JP2817093B2 - 自動車の摩擦クラッチのための液圧式に操作される遮断機構 - Google Patents

自動車の摩擦クラッチのための液圧式に操作される遮断機構

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JP2817093B2
JP2817093B2 JP7072474A JP7247495A JP2817093B2 JP 2817093 B2 JP2817093 B2 JP 2817093B2 JP 7072474 A JP7072474 A JP 7072474A JP 7247495 A JP7247495 A JP 7247495A JP 2817093 B2 JP2817093 B2 JP 2817093B2
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
  • Mechanical Operated Clutches (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ギヤ入力軸に対して同
心的に配置されたピストンシリンダユニットから成って
おり、このユニットのシリンダが、ギヤボックスに固定
されておりかつ内側のシリンダ周壁と外側のシリンダ周
壁との間にピストンのためのシリンダ室を有しており、
ピストンの周面が、少なくとも部分的に案内部材によっ
て掴まれている形式の、自動車の摩擦クラッチのための
液圧式に操作される遮断機構に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の遮断機構は、ドイツ連邦共和国
実用新案登録第9313557号明細書により公知であ
る。このような遮断機構のピストンには、ピストンを取
り囲む案内部材が固定されており、この案内部材は、ピ
ストンを外側のシリンダ周壁に対してシールして案内し
ており、それ故、新品の摩擦クラッチにおいてピストン
がシリンダ室から最大の走出距離を占める場合にもこの
シール結合部が確実に作用するために、軸方向でピスト
ンを十分に広く越えて突出していなければならない。こ
のような第1の限界位置から出発して、ピストンは、摩
擦クラッチの連結のためにシリンダ室内への行程距離を
摺動し、さらに、摩擦クラッチのプレッシャースプリン
グが相応して作用する際に、かつ摩擦クラッチが摩耗す
る際に、ピストンが最終的に第2の限界位置に達するま
でピストンはシリンダ室内に深く変位し、この第2の限
界位置では、摩擦クラッチが完全に摩耗する際にピスト
ンはシリンダ室内への最大の走入深さに達する。ピスト
ンの行程距離と摩耗距離との合計によって与えられる案
内部材の長さのために、シリンダ室の寸法を軸方向で規
定する場合にピストンの行程距離が制限されなければな
らず、あるいは駆動軸に配置された軸シールリングの半
径方向外側のシリンダケースに、案内部材をそれ内に入
れることができるリング状の軸方向の切欠き部が形成さ
れていなければならない。最初に述べた構成、つまりピ
ストンの行程距離制限手段は、行程距離が摩擦クラッチ
の構造によって与えられているので、ほとんど不可能で
ある。第2の構成としてのリング状の切欠き部の提案に
おいては、構成スペース制限によりこのような切欠き部
のためのスペースが存在しない。この結果、公知の遮断
機構は、狭い組み込み状態の自動車において大きなピス
トン行程が要求される場合に適していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、軸方
向での拡張をできるだけ小さくする場合に、ピストンの
ためのできるだけ大きい行程距離が使用されうるように
遮断機構を構成することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前述の課題は、本発明に
よれば、ギヤ入力軸に対して同心的に配置されたピスト
ンシリンダユニットから成っており、このユニットのシ
リンダが、ギヤボックスに固定されておりかつ内側のシ
リンダ周壁と外側のシリンダ周壁との間にピストンのた
めのシリンダ室を有しており、ピストンの周面が、少な
くとも部分的に案内部材によって掴まれている形式の、
自動車の摩擦クラッチのための液圧式に操作される遮断
機構において、案内部材(4)に隣接するシリンダ周壁
(2)が、案内部材(4)と係合して取り付けられる少
なくとも1つの押さえ部材(8)を有しており、この押
さえ部材によって、案内部材(4)が、連結及び遮断の
