JP2803376B2 - 巻線機及び巻線機の制御方法 - Google Patents

巻線機及び巻線機の制御方法

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JP2803376B2
JP2803376B2 JP3042196A JP4219691A JP2803376B2 JP 2803376 B2 JP2803376 B2 JP 2803376B2 JP 3042196 A JP3042196 A JP 3042196A JP 4219691 A JP4219691 A JP 4219691A JP 2803376 B2 JP2803376 B2 JP 2803376B2
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信之 加藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コイルのコア等の被巻
線体に線材を巻回す装置およびその制御方法に係り、特
に巻線の巻回密度が被巻線体の軸線方向に沿って変化す
る巻回しを行うことができる巻線機及びその制御方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】コイルの製造などに使用される巻線機と
して、線材を供給しながら被巻線体の周囲を回転する巻
線機構と、被巻線体をその軸方向に移動させる被巻線体
駆動装置と、被巻線体駆動装置による被巻線体の駆動速
度を制御する制御手段を有するものが知られている。こ
のような巻線機によって、被巻線体に一様に線材を巻き
回しする場合は、巻線機構の回転速度と被巻線体の駆動
速度とは共に一定とすればよいが、線材の巻回密度を変
化させようとすると、巻線機構の回転速度又は被巻線体
の駆動速度のいずれか一方又は双方が変化するように制
御しなければならない。
【0003】巻回密度を変化させることができる巻線機
として特開昭55ー156155号公報、実願平2−1
2267号に開示されるものがある。特開昭55ー15
6155号公報に開示されるものは、線材を供給しなが
ら被巻線体の周囲を回転する巻線機構と、板状、棒状、
円筒状等の被巻線体をその軸方向に駆動する手段と、上
記巻線機構と被巻線体を駆動する手段とを制御する制御
装置と、上記巻線機構の回転を一巻き毎に検知する近接
スイッチとを有しており、制御装置は近接スイッチで検
出される巻線機構の一回転毎にあらかじめ設定された量
だけ被巻線体を駆動するように駆動手段を制御するもの
である。
【0004】また実願平2−12267号に開示される
巻線機は、環状のコアを被巻線体とし、巻回密度を変え
て線材を巻回すことができるものであり、図6に示すよ
うに、被巻線体である環状コア101を支持し、これを
回転駆動するコア送りローラ103、103、104
と、このコア送りローラ103、103を駆動するパル
スモータ106と、環状コア101の中孔を通るように
設置して環状コア101の軸線の周りを回転することが
できるシャトルリング102と、これを駆動するシャト
ルリング駆動用モータ109と、シャトルリング102
に線材を供給する蓄線リング105と、これを電磁クラ
ッチ110を介して駆動するサーボモータ107と、シ
ャトルリング102の回転を一回転毎に検知する近接ス
イッチ130と、パルスモータ106とシャトルリング
駆動用モータ109と電磁クラッチ110とサーボモー
タ107とを制御する制御装置120とを有するもので
ある。
【0005】この巻線機もシャトルリング102の回転
を一回転毎に検知する近接スイッチ130の信号に基づ
き、被巻線体である環状コア101の駆動を制御するも
のであり、図7に示すような信号によって制御される。
(a)は近接スイッチ130から制御装置に入力される
信号であり、(b)は制御装置120からパルスモータ
106に出力されるパルス信号である。近接スイッチ1
30からの一回転毎のパルス70-1、70-2、70-3
入力されるとこれに対応するようにあらかじめ設定され
た周期のパルス71をパルスモータ106へ出力するよ
うになっており、シャトルリング102の一回転毎に出
力するパルス数を変えて、環状コア101を駆動する速
度を変えることができるようになっている。これによっ
て図8(a)に示すような環状コアに一様な巻回密度で
巻線を巻回したトロイダルコイルのみならず、図8
