JP2005330188A - ビスフェノールaの製造方法及び製造装置 - Google Patents

ビスフェノールaの製造方法及び製造装置 Download PDF

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圭一 高橋
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Abstract

【課題】ケミカルリサイクルの負荷を小さくし、かつ、再生品分について、相対的に高い純度のビスフェノールAを得る。
【解決手段】循環母液17の少なくとも一部をBPA反応工程1における副生物及び不純物を分離除去する母液精製工程32、33と、精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応工程34と、この二次反応工程34で生成したビスフェノールAを含む母液を前記BPA反応工程1へ供給する母液返送工程25とを含み、さらに、廃ポリカーボネートを分解する熱分解工程51とを含み、分解液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応工程34へ供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、廃ポリカーボネート分解液中のビスフェノールAを回収する工程を含むビスフェノールAの製造方法及び製造装置に関するものである。
ビスフェノールA〔2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン〕は、ポリカーボネートやエポキシ樹脂の原料として使用されている。
コンパクトディスク(CD)、CD−R、DVD(デジタルビデオディスク)などの用途のポリカーボネートには、特に、着色がなく無色で、高純度のビスフェノールAが要求されている。
ビスフェノールAを製造するために、酸触媒の存在下、アセトンと過剰のフェノールとを反応させることは知られている。また、この反応生成物から高純度ビスフェノールAを分離回収するために、反応生成物を晶析してビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクト(以下、単に結晶アダクトとも言う)を析出させ、得られた結晶アダクトからフェノールを除去することも知られている(特公昭36−23335号、特公昭52−42790号)。さらに、前記晶析工程で得られた結晶アダクトを分離した後の母液(フェノール溶液)を反応工程へ循環使用することも知られている。
ビスフェノールAを含むフェノール溶液の晶析生成物から分離された母液には、多量のフェノール及びビスフェノールAの他、少量のビスフェノールAの異性体である2−(2′−ヒドロキシフェニル)−2−(4′−ヒドロキシフェニル)−プロパン(以下、単に2,4′−ビスフェノールAと言う)等のビスフェノール化合物、トリスフェノール、高分子量のポリフェノール化合物、クロマン化合物等の副生物を含み、さらに、極く少量の着色不純物や着色性不純物が含まれている。そして、この母液は、その着色した不純物や着色しやすい不純物を含むため、加熱により高い着色濃度を与える着色した液体となっている。このような母液は、ビスフェノールAの反応原料となるフェノールや目的物であるビスフェノールAを含むことから反応系に循環して再使用されるが、そのまま循環すると、前記副生物や、着色不純物及び着色性不純物の蓄積が起ることから、それらの副生物や不純物の除去を行うことが必要となる。
このため、母液を反応系に循環使用するに際し、着色物を除去するために種々の方法が知られている。このための方法として、特許第2796557号による方法が有効であることは、本発明者らも知見している。
他方、ビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂が、コンパクトディスク(CD)、CD−R、DVD(デジタルビデオディスク)などの用途に大量に使用されている現状において、使用済みのCD等の処分を、環境保護の観点から廃棄ではなく、リサイクル使用することの試みもなされている。
廃プラスチックのリサイクル法として、廃プラスチックをモノマーに解重合したり、有用化学原料として再利用するケミカルリサイクル法がある。廃ポリカーボネートのケミカルリサイクル法を指向するものに、特開2001−160243号、特開2001−270961号、特開2001−302573号、特開2002−212335号、特開2003−147121号などの方法が知られている。
しかし、この種の廃ポリカーボネートのケミカルリサイクル法は、有用化学原料として再利用するとするが、廃プラスチックのみを原料に限定した独立のリサイクルプロセスを想定しており、フェノール及びアセトンを原料とするビスフェノールAの製造工程に組み込むものではない。
一方、反応工程による反応生成物からビスフェノールAを含む液と、未反応フェノール、未反応アセトン及び水を含む液とに分離した後、後者の液を、未反応フェノールを含む液と未反応アセトンを含む液と水を含む液とに分離するに際しては、通常、蒸留操作により行う。しかし、通常の蒸留では分離し難いので、第三成分として共沸剤を添加した状態で共沸蒸留を行うことが知られている(特許第2796557号公報)。
この場合、共沸剤は循環して使用することが望ましい。しかるに、廃ポリカーボネートのケミカルリサイクル法をビスフェノールAの製造工程に組み込む場合、前記の不純物、たとえばシクロヘキサノールなどの不純物が蓄積し、高純度ビスフェノールAの製造に支障をきたす。
特許第2796557号公報 特開平1−230538号公報 特許第3273473号公報
本発明の主たる課題は、廃ポリカーボネートを分解する分解工程を、ビスフェノールAの製造工程に組み込むことで、ケミカルリサイクルの負荷を小さくし、かつ、再生品分について、相対的に高い純度のビスフェノールAを得ることにある。
他の課題は、第三成分として共沸剤を添加した状態で共沸蒸留を行う場合において、ビスフェノールAの分解に使用する溶媒由来の不純物の系内での蓄積を防止し、高純度ビスフェノールAの製造を安定して行うことにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる反応工程、この反応工程から得られた反応生成物を、アセトンと、水と、フェノールと、ビスフェノールAを含むフェノール溶液とに分離する分離工程、前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させる晶析工程、この晶析工程で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分離する固液分離工程及びこの固液分離工程で得られた母液を前記反応工程へ循環させる循環工程からなるビスフェノールAの製造方法であって、
前記循環母液の少なくとも一部を、前記反応工程における副生物及び不純物を分離除去処理する母液精製工程と、精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応工程と、この二次反応工程で生成したビスフェノールAを含む母液を前記反応工程へ供給する母液返送工程とを含み、
さらに、廃ポリカーボネートを分解する分解工程を含み、
分解した後の液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応工程へ供給することを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
<請求項2項記載の発明>
母液精製工程が、蒸留塔に導入した母液を留出させてフェノールを含む留出液を得る蒸留工程(i)、この蒸留工程(i)で得られた蒸留塔の塔底液を、塩基性触媒の存在下で加熱する加熱工程(ii)、この加熱工程(ii)で得られた生成物を減圧蒸発して、フェノール及びイソプロペニルフェノールを含む留出蒸気を得る減圧回収工程(iii)、この減圧回収工程(iii)で得られた留出蒸気を、蒸留工程(i)で得られた留出液と接触させて急冷する急冷工程(iv)、この急冷工程(iv)で得られた急冷物を二次反応工程に供給する工程(v)を包含する請求項1記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項3項記載の発明>
