以下、本発明の実施の形態に係るシート支持装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、シート支持装置の一例である給紙装置に適用したものであり、支持する対象を用紙としている。なお、本発明のシート支持装置による支持対象であるシートは、プラスチックや金属や布など、紙以外の材質からなるものであってもよく、材質を問わないシート全般の支持に適用が可能である。また、本発明は、シートの幅方向端部の位置を規制するサイドフェンスを備えるものであれば、給紙装置以外のシート支持装置(例えば排紙装置など)にも適用が可能である。また、本発明のシート支持装置は、後述する画像形成装置に付随するものには限らず、シートの仕分けを行う仕分け装置や、シートの計数を行う計数装置などに付随するものであってもよい。
図1及び図2は給紙装置10の全体構成を示している。給紙装置10は、図示を省略する画像形成装置に取り付けられ、印刷媒体である用紙を支持して画像形成装置に供給するものである。給紙装置10は給紙台11を備え、給紙台11の上面を構成する天板12に用紙が載置される。天板12を取り外した状態の給紙装置10を図2に示している。給紙装置10に載せられる用紙の幅方向をX軸方向、用紙の奥行き(長さ)方向をY軸方向とする。
給紙装置10には、天板12から上方に突出する一対の平行なサイドフェンス13が設けられている。一対のサイドフェンス13は、天板12上に載置した用紙の幅方向端部の位置を規制して、用紙の位置を揃えるものである。
X軸方向に延びるスライド軸14が設けられている。つまり、スライド軸14の軸方向とX軸方向は同じ方向である。スライド軸14は、給紙台11の内部に固定的に支持されている(図2参照)。スライド軸14は、円筒状の外周面を有する金属製の部材であり、X軸方向の略全体に亘って一定の外径サイズになっている。天板12には、スライド軸14の上方に位置してX軸方向に延びる長孔12aが形成されている(図1参照)。
一対のサイドフェンス13はそれぞれ、スライド制御機構15を介して、スライド軸14に沿ってX軸方向の位置を変更可能に支持されている。一対のサイドフェンス13は、連動部16(図2及び図3参照)によって、X軸方向で互いに反対方向に移動するように連動している。一対のサイドフェンス13の間隔を変化させることにより、幅サイズが異なる複数種の用紙を支持することができる。図3は、スライド制御機構15を含むサイドフェンス13の支持構造全体を示しており、図4以降は、スライド制御機構15の細部を示している。以下では、一対のサイドフェンス13に対応して設けられている一対のスライド制御機構15のうち、一方を対象として説明する。以下の説明では、X軸方向のうち、給紙装置10の側縁に向く側を表側とし、給紙装置10の幅中央に向く側を裏側とする。なお、一対のスライド制御機構15は略共通の構成を有しており、以下の説明は、他方のスライド制御機構15にも対応している。
スライド制御機構15を構成する要素として、スライダ部材20と、ロック板30と、操作レバー40と、支持部材50と、を備えている。スライダ部材20は、スライド軸14に対してサイドフェンス13をX軸方向に移動可能に支持する部材である。ロック板30と操作レバー40と支持部材50は、スライド軸14に対するサイドフェンス13(スライダ部材20)のX軸方向への移動を規制するロック状態と、X軸方向への移動を許すロック解除状態とを切り替えるロック制御手段を構成する。本実施形態では、ロック板30が金属製、操作レバー40と支持部材50が合成樹脂製である。但し、スライド制御機構15の各部材の材質は、これに限定されるものではない。
スライダ部材20は、天板12の下側に配置されるベース部21を有する。サイドフェンス13は天板12の上面に沿う台座部を有し、台座部が長孔12aを通してベース部21に接続されることで、サイドフェンス13がスライダ部材20に固定される。つまり、天板12を挟んだ上下に、サイドフェンス13の台座部とスライダ部材20のベース部21が位置する。また、スライダ部材20には、ベース部21から上方に突出する一対の立壁部22と、ベース部21に対して下方に突出する被案内部23とが設けられる。一対の立壁部22は、Y軸方向に位置を異ならせて配置されており、一方の立壁部22の下方に被案内部23が位置している。また、一対の立壁部22はそれぞれ、長孔12aを通して天板12の上方に突出する(図1参照)。
図4に示すように、サイドフェンス13には切り起こし部によって嵌合部13aが形成されており、個々の立壁部22に設けた嵌合凹部22aが嵌合部13aに対して嵌合している。この嵌合により、スライダ部材20がサイドフェンス13に固定される。
被案内部23は、天板12の長孔12aを通して給紙台11の内部に配置される。図7及び図8に示すように、被案内部23には、X軸方向に貫通する貫通孔23aが形成されており、貫通孔23a内に円筒状のスリーブ24が挿入されている。スリーブ24内をスライド軸14が貫通し、スライド軸14の外周面とスリーブ24の内周面の摺接によって、スライダ部材20がX軸方向に移動可能に支持される。そして、スライダ部材20と共にサイドフェンス13がX軸方向に移動する。
スライダ部材20における一方の立壁部22(被案内部23の上方に位置する側の立壁部22)には、スライド軸14と平行にX軸方向に突出する支持軸25が固定されている。支持軸25を中心として回転可能に操作レバー40が支持され、操作レバー40の回転動作によって支持部材50が、X軸方向及びY軸方向に対して垂直な上下方向(ロック制御方向)に移動する。そして、支持部材50の上下方向の位置変化に応じて、X軸方向に対するロック板30の角度が変化して、スライド制御機構15におけるロック状態とロック解除状態が切り替わる。スライド制御機構15における構成と動作の詳細を以下に説明する。