(b)に示すような巻回密度が高い部分と低い部分が交
互にあるトロイダルコイルをも製作できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ような従来の巻線機及びその制御方法では以下のような
問題点を有している。まず第1に、巻線機構の一回転毎
に信号を出力する近接スイッチを用い、この信号に基づ
いて、一つの信号から次の信号までの間に被巻線体を軸
方向に駆動する量を制御しているので、一回の巻き回し
の途中で巻線の巻回密度を変化させることができないと
いう問題点がある。
【0007】例えば、巻線の巻回密度が高い部分を分割
した分割巻きトロイダルコイルにおいて、図3に示すよ
うに巻回密度の高い部分の巻始め位置と巻終り位置とが
被巻線体の軸線回りの角度で同じ位置にないコイルを巻
くことはできない。また、巻線の巻回密度が一定の範囲
内では、一般に被巻線体の駆動速度と巻線機構の回転速
度との比が一定となるように制御し、図4(a)に示す
ように巻線部を形成するが、被巻線体が環状コアの場合
には図4(b)に示すように、巻線機構が環状コアの内
側を巻回すときにはコアを送らず、コアの軸線と直角方
向に巻き、外側面及び両側面を巻くときは環状コアを軸
線方向に送って巻き回そうとする場合がある。従来の巻
線機ではこのような巻き方は実現することができない。
【0008】第2の問題点は、従来の巻線機が線材を一
回転巻き回す毎に信号を出力する近接スイッチを用い、
被巻線体の駆動量を1回の巻き回し毎について設定し、
これが巻線データとして制御装置の記憶回路に記憶され
ているので、コイルの巻数が多い場合には記憶すべきデ
ータ量が多大となり、大きな記憶回路とデータ入力のた
めの多くの労力を要することである。
【0009】本発明は上記のような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は被巻線体に巻き回す巻線の
密度を任意の位置で変化させ、巻線の分布が複雑なもの
であっても、少ないデータで容易に巻き回すことができ
る巻線機及びその制御方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の巻線機は、線材を供給しながら被巻線体軸
線の周囲を回転する巻線機構と、前記巻線機構の回転角
度を検出する回転角度検出器と、被巻線体をその軸方向
に駆動する被巻線体駆動装置と、前記回転角度検出器で
検出される角度に対応して前記被巻線体駆動装置による
被巻線体の駆動速度又は前記巻線機構の回転速度との少
なくとも一方を制御する制御手段とを有するものとす
る。
【0011】また前記請求項1に記載の巻線機を用い、
巻線の巻回密度が被巻線体の軸方向に沿って変化する巻
回しを行なう場合の制御方法であって、巻回し開始時の
前記巻線機構の回転速度と前記被巻線体の駆動速度との
比と、巻回しの開始から巻線の巻回密度が変化するまで
の前記巻線機構の回転角度と、前記巻回密度が変化する
巻線機構の回転角度となった後の、前記巻線機構の回転
速度と前記被巻線体の駆動速度との比とをあらかじめ設
定しておき、巻回しの開始から巻線機構の回転角度を前
記回転角度検出器により検出し、この検出値があらかじ
め設定された前記巻線密度が変化する回転角度となった
ときに、前記巻線機構の回転速度と前記被巻線体の駆動
速度との比を変化させるように制御するものとする。
【0012】上記巻線機構は回転軸がアーム状に張り出
し、先端付近から線材を供給しながら被巻線体の周囲を
回転するものであってもよいし、被巻線体の周囲で回転
するリングであってもよく、回転運動によって被巻線体
に線材を巻き回すことができる構造となるよう、被巻線
体の形状に応じて適宜設計変更が可能である。上記回転
角度検出器は巻線機構の回転軸に直接取り付け、その軸
の回転角度を検出するものとしてもよいし、巻線機構を
駆動するモータの回転軸または駆動力を伝達するギアの
軸などに取り付け、これらの回転軸の回転数と巻線機構
の回転数との比から、巻線機構の回転角度を検出するも
のであってもよい。被巻線体駆動装置は被巻線体がまっ
すぐな棒状体や板状体であればその軸方向に直線的に駆
動するものであればよく、螺状を有する軸部材の回転に
よって駆動するもの、支持台がレール上を移動するもの
等とすることができる。また被巻線体が環状体であれば
その円形をなしている軸線に沿って回転させるものであ
ればよい。
【0013】
