JP2824114B2 - アセタールグラフト共重合体の製造法 - Google Patents

アセタールグラフト共重合体の製造法

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JP2824114B2
JP2824114B2 JP6251590A JP6251590A JP2824114B2 JP 2824114 B2 JP2824114 B2 JP 2824114B2 JP 6251590 A JP6251590 A JP 6251590A JP 6251590 A JP6251590 A JP 6251590A JP 2824114 B2 JP2824114 B2 JP 2824114B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐衝撃性、柔軟性に優れたアセタールグラ
フト共重合体の製造法に関するものである。更に詳しく
言えば、本発明は水酸基、カルボキシル基、アミノ基、
酸無水物基、アルコキシ基及びエポキシ基よりなる群か
ら選ばれた官能基を主鎖中に1個以上有した微小粒子状
のエチレン−プロピレン系、エチレン−プロピレン−ジ
エン系、スチレン−ジエン系又は水素添加スチレン−ジ
エン系変性エラストマーの存在下において、ホルムアル
デヒドもしくはトリオキサンを単独重合するか、又はホ
ルムアルデヒドもしくはトリオキサと環状エーテルもし
くは環状ホルマールとを共重合することによって成る耐
衝撃性、柔軟性に優れたアセタールグラフト共重合体の
製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
ポリアセタールは、機械的特性、疲労特性、摩擦摩耗
特性に優れているため、近年エンジニアリングプラスチ
ックとして需要がますます増大する傾向にある。
しかしながら、ポリアセタールは耐衝撃性、例えばノ
ッチ付きIzod値が低く、成形時の残留応力や小さな傷等
が存在すると、破壊しやすいという欠点を有している。
この欠点を改良するために、エラストマーとポリアセ
タールとの共重合体が検討されている。
例えば、特開昭60−40111号公報には、変性エチレン
−プロピレン共重合体、変性スチレン−ブタジエン共重
合体等のエラストマーにポリアセタールがグラフトした
構造を有するグラフト共重合体が高い耐衝撃性を有して
いることが開示されている。
又、特公昭62−20203号公報には、ポリアセタール単
位(A)とエラストマー単位(B)とから成るA−B−
Aトリブロック共重合体が優れた耐衝撃性を有している
ことが開示されている。
しかしながら、これらの方法では、エラストマーを重
合溶媒等に完全溶解した系で共重合を行うため、得られ
るアセタール共重合体は粘性を有したスラリー状態と成
り、アセタール共重合体の濾過、乾燥が困難になるとい
う問題が生じ、安定してアセタール共重合体を量産する
ことが生産技術上困難であった。しかも上記問題はアセ
タール共重合体中のエラストマーの導入量が高くなるに
つれて顕著となるため、アセタール共重合体の耐衝撃性
の向上を図る上で大きな障害となっていたのである。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の課題は、このような従来技術における問題点
を克服し、ポリアセタールの優れた特性を保持したまま
で、優れた耐衝撃性、柔軟性を有するアセタールグラフ
ト共重合体の製造法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
本発明者らは上記課題解決のため鋭意検討をした結
果、生産技術上容易にアセタールグラフト共重合体を製
造することができ、しかも得られた共重合体が、ポリア
セタールの本来有している優れた特性を損なうことな
く、高い耐衝撃性、柔軟性を有しているところのアセタ
ールグラフト共重合体の製造法を見出した。
即ち、本発明は、水酸基、カルボキシル基、アミノ
基、酸無水物基、アルコキシ基及びエポキシ基よりなる
群から選ばれた官能基を主鎖中に1個以上有したガラス
転移温度−120〜+40℃のソフトセグメントと熱可塑的
な架橋、結合構造をつくるハードセグメントとからなる
エチレン−プロピレン系、エチレン−プロピレン−ジエ
ン系、スチレン−ジエン系又は水素添加スチレン−ジエ
ン系変性エラストマーの存在下において、ホルムアルデ
ヒドもしくはトリオキサンを単独重合する際に、重合系
内において上記変性エラストマーを1,000μm以下の微
小粒子として存在させることを特徴とするアセタールグ
ラフト共重合体の製造法に関するものである。
本発明のアセタールグラフト共重合体の製造法につい
て具体的に説明する。
本発明のアセタールグラフト共重合体とは、ポリアセ
タール単位と変性エラストマー単位とから成るグラフト