スライド制御機構15におけるロック部材を構成するロック板30は、略矩形の平板部31を有し、平板部31のY軸方向の両側に平行な一対の側面32を有している。平板部31の上縁には、X軸方向の表側に向けて屈曲する上縁屈曲部33が形成されている。平板部31の下縁には、X軸方向の表側に向けて屈曲する下縁屈曲部34が形成されている。上縁屈曲部33は、Y軸方向の両縁部分には設けられておらず、Y軸方向の中央寄りの所定の範囲に形成されている。下縁屈曲部34はY軸方向の中央部分には設けられておらず、Y軸方向の両縁に近い位置に一対の下縁屈曲部34が形成されている。
ロック板30における平板部31の中央部分に、軸挿通孔35が貫通形成されている。軸挿通孔35は略円形の孔であり、軸挿通孔35に対してスライド軸14が挿通される。スライド軸14の外径サイズよりも軸挿通孔35の内径サイズの方が、僅かに大きく設定されている。
より詳しくは、ロック板30の平板部31がX軸方向に対して略垂直な向きにある状態(図8及び図12)では、軸挿通孔35が所定のクリアランスを空けてスライド軸14を挿通(遊嵌)させており、スライド軸14に対するロック板30のX軸方向の移動が制限されない。つまり、サイドフェンス13がスライド軸14に沿って移動可能なロック解除状態になる。
図7及び図11のように、ロック板30の平板部31がX軸方向に対する角度を変化させて(X軸方向に対して垂直な向きから傾いて)、X軸方向に沿って見た軸挿通孔35の投影面積が減少すると、軸挿通孔35の内縁がスライド軸14の外周面を押圧して楔効果を生ずる状態になり、スライド軸14に対するロック板30のX軸方向の移動が制限される。つまり、スライド軸14に沿うサイドフェンス13の移動が規制されるロック状態になる。
スライド制御機構15における操作部材を構成する操作レバー40は、支持軸25が挿入される円形状の軸孔41を有するベース部42と、軸孔41から離れる外径方向に向けてベース部42から突出するアーム部43と、を有している。ベース部42における軸孔41の周囲には、X軸方向に突出するロック用カム44及びロック解除用カム45が形成されている(図5及び図6参照)。ロック用カム44は、軸孔41に対する接線と略平行な方向に延びる直線状部44aと、直線状部44aから軸孔41に近づく方向に湾曲する湾曲部44bと、を有している。ロック解除用カム45は、軸孔41に対する接線と略平行な方向に延びる直線状部45aと、直線状部45aから軸孔41に近づく方向に湾曲する湾曲部45bと、を有している。直線状部44aと直線状部45aは、互いに垂直な方向に延びている。
操作レバー40はさらに、ベース部42からX軸方向に突出する第1クリック突起46と第2クリック突起47を有している(図5及び図6参照)。第1クリック突起46は、ロック用カム44の直線状部44aに対して垂直な方向に延びており、軸孔41を挟んで直線状部44aの反対側に位置している。第2クリック突起47は、ロック解除用カム45の直線状部45aに対して垂直な方向に延びており、湾曲部45bとアーム部43の間に位置している。軸孔41を中心とする半径方向では、第1クリック突起46が第2クリック突起47よりも軸孔41に近い位置にある。
図13及び図14に支持部材50の構成を示す。支持部材50は、上下方向に延びる板状部51と、板状部51の下端に接続するロック板保持部52と、を有する。板状部51のうち、X軸方向の表側に向く面を表面51aとする。支持部材50のうち、X軸方向の裏側に向く面は、板状部51からロック板保持部52にかけて凹凸のない裏面50aになっている。
支持部材50の板状部51には、X軸方向に貫通するガイド孔53が形成されている。ガイド孔53は、上下方向に長手方向を向けた長孔である。ガイド孔53の下方には、表面51aからX軸方向の表側に突出する第1の被押圧部である下側凸部55が設けられており、ガイド孔53の上方には、表面51aからX軸方向の表側に突出する第2の被押圧部である上側凸部54が設けられている。
上側凸部54と下側凸部55はそれぞれY軸方向に長く延びる凸部であり、上側凸部54は下方に向く平面状の被押圧面54aを有し、下側凸部55は上方に向く平面状の被押圧面55aを有している。上側凸部54の先端には、X軸方向の表側に向けて突出するクリック突起54bが形成されている。
支持部材50の板状部51における下側凸部55の下方には、表面51aからX軸方向の表側に突出するガイド突起56が設けられている。Y軸方向に所定の間隔を空けて複数(4つ)のガイド突起56を備えている。図11及び図12に示すように、個々のガイド突起56は、下方から上方へ進むにつれて徐々に表面51aからの突出量を大きくする形状のテーパ面56aを有している。
支持部材50のロック板保持部52は、Y軸方向に間隔を空けて配置された一対の側壁部57を有している。一対の側壁部57には、Y軸方向で互いに対向する一対の平行な対向面57aが形成されている。Y軸方向における一対の対向面57aの間隔は、ロック板30の一対の側面32の間隔と略等しい。各側壁部57は、X軸方向の厚みが板状部51よりも大きく、表面51aに対して各側壁部57がX軸方向の表側に突出している。一対の側壁部57の間には、ロック板30を収容する収容空間S(図11及び図12参照)が形成される。
一対の側壁部57からそれぞれ規制タブ58がY軸方向に突出している。一対の規制タブ58は、Y軸方向で互いに接近する方向(収容空間Sの内側)に突出しており、一対の規制タブ58のY軸方向における間隔は、一対の側壁部57(対向面57a)のY軸方向における間隔よりも小さく、且つスライド軸14の直径よりも僅かに大きい。
