JP2818277B2 - パルミトレイン酸の製造方法 - Google Patents

パルミトレイン酸の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は薬理、生理作用を持つパルミトレイン酸を酵
母菌体を利用して高効率で安定して製造することができ
るパルミトレイン酸の製造方法に関するものである。
(従来の技術) パルミトレイン酸には高血圧性疾患における血管障害
を保護する作用等の薬理、生理作用があるため、従来か
ら酵母菌体を利用してパルミトレイン酸を製造する方法
が研究されている。
例えば、特開昭62−257391号公報や特開昭63−287491
号公報には、サッカロミセス・セレビシエのようなパル
ミトレイン酸生産能を持つ酵母をエタノールを炭素源と
して好気的に培養することにより、パルミトレイン酸の
生産量を増加させる方法などが開示されている。
ところがこのような従来の方法は主に酵母菌体のパル
ミトレイン酸の含有率を増加させることを目的としたも
のであって、酵母菌体量を増加させることについての配
慮がなされていないので、培養液当たりのパルミトレイ
ン酸含有率の大幅な増加を図ることはできなかった。つ
まり、従来の方法ではC/N比(培地中の炭素源のカーボ
ン量とペプトン、エキス類に含まれる窒素の比)を大き
くしパルミトレイン酸含有率を増加させようとするた
め、N量が少なくなり酵母菌体量は増えない。パルミト
レイン酸の生産では培養液あたりのパルミトレイン酸含
有率が多いほどよく、培養液あたりのパルミトレイン酸
の含有率は酵母菌体と酵母菌体内のパルミトレイン酸含
有率に影響をうける。このことからこの2点の増加を図
ることが培養液中のパルミトレイン酸含有率の増加に必
要である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明はこのような従来の問題点を解決して、培養液
当たりのパルミトレイン酸含有率を大幅に増加させるこ
とができるパルミトレイン酸の製造方法に関するもので
ある。
(課題を解決するための手段) 上記の課題を解決するためになされた第1の発明は、
パルミトレイン酸を含有する酵母菌体であるサッカロミ
セス・セレビシエAKU4109を、ペプトンを0.01〜1%
と、イーストエキス、マルトエキス、ビーフエキス、ミ
ートエキス、レバーエキスのうちの2種以上を0.006〜
0.6%と、炭素源とを含有する天然培地を用いて発酵さ
せて成育させることによって、得られる培養液中の前記
酵母菌体内のパルミトレイン酸含有率を増加させた後、
その酵母菌体よりパルミトレイン酸を得ることを特徴と
するものである。
また第2の発明は、上記の方法によりバッチ発酵を行
わせた後に、C/N比が25以上の培地を流加して酵母菌体
量及び酵母菌体内のパルミトレイン酸含有率の増加を図
ることを特徴とするものである。
更に第3の発明は、第2の発明において膜濾過装置を
備えた発酵装置によりパルミトレイン酸を含有する培養
液を濾過して天然培地を除去し、酵母菌体をリターンし
つつ前記C/N比が25以上の培地を流加することを特徴と
するものである。
特に、酵母菌体の中でもSaccharomyces cerevisiae A
KU4109は、酵母菌体内のパルミトレイン酸含有率が多い
のでこの酵母菌体を用いることは非常に効果的である。
以下に各発明について順次詳細に説明する。
(第1の発明の説明) 本願発明では、酵母菌体の一種であるサッカロミセス
・セレビシエAKU4109を天然培地を用いて発酵するので
あるが、第1の発明はこの天然培地の組成に特徴があ
る。すなわち、第1の発明ではペプトン(ポリペプト
ン)を0.01〜1%と、イーストエキス、マルトエキス、
ビーフエキス、ミートエキス、レバーエキスのうちの2
種以上を0.006〜0.6%と、炭素源とを必須的に含有する
天然培地が用いられる。
ここでペプトン(ポリペプトン)は培地の構成成分と
して従来から用いられているが、本願発明ではその濃度
を0.01〜1%とかなり高めに設定する。本願発明はこれ
により培養液中の酵母菌体量を増加させるもので、濃度
が0.01%未満であると酵母菌体量増加の効果が不十分で
あり、逆に1%を越えても却って酵母菌体内のパルミト
