JPH0817550A - 放電型サージ吸収素子及びその製造方法 - Google Patents

放電型サージ吸収素子及びその製造方法

Info

Publication number
JPH0817550A
JPH0817550A JP16994394A JP16994394A JPH0817550A JP H0817550 A JPH0817550 A JP H0817550A JP 16994394 A JP16994394 A JP 16994394A JP 16994394 A JP16994394 A JP 16994394A JP H0817550 A JPH0817550 A JP H0817550A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge
dielectric layer
lead wires
gap
airtight container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP16994394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2819388B2 (ja
Inventor
Junichi Ida
順一 井田
Akio Mukai
昭雄 向井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Okaya Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Okaya Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Okaya Electric Industry Co Ltd filed Critical Okaya Electric Industry Co Ltd
Priority to JP6169943A priority Critical patent/JP2819388B2/ja
Priority to DE19523338A priority patent/DE19523338A1/de
Priority to CN95107780A priority patent/CN1046600C/zh
Priority to US08/496,363 priority patent/US5694284A/en
Publication of JPH0817550A publication Critical patent/JPH0817550A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2819388B2 publication Critical patent/JP2819388B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermistors And Varistors (AREA)
  • Emergency Protection Circuit Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 気密容器内面の少なくともリード線間に、沿
面放電特性が良好な誘電体層を形成して成る放電型サー
ジ吸収素子について、その対サージ応答性能を向上させ
る。 【構成】 放電ガスを充填した気密容器18内に、電極基
体14a,14aにリード線15,15を接続して成る一対の放
電電極14,14を対向配置して放電間隙16を形成し、リー
ド線15,15を気密容器18外に導出すると共に、気密容器
18内面の少なくともリード線15,15間に沿面放電特性が
良好な誘電体層20を配置して成る第1の放電型サージ吸
収素子10において、リード線15と誘電体層端面20aとの
間に微小間隙21を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、気密容器内に封入し
た放電間隙における放電現象を利用してサージを吸収す
る放電型サージ吸収素子及びその製造方法に係り、特
に、放電間隙における気中放電に対するトリガ手段とし
て、誘電体層表面における沿面コロナ放電を用いること
により、対サージ応答性能の向上を図った放電型サージ
吸収素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器に侵入する過渡的な異常
電圧や誘導雷等のサージから電子回路素子を保護するた
め、気密容器内に封入した放電間隙における放電現象を
利用した放電型サージ吸収素子が用いられている。この
ような放電型サージ吸収素子は、主放電たるアーク放電
を用いてサージを吸収するものであるため、電流耐量が
大きいという利点を備えている一方、対サージ応答性能
に劣るという欠点がある。このため、沿面放電特性が良
好な誘電体を放電間隙に並列接続することにより、対サ
ージ応答性能の向上を図る技術が存在している(特公平
5−7835号、特公平5−8736号)。
【0003】図6に示すように、この放電型サージ吸収
素子50は、電極基体52aの表面にエミッタ層52bを被着
させて成る棒状の放電電極52,52の下端にリード線53,
53を接続し、これを所定の放電間隙54を隔てて互いに平
行するよう配置し、ガラス管を加工して形成した気密容
