JP2819388B2 - 放電型サージ吸収素子及びその製造方法 - Google Patents

放電型サージ吸収素子及びその製造方法

Info

Publication number
JP2819388B2
JP2819388B2 JP6169943A JP16994394A JP2819388B2 JP 2819388 B2 JP2819388 B2 JP 2819388B2 JP 6169943 A JP6169943 A JP 6169943A JP 16994394 A JP16994394 A JP 16994394A JP 2819388 B2 JP2819388 B2 JP 2819388B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge
dielectric layer
gap
lead wire
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6169943A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0817550A (ja
Inventor
順一 井田
昭雄 向井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Okaya Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Okaya Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Okaya Electric Industry Co Ltd filed Critical Okaya Electric Industry Co Ltd
Priority to JP6169943A priority Critical patent/JP2819388B2/ja
Priority to DE19523338A priority patent/DE19523338A1/de
Priority to CN95107780A priority patent/CN1046600C/zh
Priority to US08/496,363 priority patent/US5694284A/en
Publication of JPH0817550A publication Critical patent/JPH0817550A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2819388B2 publication Critical patent/JP2819388B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、気密容器内に封入し
た放電間隙における放電現象を利用してサージを吸収す
る放電型サージ吸収素子及びその製造方法に係り、特
に、放電間隙における気中放電に対するトリガ手段とし
て、誘電体層表面における沿面コロナ放電を用いること
により、対サージ応答性能の向上を図った放電型サージ
吸収素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器に侵入する過渡的な異常
電圧や誘導雷等のサージから電子回路素子を保護するた
め、気密容器内に封入した放電間隙における放電現象を
利用した放電型サージ吸収素子が用いられている。この
ような放電型サージ吸収素子は、主放電たるアーク放電
を用いてサージを吸収するものであるため、電流耐量が
大きいという利点を備えている一方、対サージ応答性能
に劣るという欠点がある。このため、沿面放電特性が良
好な誘電体を放電間隙に並列接続することにより、対サ
ージ応答性能の向上を図る技術が存在している(特公平
5−7835号、特公平5−8736号)。
【0003】図6に示すように、この放電型サージ吸収
素子50は、電極基体52aの表面にエミッタ層52b
を被着させて成る棒状の放電電極52,52の下端にリ
ード線53,53を接続し、これを所定の放電間隙54
を隔てて互いに平行するよう配置し、ガラス管を加工し
て形成した気密容器56内に所定の放電ガスと共に封入
し、上記リード線53,53を気密容器56外に導出さ
せると共に、上記気密容器56の内面における少なくと
もリード線53,53間に、沿面放電特性が良好な誘電
体層60を被着形成して成る。上記放電間隙54と誘電
体層60とは、リード線53,53を介して並列接続さ
れている。上記電極基体52aは、ニッケルや銅、鉄等
の放電特性の良好な金属材料より成る。また、上記エミ
ッタ層52bは、酸化バリウムや六硼化ランタン等のエ
ミッタ物質より成る。
【0004】しかして、上記リード線53,53を介し
てこの放電型サージ吸収素子50にサージが印加される
と、直ちに、リード線53,53間の誘電体層60表面