【作用】請求項1に記載の巻線機においては回転角度検
出器が一定時間間隔で巻線機構の回転角度を検出し、こ
れが信号として制御手段に入力される。制御手段は上記
回転角度検出器で検出される角度に対応して巻線機構の
回転速度または被巻線体の駆動速度の少なくとも一方を
制御するようになっているので、巻線機構の任意の回転
角度において、あらかじめ設定した巻線機構の回転速度
と被巻線体の駆動速度との比を変更することができ、こ
れによって被巻線体に巻き回す任意の位置で巻線の巻回
密度を変更することができる。また、巻線機構の回転速
度と被巻線体の駆動速度との比の変更は、いずれか一方
を一定速度で駆動しておき、あらかじめ設定した任意の
回転角度において他方の速度を変更してもよいし、双方
の速度を変更して行なってもよい。
【0014】また請求項2に記載した巻線機の制御方法
では、巻回しの開始から巻線の巻回密度が変化するまで
の巻線機構の回転角度と、前記巻回密度が変化する回転
角度までの巻線機構の回転速度と被巻線体の駆動速度と
の比(以下速度比という)をそれぞれ巻回密度が変更す
る回数分だけあらかじめ設定して制御装置に記憶されて
おり、巻き回し開始から最初の巻回密度の変更を行なう
巻線機構の回転角度までは一定の速度比となるように制
御される。回転角度検出器が検出した回転角度は信号と
して制御装置に入力され、巻回密度を変更すべき回転角
度となるとあらかじめ設定して記憶されているデータに
基ずいて、速度比を変更するように巻線機構の回転速度
と被巻線体の駆動速度とが制御される。そしてこの速度
比は次に速度比の変更を行なう回転角度が検出されるま
で一定となるように制御される。このように巻回密度が
変更される巻線機構の回転角度と、この回転角度となっ
た後の速度比とをそれぞれ巻回密度を変更する回数分だ
けデータとして記憶されておれば、巻数が多く複雑に巻
回密度を変更するコイルも巻き回すことができ、1回転
の巻き回し毎のデータに基づいて制御する従来の方法に
比較してデータ量は著しく低減される。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。図1は、本発明の一実施例である巻線機の概略を示
す構成図である。この巻線機は、環状コアに巻回密度が
高い巻線部を複数設けた分割巻トロイダルコイルを製作
するための巻線機であり、被巻線体である環状コア1を
支持し、これを回転駆動するコア送りローラ3、4と、
このコア送りローラ3、3を駆動するパルスモータ6
と、環状コア1の中孔を通るように設置され環状コア1
の軸線の周りを回転することができるシャトルリング2
と、これを駆動するシャトルリング駆動用モータ8と、
このシャトルリング駆動用モータの回転軸に取り付けら
れこの軸の回転角度を検知するロータリーエンコーダ9
と、シャトルリング2に線材を供給する蓄線リング5
と、これを電磁クラッチ10を介して駆動するサーボモ
ータ7と、パルスモータ6とシャトルリング駆動用モー
タ8と電磁クラッチ10とサーボモータ7とを制御する
制御装置20とを有している。
【0016】被巻線体である環状コア1は、3つのコア
送りローラ3、3、4によって、その外周の3点から支
持され、パルスモータ6と連動したコア送りローラ3、
3が回転駆動することによって環状コア1の円周方向に
回転するようになっている。シャトルリング2はリング
状をなし、その円周方向に回転可能となるように支持さ
れるとともに、シャトルリング駆動用モータ8の回転力
がその回転軸に取り付けられたアイドラーギア11によ
って伝達され、回転駆動される。またシャトルリング2
の円周方向の一部は開放できるようになっており、被巻
線体である環状コア1の中孔にシャトルリング2の円周
部を通して互いに交差するように配置することができる
ものである。
【0017】蓄線リング5は環状コア1に巻き回すのに
必要な線材を一旦巻き取っておくために設けられている
ものであり、線材収納溝5aを有している。この蓄線リ
ング5もシャトルリング2と同様に被巻線体である環状
コア1の中孔部を通過するように配置できるものであ
り、蓄線リング駆動用のサーボモータ7によって駆動さ
れる。制御装置20は制御プログラムを記憶する記憶部
13と、この制御プログラムを実行するマイクロコンピ
ュータ12と、このマイクロコンピュータ12の出入力
を行なうインターフェイス14とを有しており、エンコ
ーダーインターフェイスIC15を介してロータリーエ