レイン酸含有率が顕著に低下する。
イーストエキス、マルトエキス、ビーフエキス、ミー
トエキス、レバーエキス等のエキス類も酵母菌体量を高
めるための栄養分となるものであるが、本発明において
は従来とは異なり、これらのグループから選択されたエ
キス類の2種以上を合計量で0.006〜0.6%含有させる。
このように2種以上のエキス類を培地中に従来よりも多
量に含有させることにより酵母菌体量を増加させること
ができるが、その合計量が0.006%未満であるとその効
果が不十分であり、0.6%を越えるとやはり酵母菌体内
のパルミトレイン酸含有率が顕著に低下する。
炭素源としてはグルコース、マルトース等の糖類や、
脂肪酸、ノルマルアルカンを用いることができる。
このように第1の発明ではペプトン及びエキス類の濃
度を高めた天然培地が使用され、これによって酵母菌体
内のパルミトレイン酸含有率とともに、酵母菌体量をも
増加させることができ、その結果として培養液当たりの
パルミトレイン酸の含有率を増加させることができる。
発酵方法は通常はバッチ発酵で行われるが連続発酵でも
可能である。
(第1の発明の実施例) Saccharomyces cerevisiae AKU4109を下記の組成の天
然培地2に入った4容ジャーファーメンターに植菌
し、通気撹拌しながら30℃にて120時間バッチ培養し
た。pHの変動に対しては水酸化ナトリウム又は塩酸の添
加によりpH8.0に保った。
培地組成 ポリペプトン 5(g/) イーストエキス 3(g/) マルトエキス 3(g/) グルコース 30(g/) アデカノール 0.15(g/) 培養液から酵母菌体を水洗分離し、110℃に一晩放置
し乾燥菌体を得た。この乾燥菌体に20倍量のクロロホル
ム−メタノール混合物(2:1)を添加し、常温にて4時
間処理し抽出を繰り返した。この結果得られた培養液中
の乾燥菌体量は21g/となり、乾燥菌体重量当たりのパ
ルミトレイン酸含有率は10%であり培養液あたりのパル
ミトレイン酸量は2.1g/であった。この数値は例えば
「油化学」Vol.31 No.7 P.431〜437(1982)に紹介され
ている従来の酵母菌体量14g/も大きい値であり、培養
液あたりのパルミトレイン酸量1.2g/よりも大きい値
であった。
(第2の発明の説明) 第2の発明では、上記した第1の発明の方法によりバ
ッチ発酵を行わせた後に、培地を流加して酵母菌体量及
びパルミトレイン酸含有率の増加を図る。これは菌体の
生育が定常期に入り、増殖があまり行われなくなったと
きにC/N比が25以上の培地を供給することによって酵母
菌体量の増加及びパルミトレイン酸含有率の増加を図る
ものである。流加する培地はC/N比を25以上としたもの
や、C源のみを供給するもの等とし、これにより酵母菌
体量を増加させて、更に酵母菌体内のパルミトレイン酸
含有率を増加させて培養液当たりのパルミトレイン酸含
有率を飛躍的に増加させる。
(第2の発明の実施例) Saccharomyces cerevisiae AKU4109を第1図に示すよ
うに第1の発明の実施例と同じ天然培地2の入った5
容のジャーファーメンター(1)に植菌し、通気撹拌
しながら30℃にてバッチ培養した。pHの変動に対しては
NaOH又は塩酸の添加によりpH8.0に保った。
菌体の生育が定常期に入ったところで、新たに添加用
培地容器(2)から培地を流加し始める。流加する培地
の組成は以下に示すようにC/N比を100とした培地であ
り、溶存酸素計(3)を用いてD0(溶存酸素濃度)値が
2.5±0.6ppmになるように制御しつつ添加する。
流加用の培地組成 ペプトン 1(g/) イーストエキス 0.6(g/) マルトエキス 0.6(g/) グルコース 43(g/) このようにして培養を続けた結果、酵母菌体重量40g/
、乾燥菌体重量あたりのパルミトレイン酸の含有率が
12.1%となり、第1の発明に比較して含有率、生育量と
もに多くなった。
(第3の発明の説明) 第3の発明では、第2図に示すように膜濾過装置
(4)を備えた発酵装置によりパルミトレイン酸を含有
する酵母菌体であるサッカロミセス・セレビシエAKU410
9を培養する。このような装置を使用すれば、酵母菌体
の生育が定常期に入ったときに酵母菌体の流出を膜濾過
装置(4)により防ぎながら培地のみをパルミトレイン
酸の含有率増加に最適な培地に全て交換することがで
き、培地を流加する第2の発明による場合よりも更に酵
母菌体量の増加と菌体内のパルミトレイン酸の含有率を
増加させることができる。
(第3の発明の実施例) Saccharomyces cerevisiae AKU4109を第2図に示すよ
うに第2の発明の実施例と同じ方法でバッチ培養した。
菌体の生育が定常期に入ったところでの孔径0.2μm
のセラミック膜の膜濾過装置(4)によって培養液を濾
過しつつ、第2の発明の実施例と同一の流加用の培地を
添加した。添加速度を1/hとし流加用の培地を5添
加し、酵母菌体をジャーファーメンター(1)内に保持
したままで培地の全量入れ換えを行った。このときのジ
ャーファーメンター(1)内のpHは8.0、D0は2.5ppm以
上になるように調整した。
培地を入れ換えて80時間経過後に乾燥菌体重量が43.1
g/、乾燥菌体重量あたりのパルミトレイン酸の含有率
が16.5%となり、第2の発明に比較して菌体内のパルミ
トレイン酸の含有率、酵母菌体量ともに更に増加した。
(他の酵母との比較) 本発明では、使用する酵母をサッカロミセス・セレビ
シエAKU4109とする。本株は従来用いられている酵母よ
り次の比較例に示すように酵母菌体内のパルミトレイン
酸含有率が高くなっている。このためこの酵母菌株を用
いれば効果的にパルミトレイン酸の生産を行うことがで
きる。
(比較例) Saccharomyces cerevisiae AKU4109を、実施例1と同
様な方法で培養を行った。また比較の対象としては特開
昭62−296885にて用いられたSaccharomyces cerevisiae
for Baker'sを用いた。
(発明の効果) 以上に説明したように、本発明によれば培地の組成を
酵母菌体の生育に適したものとし、また培地の流加を適
切に行うことにより酵母菌体量と酵母菌体内のパルミト
レイン酸の含有率とを共に増加させ、培養液当たりのパ
ルミトレイン酸含有率を従来法による場合に比較して大
幅に増加させることができる。
よって本発明は従来の問題点を一掃したパルミトレイ
ン酸の製造方法として、産業の発展に寄与するところは
極めて大きいものがある。
【図面の簡単な説明】
第1図は第2の発明を説明する概略的な正面図、第2図
は第3の発明を説明する概略的な正面図である。 (1):ジャーファーメンター、(2):添加用培地容
器、(3):溶存酸素計、(4):膜濾過装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 7/64 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パルミトレイン酸を含有する酵母菌体であ
    るサッカロミセス・セレビシエAKU4109を、ペプトンを
    0.01〜1%と、イーストエキス、マルトエキス、ビーフ
    エキス、ミートエキス、レバーエキスのうちの2種以上
    を0.006〜0.6%と、炭素源とを含有する天然培地を用い
    て発酵させて成育させることによって、得られる培養液
    中の前記酵母菌体内のパルミトレイン酸含有率を増加さ
    せた後、その酵母菌体よりパルミトレイン酸を得ること
    を特徴とするパルミトレイン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1の方法によりバッチ発酵を行わせ
    た後に、C/N比が25以上の培地を流加して酵母菌体量及
    び酵母菌体内のパルミトレイン酸含有率の増加を図るこ
    とを特徴とするパルミトレイン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】膜濾過装置を備えた発酵装置によりパルミ
    トレイン酸を含有する培養液を濾過して天然培地を除去
    し、酵母菌体をリターンしつつ前記C/N比が25以上の培
    地を流加することを特徴とする請求項2記載のパルミト
    レイン酸の製造方法。
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