図示省
略）等が内蔵されている。該センタセンサ６は、上記内
ケース４の底部４ｂ中央裏面側に一体成形された筒状の
センサ嵌装部８内に嵌装され、その下方からセンサ保持
ブラケット９を介してビス２７ａ〜２７ｃにより締結固
定されるようになっており、その上端側感熱面６ａが上
記内ケース４の底部４ｂに形成された貫通穴１２を貫挿
して所定量上方に突出するように図示しないスプリング
を介して付勢支持されている一方、下端側リード端子部
６ｂは上記センサ保持ブラケット９の嵌合口１３を介し
て所定量下方に突出せしめられている。

【００１３】また、上記ワークコイル７は、図２に示す
ように一本のコイルを渦巻き状に一体巻成した平盤状の
コイルユニットよりなり、該コイルユニットをワークコ
イル押え１４、フェライトコア１５ａ，１５ｂ，１５
ｃ、圧接チューブ１６ａ，１６ｂ，１６ｃ、コア押え１
７を介して上記内ケース４の底部４ｂ裏面に下方側から
押圧固定することによって取付けられている。ワークコ
イル押え１４は、図２に示すように中央部に小径の第１
リング部１４ａを、また外周部に大径の第２リング部１
４ｂを有するとともに該第１リング部１４ａから第２リ
ング部１４ｂ方向（半径方向）に放射状に延びるフェラ
イトコア嵌装溝１８ａ，１８ｂ，１８ｃを設けて形成さ
れており、これらフェライトコア嵌装溝１８ａ，１８
ｂ，１８ｃ内に直方体状のフェライトコア１５ａ，１５
ｂ，１５ｃと圧接チューブ１６ａ，１６ｂ，１６ｃを積
層状態で嵌装し得るようになっており、上記第１リング
部１４ａの外周部にはビス嵌挿部１９ａ，１９ｂ，１９
ｃが形成されている。また、コア押え１７は、図２に示
すように上記状態のワークコイル７、ワークコイル押え
１４をその外周縁部をも含んで嵌合圧接し得るような外
周にフランジ部１７ａを有する皿状部材により形成され
ている。また、中央部には上記内ケース４側のセンサ嵌
装部８を嵌合するための嵌合穴１７ｂが形成されてい
る。そして、上記外周部側のフランジ部１７ａと嵌合穴
１７ｂ周縁の各３ケ所のビス嵌挿孔２２ａ〜２２ｃ（２
２ａは図示省略）、２３ａ〜２３ｃを介して上記内ケー
ス４の底部４ｂ裏面側に対応設置されているスタッド状
のビス螺合部２４ａ〜２４ｃ、２５ａ〜２５ｃにビス２
６ａ〜２６ｃ（２６ｂ、２６ｃは図示省略）、２７ａ〜
２７ｃ（２７ｂ、２７ｃは図示省略）を通して螺合締結
することにより、図１に示すようにワークコイル７を内
ケース４側に固定一体化している。従って、該構成で
は、先ず上記内ケース４を裏返した状態（図２の上下逆
の状態）において、内ケース裏面上にワークコイル７、
ワークコイル押え１４、フェライトコア１５ａ〜１５
ｃ、圧接チューブ１６ａ〜１６ｃ、コア押え１７を順次
重合積層した状態で最後にビス２６ａ〜２６ｃ、２７ａ
〜２７ｃで上記内ケース４側にコア押え１７をビス止め
するだけで簡単にワークコイルユニットを内ケース４に
一体的に設置することができる。

【００１４】また、符号４０は、制御基板であり、該制
御基板４０上には、パワートランジスタ（ＩＧＢＴ）４
１、ヒートシンク４２、ダイオードブリッジ４３などが
設置されている。そして、該制御基板４０は上記コア押
え１７の裏面側に設けられた支持ステー４４ａ，４４ｂ
にビス４５ａ，４５ｂを介して固定されている。

【００１５】一方、符号４６は冷却ファン（シロッコフ
ァン）であり、その吹き出し口４６ａを上記制御基板４
０のパワートランジスタ４１およびヒートシンク４２方
向に向けて設置されており、それらの放熱部の冷却を行
うようになっている。従って、該構成では、結局上記の
ように制御基板ユニット、ワークコイルユニットの全て
が内ケース４の底部４ｂ裏面側に一体化されることにな
り、該構造の内ケース４を上記外ケース１内に図１のよ
うに吊設状態収納することのみで、調理鍋の本体部が完
成されることになり、組立ては極めて簡単である。

【００１６】一方、符号１０で示す鍋は、上記のように
して構成された調理鍋本体側の上記内ケース４内に嵌合
し得る大きさの有底筒状の例えば渦電流によって発熱し
やすい金属板（ＳＵＳ、クラッド鋼など）よりなり、そ
の上端側開口縁部外周は、水平方向外方に折り曲げられ
た第１の縁部１０ａと該第１の縁部１０ａから外側で上
方側から下方側に逆Ｕ字状に折り曲げられた第２の縁部
１０ｂとの鍔部からなり、上記鍔部をなす第１の縁部１
０ａの裏面には複数個所で図３に示すように下方に所定
寸法突出したリブ２１，２１，２１が形成されている。
また、上記第２の縁部１０ｂの下端１０ｄは、外ケース
２の鍔部２ａ上面との間に所定の寸法Ｌ_１を置き、かつ
上記内ケース４の上端側開口縁部４ａの上端４ｃよりも
所定寸法Ｌ_２だけ低い位置まで延設されている。