において沿面コロナ放電が発生してサージ吸収が開始さ
れる。そして、この沿面コロナ放電は、該放電に伴って
放出された電子及びイオンのプライミング効果によっ
て、放電電極52,52間の放電間隙54へ転移し、最
終的にはアーク放電の大電流を通じてサージが吸収され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、この放電型
サージ吸収素子50は、対サージ応答性に優れる沿面コ
ロナ放電を、放電間隙54における主放電(アーク放
電)のトリガとして利用することにより、対サージ応答
性能を高めることを企図しているものである。そして、
上記誘電体層60を設けない場合に比べれば、確かに対
サージ応答性能は向上しているといえるが、沿面コロナ
放電による電子やイオンの放出量はあまり多くないた
め、上記放電型サージ吸収素子50の対サージ応答性能
は、なお不満の残る水準に止まるものであった。
【0006】このため、図7に示すように、上記誘電体
層60の表面から、ニッケルや銅、鉄等の導電材料より
成る粒状あるいは塊状の補助放電電極62を多数突出さ
せて、リード線53と補助放電電極62との間、及び各
補助放電電極62間に、上記放電間隙54よりも格段に
狭小な補助放電間隙64を形成する技術が提案されてい
る。これは要するに、誘電体層60表面における沿面コ
ロナ放電と、放電間隙54における主放電との間に、補
助放電間隙64における気中放電を介在させることによ
り、放電間隙54における主放電の生成をより円滑化し
ようとするものである。
【0007】確かに、補助放電間隙64の方が放電間隙
54よりも間隙長が格段に狭小であり、また誘電体層6
0からの距離も短いため、より短時間の中に補助放電間
隙64に気中放電が生成され、しかもこの気中放電によ
って沿面コロナ放電によるよりもはるかに多量の電子や
イオンが放出されるため、放電間隙54における主放電
の生成をより迅速化することができる。
【0008】ところで、上記誘電体層60及び補助放電
電極62は、放電電極52の電極基体52aやエミッタ
層52b、あるいはリード線53を構成する金属を材料
に形成される。例えば、ニッケル製の電極基体52aを
気密容器56内に挿入し、気密容器56内の排気工程に
伴う減圧雰囲気中において電極基体52aに高周波加熱
を施し、電極基体52a表面のニッケルを溶融・飛散さ
せて気密容器56の内面に付着させる。上記排気工程の
初期においては気密容器56内に空気が残存しており、
溶融・飛散したニッケルは途中で酸化されるため、気密
容器56の内面には、まず絶縁性の酸化ニッケルより成
る誘電体層60が形成される。つぎに、上記排気工程の
進展に伴って気密容器56内に空気がなくなると、溶融
・飛散したニッケルは酸化されないまま誘電体層60の
表面に付着し、導電性を備えた粒状あるいは塊状の補助
放電電極62が形成されることとなる。このように、誘
電体層60と補助放電電極62を、電極基体52aを構
成する金属を材料にして形成すれば、特別な装置や材料
を別途用意する必要がなくなり、製造過程の簡素化を実
現できるという利点がある。
【0009】しかしながら、電極基体52aを構成する
金属の溶融・飛散工程を精密に制御することは困難であ
るため、本来誘電体層60の表面にのみ点在させるべき
金属粒66の一部が、どうしても誘電体層60内部に埋
没・混入してしまい、その結果、誘電体層60自体の絶
縁抵抗が低下することとなる。そして、このように誘電
体層60の絶縁抵抗が低下すると、サージが印加された
場合に、リード線53,53間における沿面コロナ放電
が持続状態となり、上記放電間隙54における主放電に
移行できなくなる。また、この沿面コロナ放電の持続に
よって、甚だしい場合には誘電体層60が剥離したり、
発熱のため部分的に溶融・飛散することとなり、次のサ
ージが印加されてもトリガ放電が発生せず、上記放電間
隙54においては放電遅れのため主放電に移行できず、
アーク放電を利用した大電流の吸収が不可能となる危険
性も生じる。もちろん、極めて微量の金属粒66が混入
するだけなら問題ないが、補助放電間隙64における気
中放電を実現するには、ある程度以上の密度で補助放電
電極62を誘電体層60の表面に分布させる必要があ
り、結果的に無視できない量の金属粒66が誘電体層6
0内部に埋没・混入することとなる。
【0010】この発明は、上記従来の問題に鑑みてなさ
れたものであり、誘電体層の表面に補助放電電極を形成
するまでもなく、対サージ応答性能を高めることができ
る放電型サージ吸収素子の実現を目的としており、また
このような放電型サージ吸収素子を簡単に製造できる製
造方法を得ることを目的とするものである。さらには、
誘電体層の表面に、気密容器内に収納された部材を構成
する金属を用いて多数の補助放電電極を散点状に形成す