ンコーダ9からの信号入力、制御モータ駆動増幅器16
を介してシャトルリング駆動用モータ8および蓄線リン
グ駆動用のサーボモータ7の制御、パルスモータ駆動増
幅器17を介してコア送り駆動用のパルスモータ6の制
御を行なうようになっている。
【0018】上記のような本実施例の巻線機が図6に示
す従来の巻線機と大きく異なるところは回転角度の検出
のための近接スイッチの代わりに、シャトルリング駆動
用モータ8の回転軸にロータリーエンコーダ9を設けた
点である。
【0019】次に上記のトロイダルコイル巻線機の基本
的動作について説明する。環状コア1に線材を巻き回す
のに先立ち、蓄線リング5に線材を収納する。これはま
ず線材を引掛け治具5bに巻きつけ、電磁クラツチ10
をオン状態すなわち蓄線リング駆動用のサーボモータ7
により発生する駆動力が伝達される状態にし、蓄線リン
グ5を定められた量だけ回転させることにより行なう。
これにより巻き回しに必要な線材が線材収納溝5aの中
に蓄えられる。
【0020】次に線材を切り、線材の先端を環状コア1
の一部(例えば環状面に設けたスタッド)に固定し、電
磁クラッチ10のクラッチ面が巻き回しに適当なテンシ
ョンを線材に与えるような圧力で当接するように設定す
る。そしてコア送りローラ駆動用のパルスモータ6によ
りコア送りローラ3、3を駆動するとともにシャトルリ
ング駆動用モータ8でシャトルリング2を回転させる。
シャトルリング2は環状コア1と交差させられているの
で、シャトルリング2が1回転すると、環状コア1に線
材が1回巻かれる。このとき、環状コア1の駆動速度及
びシャトルリング2の回転速度を一定にすれば、巻回密
度が一様なトロイダルコイルが製造できるが、制御装置
によってシャトルリング駆動用モータ8とコア送り駆動
用のパルスモータ6の回転速度の比を巻き回しの途中で
変更するように制御することによって、分割巻トロイダ
ルコイル等の巻線を複雑に巻回したコイルを製造するこ
とができる。
【0021】この制御は、シャトルリング駆動用モータ
8の回転軸に取り付けたロータリーエンコーダ9によっ
てその回転角度が検出され、信号として制御装置20に
入力されるので、この信号に基づいてコア送り駆動用の
パルスモータ6の回転速度などを制御することによって
実現される。
【0022】次に上記トロイダルコイル巻線機の制御方
法の一実施例を具体的に説明する。制御装置20の記憶
部13に記憶されておりマイクロコンピュータ12が実
行する制御プログラムは、一定時間毎にシャトルリング
駆動用モータ8を駆動するための信号を出力するように
設定されている。この出力値がインターフェイス14を
通して指令電圧となり、制御モータ駆動増幅機16で増
幅されて、シャトルリング駆動用モータ8を回転させ
る。一方、シャトルリング駆動用モータ8の回転によ
り、その回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダ
9も回転し、信号としてのパルス列が出力されて、エン
コーダーインターフェイスIC15に入力される。エン
コーダインターフェイスIC15は、カウンタICの一
種であり、シャトルリング駆動用モータ8の回転量を示
す値を一時的に記憶する機能を有している。マイクロコ
ンピュータ12は、エンコーダインターフェイスIC1
5が記憶した前記信号値を一定時間毎(サンプリング周
期毎)に参照し、それぞれの参照時においてその前に参
照したした値との差分値を計算する。この差分値を累積
した値(以下シャトルリング位置カウンタ値という)が
現在のシャトルリングの回転角度に相当する。一方制御
プログラムにはサンプリング周期毎のシャトルリング2
の回転角度の指令値が含まれており、前記した実際のシ
ャトルリング2の回転角度に相当するシャトルリング位
置カウンタ値と回転角度指令値とを比較し、その差に比
例した値が新たな出力値としてインターフエース16に
出力され、シャトルリング駆動用モータ8を駆動する。
従って、両者の値が一致すると出力値はゼロとなり、シ
ャトルリング駆動用モータ8は停止する。上記のように
制御することにより、マイクロコンピュータ12はシャ
トルリング2の回転角度を管理することができる。
【0023】一方コア送りローラ3、3の駆動は次のよ
うに行なわれる。制御プログラムには予めシャトルリン
グ位置カウンタ値に対応させて、コア送りローラの回転
量に相当するパルスモータ6の駆動パルス数が記述され