ロック板保持部52の下端には、下端壁59と一対の支持ブロック60とが形成されている。下端壁59は、ロック板保持部52のY軸方向における中央部分に設けられている。下端壁59を挟んだY軸方向の両側に、一対の支持ブロック60が形成されている。下端壁59に連続して、上方へ向けて屈曲する規制タブ61が形成されている。一対の支持ブロック60にはそれぞれ、X軸方向の表側を向く支持面60aと、X軸方向に対して傾斜するテーパ面60bが形成されている。テーパ面60bは、支持面60aの上側に隣接して位置しており、上方に進むにつれて支持部材50の裏面50aに近づくように傾斜している。
図11及び図12に示すように、一対の規制タブ58はそれぞれ、側壁部57のうち表側の縁部に位置しており、各規制タブ58と規制タブ61はX軸方向で同じ位置にある。板状部51の表面51aと各支持ブロック60の支持面60aは、X軸方向で同じ位置にある。そして、表面51a及び各支持面60aと、各規制タブ58及び規制タブ61との間には、X軸方向に所定の間隔がある。このX軸方向の間隔は、ロック板30の平板部31の厚みと略等しい。
支持部材50にはさらに、一対の支持ブロック60の上方に位置する上方壁部63が形成されている。上方壁部63は、板状部51の表面51aよりもX軸方向の裏側寄りに位置している。上方壁部63のうちX軸方向の表側を向く面は、各支持ブロック60のテーパ面60bとは反対方向に傾斜する逃げ面63aになっている。
図14に示すように、ロック板保持部52のうち側壁部57と下端壁59と支持ブロック60と上方壁部63に囲まれる領域は、裏面50a側に向けて開口している。この開口部分を通して、ロック板保持部52の内部(収容空間S)にスライド軸14を挿入することができる。
以上の各部材からなるスライド制御機構15の組み立てについて説明する。ロック板30は、支持部材50のロック板保持部52内に組み付けられる。ロック板30の一対の側面32が側壁部57の一対の対向面57aに対して摺接することで、ロック板30と支持部材50は上下方向で相対的な位置を変化させることができる。ロック板30の一対の側面32と、支持部材50の一対の側壁部57は、後述する下方位置から上方位置までの支持部材50の移動範囲で、スライド軸14の軸線を中心とする支持部材50とロック板30の相対回転を規制する回転規制部として機能する。
図7及び図8に示すように、ガイド孔53に支持軸25を挿入させ、ロック板保持部52の収容空間S内にスライド軸14を挿入させながら、スライダ部材20に対して支持部材50を組み付ける。支持部材50を組み付ける際に、ロック板保持部52に保持したロック板30の軸挿通孔35にスライド軸14が挿通され、スライド軸14はロック板30からX軸方向の表側に突出する。また、支持軸25は板状部51からX軸方向の表側に突出する。
裏面50aがスライダ部材20の表側の面に当接して、X軸方向での支持部材50の位置が定まる。ガイド孔53の両側の内面が支持軸25を挟んで、Y軸方向での板状部51の位置が定まる。また、軸挿通孔35とスライド軸14の関係によりロック板30がY軸方向への移動を制限され、ロック板30の一対の側面32に対して一対の対向面57aが当接することで、Y軸方向でのロック板保持部52の位置が定まる。ガイド孔53の内面を支持軸25に摺接させ、対向面57aを側面32に摺接させることにより、支持部材50は上下方向に移動可能に支持される。
続いて、軸孔41に支持軸25を挿入させて、操作レバー40を組み付ける。支持部材50の表面51aに当接する位置まで操作レバー40を挿入し、軸孔41から突出する支持軸25の先端付近に抜止リング48(図7及び図8参照)を取り付けることにより、X軸方向での操作レバー40の位置が定まる。この状態で、操作レバー40は支持軸25を中心として回転可能に支持される。
なお、ロック板30と支持部材50はそれぞれ、Y軸方向の中心(軸挿通孔35の中心)を通りX軸方向及び上下方向に延びる仮想の平面に関して対称な形状を有している。そのためロック板30と支持部材50は、X軸方向での表裏を反転させることによって、一対のサイドフェンス13に対応する一対のスライド制御機構15で共通部品として使用することができる。また、操作レバー40は、X軸方向の中心(ベース部42の厚みの中心)を通りY軸方向及び上下方向に延びる仮想の平面に関して対称な形状を有している。そのため操作レバー40は、軸孔41に対する支持軸25の挿入方向を逆にすることによって、一対のサイドフェンス13に対応する一対のスライド制御機構15で共通部品として使用することができる。このように、一対のスライド制御機構15で用いる各部品を共通化することにより、部品の製造や管理に要するコストが抑えられ、スライド制御機構15の効率的な生産や運用を実現できる。
続いて、スライド制御機構15の動作を説明する。操作レバー40を、アーム部43の長手方向が上下方向に向く引き起こし位置(ロック解除用の回転位置:図4及び図6)に位置させることにより、スライド制御機構15がロック解除状態(図4、図6、図8、図10、図12)になる。操作レバー40を、アーム部43の長手方向がY軸方向に向く横倒し位置(ロック用の回転位置:図5)にさせることにより、スライド制御機構15がロック状態(図5、図7、図9、図11)になる。ロック解除状態とロック状態の切り替えは、支持部材50の上下方向での位置変化に応じて、ロック板30が、ロック解除位置(図4、図6、図8、図10、図12)とロック位置(図5、図7、図9、図11)に姿勢(X軸方向に対する角度)を変化させることによって行われる。
