JP2797167B2 - 給紙カセット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プリンタなどの給紙機
構にて用紙を供給するための給紙カセットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の給紙カセットとして、図
３に示すように、浅い筺状の用紙トレイ１と、この用紙
トレイの底に配置されて一端（回動端２）側を回動自在
に支持されたリフトプレート３と、このリフトプレート
３の他端（上下移動端４）を上方に向けて付勢するスプ
リング５と、リフトプレート３における上下移動端４の
上方の角部には当該リフトプレート３との間に用紙を挟
み込むために分離爪（用紙押さえ部材）６が備えられて
いる。

【０００３】かかる構成において、リフトプレート３の
上に用紙を載置して分離爪６との間に挟み込み、用紙を
徐々に給紙していくと、用紙の量が減るにしたがってリ
フトプレート３は回動端２の側を支点として徐々に回動
していく。リフトプレート３が回動するにつれて上下移
動端４は回転軸心を中心とする円弧の軌跡を辿って移動
する。リフトプレート３に載置された用紙のうち、最上
の用紙の先端の位置はリフトプレート３の先端から垂直
に延長した線と分離爪６との交点となる。従って、図４
に示すように、この最上の用紙の先端の位置はＬの範囲
で前後する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の給紙カ
セットにおいては、簡素な構成であるもののリフトプレ
ートの先端が円弧を描いて移動するので供給する用紙の
先端位置が前後動する。すると、給紙される側では用紙
の先端位置が近づいたり遠のいたりするので、用紙を送
り損ねて紙詰まりとなってしまうことがあった。

【０００５】本発明は、上記課題にかんがみてなされた
もので、簡易な構成で用紙の先端位置を変化させること
なく給紙させることが可能な給紙カセットの提供を目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１にかかる発明は、平板状の底板と当該底板
における回動端側の一端から垂直に延設された奥壁とか
らなるリフトプレートを、用紙トレイにて上記回動端を
回動自在に支持するとともに他方の上下移動端を上方に
向けて付勢し、上方に配設した用紙押さえ部材との間に
用紙の一端を挟み込んで保持するとともに同用紙の他端
を上記奥壁にて規制することにより長さ方向の移動を制
限し、用紙の量に応じてリフトプレートに回動による傾
斜を持たせて給紙を行う給紙カセットにおいて、上記回
動端を当該リフトプレートの長さ方向に移動可能に支持
するとともに、上記リフトプレート及び用紙トレイに
は、互いに係合しガイド機構を構成する係合凸部とガイ
ド溝が設けられ、上記ガイド溝は用紙の量が変動して同
リフトプレートが回動するときに上記用紙押さえ部材に
おける一定位置に最上用紙の先端を押しつけるように同
リフトプレートの上下移動端をその回動角度に応じて長
さ方向に移動する湾曲形状として形成した構成としてあ
る。

【０００７】

【作用】上記のように構成した請求項１にかかる発明に
おいては、次のように作用する。回動端における回転軸
芯が一定であれば他端の上下移動端は円弧を描いて移動
せざるを得ないが、回動端がリフトプレートの長さ方向
に移動可能となっているので、必ずしも円弧を描いて移
動しなければならないわけではない。一方、リフトプレ
ートの長さ方向の移動をガイドするように係合凸部と所
定の湾曲形状としたガイド溝とからなるガイド機構がリ
フトプレートと用紙トレイとに互いに形成してあるた
め、リフトプレートの回動移動に伴って当該リフトプレ
ートは用紙トレイ内で長さ方向に移動し、最上用紙の先
端は常に用紙押さえ部材における一定位置に押しつけら
れることになる。

【０００８】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、回動自在
に支持されているリフトプレートにおける上下移動端の
側の移動を規制し、最上の用紙の先端の位置がいつも一
定とすることができるため、簡易な構成を維持しつつ紙
詰まりなどを起こしにくくすることが可能な給紙カセッ
トを提供することができる。

【０００９】

【実施例】以下、図面にもとづいて本発明の実施例を説
明する。図１は本発明の一実施例にかかる給紙カセット
の一部破断斜視図、図２は断面である。図において、用
紙トレイ１０は上方に開口を有する浅い箱形状に形成さ
れており、当該用紙トレイ１０内にリフトプレート２０
が保持されている。リフトプレート２０は用紙トレイ１
０内部に収容可能な長方形の平板状の底板２１と、この
底板２１の一方の端部から垂直に延設された奥壁２２
と、底板２１における奥壁２２を延設した側の両側部か
ら垂直に延設された支持アーム２３，２３と、底板２１
の両側であってこの支持アーム２３よりも奥壁２２と反
対の側から幅方向に突出せしめた係止ピン２４，２４と
を備えている。なお、リフトプレート２０における奥壁
２２を形成した側の端部側を回動端と呼び、反対の側の
端部側を上下移動端と呼ぶ。

【００１０】両支持アーム２３，２３の上端付近には底
板２１の長さ方向に長く形成した回転孔２３ａ，２３ａ
を形成してあり、用紙トレイ１０における側壁１１，１
１の内面側にはリフトプレート２０を収容したときに同
回転孔２３ａ，２３ａ内に進入して回動可能に保持する
回動ピン１１ａ，１１ａを形成している。また、同じく
側壁１１，１１の内面側であって上記係止ピン２４，２
４に対面する位置には後で詳述する規制溝１１ｂ，１１
ｂを形成している。なお、かかる係止ピン２４と規制溝
１１ｂとでガイド機構を構成している。リフトプレート
２０における上下移動端の側の下方には用紙トレイ１０
との間にコイルスプリング３０が保持されており、同コ
イルスプリング３０はリフトプレート２０を上方に付勢
している。また、この上下移動端を挟み込むようにして
側壁１１，１１の内面側には分離爪保持機構４０が備え
られており、同分離爪保持機構４０は上方に付勢される
リフトプレート２０の角部に対面するように用紙トレイ
１０の内側に向けて分離爪４１を突出させて支持してい
る。