共重合体である。変性エラストマーが水酸基、カルボキ
シル基、アミノ基、酸無水物基、アルコキシ基よりなる
群から選ばれた官能基を有する場合は、変性エラストマ
ーを幹ポリマーとし、ポリアセタールを枝ポリマーとし
たアセタールグラフト共重合体を得ることができる。ま
た、変性エラストマーの官能基がエポキシ基である場合
は、ポリアセタールを幹ポリマーとし、変性エラストマ
ーを枝ポリマーとしたアセタールグラフト共重合体を得
ることができる。
本発明で言うポリアセタールには、アセタールホモポ
リマーとアセタールコポリマーが含まれる。アセタール
ホモポリマーとは、オキシメチレン単位(CH2O
の繰り返しによる重合体であり、ポリマーの末端からの
分解に対し安定化されたものを言う。アセタールコポリ
マーとは、オキシメチレン単位の繰り返しによる連鎖中
に、オキシアルキレン単位がランダムに挿入された構造
を有する重合体である。アセタールコポリマー中のオキ
シアルキレン単位の例としては、オキシエチレン、オキ
シプロピレン、オキシトリメチレン、オキシテトラメチ
レン、オキシブチレン、オキシフェニルエチレン単位等
がある。
本発明で言う変性エラストマーとは、エチレン−プロ
ピレン系、エチレン−プロピレン−ジエン系、スチレン
−ジエン系、水素添加スチレン−ジエン系のエラストマ
ーが、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物
基、アルコキシ基、エポキシ基よりなる群から選ばれた
いずれかの官能基を主鎖中に1個以上有しているものを
言う。
通常、これらのエラストマーは熱可塑性の重合体であ
り、ガラス転移温度の低いソフトセグメントと熱可塑的
な架橋、結合構造をつくるハードセグメントとから成る
共重合体である。
本発明のアセタールグラフト共重合体が高い耐衝撃性
を有するためにはエラストマーのソフトセグメントのガ
ラス転移温度は−120〜+40℃の間にある法が好まし
い。更には、−120〜−20℃の間にある方がより好まし
い。
本発明に使用できるエラストマーは次の4つのグルー
プがある。
第1のグループは、エチレン−プロピレン系エラスト
マーである。
第2のグループは、エチレン−プロピレン−ジエン系
エラストマーである。ここでエチレン、プロピレンと共
重合されるジエンには、ジシクロペンタジエン、エチリ
デンノルボルネン、メチレンノルボルネン、1,4−ヘキ
サジエン等がある。
第3のグループは、スチレン−ジエン系エラストマー
である。ここで、スチレンと共重合されるジエンには、
ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等があ
る。
第4のグループは、水素添加スチレン−ジエン系エラ
ストマーである。ここで、スチレンと共重合されるジエ
ンには、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン
等がある。
本発明に使用できるエラストマーは、その主鎖中に水
酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物基、アルコ
キシ基、エポキシ基よりなる群から選ばれた官能基を有
した変性エラストマーである必要がある。これらの変性
エラストマーの存在下でホルムアルデヒド、もしくは、
トリオキサンを重合する際、官能基が水酸基、カルボキ
シル基、アミノ基、酸無水物基、アルコキシ基の場合
は、これらの官能基は分子量調節機能を有し、得られる
アセタールグラフト共重合体のポリアセタール単位の分
子量を調節すると同時に、変性エラストマーを幹ポリマ
ーとし、ポリアセタールを枝ポリマーとするアセタール
グラフト共重合体を得ることができる。変性エラストマ
ーの官能基がエポキシ基の場合は、変性エラストマーの
エポキシ基部分がコモノマーとしてアセタールグラフト
共重合体中に導入され、ポリアセタールを幹ポリマーと
し、変性エラストマーを枝ポリマーとするアセタールグ
ラフト共重合体を得ることができる。
変性エラストマーを製造するためには、これらのエチ
レン−プロピレン系、エチレン−プロピレン−ジエン
系、スチレン−ジエン系、水素添加スチレン−ジエン系
エラストマーを、押出機等を用いて過酸化物の共存下、
もしくは、過酸化物なしで水酸基、カルボキシル基、、
アミノ基、酸無水物基、アルコキシ基、エポキシ基の官
能基を有するビニル化合物で変性する等、慣用の方法を
用いることができる。変性エラストマーが変性されてい
ることの確認は、IR等の一般の解析機器を用いて容易に
判断可能である。
変性エラストマーの製造に用いるビニル化合物として
は、次の6つのグループがある。
第1のグループとしては、水酸基を有するビニル化合