加熱工程(ii)と減圧回収工程(iii)を、反応塔を用いて同時に行う請求項2のビスフェノールAの製造方法。
<請求項4項記載の発明>
反応塔からその塔底液の一部を抜出し、塩基性触媒の存在下で加熱処理した後、反応塔に循環する請求項3のビスフェノールAの製造方法。
<請求項5項記載の発明>
急冷工程(iv)で得られた急冷物を、反応工程に循環するに際し、この急冷物を強酸型イオン交換樹脂と接触させてビスフェノールAを生成させる二次反応工程を含む請求項2〜4のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項6項記載の発明>
廃ポリカーボネートを分解する分解工程が、溶媒として、フェノール及び分離工程で使用する共沸剤の少なくとも一方を使用し、加熱し、液相分解するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項7項記載の発明>
共沸剤を使用するものの、製造プロセス内で共沸剤回収を行わない請求項6記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項8項記載の発明>
分解工程が、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムの少なくとも一つの塩基性触媒の存在下で行うものである請求項6または7記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項9項記載の発明>
次記の工程を含むことを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
(1)アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる反応工程、
(2)前記反応工程による反応生成物を、ビスフェノールAを含む液と、未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液とに分離する蒸留工程、
(3)前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させる晶析工程、
(4)前記晶析工程で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分離する固液分離工程、
(5)前記固液分離工程で得られた母液を前記反応工程へ循環させる母液循環工程、
(6)前記晶析工程での晶析物からビスフェノールAを得る成品化工程、
(7)共沸剤の存在下で、前記蒸留工程からの未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液を、未反応フェノールを含む液と未反応アセトンを含む液とに分離する分離工程、
(8)前記循環母液の少なくとも一部を、前記反応工程における副生物及び不純物を分離除去処理する母液精製工程、
(9)精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応工程、
(10)前記二次反応工程で生成したビスフェノールAを含む母液を前記反応工程へ供給する母液返送工程、
(11)廃ポリカーボネートを分解する分解工程、
(12)分解した後の液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応工程へ供給する回収液供給工程、
(13)前記分離工程において使用した共沸剤を含む液を回収して、不純物を除去し、分離した共沸剤を、前記回収分離工程において再利用を図る共沸剤回収工程。
<請求項10項記載の発明>
回収分離工程が:ビスフェノールAを含む液と、未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液とに分離する蒸留工程からの、未反応フェノール及び未反応アセトン含む液を、未反応フェノールを含む液と未反応アセトンを含む液とに分離する第2の蒸留工程と、この第2の蒸留工程からの前記未反応アセトンを含む液を、未反応アセトンを含む液と水及び共沸剤を含む液とに分離する低沸点成分回収工程と、この低沸点成分回収工程からの前記水及び共沸剤を含む液から水を分離する液液分離工程とを流れの順に有し、
共沸剤回収工程が:前記液液分離工程からの前記水を含む液から水を分離した後の共沸剤を含む液を回収して、不純物と共沸剤と分離するものであり、
共沸剤再利用工程が:前記共沸剤回収工程で分離した共沸剤を、前記第2の蒸留工程に戻して再利用を図るものである、
請求項9記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項11項記載の発明>
共沸剤回収工程は、共沸剤と第1の軽質不純物と第2の軽質不純物とに分離するものである請求項9または10のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項12項記載の発明>
分解工程に先立って、廃ポリカーボネートを粉砕する粉砕工程を有し、前記分解工程は前記粉砕工程よりの粉砕物からフェノールを含む液に分解するものである請求項1〜11のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項13項記載の発明>
共沸剤が、ベンゼン、アルキルベンゼン類、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、及びシクロヘキセンである群から選ばれた一種または二種以上である請求項9〜12のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
<請求項14項記載の発明>
アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる反応手段、この反応手段から得られた反応生成物を、アセトンと、水と、フェノールと、ビスフェノールAを含むフェノール溶液とに分離する分離手段、前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させる晶析手段、この晶析手段で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分離する固液分離手段及びこの固液分離手段で得られた母液を前記反応手段へ循環させる循環手段からなるビスフェノールAの製造装置であって、
前記循環母液の少なくとも一部を、前記反応手段における副生物及び不純物を分離除去処理する母液精製手段と、精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応手段と、この二次反応手段で生成したビスフェノールAを含む母液を前記反応手段へ供給する母液返送手段とを含み、
さらに、廃ポリカーボネートを分解する分解手段と、分解した後の液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応手段へ供給する回収液供給手段とを備えることを特徴とするビスフェノールAの製造装置。
<請求項15項記載の発明>
次記の手段を含むことを特徴とするビスフェノールAの製造装置。
(1)アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる反応手段、
(2)前記反応手段による反応生成物を、ビスフェノールAを含む液と、未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液とに分離する蒸留手段、
(3)前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させる晶析手段、
(4)前記晶析手段で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分離する固液分離手段、
(5)前記固液分離手段で得られた母液を前記反応手段へ循環させる母液循環手段、
(6)前記晶析手段での晶析物からビスフェノールAを得る成品化手段、
(7)共沸剤の存在下で、前記蒸留手段からの未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液を、未反応フェノールを含む液と未反応アセトンを含む液とに分離する分離手段、
(8)前記循環母液の少なくとも一部を、前記反応手段における副生物及び不純物を分離除去処理する母液精製手段、
(9)精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応手段、
(10)前記二次反応手段で生成したビスフェノールAを含む母液を前記反応手段へ供給する母液返送手段、
(11)廃ポリカーボネートを分解する分解手段、
(12)分解した後の液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応手段へ供給する回収液供給手段、
(13)前記分離手段において使用した共沸剤を含む液を回収して、不純物を除去し、分離した共沸剤を、前記分離手段において再利用を図る共沸剤回収手段。
本発明では、廃ポリカーボネートを分解する分解工程を、ビスフェノールAの製造工程に組み込むものである。この分解工程のままでは、高い純度の再生品を得ることができないので、高い純度のものを得ようとすれば、不純物を除去する工程などの付加工程が必要となり、その付加工程に多くの設備が必要となり、建設費が嵩むばかりでなく、その割に純度の高いものが得られない事態を招く。これに対し、廃ポリカーボネートを分解する分解工程を、ビスフェノールAの製造工程に組み込むことで、分解工程後の液について、既設(または新設)のビスフェノールAの製造工程において、不純物などを除去できるので、結果的に、単独でケミカルリサイクルを図る場合に比較して、ケミカルリサイクルの負荷が小さくなり、かつ、廃ポリカーボネート由来の再生品分について、相対的に高い純度のビスフェノールAを得ることができる。
他方、未反応フェノール、未反応アセトンを含む液を、未反応フェノールを含む液と未反応アセトンを含む液とに分離するに際して、共沸蒸留を使用する際に、廃ポリカーボネートのケミカルリサイクルの際に溶媒として使用するたとえばシクロヘキサノールなどの不純物の蓄積を、共沸剤の循環のために共沸剤を回収する際に、前記不純物を系外に除去することにより、その不純物の蓄積を防止でき、もって高純度ビスフェノールAの製造を安定して運転を行うことができる。
次に本発明を実施するためのいくつかの最良の実施の形態を示しながら、本発明を明らかにする。
なお、以下の実施の形態は、特許第2796557号公報及び特許第3273473号公報に開示されている方法を基礎としているので、説明が重複する部分が多々ある。
ここで、図面に沿った工程の説明に先立って、系の成分について予め説明する。
[S]:「軽質不純物0」(沸点がアセトン(56℃)よりも低いもの及び沸点がアセトンよりも高いがアセトンに混入するもの)
原料中に微量に存在しており、アセトンと共沸混合物を形成するなどの理由により、回収アセトン中に混入し、蓄積するものを示す。
例:メタノール
[L]:「軽質不純物1」(沸点がアセトン(56℃)よりも高く共沸剤(エチルベンゼンの場合は136℃)より低いもの)
従来の「アセトン−水−フェノール」分離で共沸剤としてエチルベンゼンを用いた場合、アセトン循環ラインで蓄積するか、共沸剤循環ラインで蓄積する可能性があるものを示す。
例:シクロヘキセン、ベンゼン、トルエン
[M]:「軽質不純物2」(沸点が共沸剤よりも高く、フェノール(182℃)より低いもの)
共沸剤よりも沸点が高いため、共沸剤循環ラインで蓄積するものである。
例:シクロヘキサノール、シクロヘキサノン
[H]:「重質不純物1」(ベンゼン環が2未満のもの)
フェノールよりも沸点が高いので、第1蒸留工程で晶析工程へ流出する。ただし、全部がはっきりと分かれるわけではなく、一部が沸点の低い液側に混入し、Mと同伴して蓄積するものである。この群のうちの一部は二次反応工程を経ることによって製品BPAになる可能性を有する。
例:クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、イソプロペニルフェノール、t―ブチルフェノール
[T]:「重質不純物2」(ベンゼン環が2以上のもの(T=タール))
BPAの異性体や高分子のものである。これらは熱分解を経てHにした上でBPAに再合成するが、全部が分解されるわけではなく、さらに重合し、巨大分子になるものも同時に生じる。このものは処理不能なため、タールとして排出し、必要により燃焼しエネルギーとして回収する。
例:2,4−ビスフェノール、ジフェニルカーボネート、クロマン、トリスフェノール
図1は、本発明によりビスフェノールAを製造するための工程図である。図1において、1はBPA(ビスフェノールA)反応工程、2は第1蒸留工程、3は第2蒸留工程、4は低沸点成分回収工程、5は第3蒸留工程、6は晶析工程、7は固液分離工程、8は脱フェノール工程、9は造粒工程、30は液液分離工程、31は共沸剤回収工程、32は第4蒸留工程、33は反応槽&減圧回収工程、34は二次反応工程をそれぞれ示す。
ここに、第1蒸留工程2は、本発明の「反応工程による反応生成物を、ビスフェノールAを含む液と、未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液とに分離する蒸留工程」を構成する。第2蒸留工程3、低沸点成分回収工程4、及び液液分離工程30は、本発明の「回収分離工程SR」を構成する。さらに、これらの第1蒸留工程2、第2蒸留工程3、低沸点成分回収工程4、及び液液分離工程30は、本発明の「分離工程」を構成する。したがって、「分離工程」は、「第1蒸留工程2」と「回収分離工程SR」とを組み合わせたものでもある。
BPA反応工程1においては、触媒(たとえば酸触媒)の存在下で、必要であれば加えてエチルメルカプタンなどの助触媒の存在下で、アセトン(原料アセトンと回収アセトン)と過剰量のフェノール(原料フェノールと循環母液中のフェノール)との反応が行われ、これによりビスフェノールAが生成される。酸触媒としては、塩酸や硫酸等の鉱酸や、スルホン酸基を有する強酸型イオン交換樹脂が用いられるが、強酸型イオン交換樹脂の使用が好ましい。たとえば、フェノールの使用量は、アセトン1モルに対して8〜20モルの割合で、45〜100℃の反応温度とされる。
BPA反応工程1で得られた反応生成物は、目的物であるビスフェノールAの他、ビスフェノールAの異性体である2,4′−ビスフェノールA等のビスフェノール化合物、トリスフェノール化合物、高分子量のポリフェノール化合物、クロマン化合物及び水等の副生物を含み、さらに着色不純物や着色性不純物を含む。この反応生成物は、「分離工程」に導入される。
「分離工程」は、反応生成物を前記した特定成分に分離し得るように構成されたものであれば任意の分離工程を採用することができるが、実施の形態では複数の蒸留塔を含む工程、図1の形態では第1蒸留工程2、第2蒸留工程3、低沸点成分回収工程4、及び液液分離工程30から構成されている。その分離工程では、BPA反応工程1で得られた反応生成物を分離処理して、主に、アセトン(A)、水(W)、フェノール(P)及びビスフェノールA(B)を含むフェノール溶液にそれぞれ分離する工程である。この分離工程で分離された回収アセトン(A)はライン46を通ってBPA反応工程1に循環され、水(W)は低沸点成分回収工程4にてライン47を通って液液分離工程30に送られ、ライン48を通って排出される。第3蒸留工程5からの回収フェノール(P)はライン14を通って洗浄用フェノールとして固液分離工程7に導入され、第1蒸留工程2からのビスフェノールA(B)を含むフェノール溶液はライン15を通って晶析工程6に導入される。