る場合でも、リード線間における沿面コロナ放電が持続
状態となることを有効に防止でき、したがって放電間隙
にアーク放電を確実に生成させることができる放電型サ
ージ吸収素子の実現を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明に係る放電型サージ吸収素子は、放電ガス
を充填した気密容器内に、リード線を接続した複数本の
放電電極を対向配置して各放電電極間に放電間隙を形成
し、各放電電極のリード線を上記気密容器を貫通させて
外部に導出すると共に、上記気密容器内面の少なくとも
上記リード線間に、放電電極を構成している金属を溶
融、飛散させると共に酸化して形成され、導電性を備え
た高抵抗体より成る誘電体層を配置し、さらに、上記リ
ード線と上記誘電体層端部との間に微小間隙を形成した
ことを特徴とする。上記誘電体層の少なくとも表面に、
上記気密容器内に収納された部材を構成している金属を
材料として形成した多数の補助放電電極を散点状に配置
して、上記放電間隙よりも狭小な補助放電間隙を上記リ
ード線間に形成してもよい。
【0012】上記誘電体層は、例えば、上記放電電極を
減圧した酸化雰囲気中で加熱して、該放電電極を構成し
ている金属を溶融、飛散させると共に酸化させ、この金
属酸化物を気密容器内面に被着させることによって形成
される。また、上記微小間隙は、上記放電電極への加熱
によって気密容器内面の上記リード線との接触部分を溶
融させて、該接触部分表面への上記金属酸化物の被着を
防ぐことで形成される。
【0013】
【作用】上記のように構成した放電型サージ吸収素子に
サージが印加されると、直ちに、リード線間に配置され
た誘電体層表面において沿面コロナ放電が発生し、サー
ジ吸収が開始される。同時に、リード線と、導電性を備
えた高抵抗体より成る誘電体層端部間の電界強度が高ま
るため、微小間隙に多量の電子やイオンが放出され、こ
の電子及びイオンのプライミング効果により、上記沿面
コロナ放電は、極めて短時間の中に放電電極間の放電間
隙に転移する。この結果、放電間隙にグロー放電を経て
アーク放電が生成され、このアーク放電の大電流を通じ
てサージが吸収される。
【0014】また、誘電体層表面に、気密容器内に収納
された部材を構成している金属を用いて多数の補助放電
電極を散点状に形成する場合において、例え補助放電電
極形成時に誘電体層内に金属粒が埋没・混入し、誘電体
層自体の絶縁抵抗が低下したとしても、リード線と誘電
体層端部との間には微小間隙が形成されており、両者間
の絶縁性は維持されているため、サージ印加の際にリー
ド線間で沿面コロナ放電が持続してしまい、放電間隙に
アーク放電を生成できないといった問題は生じない。
【0015】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の実施例を
説明する。図1は、本発明の一実施例に係る第1の放電
型サージ吸収素子10を示す縦断面図である。この第1
の放電型サージ吸収素子10は、電極基体14aの表面
にエミッタ層14bを被着して成る一対の放電電極1
4,14の一端に、デュメット線(銅被覆鉄ニッケル合
金線)や42−6合金線等より成るリード線15,15
を接続し、両放電電極14,14を所定の距離を隔てて
平行に配置して放電間隙16を形成すると共に、これを
ガラス管を加工して形成した気密容器18内に封入し、
各放電電極14のリード線15を気密容器18外に導出
して成る。上記電極基体14aは、ニッケルや銅あるい
は鉄等、放電特性の良好な金属材料を、棒状や板状に加
工して成る。また、上記エミッタ層14bは、酸化バリ
ウムや六硼化ランタン等のエミッタ物質より成る。
【0016】上記気密容器18内には、希ガスや窒素ガ
スあるいは六弗化硫黄ガス等より成る放電ガスが封入さ
れると共に、該気密容器18の内面には、酸化ニッケル
など沿面放電特性が良好な物質より成る誘電体層20が
被着されている。また、リード線15と気密容器18内
面との接触部分を拡大して示す図2から明らかなよう
に、リード線15,15間に配置された誘電体層20の
端面20aとリード線15との間には、幅10〜300
μmの微小間隙21が形成されており、該微小間隙21
によって両者は隔絶されている。
【0017】つぎに、この第1の放電型サージ吸収素子
10の製造方法の一例について説明する。まず、リード
線15,15を接続したニッケルより成る電極基体14
a,14aの表面に、該電極基体14a,14aの表面
の一部が露出するように炭酸バリウムより成るエミッタ
材料を付着させる。そして、上記リード線15,15を
同一方向に揃えて整列治具によって保持して、電極基体
14a,14aを所定間隔で対向させ、これを両端が開
口したガラス管内に挿入して、上記リード線15,15
の下端部がガラス管の一端開口から外部へ突出するよう
に収納する。さらに、ガラス管の一端をガス炎によって