ている。このとき、パルスモータ6の駆動パルスの1パ
ルスの出力に対応するシャトルリング位置カウンタ値を
全て記述することをせず、パルスモータ6の駆動パルス
の周期を設定する方法を採り、その周期の変化が発生す
るときのシャトルリング位置カウンタ値と、変化後の新
しい周期の設定値を記述するものとする。
【0024】図2は、コアを送る駆動速度の変化がシャ
トルリング2の一回転と同期していないような線材の巻
き回し方法を実現するためのタイミングチャートの一例
を示す。図2において(a)はマイクロコンピュータ1
2が演算を行うタイミング、(b)はパルスモータ駆動
増幅機17へ出力されるパルス列を示すものであり、A
はサンプリング周期、Bはそのときのシャトルリング位
置カウンタ値である。制御プログラムには予めパルス列
の起動周期C、周期の変化するシャトルリング位置カウ
ンタ値D、周期の新しい設定値Eが記述されており、シ
ャトルリング位置カウンタ値がその値になったときに新
たな周期が設定される。この周期によってコア送り駆動
用のパルスモータ6が回転されるとともにシャトルリン
グ位置カウンタ値がサンプリング周期毎に制御されるこ
とによってシャトルリングの回転速度と環状コアの駆動
速度との比(速度比)が設定されている。なおシャトル
リング2の一回転当りの、シャトルリング位置カウンタ
値の増分は、ロータリーエンコーダ9が1回転する間に
発生するパルス数とアイドラーギア11、シャトルリン
グ2の歯数比より決まる。
【0025】上記のような制御方法によって、巻き回し
の任意の位置において、コア送りローラの速度が変更で
きる。またコア送りローラの制御が制御プログラム中
に、起動周期C、周期の変化するシャトルリング位置カ
ウンタ値D、周期の新しい設定値Eを記述する方式によ
ってなされており、巻線の巻回密度が複雑に変化する場
合でも少ないデータで制御することが可能となる。特
に、図8(b)に示すような分割巻きトロイダルコイル
においては、コイルの分割状態は対称であり、図8
(b)中に示すそれぞれの巻線部21-1、21-2、・・
の長さ及び一つの巻線部中での巻数(ターン数)は巻線
部全てにおいて同一であることから、制御プログラム中
でループを組むことで、起動周期C、周期の変化するシ
ャトルリング位置カウンタ値D、周期の新しい設定値E
の記述数は著しく少なくできる。
【0026】なお、本実施例では、シャトルリング2を
回転させる前に電磁クラッチ10の当接する圧力を設定
し、巻回し中は同じ設定値で一定のテンションを線材に
かけているが、分割巻きを行なう場合には環状コア1と
シャトルリング2の速度比の変化によって、線材に必要
なテンション値が変化し、巻き付け位置やテンションの
かかり具合が微妙に乱れ、正しく線材を巻き回すことが
できない。この改善方法として、巻回中にも設定値をシ
ャトルリング2の位置により、変化させる方法がよく、
本発明の方法ではシャトルリングの回転角度がシャトル
リング位置カウンタ値により高精度で検出できるため、
テンションの変更が容易に実現し、正しく線材を巻き回
すことが可能となる。
【0027】また、本実施例のように環状コア1の駆動
をコア送りローラ3、3とコアの外周との摩擦により実
現する方法では、線材が巻かれるに従って環状コアの見
かけ上の外径が線材分だけ変化する。この変化の割合
は、コア送りローラ径、コア径、コア送りローラゴム硬
度及びコア送りローラの押し付け圧により異なるが、特
に線材径が0.5mm以上では、線材を巻き回していない
場合と巻き回しを行った場合との差が顕著である。しか
しながら本実施例においては、巻き回し中にこの見かけ
上の外径の変化分を補正するような値を予め制御プログ
ラムに記述しておくことで、線材径による影響を少なく
することができる。
【0028】以上に説明した実施例は、分割巻きトロイ
ダルコイル巻線機およびその制御方法であるが、本発明
はこれに限定されるものではなく被巻線体を直線的に送
って巻線を行うような巻線機およびその制御方法にも適
用が可能である。例えば、図5に示すような棒状のコア
に対して、巻線部を分割形成するような巻き付けを行う
場合にも適用し得る。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の巻線機
は、巻線機構の回転角度を検出する回転角度検出器を有
し、回転角度検出器で検出される角度に対応して被巻線
体の駆動速度と巻線機構の回転速度との比を制御するよ