「分離工程」についてさらに説明すれば、フェノール(P)とアセトン(A)との反応を行うBPA反応工程1で得られた反応生成物(S,A,W,L,M,P,H,B)は、第1蒸留工程2を構成する第1蒸留塔に導入され、この第1蒸留塔において、未反応フェノール(P)、ビスフェノールA(B)及び重質不純物1(H)を含む塔底物(P,H,B)と、軽質不純物0(S)、未反応アセトン(A)、水(W)、軽質不純物1(L)、軽質不純物2(M)及び未反応フェノール(P)を含む塔頂物(S,A,W,L,M,P)とに分離される。塔頂物(S,A,W,L,M,P)は第2蒸留工程3を構成する第2蒸留塔に導入され、一方、前記第1蒸留工程2を構成する第1蒸留塔で得られた塔底物(P,H,B)は、晶析用原料として、晶析工程6に送られる。
第2蒸留工程3を構成する第2蒸留塔においては、たとえば、油性共沸剤(たとえばアルキルベンゼン類)の存在下で蒸留処理が行われ、軽質不純物0(S)、未反応アセトン(A)、水(W)、軽質不純物1(L)、共沸剤(E)及び軽質不純物2(M)からなる塔頂物(S,A,W,L,E,M)が得られる。この塔頂物(S,A,W,L,E,M)の成分組成は、未反応アセトン(A):2〜20重量%、好ましくは5〜20重量%、水(W):10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%であり、共沸剤(E):40〜80重量%、好ましくは50〜70重量%である。塔底からは、塔底物(M,P)として軽質不純物2(M)及び未反応フェノール(P)が得られる。第2蒸留塔の塔底物(M,P)中の未反応アセトン(A)の含有量は5重量%以下、好ましくはゼロ%である。共沸剤(E)は、第2蒸留塔の運転条件を調節して、第2蒸留塔の塔底物中に少量、特に5重量%以下、好ましくは1重量%以下の割合で存在させるのが好ましい。これにより、塔頂物へのフェノール混入量を低減させることができる。
第2蒸留塔の塔頂からの塔頂物(S,A,W,L,E,M)は、低沸点成分回収工程4を構成する第3蒸留塔に導入される。第2蒸留塔の塔頂物(S,A,W,L,E,M)を、必要により設ける静置工程により油性成分と水性成分とに分離することにより、その塔頂物(S,A,W,L,E,M)を直接低沸点成分回収工程4へ安定的に供給できる。しかし、この静置工程の設置は必ずしも必要とされず、塔頂物(S,A,W,L,E,M)は、図示のように、直接低沸点成分回収工程4へ供給することも可能である。一方、第2蒸留工程3からの軽質不純物2(M)及び未反応フェノール(P)からなる塔底物(M,P)は、必要に応じて強酸型イオン交換樹脂処理装置(図示せず)を介して、あるいは直接、原料フェノール101(P)と共に第3蒸留工程5を構成する第4蒸留塔に導入される。
油性共沸剤としては、沸点範囲が80〜140℃、好ましくは100〜140℃の炭化水素油が用いられる。共沸剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等のアルキルベンゼン、シクロヘキサノール、シクロヘキセン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
低沸点成分回収工程4を構成する第3蒸留塔においては、塔頂物としてアセトン(S,A)が得られ、回収アセトン(S,A)は、ライン46を通ってBPA反応工程1に循環される。
低沸点成分回収工程4を構成する第3蒸留塔の塔底からは、水(W)、軽質不純物1(L)、共沸剤(E)及び軽質不純物2(M)からなる塔底物(W,L,E,M)が得られるが、これは液液分離工程30において、系外に水(W)が分離され、分離後の他の成分がライン43を通して共沸剤回収工程31に送られる。共沸剤回収工程31においては、軽質不純物1(L)及び軽質不純物2(M)が系外に分離され、共沸剤(E)は第2蒸留工程3にライン44を通して循環される。
前述の必要により設置することができる強酸型イオン交換樹脂処理装置においては、その強酸型イオン交換樹脂が触媒となって、塔底物(M,P)中に含まれる着色不純物や、着色不純物前駆体等の縮合性不純物が縮合反応して、タール状高沸点物に変換される。この場合、縮合性不純物としては、ベンゾフラン等が挙げられる。強酸型イオン交換樹脂としては、スルホン基を有するゲル型のものが用いられ、このような強酸型イオン交換樹脂は、従来良く知られているものである。例えば、ロームアンドハース社から入手し得るアンバーライト及びアンバーリストや、三菱化学社から入手し得るダイヤイオン等を好ましく用いることができる。この強酸型イオン交換樹脂を用いる塔底物(M,P)の処理は、当該塔底物(M,P)を強酸型イオン交換樹脂を含む充填塔に流通させる方法や、強酸型イオン交換樹脂を入れた撹拌槽に塔底物を入れて撹拌する方法等により実施することができる。処理温度は45〜150、好ましくは50〜100℃である。強酸型イオン交換樹脂と塔底物(M,P)との接触時間は、5〜200分、好ましくは15〜60分程度である。
第2蒸留工程での塔底物(M,P)は直接、あるいは強酸型イオン交換樹脂処理装置を通して得られる処理生成物は、第3蒸留工程5に原料フェノール(P)と共に導入され、ここで縮合反応により生じた廃油(T)を分離し、精製された回収フェノール(P)はライン14により固液分離工程7に供給される。
第3蒸留工程5の第4蒸留塔の運転条件はフェノール(P)と軽質不純物2(M)とが完全に分離できる条件であることが必要であり、フェノール(P)中に軽質不純物2(M)が混入しない条件で行う必要がある。この場合の留意すべきポイントは、蒸留処理温度を190℃以下にすることである。190℃以下の温度であれば運転圧力は任意に設定されるが、通常50トール〜760トールの減圧ないし常圧が採用される。
第3蒸留工程5を構成する第4蒸留塔の塔頂から得られる精製した回収フェノール(P)は色相の良好なもので、その色相APHAは、10以下である。この精製した回収フェノール(P)はライン14を通して固液分離工程7に導入され、高純度ビスフェノールAを得るための結晶アダクトの洗浄液として使用される。また、この回収フェノール(P)は、必要に応じBPA反応工程1に循環使用することもできる。
図に示した反応生成物の分離工程によれば、第2蒸留工程3の第2蒸留塔における蒸留は、共沸剤(E)の存在下で行われていることから、水及びアセトンの実質的全量を塔頂物として分離することができる。そしてこの塔頂物は低沸点成分回収工程4での第3蒸留塔で供給されるアセトンの実質的全量を第3蒸留塔の塔頂物として分離することができ、第3蒸留塔の塔底物には、実質上アセトン(A)の混入はない。また、第3蒸留塔から塔頂物として分離されるアセトン(A)中にも水は殆ど混入されないことから、回収アセトン(A)の再利用も容易である。
晶析工程6は、前記のようにして分離工程、特に第1蒸留工程2で得られた未反応フェノール(P)、ビスフェノールA(B)及び重質不純物1(H)を含む塔底物(P,H,B)を冷却して、フェノール(P)とビスフェノールA(B)との結晶アダクトを析出させる工程である。この場合、晶析温度は35〜80℃、好ましくは45〜70℃である。この晶析工程6で得られた晶析生成物(結晶アダクトスラリー)は、固液分離工程7に導入される。晶析工程6は、1つ又は複数の晶析段階からなることができる。
固液分離工程7において、結晶アダクトスラリーは、結晶アダクト(P,B)と母液(P,H)とに分離され、結晶アダクト(P,B)は、第3蒸留工程5からライン14を通って抜出された回収フェノール(P)を洗浄液として用いて洗浄処理される。そして、分離された母液(P,H)は、必要に応じ、洗浄済みのフェノールとともに、固液分離工程7から抜出され、ライン17、19を通してBPA反応工程1に循環される。この場合、循環母液の少なくとも一部、通常、1〜20重量%は、これをライン18を通して、後記する母液精製工程に導入して処理する。そして、精製処理された母液は、これをライン25を通して再びBPA反応工程1に循環させる。
固液分離工程7において、結晶アダクトスラリーを濾過処理して結晶アダクト(P,B)を母液(P,H)から分離する場合、そのスラリー中に含まれる結晶アダクト(P,B)のうち、粒径100μm以下の微結晶アダクト成分の少なくとも一部を濾液(母液)側に移行させ、粒径100μm以下の微結晶アダクト成分の割合が20重量%以下、好ましくは15重量%以下の粗大結晶アダクトを得るのが好ましい。この場合、微結晶アダクト成分を濾液側に移行させるためには、フィルター(濾材)の選定や、濾過操作条件の選定によって行うことができる。フィルターとしては、一般的に、その目開が100〜300μm、好ましくは150〜250μmのものが使用される。また、濾過操作条件により微結晶アダクト成分を濾液側に移行させる場合、その微結晶アダクト成分の移行量は、その濾過処理により得られる結晶アダクトケークの厚みやそのケークを逆洗する頻度によって調整することができる。
前記のようにして得られた結晶アダクト(P,B)は、それ自体で不純物含有量の低い高品位のものであるが、さらに、この結晶アダクト(P,B)を、第3蒸留工程5からライン14を通って抜出された回収フェノール(P)で洗浄することによってその品位をさらに向上させることができる。回収フェノール(P)による結晶アダクト(P,B)の洗浄は、結晶アダクト(P,B)と回収フェノール(P)との接触を充分に達し得る方法であればよい。この洗浄処理は、例えば、結晶アダクト(P,B)を分離するための濾過機や遠心分離機等の固液分離装置の中で、母液(P,H)を結晶アダクト(P,B)から除去した後、回収フェノール(P)をその固液分離装置内に導入して洗浄する方法や、固液分離装置から排出される少量の母液が付着する結晶アダクト(P,B)を、別の撹拌槽において回収フェノール(P)により洗浄することもできる。結晶アダクト(P,B)に対する回収フェノール(P)の使用割合は、結晶アダクト(P,B)100重量部に対して、50重量部以上、好ましくは100重量部以上である。
回収フェノール(P)により洗浄処理された結晶アダクト(P,B)は、ビスフェノールAとフェノールの等モル組成からなる結晶であるが、このものは、直接脱フェノール工程8に送り、ここで回収フェノールとしてライン29を通して除去し、高純度の製品ビスフェノールA(B)を回収することができるし、再度晶析工程、晶析生成物分離工程で処理した後、脱フェノール工程8に送り、超高純度の製品ビスフェノールA(B)を回収することができる。結晶アダクト(P,B)からフェノール(P)の除去は、従来公知の方法、例えば、蒸留、抽出、スチームストリッピング等の方法により行うことができる。製品ビスフェノールA(B)は、造粒工程9により適宜の形状に造粒して製品化できる。
前記した結晶アダクトスラリーの濾過と結晶アダクト(P,B)の洗浄処理によれば、結晶アダクト(P,B)表面に付着する着色物質や着色性物質等の吸着性の高い不純物を効率よく除去することができ、これにより、色相にすぐれ、かつ着色を生じにくい熱安定性の良い結晶アダクト(P,B)を容易に得ることができる。また、この結晶アダクト(P,B)からフェノール(P)を除去して得られるビスフェノールA(B)も色相にすぐれ、かつ着色を生じにくい高品位のものである。
前記のようにして固液分離工程7から得られた母液(P,H)は、ライン17、19を通してBPA反応工程1へ循環使用されるが、その循環母液の少なくとも一部はライン18から抜出され、(i)第4蒸留工程32、加熱工程(ii)及び減圧回収工程(iii)、並びに強酸型イオン交換樹脂処理工程による二次反応工程34によって精製処理される。加熱工程と減圧回収工程は、それぞれ独立して実施することができるが、反応塔を用いて反応槽&減圧回収工程33として同時に実施するのが好ましい。
<母液の精製処理>
図2に、図1のライン17,18を通して抜出された母液の精製処理方法の1つの例についての処理系統図を示す。図2において、32はフェノール蒸留を図る第4蒸留工程、33は反応槽33Aと減圧蒸発塔33Bを有する反応塔を有する反応槽&減圧回収工程、34は強酸型イオン交換樹脂塔を備えた二次反応工程を示す。
精製用の原料母液は、ライン18を通って第4蒸留工程32に導入される。ビスフェノールA(B)を含むフェノール溶液の晶析処理においては、通常、複数段の晶析工程6と晶析生成物の固液分離工程7が採用され、それに応じて複数種の母液(P,H)が得られるが、本発明ではこれらの母液の任意のものを精製用の原料母液(P,H)として用いることができる。本発明で用いる好ましい原料母液(P,H)は、第1段目の晶析工程6で得られた第1晶析生成物から固液分離された母液である。この第1晶析生成物から固液分離された母液は、通常、フェノール(P):85重量%、ビスフェノールA(B):5〜10重量%、2,4−ビスフェノールAを含むその他のポリフェノール:1〜5重量%、クロマン化合物等の着色性不純物:2重量%以下アルデヒドやキノン等の加熱により着色物質に変換する着色性不純物:微量を含有する。
第4蒸留工程32では、その蒸留塔において、温度:100〜200℃、好ましくは120〜185℃、圧力:50トール〜常圧条件で蒸留操作される。この第4蒸留工程32では、ライン18から導入される原料母液(P,H)の50〜90重量%、好ましくは65〜85重量%が留出蒸気33aとして留出される。留出量がこの範囲より多くなると、高粘度となり塔底物固化、ライン閉塞等の問題が生じ、一方、この範囲より少ないと、フェノールの濃度が高くなり、加熱工程や減圧回収工程における処理効率や熱効率が低下する等の問題が生じる。
第4蒸留工程32からの留出蒸気32aは、その蒸留塔に付設された凝縮器32bで凝縮されたのち、その一部は還流液32cとして蒸留塔に還流され、残部の凝縮液(留出液)はライン32dを通って反応塔33に付設された減圧凝縮器33aに導入される。このライン32dを通る留出液は、ほぼフェノール100%からなる。一方、第4蒸留工程32の底部から塔底液がライン32eを通して抜出され、この塔底液は、供給される塩基性触媒と共に、反応槽&減圧回収工程の反応塔33の底部の反応槽33Aに導入される(あるいは塩基性触媒の供給は反応塔の反応槽33Aに対して直接行うこともできる。)。反応塔33では、塔底液に含まれる反応性成分の反応と同時に、この反応により生成した生成物を含む濃縮母液の蒸発回収処理が行われる。
第4蒸留工程32の底部から抜出される塔底液は、通常、フェノール(P):10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%で、残りはビスフェノールA(B)、2,4′−ビスフェノールA、その他のポリフェノール、その他の不純物からなる。
反応塔33においては、その底部の反応槽33A内において、濃縮母液中に含まれるビスフェノール、トリスフェノール等のポリフェノールが塩基性触媒の作用により熱分解され、イソプロペニルフェノールとフェノールに転換されるとともに、クロマン化合物等の不純物の重縮合反応が起り、不純物は高沸点物に変換される。塩基性触媒としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、各種フェノール塩、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、各種フェノール塩等が挙げられる。この塩基性触媒の使用割合は、ライン18を通って抜出される濃縮母液中のビスフェノールAを含む全ポリフェノールに対し0.005〜0.8重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。
実施の形態での反応塔33は、底部に反応槽33Aを有し、その反応槽33A上に減圧蒸発塔33Bを立設した構造を有する。この反応塔は、塔底(反応槽33A)温度:200〜350℃、好ましくは220〜300℃、塔内圧力:5トール〜常圧、好ましくは10〜150トールの条件で運転される。減圧蒸発塔33Bの頂部からライン33bを通って抜出されたフェノール及びイソプロペニルフェノールを含む留出蒸気は、付設された減圧凝縮器33aに導入され、ここで凝縮器32bで凝縮された凝縮液(留出液)と混合接触して急冷された後、ライン24を通って強酸型イオン交換樹脂塔を備えた二次反応工程34に導入される。
