JP2796557B2 - ビスフェノールaの製造方法及びビスフェノールaを含むフェノール溶液の晶析生成物から分離された母液の処理方法 - Google Patents
ビスフェノールaの製造方法及びビスフェノールaを含むフェノール溶液の晶析生成物から分離された母液の処理方法Info
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Description
造方法及びビスフェノールAを含むフェノール溶液の晶
析生成物から分離された母液の処理方法に関するもので
ある。
−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン〕を製造
するために、酸触媒の存在下、過剰のフェノールにアセ
トンを反応させることは知られている。また、この反応
生成物から高純度ビスフェノールAを分離回収するため
に、反応生成物を晶析してビスフェノールAとフェノー
ルとの結晶アダクト(以下、単に結晶アダクトとも言
う)を析出させ、得られた結晶アダクトからフェノール
を除去することも知られている(特公昭36−2333
5号、特公昭52−42790号)。さらに、前記晶析
工程で得られた結晶アダクトを分離した後の母液(フェ
ノール溶液)を反応工程へ循環使用することも知られて
いる。
ール溶液の晶析生成物から分離された母液には、多量の
フェノール及びビスフェノールAの他、少量のビスフェ
ノールAの異性体である2−(2′−ヒドロキシフェニ
ル)−2−(4′−ヒドロキシフェニル)−プロパン
(以下、単に2,4′−ビスフェノールAと言う)等の
ビスフェノール化合物、トリスフェノール、高分子量の
ポリフェノール化合物、クロマン化合物等の副生物を含
み、さらに、極く少量の着色不純物や着色性不純物が含
まれている。そして、この母液は、その着色した不純物
や着色しやすい不純物を含むため、加熱により高い着色
濃度を与える着色した液体となっている。このような母
液は、ビスフェノールAの反応原料となるフェノールや
目的物であるビスフェノールAを含むことから反応系に
循環して再使用されるが、そのまま循環すると、前記副
生物や、着色不純物及び着色性不純物の蓄積が起ること
から、それらの副生物や不純物の除去を行うことが必要
となる。このため、母液を反応系に循環使用するに際
し、母液の少なくとも一部を酸型陽イオン交換樹脂から
なる吸着剤と接触させて着色物を吸着除去し、その後反
応系に循環する方法(特公昭55−34779号)が知
られている。しかし、この方法では、母液中の不純物の
一部が吸着除去されるだけであるので、循環母液中には
依然として相当量の副生物や不純物が残存し、その蓄積
を防止することはできない。
フェノールとアセトンを反応させて得られる反応生成物
を第1晶析し、得られた第1晶析生成物から第1結晶ア
ダクトと第1母液を得、第1結晶アダクトからフェノー
ルを除去してビスフェノールAを得る一連の主工程と、
前記第1母液にイソプロペニルフェノールとフェノール
を混合し、酸触媒の存在下で反応させて得られる反応生
成物を第2晶析し、得られた第2晶析生成物から第2結
晶アダクトと第2母液を得、第2結晶アダクトはこれを
前記第1晶析工程へ循環し、一方、第2母液は、これを
塩基性触媒の存在下で反応処理してイソプロペニルフェ
ノールとフェノールを含む反応生成物となした後、前記
イソプロペニルフェノール及びフェノールとして循環使
用する一連の副工程とからなるビスフェノールAの製造
方法が提案されている。この方法は、副工程を用い、フ
ェノールとアセトンとの反応生成物を晶析して得られる
母液をフェノールとアセトンとの反応系に循環しないた
め、反応系に副生物や不純物の蓄積が起こらないという
利点はあるが、副工程においては、ポリフェノール以外
の副生物や不純物の蓄積が起るため、副工程で得られる
第2結晶アダクトの純度が悪いものとなる。また、第2
結晶アダクトの純度を高めようとすると、副工程からの
第2母液の一部を系外へ排出させる必要があるが、この
場合には、その母液には、ビスフェノールAや、フェノ
ール、ポリフェノールが含まれているため、それら有用
成分の損失が起こるという問題がある。
ける副生物や不純物の蓄積を効果的に防止し、高純度の
ビスフェノールAをフェノールとの結晶アダクトとして
取得するビスフェノールAの製造方法を提供するととも
に、ビスフェノールAを含むフェノール溶液の晶析生成
物から分離された母液から、それに含まれる副生物や不
純物を効率よく除去するための母液の処理方法を提供す
ることをその課題とする。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、アセトンと過剰量の
フェノールとを酸触媒の存在下で反応させてビスフェノ
ールAを生成させる反応工程、該反応工程から得られた
反応生成物を、アセトンと、水と、フェノールと、ビス
フェノールAを含むフェノール溶液とに分離する分離工
程、該ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビス
フェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させ
る晶析工程、該晶析工程で得られた晶析生成物から結晶
アダクトと母液を分離する晶析生成物分離工程及び該晶
析生成物分離工程で得られた母液を前記反応工程へ循環
させる循環工程からなるビスフェノールAの製造方法に
おいて、(i)該循環母液の少なくとも一部を蒸留塔に
導入し、該蒸留塔に導入した母液の50〜90重量%を
留出させてフェノールを含む留出液を得る蒸留工程、
(ii)該蒸留工程(i)で得られた蒸留塔の塔底液を、
塩基性触媒の存在下で200〜350℃に加熱する加熱
工程、(iii)該加熱工程(ii)で得られた生成物を減圧
蒸発して、フェノール及びイソプロペニルフェノールを
含む留出蒸気を得る減圧回収工程、(iv)該減圧回収工
程(iii)で得られた留出蒸気を、蒸留工程(i)で得ら
れた留出液と接触させて急冷する急冷工程、(v)該急
冷工程(iv)で得られた急冷物を反応工程に循環する循環
工程、を包含することを特徴とするビスフェノールAの
製造方法が提供される。
を含むフェノール溶液の晶析生成物から分離された母液
を処理するに際し、(i)該母液の少なくとも一部を蒸
留塔に導入し、該蒸留塔に導入した母液の50〜90重
量%を留出させてフェノールを含む留出液を得る蒸留工
程、(ii)該蒸留工程(i)で得られた蒸留塔の塔底液
を、塩基性触媒の存在下で200〜350℃に加熱する
加熱工程、(iii)該加熱工程(ii)で得られた生成物を
減圧蒸発して、フェノール及びイソプロペニルフェノー
ルを含む留出蒸気を得る減圧回収工程、(iv)該減圧回