物がある。例えば、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、p−ヒドロキシ
スチレン、アリルアルコール、ビニルアルコール等があ
る。
第2のグループとしては、カルボキシル基を有するビ
ニル化合物がある。例えば、アクリル酸、メタアクリル
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、テトラヒドロフタル酸等がある。
第3のグループとしては、アミノ基を有するビニル化
合物がある。例えば、アクリルアミド、メタアクリルア
ミド、m−アミノスチレン、p−ジメチルアミノスチレ
ン等がある。
第4のグループとしては、酸無水物基を有するビニル
化合物がある。例えば、無水マレイン酸、無水シトラコ
ン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸等が
ある。
第5のグループとしては、アルコキシ基を有するビニ
ル化合物がある。例えば、メトキシビニル、ブトキシビ
ニル、p−メトキシスチレン等がある。
第6のグループとしては、エポキシ基を有するビニル
化合物がある。p−グリシジルα−メチルスチレン、メ
タアクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジルエチ
ル、メタアクリル酸グリシジルエチル、グリシジルビニ
ル等がある。
これらのビニル化合物の割合は、本発明に使用する変
性エラストマー全量に基いて、0.05〜20重量%が好まし
く、更には、0.1〜5重量%がより好ましい。更にこれ
らのビニル化合物の官能基が水酸基、カルボキシル基、
アミノ基、酸無水物基、アルコキシ基の場合は、ビニル
化合物の割合が、得られるアセタールグラフト共重合体
のポリアセタール単位の分子量を決定するため、所望の
分子量に対応したビニル化合物の割合を決定する方が好
ましい。
また、これらのビニル化合物は、種類の異なるものを
同時に用いてもかまわない。
本発明に使用できる変性エラストマーの好ましいもの
としては、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル変性エ
チレン−プロピレン系エラストマーアクリル酸2−ヒド
ロキシメチル変性エチレン−プロピレン系エラストマ
ー、アリルアルコール変性エチレン−プロピレン系エラ
ストマー、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル変性ス
チレン−ブタジエン系エラストマー、メタアクリル酸2
−ヒドロキシエチル変性水素添加スチレン−ブタジエン
エラストマー等の水酸基を有する変性エラストマーがあ
る。
これらの変性エラストマーは、重合に先立って洗浄、
吸着、乾燥等の手法によって精製されることが望まし
い。またこれらの変性エラストマーは2種以上混合して
重合に供することもできる。
次に、アセタールグラフト共重合体の製造法について
述べる。本発明の特徴である生産技術上容易にアセター
ルグラフト共重合体を製造するためには、重合系内にお
いて使用する変性エラストマーを微小粒子として存在さ
せる必要がある。
変性エラストマーを微小粒子にするには、慣用の粉砕
機を用いて粉砕するか、あるいは、変性エラストマーの
製造工程において存在する粒子状態のものをそのまま使
用してもかまわない。
官能基を有する変性エラストマーの分子量調節剤とし
て機能を高めるためには使用する変性エラストマーの粒
子径は小さいほうが好ましい。好ましくは、変性エラス
トマーの粒子系は1,000μm以下がよく、更に好ましく
は500μm以下がよい。
更に、変性エラストマーの粒子は重合系内においてそ
の粒子形状を大きく損なわない程度に多少膨潤している
方が好ましい。これは同様に、官能基を有する変性エラ
ストマーの分子量調節剤として機能を高めるためであ
る。逆に、変性エラストマーの粒子が重合系内において
膨潤し過ぎて、その粒子形状を失っていたり、あるい
は、重合系内において完全に溶解した状態であれば、得
られるアセタールグラフト共重合体は粘性を有したスラ
リー状態となる。よって、アセタールグラフト共重合体
の濾過、乾燥が困難となり、本発明の目的を達すること
ができない。
本発明で得られるアセタールグラフト共重合体中の変
性エラストマーの割合、即ち、導入量はアセタールグラ
フト共重合体の全重量に基いて0.5〜50重量%が好まし
い。
変性エラストマーの導入量が0.5重量%より小さい
と、得られるアセタールグラフト共重合体の耐衝撃性は
向上せず、50重量%より大きいと、アセタールグラフト
共重合体は、ポリアセタールの本来有している優れた機
械物性等を失なってしまう。
アセタールグラフト共重合体中の変性エラストマーの
導入量は5〜40重量%がより好ましい。
本発明の単独重合においては、ホルムアルデヒドもし