減圧蒸発塔33Bから抜出される留出蒸気の成分は、フェノール、イソプロペニルフェノール、ビスフェノールA、その他の不純物である。これに対し、ライン33dを通って反応槽33Aから抜出される塔底液(反応液)は、反応槽33Aにライン32eを通して供給される液に対して重量比で0.05〜0.5好ましくは0.05〜0.4である。反応槽33Aの塔底液には高沸点物(ビスフェノールAよりも高い沸点をもつ)が濃縮されるとともに着色性の物質が濃縮されるので、タール・重質不純物2(T)としてライン33dより系外に排出する。
二次反応工程34における強酸型イオン交換樹脂塔においては、減圧凝縮器33aでの混合液、及び次述する廃ポリカーボネートを分解する分解工程から移行される液中(P,H)に含まれるイソプロペニルフェノールとフェノールとの反応によりビスフェノールA(B)が生成される。このビスフェノールA(B)を含む生成物(L,M,P,H,B)はライン25を通って排出され、BPA反応工程1に導入される。
強酸型イオン交換樹脂としては、スルホン基を有するゲル型のものが用いられ、このような強酸型イオン交換樹脂は、従来良く知られているものである。例えば、ロームアンドハース社から入手しえるアンバーライト及びアンバーリストや、三菱化学社から入手し得るダイヤイオン等を好ましく用いることができる。この強酸型イオン交換樹脂を用いる混合液の反応において、その反応温度は45〜130℃、好ましくは50〜100℃であり、接触時間は5〜200分、好ましくは15〜120分である。この強酸型イオン交換樹脂を用いる混合液の反応を行う場合、混合液中の水分は、0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下にする。強酸型イオン交換樹脂塔からライン25を通って抜出される反応生成物の成分は、フェノール(P):85〜95重量%、ビスフェノールA(B):5〜15重量%、好ましくは5〜10重量%、その他の不純物:微量であり、着色性の低いものである。このものは、図示したように、ライン25を通してBPA反応工程1に循環使用される。また必要に応じて、その一部を濃縮晶析してビスフェノールA・フェノール結晶アダクトとすることができる。
反応塔33は、図2に示すように、加熱処理装置Aと滞留槽Bを付設して用いるのが好ましい。かかる反応塔33の運転においては、反応塔の底部の反応槽33Aからライン33pを通って、その塔底物の一部が抜出され、その抜出された塔底物の一部は、第1循環液としてライン33qを通って加熱処理装置Aに導入され、ここで加熱処理を受けた後、ライン33rを通って反応塔33の反応槽33Aに循環される。加熱処理装置Aにおいて、第1循環液は、塩基性触媒の存在下200〜350℃、好ましくは230〜300℃の温度に加熱される。この加熱によって、第1循環液に含まれるポリフェノールは、前記した熱分解反応を受ける。加熱処理装置A内における第1循環液の滞留時間は、1〜60分、好ましくは1〜30分である。一方、反応槽33Aの底部から抜出された塔底物の一部は、第2循環液として、ライン33s、滞留槽B及びライン33tを通って反応塔33の反応槽33Aに循環される。滞留槽Bにおいては、第2循環液は、200〜300℃、好ましくは220〜280℃の温度において、5〜120分好ましくは10〜100分間保持される。この滞留処理によって、母液中に含まれるポリフェノールの解重合が不十分な場合に、更にその解重合が進行するとともに、着色原因物質、たとえばクロマン化合物の重質化が不十分な場合には、更にその重質化が進行し分離の容易な高沸点タール状物に変換される等の効果が得られる。第1循環液の循環量は、ライン32eを通って反応塔33に供給される濃縮母液(P,H)100重量部に対して50〜5000重量部であり、一方、第2循環液の循環量は、同じく10〜10000重量部、好ましくは50〜5000重量部である。
前記した母液(P,H)の精製処理方法においては、母液(P,H)中に含まれる不純物は、反応塔33の塔底又は反応槽33Aにライン33dを通して、タール・重質不純物2(T)として排出される。このタール・重質不純物2(T)にはビスフェノールAよりも高沸点の副生物や、縮合性不純物の縮合物が含まれ、さらに、BPA反応工程1において触媒として高沸点の強酸性物質、例えば、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂を用いた場合には、その触媒から遊離したスルホン化物が含まれる。従って、前記した母液(P,H)の処理方法によれば、その母液(P,H)に含まれているポリフェノール化合物、着色不純物、着色性不純物、さらにはBPA反応工程1で用いた触媒由来の高沸点物(スルホン化物等)は、いずれも濃縮された状態で母液から分離除去される。そして、このようにして副生物及び不純物の除去された母液を、再びBPA反応工程1に循環することによって、母液(P,H)中に含まれる有用成分の損失を抑え、反応系における副生物及び不純物の蓄積を防止することができ、その結果、高純度でかつ着色の防止されたビスフェノールA(B)を得ることができる。
上記の実施の形態によれば、反応系での副生物や不純物の蓄積を防止するとともに、有効成分の損失を抑制して、高純度で色相の良いビスフェノールA(B)をフェノール(P)との結晶アダクト(P,B)として効率良くかつ経済的に製造することができる。また、晶析生成物から分離された母液の精製処理法によれば、触媒由来のスルホン化物等の高沸点物、着色不純物や着色を生じやすい物等の反応性不純物を含む母液から、それらの高沸点物や反応性不純物をタール・重質不純物2(T)として効率よくかつ経済的に除去することができる。処理された精製母液(L,M,P,H,B)は、フェノール(P)及びビスフェノールA(B)を含み、アセトン(A)とフェノール(P)との反応工程に有利に循環使用することができる。そして、このような精製母液を循環使用することにより、反応系における副生物や不純物の蓄積を防止することができる。
<廃ポリカーボネートを分解する分解工程TDの、ビスフェノールAの製造工程(特に母液の精製処理工程)への組み込み形態>
コンパクトディスク(CD)、CD−R、DVD(デジタルビデオディスク)などの用途使用された廃ポリカーボネート(あるいは廃ポリカーボネートを主体とする限り他のプラスチックなど不純物を若干量含んでもよい。)は、図示のように、粉砕工程50を経て、熱分解する熱分解工程51により、フェノールを含む液を得て、これを回収液供給ライン52Bを通して、前記精製後の母液と共に前記二次反応工程へ供給する回収液の供給形態を採ることが望ましい。
廃PC分解工程TDにおける粉砕工程50では、廃ポリカーボネート(廃PC)を受け入れ、貯留し、粉砕する。その粉砕の程度及び形状は特に制限されないが、より小さいほど比表面積が大きく分解の速度が速くなるので、大きい形状のものはあらかじめ粉砕するのが好ましい。もし、所定の形状であれば粉砕工程50は省略することができる。粉砕後の樹脂片の大きさとしては、0.5〜20mmが望ましい。また、樹脂片の形状としては、例えば球状、フレーク状、ブロック状、粉状及びペレット状等であればよい。破砕の方法については、成形加工製品をもとの大きさよりも細かく砕くものであれば、特に限定されるものではなく、通常用いられているロール等の破砕機でよい。
熱分解工程51では、粉砕した廃ポリカーボネートを熱分解し、イソプロペニルフェノール等まで分解する。ポリカーボネートは比重1.2、フェノールは比重1.07であり、樹脂片は沈殿するので、熱分解槽には撹拌手段を設けるのが望ましい。
熱分解工程51としては、芳香族モノヒドロキシ化合物と共に加熱してエステル交換反応により分解する方法(特開平6−287295号に記載の方法)、水と混和性の有機の膨潤作用のある溶媒(メタノールなど)で処理し、アンモニア性水溶液と接触させる方法(特開平10−95741号、米国特許4885407号)、溶媒に環状炭化水素とそのヒドロキシ化合物(シクロヘキサノール等)、カルボニル化合物(シクロヘキサノン等)、不飽和物(シクロヘキセン等)を用い、加熱分解する方法などを採用できる。溶媒に超臨界状態の媒体あるいは亜臨界状態の媒体(特開2002−155162号)を用いてもよい。
