JP2795009B2 - 変性プロピレン重合体および変性プロピレン重合体とポリフェニレンエーテルからなる熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

変性プロピレン重合体および変性プロピレン重合体とポリフェニレンエーテルからなる熱可塑性樹脂組成物

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JP2795009B2
JP2795009B2 JP3286109A JP28610991A JP2795009B2 JP 2795009 B2 JP2795009 B2 JP 2795009B2 JP 3286109 A JP3286109 A JP 3286109A JP 28610991 A JP28610991 A JP 28610991A JP 2795009 B2 JP2795009 B2 JP 2795009B2
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博臣 安倍
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形や押出成形な
どによる成形品の製造などに利用できる新規な変性プロ
ピレン重合体に関するものである。さらに、本発明は、
変性プロピレン重合体を一成分とする熱可塑性樹脂組成
物に関するものである。該熱可塑性樹脂組成物は、射出
成形や押出成形などにより、成形品などに利用できる。
【0002】
【従来の技術】プロピレン重合体は、成形加工性、強靱
性、耐水性、耐薬品性などに優れており、しかも低比重
でかつ安価であることから、各種成形品やフィルム、シ
ートとして従来から広く利用されている。しかし、プロ
ピレン重合体は、耐熱性、剛性、耐衝撃性、塗装性、帯
電防止性、接着性等において難点があるか、または改良
を必要としており、これらが新規の用途開拓を妨げてい
る。特に塗装性、帯電防止性、機械的物性の改良は強く
望まれている。
【0003】また、ポリフェニレンエーテルは耐熱性、
耐熱水性、寸法安定性および機械的、電気的性質などの
優れた性質をもつ樹脂であるが、溶融粘度が高い、成形
性が悪い、耐薬品性が悪い、耐衝撃性が低い等の欠点を
有している。ポリフェニレンエーテルとプロピレン重合
体とを配合し、両者の特徴を有し、成形加工性、耐衝撃
性を改良した樹脂組成物が得られたならば、広汎な新規
用途の可能性が期待されるところである。しかしなが
ら、実際には、ポリフェニレンエーテルにプロピレン重
合体を配合しても相溶性が悪く、射出成形などで得られ
る成形品は、ポリフェニレンエーテルとプロピレン重合
体が相分離し、外観の著しく悪いものしか得られず、か
つ機械的性質も劣るものであり、実用に耐え得るもので
ない。しかし、市場においては、ポリフェニレンエーテ
ルの優れた耐熱性を保ちながら、高い耐衝撃性、優れた
耐候性を有する樹脂組成物が要求されている。
【0004】ポリフェニレンエーテルとプロピレン重合
体の相溶性を向上させる方法としては特開平1−207
349号公報に記載のように、ポリフェニレンエーテル
にスチレン系単量体をグラフト共重合させたプロピレン
重合体を配合する方法がある。ポリフェニレンエーテル
にスチレンまたはスチレンおよびスチレンと共重合可能
な単量体との混合物をグラフト共重合したプロピレン重
合体、ゴムなどを配合することにより耐熱性、機械的性
質に優れた組成物が得られることは特開平1−2073
49、同1−234462号公報などに開示されてい
る。またアミノ基含有ポリオレフィン、極性基含有ポリ
フェニレンエーテルを含む樹脂組成物については特開平
2−173137号公報に開示されている。
【0005】しかしながら、該樹脂組成物を使用した成
形品は場合によっては耐衝撃性、耐熱性、あるいは成形
加工性などがかならずしも十分でなかったり、伸び、抗
張率、耐薬品性が不十分であったり、射出成形品のウェ
ルド部の機械物性が不十分であったりして用途によって
は該樹脂組成物を使用するのが困難な場合があり、ある
いは高価であったりして、これら諸物性を向上した安価
な樹脂組成物が市場から強く要求されるところであっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗装
性、帯電防止性、機械的物性に優れた変成プロピレン重
合体および該変成プロピレン重合体とポリフェニレンエ
ーテルからなり、耐熱性、溶融流動性、加工性、耐薬品
性、耐衝撃性、外観および光沢の優れた熱可塑性樹脂組
成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を行った結果、本発明を完成する
に至った。
【0008】すなわち、本発明は、プロピレン重合体1
00重量部に、下記の(a)〜(d)の単量体および単
量体の組合せからなる群から選ばれた少なくとも1つの
単量体もしくは単量体の組合せが1〜200重量部グラ
フト共重合され、プロピレン重合体1分子当りの平均グ
ラフト鎖数が1〜10であり、グラフト鎖の重量平均重
合度が1〜100であり、重量平均分子量が1000〜
500,000の変性プロピレン重合体および該変性プ