器56内に所定の放電ガスと共に封入し、上記リード線5
3,53を気密容器56外に導出させると共に、上記気密容
器56の内面における少なくともリード線53,53間に、沿
面放電特性が良好な誘電体層60を被着形成して成る。上
記放電間隙54と誘電体層60とは、リード線53,53を介し
て並列接続されている。上記電極基体52aは、ニッケル
や銅、鉄等の放電特性の良好な金属材料より成る。ま
た、上記エミッタ層52bは、酸化バリウムや六硼化ラン
タン等のエミッタ物質より成る。
【0004】しかして、上記リード線53,53を介してこ
の放電型サージ吸収素子50にサージが印加されると、直
ちに、リード線53,53間の誘電体層60表面において沿面
コロナ放電が発生してサージ吸収が開始される。そし
て、この沿面コロナ放電は、該放電に伴って放出された
電子及びイオンのプライミング効果によって、放電電極
52,52間の放電間隙54へ転移し、最終的にはアーク放電
の大電流を通じてサージが吸収される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、この放電型
サージ吸収素子50は、対サージ応答性に優れる沿面コロ
ナ放電を、放電間隙54における主放電(アーク放電)の
トリガとして利用することにより、対サージ応答性能を
高めることを企図しているものである。そして、上記誘
電体層60を設けない場合に比べれば、確かに対サージ応
答性能は向上しているといえるが、沿面コロナ放電によ
る電子やイオンの放出量はあまり多くないため、上記放
電型サージ吸収素子50の対サージ応答性能は、なお不満
の残る水準に止まるものであった。
【0006】このため、図7に示すように、上記誘電体
層60の表面から、ニッケルや銅、鉄等の導電材料より成
る粒状あるいは塊状の補助放電電極62を多数突出させ
て、リード線53と補助放電電極62との間、及び各補助放
電電極62間に、上記放電間隙54よりも格段に狭小な補助
放電間隙64を形成する技術が提案されている。これは要
するに、誘電体層60表面における沿面コロナ放電と、放
電間隙54における主放電との間に、補助放電間隙64にお
ける気中放電を介在させることにより、放電間隙54にお
ける主放電の生成をより円滑化しようとするものであ
る。
【0007】確かに、補助放電間隙64の方が放電間隙54
よりも間隙長が格段に狭小であり、また誘電体層60から
の距離も短いため、より短時間の中に補助放電間隙64に
気中放電が生成され、しかもこの気中放電によって沿面
コロナ放電によるよりもはるかに多量の電子やイオンが
放出されるため、放電間隙54における主放電の生成をよ
り迅速化することができる。
【0008】ところで、上記誘電体層60及び補助放電電
極62は、放電電極52の電極基体52aやエミッタ層52b、
あるいはリード線53を構成する金属を材料に形成され
る。例えば、ニッケル製の電極基体52aを気密容器56内
に挿入し、気密容器56内の排気工程に伴う減圧雰囲気中
において電極基体52aに高周波加熱を施し、電極基体52
a表面のニッケルを溶融・飛散させて気密容器56の内面
に付着させる。上記排気工程の初期においては気密容器
56内に空気が残存しており、溶融・飛散したニッケルは
途中で酸化されるため、気密容器56の内面には、まず絶
縁性の酸化ニッケルより成る誘電体層60が形成される。
つぎに、上記排気工程の進展に伴って気密容器56内に空
気がなくなると、溶融・飛散したニッケルは酸化されな
いまま誘電体層60の表面に付着し、導電性を備えた粒状
あるいは塊状の補助放電電極62が形成されることとな
る。このように、誘電体層60と補助放電電極62を、電極
基体52aを構成する金属を材料にして形成すれば、特別
な装置や材料を別途用意する必要がなくなり、製造過程
の簡素化を実現できるという利点がある。
【0009】しかしながら、電極基体52aを構成する金
属の溶融・飛散工程を精密に制御することは困難である
ため、本来誘電体層60の表面にのみ点在させるべき金属
粒66の一部が、どうしても誘電体層60内部に埋没・混入
してしまい、その結果、誘電体層60自体の絶縁抵抗が低
下することとなる。そして、このように誘電体層60の絶
縁抵抗が低下すると、サージが印加された場合に、リー
ド線53,53間における沿面コロナ放電が持続状態とな
り、上記放電間隙54における主放電に移行できなくな
る。また、この沿面コロナ放電の持続によって、甚だし
い場合には誘電体層60が剥離したり、発熱のため部分的
に溶融・飛散することとなり、次のサージが印加されて
もトリガ放電が発生せず、上記放電間隙54においては放
電遅れのため主放電に移行できず、アーク放電を利用し
た大電流の吸収が不可能となる危険性も生じる。もちろ
ん、極めて微量の金属粒66が混入するだけなら問題ない
が、補助放電間隙64における気中放電を実現するには、
ある程度以上の密度で補助放電電極62を誘電体層60の表
面に分布させる必要があり、結果的に無視できない量の
金属粒66が誘電体層60内部に埋没・混入することとな
る。
【0010】この発明は、上記従来の問題に鑑みてなさ
れたものであり、誘電体層の表面に補助放電電極を形成
するまでもなく、対サージ応答性能を高めることができ
る放電型サージ吸収素子の実現を目的としており、また
このような放電型サージ吸収素子を簡単に製造できる製