収工程(iii)で得られた留出蒸気を、蒸留工程(i)で得ら
れた留出液と接触させて急冷する急冷工程、を包含する
ことを特徴とするビスフェノールAを含むフェノール溶
液の晶析生成物から分離された母液の処理方法が提供さ
れる。
る。図1は、本発明によりビスフェノールAを製造する
ための工程図である。図1において、1は反応工程、2
は分離工程、3は晶析工程、4は晶析生成物分離工程、
5は蒸留工程、6は加熱工程、7は減圧回収工程、8は
強酸型イオン交換樹脂処理工程を各示す。
アセトンと過剰量のフェノールとの反応が行われ、これ
によりビスフェノールAが生成される。酸触媒として
は、塩酸や硫酸等の鉱酸や、スルホン酸基を有する強酸
型イオン交換樹脂が用いられるが、強酸型イオン交換樹
脂の使用が好ましい。フェノールの使用量は、アセトン
1モルに対して8〜20モル、好ましくは10〜18モ
ルの割合である。反応温度は、50〜90℃である。こ
の反応工程1で得られた反応生成物は、目的物であるビ
スフェノールAの他、ビスフェノールAの異性体である
2,4′−ビスフェノールA等のビスフェノール化合
物、トリスフェノール化合物、高分子量のポリフエノー
ル化合物、クロマン化合物及び水等の副生物を含み、さ
らに着色不純物や着色性不純物を含む。この反応生成物
の代表的組成を示すと、未反応フェノール:60〜90
wt%、好ましくは70〜80wt%、未反応アセト
ン:0.1〜2wt%、好ましくは0.5〜1.5wt
%、ビスフェノールA:15〜30wt%、好ましくは
18〜25wt%、水:0.1〜2wt%、好ましくは
0.5〜1.5wt%、副生ポリフェノール化合物:2
〜15wt%、好ましくは5〜10wt%である。この
反応生成物は、ライン11を通って分離工程2へ導入さ
れる。
生成物を分離処理して、主に、アセトン、水、フェノー
ル及びビスフェノールAを含むフェノール溶液にそれぞ
れ分離する工程である。この分離工程2で分離されたア
セトンはライン12を通って反応工程1に循環され、水
はライン13を通って排出され、フェノールはライン1
4を通って洗浄用フェノールとして晶析生成物分離工程
4に導入され、ビスフェノールAを含むフェノール溶液
はライン15を通って晶析工程3に導入される。分離工
程2は、通常、複数の蒸留塔を含む蒸留処理工程から構
成され、反応生成物を前記した特定成分に分離し得るよ
うに構成されたものであれば任意の分離工程を採用する
ことができる。図2に、本発明の分離工程2として好ま
しく採用される反応生成物の蒸留処理系統図を示す。図
2において、31は第1蒸留塔、32は第2蒸留塔、3
3は第3蒸留塔、34は第4蒸留塔、35は強酸型イオ
ン交換樹脂処理装置、36,37は静置槽を示す。
工程1で得られた反応生成物は、ライン38を通して、
第1蒸留処理工程を構成する第1蒸留塔31に導入さ
れ、この第1蒸留塔31において、未反応フェノール、
ビスフェノールA及び副生物を含む塔底物(I)と、未反
応フェノール、未反応アセトン及び水を含む塔頂物(I)
とに分離される。
示すと、フェノール:60〜90wt%、好ましくは8
0〜90wt%、アセトン:2〜20wt%、好ましく
は5〜10wt%、水:5〜20wt%、好ましくは5
〜10wt%である。一方、第1蒸留塔からの塔底物
(I)の成分組成を示すと、フェノール:50〜80wt
%、好ましくは65〜75wt%、ビスフェノールA:
18〜30wt%、好ましくは20〜25wt%、副生
物:5〜20wt%、好ましくは5〜10wt%であ
る。
イン40を通って第2蒸留処理工程を構成する第2蒸留
塔32に導入され、一方、前記第1蒸留塔31で得られ
た塔底物(I)(ビスフェノールAを含むフェノール溶
液)は、ライン39を通って抜出され、晶析用原料とし
て、図1のライン15を通って晶析工程3に送られる。
存在下で蒸留処理が行われ、アセトン、水及び共沸剤か
らなる塔頂物(II)が得られる。この塔頂物(II)の成
分組成は、アセトン:2〜20wt%、好ましくは5〜
20wt%、水:10〜30wt%、好ましくは15〜
25wt%であり、共沸剤:40〜80wt%、好まし
くは50〜70wt%である。塔底からは、塔底物(II)
としてフェノールが得られる。第2蒸留塔32の塔底物
(II)中のアセトンの含有量は5wt%以下、好ましく
はゼロ%である。共沸剤は、第2蒸留塔の運転条件を調
節して、第2蒸留塔の塔底物中に少量、特に5重量%以
下、好ましくは1重量%以下の割合で存在させるのが好
ましい。これにより、塔頂物へのフェノール混入量を低
減させることができる。
は、ライン42を通って静置工程を構成する静置槽36
に導入され、ここでアセトンと共沸剤からなる油性成分
と、アセトンと水からなる水性成分とに分離される。こ
の静置槽36で分離された油性成分はライン44を通っ
て及び水性成分はライン45を通ってそれぞれ第3蒸留
塔33に導入される。第2蒸留塔32の塔頂物(II)を静
置槽36により油性成分と水性成分とに分離することに
より、その塔頂物(II)を第3蒸留工程へ安定的に供給で
きる。しかし、この静置槽36の設置は必ずしも必要と
されず、塔頂物(II)は、ライン42を通して直接第3
蒸留塔へ供給することも可能である。一方、第2蒸留塔
32からのフェノールからなる塔底物(II)は、ライン
41を通って、必要に応じ、強酸型イオン交換樹脂処理
装置35を介して第4蒸留処理工程を構成する第4蒸留
塔34に導入される。
40℃、好ましくは100〜140℃の炭化水素油が用
いられる。共沸剤の具体例としては、トルエン、エチル
ベンゼン、キシレン等が挙げられる。この共沸剤は、前
記したように、第2蒸留塔32の運転開始に際しては、
ライン43より第32蒸留塔2と第3蒸留塔33を循環
するための必要量を系外より塔内に供給され、運転開始
後においては、静置槽37で分離された後、ライン43
を通って第2蒸留塔32に返還される。
3においては、塔頂物(III)としてアセトンが得ら
れ、このものはライン46を通って抜出され、図1に示
したライン12を通って反応工程1に循環される。この
循環アセトン中の水含有量は5wt%以下、好ましくは
3wt%以下である。一方、第3蒸留塔33の塔底から
は、水と共沸剤からなる塔底物(III)が得られるが、
このものは、ライン47を通って静置工程を構成する静
置槽37に導入され、ここで共沸剤と水とに分離され
る。共沸剤はライン43を通って第2蒸留塔32に循環
される。一方、水はライン48を通って排出される。こ
の排水中に含まれるアセトン含有量は5wt%以下、好
ましくはゼロ%である。
ては、その強酸型イオン交換樹脂が触媒となって、塔底
物(II)(フェノール)中に含まれる着色不純物や、着色不
純物前駆体等の縮合性不純物が縮合反応して、タール状