【００１７】そして、上記のように鍔部裏面にリブ２
１，２１，２１を形成した第１の縁部１０ａを上記内ケ
ース４の開口縁部４ａの上端４ｃに載置係合させること
により上記鍋１０がリブ２１，２１，２１を介在して上
記内ケース４の底部と鍋１０の底部及びそれぞれの内周
面との間に所定の間隔の隙間２９を形成した状態で同内
ケース４内に吊持状態で収納されている。一方、該収納
状態では、当該鍋１０の底面１０ｃに上記センタセンサ
６上端の感熱面６ａが当接する。

【００１８】すなわち、該構成では、鍋１０の鍔部裏面
に形成したリブ２１，２１，２１の作用によって鍋１０
の吊持収納状態において、鍋１０の底部と内ケース４の
底部との間に上記リブ２１，２１，２１の突出量に応じ
た所定間隔の隙間２９が形成されるようになり、他方鍋
鍔部と内ケース４の開口縁部との間にも隙間２９が形成
されて、この隙間２９を介して外部に開放されることに
なる。従って、鍋１０から内ケース４への直接的な伝熱
量が小さくなるとともに上記隙間２９が上記鍋１０から
内ケース４への断熱空間として有効に作用するようにな
り、鍋１０が内ケース４を高温状態に加熱するようなこ
とがなくなる。

【００１９】また鍋１０が内ケース４に直接載置される
ことと相俟って内ケース４を例えば耐熱性のある高価格
な合成樹脂部材などで形成する必要がなく、低価格で加
工、成形が容易な合成樹脂で内ケース４を形成すること
が可能となり、それと相俟って上記断熱空間による断熱
作用により、内ケース４裏面のワークコイル部７に対す
る特別な断熱対策が不要となるので、ワークコイル部７
の設置も容易となる。特に、鍋１０の鍔部が逆Ｕ字状に
折り曲げられ下方への延設端が内ケース４の開口縁部上
端よりも低く形成されていることから、例え鍋１０から
煮汁等の吹きこぼれが生じても、それが内ケース４内に
侵入して内ケース４内を汚すようなことがなくなる。

【００２０】さらに、符号３０は上記鍋１０の上部に嵌
合される蓋部材であり、該蓋部材３０は、外周面を構成
する把手３１ａを有した所定重量のカバー部材３１によ
って形成されている。そして、該カバー部材３１の外周
縁部３２は、上記鍋１０の開口縁部の第１の縁部１０ａ
によって上面側に形成された段部１０ｃ上に載置嵌合さ
れて鍋１０内のシール機能を果たすようになっている。

【００２１】さらに、上記内ケース４と外ケース１との
間には、隔壁４８を介して断熱空間４９を形成した上で
該断熱空間４９側に上記ワークコイル７への給電制御を
行うための図示しないマイクロコンピュータユニットが
収容されている。また、上記外ケース１の前面側には、
操作部を構成する操作パネル部５０が設けられている。
この操作パネル部５０には、調理に必要な各種のスイッ
チと、それらの各スイッチによって選択される調理メニ
ュー、調理レベル等を表示して使用者に視認せしめるた
めの液晶表示部等の所定の表示部とが設けられている。

【００２２】そして、上記マイクロコンピュータユニッ
トによって上記センタセンサ６の感温素子の鍋温度検出
値に基き上述のワークコイル７のデューティー制御が行
われ、加熱効率が高く、吹きこぼれのない調理が実行さ
れる。

【００２３】（２）第２実施例 なお、上記第１実施例では、鍋１０の上端側開口部の第
１の縁部１０ａ下面に隙間２９形成用の複数のリブ２
１，２１，２１を設けるように構成したが、該複数のリ
ブ２１，２１，２１は例えば図４に示すように内ケース
４の上端側開口縁部４ａの上端４ｃ側に形成するように
しても全く同様の隙間２９を形成することができる。ど
ちらかと言うと、このように合成樹脂材である内ケース
４側にリブ２１，２１，２１を形成する方が加工が簡単
であり、コスト的にも有利となるまた、上記鍋１０は必
ずしも全体を金属で形成したものである必要はなく、例
えば土鍋本体、ガラス鍋本体に渦電流によって発熱しや
すい金属材（プレート等）を一体化したものでもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本願発明の第１実施例に係る電磁調理
鍋の構成を示す断面図である。

【図２】図２は、同電磁調理鍋の要部の構成を示す分解
斜視図である。

【図３】図３は、同電磁調理鍋の要部の構造を示す拡大
断面図である。

【図４】図４は、本願発明の第２実施例に係る電磁調理
鍋の要部の構造を示す拡大断面図である。

【符号の説明】

１は外ケース、２は外ケースの上端側開口縁部、２ａは
鍔部、３は鍔部、４は内ケース、４ａは内ケースの上端
側開口縁部、７はワークコイル、１０は鍋、１０ａは第
１の縁部、２１はリブ、２９は隙間である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 器体を構成する内ケース及び外ケース
   と、この内ケースの底部裏面側に設けられたワークコイ
   ル部と、上記内ケースに収納されて電磁誘導にて加熱さ
   れる鍋とからなり、上記鍋は開口縁部に鍔部を形成し
   て、この鍔部を内ケースの開口縁部にこの鍔部裏面に形
   成したリブを介在して載置し、上記内ケース底部と鍋底
   部との間に上記リブの突出量に応じた所定の隙間を有し
   て吊持状態で内ケースに収納すべくし、上記鍋の鍔部
   は、逆Ｕ字状に折り曲げられ、下方への延設端が内ケー
   スの開口縁部上端よりも低く位置されて形成されている
   ことを特徴とする電磁調理鍋。