際のピストン運動に対して不動に保持されており、摩擦
クラッチの摩耗に起因してピストンが軸方向に変位する
際に、ピストン(9)を介して、案内部材(4)の移動
運動のための押さえ部材(8)の作用が抑制可能である
ことを特徴とする自動車の摩擦クラッチのための液圧式
に操作される遮断機構によって解決される。
【0005】案内部材のための押さえ部材によって、案
内部材はピストンの走入及び走出時に固定された構成部
材として作用し、この構成部材は、摩擦クラッチの摩擦
ライニングが摩耗する際にピストンが摩擦クラッチのプ
レッシャースプリングによって、所定の行程距離から外
れて、シリンダ室内に深く押し入れられる場合に初めて
軸方向運動を強制されることができ、この場合、押さえ
部材の作用は取り消され、案内部材は摩擦クラッチの摩
耗状態に関連している軸方向の距離だけさらに移動す
る。案内部材のこのような新しい軸方向位置から出発し
て、今やピストンはその走入運動及び走出運動を継続
し、この場合、その行程距離は新品のクラッチにおける
行程距離に比べて軸方向で変位している。互いに半径方
向でずらして配置されていてかつ入れ子式に内外に走行
可能な両方のシリンダ部材のこのような運動関係によっ
て制限されて、ピストンは、案内部材の内側に沿ってそ
の行程距離を摺動し、これに対して案内部材自体は、外
側のシリンダ周壁に対して摩擦クラッチが摩耗する際に
その外側を越えて、最大で全摩耗距離に相応する区間を
進むことが達成される。これによって、ピストンの行程
距離は、これに対して半径方向でずらされて進む摩耗距
離とオーバラップし、従って、行程距離及び摩耗距離か
ら得られる遮断機構における距離全体は、この両方の距
離の合計に比べて、オーバラップによって得られる距離
だけ短縮されている。これに相応して、案内部材も短縮
されて構成されることができ、従って、この案内部材は
シリンダ室の軸方向で比較的僅かな構成スペースしか必
要としない。この結果、遮断機構がコンパクトな外側寸
法である場合にピストンによって大きな行程距離が実施
可能である。
【0006】押さえ部材は、種々の形式で、要するに例
えば軸方向に対して垂直に延びるリブを介して案内部材
に作用することができ、このリブは、正にそのようなリ
ブによって案内部材に作用し、かつ所定の軸方向力が作
用する際に所属のシリンダ周壁に対する案内部材の相対
運動を許す。同様に、摩耗時に後調節動作のための案内
部材の切欠き部内に形状接続的に係合する際に、例えば
付加的な当接部材の作用によってこの切欠き部から解離
可能である押さえ部材が考えられる。特に簡単な構成
は、請求項2により、押さえ部材と案内部材との間に力
接続部(押圧力による接続状態)が存在し、この場合、
ピストンの走出運動及び走入運動時に案内部材の連行を
阻止するために軸方向運動に対して案内部材を不動に保
持する力が、摩擦クラッチのプレッシャースプリングに
よって摩耗時にピストンに及ぼされる軸方向力より大き
くなっていることによって得られ、さらに請求項3によ
れば、無圧状態の場合に初めて、要するにピストンの走
入運動終了後に、軸方向力以下に低下する。摩擦接続的
に作用する押さえ部材のための特に有利な構成が請求項
4及び5に記載されており、この場合、ピストンがシリ
ンダ室から走出する際に、もしくはシリンダ室内に走入
する際に力接続を生ぜしめる半径方向力は、シリンダの
無圧状態の場合より高くなる。このことは、シリンダの
無圧状態においてもっぱらシール部材のプレロードが作
用し、これに対して走出及び走入時にシール部材がこの
プレロードに対して付加的に圧力媒体によって、シール
部材が案内部材に強く圧着されるように負荷されること
によって達成される。ピストンの走出運動及び走入運動
時の案内部材の運動防止を除くこのような手段は、以下
の理由からも必要である。圧力媒体がシリンダ室内に流
入する際に、ピストンが軸方向力によって負荷されるだ
けでなく、案内部材も負荷される。案内部材が圧力媒体
の作用下で軸方向に移動される場合に、圧力媒体の作用
面は案内部材の作用面だけ拡大され、これにより遮断力
が高められる。これによって制限されて、規定されたピ
ストン行程のために正確に設定されて圧力媒体がシリン
ダ室内に導入されるので、シリンダ室内の大きな容量の
ためにピストンの行程距離が短縮される。この理由か
ら、ピストンの走入運動及び走出運動時にピストンによ
って案内部材の連行が制限されずに阻止されなければな
らず、それ故、ピストンのこの危険な運動の際に正にシ