高沸点物に変換される。この場合、縮合性不純物として
は、ベンゾフラン等が挙げられる。強酸型イオン交換樹
脂としては、スルホン基を有するゲル型のものが用いら
れ、このような強酸型イオン交換樹脂は、従来良く知ら
れているものである。例えば、ロームアンドハース社か
ら入手し得るアンバーライト及びアンバーリストや、三
菱化成社から入手し得るダイヤイオン等を好ましく用い
ることができる。この強酸型イオン交換樹脂を用いる塔
底物(II)の処理は、塔底物(II)を強酸型イオン交換樹脂
を含む充填塔に流通させる方法や、強酸型イオン交換樹
脂を入れた撹拌槽に塔底物(II)を入れて撹拌する方法等
により実施することができる。処理温度は45〜15
0、好ましくは50〜100℃である。強酸型イオン交
換樹脂と塔底物(II)との接触時間は、5〜200分、好
ましくは15〜60分程度である。この強酸型イオン交
換樹脂を用いて塔底物(II)の処理を行う場合、塔底物
(II)中に水分が混入すると、強酸型イオン交換樹脂によ
る不純物除去効果が低下する。この蒸留処理法において
は、前記のように、第2蒸留塔32においては、水が塔
頂物成分としてほぼ完全に分離され、塔底物(II)として
得られるフェノール中には水は実質上含まれてこないこ
とから、その塔底物(II)の強酸型イオン交換樹脂処理は
円滑に実施される。
必要に応じ、未精製フェノールをライン49を通して、
ライン41を通る塔底物(II)と混合して導入することが
できる。未精製フェノールには、工業用フェノールや、
晶析工程で得られた母液フェノール及び洗浄廃液フェノ
ール等が挙げられる。
れる処理生成物はライン50を通って第4蒸留塔34に
導入され、ここでフェノールからなる塔頂物(IV)と、
タール状高沸点物質からなる塔底物(IV)に分離され
る。この蒸留塔の運転条件はフェノールと高沸点物質と
が完全に分離できる条件であることが必要であり、フェ
ノール中に高沸点物質が混入しない条件で行う必要があ
る。この場合の留意すべきポイントは、蒸留処理温度を
190℃以下にすることである。190℃以下の温度で
あれば運転圧力は任意に設定されるが、通常50Tor
r〜760Torrの減圧ないし常圧が採用される。運
転温度が190℃をこえると高沸点物質等の分解が著し
くなり、留出フェノールの品質を低下させるので好まし
くない。この第4蒸留塔34においては、導入されるフ
ェノールの95重量%以上、好ましくは99重量%以上
が留出される。第4蒸留塔34の塔頂から得られるフェ
ノールは色相の良好なもので、その色相APHAは、1
0以下である。この精製フェノールは、ライン52を通
して抜出され、少なくともその一部は、図1に示したラ
イン14を通して晶析生成物分離工程4に導入され、高
純度ビスフェノールAを得るための結晶アダクトの洗浄
液として使用される。また、この精製フェノールは、必
要に応じ反応工程1に循環使用することもできる。第4
蒸留塔34の底部からライン51を通って抜出される塔
底物(IV)は、通常、フェノール:10〜90重量%
と、高沸点物質:10〜60重量%を含む混合物からな
る。この塔底物(IV)の量は少量であるため、そのまま
系外へ排出させることができる。
ば、第2蒸留塔32における蒸留は、共沸剤の存在下で
行われていることから、水及びアセトンの実質的全量を
塔頂物(II)として分離することができる。そしてこの
塔頂物(II)は第3蒸留塔33で水とアセトンとにほぼ
完全に分離させることができる。即ち、第3蒸留塔33
に供給されるアセトンの実質的全量を第3蒸留塔の塔頂
物(III)として分離することができ、第3蒸留塔33
の塔底物(III)には、実質上アセトンの混入はない。
この結果、静置槽37から抜出される排水にはアセトン
の混入がなく、その排水からアセトンを除去するような
面倒な廃水処理の問題は解消される。また、第3蒸留塔
33から塔頂物(III)として分離されるアセトン中に
も水は殆ど混入されないことから、アセトンの再利用も
容易である。
ることのできる他の蒸留処理系統図を示す。図3におい
て、31は第1蒸留塔、32は第2蒸留塔、33は第3
蒸留塔、34は第4蒸留塔、35は強酸型イオン交換樹
脂処理装置を示す。
工程1で得られた生成物は、ライン38を通して、第1
蒸留処理工程を構成する第1蒸留塔31に導入され、こ
こで未反応フェノール、ビスフェノールA及び副生物を
含む塔底物(I)と、未反応フェノール、未反応アセト
ン及び水を含む塔頂物(I)とに分離される。第1蒸留
塔31は、その塔頂物(I)中のフェノール含有量が40
wt%以下、好ましくは30wt%以下の範囲になるよ
うに操作される。これにより、第2蒸留塔32から得ら
れる塔項物(II)中の水含有量を5wt%以下、特に2
wt%以下に抑制することができる。第1蒸留塔31の
塔頂物(I)の成分組成を示すと、フェノール:40w
t%以下、好ましくは30wt%以下、アセトン:20
〜45wt%、好ましくは30〜40wt%、水:20
〜45wt%、好ましくは30〜40wt%である。一
方、第1蒸留塔31の塔底物(I)の成分組成を示す
と、フェノール:55〜80wt%、好ましくは65〜
75wt%、ビスフェノールA:18〜30wt%、好
ましくは20〜25wt%、副生物:5〜15wt%、
好ましくは6〜10wt%である。前記第1蒸留塔31
で得られた塔頂物(I)はライン40を通って第2蒸留
処理工程を構成する第2蒸留塔32に導入され、一方、
前記第1蒸留塔31で得られた塔底物(I)はライン3
9を通って第4蒸留塔34に導入される。
頂物(II)として得られ、このものは、ライン46を通
して抜出され、図1に示すライン12を通って反応工程
1に循環される。この循環アセトン中の水含有量は、1
0wt%以下、好ましくは5wt%以下である。一方、
第2蒸留塔32の塔底からは、フェノールと水との混合
物からなる塔底物(II)が得られ、このものは、ライン4
7を通って第3蒸留塔33に導入される。第2蒸留塔3
2の塔底物(II)の成分組成は、フェノール:40〜60
wt%、好ましくは40〜50wt%、水:40〜60
wt%、好ましくは50〜60wt%であり、アセトン
の含有量は1wt%以下である。
3においては、塔頂物(III)として水が得られ、このも
のはライン48を通って排出される。一方、第3蒸留塔
33の塔底からは、フェノールからなる塔底物(III)が
得られるが、このものはライン41を通って強酸型イオ
ン交換樹脂処理装置35で処理された後、第4蒸留処理
工程を構成する第4蒸留塔34に導入される。また、こ
の第3蒸留塔33の塔底物(III)には、必要に応じ、未
精製フェノールをライン49を介して添加し、強酸型イ
オン交換樹脂処理装置35に導入することができる。こ