造方法を得ることを目的とするものである。さらには、
誘電体層の表面に、気密容器内に収納された部材を構成
する金属を用いて多数の補助放電電極を散点状に形成す
る場合でも、リード線間における沿面コロナ放電が持続
状態となることを有効に防止でき、したがって放電間隙
にアーク放電を確実に生成させることができる放電型サ
ージ吸収素子の実現を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明に係る放電型サージ吸収素子は、放電ガス
を充填した気密容器内に、複数の放電電極を対向配置し
て各放電電極間に放電間隙を形成すると共に、上記気密
容器内面の少なくとも上記放電電極間に沿面放電特性が
良好な誘電体層を配置して成る放電型サージ吸収素子に
おいて、上記放電電極と上記誘電体層端部との間に微小
間隙を形成したことを特徴とする。
【0012】また、この発明に係る他の放電型サージ吸
収素子は、放電ガスを充填した気密容器内に、リード線
を接続した複数本の放電電極を対向配置して各放電電極
間に放電間隙を形成し、各放電電極のリード線を上記気
密容器を貫通させて外部に導出すると共に、上記気密容
器内面の少なくとも上記リード線間に沿面放電特性が良
好な誘電体層を配置して成る放電型サージ吸収素子にお
いて、上記リード線と上記誘電体層端部との間に微小間
隙を形成したことを特徴とする。上記誘電体層の少なく
とも表面に、上記気密容器内に収納された部材を構成し
ている金属を材料として形成した多数の補助放電電極を
散点状に配置して、上記放電間隙よりも狭小な補助放電
間隙を上記リード線間に形成してもよい。上記誘電体層
は、例えば、上記放電電極を減圧した酸化雰囲気中で加
熱して、該放電電極を構成している金属を溶融、飛散さ
せると共に酸化させ、この金属酸化物を気密容器内面に
被着させることによって形成される。また、上記微小間
隙は、上記放電電極への加熱によって気密容器内面の上
記リード線との接触部分を溶融させて、該接触部分表面
への上記金属酸化物の被着を防ぐことで形成される。
【0013】
【作用】上記のように構成した放電型サージ吸収素子に
サージが印加されると、直ちに、放電電極間あるいはリ
ード線間に配置された誘電体層表面において沿面コロナ
放電が発生し、サージ吸収が開始される。同時に、放電
電極あるいはリード線と誘電体層端部間の電界強度が高
まるため、微小間隙に多量の電子やイオンが放出され、
この電子及びイオンのプライミング効果により、上記沿
面コロナ放電は、極めて短時間の中に放電電極間の放電
間隙に転移する。この結果、放電間隙にグロー放電を経
てアーク放電が生成され、このアーク放電の大電流を通
じてサージが吸収される。
【0014】また、誘電体層表面に、気密容器内に収納
された部材を構成している金属を用いて多数の補助放電
電極を散点状に形成する場合において、例え補助放電電
極形成時に誘電体層内に金属粒が埋没・混入し、誘電体
層自体の絶縁抵抗が低下したとしても、リード線と誘電
体層端部との間には微小間隙が形成されており、両者間
の絶縁性は維持されているため、サージ印加の際にリー
ド線間で沿面コロナ放電が持続してしまい、放電間隙に
アーク放電を生成できないといった問題は生じない。
【0015】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の実施例を
説明する。図1は、本発明の一実施例に係る第1の放電
型サージ吸収素子10を示す縦断面図である。この第1の
放電型サージ吸収素子10は、電極基体14aの表面にエミ
ッタ層14bを被着して成る一対の放電電極14,14の一端
に、デュメット線(銅被覆鉄ニッケル合金線)や42−
6合金線等より成るリード線15,15を接続し、両放電電
極14,14を所定の距離を隔てて平行に配置して放電間隙
16を形成すると共に、これをガラス管を加工して形成し
た気密容器18内に封入し、各放電電極14のリード線15を
気密容器18外に導出して成る。上記電極基体14aは、ニ
ッケルや銅あるいは鉄等、放電特性の良好な金属材料
を、棒状や板状に加工して成る。また、上記エミッタ層
14bは、酸化バリウムや六硼化ランタン等のエミッタ物
質より成る。
【0016】上記気密容器18内には、希ガスや窒素ガス
あるいは六弗化硫黄ガス等より成る放電ガスが封入され
ると共に、該気密容器18の内面には、酸化ニッケルなど
沿面放電特性が良好な物質より成る誘電体層20が被着さ
れている。また、リード線15と気密容器18内面との接触
部分を拡大して示す図2から明らかなように、リード線
15,15間に配置された誘電体層20の端面20aとリード線
15との間には、幅10〜300μmの微小間隙21が形成
されており、該微小間隙21によって両者は隔絶されてい
る。
【0017】つぎに、この第1の放電型サージ吸収素子
10の製造方法の一例について説明する。まず、リード線
15,15を接続したニッケルより成る電極基体14a,14a
の表面に、該電極基体14a,14aの表面の一部が露出す
るように炭酸バリウムより成るエミッタ材料を付着させ
る。そして、上記リード線15,15を同一方向に揃えて整
列治具によって保持して、電極基体14a,14aを所定間
隔で対向させ、これを両端が開口したガラス管内に挿入
して、上記リード線15,15の下端部がガラス管の一端開
口から外部へ突出するように収納する。さらに、ガラス
