JP2822509B2 - 含ハロゲン樹脂組成物 - Google Patents

含ハロゲン樹脂組成物

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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、熱安定性の良い含ハロゲン樹脂組成物に関
する。
<従来の技術及び問題点> 塩化ビニル樹脂の様な含ハロゲン樹脂は物性、加工
性、コスト等が優れるため建材、電線被覆材料、日用
品、玩具等あらゆる分野で汎用されている。しかし、含
ハロゲン樹脂は太陽光その他の光線や熱により劣化が容
易に起こるため安定剤の使用が必須である。従来は毒性
のある鉛系、カドミウム系あるいは比較的高価な錫系安
定剤等が性能の良さから使用されて来たが、近年になっ
て無毒または低毒性安定剤例えばカルシウム/亜鉛系、
バリウム/亜鉛系安定剤等の使用が増加傾向にある。無
毒または低毒性安定剤に関する文献は数多くあるがその
一つにピロリドンカルボン酸亜鉛塩が有効であるとの報
告(特公昭46−13633号)がある。しかしこの報告には
ピロリドンカルボン酸亜鉛塩の結晶水に関する記述がな
かった。
また他のピロリドンカルボン酸亜鉛塩関連文献ではL
−またはDL−ピロリドンカルボン酸亜鉛塩無結晶水の防
カビ剤としての効用(Trav.Soc.Pharm.Montpeller1978.
38(2),135−46)やピロリドンカルボン酸亜鉛塩2水
塩の熱硬化性樹脂への応用(J.Appl.Polym.Scy.1981,26
(11),3609−22)L−ピロリドンカルボン酸亜鉛塩2
水塩の合成法(Bull.Chem.Soc.Japan.39(9).1999−2
000(1966))等がありこれらのポリドンカルボン酸亜
鉛塩はいずれも公知である。
前記の特公昭46−13633号ではピロリドンカルボン酸
亜鉛塩8水塩をも含め単にピロリドンカルボン酸亜鉛塩
と呼称していた。このため、ピロリドンカルボン酸亜鉛
塩の製造直後は粉末状の形態であっても貯蔵時に自重に
より固化しやすく強固な塊となるブロッキングが起こる
ため使用に際しては再粉砕等の工程が必須であった。
また、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩等の無毒または低
毒系安定剤を配合した塩化ビニル樹脂等の含ハロゲン樹
脂組成物の熱安定性が必ずしも満足されるものでなかっ
た。
<発明が解決しようとする課題> 本発明の課題は、貯蔵時に前述の様なブロッキングを
起こさないピロリドンカルボン酸亜鉛塩を開発すること
及び、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩と最適な安定化助剤
とを併用配合した熱安定性の良い含ハロゲン樹脂組成物
を開発することである。
<課題を解決するための手段> 本発明者は前述の課題を達成するため鋭意研究を重
ね、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩の結晶水の多少でブロ
ッキング現象に差があることに着目し、さらに検討した
ところ2水塩以下の場合はブロッキングを起こないこと
及び、該ピロリドンカルボン酸亜鉛塩に多価アルコール
系安定化助剤を併用し、これを含ハロゲン樹脂に配合す
ると、該樹脂の熱安定性が著しく向上することを見い出
し本発明を完成させた。すなわち本発明は 一般式(1)で示したDL−ピロリドンカルボン酸亜
鉛塩。
(但し0<n≦2) 含ハロゲン樹脂100重量部に一般式(2)で (但し0≦n≦2) 示したL−またはDL−ピロリドンカルボン酸亜鉛塩を0.
1〜5重量部と多価アルコール系安定化助剤0.1〜5重量
部を配合してなる含ハロゲン樹脂組成物である。
本発明に使用される含ハロゲン樹脂は塩化ビニル、塩
化ビニリデン等のホモポリマー、または塩素化ポリエチ
レン、塩素化ポリ塩化ビニルあるいは、塩化ビニル、塩
化ビニリデン等のうち少なくとも一種以上とエチレン、
プロピレン、酢酸ビニル、アクリ酸エチル、アクリル酸
メチル等のうち少なくとも1種以上とのコポリマー、ま
たは、これらポリマーのグラフト化ポリマー等の単独あ
るいは二種以上を混合したポリマーである。また含ハロ
ゲン樹脂の重合度、粒系の大小については通常市販され
ている樹脂程度で良い。
本発明に使用される2水塩以下のピロリドンカルボン
酸亜鉛塩は光学異性体、ラセミ体いずれでも良い。具体
的には2水塩以下のL−又はDL−ピロリドンカルボン酸
亜鉛塩であり、結晶水を持たない該化合物であっても本
発明の目的のためには何ら差し支えない。該化合物の粒
径についても特に制約がないものの取扱い易さから0.1
〜20μm程度で良い。配合量は含ハロゲン樹脂100重量
部に対し0.1重量部以下では熱安定化効果が小さく、5
重量部以上では該樹脂との相溶性が若干低下するため、
好ましくは0.2〜4重量部である。
本発明に使用される多価アルコール系安定化助剤は、
ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリ
ペンタエリスリトール等を少なくとも一種含む多価アル
コール、または該多価アルコールと酢酸、プロピオン酸
等の一価のカルボン酸やアジピン酸、グルタミン酸等の
二価のカルボン酸との部分エステルであってその分子中
に一個以上の水酸基を持つ化合物であれば良い。この場
合の多価アルコール系安定化助剤は多価アルコールまた
は多価アルコールと有機酸との部分エステルを各々単独
かまたはこれらの混合物であっても良い。配合量は含ハ
ロゲン樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部であり、0.1
重量部以下では熱安定化効果が小さく、5重量部以上で
は該樹脂組成物の透明性が若干低下するため、好ましく
は含ハロゲン樹脂との相溶性の良い、ジペンタエリスリ
トールとアジピン酸との部分エステルと多価アルコール
との混合物であって該混合物中の多価アルコールの含有
率が10〜80重量%である混合物(例えば味の素(株)製
プレンライザ−ST−210)を0.1〜4重量部である。
本発明に使用される含ハロゲン樹脂組成物は、使用目
的により可塑剤例えばジオクチルフタレート、ジイソデ
シルフタレート等のフタル酸エステル、トリクレジルホ
スフェート等のりん酸エステル、ジオクチルアジペー
ト、ジオクチルセバケート等の脂肪酸エステル、アジピ
ン酸ポリエステルフタル酸ポリエステル等のポリエステ
ル系可塑剤の中から1種以上を含ハロゲン樹脂100重量
部に対し0〜120重量部を配合し、またその一部をエポ
キシ化大豆油、塩素化脂肪酸エステル、塩素化パラフィ
ン等で置き換えても構わない。
本発明の含ハロゲン樹脂組成物は、必要に応じ前記以
外に他の安定剤、難燃剤、坑酸化剤、滑剤、無機充填
剤、着色剤等を配合しても構わない。
<作用> 本発明の2水塩以下のピロリドンカルボン酸亜鉛塩は
貯蔵時にブロッキングを起こさない。そして含ハロゲン
樹脂組成物の熱安定性を向上させる。その効果はステア
リン酸亜鉛より優れ、また多価アルコール系安定化助剤
との併用でさらに助長される。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説
明する。これらの実施例は本発明を限定するものではな
い。
<実施例1> DL−ポリドンカルボン酸亜鉛塩 2水塩の製造 温度計、冷却器、撹拌機を装着した500ml四ツ口フラ
スコに128gのDL−ピロリドンカルボン酸と200gの水を採
り90〜95℃に加熱しDL−ピロリドンカルボン酸を溶解さ
せた。次に40.7gの酸化亜鉛を加え、90〜95℃で2時間
撹拌を続けた。更に撹拌しながらゆっくり冷却し室温下
5時間撹拌を続けた。析出した結晶を別し、60〜65℃
の乾燥機中で5時間乾燥後乳鉢で粉砕し35メッシュの篩
を通過させ158.2gの粉末を得た。また液は濃縮後冷却
晶析させ前記と同様に過乾燥粉砕篩分して12.1gの粉
末を得た。得られた粉末をカールフィッシャー水分計
(京都電子工業(株)製MKA−3)による水分分析では
計算値10.1%に対し実測値10.1%であった。
次に得られた化合物の性能試験とその結果を示した。
重量変化とブロッキング性試験 DL−ピロリドンカルボン酸悪鉛塩2水塩の粉末50gづ
つ2個のシャーレに採り、一方を実験室に開放系で1Kg
の分銅による加圧状態を室温下2ケ月続けたが重量変化
とブロッキングは起こらなかった。
また、他方を底部に塩化アンモニウム飽和水溶液を入
れたデシケータ(相対湿度85%)中で1Kgの分銅による
加圧状態を室温下2ケ月続けたが重量変化とブロッキン
グは起こらなかった。
<実施例2> 熱安定性試験 表−1の配合No1の配合物を6インチオープンロール
(東洋精機(株)製)にて160℃、10分間、前ロール11r
pm後ろロール13.5rpmの回転数でロール混練し厚さ1.5mm
のシートを作製した。
次にこのシートを一辺が5cm程度の大きさに裁断した
ものを試験片としガラス板上に置き、180℃に調節した
ギヤー式老化試験機(東洋精機(株)製)内に入れ10分
毎にガラス板を取り出した。試験片の着色度から熱安定
性の良否を判定した。
得られた試験結果を表−1に示した。
<比較例1> DL−ピロリドンカルボン酸亜鉛塩8水塩の製造 実施例1と同様な操作を行い、別後の乾燥温度だけ
を45℃に変えて行ったところ最終的に221.8gの粉末を得
た。水分測定では計算値30.9%のところ実測値30.9%で
あった。
重量変化とブロッキング試験 実施例1と同様な操作をDL−ピロリドンカルボン酸亜
鉛塩8水塩を用いて行い、実験室開放系では1Kgの分銅
による加圧部分が固化するブロッキングが見られた。ま
た固化部分の水分測定では24.5%であり結晶水に換算す
ると5.8水塩に相当した。
デシケータ中では水分が30.7%でほとんど変化しなか
ったが1Kgの分銅による加圧部分がやはり固化するブロ
ッキングが見られた。
<比較例2> 熱安定性試験 表−1の配合No2、3及び4の配合物を実施例1と同
様な操作を行った。
得られた結果を表−1に示した。
<実施例3> 熱安定性試験 表−2の実施例3の配合物を実施例2の方法の試験片
の厚さを0.5から1.5mmとギヤー式老化試験機の温度を18
0℃から160℃に変えた以外は実施例2と同様な操作を行
った。
得られた結果を表−2に示した。
<比較例3> 熱安定性試験 表−2の比較例3の配合物を実施例3と同様な操作を
行った。
得られた結果を表−2に示した。
<発明の効果> 以上示したように、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩の結
晶水を2以下にすることにより貯蔵時のブロッキング現
象を防ぐことができた。また含ハロゲン樹脂組成物の熱
安定性向上のため2水塩化下のピロリドンカルボン酸亜
鉛塩とプレンライザーST−210等の多価アルコール系安
定化助剤を配合することで、表−1のより厳しい条件下
及び表−2の比較的おだやかな条件下に於いても熱安定
性が飛躍的に改良されたことにより建材、電線被覆材
料、日用品、玩具等多方面に熱安定性良好な含ハロゲン
樹脂組成物として汎用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 27/00 C08K 5/3415 C07D 207/00 - 207/50 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含ハロゲン樹脂100重量部に一般式(1)
    (但し0≦n≦2) 示したL−及び/またはDL−ピロリドンカルボン酸亜鉛
    塩0.1〜5重量部及び多価アルコール系安定化助剤0.1〜
    5重量部を配合してなる含ハロゲン樹脂組成物。
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