の場合、未精製フェノールとしては、工業用フェノール
や、晶析工程で得られる母液フェノール、洗浄廃液フェ
ノール等が挙げられる。
ては、その強酸型イオン交換樹脂が触媒となって、フェ
ノール中に含まれる着色不純物や着色不純物前駆体等の
縮合性不純物が縮合反応して、タール状高沸点物に変換
される。強酸型イオン交換樹脂処理装置35で得られる
処理生成物はライン50を通って第4蒸留処理工程を構
成する第4蒸留塔34に導入され、ここでフェノールが
塔頂物(IV)として取得される。また、この第4蒸留塔3
4には、第1蒸留塔31の塔底物(I)(ビスフェノー
ルを含むフェノール溶液)がライン39を通して導入さ
れる。この第4蒸留塔34においては、その塔頂からフ
ェノールが留出されるが、このフェノールは色相の良好
なもので、その色相APHAは、10以下である。この
精製フェノールは、図1に示すようにその少なくとも一
部は、ライン14を通して晶析生成物分離工程4に循環
され、高純度ビスフェノールAを得るための結晶アダク
トの洗浄液として使用される。また、この精製フェノー
ルは、必要に応じ反応工程1に循環使用することができ
る。第4蒸留塔34の底部からライン51を通って抜出
される塔底物(IV)は、通常、ビスフェノールを15
〜30wt%、好ましくは、20〜25wt%を含み、
フェノールを50〜80重量%、好ましくは65〜75
重量%含み、さらに副生物を5〜15重量%、好ましく
は6〜10重量%の割合で含むもので、図1に示すよう
に、ライン15を通して晶析用原料として晶析工程3へ
導入される。なお、第1蒸留塔31の塔底物(I)は、
第4蒸留塔34に導入せずに、そのまま晶析工程3へ導
入することもできる。
ば、第1蒸留塔31から得られる塔頂物(I)中のフェ
ノール含有量を40重量%以下に保持することにより、
第2蒸留塔32に供給されるアセトンの実質的全量を第
2蒸留塔の塔頂物(II)として分離することができ、第
2蒸留塔2の塔底物(II)には、実質上アセトンの混入
はない。この結果、第3蒸留塔33において、その塔頂
物(III)として分離される水にはアセトンの混入がな
く、その分離水からアセトンを除去するような面倒な廃
水処理の問題は解消される。また、この分離工程によれ
ば、第3蒸留塔内には、アセトンが存在しないため、効
率よくその蒸留操作を行うことができる。
2で得られたビスフェノールAを含む溶液を冷却して、
ビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出
させる工程である。この場合、晶析温度は35〜80
℃、好ましくは45〜70℃である。この晶析工程で得
られた晶析生成物(結晶アダクトスラリー)は、図1に
おいてライン16を通して晶析生成物分離工程4に導入
される。晶析工程3は、1つ又は複数の晶析段階からな
ることができるが、その晶析工程の1つの例についての
晶析系統図を図4に示す。図4において、55は外筒、
56は内筒、57は微結晶アダクト溶解タンク、58は
冷却器、59は加熱器、60、61はポンプ、Aは晶析
塔を示す。晶析塔Aは、密閉構造の外筒55内に上部に
開口部を有する内筒56を挿入した2重筒構造を有す
る。本明細書でいう密閉構造とは、晶析塔が大気開放状
態にあるのではなく、イナートガスにてシールされてい
る状態をいう。晶析塔Aが大気開放であると、晶析塔内
のスラリーに大気中の酸素の一部が吸収され、アダクト
の色相を悪化させるとともに、更には、後段の処理にお
いて悪影響を与えて、高品質のアダクトひいては高品質
のビスフェノールAを得ることができなくなる。従っ
て、晶析塔Aにおいては、酸素の混入を防止する為に、
イナートガスにてシールする必要が生じる。この場合、
酸素の混入を防止することができれば、必ずしも、高圧
に耐えうる密閉耐圧容器である必要はない。また、晶析
塔Aにおいては、外筒部に直接抜出孔を設けるのではな
く、内部のスラリーの旋回流の中心軸上に内筒を設け、
その上部までスラリーの旋回流を上昇させ、内筒上部の
開口部よりスラリーを溢流させ、内筒内部を下降させた
後、内筒底部より抜出す方法をとるのがよい。これによ
り、導入された循環スラリーに対し均一な混合と、アダ
クト粒子に対して充分な滞留時間を確保することができ
る。
を実施するには、先ず、分離工程2から図1のライン1
5を通して抜出された被処理原料であるビスフェノール
Aを含むフェノール溶液の一部を、ライン62及びライ
ン63を通って晶析塔A内に充填するとともに、内筒5
6の底部からライン64を通ってフェノール溶液を抜出
し、これをライン65、ポンプ60、ライン66、冷却
器58、ライン67及びライン63を通して晶析塔A下
部の外筒内に連続的に循環させる。この操作によって、
晶析塔A内のフェノール溶液は冷却され、結晶アダクト
が晶析し、結晶アダクトを含むスラリーが生成される。
このスラリーは内筒56の底部から抜出され、前記のよ
うにして冷却器58で冷却された後、晶析塔A下部の外
筒55内に循環されるようになる。また、内筒56の底
部からスラリーの一部をライン64、ライン68、ポン
プ61、ライン69、加熱器59、タンク57及びライ
ン70、71を通って晶析塔A下部の外筒55内に連続
的に循環させる。この操作によって、内筒56の底部か
ら抜出されたスラリー中の微結晶アダクト粒子がタンク
57で溶解され、微結晶アダクト粒子含有率の低いスラ
リーが晶析塔A内に循環される。その結果、晶析塔A内
の微結晶アダクト粒子の含有率が減少されるようにな
る。
2からライン15を通して抜出されたビスフェノールA
を含むフェノール溶液をライン62、及びライン63を
通して晶析塔A下部の外筒55内に導入するとともに、
内筒56の底部から製品スラリーをライン73を通って
抜出す。この場合、次の晶析生成物分離工程へこのスラ
リーをグラビティーフローで流せる場合は、このように
ライン73を使って抜き出すが、そうでない場合は、ポ
ンプ61の吐出ライン74より、その一部を抜き出すこ
ともできる。また、微結晶含有率の少ないスラリーの一
部を、ライン72より回収し、これを製品結晶アダクト
スラリーとすることもできる。これらの結晶アダクトス
ラリーは、必要に応じ、さらに前記と同様の晶析処理を
施すことができる。
びライン70、71を通る温度上昇したスラリーは、外
筒55内に導入させるに際し、外筒下部より外筒内に、
同一の向きの旋回流を生じるように導入するのがよい。
この場合、好ましくは、外筒内周面に対し接線方向にな
るように導入し、かつその導入位置が異なるように行
う。導入位置が近すぎると、局部的な流れの乱れを生
じ、スムーズな旋回流を得ることができなくなり、また
晶析塔の構造及び強度の面から好ましくない。よって、
これら2つのスラリーの導入位置は、外筒の中心点から