加熱して溶融させ、溶融部分をピンチャーによって内方
向へ圧潰して封着し、リード線15,15の中途部をガ
ラス管の封着部に固定すると共に、該リード線15,1
5の下端部をガラス管の外部に導出する。この際、上記
ガラス管の加熱を空気中で行うことにより、電極基体1
4a,14a表面の露出部分が酸化されて酸化ニッケル
が形成される。
【0018】ついで、ガラス管の他端に排気装置を接続
し、これを高周波コイル内に配置して高周波加熱を施す
と共に、該ガラス管内を排気すれば、エミッタ材料の炭
酸バリウムが熱分解して電極基体14a,14aの表面
に酸化バリウムより成るエミッタ層14b,14bが形
成されて放電電極14,14が完成する。同時に、電極
基体14a,14a表面の露出部分が溶融し、排気に伴
うガラス管内の減圧によって飛散を開始する。排気工程
当初においては、ガラス管内の残留空気濃度が高いた
め、電極基体14a,14aを構成するニッケルが飛散
中に酸化されて酸化ニッケルとなり、前工程で電極基体
14a,14aの表面に形成されていた酸化ニッケルと
共にガラス管の内面に層状に被着し、沿面放電特性が良
好な酸化ニッケルより成る誘電体層20が形成される。
【0019】また、上記電極基体14a,14aの加熱
に伴い、リード線15,15も高周波加熱されて高温と
なり、ガラス管内面における該リード線15,15と接
する部分が溶融・軟化する。このガラスの溶融・軟化温
度は、電極基体14a,14aのニッケルや酸化ニッケ
ルが溶融・飛散する温度よりも低く、その飛散が終了し
た後もガラスの溶融状態がしばらく継続するため、その
表面に酸化ニッケルが被着されることはない。さらに、
ガラス管内は上記のように減圧雰囲気にあるため、溶融
したガラスがリード線15,15を伝って電極基体14
a,14a側にやや盛り上がることとなり、上記加熱工
程が終了して冷却されると、リード線15と誘電体層2
0の端面20aとの間に上記微小間隙21が形成され
る。
【0020】つぎに、上記排気作業によって、残留空
気、炭酸バリウム分解による二酸化炭素、並びにガラス
管自身やガラス管内に収納された部材から放出される不
純ガスを完全に除去してガラス管内を高真空状態とした
後、放電ガスを充填し、さらに上記ガラス管の他端を加
熱し、これを溶融させて封じ切り、気密容器18を形成
する。
【0021】この製造方法によれば、加熱温度や加熱時
間、あるいは排気速度等の条件、及び各部材を構成する
材料の溶融温度や分解温度あるいは酸化速度等を適宜選
定し、最適条件を設定することにより、特別な材料や工
程を用意することなく、誘電体層20及び微小間隙21
を形成することができ、製造の簡易化が図れる。
【0022】この第1の放電型サージ吸収素子10にリ
ード線15,15を介してサージが印加されると、直ち
に誘電体層20表面において沿面コロナ放電が発生し、
サージの吸収が開始される。また、リード線15と誘電
体層端面20a間の電界強度が高まり、多量の電子及び
イオンが微小間隙21に放出されるため、そのプライミ
ング効果により、上記沿面コロナ放電は、極めて短時間
の中に放電間隙16に転移される。そして、この放電間
隙16では、グロー放電を経て主放電たるアーク放電が
生成され、サージの本格的な吸収が実現される。このよ
うに、リード線15と誘電体層端面20aとの間に微小
間隙21を形成することにより、単に沿面コロナ放電に
よって放出される電子及びイオンのみを主放電のトリガ
として利用する場合に比べ、はるかに多量の電子及びイ
オンの放出が可能となるため、その分対サージ応答性能
の向上が図れる。もっとも、上記誘電体層20が完全な
絶縁物である場合には、このような微小間隙21におけ
る電子やイオンの放出は望めないが、該誘電体層20
は、上記のように導電物であるニッケルを飛散途中で酸
化させて形成されるため、若干の導電性を備えた高抵抗
体を構成しており、したがってサージ印加時には微小間
隙21に多量の電子・イオンを放出できるものである。
【0023】なお、上記誘電体層20か形成された段階
で直ちに電極基体14a,14aへの加熱を終了せず
に、しばらく加熱を続けると、排気作業の進行に伴って
ガラス管内の残留空気濃度が低下し、遂には飛散したニ
ッケルが酸化されない状態となる。したがって、この酸
化されないニッケルが上記誘電体層20の表面に散点状
に付着した時点でこの操作を終了すれば、図3に示すよ
うに、導電性を備えた粒状あるいは塊状の補助放電電極
22が多数形成される。また、リード線15と補助放電
電極22間、及び補助放電電極22相互間には、多数の
補助放電間隙24が形成される。この補助放電間隙24
は、放電電極14,14間の放電間隙16よりも格段に
狭小であり、かつ誘電体層20表面からの距離も短いた
め、サージ印加時には、極めて短時間の中にこの補助放
電間隙24において気中放電が生成され、該放電による