くはトリオキサンが用いられる。また共重合において
は、ホルムアルデヒドもしくはトリオキサンと、環状エ
ーテルもしくは環状ホルマールが用いられる。
共重合に用いられる環状エーテルには、例えば、エチ
レンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシ
ド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、オキセタ
ン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒ
ドロフラン、オキセバン等がある。これらの環状エーテ
ルの中でも特にエチレンオキシドが好ましい。
また、環状ホルマールには、例えば、エチレングリコ
ールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジ
エチレングリコールホルマール、トリエチレングリコー
ルホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−
ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオール
ホルマールがある。これらの環状ホルマールの中でも特
にエチレングリコールホルマール、ジエチレングリコー
ルホルマール及び1,4−ブタンジオールホルマールが好
ましい。
環状エーテル、環状ホルマールは、ホルムアルデヒ
ド、トリオキサン100重量部に対して0.03〜100重量部、
より好ましくは、0.1〜50重量部が用いられる。
本発明の単独重合、共重合には通常カチオン重合触
媒、アニオン重合触媒が用いられる。
カチオン重合触媒としては、例えば、四塩化錫、四臭
化錫、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、
三塩化バナジウム、五弗化アンチモン、三弗化ホウ素、
三弗化ホウ素ジエチルエーテレート、三弗化ホウ素アセ
チックアンハイドレート、三弗化ホウ素トリエチルアミ
ン錯化合物等の三弗化ホウ素配位化合物等のいわゆるフ
リーデル・クラフト型化合物、過塩素酸、アセチルパー
クロレート、ヒドロキシ酢酸、トリクロル酢酸、p−ト
ルエンスルホン酸等の無機酸及び有機酸、トリエチルオ
キソニウムテトラフロロボレート、トリフェニルメチル
ヘキサフロロアンチモネート、アリルジアゾニウムヘキ
サフロロホスフェート、アリルジアゾニウムテトラフロ
ロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜鉛、トリエチ
ルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド等の
アルキル金属等がある。
アニオン重合触媒としては、例えば、ナトリウム、カ
リウム等のアルカリ金属、ナトリウム−ナフタリン、カ
リウム−アントラセン等のアルカリ金属錯化合物、水素
化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、水素化カルシ
ウム等のアルカリ土類金属水素化物、ナトリウムメトキ
シド、カリウムt−ブトキシド、カリウムオクトキシド
等のアルカリ金属アルコキシド、カプロン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属
塩、カプロン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム
等のカルボン酸アルカリ土類金属塩、n−ブチルアミ
ン、ジブチルアミン、ジステアリルアミン、トリオクチ
ルアミン、プリジン等のアミン、アンモニウムステアレ
ート、テトラブチルアンモニウムメトキシド、テトラブ
チルアンモニウムオクタノエート、ジメチルジステアリ
ルアンモニウムアセテート、トリメチルベンジルアンモ
ニウムアセテート、トリメチルベンジルアンモニウムメ
トキシド等の第4級アンモニウム塩、テトラメチルホス
ホニウムプロピオネート、トリメチルベンジルホスホニ
ウムエトキシド、テトラブチルホスホニウムステアレー
ト等のホスホニウム塩、トリブチル錫クロライド、ジエ
チル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチ
ル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、トリブ
チル錫ラウレート等の4価有機錫化合物、n−ブチルリ
チウム、エチルマグネシウムブロマイド等のアルキル金
属、トリスアセチルアセトンコバルト等の有機キレート
化合物等がある。
これらのカチオン重合触媒、アニオン重合触媒は、通
常ホルムアルデヒドもしくはトリオキサン100重量部に
対し、0.0005〜5重量部の範囲で用いられる。単独重合