角度で表わして好ましくは90〜180度離れた位置に
おいて行うのがよい。更に、同一の向きの旋回流が生じ
るためであれば、2つのスラリーの導入位置は必ずしも
同一水平面上にある必要はなく、少くとも外筒下部に
て、多少の高低の差はあってもさしつかえない。前記の
ようにして、ライン63及びライン70、71を通る各
スラリーを、外筒内に同一の向きの旋回流を生じるよう
に導入すると、この旋回流は外筒55内を内筒56の上
端部まで上昇し、そして内筒56の上部開口から内筒5
6内を下降し、その内筒の底部からライン64を通って
抜出される。外筒55内にこのような旋回流を生じさせ
ることにより、次のような効果を得ることができる。 (1)異なる温度の2つの液流を効果的に均一に混合す
ることができる。 (2)スラリーの偏流を防止し、外筒内のスラリー濃度
が均一になることから、結晶アダクト粒子の外筒内での
滞留時間のムラをなくすことができる。 (3)結晶アダクト粒子の外筒内での沈降堆積を防止す
るに足る充分な線速を得ることができる。
出されたスラリーの一部を、ライン64、ライン68、
ポンプ61、加熱器59、タンク57及びライン70、
71を通して晶析塔Aに循環させる時には、スラリー中
の微結晶アダクトがタンク57内で溶解消失されること
から、一定大きさの粗大結晶アダクトを含むスラリーが
ライン70、71を通って晶析塔Aに循環され、これに
よって晶析塔A内に含まれる結晶アダクトの粒径が揃え
られ、晶析塔A内には、微結晶アダクト粒子含有率が低
く、粗大結晶アダクト粒子含有率の高い結晶アダクトが
生成される。晶析塔A内における微結晶アダクトは、そ
の比表面積が大きいことから、着色原因物質に対して高
い吸着性を示す。従って、晶析塔Aで得られる結晶アダ
クト中の微結晶アダクト粒子含有率を可及的に減少させ
ることにより、色相のよい結晶アダクトを得ることがで
きる。結晶アダクト中の粒径100μm以下の微結晶ア
ダクト粒子含有率を30重量%以下、好ましくは20重
量%以下に保持することにより、色相の良い高純度結晶
アダクトを製造することができる。
Aを含むフェノール溶液の温度は、結晶アダクトの飽和
温度より、1〜20℃程度高い温度であり、晶析塔Aの
温度は45〜70℃である。ライン65、ポンプ60、
冷却器58及びライン63を通って循環されるスラリー
は、冷却器58において、その温度を10℃程度以下、
好ましくは5℃以下程度降下される。晶析塔Aにおける
フェノール溶液の滞留時間は0.5〜10時間、好まし
くは0.5〜5時間である。一方、ライン68、ポンプ
61、ライン69、加熱器59を通って微結晶アダクト
溶解タンク57に導入されるスラリーは、その加熱器5
9において、その温度を0.5〜5℃程度上昇され、微
結晶溶解タンク57に保持される。このタンク57にお
けるフェノール溶液の滞留時間は3〜15分程度であ
る。
100μm以下の結晶アダクトが溶解される。ライン7
0を通るスラリー中の結晶アダクト中の粒径100μm
以下の結晶アダクト粒子含有率は、30重量%以下、好
ましくは20重量%以下である。
含有率の低い、色相の良好な結晶アダクトを効率よく生
成させることができる。この結晶アダクトは、これから
フェノールを分離除去することにより、色相の良いビス
フェノールAを与える。
ラリー(晶析生成物)は、晶析生成物分離工程4に送ら
れる。この晶析生成物分離工程4においては、結晶アダ
クトスラリーは、結晶アダクトと母液とに分離され、結
晶アダクトは、分離工程2からライン14を通って抜出
された精製フェノールを洗浄液として用いて洗浄処理さ
れる。そして、分離された母液は、必要に応じ、洗浄済
みのフェノールとともに、ライン17を通して晶析生成
物分離工程4から抜出され、反応工程1に循環される。
この場合、循環母液の少なくとも一部、通常、1〜20
重量%は、これを後記する母液精製工程に導入して処理
する。そして、精製処理された母液は、これを再び反応
工程1に循環させる。
クトスラリーを濾過処理して結晶アダクトを母液から分
離する場合、そのスラリー中に含まれる結晶アダクトの
うち、粒径100μm以下の微結晶アダクト成分の少な
くとも一部を濾液(母液)側に移行させ、粒径100μ
m以下の微結晶アダクト成分の割合が20重量%以下、
好ましくは15重量%以下の粗大結晶アダクトを得るの
が好ましい。この場合、微結晶アダクト成分を濾液側に
移行させるためには、フィルター(濾材)の選定や、濾
過操作条件の選定によって行うことができる。フィルタ
ーとしては、一般的に、その目開が100〜300μ
m、好ましくは150〜250μmのものが使用され
る。また、濾過操作条件により微結晶アダクト成分を濾
液側に移行させる場合、その微結晶アダクト成分の移行
量は、その濾過処理により得られる結晶アダクトケーク
の厚みやそのケークを逆洗する頻度によって調整するこ
とができる。
は、それ自体で不純物含有量の低い高品位のものである
が、さらにこの結晶アダクトを、分離工程2からライン
14を通って抜出された精製フェノールで洗浄すること
によってその品位をさらに向上させることができる。精
製フェノールによる結晶アダクトの洗浄は、結晶アダク
トと精製フェノールとの接触を充分に達し得る方法であ
ればよい。この洗浄処理は、例えば、結晶アダクトを分
離するための濾過機や遠心分離機等の固液分離装置の中
で、母液を結晶アダクトから除去した後、精製フェノー
ルをその固液分離装置内に導入して洗浄する方法や、固
液分離装置から排出される少量の母液が付着する結晶ア
ダクトを、別の撹拌槽において精製フェノールにより洗
浄することもできる。結晶アダクトに対する精製フェノ
ールの使用割合は、結晶アダクト100重量部に対し
て、50重量部以上、好ましくは100重量部以上であ
る。
アダクトは、ビスフェノールAとフェノールの等モル組
成からなる結晶であるが、このものは、直接フェノール
除去工程に送り、ここでフェノールを除去し、高純度の
製品ビスフェノールAを回収することができるし、再度
晶析工程、晶析生成物分離工程で処理した後フェノール
除去工程に送り、超高純度の製品ビスフェノールAを回
収することができる。結晶アダクトからフェノールの除
去は、従来公知の方法、例えば、蒸留、抽出、スチーム
ストリッピング等の方法により行うことができる。
晶アダクトの洗浄処理によれば、結晶アダクト表面に付
着する着色物質や着色性物質等の吸着性の高い不純物を
効率よく除去することができ、これにより、色相にすぐ
れ、かつ着色を生じにくい熱安定性の良い結晶アダクト
を容易に得ることができる。また、この結晶アダクトか
らフェノールを除去して得られるビスフェノールAも色
相にすぐれ、かつ着色を生じにくい高品位のものであ
る。
ら得られた母液は、図1に示したライン17及びライン