熱分解工程51を採用する場合、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムの少なくとも一つの塩基性触媒の存在下で行うことができる。加熱温度は、150℃〜450℃、特に250℃〜400℃が望ましい。溶媒(L,M)としては、フェノール(P)、前記共沸剤(E)と同一の成分を使用するほか、他の物質、たとえば環状炭化水素とそのヒドロキシ化合物(シクロヘキサノール等)、カルボニル化合物(シクロヘキサノン等)、不飽和物(シクロヘキセン等)を用いのが望ましい。
フェノール(P)及び/又は前記共沸剤(E)と同一の成分の物質を熱分解工程51の溶媒として使用する場合、その溶媒由来の不純物が減るので、共沸剤回収工程31を不要とすることができる。
二次反応工程34では、前記熱分解工程51で得られた成分(イソプロペニルフェノール、フェノール)を塩酸や強酸性イオン交換樹脂系触媒の存在下で反応させることでビスフェノールA(B)を含む液を生成する。
廃ポリカーボネート分解・再合成液の投入量は限定しないが、既設ビスフェノールA生産設備のビスフェノールA生産量に対して20質量%以下、特に約10質量%以下が望ましい。
<共沸剤回収工程の例>
共沸剤回収工程としては、蒸留塔を使用するのが望ましい。具体的には、図3に示すように、第1蒸留塔41A及び第2蒸留塔41Bを設け、第1蒸留塔41Aの塔頂から軽質不純物1(L)43Lを抜き出し、第2蒸留塔41Bでは塔頂から共沸剤(E)を、塔底からは軽質不純物2(M)43Mを抜き出す形態が提案される。
また、図4に示すように、第1蒸留塔41A及び第2蒸留塔41Bを設け、第1蒸留塔41Aの塔底から軽質不純物2(M)43Mを抜き出し、第2蒸留塔41Bでは塔頂から軽質不純物1(L)43Lを、塔底からは共沸剤(E)を抜き出す形態でもよい。
さらに、図5に示すように、高沸点不純物量が少ない場合、単一の蒸留塔41Aを設け、塔頂から軽質不純物1(L)43Lを抜き出し、塔頂から共沸剤(E)を抜き出す形態でもよい。
これらの形態において、各蒸留塔の塔頂及び塔底には還流用凝縮器が設けられている。
(比較例1)
廃ポリカーボネート分解液を投入しない場合の運転例を表1に示す。
(実施例1)
図1及び図2に図示した、廃ポリカーボネートの投入を行う場合の運転例を表2に示す。各表中の最上欄の数値は、図1の記入と同じ部位を示す。また、欄内の数値は、各成分の重量百分率を示す。
Figure 2005330188
Figure 2005330188
これらの対比から、廃ポリカーボネートの投入を行うとしても、得られるビスフェノールAの純度は、非投入の場合と同じに純度と同じ100.0%であることが判る。したがって、廃ポリカーボネートを分解する分解工程を、ビスフェノールAの製造工程に組み込むことに経済的にも意味のあることが判る。
(比較例2)
比較例2は廃ポリカーボネート分解液を投入するものの、共沸剤回収をしない場合の例である。
上記実施例1と同様に、液液分離工程には4立方メートルのタンクを用いている。このタンクでは液面高さにより流量の変動を吸収するため、変動幅となる容量差を約0.85立方メートルとしている。
エチルベンゼン2505kg/h、水1005kg/hを含む流れに、シクロヘキサノン95kg/h、シクロヘキサノール379kg/h及びシクロヘキセン55kg/hが流入した場合の液液分離工程において、排水には水1001kg/h、シクロヘキサノン1.4kg/h、シクロヘキサノール15kg/h、及びシクロヘキセン0.2kg/hが含まれている。
すなわち、流入した溶剤のうち、シクロヘキサノンは98%、シクロヘキサノールは96%、シクロヘキセンはほぼ100%エチルベンゼン相に移行する。
実施例1においてはエチルベンゼン相に共沸剤回収工程を設置することで、これら不純物を除去し、エチルベンゼン相への蓄積を回避している。
しかるに、比較例2においては、共沸剤回収工程を用いずに廃ポリカーボネート分解液を投入して運転したところ、溶剤由来の不純物の蓄積により約1.5時間でタンクがオーバーフローし、運転不可能の状態となった。したがって廃ポリカーボネート分解液を投入する際には共沸剤を用いた蒸留塔による未反応成分回収工程がある場合、共沸剤回収工程が有効であることが判る。
本発明のビスフェノールAの製造工程のフローシートである。 その要部の詳細を示すフローシートである。 共沸剤回収工程の第1の実施の形態を示すフローシートである。 共沸剤回収工程の第2の実施の形態を示すフローシートである。 共沸剤回収工程の第3の実施の形態を示すフローシートである。
符号の説明
1…BPA(ビスフェノールA)反応工程、2…第1蒸留工程、3…第2蒸留工程、4…低沸点成分回収工程、5…第3蒸留工程、6…晶析工程、7…固液分離工程、8…脱フェノール工程、9…造粒工程、31…共沸剤回収工程、32…第4蒸留工程、33…反応槽&減圧回収工程、34…二次反応工程、50…廃PC粉砕工程、51…熱分解工程、52B…回収液供給ライン。

Claims (15)

  1. アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる反応工程、この反応工程から得られた反応生成物を、アセトンと、水と、フェノールと、ビスフェノールAを含むフェノール溶液とに分離する分離工程、前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させる晶析工程、この晶析工程で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分離する固液分離工程及びこの固液分離工程で得られた母液を前記反応工程へ循環させる循環工程からなるビスフェノールAの製造方法であって、
    前記循環母液の少なくとも一部を、前記反応工程における副生物及び不純物を分離除去処理する母液精製工程と、精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応工程と、この二次反応工程で生成したビスフェノールAを含む母液を前記反応工程へ供給する母液返送工程とを含み、
    さらに、廃ポリカーボネートを分解する分解工程を含み、
    分解した後の液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応工程へ供給することを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
  2. 母液精製工程が、蒸留塔に導入した母液を留出させてフェノールを含む留出液を得る蒸留工程(i)、この蒸留工程(i)で得られた蒸留塔の塔底液を、塩基性触媒の存在下で加熱する加熱工程(ii)、この加熱工程(ii)で得られた生成物を減圧蒸発して、フェノール及びイソプロペニルフェノールを含む留出蒸気を得る減圧回収工程(iii)、この減圧回収工程(iii)で得られた留出蒸気を、蒸留工程(i)で得られた留出液と接触させて急冷する急冷工程(iv)、この急冷工程(iv)で得られた急冷物を二次反応工程に供給する工程(v)を包含する請求項1記載のビスフェノールAの製造方法。
  3. 加熱工程(ii)と減圧回収工程(iii)を、反応塔を用いて同時に行う請求項2のビスフェノールAの製造方法。
  4. 反応塔からその塔底液の一部を抜出し、塩基性触媒の存在下で加熱処理した後、反応塔に循環する請求項3のビスフェノールAの製造方法。
  5. 急冷工程(iv)で得られた急冷物を、反応工程に循環するに際し、この急冷物を強酸型イオン交換樹脂と接触させてビスフェノールAを生成させる二次反応工程を含む請求項2〜4のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
  6. 廃ポリカーボネートを分解する分解工程が、溶媒として、フェノール及び分離工程で使用する共沸剤の少なくとも一方を使用し、加熱し、液相分解するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
  7. 共沸剤を使用するものの、製造プロセス内で共沸剤回収を行わない請求項6記載のビスフェノールAの製造方法。
  8. 分解工程が、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムの少なくとも一つの塩基性触媒の存在下で行うものである請求項6または7記載のビスフェノールAの製造方法。
  9. 次記の工程を含むことを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
    (1)アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる反応工程、
    (2)前記反応工程による反応生成物を、ビスフェノールAを含む液と、未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液とに分離する蒸留工程、
    (3)前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させる晶析工程、
    (4)前記晶析工程で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分離する固液分離工程、
    (5)前記固液分離工程で得られた母液を前記反応工程へ循環させる母液循環工程、
    (6)前記晶析工程での晶析物からビスフェノールAを得る成品化工程、
    (7)共沸剤の存在下で、前記蒸留工程からの未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液を、未反応フェノールを含む液と未反応アセトンを含む液とに分離する回収分離工程、
    (8)前記循環母液の少なくとも一部を、前記反応工程における副生物及び不純物を分離除去処理する母液精製工程、
    (9)精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応工程、
    (10)前記二次反応工程で生成したビスフェノールAを含む母液を前記反応工程へ供給する母液返送工程、
    (11)廃ポリカーボネートを分解する分解工程、
    (12)分解した後の液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応工程へ供給する回収液供給工程、
    (13)前記回収分離工程において使用した共沸剤を含む液を回収して、不純物を除去し、分離した共沸剤を、前記回収分離工程において再利用を図る共沸剤回収工程。
  10. 回収分離工程が:ビスフェノールAを含む液と、未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液とに分離する蒸留工程からの、未反応フェノール及び未反応アセトン含む液を、未反応フェノールを含む液と未反応アセトンを含む液とに分離する第2の蒸留工程と、この第2の蒸留工程からの前記未反応アセトンを含む液を、未反応アセトンを含む液と水及び共沸剤を含む液とに分離する低沸点成分回収工程と、この低沸点成分回収工程からの前記水及び共沸剤を含む液から水を分離する液液分離工程とを流れの順に有し、
    共沸剤回収工程が:前記液液分離工程からの前記水を含む液から水を分離した後の共沸剤を含む液を回収して、不純物と共沸剤と分離するものであり、
    共沸剤再利用工程が:前記共沸剤回収工程で分離した共沸剤を、前記第2の蒸留工程に戻して再利用を図るものである、
    請求項9記載のビスフェノールAの製造方法。
  11. 共沸剤回収工程は、共沸剤と第1の軽質不純物と第2の軽質不純物とに分離するものである請求項9または10のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
  12. 分解工程に先立って、廃ポリカーボネートを粉砕する粉砕工程を有し、前記分解工程は前記粉砕工程よりの粉砕物からフェノールを含む液に分解するものである請求項1〜11のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
  13. 共沸剤が、ベンゼン、アルキルベンゼン類、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、及びシクロヘキセンである群から選ばれた一種または二種以上である請求項9〜12のいずれか1項に記載のビスフェノールAの製造方法。
  14. アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる反応手段、この反応手段から得られた反応生成物を、アセトンと、水と、フェノールと、ビスフェノールAを含むフェノール溶液とに分離する分離手段、前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させる晶析手段、この晶析手段で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分離する固液分離手段及びこの固液分離手段で得られた母液を前記反応手段へ循環させる循環手段からなるビスフェノールAの製造装置であって、
    前記循環母液の少なくとも一部を、前記反応手段における副生物及び不純物を分離除去処理する母液精製手段と、精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応手段と、この二次反応手段で生成したビスフェノールAを含む母液を前記反応手段へ供給する母液返送手段とを含み、
    さらに、廃ポリカーボネートを分解する分解手段と、分解した後の液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応手段へ供給する回収液供給手段とを備えることを特徴とするビスフェノールAの製造装置。
  15. 次記の手段を含むことを特徴とするビスフェノールAの製造装置。
    (1)アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールAを生成させる反応手段、
    (2)前記反応手段による反応生成物を、ビスフェノールAを含む液と、未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液とに分離する蒸留手段、
    (3)前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液からビスフェノールAとフェノールとの結晶アダクトを析出させる晶析手段、
    (4)前記晶析手段で得られた晶析生成物から結晶アダクトと母液を分離する固液分離手段、
    (5)前記固液分離手段で得られた母液を前記反応手段へ循環させる母液循環手段、
    (6)前記晶析手段での晶析物からビスフェノールAを得る成品化手段、
    (7)共沸剤の存在下で、前記蒸留手段からの未反応フェノール及び未反応アセトンを含む液を、未反応フェノールを含む液と未反応アセトンを含む液とに分離する分離手段、
    (8)前記循環母液の少なくとも一部を、前記反応手段における副生物及び不純物を分離除去処理する母液精製手段、
    (9)精製後の母液を反応させてビスフェノールAを生成させる二次反応手段、
    (10)前記二次反応手段で生成したビスフェノールAを含む母液を前記反応手段へ供給する母液返送手段、
    (11)廃ポリカーボネートを分解する分解手段、
    (12)分解した後の液を、前記精製後の母液と共に前記二次反応手段へ供給する回収液供給手段、
    (13)前記分離手段において使用した共沸剤を含む液を回収して、不純物を除去し、分離した共沸剤を、前記分離手段において再利用を図る共沸剤回収手段。
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