管の一端をガス炎によって加熱して溶融させ、溶融部分
をピンチャーによって内方向へ圧潰して封着し、リード
線15,15の中途部をガラス管の封着部に固定すると共
に、該リード線15,15の下端部をガラス管の外部に導出
する。この際、上記ガラス管の加熱を空気中で行うこと
により、電極基体14a,14a表面の露出部分が酸化され
て酸化ニッケルが形成される。
【0018】ついで、ガラス管の他端に排気装置を接続
し、これを高周波コイル内に配置して高周波加熱を施す
と共に、該ガラス管内を排気すれば、エミッタ材料の炭
酸バリウムが熱分解して電極基体14a,14aの表面に酸
化バリウムより成るエミッタ層14b,14bが形成されて
放電電極14,14が完成する。同時に、電極基体14a,14
a表面の露出部分が溶融し、排気に伴うガラス管内の減
圧によって飛散を開始する。排気工程当初においては、
ガラス管内の残留空気濃度が高いため、電極基体14a,
14aを構成するニッケルが飛散中に酸化されて酸化ニッ
ケルとなり、前工程で電極基体14a,14aの表面に形成
されていた酸化ニッケルと共にガラス管の内面に層状に
被着し、沿面放電特性が良好な酸化ニッケルより成る誘
電体層20が形成される。
【0019】また、上記電極基体14a,14aの加熱に伴
い、リード線15,15も高周波加熱されて高温となり、ガ
ラス管内面における該リード線15,15と接する部分が溶
融・軟化する。このガラスの溶融・軟化温度は、電極基
体14a,14aのニッケルや酸化ニッケルが溶融・飛散す
る温度よりも低く、その飛散が終了した後もガラスの溶
融状態がしばらく継続するため、その表面に酸化ニッケ
ルが被着されることはない。さらに、ガラス管内は上記
のように減圧雰囲気にあるため、溶融したガラスがリー
ド線15,15を伝って電極基体14a,14a側にやや盛り上
がることとなり、上記加熱工程が終了して冷却される
と、リード線15と誘電体層20の端面20aとの間に上記微
小間隙21が形成される。
【0020】つぎに、上記排気作業によって、残留空
気、炭酸バリウム分解による二酸化炭素、並びにガラス
管自身やガラス管内に収納された部材から放出される不
純ガスを完全に除去してガラス管内を高真空状態とした
後、放電ガスを充填し、さらに上記ガラス管の他端を加
熱し、これを溶融させて封じ切り、気密容器18を形成す
る。
【0021】この製造方法によれば、加熱温度や加熱時
間、あるいは排気速度等の条件、及び各部材を構成する
材料の溶融温度や分解温度あるいは酸化速度等を適宜選
定し、最適条件を設定することにより、特別な材料や工
程を用意することなく、誘電体層20及び微小間隙21を形
成することができ、製造の簡易化が図れる。
【0022】この第1の放電型サージ吸収素子10にリー
ド線15,15を介してサージが印加されると、直ちに誘電
体層20表面において沿面コロナ放電が発生し、サージの
吸収が開始される。また、リード線15と誘電体層端面20
a間の電界強度が高まり、多量の電子及びイオンが微小
間隙21に放出されるため、そのプライミング効果によ
り、上記沿面コロナ放電は、極めて短時間の中に放電間
隙16に転移される。そして、この放電間隙16では、グロ
ー放電を経て主放電たるアーク放電が生成され、サージ
の本格的な吸収が実現される。このように、リード線15
と誘電体層端面20aとの間に微小間隙21を形成すること
により、単に沿面コロナ放電によって放出される電子及
びイオンのみを主放電のトリガとして利用する場合に比
べ、はるかに多量の電子及びイオンの放出が可能となる
ため、その分対サージ応答性能の向上が図れる。もっと
も、上記誘電体層20が完全な絶縁物である場合には、こ
のような微小間隙21における電子やイオンの放出は望め
ないが、該誘電体層20は、上記のように導電物であるニ
ッケルを飛散途中で酸化させて形成されるため、若干の
導電性を備えた高抵抗体を構成しており、したがってサ
ージ印加時には微小間隙21に多量の電子・イオンを放出
できるものである。
【0023】なお、上記誘電体層20が形成された段階で
直ちに電極基体14a,14aへの加熱を終了せずに、しば
らく加熱を続けると、排気作業の進行に伴ってガラス管
内の残留空気濃度が低下し、遂には飛散したニッケルが
酸化されない状態となる。したがって、この酸化されな
いニッケルが上記誘電体層20の表面に散点状に付着した
時点でこの操作を終了すれば、図3に示すように、導電
性を備えた粒状あるいは塊状の補助放電電極22が多数形
成される。また、リード線15と補助放電電極22間、及び
補助放電電極22相互間には、多数の補助放電間隙24が形
成される。この補助放電間隙24は、放電電極14,14間の
放電間隙16よりも格段に狭小であり、かつ誘電体層20表
面からの距離も短いため、サージ印加時には、極めて短
時間の中にこの補助放電間隙24において気中放電が生成
され、該放電による電子・イオンのプライミング効果も
加わり、より迅速に放電間隙16に主放電を生成すること
が可能となる。
【0024】上記製造方法によれば、特別な材料や工程
を用意することなく、単に加熱温度や加熱時間等の条件
を適宜調節するだけで、補助放電電極22を形成できる利
点がある。その一方で、補助放電電極22の形成に際し、
補助放電電極22の材料となる金属粒26が不可避的に誘電
体層20中に埋没・混入することとなるが、上記のように