19を通して反応工程1へ循環使用されるが、その循環
母液の少なくとも一部はライン17から抜出され、ライ
ン18を通って(i)蒸留工程5、(ii)加熱工程6及び
(iii)減圧回収工程7及び強酸型イオン交換樹脂処理工
程8によって精製処理される。加熱工程6と減圧回収工
程7は、それぞれ独立して実施することができるが、反
応塔を用いて同時に実施するのが好ましい。
出された母液の精製処理方法の1つの例についての処理
系統図を示す。図5において、5はフェノール蒸留塔、
Dは反応槽6と減圧蒸発塔7を有する反応塔、Rは強酸
型イオン交換樹脂塔を示す。原料母液は、ライン18を
通ってフェノール蒸留塔5に導入される。この場合、原
料母液としては、晶析生成物分離工程4で得られた母液
の少なくとも一部を用いることができる。ビスフェノー
ルAを含むフェノール溶液の晶析処理においては、通
常、複数段の晶析工程と晶析生成物の固液分離工程が採
用され、それに応じて複数種の母液(フェノール溶液)
が得られるが、本発明ではこれらの母液の任意のものを
原料母液として用いることができる。本発明で用いる好
ましい原料母液は、第1段目の晶析工程で得られた第1
晶析生成物から分離された母液である。この第1晶析生
成物から分離された母液は、通常、フェール:85重量
%、ビスフェノールA:5〜10重量%、2,4−ビス
フェノールAを含むその他のポリフェノール:1〜5重
量%、クロマン化合物等の着色性不純物:2重量%以下
アルデヒドやキノン等の加熱により着色物質に変換する
着色性不純物:微量を含有する。
00℃、好ましくは120〜185℃、圧力:50トー
ル〜常圧条件で運転される。このフェノール蒸留塔5で
は、ライン18から導入される原料母液の50〜90重
量%好ましくは65〜85重量%が留出される。留出量
がこの範囲より多くなると、高粘度となり塔底物固化、
ライン閉塞等の問題が生じ、一方、この範囲より少ない
と、フェノールの濃度が高くなり、加熱工程や減圧回収
工程における処理効率や熱効率が低下する等の問題が生
じる。フェノール蒸留塔5からの留出蒸気は、この蒸留
塔に付設された凝縮器85で凝縮されたのち、その一部
は還流液としてライン86を通って蒸留塔5に返還さ
れ、残部の凝縮液(留出液)はライン87を通って反応
塔Dに付設された減圧凝縮器90に導入される。このラ
イン87を通る留出液は、ほぼフェノール100%から
なる。一方、フェノール蒸留塔5の底部からライン81
を通ってその塔底液が抜出され、この塔底液は、ライン
83を通って供給される塩基性触媒とともに、ライン8
4を通って反応塔Dの底部の反応槽6に導入され、ここ
で、それに含まれる反応性成分の反応と同時に、この反
応により生成した生成物を含む濃縮母液の蒸発回収処理
が行われる。なお、塩基性触媒の供給は反応塔Dの反応
槽6に対して直接行うこともできる。フェノール蒸留塔
5の底部からライン81を通って抜出される塔底液は、
通常、フェノール:10〜50重量%、好ましくは15
〜30重量%で、残りはビスフェノールA、2,4′−
ビスフェノールA、その他のポリフェノール、その他の
不純物からなる。
いて、濃縮母液中に含まれるビスフェノール、トリスフ
ェノール等のポリフェノールが塩基性触媒の作用により
熱分解され、イソプロペニルフェノールとフェノールに
転換されるとともに、クロマン化合物等の不純物の重縮
合反応が起り、不純物は高沸点物に変換される。塩基性
触媒としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属
の水酸化物、酸化物、炭酸塩、各種フェノール塩、カル
シウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化
物、酸化物、炭酸塩、各種フェノール塩等が挙げられ
る。この塩基性触媒の使用割合は、ライン81を通って
抜出される濃縮母液中のビスフェノールAを含む全ポリ
フェノールに対し0.005〜0.8重量%、好ましく
は0.01〜0.5重量%である。
反応槽上に減圧蒸発塔7を立設した構造を有する。この
反応塔Dは、塔底(反応槽)温度:200〜350℃、
好ましくは220〜300℃、塔内圧力:5トール〜常
圧、好ましくは10〜150トールの条件で運転され
る。反応塔Dの頂部からライン89を通って抜出された
フェノール及びイソプロペニルフェノールを含む留出蒸
気は、反応塔Dに付設された減圧凝縮器90に導入さ
れ、ここでフェノール蒸留塔5からライン87を取って
導入された留出液と混合接触して急冷された後、ライン
91を通って強酸型イオン交換樹脂塔Rに導入される。
フェノール蒸留塔5からライン87を通って減圧凝縮器
90に送られる留出液の温度は、45〜150℃、好ま
しくは50〜110℃である。また、ライン87を通る
留出液の量は、ライン89を通る留出蒸気に対する重量
比で1〜20、好ましくは2〜15である。ライン89
を通って反応塔Dから抜出される留出蒸気の成分は、フ
ェノール、イソプロペニルフェノール、ビスフェノール
A、その他の不純物である。ライン88を通って反応塔
Dから抜出される塔底液(反応液)は、反応塔Dにライ
ン84を通して供給される液に対して重量比で0.05
〜0.5好ましくは0.05〜0.4であり、この塔底
液には高沸点物(ビスフェノールAよりも高い沸点をも
つ)が濃縮されるとともに着色性の物質が濃縮される。
減圧凝縮器90内の混合液は、ライン91を通って強酸
型イオン交換樹脂塔Rに導入される。この強酸型イオン
交換樹脂塔Rにおいては、混合液中に含まれるイソプロ
ペニルフェノールとフェノールとの反応によりビスフェ
ノールAが生成される。このビスフェノールAを含む生
成物はライン92を通って排出され、図1に示した循環
母液ライン19又は反応工程1に、ライン25を通して
導入される。
基を有するゲル型のものが用いられ、このような強酸型
イオン交換樹脂は、従来良く知られているものである。
例えば、ロームアンドハース社から入手しえるアンバー
ライト及びアンバーリストや、三菱化成社から入手し得
るダイヤイオン等を好ましく用いることができる。この
強酸型イオン交換樹脂を用いる混合液の反応において、
その反応温度は45〜130℃、好ましくは50〜10
0℃であり、接触時間は5〜200分、好ましくは15
〜120分である。この強酸型イオン交換樹脂を用いる
混合液の反応を行う場合、混合液中の水分は、0.5重
量%以下、好ましくは0.1重量%以下にする。強酸型
イオン交換樹脂塔Rからライン92を通って抜出される
反応生成物の成分は、フェノール:85〜95重量%、
ビスフェノールA:5〜15重量%、好ましくは5〜1
0重量%、その他の不純物:微量であり、着色性の低い