操作レバー40の引き起こし位置では、支持軸25及び軸孔41の軸線に対してアーム部43がY軸方向にオフセットした位置にある(図6参照)。アーム部43の当該オフセットは、図5に示す横倒し位置でのアーム部43の位置とは反対側へのオフセットである。そのため、アーム部43の重さが、横倒し位置ではなくその反対方向(図6の反時計方向)に操作レバー40を回転させようとする力として作用する。また、クリック突起54bに対して、横倒し位置への回転進行とは反対側に第2クリック突起47が位置しており、クリック突起54bに対する第2クリック突起47の当接によって、横倒し位置への操作レバー40の回転に対して軽い抵抗が作用する。従って、外部からの操作を行うまでの間(ユーザーが操作レバー40を操作しない間)、操作レバー40は引き起こし位置に安定して保持される。
引き起こし位置にある操作レバー40は、ロック解除用カム45の直線状部45aを上側凸部54の被押圧面54aに当接させて、下方への支持部材50の移動を規制する。つまり、支持部材50がロック解除用カム45及び上側凸部54を介して押し上げられた上方位置(第2の位置)に保持される。ロック板30は、軸挿通孔35へのスライド軸14の挿通によって、スライド軸14と同じ上下方向位置に保持される。そのため、支持部材50が上方位置にある状態では、ロック板30はロック板保持部52の奥側(下方)に深く入り込んだロック解除位置にあり、平板部31の下縁が下端壁59に近接して位置する。
ロック解除位置でのロック板30は、平板部31の裏側の面を、支持部材50の表面51aと支持面60aに対向させ、平板部31の表側の面を、支持部材50の規制タブ58と規制タブ61に対向させて、X軸方向の位置が定まる。表面51a及び支持面60aと、規制タブ58及び規制タブ61との間のX軸方向の間隔は、平板部31の厚みと略等しい。従って、ロック解除位置においてロック板30は、平板部31をX軸方向に対して略垂直な向きにして保持される(図8及び図12参照)。一対の規制タブ58、規制タブ61、表面51a、一対の支持面60aは、ロック板30をX軸方向に対して垂直な向きで支持する垂直支持部を構成する。ロック板30がロック解除位置にあるとき、一対の下縁屈曲部34は、Y軸方向で規制タブ61の両側に位置し、且つ上下方向で一対の規制タブ58の下方に離間して位置する(図10参照)。
上述したように、平板部31がX軸方向に対して略垂直な向きである状態では、軸挿通孔35が所定のクリアランスを空けてスライド軸14を挿通させており、スライド軸14に対するロック板30のX軸方向の移動が制限されない。つまり、ロック板30をロック解除位置に保持することで、スライド制御機構15がロック解除状態になる。ロック板30のロック解除位置は支持部材50によって維持され、支持部材50の上方位置は操作レバー40によって維持される。上述の通り、操作レバー40は外部から操作しない限り、引き起こし位置に維持される。従って、操作レバー40からユーザーが手を離した非操作状態で、スライド制御機構15のロック解除状態を維持させることができる。
ロック解除状態において支持部材50は、Y軸方向に離間する一対の規制タブ58と、Y軸方向で一対の規制タブ58の間に位置すると共に各規制タブ58よりも下方に位置する規制タブ61との、計3箇所によって、平板部31の表側の面を支持している。また支持部材50は、Y軸方向に離間する一対の支持面60aと、各支持面60aよりも上方に位置する表面51aとの、計3箇所によって、平板部31の裏側の面を支持している。この支持構造により、X軸方向に対するロック板30の角度(垂直な状態)を高精度に管理することができ、外部からの衝撃や振動が加わってもロック板30が傾いてしまうおそれがない。
また、ロック解除状態では、一対の規制タブ58が上下方向でスライド軸14に対応して位置し、且つ規制タブ61の上方にスライド軸14が近接して位置する(図6参照)。この状態で、各規制タブ58の端部と規制タブ61の端部がそれぞれ、スライド軸14に対して僅かなクリアランスを有して対向する。これにより、スライド軸14に対してロック板保持部52が大きく位置ずれしないように、位置精度を管理することができる。
スライド制御機構15をロック解除状態からロック状態に変更する際には、ユーザーが操作レバー40を引き起こし位置(図6)から横倒し位置(図5)に向けて回転させる。操作レバー40の当該回転操作は、アーム部43を把持して行うことができる。操作レバー40が引き起こし位置から回転する最初期段階で、第2クリック突起47がクリック突起54bを乗り越え、この乗り越え動作がユーザーにクリック感として感知される。
操作レバー40が横倒し位置に向けて回転すると、ロック解除用カム45の直線状部45aが上側凸部54から離れて、支持部材50を上方に押圧する状態が解除される。一方、ロック用カム44が下側凸部55に近づき、湾曲部44bが下側凸部55の被押圧面55aに当接した段階から、操作レバー40の回転に伴って支持部材50を下方に押圧する力が作用する。これにより支持部材50が下方へ移動する。
引き起こし位置から横倒し位置まで操作レバー40を約90度回転させると、ロック用カム44の直線状部44aが下側凸部55の被押圧面55aに当接する状態になり、支持部材50がロック用カム44及び下側凸部55を介して押し下げられた下方位置(第1の位置)に達する。操作レバー40が横倒し位置に達する直前で、第1クリック突起46がクリック突起54bを乗り越え、この乗り越え動作がユーザーにクリック感として感知される。支持部材50が下方位置にあるときにスライド軸14に対して干渉しないように、スライド軸14が進入可能な半円状の凹部が上方壁部63に形成されている(図13及び図14参照)。
ロック板30は、軸挿通孔35へのスライド軸14の挿通によって、スライド軸14に対する上下方向移動が制限されるので、上方位置から下方位置への支持部材50の移動には追随しない。ロック板保持部52は、ロック解除位置から上方へのロック板30の移動を許す上方開放構造になっている。そのため、支持部材50が下方位置に近づくと、ロック板30はロック板保持部52の収容空間Sから上方への離脱量を大きくする。支持部材50には、ロック板保持部52の上方にガイド突起56が設けられており、ロック板保持部52から上方に離脱するロック板30は、ガイド突起56に当接する。表面51aから突出する形状のガイド突起56が力点となって、ロック板30が傾動する(図7及び図11参照)。ガイド突起56は、X軸方向に対して垂直な向きから傾けてロック板30を支持する傾き支持部を構成する。
より詳しくは、ロック板30がロック板保持部52から上方に離脱するときに、平板部31と上縁屈曲部33の境界の屈曲部分が、ガイド突起56のテーパ面56aに当接する。テーパ面56aの傾斜によって、支持部材50が下方へ移動する力からロック板30をX軸方向の表側に押圧する分力が生じる。その結果、ロック板30は、上縁屈曲部33のある上端側を表側に移動させ、下縁屈曲部34のある下端側を裏側に移動させるように傾き角を変化させていく。そして、支持部材50が下方位置に達すると、ガイド突起56の最も突出した部分にロック板30の上端付近が乗り上げて、平板部31がX軸方向に対して所定量傾いたロック位置になる。
なお、図7、図8、図11、図12では、ロック板30における平板部31と上縁屈曲部33の境界の屈曲部分を、略直角な屈曲面として描いているが、実際には、金属板の曲げ加工などで上縁屈曲部33を形成する際に、当該屈曲部分は滑らかな円弧形状になる。この円弧形状の部分がガイド突起56(テーパ面56a)に当接するため、ロック板30は、途中で引っ掛かりを生じずにスムーズにロック位置へ移動することができる。
Y軸方向に位置を異ならせて複数(4つ)のガイド突起56を備えることで、ロック板30を偏りなく確実にロック位置まで傾かせることができると共に、ロック位置に達したロック板30を安定して保持することができる。
上述したように、ロック位置へのロック板30の傾動の結果、X軸方向に沿って見た軸挿通孔35の投影面積が減少すると、軸挿通孔35の内縁がスライド軸14の外周面を押圧して楔効果を生じる。より詳しくは、軸挿通孔35の内縁のうち、図7に表れている上側部分と下側部分とで、スライド軸14を締め付ける状態になる。これにより、スライド軸14に対するロック板30のX軸方向の移動が制限されてロック状態になる。
ロック板30がスライド軸14に対して所定の角度で傾斜していれば、ロック状態が維持される。そのため、ロック位置よりもさらに傾斜角を大きくさせるようにロック板30を押し込み続ける必要はなく、ロック板30がロック解除位置に向けて戻らないようにガイド突起56によって支えるのみでよい。ロック位置でのX軸方向に対するロック板30の最適な角度は、スライド軸14やスライド制御機構15における構成部品の寸法や材質などによって異なる。一例として、本実施形態では、ロック解除位置からロック位置へのロック板30の傾斜角を5°程度に設定している。
図9に示すように、ロック位置におけるロック板30は、一対の側面32が一対の対向面57aに当接してY軸方向への移動が制限される。また、ロック位置におけるロック板30は、軸挿通孔35の内縁がスライド軸14の外周面に押し付けられる(ロック状態にある)ことで、X軸方向と上下方向への移動が制限される。従って、X軸方向、Y軸方向、上下方向のそれぞれで、支持部材50に対するロック板30の位置が安定し、ロック板保持部52の収容空間Sからロック板30が脱落することなく保持される。なお、スライド軸14に対してロック板30を確実にロック状態にさせるために、ロック板30がロック位置にあるときには、支持部材50は、ガイド突起56以外の箇所ではロック板30のX軸方向の位置を規制しない。例えば、図11に示すように、ロック位置にあるときのロック板30の平板部31は、支持部材50における板状部51の表面51a、規制タブ58、支持ブロック60の支持面60a、規制タブ61のいずれにも当接していない。また、図9及び図11に示すように、ロック板30のロック位置では、一対の下縁屈曲部34は一対の規制タブ58に当接しておらず、支持部材50は上下方向でのロック板30の位置を規制していない。
操作レバー40の横倒し位置では、アーム部43の重さが、引き起こし位置ではなくその反対方向(図5の時計方向)に操作レバー40を回転させようとする力として作用する。また、クリック突起54bに対して、引き起こし位置への回転進行とは反対側に第1クリック突起46が位置しており、クリック突起54bに対する第1クリック突起46の当接によって、引き起こし位置への操作レバー40の回転に対して軽い抵抗が作用する。従って、外部からの操作を行うまでの間(ユーザーが操作レバー40を操作しない間)、操作レバー40は横倒し位置に安定して保持され、操作レバー40からユーザーが手を離した非操作状態で、スライド制御機構15のロック状態を維持させることができる。
ロック位置にあるロック板30は、上端側をX軸方向の表側に向け、下端側をX軸方向の裏側に向けて傾いている。ここで、サイドフェンス13をX軸方向の表側(図7の左方向)に向けて移動させようとすると、支持部材50に設けたガイド突起56がロック板30の上端側をさらに表側へ押圧する力が加わり、軸挿通孔35の内縁がスライド軸14に対してより一層食い込もうとする(楔効果が強まる)。つまり、スライド制御機構15によるロック力を強める作用が生じるので、ロック状態でのX軸方向の表側(給紙台11の側縁方向)へ向けてのサイドフェンス13の移動は、確実に規制される。
逆に、サイドフェンス13をX軸方向の裏側(図7の右方向)に向けて移動させようとすると、支持部材50に設けたガイド突起56がロック板30の上端側から離れようとする動作になる。すると、ガイド突起56がX軸方向で退避する分だけ、ロック板30が傾き角を小さくする(ロック位置からロック解除位置に向けて角度を変える)ことが可能になり、ロック板30の傾き角の変化によって、軸挿通孔35の内縁によるスライド軸14の締め付け(楔効果)が僅かに緩くなる。これにより、スライド制御機構15によるロック力が弱まるハーフロック状態になり、操作レバー40によるロック解除操作を行わずに、X軸方向の裏側(給紙台11の幅中央方向)に向けてのサイドフェンス13の位置調整を行うことが可能になる。