【００１１】なお、かかる給紙カセットは給紙機構に保
持されたときにリフトプレート２０における上下移動端
の上方には二点鎖線で示すかまぼこ形のフィードローラ
５１，５１が位置するようになっている。次に、上記構
成からなる本実施例の動作を説明する。当初、リフトプ
レート２０は用紙トレイ１０内で支持アーム２３の回転
孔２３ａに回動ピン１１ａが挿入して回動自在に保持さ
れており、また、コイルスプリング３０が上下移動端を
上方に付勢しているので、上下移動端の側の端部が分離
爪４１の下面に押しつけられた状態となっている。この
給紙カセットに用紙を補給するときは、リフトプレート
２０を押し下げ、分離爪４１との間に十分な空間を開け
て当該リフトプレート２０上に用紙の束を載置するとと
もに用紙の角が分離爪４１の下方に入り込むようにす
る。すると、リフトプレート２０が用紙を押し上げ、分
離爪４１との間に挟み込んで保持する。上記フィードロ
ーラ５１，５１は、待機時にかまぼこ形の水平な面を用
紙に対面させており、用紙に接していない。しかし、給
紙時に一回転するとその円周面が最上の用紙に接して一
枚の用紙を送り出す。このようにして用紙を送り出して
いくにつれて用紙の束の厚みが薄くなっていき、リフト
プレート２０は回動端の側を支点として回動する。

【００１２】ところで、リフトプレート２０が回動する
ときに両側から突出している係止ピン２４，２４は側壁
１１，１１の規制溝１１ｂ，１１ｂに沿って移動する。
また、支持アーム２３の回転孔２３ａはリフトプレート
２０の長さ方向に長くしてあるので、リフトプレート２
０が回動するにつれて規制溝１１ｂ，１１ｂの形状に沿
って前後に移動することができる。本実施例において
は、この規制溝１１ｂの形状を決めるために次のように
している。すなわち、リフトプレート２０における上下
移動端の端部から垂直に延長した線が、リフトプレート
２０の回動時に分離爪４１の裏面における一定の場所に
対面するように、当該リフトプレート２０を前後に微動
させるような形状としている。すると、リフトプレート
２０上に用紙の束を載置したときに用紙の先端は上述し
た垂直に延長した線上に位置することになるので、用紙
が減っていってリフトプレート２０が回動していっても
最上の用紙は分離爪４１の裏面における一定の場所に押
し当てられる。これは給紙機構から見れば用紙の先端の
位置が常に一定していることになるので、安定した給紙
を行なうことができ、紙詰まりなどを未然に防ぐことが
できる。

【００１３】このように、支持アーム２３の回転孔２３
ａを長孔として回動ピン１１ａに対してリフトプレート
２０の長さ方向にも移動できるようにしつつ、所定の形
状とした規制溝１１ｂにリフトプレート２０の側面から
突出した係止ピン２４を係合させることにより、回動時
にリフトプレート２０を前後に微動させて用紙の先端位
置を一定とする。なお、上述した実施例では、支持アー
ム２３を備えて当該支持アーム２３の回転孔２３ａを長
孔としてリフトプレート２０が前後に移動可能となるよ
うにしているが、これ以外の実施例としては、底板２１
の側面を支点として回動可能なように支持するようにし
てもよい。また、回転孔２３ａをなくし、回動端の端部
が常に用紙トレイ１０の底に摺動接触するようにしてリ
フトプレート２０を前後に移動可能としても良い。

【００１４】さらに、係止ピン２４が側壁１１の規制溝
１１ｂに入り込んで前後動するようにしているが、側壁
１１に規制溝１１ｂと同様の形状とした畦状の凸部を形
成するとともに、リフトプレート２０の側縁にはこの凸
部が入り込むことが可能な切り欠きを形成してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例にかかる給紙カセットの一部
破断斜視図である。

【図２】図１における給紙カセットのII−II線断面図で
ある。

【図３】従来の給紙カセットの断面図である。

【図４】従来の給紙カセットにおける分離爪部分の拡大
側面図である。

【符号の説明】

１０…用紙トレイ １１ａ…回動ピン １１ｂ…規制溝 ２０…リフトプレート ２３…支持アーム ２３ａ…回転孔 ２４…係止ピン ３０…コイルスプリング ４１…分離爪

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平板状の底板と当該底板における回動端
   側の一端から垂直に延設された奥壁とからなるリフトプ
   レートを、用紙トレイにて上記回動端を回動自在に支持
   するとともに他方の上下移動端を上方に向けて付勢し、
   上方に配設した用紙押さえ部材との間に用紙の一端を挟
   み込んで保持するとともに同用紙の他端を上記奥壁にて
   規制することにより長さ方向の移動を制限し、用紙の量
   に応じてリフトプレートに回動による傾斜を持たせて給
   紙を行う給紙カセットにおいて、 上記回動端を当該リフトプレートの長さ方向に移動可能
   に支持するとともに、 上記リフトプレート及び用紙トレイには、互いに係合し
   ガイド機構を構成する係合凸部とガイド溝が設けられ、
   上記ガイド溝は用紙の量が変動しで同リフトプレートが
   回動するときに上記用紙押さえ部材における一定位置に
   最上用紙の先端を押しつけるように同リフトプレートの
   上下移動端をその回動角度に応じて長さ方向に移動する
   湾曲形状であることを特徴とする給紙カセット。