JP2822994B2 - モード同期半導体レーザ - Google Patents
モード同期半導体レーザInfo
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Description
信等の分野で利用可能な超短光パルスを発生するモード
同期半導体レーザの実現方法に関する。
簡便に超高速光パルスを発生させる手段として、光通信
あるいは光情報処理システムへの適用が期待されてい
る。モード同期半導体レーザを実現する方式としては、
受動モード同期半導体レーザと能動モード同期半導体レ
ーザとの2つの方式がある。
ザの一構成例を示す概略構造図であり、アイ・トリプル
イー・ジャーナル・オブ・カンタム・エレクトロニクス
誌(IEEE Journal of Quantum Electronics)、第31
巻1051頁において、ジョーンズ(D.J.Jones)らに
より開示されているものである。
1と可飽和吸収領域22とに電気的に分離されており、
それぞれ別々に電流注入またはバイアス電圧印加が行わ
れるように構成されている。
イアス電圧が印加された際に光を吸収することによって
自らの吸収係数が減少するという飽和特性を有してい
る。
は、劈開等により空気と接する境界面となっており30
%程度の反射率を有する反射鏡として働く。また、可飽
和吸収領域22側の端面は、誘電体多層膜がコーティン
グされることにより100%近い反射率を有する反射鏡
26となっており、光共振器構造が形成されている。
いては、利得領域21に注入する電流の量及び可飽和吸
収領域22に印加する逆バイアス電圧を調節することに
より、自己脈動(セルフ・パルセーション)動作した
り、自己スタートによりモード同期動作することが知ら
れている。
ザの一構成例を示す概略構造図であり、アイ・トリプル
イー・ジャーナル・オブ・カンタム・エレクトロニクス
誌(IEEE Journal of Quantum Electronics)、第28
巻2186頁において、デリクソン(D.J.Derickson)
らにより開示されているものである。
1と可飽和吸収領域32と利得変調領域33との3つの
領域からなる導波路構造38を有するものであり、利得
領域31、可飽和吸収領域32及び利得変調領域33
は、互いに電気的に分離されており、それぞれ別々に電
流注入またはバイアス電圧印加が行われるように構成さ
れている。
り空気と接する境界面となっており30%程度の反射率
を有する反射鏡として働き、光共振器構造が形成されて
いる。
電流が注入され、可飽和吸収領域32には、逆バイアス
電圧が印加され、利得変調領域33には、外部に設けら
れた電源より、光共振器中の光周回時間の整数倍の周期
で変調された成分が重畳された順バイアス電圧が印加さ
れて電流が注入される。
いては、利得領域31に注入する電流の量、可飽和吸収
領域32に印加する逆バイアス電圧、並びに、利得変調
領域33に注入する電流の変調度及び周波数を調節する
ことにより、モード同期動作を行わせることが可能であ
ることが知られている。
て光共振器構造が導波路構造と一体化された、いわゆる
モノリシックなモード同期半導体レーザであるが、上記
劈開面の1つまたは2つが外部鏡や波長選択的に反射鏡
として動作する回折格子に置き換えられて外部共振器が
構成されている例もある。外部共振器においては、共振
器長を長くとることができるので、光共振器中の光周回
時間を長くすることができ、低いパルス光の繰り返し周
波数を得ることができる。
共振器構造を形成した場合、共振器長にもよるが、繰り
返し周波数は10GHz程度以上となる。
たような従来のモード同期半導体レーザにおいては、以
下に記載するような問題点がある。
てモード同期動作の自己スタート条件を満たすために
は、レーザの構造を十分に最適化しなければならない
が、現状では、最適化するための設計原理が明確となっ
ていないため、多種の構造を有するサンプルを作製し、
その中から試行錯誤により自己スタート条件を満たす素
子を探さなければならなかった。
設計変更が困難となってしまう。
て自己スタート条件を満たす素子が得られたとしても、
モード同期動作が可能な条件が狭く、所望の条件(パワ
ー、繰り返し等)において利用するのが困難となってし
まう。
ても、モード同期動作が可能な条件が狭く、所望の条件
(パワー、繰り返し等)において利用するのが困難とな
ってしまう。
通して、パルス繰り返し周波数の安定度が低く、ジッタ
が大きい。
光情報処理システムにおけるクロック源として用いるた
めには、必ず解決しなければならないものである。
する問題点に鑑みてなされたものであって、設計上にお
ける動作制限が緩く、かつ、動作条件が広く、ジッタの
少ない安定性の優れたモード同期半導体レーザを提供す
ることを目的とする。
に本発明は、光を発生し増幅させる利得領域と、該利得
領域において発生した光を吸収し、それにより自らの吸
収係数が減少する可飽和吸収領域とを含む光共振器から
構成されるモード同期半導体レーザにおいて、前記利得
領域は、熱的ド・ブロイ波長程度のサイズを有する2次
元あるいは3次元キャリア閉じ込め構造の半導体利得材
料により形成され、かつ、利得スペクトルが光共振器中
の光周回時間の逆数の整数倍の周波数周期で離散的なピ
ークを有するようにキャリア閉じ込め構造の半導体のサ
イズが制御されていることを特徴とする。
外部からの信号に基づいて光学特性を変化させることに
よって光の振幅または位相を変調させる光変調領域とを
含む光共振器から構成されるモード同期半導体レーザに
おいて、前記利得領域は、熱的ド・ブロイ波長程度のサ
イズを有する2次元あるいは3次元キャリア閉じ込め構
造の半導体利得材料により形成され、かつ、利得スペク
トルが光共振器中の光周回時間の逆数の整数倍の周波数
周期で離散的なピークを有するようにキャリア閉じ込め
構造の半導体のサイズが制御されていることを特徴とす
る。
本発明の基本的な作用について説明する。
微小サイズの低次元キャリア閉じ込め構造の電子デバイ
スや光デバイスへの応用研究が盛んである。これらの低
次元キャリア閉じ込め構造は、閉じ込めサイズがキャリ
ア系の熱的ド・ブロイ波長λ T(λT=h/(2πmkB
T)1/2;m:キャリアの有効質量)程度であることが
特徴であり、このためにいわゆる量子効果と呼ばれる効
果が得られるものと期待されている。
サイズにおける低次元キャリア閉じ込め構造(以下、量
子閉じ込め構造と称す)のメリットは、その状態密度が
急峻になるということである。これは、物理的にいえ
ば、媒体中に存在しうる双極子(電子−ホール対)を、
ある離散的な遷移エネルギー状態に集中させることがで
きるということを意味している。このようなことが可能
になるのは、キャリアを空間的に閉じ込めることによっ
てキャリアの非個別性が失われ、その結果、パウリの排
他律が緩和されるためである(パウリの排他律が効かな
いと、交換相互作用が生じないためエネルギー準位の縮
退が解けない)。
に設計/制御することが可能であるという量子閉じ込め
構造の特性を利用するものである。量子閉じ込め構造に
おいては、各量子構造のサイズを制御することにより遷
移エネルギーを制御することができ、それにより、系全
体として見たときの状態密度の形状を自在にコントロー
ルすることができる。これを利用すれば、量子閉じ込め
系の利得スペクトルを自由に設計することができる。
をN(R)とすると、これに対応する系全体としての状
態密度はdN/dEで与えられる。ここで、Eは遷移エ
ネルギーである。N(R)を制御することにより、所望
の状態密度を作り出すことができる。隣り合う量子構造
間の距離が十分離れている場合には量子間構造間での励
起移乗は無視でき、これら量子構造に等確率で均一にキ
ャリアが注入されるはずであるから状態密度形状に直接
比例した利得スペクトルが得られるはずである。
て、サイズが制御された量子閉じ込め系により、周期が
モード同期繰り返し周波数(光共振器中の光周回時間の
逆数)の整数倍に等しい離散的利得スペクトルを有する
利得媒体を作製し、モード同期半導体レーザの利得媒質
として利用する。
が行われているレーザの発振スペクトルは、周期がモー
ド同期繰り返し周波数(共振器中の光周回時間の逆数)
に等しい離散的スペクトル構造を有する。モード同期動
作が行われない場合やモード同期動作が不安定な場合
は、このスペクトル構造が破壊される。そこで、利得媒
質として、予めモード同期時の発振スペクトル形状に似
た利得スペクトルを有する媒質を利用すれば、モード同
期動作が安定する。したがって、このような離散的利得
スペクトルを有する利得媒質を用いれば、従来技術の問
題点を解決した安定でかつ動作条件範囲の広いモード同
期半導体レーザが実現される。
いて図面を参照して説明する。
の実施の一形態を示す断面図であり、半導体の成長層に
平行な方向に光を出射する端面発光型の受動モード半導
体レーザを示す。
n型電極のうち、エピタキシャル成長面側に位置する電
極が2つ以上の電極(図では2つのp型電極12,1
3)に分割されており、互いに、低損失の導波路領域2
を挟んで、光を発生し増幅させる利得領域1と、利得領
域1において発生して導波路領域2内を導波された光を
吸収し、それにより自らの吸収係数が減少する可飽和吸
収領域3とは電気的に分離されている。
ーザの製造方法について説明する。
ず、n−InP基板4上にn−InPクラッド層5を成
長させる。
ranski−Krastranow成長法(半導体歪
層成長時に2次元成長から3次元成長へ成長モードが変
化することを利用する量子ドット構造成長法)等によっ
て、InGaAsP量子ドット構造を形成し、i−In
Pで埋め込むことを繰り返し行い、多層のInGaAs
P量子ドット層を含む活性層6を形成する。
7を成長させる。
波路領域2及び可飽和吸収領域3に相当する領域をn−
InPクラッド層5の中間まで除去する。
導波路領域2及び可飽和吸収領域3に相当する領域のn
−InPクラッド層5上にn−InPクラッド層8を、
n−InPクラッド層8上にバンドギャップがレーザ発
振の光子エネルギーよりも大きな組成を有する導波路層
9を、導波路層9上にp−InPクラッド層10を順次
成長させる。
クラッド層7上に、電流を注入するためのp型電極12
を形成し、また、p−InPクラッド層10上の可飽和
吸収領域3に相当する部分に、逆バイアス電圧を印加す
るためのp型電極13を形成する。
の裏面にn型電極14を形成する。
下部においては、逆バイアス電圧が印加されることによ
り電界がかかると、フランツ・ケルディッシュ効果によ
りバンドギャップが小さくなり、可飽和吸収層11とし
て機能する。
度の反射率を有する反射鏡として機能し、光共振器が構
成される。
造自体は、公知のものである。
に、熱的ド・ブロイ波長程度のサイズを有する2次元あ
るいは3次元キャリア閉じ込め構造の半導体利得材料に
より形成し、かつ、利得スペクトルが光共振器中の光周
回時間の逆数の整数倍の周波数周期で離散的なピークを
有するようにキャリア閉じ込め構造の半導体のサイズを
制御するように構成した。すなわち、各量子ドット層が
それぞれ異なる遷移周波数を有するように、各量子ドッ
ト形成ごとに成長条件を変化させた。
とき、最低次の遷移エネルギーは、近似的に、
ー、me,mhはそれぞれ電子及びホールの有効質量であ
る。
を変化させ、各量子ドット層毎にサイズの異なる量子ド
ット層を形成することが可能であり、各量子ドット層毎
に遷移エネルギーの異なる量子ドット層を形成すること
ができる。
性を示す図であり、(a)は量子ドット数の量子ドット
サイズの依存性を示す図、(b)は状態密度スペクトル
を示す図、(c)は利得スペクトルを示す図である。
ペクトルは、量子ドット層毎の量子ドットサイズの変化
を反映して離散的なスペクトル構造を有する。このと
き、この離散スペクトルのエネルギー間隔ΔEがレーザ
共振器中の光走行時間trの逆数と一致するように成長
条件を調節した。
レーザの動作原理に加えて、安定なモード同期動作がも
たらされる。
ザを用いた場合、従来の受動モード同期半導体レーザと
比べると、動作条件が5倍〜10倍と広く、ジッタの大
きさは1/10であるという優れた特性が得られること
が判明した。
からの信号に基づいて吸収係数または屈折率等の光学特
性を変化させることによって光の振幅または位相を変調
させる光変調領域を設けてもよい。
挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。本形態においては、量子閉じ込め構造にInGa
Asを、また、バリア層にInPを用いたレーザを一例
として説明したが、GaAs,InP,InGaAs,
InGaAsP等の他の半導体材料を用いたモード同期
半導体レーザに適用することも可能である。
型受動モード同期半導体レーザの例について説明した
が、他の構造、例えば、面発光型レーザや多電極レー
ザ、能動モード同期半導体レーザ、受動能動ハイブリッ
トモード同期レーザ等の別種の構造を用いた場合にも適
用することができることはいうまでもない。
導体レーザが量子ドット構造により構成される場合につ
いて説明したが、量子細線構造により構成されることも
可能である。
利得領域が、熱的ド・ブロイ波長程度のサイズを有する
2次元あるいは3次元キャリア閉じ込め構造の半導体利
得材料により形成され、かつ、利得スペクトルが光共振
器中の光周回時間の逆数の整数倍の周波数周期で離散的
なピークを有するようにキャリア閉じ込め構造の半導体
のサイズが制御されているため、設計上の動作制限が緩
く、かつ、動作条件が広く、ジッタの少ない安定性の優
れたモード同期半導体レーザを提供することができる。
態を示す断面図である。
り、(a)は量子ドット数の量子ドットサイズの依存性
を示す図、(b)は状態密度スペクトルを示す図、
(c)は利得スペクトルを示す図である。
を示す概略構造図である。
を示す概略構造図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 光を発生し増幅させる利得領域と、 該利得領域において発生した光を吸収し、それにより自
らの吸収係数が減少する可飽和吸収領域とを含む光共振
器から構成されるモード同期半導体レーザにおいて、 前記利得領域は、熱的ド・ブロイ波長程度のサイズを有
する2次元あるいは3次元キャリア閉じ込め構造の半導
体利得材料により形成され、かつ、利得スペクトルが光
共振器中の光周回時間の逆数の整数倍の周波数周期で離
散的なピークを有するようにキャリア閉じ込め構造の半
導体のサイズが制御されていることを特徴とするモード
同期半導体レーザ。 - 【請求項2】 光を発生し増幅させる利得領域と、 外部からの信号に基づいて光学特性を変化させることに
よって光の振幅または位相を変調させる光変調領域とを
含む光共振器から構成されるモード同期半導体レーザに
おいて、 前記利得領域は、熱的ド・ブロイ波長程度のサイズを有
する2次元あるいは3次元キャリア閉じ込め構造の半導
体利得材料により形成され、かつ、利得スペクトルが光
共振器中の光周回時間の逆数の整数倍の周波数周期で離
散的なピークを有するようにキャリア閉じ込め構造の半
導体のサイズが制御されていることを特徴とするモード
同期半導体レーザ。
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