リード線15と誘電体層端面20aとの間に微小間隙21が形
成され、両者間の絶縁性が確保されているため、サージ
印加時において、リード線15,15間に沿面コロナ放電が
持続してしまい、結果として放電間隙16にアーク放電を
生成できないという問題は生じない。
【0025】この補助放電電極22は、リード線15やエミ
ッタ層14bを構成する金属(銅やバリウム)を溶融・飛
散させ、誘電体層20の表面に散点状に付着させることに
よっても形成できる。
【0026】図4は、本発明に係る第2の放電型サージ
吸収素子30を示すものである。この第2の放電型サージ
吸収素子30は、ニッケルや鉄、あるいはこれらの合金
等、放電特性の良好な金属材料より成るハット型の放電
電極32を、セラミック等の絶縁物より成る円筒状の外囲
体34の両端に封着して気密容器36を形成すると共に、対
向させた上記放電電極32,32の先端部32a,32a間を放
電間隙37と成し、さらに上記気密容器36(外囲体34)の
内面に誘電体層38を形成して成る。該誘電体層38は、酸
化ニッケルなど沿面放電特性の良好な物質を蒸着、溶
射、塗布等の手段により、気密容器36(外囲体34)内面
に膜状に被着させることで形成される。上記気密容器36
内には、希ガスや窒素ガスあるいは六弗化硫黄ガス等よ
り成る放電ガスが封入され、放電電極32の外面にはリー
ド線40が接続される。
【0027】また、図5に示すように、放電電極32の鍔
部32b内面と誘電体層38の端面38aとの間には、10〜
300μmの微小間隙42が形成されている。この結果、
上記実施例と同様、サージ印加時には放電電極の鍔部32
b内面と誘電体層端面38aとの間の電界強度が高まり、
微小間隙42に多量の電子・イオンが放出される結果、放
電間隙37における主放電の生成をより速やかに実現でき
る。この微小間隙42は、外囲体34の内面全域に誘電体層
38を形成した後に、切削、研磨、レーザー照射等によっ
て、誘電体層38の端部を必要な幅に除去することで形成
される。あるいは、微小間隙42に対応するレジスト層を
予め外囲体34内面の端縁に形成しておき、誘電体層38を
形成した後に該レジスト層を除去することによって微小
間隙42を形成してもよい。
【0028】なお、図示は省略したが、上記誘電体層38
の表面に、導電性を備えた粒状あるいは塊状の補助放電
電極を散点状に多数配置させ、補助放電電極と放電電極
の鍔部32b内面との間、あるいは補助放電間隙相互間
に、放電間隙37よりも格段に狭小な補助放電間隙を形成
するよう構成してもよい。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る放電型サージ吸収素子にあ
っては、上記のように放電電極あるいはリード線と誘電
体層の端部との間に微小間隙を形成するよう構成したた
め、放電電極間あるいはリード線間にサージが印加され
た場合には、放電電極あるいはリード線と誘電体層端部
間の電界強度が高まり、沿面コロナ放電によるよりもは
るかに多量の電子及びイオンが微小間隙に放出されるこ
ととなり、これがトリガとなって極めて短時間の中に放
電電極間の放電間隙に主放電たるアーク放電を生成する
ことができ、対サージ応答性能の飛躍的な向上が実現で
きる。
【0030】また、本発明に係る放電型サージ吸収素子
の製造方法によれば、特別な装置や工程を別個に用意す
ることなく、誘電体層の形成と同一工程において、上記
微小間隙を形成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の放電型サージ吸収素子を示
す断面図である。
【図2】第1の放電型サージ吸収素子のリード線と気密
容器内面との接続部分を示す拡大断面図である。
【図3】第1の放電型サージ吸収素子のリード線と気密
容器内面との接続部分の変形例を示す拡大断面図であ
る。
【図4】本発明に係る第2の放電型サージ吸収素子を示
す断面図である。
【図5】第2の放電型サージ吸収素子の微小間隙周りを
示す拡大断面図である。
【図6】従来の放電型サージ吸収素子を示す断面図であ
る。
【図7】従来の放電型サージ吸収素子のリード線間を示
す拡大断面図である。
【符号の説明】 10 第1の放電型サージ吸収素子 14 放電電極 15 リード線 16 放電間隙 18 気密容器 20 誘電体層 20a 誘電体層端面 21 微小間隙 22 補助放電電極 24 補助放電間隙 30 第2の放電型サージ吸収素子 32 放電電極 36 気密容器 37 放電間隙 38 誘電体層 38a 誘電体層端面 42 微小間隙

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電ガスを充填した気密容器内に、複数
    の放電電極を対向配置して各放電電極間に放電間隙を形
    成すると共に、上記気密容器内面の少なくとも上記放電
    電極間に沿面放電特性が良好な誘電体層を配置して成る
    放電型サージ吸収素子において、上記放電電極と上記誘
    電体層端部との間に微小間隙を形成したことを特徴とす
    る放電型サージ吸収素子。
  2. 【請求項2】 放電ガスを充填した気密容器内に、リー
    ド線を接続した複数本の放電電極を対向配置して各放電
    電極間に放電間隙を形成し、各放電電極のリード線を上
    記気密容器を貫通させて外部に導出すると共に、上記気
    密容器内面の少なくとも上記リード線間に沿面放電特性
    が良好な誘電体層を配置して成る放電型サージ吸収素子
    において、上記リード線と上記誘電体層端部との間に微
    小間隙を形成したことを特徴とする放電型サージ吸収素
    子。
  3. 【請求項3】 上記誘電体層の少なくとも表面に、上記
    気密容器内に収納された部材を構成している金属を材料
    として形成した多数の補助放電電極を散点状に配置し
    て、上記放電間隙よりも狭小な補助放電間隙を上記リー
    ド線間に形成したことを特徴とする請求項2に記載の放
    電型サージ吸収素子。
  4. 【請求項4】 放電ガスを充填した気密容器内に、リー
    ド線を接続した複数本の放電電極を対向配置して各放電
    電極間に放電間隙を形成し、各放電電極のリード線を上
    記気密容器を貫通させて外部に導出すると共に、上記気
    密容器内面の少なくとも上記リード線間に沿面放電特性
    が良好な誘電体層を配置し、さらに上記リード線と上記
    誘電体層端部との間に微小間隙を形成して成る放電型サ
    ージ吸収素子の製造方法であって、上記放電電極を減圧
    した酸化雰囲気中で加熱して、該放電電極を構成してい
    る金属を溶融、飛散させると共に酸化させ、この金属酸
    化物を気密容器内面に被着させることによって上記誘電
    体層を形成すると同時に、上記放電電極への加熱によっ
    て気密容器内面の上記リード線との接触部分を溶融させ
    て、該接触部分表面への上記金属酸化物の被着を防ぎ、
    以って上記微小間隙を形成することを特徴とする放電型
    サージ吸収素子の製造方法。
JP6169943A 1994-06-29 1994-06-29 放電型サージ吸収素子及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2819388B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6169943A JP2819388B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 放電型サージ吸収素子及びその製造方法
DE19523338A DE19523338A1 (de) 1994-06-29 1995-06-27 Überspannungsschutzelement vom Entladungstyp und Verfahren zu dessen Herstellung
CN95107780A CN1046600C (zh) 1994-06-29 1995-06-28 放电式过电压吸收元件及其制造方法
US08/496,363 US5694284A (en) 1994-06-29 1995-06-29 Discharge type surge absorbing element and method for making the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6169943A JP2819388B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 放電型サージ吸収素子及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0817550A true JPH0817550A (ja) 1996-01-19
JP2819388B2 JP2819388B2 (ja) 1998-10-30

Family

ID=15895775

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6169943A Expired - Fee Related JP2819388B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 放電型サージ吸収素子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2819388B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010061522A1 (ja) * 2008-11-26 2010-06-03 株式会社 村田製作所 Esd保護デバイス
JPWO2010061550A1 (ja) * 2008-11-26 2012-04-19 株式会社村田製作所 Esd保護デバイス及びその製造方法
JP2017107677A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 三菱マテリアル株式会社 サージ防護素子
JP2017107678A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 三菱マテリアル株式会社 サージ防護素子

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54102555A (en) * 1978-01-31 1979-08-13 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> Lightning arresting tube