ール部材と案内部材との間に高い力が生ぜしめられる。
【0007】請求項6〜8には、案内部材の内壁とピス
トンとの間において、一面では圧力媒体の流出を阻止す
るための、かつ他面では塵の侵入を阻止するための解決
策が記載されている。圧力媒体の流出は、請求項7によ
る圧力媒体シール部材によって阻止され、さらに塵の侵
入は請求項8によるスクレーパによって阻止される。
【0008】請求項9及び10の記載によってストッパ
が必要とされ、このストッパによってピストンは軸方向
で案内部材から出ないようになっている。これに対し
て、請求項11及び12には第2のストッパが必要とさ
れ、請求項11によれば、案内部材のシリンダケースか
らの軸方向での離脱が阻止され、一方、案内部材は請求
項11によれば半径方向の突出部を有しており、シリン
ダ室内に完全に走入する際にこの突出部にピストンが当
接する。このような突出部は、特に遮断機構が新しい状
態で、シリンダ室を圧力媒体で充填する前にシリンダ室
内に真空をかける際に、真空によってピストンに及ぼさ
れる吸引力に対してピストンを支持する役目を有してい
る。
【0009】遮断支承部を受容するために役立つ支承リ
ングは、この支承リングの軸方向の突出部がピストンの
受容に使用されかつ案内部材内に走入可能であり、これ
に対して支承リングの半径方向でフランジ状に外方に延
びる部材が、ピストンの走入運動により案内部材におい
て走行する際にピストンのための距離制限部として役立
つように構成されている。請求項14には、この支承リ
ングが安全部材によって軸方向でピストンに固定締付け
可能であるように記載されている。請求項15に記載さ
れる安全部材は、簡単な形式でピストンと結合可能であ
り、請求項16による構成では、ピストンと内側のシリ
ンダ周壁との間に塵が侵入しないようにするスクレーパ
を収容する別の機能を有している。請求項17には、安
全部材の別の有利な構成が記載されており、これによれ
ば、安全部材はその半径方向の拡張部によって遮断支承
部における相応する突出部と協働して無接触式の間隙シ
ール部材として作用する。
【0010】請求項18に示された構成によって、遮断
機構の軸方向での外側寸法は、シリンダケースがピスト
ンの前方側とは反対の端部において案内部材の走入のた
めのリング状の軸方向の切欠き部を有しているので、同
じピストン行程においてさらに短縮可能である。この切
欠き部内に、摩擦クラッチの全摩耗距離に相応する距離
に沿ってのみ運動可能な案内部材が運動可能である。
【0011】
【実施例】本発明の有利な実施例が図面に概略的に示さ
れている。図1に示された液圧式に操作可能な遮断機構
は、主に、半径方向で内側のシリンダ周壁1と、半径方
向で外側のシリンダ周壁2とから成っており、この外側
のシリンダ周壁2に、圧力媒体接続部3が形成されてい
る。外側のシリンダ周壁2は、スリーブ状の案内部材4
のためのガイド44を有しており、案内部材4は、外側
のシリンダ周壁2に対して相対的に軸方向で運動可能で
ある。外側のシリンダ周壁2の凹部6にはシール部材5
が配置されており、このシール部材5は、案内部材4に
向く側にシールリブ7を有しており、このシールリブ7
は圧力媒体接続部3に向く方向で延びている。このシー
ル部材5は、半径方向でプレロードをかけられているシ
ールリブ7を介して案内部材4に圧着可能であり、かつ
これによって外側のシリンダ周壁2と案内部材4との間
の摩擦接続的な結合部が形成される。シール部材5の機
能によって制限されて、シール部材5は案内部材4のた
めの押さえ部材8として作用する。
【0012】案内部材4は、遮断及び連結のために軸方
向で案内部材4に対して相対的に、及び内側のシリンダ
周壁1に対して相対的に運動可能であるピストン9のガ
イドのために役立つ。ピストン9は、軸方向の突出部1
1を有する支承リング10を支持しており、前記突出部
11は、案内部材4の半径方向内側にこの案内部材4に
対して平行に延びている。さらに、支承リング10に
は、半径方向外側へフランジ状に延びる部材12が設け
られており、この部材12には、ピストン9から離れる
側に遮断支承部13が固定されており、これに対して、
部材12の、ピストン9に向かう側には前負荷ばね14
が係合しており、この前負荷ばね14は、その反対側の
端部が外側のシリンダ周壁2に支持されており、かつ、
遮断支承部13を、例えばドイツ連邦共和国特許公開第
3241248号明細書により公知であり、それ故にこ
こでは示されないような摩擦クラッチのプレッシャース