うになっているので巻線機構が被巻線体の周囲を回転す
る任意の位置で巻線の巻回密度が変化し、複雑に巻き回
された巻線を有するコイルも製作が可能となる。
【0030】また、本発明の巻線機の制御方法では、上
記に記載の巻線機を使用し、巻線機構の回転速度と被巻
線体の駆動速度とがあらかじめ設定された比となるよう
に制御するとともに、前記巻線機構の回転角度を前記回
転角度検出器により、一定時間間隔で検出し、検出値が
あらかじめ設定された巻回密度を変更すべき角度となっ
たときに、前記巻線機構の回転速度と前記被巻線体の駆
動速度との比を変更するように制御するので、巻線機構
が一回転する間の任意の角度においても自由に巻線機構
の回転速度又は被巻線体の駆動速度を制御することがで
き、任意の角度で巻回密度を変えることができる。
【0031】さらにこのような制御を行なうためにあら
かじめ設定しておくデータは、巻回し開始から巻線の巻
回密度を変化するまでの巻線機構の回転角度と、巻回し
開始時における巻線機構の回転速度と被巻線体の駆動速
度との比と、巻回密度を変化する巻線機構の回転角度と
なった後における巻線機構の回転速度と被巻線体の駆動
速度との比とであり、巻線の巻回密度が複雑に変化する
場合であっても少ないデータで制御して巻き回すことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である巻線機を示す概略構成
図である。
【図2】上記実施例の巻線機を制御する信号のタイミン
グチャートの一例を示す説明図である。
【図3】上記実施例の巻線機によって巻き回しが可能と
なる分割巻きトロイダルコイルの巻き始め位置及び巻き
終りを示す図である。
【図4】上記実施例の巻線機によって巻き回しが可能と
なる分割巻きトロイダルコイルの巻き回し状態を示す説
明図である。
【図5】本発明の他の実施例である巻線機によって巻き
回しが可能となるコイルを示す説明図である。
【図6】従来のトロイダルコイル巻線機を示す概略構成
図である。
【図7】従来の巻線機を制御する信号のタイミングチャ
ートを示す図である。
【図8】トロイダルコイルの巻き回し態様を示す概略図
である。
【符号の説明】
1 環状コア 2 シャトルリング 3 コア送りローラ 4 コア送りローラ 5 蓄線リング 6 コア送りローラ駆動用のパルスモータ 7 蓄線リング駆動用のサーボモータ 8 シャトルリング駆動用モータ 9 ロータリーエンコーダ 10 電磁クラッチ 11 アイドラーギア 12 マイクロコンピュータ 13 記憶部 14 インターフェイス 15 エンコーダインターフェイスIC 16 制御モータ駆動増幅器 17 パルスモータ駆動増幅器 20 制御手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項 1】 線材を供給しながら被巻線体軸線の周囲
    を回転する巻線機構と、前記巻線機構の回転角度を検出
    する回転角度検出器と、被巻線体をその軸方向に駆動す
    る被巻線体駆動装置と、前記回転角度検出器で検出され
    る角度に対応して前記被巻線体駆動装置による被巻線体
    の駆動速度又は前記巻線機構の回転速度の少なくとも一
    方を制御する制御手段とを有することを特徴とする巻線
    機。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の巻線機を用い、巻
    線の巻回密度が被巻線体の軸方向に沿って変化する巻回
    しを行なう場合の制御方法であって、巻回し開始時の前
    記巻線機構の回転速度と前記被巻線体の駆動速度との比
    と、巻回しの開始から巻線の巻回密度が変化するまでの
    前記巻線機構の回転角度と、前記巻回密度が変化する巻
    線機構の回転角度となった後の、前記巻線機構の回転速
    度と前記被巻線体の駆動速度との比とをあらかじめ設定
    しておき、巻回しの開始から巻線機構の回転角度を前記
    回転角度検出器により検出し、この検出値があらかじめ
    設定された前記巻回密度が変化する回転角度となったと
    きに、前記巻線機構の回転速度と前記被巻線体の駆動速
    度との比を変化させるように制御することを特徴とする
    巻線機の制御方法。
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