又は共重合は、無溶媒もしくは有機媒体中で行われる。
本発明において用いることのできる有機媒体として
は、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等
の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化
炭素、塩化エチレン、トリクロルエチレン等のハロゲン
化脂肪族炭化水素;クロルベンゼン、o−ジクロルベン
ゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素がある。これらの有
機媒体は単独で用いても良く、或いは2種以上混合して
用いても差し支えない。
これらの有機媒体は、重合系中に分散しているエラス
トマー粒子が適度に膨潤するような組み合わせで選ばれ
る方が好ましい。
重合温度は通常−20〜230℃の間で設定されるが、無
溶媒の場合には20〜210℃の間がより好ましく、有機媒
体を使用する場合には−10〜120℃の間がより好まし
い。
重合時間については特に制限はないが、5秒〜300分
の間で設定される。
所定時間の経過後、反応系中に停止剤が添加される
か、或いは重合体を媒体より分離することによって重合
は完了する。通常得られた重合体は、不安定末端を加水
分解にて除去するか或いは不安定末端をエステル化等の
方法で封鎖するかによって安定化される。安定化された
アセタールグラフト共重合体は、安定剤が添加され実用
に供される。
〔実 施 例〕
以下、実施例、及び、比較例を挙げて本発明を更に具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何
ら限定されるものではない。
尚、実施例、及び、比較例中の測定項目並びに測定条
件は次のとおりである。
(1)重合スラリー状態 重合で得られた重合スラリーをガラスフィルター(G
2、最大孔径100〜150μm)を用いて濾過し、濾過のし
やすさ、濾過に要する時間をもって相対的に判断した。
(2)変性エラストマーの導入量 重合で得られたアセタールグラフト共重合体を重合に
使用した変性エラストマーの可溶溶媒の沸点下で約5時
間抽出操作を行う。このアセタールグラフト共重合体を
5.0gを正確に測りとり、1N塩酸溶液100ml中に加え130
℃、2時間の条件下でアセタールグラフト共重合体中の
ポリアセタール部分を完全に分解させる。更に、分解残
渣を洗浄、乾燥した後、分解残渣の重量、即ち、アセタ
ールグラフト共重合体中の変性エラストマーの導入量を
求めた。
(3)物性測定 Izod衝撃値(ノッチ付き) ASTM D−256に準じて測定。
曲げ弾性率 ASTM D−790に準じて測定。
実施例−1 変性エラストマーとして、メタアクリル酸2−ヒドロ
キシエチル変性エチレン−プロピレン系エラストマー
(以下変性EPRと略す)を用いた。この変性EPRは主鎖中
に水酸基8個有し、数平均分子量6×104、ポリプロピ
レン含有率30重量%のものであり、慣用の粉砕機を用い
て−160℃の条件下で冷凍粉砕し、その粒子径が150μm
以下のものである。
減圧下にて十分乾燥、脱水されたこの変性EPR 1,050g
を脱水処理されたシクロヘキサン10中に懸濁させた。
シクロヘキサンで満たされた12の重合槽の中へ、その
変性をEPR 250g/Hr、純度99.9%、のホルムアルデヒド
を1,000g/Hr、シクロヘキサンを5/Hr、また、重合触
媒としてテトラブチルアンモニアアセテートを0.15g/Hr
で4時間連続的に供給した。この間、重合温度は60℃に
維持した。
ここで得られた重合スラリーは粒子状の重合体を含ん
でおり、ガラスフィルター(G2)を用いてこの重合スラ
リーを濾過したところ、容易に素早く粒子と重合溶媒に
分けることができた。
更にこの粒子は、蒸気状態の無水酢酸と接触せしめて
安定化を行い、本発明で言うアセタールグラフト共重合
体を得た。
このアセタールグラフト共重合体中の変性EPRの導入
量は18.9重量%であった。
次に、得られたアセタールグラフト共重合体に公知の
安定剤を加えた後、30mmφの口径を有する2軸押出機
で、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpm、
吐出量約5kg/Hrの条件下で溶融混練し、ペレット状のア
セタールグラフト共重合体を得た。このペレットを十分
乾燥させた後、シリンダー温度200℃の条件下で射出成
形し成形片を作成した後、Izod衝撃値、曲げ弾性率を測
定した。
Izod衝撃値は48kg・cm/cm、曲げ弾性率は16,200kg/cm
2と、本発明で言う優れた耐衝撃性、柔軟性を有してい
ることが判明した。
実施例−2〜6 変性エラストマーとして用いた変性EPRの導入量を変