プリングに当接保持するために使用される。支承リング
10の部材12のピストン側ではやはり、図1及び図2
の上方半部にそれぞれ示すように外側のシリンダ周壁2
と内側のシリンダ周壁1とによって閉じられたシリンダ
室18内にピストン9が走入している場合に、案内部材
4が、ストッパ15として作用する曲げ部16に半径方
向内方で当接している。
【0013】支承リング10は、軸方向でピストン9に
差し嵌められており、かつピストンの突出部20に当接
する。支承リング10を戻し運動に対して不動に保持す
ために、この支承リング10の軸方向の他方端部に安
全部材21が設けられており、この安全部材21は、軸
方向の突出部22を有して構成されており、この突出部
22はその自由端部に、ピストン9に形成された切欠き
部24内に弾性的にスナップ結合する突起23を有して
いる。安全部材21はリング状に構成されていてかつ半
径方向に複数の狭幅部26を有しており、これらの狭幅
部26は、それら自体とピストン9のクラッチ側の端部
との間に塵のためのスクレーパ27を保持している。さ
らに、安全部材21はそのクラッチ側の端部において半
径方向の拡張部29を有しており、この拡張部29は、
軸方向で間隙幅を残して遮断支承部13の半径方向で内
方に延びる突出部30まで接近しており、かつこの突出
部30と協働して無接触式の間隙シール部材31として
作用する。
【0014】ピストン9は、圧力媒体シール部材32に
よって、案内部材4に対しても、内側のシリンダ周壁1
に対しても、圧力媒体の侵入に対してシールされてお
り、かつ圧力媒体シール部材32の、圧力媒体とは反対
の側に、塵の侵入を阻止するスクレーパ33を有してい
る。圧力媒体シール部材32の圧力媒体側においては、
案内部材4に湾曲部材35が固定されており、この湾曲
部材35は、半径方向で外方に向かう曲げ部37によっ
て案内部材4の第2のストッパ36として作用する。湾
曲部材35には、さらに、半径方向で内方に向かう突出
部38が形成されており、この突出部38に、ピストン
9がシリンダ室18内に走入する際に圧力媒体シール部
材32が当接する。
【0015】内側のシリンダ周壁1は、図1及び図2に
おける右側の駆動側の端部によって、図示しない駆動軸
を取り囲んでおり、かつ駆動軸に配置されたシールリン
グを掴むために使用される固定フランジ40を有してい
る。内側のシリンダ周壁1は、スクレーパ41を介して
外側のシリンダ周壁2と結合されている。
【0016】遮断機構は、以下のように作動する。本発
明による遮断機構が新品の摩擦クラッチと組み合わされ
ていると、ピストン9は、図1に示された2つの終端位
置のうちその都度一方の終端位置を占める。この場合、
図1の上方半部は、ピストンがシリンダ室18内に走入
している連結位置を示し、これに対して、図1の下方半
部は、遮断時のピストン9が走出された位置を示す。図
面上方半部を図面下方半部と比較する場合に、ピストン
9のこのような走入運動もしくは走出運動の際に案内部
材4の位置がシリンダ内で変化しないことが判る。これ
は、既に述べたように半径方向でプレロードをかけられ
ているシール部材5及びこのシール部材のシールリブ7
を介して、外側のシリンダ周壁2と案内部材4との間で
力結合部が形成されることによって達成され、この場
合、この力結合部によって、ピストン9の走出運動又は
走入運動時の案内部材4の連行が阻止される。この場
合、シールリブ7は圧力媒体接続部3に向かう方向で突
出しており、この結果、ピストン9の走出時にシールリ
ブ7は走出動作を生ぜしめる圧力媒体によって半径方向
外方から負荷され、従って、シールリブ7は、半径方向
のプレロードによって数倍も上回る力だけ案内部材4に
圧着可能である。これによって、案内部材4は、その圧
力媒体接続部3に向く端部に圧力媒体が作用するにも拘
らず外側のシリンダ周壁2に対する相対的な所定の位置
を変化されず、かつこれによってシリンダ室18の容量
が一定に維持されることを保証する。ピストン9が走入
する際には、同様にシールリブ7が負荷され、しかも、
ピストン9の走入運動時にこのピストン9によってシリ
ンダ室18から圧し出される圧力媒体によって負荷され
る。
【0017】ピストン9は、圧力媒体負荷時に、ピスト
ン9が案内部材4の内側において案内される半径方向の
突出部20によって第1のストッパ15に停止するまで
シリンダ室18から走出される。その結果、このような
ストッパによって、ピストン9の走出距離の制限が得ら
れる。この場合、ピストン9は、図1における下方の位
置を占める。
【0018】例えばドイツ連邦共和国特許公開第324
1248号明細書から公知であるような摩擦クラッチに
おいては、周知のようにプレッシャープレートと摩擦ラ
イニングとの間に摩耗が生じ、これによって、圧着力を
生ぜしめるプレッシャースプリングの位置がクラッチケ
ースの内部で変化される。プレッシャースプリングの位
置のこのような変化が、圧力をシリンダの駆動側の端部
に向く方向で遮断支承部13に生ぜしめるような摩擦ク
ラッチにおいては、遮断支承部13及び支承リング10
を介して、軸方向力を案内部材4に作用するようになっ
ており、この軸方向力は、シリンダの無圧状態時にシー
ルリブ7がその半径方向の突出部に基づいてのみ案内部
材4に作用する場合に、案内部材の固定保持のために押
さえ部材8として作用するシール部材5によって案内部
材4に及ぼされる力より大きい。この結果、遮断支承部
13を介して導入される軸方向力によって、案内部材4
は、シリンダの無圧状態時に案内部材4の駆動側端部に
向く方向に、摩擦クラッチのプレッシャースプリングの
摩耗に起因する位置変化が補償されるまで移動される。
新しい力均衡が調節されるとすぐに、案内部材4は停止
する。案内部材4のこの新しいポジションから出発し
て、今や、ピストン9は、通常のピストン行程を有する
走入運動及び走出運動を実施する。遮断機構を運転し続
ける場合に、摩擦クラッチにおいて摩耗が徐々に進むこ
とによって案内部材4は、この案内部材4が図2に示さ
れたその終端位置に達するまで、シリンダの駆動側端部
に向かう方向で益々変位される。案内部材4のこのよう
な位置でも、ピストン9は通常のピストン行程を実施す
る。
【0019】最後に、案内部材4の自由端部に固定され
た湾曲部材35が以下の機能を有していることに気付
く。湾曲部材35はその半径方向で外方に向かう曲げ部
37によって第2のストッパ36として作用し、このス
トッパは、図1による摩擦クラッチが新品である限りで
は、外側のシリンダ周壁2の半径方向の突出部45に支
持され、かつこれによって案内部材4のシリンダ周壁か
らの滑り落ちを阻止する。摩擦クラッチにおける摩耗が
増大する際に、この第2のストッパ36は、シリンダ周
壁2のこのために設けられたガイド42においてシリン
ダ周壁の駆動側端部に向かう方向で移動する。湾曲部材
35の突出部38は、シリンダに圧力媒体が充填される
場合にのみ作用し、このことは以下のように明らかであ
る。圧力媒体によって充填される前は、シリンダ室18
は真空によって負荷され、これによってピストン9はシ
リンダ室18内に引き込まれ、そこでピストン9は突出
部38に当接する。このような動作が終了した後に、今
や、圧力媒体は問題なくシリンダ内に注ぎ込まれる。場
合によってはなお存在する気泡が、図示されない排気導
管を介して外方へ案内される。
【0020】固定フランジ40によって、図示されない
ギヤボックスに取り付ける際にシリンダは半径方向のガ
イドを有している。固定フランジのこのような構成は、
特に、固定フランジの半径方向内側で特に大きな軸シー
ルリングが駆動軸に配置される場合に使用される。小さ
な軸シールリングしか必要でない場合のために、図3及
び図4には、遮断機構の特に有利な構成が示されてい
る。この実施例において、固定フランジ40は、軸方向
で延びている内側のリング状の切欠き部43を備えてお
り、この切欠き部43は、摩耗の際に案内部材4が移動
するために進む通路に使用されうる。固定フランジのこ
のような構成の場合、図1及び図2による遮断機構と比
較すれば、走入及び走出時のピストン行程が拡大され、
あるいは、図1及び図2と比較されるピストン行程で
は、遮断機構を軸方向でさらに短縮させることができ
る。この結果、ピストン行程と、遮断機構の軸方向の拡
張との関係は、このような実施例において申し分なく達
成される。
【0021】図1及び図2の実施例と比較して、図3に
は、新品の摩擦クラッチにおける遮断機構が、かつ図4
には使い古した摩擦クラッチにおける遮断機構が示され
ている。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、ピストンの行程距離及
びクラッチの摩耗距離から得られる遮断機構における距
離全体は、この両方の距離の合計に比べて、オーバラッ
プによって得られる距離だけ短縮されている。この分、
案内部材も短く構成することができ、従って、この案内
部材はシリンダ室の軸方向で比較的僅かな構成スペース
しか必要とせず、この結果、遮断機構がコンパクトな外
側寸法である場合にピストンによって大きな行程距離が
実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】新品の摩擦クラッチの際に占めるピストンの走
入位置もしくは走出位置を示す、駆動側端部に固定フラ
ンジを備えた液圧式に操作される遮断機構の縦断面図で
ある。
【図2】摩耗時のピストンの走入位置及び走出位置を示
す、図1に相応する縦断面図である。
【図3】軸方向の切欠き部を有する固定フランジを備え
た変形例の遮断機構の図1に相当する状態の縦断面図で
ある。
【図4】図3による固定フランジを備えた変形例の遮断
機構の図2に相当する状態の縦断面図である。
【符号の説明】
1 内側のシリンダ周壁 2 外側のシリンダ周壁 3 圧力媒体接続部 4 案内部材 5 シール部材 6 凹部 7 シールリブ 8 押さえ部材 9 ピストン 10 支承リング 11 突出部 12 部材 13 遮断支承部 15 ストッパ 16 曲げ部 18 シリンダ室 20 突出部 21 安全部材 22 突出部 23 突起 24 切欠き部 26 狭幅部 27 スクレーパ 29 拡張部 30 突出部 31 間隙シール部材 32 圧力媒体シール部材 33 スクレーパ 35 湾曲部材 36 ストッパ 37 曲げ部 38 突出部 40 固定フランジ 41 スクレーパ 42 ガイド 43 切欠き部 44 ガイド 45 突出部
フロントページの続き (72)発明者 ヴォルフガング・グローセピーチュ ドイツ連邦共和国 シュヴァインフル ト、マティアス−グリュネヴァルト−リ ング 20 (72)発明者 ボレスラウ・ツラクヅコ ドイツ連邦共和国 ニーダーヴェーレ ン、ベーリングシュトラーセ 18 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16D 25/08

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ギヤ入力軸に対して同心的に配置された
    ピストンシリンダユニットから成っており、このユニッ
    トのシリンダが、ギヤボックスに固定されておりかつ内
    側のシリンダ周壁と外側のシリンダ周壁との間にピスト
    ンのためのシリンダ室を有しており、ピストンの周面
    が、少なくとも部分的に案内部材によって掴まれている
    形式の、自動車の摩擦クラッチのための液圧式に操作さ
    れる遮断機構において、 案内部材(4)に隣接するシリンダ周壁(2)が、案内
    部材(4)と係合して取り付けられる少なくとも1つの
    押さえ部材(8)を有しており、この押さえ部材によっ
    て、案内部材(4)が、連結及び遮断の際のピストン運
    動時に不動に保持されており、摩擦クラッチの摩耗に起
    因してピストンが軸方向に変位する際に、ピストン
    (9)を介して、案内部材(4)の移動運動のための押
    さえ部材(8)の作用が抑制可能であることを特徴とす
    る自動車の摩擦クラッチのための液圧式に操作される遮
    断機構。
  2. 【請求項2】 押さえ部材(8)が案内部材(4)と摩
    擦接続的に結合されており、連結及び遮断時のピストン
    運動時に案内部材(4)を不動に保持するための力が、
    ピストン(9)が摩耗に起因して軸方向変位する際に案
    内部材(4)に及ぼされる軸方向力より高くなっている
    ことを特徴とする請求項1記載の遮断機構。
  3. 【請求項3】 シリンダの無圧状態時に案内部材(4)
    を軸方向運動に対して不動に保持するための力が、ピス
    トン(9)が摩耗に起因して軸方向変位する際に案内部
    材(4)に及ぼされる軸方向力より小さくなっているこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の遮断機構。
  4. 【請求項4】 押さえ部材(8)がシール部材(5)に
    よって形成されており、このシール部材が、圧力媒体負
    荷を受けて行われるピストン(9)の走出運動時に、あ
    るいは流出する圧力媒体に対して作用するピストン
    (9)の走入運動時に、案内部材(4)を軸方向運動に
    対して不動に保持するためにシリンダの無圧状態におけ
    る場合より高い力で負荷されることを特徴とする請求項
    1から3までのいずれか1記載の遮断機構。
  5. 【請求項5】 シール部材(5)が、圧力媒体接続部
    (3)に向いていてかつ圧力媒体によって負荷されるシ
    ールリブ(7)を有しており、このシールリブが案内部
    材(4)に当接するようになっていることを特徴とする
    請求項4記載の遮断機構。
  6. 【請求項6】 ピストン(9)が案内部材(4)に対し
    てシールされて案内されていることを特徴とする請求項
    1記載の遮断機構。
  7. 【請求項7】 ピストン(9)が、少なくとも半径方向
    外側の領域に、案内部材(4)に当接する圧力媒体シー
    ル部材(32)を有していることを特徴とする請求項1
    記載の遮断機構。
  8. 【請求項8】 圧力媒体シール部材(32)には、案内
    部材(4)に当接するスクレーパ(33)が配設されて
    いることを特徴とする請求項7記載の遮断機構。
  9. 【請求項9】 案内部材(4)がそのピストン側の端部
    に、ピストン(9)の走出距離を制限するための第1の
    ストッパ(15)を有していることを特徴とする請求項
    1記載の遮断機構。
  10. 【請求項10】 ストッパ(15)が、ピストン(9)
    に向かう曲げ部(16)によって形成されており、この
    曲げ部に、ピストンが半径方向の突出部(20)によっ
    て当接するようになっていることを特徴とする請求項9
    記載の遮断機構。
  11. 【請求項11】 案内部材(4)が、シリンダケースか
    ら出ないために第2のストッパ(36)を備えており、
    このストッパが、外側のシリンダ周壁(2)の半径方向
    のガイド(42)において規定された長さの距離に沿っ
    て軸方向に運動可能であることを特徴とする請求項1記
    載の遮断機構。
  12. 【請求項12】 第2のストッパ(36)が、案内部材
    (4)に固定されたリング状の湾曲部材(35)によっ
    て形成されており、この湾曲部材が、シリンダ室(1
    8)内へのピストン(9)の走入深さを制限するための
    半径方向の突出部(38)を有していることを特徴とす
    る請求項11記載の遮断機構。
  13. 【請求項13】 ピストン(9)が遮断支承部(13)
    のための支承リング(10)を支持しており、この支承
    リングが、軸方向の突出部(11)によって案内部材
    (4)に作用しており、かつ半径方向で外方へフランジ
    状に延びる部材(12)を有しており、さらに、遮断支
    承部(13)から離れる側に案内部材(4)が当接可能
    であることを特徴とする請求項1記載の遮断機構。
  14. 【請求項14】 ピストン(9)の、遮断支承部(1
    3)に向かう端部が、支承リング(10)の軸方向運動
    に対する安全部材(21)を支持していることを特徴と
    する請求項13記載の遮断機構。
  15. 【請求項15】 安全部材(21)が軸方向の突出部
    (22)を有しており、この突出部が、半径方向の突起
    (23)によってピストン(9)の切欠き部(24)内
    に弾性的に係合可能であることを特徴とする請求項14
    記載の遮断機構。
  16. 【請求項16】 安全部材(21)が、ピストン(9)
    から離れる端部において、ピストン(9)との間に配置
    されたスクレーパ(27)を支持するための少なくとも
    1つの半径方向の狭幅部(26)を有していることを特
    徴とする請求項14記載の遮断機構。
  17. 【請求項17】 安全部材(21)が半径方向の拡張部
    (29)を有しており、この拡張部が、軸方向で間隙幅
    を残して、遮断支承部(13)における半径方向で内方
    に延びる突出部(30)の近くまで案内されていること
    を特徴とする請求項14記載の遮断機構。
  18. 【請求項18】 ピストンとは反対の側に、軸方向で延
    びるリング状の切欠き部を取り囲んでいる固定フランジ
    を有しているシリンダケースを備えている請求項1記載
    の遮断機構において、案内部材(4)が、摩擦クラッチ
    における摩耗を補償する軸方向変位の際に切欠き部(4
    3)内に入るように運動可能であることを特徴とする遮
    断機構。
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