電子・イオンのプライミング効果も加わり、より迅速に
放電間隙16に主放電を生成することが可能となる。
【0024】上記製造方法によれば、特別な材料や工程
を用意することなく、単に加熱温度や加熱時間等の条件
を適宜調節するだけで、補助放電電極22を形成できる
利点がある。その一方で、補助放電電極22の形成に際
し、補助放電電極22の材料となる金属粒26が不可避
的に誘電体層20中に埋没・混入することとなるが、上
記のようにリード線15と誘電体層端面20aとの間に
微小間隙21が形成され、両者間の絶縁性が確保されて
いるため、サージ印加時において、リード線15,15
間に沿面コロナ放電が持続してしまい、結果として放電
間隙16にアーク放電を生成できないという問題は生じ
ない。
【0025】この補助放電電極22は、リード線15や
エミッタ層14bを構成する金属(銅やバリウム)を溶
融・飛散させ、誘電体層20の表面に散点状に付着させ
ることによっても形成できる。
【0026】図4は、本発明に係る第2の放電型サージ
吸収素子30を示すものである。この第2の放電型サー
ジ吸収素子30は、ニッケルや鉄、あるいはこれらの合
金等、放電特性の良好な金属材料より成るハット型の放
電電極32を、セラミック等の絶縁物より成る円筒状の
外囲体34の両端に封着して気密容器36を形成すると
共に、対向させた上記放電電極32,32の先端部32
a,32a間を放電間隙37と成し、さらに上記気密容
器36(外囲体34)の内面に誘電体層38を形成して
成る。該誘電体層38は、酸化ニッケルなど沿面放電特
性の良好な物質を蒸着、溶射、塗布等の手段により、気
密容器36(外囲体34)内面に膜状に被着させること
で形成される。上記気密容器36内には、希ガスや窒素
ガスあるいは六弗化硫黄ガス等より成る放電ガスが封入
され、放電電極32の外面にはリード線40が接続され
る。
【0027】また、図5に示すように、放電電極32の
鍔部32b内面と誘電体層38の端面38aとの間に
は、10〜300μmの微小間隙42が形成されてい
る。この結果、上記実施例と同様、サージ印加時には放
電電極の鍔部32b内面と誘電体層端面38aとの間の
電界強度が高まり、微小間隙42に多量の電子・イオン
が放出される結果、放電間隙37における主放電の生成
をより速やかに実現できる。この微小間隙42は、外囲
体34の内面全域に誘電体層38を形成した後に、切
削、研磨、レーザー照射等によって、誘電体層38の端
部を必要な幅に除去することで形成される。あるいは、
微小間隙42に対応するレジスト層を予め外囲体34内
面の端縁に形成しておき、誘電体層38を形成した後に
該レジスト層を除去することによって微小間隙42を形
成してもよい。
【0028】なお、図示は省略したが、上記誘電体層3
8の表面に、導電性を備えた粒状あるいは塊状の補助放
電電極を散点状に多数配置させ、補助放電電極と放電電
極の鍔部32b内面との間、あるいは補助放電間隙相互
間に、放電間隙37よりも格段に狭小な補助放電間隙を
形成するよう構成してもよい。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る放電型サージ吸収素子にあ
っては、上記のようにリード線と誘電体層の端部との間
に微小間隙を形成するよう構成したため、リード線間に
サージが印加された場合には、リード線と、導電性を備
えた高抵抗体より成る誘電体層端部間の電界強度が高ま
り、沿面コロナ放電によるよりもはるかに多量の電子及
びイオンが微小間隙に放出されることとなり、これがト
リガとなって極めて短時間の中に放電電極間の放電間隙
に主放電たるアーク放電を生成することができ、対サー
ジ応答性能の飛躍的な向上が実現できる。
【0030】また、本発明に係る放電型サージ吸収素子
の製造方法によれば、特別な装置や工程を別個に用意す
ることなく、誘電体層の形成と同一工程において、上記
微小間隙を形成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の放電型サージ吸収素子を示
す断面図である。
【図2】第1の放電型サージ吸収素子のリード線と気密
容器内面との接続部分を示す拡大断面図である。
【図3】第1の放電型サージ吸収素子のリード線と気密
容器内面との接続部分の変形例を示す拡大断面図であ
る。
【図4】本発明に係る第2の放電型サージ吸収素子を示
す断面図である。
【図5】第2の放電型サージ吸収素子の微小間隙周りを
示す拡大断面図である。
【図6】従来の放電型サージ吸収素子を示す断面図であ
る。
【図7】従来の放電型サージ吸収素子のリード線間を示
す拡大断面図である。
【符号の説明】
10 第1の放電型サージ吸収素子 14 放電電極 15 リード線 16 放電間隙 18 気密容器 20 誘電体層 20a 誘電体層端面 21 微小間隙 22 補助放電電極 24 補助放電間隙 30 第2の放電型サージ吸収素子 32 放電電極 36 気密容器 37 放電間隙 38 誘電体層 38a 誘電体層端面 42 微小間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−102555(JP,A) 特開 昭59−108290(JP,A) 特開 昭58−198884(JP,A) 特開 平8−17548(JP,A) 実開 昭62−71888(JP,U) 特公 平5−7835(JP,B2) 特公 平5−7836(JP,B2) 特公 平5−69270(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01T 2/02 H01T 1/20 H01T 4/12 H01T 21/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電ガスを充填した気密容器内に、リー
    ド線を接続した複数本の放電電極を対向配置して各放電
    電極間に放電間隙を形成し、各放電電極のリード線を上
    記気密容器を貫通させて外部に導出すると共に、上記気
    密容器内面の少なくとも上記リード線間に、放電電極を
    構成している金属を溶融、飛散させると共に酸化して形
    成され、導電性を備えた高抵抗体より成る誘電体層を配
    置し、さらに、上記リード線と上記誘電体層端部との間
    に微小間隙を形成したことを特徴とする放電型サージ吸
    収素子。
  2. 【請求項2】 上記誘電体層の少なくとも表面に、上記
    気密容器内に収納された部材を構成している金属を材料
    として形成した多数の補助放電電極を散点状に配置し
    て、上記放電間隙よりも狭小な補助放電間隙を上記リー
    ド線間に形成したことを特徴とする請求項1に記載の放
    電型サージ吸収素子。
  3. 【請求項3】 放電ガスを充填した気密容器内に、リー
    ド線を接続した複数本の放電電極を対向配置して各放電
    電極間に放電間隙を形成し、各放電電極のリード線を上
    記気密容器を貫通させて外部に導出すると共に、上記気
    密容器内面の少なくとも上記リード線間に沿面放電特性
    が良好な誘電体層を配置し、さらに上記リード線と上記
    誘電体層端部との間に微小間隙を形成して成る放電型サ
    ージ吸収素子の製造方法であって、上記放電電極を減圧
    した酸化雰囲気中で加熱して、該放電電極を構成してい
    る金属を溶融、飛散させると共に酸化させ、この金属酸
    化物を気密容器内面に被着させることによって上記誘電
    体層を形成すると同時に、上記放電電極への加熱によっ
    て気密容器内面の上記リード線との接触部分を溶融させ
    て、該接触部分表面への上記金属酸化物の被着を防ぎ、
    以って上記微小間隙を形成することを特徴とする放電型
    サージ吸収素子の製造方法。
JP6169943A 1994-06-29 1994-06-29 放電型サージ吸収素子及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2819388B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6169943A JP2819388B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 放電型サージ吸収素子及びその製造方法
DE19523338A DE19523338A1 (de) 1994-06-29 1995-06-27 Überspannungsschutzelement vom Entladungstyp und Verfahren zu dessen Herstellung
CN95107780A CN1046600C (zh) 1994-06-29 1995-06-28 放电式过电压吸收元件及其制造方法
US08/496,363 US5694284A (en) 1994-06-29 1995-06-29 Discharge type surge absorbing element and method for making the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6169943A JP2819388B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 放電型サージ吸収素子及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0817550A JPH0817550A (ja) 1996-01-19
JP2819388B2 true JP2819388B2 (ja) 1998-10-30

Family

ID=15895775

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6169943A Expired - Fee Related JP2819388B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 放電型サージ吸収素子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2819388B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010061522A1 (ja) * 2008-11-26 2010-06-03 株式会社 村田製作所 Esd保護デバイス
KR101283521B1 (ko) 2008-11-26 2013-07-15 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 Esd 보호 디바이스 및 그 제조방법
JP6562261B2 (ja) * 2015-12-08 2019-08-21 三菱マテリアル株式会社 サージ防護素子
JP6590208B2 (ja) * 2015-12-08 2019-10-16 三菱マテリアル株式会社 サージ防護素子

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54102555A (en) * 1978-01-31 1979-08-13 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> Lightning arresting tube
JP2541036B2 (ja) * 1991-06-28 1996-10-09 東洋製罐株式会社 罐詰用罐の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0817550A (ja) 1996-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2819388B2 (ja) 放電型サージ吸収素子及びその製造方法
EP0677862B1 (en) Circuit protectors
JP2745386B2 (ja) 放電型サージ吸収素子の製造方法
US4668204A (en) Single-ended high intensity discharge lamp and manufacture
US6606230B2 (en) Chip-type surge absorber and method for producing the same
US4445873A (en) Method of producing magnetrons
US5694284A (en) Discharge type surge absorbing element and method for making the same
JPH01311585A (ja) 放電型サージ吸収素子
KR100723572B1 (ko) 칩형 서지 흡수재 및 그 제조 방법
JPH0729667A (ja) 放電型サージアブソーバ及びその製造方法
JPH08138828A (ja) 放電型サージ吸収素子の製造方法及び放電型サージ吸収素子
JP2004111311A (ja) サージアブソーバ
JPH057836B2 (ja)
JPH0684446A (ja) アークを発生させないヒューズ
JPH01186780A (ja) 真空トリガ・ギャップ装置
JP2534954B2 (ja) 放電型サ―ジ吸収素子及びその製造方法
JP2701052B2 (ja) サージ吸収素子
US2790923A (en) Gaseous electric discharge tubes and electrodes
JP4437616B2 (ja) サージ吸収素子
JPH0536460A (ja) 放電型サージ吸収素子
JP7459767B2 (ja) サージ防護素子
JPH06310252A (ja) サージアブソーバ
JPH01102823A (ja) 真空トリガギャップ装置
KR100462774B1 (ko) 전자총스템부의제조방법
JP2022138781A (ja) サージ防護素子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070828

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080828

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090828

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees