JP2820359B2 - 連続焼鈍炉の炉内雰囲気調整方法 - Google Patents

連続焼鈍炉の炉内雰囲気調整方法

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JP2820359B2
JP2820359B2 JP5286591A JP28659193A JP2820359B2 JP 2820359 B2 JP2820359 B2 JP 2820359B2 JP 5286591 A JP5286591 A JP 5286591A JP 28659193 A JP28659193 A JP 28659193A JP 2820359 B2 JP2820359 B2 JP 2820359B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水冷装置を備えた連続
焼鈍炉の炉内雰囲気調整方法,即ち、前記水冷装置の設
置に伴う弊害を除去するために、炉の前半は向流で、ま
た炉の後半は順流の2つの相反するガス流となるように
調整する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ストリップ,例えば鋼帯の連続焼鈍炉
は、一般に、加熱帯,均熱帯,徐冷帯および急冷帯を順
次に設けてなるものであって、それぞれの帯域では、区
画の目的に応じた所望の炉内雰囲気に保持されているこ
とが必要である。特に、表面清浄を厳しく管理する必要
のある鋼帯を連続焼鈍する場合、均熱帯および冷却帯の
雰囲気を清浄に保つことが肝要である。一般に、冷間圧
延された鋼帯は、連続焼鈍に先立って、その表面に付着
した圧延油を除去するために電解洗浄が施されるが、完
全な清浄化は困難である。そのため、この鋼帯表面では
油分の残留や酸化膜の生成が起こる。そして、この残留
油分や鋼帯表面の酸化膜は、炉内の還元ガス(H2)との
還元反応(FeO + H2 → Fe + H2O)によって、H2O
等の鋼帯表面清浄を阻害する成分を発生し、ひいては炉
内の露点の上昇や炉内清浄度の悪化を招いて、鋼帯の表
面清浄を害するという問題があった。
【0003】これに対して、従来、このような連続焼鈍
炉の炉内雰囲気を清浄に保つための技術として、例え
ば、図2に示すような連続焼鈍炉を用いた雰囲気調整方
法が提案されている(特開平2−274821号公報参照)。
すなわち、この提案技術は、徐冷帯3および急冷帯4に
て雰囲気ガスの導入を行い、加熱帯1または均熱帯2に
て雰囲気ガスの放出を行うことにより、ストリップの表
面清浄を害するような成分が冷却帯に侵入するのを防止
して、炉内雰囲気の清浄化を図ろうとする方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近の連続
焼鈍ラインは、歩留りの向上,生産性の向上および省力
化を図るために、調質圧延機やサイドトリマー,検査設
備,防錆油塗布装置などをインライン化した設備が主流
となっている。とくに、連続焼鈍炉の出側に調質圧延機
をインライン設置する場合には、鋼帯を、連続焼鈍した
のち調質圧延前に約50℃以下の温度に冷却しておく必要
があり、連続焼鈍炉の最終冷却帯である急冷帯の直後に
水冷装置を設けるのが通例である。そのため、互いの雰
囲気を遮断することを目的として、急冷帯と水冷装置間
にはシールロールを設けてはいるが、水冷装置内の雰囲
気(水蒸気を含む雰囲気)が急冷帯ならびに徐冷帯へ侵
入するのを完全に阻止することができず、そのために、
急冷帯ならびに徐冷帯の露点が水冷装置の無い場合に比
べて上昇し、鋼帯の表面清浄の悪化を一層助長するとい
う新たな弊害を招いた。
【0005】そこで本発明は、従来技術が抱えているこ
のような弊害を招くことなく、水冷装置を備えた連続焼
鈍炉においても炉内雰囲気を清浄に保つことができるよ
うな炉内雰囲気調整方法を確立することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記従来技術が抱えてい
る課題を解決する手段として、本発明は、少なくとも加
熱帯、均熱帯、冷却帯を備えると共に、さらにその冷却
帯の出側に水冷装置を設けてなる連続焼鈍炉の炉内雰囲
気調整方法において、加熱帯へのストリップ搬入部なら
びに冷却帯から水冷装置へ向かうストリップ搬出部にシ
ールロールを設けるとともに、雰囲気ガスの導入を均熱
帯および/または冷却帯上流側にて行い、一方、雰囲気
ガスの放出を加熱帯および冷却帯下流側にて行うことを
特徴とする連続焼鈍炉の炉内雰囲気調整方法を提案す
る。
【0007】
【作用】本発明は、連続焼鈍炉の適所に、雰囲気ガス導
入口および放出口を設けることにより、均熱帯から加熱
帯入側に向けての雰囲気ガスの流れを導くと共に、徐冷
帯から急冷帯出側に向けての雰囲気ガスの流れを導き、
このような炉内雰囲気調整によって、均熱帯および徐冷
帯の露点を低めに抑えるようにする。即ち、このような
炉内雰囲気調整方法によれば、たとえ水冷装置を備えた
連続焼鈍炉の操業であっても炉内雰囲気を常に清浄に保
つことができるようになる。このことがひいては、表面
清浄に優れたストリップを安定して製造することができ
ることにつながるのである。即ち、本発明は、均熱帯か
ら加熱帯入側に向けての雰囲気ガスの流れを導くと共
に、徐冷帯から急冷帯出側に向けての雰囲気ガスの流れ
を導くために、雰囲気ガスの導入を均熱帯および/また
は冷却帯上流側にて行い、一方、雰囲気ガスの放出を加
熱帯および冷却帯下流側にて行うようにしたのである。
【0008】
【実施例】以下に、本発明方法の適用例につき説明す
る。図1は、本発明方法に採用する連続焼鈍炉を例示す
るものであり、炉内を加熱帯1,均熱帯2,徐冷帯3お
よび急冷帯4と直列状に区画し、鋼ストリップ11を搬送
するためのハースロールを内設した竪型炉である。この
図示した連続焼鈍炉において、それぞれの帯域内に搬送
されたストリップの加熱,冷却手段としては、加熱帯1
および均熱帯2ではラジアントチューブ5、徐冷帯3で
はクーリングチューブ7、急冷帯4ではジェットクーラ
ー8を用いる。また、インラインにて調質圧延等に供す
るのに好適な温度に冷却するための手段として、急冷帯
4の出側下部には水冷装置6が設けられる。さらに、加
熱帯のストリップ搬入部、ならびに急冷帯のストリップ
搬出部には、外気雰囲気や水冷装置6内の雰囲気から炉
内雰囲気を遮断するために、2連のシールロール12が設
けられる。
【0009】本発明方法の実施のために、上記の連続焼
鈍炉にはさらに、炉内雰囲気を調整するための手段とし
て、雰囲気ガス導入口9を均熱帯2および/または徐冷
帯3に設け、導入された雰囲気ガスを放出するための雰
囲気ガス放出口10を加熱帯1および急冷帯4に設けてい
る。特に、この雰囲気ガス放出口10は、加熱帯1の入側
上部および急冷帯4の出側上部に設けることが望まし
い。
【0010】なお、図1においては、水冷装置6の出側
上方に、3連のリンガーロール13を介してドライヤー14
が設けられており、これを通過したストリップは、図示
してない調質圧延部等へ搬送される。
【0011】このような連続焼鈍ライン構成において、
本発明の炉内雰囲気調整方法を適用すると、均熱帯2か
ら加熱帯1入側に向けての雰囲気ガスの流れによって、
ストリップの表面清浄を害するような H2O等の成分を、
加熱帯1入側に設けた放出口10から排出することができ
るので、炉内の露点上昇を抑制し、炉内の清浄度を維持
することが可能となる。一方、徐冷帯から急冷帯出側に
向けての雰囲気ガスの流れによって、急冷帯と水冷装置
間に設けた2連のシールロールを越えて炉内に侵入する
極めてわずかな水蒸気を含む大気雰囲気も、急冷帯入側
に設けた放出口から排出することができるので、冷却帯
の露点上昇を抑制し、炉内の清浄度を維持することが可
能となる。
【0012】したがって、本発明の炉内雰囲気調整方法
は、連続焼鈍炉の後部(下流側)から雰囲気ガスを導入
して連続焼鈍炉の前部(上流側)から放出する従来のよ
うな方法に比べ、炉内雰囲気をより清浄に保持できるこ
とから、雰囲気ガスの導入放出量を2〜3%削減でき、
しかも、その分のエネルギーロスを少なくすることがで
きる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
冷装置を備えている連続焼鈍炉においても、ストリップ
の表面清浄を害するような成分の侵入を防止でき、炉温
や板温の高い均熱帯および徐冷帯の雰囲気を常に清浄に
保持することができる。これにより、表面清浄に優れた
ストリップを安定して製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる連続焼鈍炉の一実施例を示す図
である。
【図2】従来技術にかかる連続焼鈍炉の一実施例を示す
図である。
【符号の説明】
1 加熱帯 2 均熱帯 3 徐冷帯 4 急冷帯 5 ラジアントチューブ 6 水冷装置 7 クーリングチューブ 8 ジェットクーラー 9 雰囲気ガス導入口 10 雰囲気ガス放出口 11 鋼ストリップ 12 シールロール 13 リンガーロール 14 ドライヤー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 9/52,9/56 C21D 1/74 C21D 1/76 F27D 7/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも加熱帯、均熱帯、冷却帯を備
    えると共に、さらにその冷却帯の出側に水冷装置を設け
    てなる連続焼鈍炉の炉内雰囲気調整方法において、加熱
    帯へのストリップ搬入部ならびに冷却帯から水冷装置へ
    向かうストリップ搬出部にシールロールを設けるととも
    、雰囲気ガスの導入を均熱帯および/または冷却帯上
    流側にて行い、一方、雰囲気ガスの放出を加熱帯および
    冷却帯下流側にて行うことを特徴とする連続焼鈍炉の炉
    内雰囲気調整方法。
JP5286591A 1993-11-16 1993-11-16 連続焼鈍炉の炉内雰囲気調整方法 Expired - Lifetime JP2820359B2 (ja)

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