えたこと以外は、実施例−1と同様に評価した。評価結
果を表−1にまとめて示した。
変性エラストマーのいずれの導入量においても容易に
アセタールグラフト共重合体を得ることができ、得られ
るアセタールグラフト共重合体は本発明で言う優れた耐
衝撃性、柔軟性を有していることが判明した。
実施例−7〜11 変性エラストマーとして用いた変性EPRの粒子径を変
えたこと以外は、実施例−1と同様に評価した。同じ
く、評価結果を表−1にまとめて示した。変性エラスト
マーのいずれの粒子径においても、得られるアセタール
グラフト共重合体は本発明で言う優れた耐衝撃性、柔軟
性を有していた。
実施例−12〜20 表−2に示した変性エラストマーを用いたこと以外
は、実施例−1と同様に評価した評価結果を表−2にま
とめて示した。
いずれの変性エラストマーを用いても容易にアセター
ルグラフト共重合体を製造することができ、得られたア
セタールグラフト共重合体は本発明で言う優れた耐衝撃
性、柔軟性を有していた。
実施例−21 変性エラストマーとして、粒子径が45μm以下に粉砕
されたメタアクリル酸グリシジル変性エチレン−プロピ
レン系エラストマーを用いた。この変性エラストマー
を、2枚のΣ羽根を有するニーダーに5,000g加え、更
に、トリオキサン15kg、エチレンオキシド750g、三弗化
ホウ素0.50g、メチラール50gを加え、80℃で45分間重合
した。次いで、このニーダーにトリエチルアミン1,200
g、水5kgを加え、150℃で30分撹拌することによって、
重合体を安定化せしめた。この重合体に安定剤を加え30
mmφ単軸押出機でペレタイズし、後は実施例−1同様に
評価を行なった。
結果を表−2に示す。本実施例のように、カチオン重
合系においても得られるアセタールグラフト共重合体は
非常に良好な結果を有していた。
比較例−1 実施例−1において、使用した変性EPR 1,000gを脱水
処理されたトルエン10中へ完全溶解させ、シクロヘキ
サン中へ変性EPRが250g/Hrとなるように連続的に供給し
たこと以外は、実施例−1と同様に操作した。
得られた重合スラリーは粘性を有したスラリー状態と
なり、重合溶媒中には明らかに粒子状となったアセター
ルグラフト共重合体は見られなかった。
ガラスフィルター(G2)を用いた濾過では、得られた
重合スラリーからアセタールグラフト共重合体と重合溶
媒を分離するのに極めて長い時間を要した。又、粒子に
なりきれていないアセタールグラフト共重合体が濾液側
に抜け出し濾液は白濁した。このようにエラストマーを
溶媒に安全溶解させて使用する場合は、実生産技術上不
可能と言わざるを得ない。
比較例−2 比較例−1において、使用した変性EPR 2,00gを脱水
処理されたトルエン20中へ完全溶解させ、シクロヘキ
サン中へ変性EPRが500g/Hrとなるように連続的に供給し
たこと以外は、比較例−1と同様に操作した。
得られた重合スラリーをガラスフィルター(G2)を用
いて濾過したところ、全く濾液は出てこず濾過不能であ
った。
このように変性エラストマーを溶媒に安全溶解して、
かつアセタールグラフト共重合体中の変性エラストマー
の導入量が本比較例で示す程度に高くなれば、もはや実
生産技術上アセタールグラフト共重合体を安定して製造
することは全く不可能といわざるを得ない。
〔発明の効果〕
本発明により、ポリアセタールとエラストマーとから
成る耐衝撃性、柔軟性に優れたアセタールグラフト共重
合体が、生産技術上容易に製造することができるように
なった。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−108413(JP,A) 特開 昭60−40111(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 2/00 - 2/38

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無
    水物基、アルコキシ基及びエポキシ基よりなる群から選
    ばれた官能基を主鎖中に1個以上有したガラス転移温度
    −120〜+40℃のソフトセグメントと熱可塑的な架橋、
    結合構造をつくるハードセグメントとからなるエチレン
    −プロピレン系、エチレン−プロピレン−ジエン系、ス
    チレン−ジエン系又は水素添加スチレン−ジエン系変性
    エラストマーの存在下において、ホルムアルデヒドもし
    くはトリオキサンを単独重合する際に、重合系内におい
    て上記変性エラストマーを1,000μm以下の微小粒子と
    して存在させることを特徴とするアセタールグラフト共
    重合体の製造法。
  2. 【請求項2】水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無
    水物基、アルコキシ基及びエポキシ基よりなる群から選
    ばれた官能基を主鎖中に1個以上有したガラス転移温度
    −120〜+40℃のソフトセグメントと熱可塑的な架橋、
    結合構造をつくるハードセグメントとからなるエチレン
    −プロピレン系、エチレン−プロピレン−ジエン系、ス
    チレン−ジエン系又は水素添加スチレン−ジエン系変性
    エラストマーの存在下において、ホルムアルデヒドもし
    くはトリオキサンと環状エーテルもしくは環状ホルマー
    ルとを共重合する際に、重合系内において上記変形エラ
    ストマーを1,000μm以下の微小粒子として存在させる
    ことを特徴とするアセタールグラフト共重合体の製造
    法。
  3. 【請求項3】エラストマーが、エチレン−プロピレン系
    エラストマーである請求項1又は2記載のアセタールグ
    ラフト共重合体の製造法。
  4. 【請求項4】エラストマーが、エチレン−プロピレン−
    ジエン系エラストマーである請求項1又は2記載のアセ
    タールグラフト共重合体の製造法。
  5. 【請求項5】エラストマーが、スチレン−ジエン系エラ
    ストマーである請求項1又は2記載のアセタールグラフ
    ト共重合体の製造法。
  6. 【請求項6】エラストマーが、水素添加スチレン−ジエ
    ン系エラストマーである請求項1又は2記載のアセター
    ルグラフト共重合体の製造法。
  7. 【請求項7】変性エラストマーを製造するために用いる
    ビニル化合物が、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチ
    ル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、p−ヒドロキシ
    スチレン、アリルアルコール、ビニルアルコールである
    請求項1〜6のいずれかに記載のアセタールグラフト共
    重合体の製造法。
  8. 【請求項8】変性エラストマーを製造するために用いる
    ビニル化合物が、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイ
    ン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒ
    ドロフタル酸である請求項1〜6のいずれかに記載のア
    セタールグラフト共重合体の製造法。
  9. 【請求項9】変性エラストマーを製造するために用いる
    ビニル化合物が、アクリルアミド、メタクリルアミド、
    m−アミノスチレン、p−ジメチルアミノスチレンであ
    る請求項1〜6のいずれかに記載のアセタールグラフト
    共重合体の製造法。
  10. 【請求項10】変性エラストマーを製造するために用い
    るビニル化合物が、無水マレイン酸、無水シトラコン
    酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸である
    請求項1〜6のいずれかに記載のアセタールグラフト共
    重合体の製造法。
  11. 【請求項11】変性エラストマーを製造するために用い
    るビニル化合物が、メトキシビニル、ブトキシビニル、
    p−メトキシスチレンである請求項1〜6のいずれかに
    記載のアセタールグラフト共重合体の製造法。
  12. 【請求項12】変性エラストマーを製造するために用い
    るビニル化合物が、p−グリシジルα−メチルスチレ
    ン、メタアクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル
    エステル、メタアクリル酸グリシジルエチル、グリシジ
    ルビニルである請求項1〜6のいずれかに記載のアセタ
    ールグラフト共重合体の製造法。
  13. 【請求項13】変性エラストマーを製造するために用い
    るビニル化合物が変性エラストマー全量に基づいて、0.
    1〜5重量%である請求項1〜12のいずれかに記載のア
    セタールグラフト共重合体の製造法。
  14. 【請求項14】変性エラストマーの粒子径が500μm以
    下である請求項1〜13のいずれかに記載のアセタールグ
    ラフト共重合体の製造法。
  15. 【請求項15】アセタールグラフト共重合体中の変性エ
    ラストマーの割合が、アセタールグラフト共重合体の全
    量に基づいて0.5〜50重量%である請求項1〜14のいず
    れかに記載のアセタールグラフト共重合体の製造法。
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