JPH057835A (ja) * 1991-06-28 1993-01-19 Toyo Seikan Kaisha Ltd 罐詰用罐の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54102555A (en) * 1978-01-31 1979-08-13 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> Lightning arresting tube
JPH057835A (ja) * 1991-06-28 1993-01-19 Toyo Seikan Kaisha Ltd 罐詰用罐の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010061522A1 (ja) * 2008-11-26 2010-06-03 株式会社 村田製作所 Esd保護デバイス
JPWO2010061550A1 (ja) * 2008-11-26 2012-04-19 株式会社村田製作所 Esd保護デバイス及びその製造方法
JP5003985B2 (ja) * 2008-11-26 2012-08-22 株式会社村田製作所 Esd保護デバイス
JP5093361B2 (ja) * 2008-11-26 2012-12-12 株式会社村田製作所 Esd保護デバイス及びその製造方法
US8426889B2 (en) 2008-11-26 2013-04-23 Murata Manufacturing Co., Ltd. ESD protection device and method for manufacturing the same
US8437114B2 (en) 2008-11-26 2013-05-07 Murata Manufacturing Co., Ltd. ESD Protection Device
JP2017107677A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 三菱マテリアル株式会社 サージ防護素子
JP2017107678A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 三菱マテリアル株式会社 サージ防護素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2819388B2 (ja) 1998-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR19990022701A (ko) 함침형 음극 구조체, 이것에 사용되는 음극 기재, 이 음극 기재를 이용한 전자총 구조체 및 전자관
US4725449A (en) Method of making radio frequency ion source antenna
JP2819388B2 (ja) 放電型サージ吸収素子及びその製造方法
JP2745386B2 (ja) 放電型サージ吸収素子の製造方法
EP0677862B1 (en) Circuit protectors
US2515337A (en) Metal to glass seal and method of producing same
US5694284A (en) Discharge type surge absorbing element and method for making the same
JPH01311585A (ja) 放電型サージ吸収素子
JPH08138828A (ja) 放電型サージ吸収素子の製造方法及び放電型サージ吸収素子
JPH0729667A (ja) 放電型サージアブソーバ及びその製造方法
JPH057836B2 (ja)
JPH0210542B2 (ja)
JP2701052B2 (ja) サージ吸収素子
JP4437616B2 (ja) サージ吸収素子
JP2534954B2 (ja) 放電型サ―ジ吸収素子及びその製造方法
JPH0992429A (ja) サージ吸収素子
JPH0536460A (ja) 放電型サージ吸収素子
JP3405761B2 (ja) 真空遮断器及びその製造方法
JP3963143B2 (ja) 蛍光ランプ
KR100462774B1 (ko) 전자총스템부의제조방법
JP3319235B2 (ja) 蛍光ランプの製造方法
JPH01102823A (ja) 真空トリガギャップ装置
JPH0724234B2 (ja) マイクロギャップ式サージ吸収素子
JP2022138781A (ja) サージ防護素子及びその製造方法
JPH06310252A (ja) サージアブソーバ

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070828

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080828

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090828

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees