JP2815020B2 - 安定なイソチアゾロン液状製剤 - Google Patents

安定なイソチアゾロン液状製剤

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JP2815020B2 JP1049451A JP4945189A JP2815020B2 JP 2815020 B2 JP2815020 B2 JP 2815020B2 JP 1049451 A JP1049451 A JP 1049451A JP 4945189 A JP4945189 A JP 4945189A JP 2815020 B2 JP2815020 B2 JP 2815020B2
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Katayama Chemical Works Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 この発明は、安定なイソチアゾロン液状製剤に関す
る。さらに詳しくは、非医療用殺菌剤として有用なイソ
チアゾリン−3−オン化合物を含有してなり、長期間室
温以上の温度で貯蔵しても上記イソチアゾリン−3−オ
ン化合物の分解を抑制することができる安定性に優れた
液状製剤に関する。
(ロ)従来の技術 5−クロロ−2−メチル−イソチアゾリン−3−オン
や2−メチル−イソチアゾリン−3−オンのごときイソ
チアゾロン化合物は、従来から非医療用殺菌剤、防腐剤
・防カビ剤として知られており、ことにNBRラテック
ス、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等の合
成高分子エマルジョンの防腐・防カビ剤として有用であ
る。
このイソチアゾロン化合物は、水に易溶解性であるた
め、対象系中への分散も考慮して水溶液製剤として使用
することが望まれる。しかしイソチアゾロン化合物の水
溶液製剤は短時間で有効成分が分解して沈澱を生じ、イ
ソチアゾロン化合物の含有量も低下するため単なる水溶
液では製剤として極めて不安定で到底実使用に耐えな
い。
そこで従来からイソチアゾロン化合物をカルシウム塩
やマグネシウム塩等の金属塩とのコンプレックスとした
り、硝酸マグネシウムのような安定剤をさらに含有させ
水や水性溶媒に溶解して安定性を付与させた水性製剤が
提案されている(特公昭54−23968号公報、米国特許第3
870795号公報参照)。また最近においては、特定の有機
溶剤にイソチアゾロン化合物を溶解させてなり、水や金
属塩を含有しないか又はその含有量を著しく低減させた
有機溶媒製剤が提案されている(特開昭61−56174号公
報、同61−212576号公報参照)。
(ハ)発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記従来のイソチアゾロン化合物の金
属塩コンプレックスや金属塩安定化剤を含有する水性製
剤を防腐・防カビ剤としてそのまま合成高分子エマルシ
ョンに有効量添加した場合には、製剤中に含まれるカル
シウムやマグネシウム等の多価金属イオンの作用によ
り、エマルション相が破壊されて分相や凝固が生じる問
題(いわゆるエマルションのショック)があり、この場
合には、イソチアゾロン化合物の防腐・防カビ効果が低
減するという問題もあった。
一方、前記したイソチアゾロン化合物の有機溶媒製剤
もイソチアゾロン化合物の製剤安定性(貯蔵安定性)が
ある程度改良された液状製剤であるがイソチアゾロン化
合物を高濃度に含有することができず、また、長期間の
貯蔵におけるイソチアゾロン化合物の分解抑制も充分と
は言えなかった。例えば前記米国特許第3870795号、第
4欄、第35行〜第45行には、ジプロピレングリコール中
に5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン/2−メ
チル−3−イソチアゾロン(93:7)の約25%を含有する
非水性溶液は、50℃で28日間にて完全分解したことが記
載されている。
この発明は、かかる状況下なされたものであり、こと
に、前記、多価金属イオンを含有することなく、長期貯
蔵安定性が優れたイソチアゾロン化合物製剤を提供しよ
うとするものである。
(ニ)課題を解決するための手段及び作用 上記観点から、本発明者らはイソチアゾロン化合物を
溶解しうる他の種々の有機溶媒について鋭意研究、検討
を行った結果、イソチアゾロン化合物を、下記一般式
(II)で表される2−ピロリドン系化合物に溶解調製す
ることにより意外にも安定性が著しく高い液状製剤が得
られる事実を見出した。
ここで、一般式(II)で表される2−ピロリドン系化
合物は、一般にアミド系の親水性溶剤として公知のもの
であるが、基本的に弱アルカリ性を呈する有機溶媒であ
る。従って、分解し易い前記イソチアゾロン化合物の溶
媒としては不適と考えられていたものである。従って、
本発明者の知る限り、上記効果はもちろん、イソチアゾ
ロンの液状製剤化の溶媒に具体的に用いることも全く知
られていない。
かくしてこの発明によれば、一般式(I): (式中、Xは水素原子またはハロゲン原子、Yは低級ア
ルキル基を示す。) で表されるイソチアゾロン化合物を、このイソチアゾロ
ン化合物を溶解しうるに足る量の、一般式(II): (式中、Rは低級アルキル基を示す。) で表される2−ピロリドン系化合物又はこの2−ピロリ
ドン系化合物を50重量%以上含有する他の親水性有機溶
媒との混合溶媒中に配合調製してなる安定なイソチアゾ
ロン液状製剤が提供される。
この発明で用いる一般式(I)の化合物の置換基Xの
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子が挙げられるが、塩素原子が好ましい。一
方、置換基Yの低級アルキル基としては、炭素数1〜6
のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチ
ルなど)が含まれる。好ましいのはメチル基である。こ
れら一般式(I)の化合物の好ましい代表例としては2
−メチル−5−クロロ−1,2−イソチアゾリン−3−オ
ン及び2−メチル−1,2−イソチアゾリン−3−オンで
ある。これらのイソチアゾロン化合物は常温で粉末状で
あり、特公昭46−12723号公報に記載されている合成法
に従って製造でき、通常上記化合物の混合物として得ら
れる。これらの混合物もこの発明において好適に用いら
れる。
この発明のイソチアゾロン液状製剤は、一般式(I)
の化合物を、該化合物を溶解しうるに足る量の前記一般
式(II)の2−ピロリドン系化合物中に添加することに
より得られる。
ここで、一般式(II)で表される2−ピロリドン系化
合物の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−
2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プ
ロピル−2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン
等が挙げられる。これらのうち特に好ましい溶媒として
は、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
ただし、この2−ピロリドン系化合物以外にイソチア
ゾロン化合物の溶解性やこの発明の効果を阻害しない程
度の他の親水性有機溶媒(例えば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリ
プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエー
テル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレン
グリコールモノメチルエーテル等)が含有されていても
よく、少なくとも一般式(II)で表される化合物を主体
とする親水性溶媒がが製剤媒体として用いられていれば
よい。この場合、他の有機溶媒は、一般式(II)で表さ
れる化合物と同量以下にするのが適している。従って、
この発明では一般式(II)の2−ピロリドン系化合物の
含量が50〜100重量%である親水性の単一又は混合溶液
を用いることができる。
この発明の製剤中の一般式(I)の化合物の配合量
は、2−ピロリドン系化合物又は上記混合溶媒に対する
溶解度に制限されるが、製剤安定性の点で0.1〜50重量
%(溶媒が50〜99.9重量%)とするのが好ましく、1〜
25重量%がより好ましい。
このようにして調製されたこの発明のイソチアゾロン
液状製剤は、カルシウム塩、マグネシウム塩のような安
定化用金属塩を含有することなく、長期間に亘ってイソ
チアゾロン化合物の分解を著しく抑制するものであり、
製剤安定性が著しく向上されたものである。従って、長
期間保存、貯蔵後においても、含有されるイソチアゾロ
ン化合物に基づく優れた防腐・防カビ効果を発揮するも
のである。
なお、本製剤中にノニオンもしくはアニオン界面活性
剤や2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオー
ル、1,1−ジブロモ−1−ニトロエタノール、2−ブロ
モ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン等のニト
ロブロム系化合物あるいは、2,2−ジブロモ−3−ニト
リロプロピオンアミド等を含有させれば、本製剤を水で
希釈した形態で保存する際の安定性をさらに向上させる
ことができる。
(ホ)実施例 イソチアゾロン化合物として、2−メチル−5−クロ
ロ−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−イソチア
ゾリン−3−オンとの混合物(重量比9:1、以下、MITと
略す)を用い、これを第1表に記載の各種溶媒に溶解
し、実施例1〜5、比較例1〜13の製剤を得た(なお、
表中の数字はすべて重量%を示す)。
これらの製剤品について、下記の試験を行った。
〔貯蔵安定性試験〕
試験方法……各製剤品をガラス容器に入れ50℃の条件下
に放置した。経日的に状態を観察し、外観変化がなくHP
LC(高速液体クロマトグラフィ)で測定した結果、分解
が認められないものを○、外観微濁でHPLC測定によるMI
Tの分解率が5%未満のものを△、外観上結晶が多量に
析出白濁し分解率が5%以上のものを×とした。
ただし、本試験における50℃安定性2ケ月は、40℃で
は4ケ月以上に相当し、室温においては、1ケ年以上に
相当することが長年の試験結果から推定されている。
試験結果……第1表に併せて示す。
なお、前記表中の略号は以下の化合物を意味するもの
である。
(ヘ)発明の効果 この発明のイソチアゾロン液状製剤は、実施例等に示
されるごとく、その製剤安定性が従来の製剤に比して著
しく優れたものである。そして、安定化用金属塩を用い
ることなくかかる製剤安定性が達成されているため、例
えば、合成高分子エマルションへ添加使用した際にも該
金属塩によるエマルションのショック等の障害も生じ
ず、イソチアゾロン製剤の使用用途の拡大化にも寄与す
るものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−85271(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01N 43/80 C07D 275/03 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): (式中、Xは水素原子またはハロゲン原子、Yは低級ア
    ルキル基を示す。) で表されるイソチアゾロン化合物を、このイソチアゾロ
    ン化合物を溶解しうるに足る量の、一般式(II): (式中、Rは低級アルキル基を示す。) で表される2−ピロリドン系化合物又はこの2−ピロリ
    ドン系化合物を50重量%以上含有する他の親水性有機溶
    媒との混合溶媒中に配合調製してなる安定なイソチアゾ
    ロン液状製剤。
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