ものである。このものは、図1に示したように、ライン
25を通して反応工程1に循環使用される。また必要に
応じて、その一部を濃縮晶析してビスフェノールA・フ
ェノール結晶アダクトとすることができる。なお、強酸
型イオン交換樹脂塔Rは、必ずしも必要とされず、反応
蒸留Dの塔頂物は、直接反応工程1に循環させることが
できる。
装置Aと滞留槽Bを付設して用いるのが好ましい。この
ような反応塔Dの運転においては、反応塔Dの底部の反
応槽6からライン96を通って、その塔底物の一部が抜
出され、その抜出された塔底物の一部は、第1循環液と
してライン97を通って加熱処理装置Aに導入され、こ
こで加熱処理をうけた後、ライン94及びライン95を
通って反応塔Dの反応槽6に循環される。加熱処理装置
Aにおいて、第1循環液は、塩基性触媒の存在下200
〜350℃、好ましくは230〜300℃の温度に加熱
される。この加熱によって、第1循環液に含まれるポリ
フェノールは、前記した熱分解反応を受ける。加熱処理
装置A内における第1循環液の滞留時間は、1〜30
分、好ましくは1〜20分である。一方、反応蒸留塔D
の底部から抜出された塔底物の一部は、第2循環液とし
て、ライン98、ライン99、滞留槽B及びライン10
0を通って反応塔Dの反応槽6に循環される。滞留槽B
においては、第2循環液は、200〜300℃、好まし
くは220〜280℃の温度において、5〜120分好
ましくは10〜100分間保持される。この滞留処理に
よって、母液中に含まれるポリフェノールの解重合が不
十分な場合に、更にその解重合が進行するとともに、着
色原因物質、たとえばクロマン化合物の重質化が不十分
な場合には、更にその重質化が進行し分離の容易な高沸
点タール状物に変換される等の効果が得られる。第1循
環液の循環量は、ライン100を通って反応塔Dに供給
される濃縮母液100重量部に対して50〜5000重
量部であり、一方、第2循環液の循環量は、同じく10
〜10000重量部、好ましくは50〜5000重量部
である。
中に含まれる不純物は、反応塔Dの塔底又は反応槽6に
連結するライン23(図1)又はライン88(図5、図
6)を通して、濃縮不純物として排出される。この濃縮
不純物にはビスフェノールAよりも高沸点の副生物や、
縮合性不純物の縮合物が含まれ、さらに、反応工程1に
おいて触媒として高沸点の強酸性物質、例えば、スルホ
ン酸基を有するイオン交換樹脂を用いた場合には、その
触媒から遊離したスルホン化物が含まれる。従って、前
記した母液の処理方法によれば、その母液に含まれてい
るポリフェノール化合物、着色不純物、着色性不純物、
さらには反応工程1で用いた触媒由来の高沸点物(スル
ホン化物等)は、いずれも濃縮された状態で母液から分
離除去される。そして、このようにして副生物及び不純
物の除去された母液を、再び反応工程1に循環すること
によって、母液中に含まれる有用成分の損失を抑え、反
応系における副生物及び不純物の蓄積を防止することが
でき、その結果、高純度でかつ着色の防止されたビスフ
ェノールAを得ることができる。
明する。
交換樹脂の存在下、アセトンとフェノールとの反応を行
った。この場合、アセトン1モル当りフェノール14モ
ルを用いた。反応は60℃で行った。このようにして得
られた反応生成物の組成は以下の通りであった。 ビスフェノールA: 0.8wt% 水 : 1.0wt% フェノール :73.6wt% ビスフェノールA:18.8wt% その他 : 5.8wt%
フェノールとアセトン反応生成物を蒸留処理した。この
際に用いた主要な操作条件を図2に示したライン又は装
置との関係で以下に示す。 (1)ライン40を通る塔頂物(I) (i)成分組成 アセトン : 5.8wt% フェノール : 7.2wt% 水 : 86.1wt% その他 : 0.9wt% (2)ライン42を通る塔頂物(II) (i)成分組成 アセトン : 18.5wt% 水 : 22.5wt% 共沸剤 : 55.6wt% その他 : 3.4wt% (3)ライン41を通る塔底物(II) (i)成分組成 フェノール : 99.0wt% 共沸剤 : 0.5wt% その他 : 0.5wt% (4)ライン46を通る塔頂物(III) (i)成分組成 アセトン : 85.1wt% 水 : 1.0wt% その他 : 13.9wt% (5)ライン48を通る排水 (i)成分組成 水 : 99.95wt% フェノール : 0.05wt%
れたフェノールとアセトンとの反応生成物を処理した。
この際に用いた主要な操作条件を図3に示したライン又
は装置との関係で以下に示す。 (1)ライン40を通る塔頂物(I) (i)成分組成 アセトン : 29.0 wt% 水 : 38.8 wt% フェノール : 29.9 wt% その他 : 2.3 wt% (2)ライン46を通る塔頂物(II) (i)成分組成 アセトン : 89.7 wt% 水 : 2.1 wt% その他 : 8.2 wt% (3)ライン47を通る塔底物(II) (i)成分組成 水 : 55.5 wt% フェノール : 44.2 wt% その他 : 0.3 wt% (4)ライン48を通る塔頂物(III) (i)成分組成 水 : 99.7 wt% フェノール : 0.2 wt% その他 : 0.1 wt% (5)ライン41を通る塔底物(III) (i)成分組成 フェノール : 99.0 wt% その他 : 1.0 wt%
含むフェノール溶液を晶析処理して、結晶アダクトを含
むスラリー(晶析生成物)を得た。この場合の主要操作
条件を、図4において符号で示したライン又は装置との
関係で以下に示す。 (1)ライン62における供給原料の成分組成 ビスフェノールA:22重量% フェノール:74重量% その他:4重量% (2)晶析塔A (i)温度:50℃ (ii)滞留時間:120分 (3)晶析塔Aに付設した微結晶アダクト溶解タンク5
7 (i)温度:51℃ (ii)滞留時間:6分 前記実験において、ライン73を通って得られるスラリ
ーから分離された結晶アダクト中の粒径100μm以下
の微粒子の割合は、20重量%であった。
得られた結晶アダクトスラリーを、106μmの目開き
を有する濾布をセットした濾過機により、スラリー温度
を50℃に保持しながら減圧濾過した後、得られた結晶
アダクトケークを、前記(II−1)の分離工程2から
得られた精製フェノールにより洗浄した。 この洗浄結
晶アダクト中の100μm以下の微結晶アダクト成分の
割合は5重量%であった。この結晶アダクトの溶融色は
10APHAで、着色不純物の濃度は著しく低いもので
あった。また、この結晶アダクトに含まれるクロマン化
合物(着色性不純物)の濃度は100wtppmであっ
た。
製処理(図5) 図5に示した装置系統図に従って、ビスフェノールAを
含むフェノール溶液の晶析生成物から分離した母液を処
理した。この際に用いた主要な操作条件を、図5に示し
たライン又は装置との関連で以下に示す。 (1)ライン18を通る母液 (i)成分組成 フェノール:86.3重量% ビスフェノールA:7.7重量% 2,4′−ビスフェノールA:2.4重量% その他トリスフェノール、ポリフェノール、 着色不純物及び着色性不純物など:3.6重量% (ii)色相APHA:500以上 (2)フェノール蒸留塔(5) (i)塔底温度:170℃ (ii)圧力 :170トール (3)ライン11を通る留出液 (i)成分組成 フェノール:99.8重量%以上 (ii)色相APHA:10 (4)ライン81を通る塔底物(濃縮母液) (i)成分組成 フェノール:14.8重量% ビスフェノールA:48.5重量% 2,4′−ビスフェノールA:14.8重量% その他トリスフェノール、ポリフェノール、 着色不純物及び着色性不純物など:21.9重量% (ii)色相APHA:500以上 (5)ライン83における塩基性触媒(NaOH)の添
加量:ライン81を通る濃縮母液に対して0.05重量
% (6)反応条蒸留塔(D) (i)塔底温度:250℃ (ii)圧力 :40トール (7)ライン89を通る留出蒸気 (i)成分組成 フェノール:92.6重量% イソプロペニルフェノールおよびその他:7.4重量% (ii)色相APHA:200 (8)ライン88を通る塔底液 (i)成分組成 フェノール:0.5重量% ビスフェノールA:5.5重量% その他のポリフェノール高沸点物など:90重量%以上 (ii)抜出量:ライン81を通る濃縮母液に対して1
7.0重量% (9)強酸型イオン交換樹脂塔(R) (i)温度:53℃ (ii)圧力:760トール (10)ライン92を通る生成物 フェノール:89.5重量% ビスフェノールA:8.0重量% その他、不純物:2.5重量% (ii)色相APHA:70以下
純物の蓄積を防止するとともに、有効成分の損失を抑制
して、高純度で色相の良いビスフェノールAをフェノー
ルとの結晶アダクトとして効率良くかつ経済的に製造す
ることができる。また、本発明による晶析生成物から分
離された母液の精製処理法によれば、触媒由来のスルホ
ン化物等の高沸点物、着色不純物や着色を生じやすい物
等の反応性不純物を含む母液から、それらの高沸点物や
反応性不純物を高沸点タール状物質として効率よくかつ
経済的に除去することができる。本発明により処理され
た精製母液は、フェノール及びビスフェノールAを含
み、アセトンとフェノールとの反応工程に有利に循環使
用することができる。そして、このような精製母液を循
環使用することにより、反応系における副生物や不純物
の蓄積を防止することができる。
の工程図を示す。
分に分離するための1つの例についての蒸留処理系統図
を示す。
分に分離するための他の例についての蒸留処理系統図を
示す。
工程の1つの例についての晶析系統図を示す。
つの例についての処理系統図を示す。
説明図を示す。
Claims (7)
- 【請求項1】 アセトンと過剰量のフェノールとを酸触
媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる
反応工程、該反応工程から得られた反応生成物を、アセ
トンと、水と、フェノールと、ビスフェノールAを含む
フェノール溶液とに分離する分離工程、該ビスフェノー
ルAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェ
ノールとの結晶アダクトを析出させる晶析工程、該晶析
工程で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分
離する晶析生成物分離工程及び該晶析生成物分離工程で
得られた母液を前記反応工程へ循環させる循環工程から
なるビスフェノールAの製造方法において、(i)該循
環母液の少なくとも一部を蒸留塔に導入し、該蒸留塔に
導入した母液の50〜90重量%を留出させてフェノー
ルを含む留出液を得る蒸留工程、(ii)該蒸留工程
(i)で得られた蒸留塔の塔底液を、塩基性触媒の存在
下で200〜350℃に加熱する加熱工程、(iii)該加
熱工程(ii)で得られた生成物を減圧蒸発して、フェノ
ール及びイソプロペニルフェノールを含む留出蒸気を得
る減圧回収工程、(iv)該減圧回収工程(iii)で得られ
た留出蒸気を、蒸留工程(i)で得られた留出液と接触
させて急冷する急冷工程、(v)該急冷工程(iv)で得ら
れた急冷物を反応工程に循環する循環工程、を包含する
ことを特徴とするビスフェノールAの製造方法。 - 【請求項2】 加熱工程(ii)と減圧回収工程(iii)
を、反応塔を用いて同時に行う請求項1の方法。 - 【請求項3】 反応塔からその塔底液の一部を抜出し、
塩基性触媒の存在下で200〜350℃の温度で加熱処
理した後、反応塔に循環する請求項2の方法。 - 【請求項4】 急冷工程(v)で得られた急冷物を、反応
工程に循環するに際し、該急冷物を強酸型イオン交換樹
脂と接触させた後、反応工程に循環する請求項1〜3の
いずれかの方法。 - 【請求項5】 ビスフェノールAを含むフェノール溶液
の晶析生成物から分離された母液を処理するに際し、
(i)該母液の少なくとも一部を蒸留塔に導入し、該蒸
留塔に導入した母液の50〜90重量%を留出させてフ
ェノールを含む留出液を得る回収工程、(ii)該蒸留工
程(i)で得られた蒸留塔の塔底液を、塩基性触媒の存
在下で200〜350℃に加熱する加熱工程、(iii)該
加熱工程(ii)で得られた生成物を減圧蒸発して、フェ
ノール及びイソプロペニルフェノールを含む留出蒸気を
得る減圧蒸留工程、(iv)該減圧回収工程(iii)で得ら
れた留出蒸気を、蒸留工程(i)で得られた留出液と接触
させて急冷する急冷工程、を包含することを特徴とする
ビスフェノールAを含むフェノール溶液の晶析生成物か
ら分離された母液の処理方法。 - 【請求項6】 加熱工程(ii)と減圧回収工程(iii)
を、反応塔を用いて同時に行う請求項5の方法。 - 【請求項7】 反応塔からその塔低液の一部を抜出し、
塩基性触媒の存在下で200〜350℃の温度で加熱処
理した後、反応塔に循環する請求項6の方法。
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-
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- 1992-10-30 JP JP4316351A patent/JP2796557B2/ja not_active Expired - Lifetime
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