従って、積載予定の用紙の幅よりも一対のサイドフェンス13の間隔が大きくなるように仮決めしておき、給紙台11に用紙を載置してから、操作レバー40を操作せずにハーフロック状態で一対のサイドフェンス13の間隔を狭くさせて用紙幅にフィットさせる、という使い方が可能である。
なお、本実施形態とは逆に、サイドフェンス13をX軸方向の表側(給紙台11の側縁方向)に向けて移動させようとするとロック力が弱まり、サイドフェンス13をX軸方向の裏側(給紙台11の幅中央方向)に向けて移動させようとするとロック力が強まるように構成してもよい。ロック状態でのロック板30の傾斜方向を本実施形態とは逆にすれば、当該構成を実現できる。
また、本実施形態とは異なり、サイドフェンス13をX軸方向の表側と裏側のいずれに移動させようとしても、ハーフロックの状態にはならないように、スライド制御機構15のロック力を設定することも可能である。
スライド制御機構15をロック状態からロック解除状態に変更する際には、ユーザーが操作レバー40を横倒し位置(図5)から引き起こし位置(図6)に向けて回転させる。操作レバー40の当該回転操作は、アーム部43を把持して行うことができる。操作レバー40が横倒し位置から回転する最初期段階で、第1クリック突起46がクリック突起54bを乗り越え、この乗り越え動作がユーザーにクリック感として感知される。
操作レバー40が引き起こし位置に向けて回転すると、ロック用カム44の直線状部44aが下側凸部55から離れて、支持部材50を下方に押圧する状態が解除される。一方、ロック解除用カム45が上側凸部54に近づき、湾曲部45bが上側凸部54の被押圧面54aに当接した段階から、操作レバー40の回転に伴って支持部材50を上方に押圧する力が作用する。これにより支持部材50が上方へ移動する。
横倒し位置から引き起こし位置まで操作レバー40を約90度回転させると、ロック解除用カム45の直線状部45aが上側凸部54の被押圧面54aに当接する状態になり、支持部材50がロック解除用カム45及び上側凸部54を介して押し上げられた上方位置に達する。操作レバー40が横倒し位置に達する直前で、第2クリック突起47がクリック突起54bを乗り越え、この乗り越え動作がユーザーにクリック感として感知される。
ロック板30は、軸挿通孔35へのスライド軸14の挿通によって、スライド軸14に対する上下方向移動が制限されるので、下方位置から上方位置への支持部材50の移動には追随しない。支持部材50が上方位置に向けて進むと、ガイド突起56がロック板30から離れて上方に移動する。ロック板30は、テーパ面56aに沿って姿勢を変化させ、平板部31の上端付近が表面51aに接近する方向に傾動しながら、ロック板保持部52の収容空間S内への進入量を大きくする。上方壁部63に形成した逃げ面63aは、ロック板30の当該動作を妨げない逃げ部として機能する。
ロック板30がロック板保持部52の収容空間Sに進入するときに、平板部31と下縁屈曲部34の境界の屈曲部分が、支持ブロック60のテーパ面60bに当接する。すると、テーパ面60bの傾斜によって、支持部材50が上方に移動する力から、ロック板30の下端部分をX軸方向の表側に押圧する分力が生じる。その結果、ロック板30の角度が、図7及び図11に示すロック位置での角度から、図8及び図12に示すロック解除位置の角度(X軸方向に対して垂直な向き)に向けて変化する。
なお、図7及び図11では、ロック板30における平板部31と下縁屈曲部34の境界の屈曲部分を、略直角な屈曲面として描いているが、実際には、金属板の曲げ加工などで下縁屈曲部34を形成する際に、当該屈曲部分は滑らかな円弧形状になる。この円弧形状の部分が支持ブロック60のテーパ面60bに当接するため、ロック板30は、途中で引っ掛かりを生じずにスムーズにロック解除位置へ移動することができる。
支持部材50が上方位置まで達すると、ロック板30は平板部31がX軸方向に対して略垂直となるロック解除位置になる。これにより、軸挿通孔35の内縁によるスライド軸14の外周面に対する押圧が解除されて、上述した楔効果のないロック解除状態になる。
以上のように、本実施形態の給紙装置10では、スライダ部材20を介してサイドフェンス13に取り付けられる支持部材50を、スライド軸14の軸方向(X軸方向)に対して垂直なロック制御方向(上下方向)に移動可能としている。そして、ロック制御方向での支持部材50の位置変化によって、支持部材50の支持するロック板30が、スライド軸14の軸方向(X軸方向)に対する角度を変化させる。支持部材50の第1の位置(下方位置)では、ロック板30の軸挿通孔35の内縁がスライド軸14を押圧してサイドフェンス13の移動を規制するロック状態になる。支持部材50の第2の位置(上方位置)では、ロック板30の軸挿通孔35の内縁によるスライド軸14の押圧を解除してサイドフェンス13が移動可能になる。
この構成では、ロック制御方向(上下方向)で支持部材50を第1の位置(下方位置)と第2の位置(上方位置)に移動させることで、ロック状態とロック解除状態が切り替わり、ロック板30や支持部材50を一方向に付勢する付勢手段を要さないので、部品点数が少なく簡単な構成のスライド制御機構15にすることができる。また、付勢手段の付勢力に抗しながらロック板30を角度変化させるような操作の必要がなく、操作レバー40を引き起こし位置と横倒し位置に操作することで、支持部材50が第1の位置(下方位置)と第2の位置(上方位置)に択一的に保持されるので、操作レバー40から手を離しても、ロック状態とロック解除状態をそれぞれ維持させることができる。また、操作レバー40の操作力を大きくすることなく、ロック力を大きくすることができる。従って、簡単な構成でサイドフェンス13のスライド操作性に優れる給紙装置10を得ることができる。
支持部材50が第2の位置(上方位置)にあるときには、一対の規制タブ58、規制タブ61、表面51a、一対の支持面60aで構成される垂直支持部によって、スライド軸14の軸方向(X軸方向)に対して垂直な向きにロック板30を支持する。そして、支持部材50が第1の位置(下方位置)に移動する際に、傾き支持部を構成するガイド突起56によってロック板30を押圧して、当該垂直な向きからロック板30を傾ける。
ロック板30がスライド軸14の軸方向に対して垂直に向く状態で、スライド軸14の軸方向に沿って見た軸挿通孔35の投影面積が最も大きくなる。つまり、軸挿通孔35の開口面積を最も有効に用いるロック板30の姿勢(角度)をロック解除状態としているので、軸挿通孔35の内径とスライド軸14の外径との寸法差(クリアランス)を最小限に設定することができる。そして、ロック解除状態での軸挿通孔35とスライド軸14の間のクリアランスが最小限であるため、ロック板30の少ない傾き量でロック状態にさせることができる。これにより、少ない操作量で効率的にロック状態とロック解除状態の切り替えを実現できると共に、スライド制御機構15を小型軽量な構成にしてコストダウンを図ることができる。
支持部材50は、Y軸方向及び上下方向の位置が異なる複数の当接箇所(X軸方向の表側で3箇所、裏側で3箇所)で垂直支持部を構成しているので、ロック板30を高精度にロック解除位置に保持することができる。また、ロック解除位置からロック位置へのロック板30の傾動は、ガイド突起56との当接によって行われる。板状部51の表面51a上でのガイド突起56の形成位置、表面51aからのガイド突起56の突出量、ガイド突起56のテーパ面56aの角度や長さ、などの設定によって、ロック板30の傾動を容易に制御及び調整できる。
さらに、ロック板30をロック位置にさせる下方位置からロック板30をロック解除位置にさせる上方位置までの支持部材50の移動範囲で、スライド軸14の軸線を中心とする支持部材50とロック板30の相対回転を規制する回転規制部として、ロック板30の一対の側面32と支持部材50の一対の側壁部57を備えている。これにより、支持部材50がロック制御方向(上下方向)に移動する際に、支持部材50の横幅方向(Y軸方向)でのロック板30の傾きや位置ずれを防いで、ロック板30を確実にロック位置とロック解除位置に動作させることができる。
支持部材50の位置を変化させる操作部材として、スライド軸14と平行に延びる支持軸25を中心として回転可能な操作レバー40を用いている。操作レバー40は、ロック用の回転位置である横倒し位置において、支持部材50に設けた第1の被押圧部である下側凸部55をロック用カム44によって押圧し、ロック解除用の回転位置である引き起こし位置において、支持部材50に設けた第2の被押圧部である上側凸部54をロック解除用カム45によって押圧する。
操作レバー40は支持軸25の軸支による簡単且つ省スペースな構造で支持されるので、スライド制御機構15の小型軽量化や低コスト化に寄与する。また、操作レバー40の操作力を支持部材50に伝達する機構(ロック用カム44、ロック解除用カム45、上側凸部54、下側凸部55)は、操作レバー40や支持部材50からX軸方向に突出するシンプルな形状で構成されているため、容易に成形可能であり、強度も確保しやすい。また、上側凸部54と下側凸部55は、支持部材50が移動するロック制御方向に並ぶ配置であり、支持部材50を横幅方向(Y軸方向)に大型化させることなく、操作レバー40からの操作力を効率良く確実に支持部材50に伝達することができる。
操作レバー40は、バネなどの付勢力によらずに引き起こし位置と横倒し位置に保持される。また、クリック機構(第1クリック突起46、第2クリック突起47、クリック突起54b)によって、引き起こし位置と横倒し位置で操作レバー40に回転抵抗を与えると共に、引き起こし位置と横倒し位置への操作レバー40の到達を感知できるようにしている。従って、煩雑な操作を要さずに操作レバー40を引き起こし位置と横倒し位置で適正に停止させることができ、操作性に優れている。
支持軸25は、操作レバー40を軸支する機能に加えて、支持部材50に設けた長孔であるガイド孔53に挿入されて、支持部材50をロック制御方向に移動可能に案内する機能を有している。このように支持軸25が複数の機能を兼ねることで、スライド制御機構15における部品点数の削減、構造の簡略化、低コスト化を実現できる。
なお、操作レバー40とは異なる形態の操作部材を用いることも可能である。例えば、図15に示す変形例の操作部材70は、支持部材50の移動方向と平行である上下方向に移動する直線移動部材として構成されている。
操作部材70には、支持部材50のガイド孔53と重なる形状の長孔であるガイド孔71が形成されている。スライダ部材20の立壁部22に設けた支持軸25は、ガイド孔53を貫通して、さらにガイド孔71にも挿通されている。支持軸25とガイド孔71の関係によって、操作部材70が上下方向へ移動可能に支持されている。
操作部材70にはさらに、位置保持孔72が形成されている。位置保持孔72は、上方に位置する第1収容部73と、下方に位置する第2収容部74と、第1収容部73と第2収容部74の間に位置する幅狭部75と、を有している。第1収容部73と第2収容部74は、幅狭部75に接続する部分が開放された円形状の孔部である。幅狭部75は、第1収容部73及び第2収容部74よりもY軸方向の幅を狭くしている。
スライダ部材20の立壁部22には、X軸方向の表側に突出して位置保持孔72に挿入される位置保持突起76が設けられている。位置保持突起76は円筒状の外周面を有する突起であり、第1収容部73と第2収容部74のそれぞれの内径は、位置保持突起76の外径と略等しい。幅狭部75の内径(Y軸方向の幅)は、位置保持突起76の外径よりも小さい。
操作部材70はY軸方向に突出する把持部77を備え、ユーザーが把持部77を持って操作部材70を上下方向に移動させることができる。操作部材70を上下に移動させると、位置保持突起76が幅狭部75を通過する際に抵抗を受ける。幅狭部75による抵抗に抗して操作部材70を下方に移動させると、位置保持突起76が第1収容部73に嵌合して、上方への移動が幅狭部75によって制限される(図15に示す状態)。幅狭部75による抵抗に抗して操作部材70を上方に移動させると、位置保持突起76が第2収容部74に嵌合して、下方への移動が幅狭部75によって制限される。
位置保持突起76が位置保持孔72の第1収容部73に嵌合する操作部材70の下方位置(図15)で、操作部材70に設けたロック用押圧部78が下側凸部55の被押圧面55aを下方へ押圧して、支持部材50が下方位置(第1の位置)に保持される。つまり、ロック板30がロック位置になり、スライド制御機構15がロック状態となる。
位置保持突起76が位置保持孔72の第2収容部74に嵌合する操作部材70の上方位置で、操作部材70に設けたロック解除用押圧部79が上側凸部54の被押圧面54aを上方へ押圧して、支持部材50が上方位置(第2の位置)に保持される。つまり、ロック板30がロック解除位置になり、スライド制御機構15がロック解除状態となる。
このように、回転する操作レバー40とは異なる形態の操作部材70を用いて支持部材50の移動を行わせることが可能である。さらに、位置保持孔72と位置保持突起76のような位置保持用の構成を、スライダ部材20(立壁部22)と支持部材50の一方と他方に設けることによって、操作部材70のような中間部材を介さずに、支持部材50を上方位置と下方位置で択一的に保持させることができる。この場合、操作部材70における把持部77のような操作部分を支持部材50に設けて、ユーザーが支持部材50を直接的に操作して上方位置と下方位置に移動させるとよい。
上記実施形態のスライド軸14は円筒状の外周面を有しているが、本発明は、円筒以外の外面形状のスライド軸を備えたシート支持装置にも適用が可能である。ロック部材の角度変化に応じて、軸挿通孔の内縁がスライド軸の外面を押圧する状態と押圧しない状態に切り替わるという要件を満たすものであればよい。例えば、角筒状の外面形状を有するスライド軸などを用いることもできる。
上記実施形態では、支持部材50が移動するロック制御方向を、給紙台11の天板12に対して略垂直な上下方向としている。天板12上に立設されるサイドフェンス13の高さ方向に沿って支持部材50を移動させることで、給紙台11からの支持部材50の突出を抑えて給紙装置10の大型化を防ぐ効果が得られる。しかし、本発明における支持部材の移動方向(ロック制御方向)はこれに限定されるものではなく、スライド軸の軸方向に対して垂直な方向であるという要件を満たしていればよい。例えば、上記実施形態におけるY軸方向をロック制御方向に設定することも可能である。
以上、添付図面に基づく実施の形態及び変形例によって本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態や変形例には限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や応用を行うことが可能である。上述の実施の形態において、添付図面に図示されている構成や制御等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
スライド軸に沿って移動可能でシートの幅方向端部の位置を規制するサイドフェンスを備えたシート支持装置であって、
前記スライド軸を挿通させる軸挿通孔を有するロック部材と、
前記サイドフェンスに取り付けられて前記ロック部材を支持し、前記スライド軸の軸方向に対して垂直なロック制御方向における第1の位置と第2の位置に択一的に保持されて前記スライド軸の軸方向に対する前記ロック部材の角度を変化させる支持部材と、を備え、
前記支持部材の前記第1の位置で、前記軸挿通孔の内縁が前記スライド軸を押圧して前記スライド軸に沿う前記サイドフェンスの移動を規制し、
前記支持部材の前記第2の位置で、前記軸挿通孔の内縁による前記スライド軸の押圧を解除して前記スライド軸に沿って前記サイドフェンスが移動可能になることを特徴とするシート支持装置。
[付記2]
前記支持部材は、前記第2の位置で、前記ロック部材を前記スライド軸の軸方向に対して垂直な向きで支持する垂直支持部と、前記第1の位置で、前記ロック部材を前記垂直な向きから傾けて支持する傾き支持部と、を備えていることを特徴とする付記1記載のシート支持装置。
[付記3]
前記第1の位置から前記第2の位置までの前記支持部材の移動範囲で、前記スライド軸の軸線を中心とする前記支持部材と前記ロック部材の相対回転を規制する回転規制部を備えることを特徴とする付記1又は2記載のシート支持装置。
[付記4]
前記支持部材は、前記ロック制御方向に位置を異ならせて第1の被押圧部と第2の被押圧部を備え、
前記スライド軸と平行に延びる支持軸を中心として回転可能な操作部材を備え、前記操作部材のロック用の回転位置で前記第1の被押圧部を押圧して前記支持部材を前記第1の位置に保持し、ロック解除用の回転位置で前記第2の被押圧部を押圧して前記支持部材を前記第2の位置に保持することを特徴とする付記1から3のいずれかに記載のシート支持装置。
[付記5]
前記支持部材は前記支持軸を挿入する長孔を有し、前記支持軸と前記長孔によって前記支持部材が前記ロック制御方向に移動可能に支持されることを特徴とする付記4記載のシート支持装置。