ロピレン重合体を一成分とする熱可塑性樹脂組成物に関
するものである。 (a)アミノ基含有スチレン系単量体 (b)スチレン系単量体およびアミノ基含有単量体であ
り、該スチレン系単量体と該アミノ基含有単量体の重量
比が0.01〜100の範囲であるもの。 (c)アミノ基含有スチレン系単量体およびスチレン系
単量体であり、該アミノ基含有スチレン系単量体と該ス
チレン系単量体の重量比が0.01〜100の範囲であ
るもの。 (d)アミノ基含有スチレン系単量体およびアミノ基含
有単量体であり、該アミノ基含有スチレン系単量体と該
アミノ基含有単量体の重量比が0.01〜100の範囲
内であるもの。 (ただし、上記のスチレン系単量体およびアミノ基含有
単量体は、アミノ基含有スチレン系単量体を除く。)
【0009】変性プロピレン重合体のグラフト鎖を構成
する単量体が200重量部を越えた場合、あるいはグラ
フト鎖の重量平均重合度が100を越えた場合、変性プ
ロピレン重合体の成形加工性が低下して好ましくない。
変性プロピレン重合体の重量平均分子量が1000未満
の場合、変性プロピレン重合体の機械的物性が不十分で
あり、また重量平均分子量が500,000を越えると
変性プロピレン重合体の成形加工性が低下して好ましく
ない。
【0010】本発明の変性プロピレン重合体の原料であ
るプロピレン重合体とは、プロピレン単独重合体または
優位量のプロピレンと炭素数2〜18個の範囲の他のα
−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体を意
味する。該プロピレン重合体の具体例としては、エチレ
ン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重
合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン
−4−メチル−1−ペンテン共重合体、 プロピレン−1
−オクテン共重合体などを挙げることができる。
【0011】また、該プロピレン重合体には、必要に応
じてエチレン−α−オレフィン共重合体および/または
該共重合体のスチレン変性物を配合することができる。
配合するエチレン−α−オレフィン共重合体としては、
その密度が0.82〜0.92g/cm3 であるものが
好ましく用いられる。
【0012】該プロピレン重合体としては、必要に応じ
て高結晶性プロピレン重合体を使用することができる。
ここでいう高結晶性プロピレン重合体とは、たとえば特
開平1−247457号公報に記載されているような、
プロピレンのホモポリマーまたはブロックコポリマーの
第1工程で重合された第1セグメントであるプロピレン
のホモポリマー部分の沸騰ヘプタン不溶部のアイソタク
チック・ペンタッド分率が0.970以上のもの等をい
う。また、高い剛性が要求される分野においては、公知
の造核剤をプロピレン重合体に配合することが好まし
い。
【0013】また、このほか、炭素数6以上のビニルシ
クロアルカン重合体も造核剤として有効に作用すること
が知られている。すなわち、特開平1−234462号
公報に記載されている、プロピレン重合体に炭素数6以
上のビニルシクロアルカン重合体をブレンドして得られ
る組成物であって、ビニルシクロアルカン単位を該組成
物中に0.05〜10000wtppm含有するプロピ
レン重合体組成物は、より高い結晶性を有するので好ま
しい。
【0014】また、先述の高結晶性プロピレン重合体に
該ビニルシクロアルカン重合体をブレンドすることによ
って高剛性のプロピレン重合体を得ることができる。プ
ロピレン重合体(プロピレン単独重合体、およびプロピ
レン共重合体)は単独で、もしくは2種類以上を併用し
て用いることができる。
【0015】本発明の変性プロピレン重合体において、
プロピレン重合体にグラフト共重合させる単量体とし
て、下記の(a)〜(d)の単量体および単量体の組合
せからなる群から選ばれた少なくとも1つの単量体もし
くは単量体の組合せが挙げられる。 (a)アミノ基含有スチレン系単量体。 (b)スチレン系単量体およびアミノ基含有単量体であ
り、該スチレン系単量体と該アミノ基含有単量体の重量
比が0.01〜100の範囲であるもの。 (c)アミノ基含有スチレン系単量体およびスチレン系
単量体であり、該アミノ基含有スチレン系単量体と該ス
チレン系単量体の重量比が0.01〜100の範囲であ
るもの。 (d)アミノ基含有スチレン系単量体およびアミノ基含
有単量体であり、該スチレン系単量体と該アミノ基含有
単量体の重量比が0.01〜100の範囲内であるも
の。 (ただし、上記のスチレン系単量体およびアミノ基含有
単量体は、アミノ基含有スチレン系単量体を除く。)
【0016】アミノ基含有スチレン系単量体とは、プロ
ピレン重合体にグラフト共重合可能な、アミノ基を含有
するスチレン系単量体を意味する。該単量体として、一
級または二級アミノ基を分子中に有するスチレン系単量
体が好ましく用いられる。具体的には、アミノスチレ
ン、アミノメチルスチレンなどが好ましく用いられる。
いずれも各種異性体を含む。該アミノ基含有スチレン系
単量体は単独でまたは2種以上の混合物として用いるこ
とができる。
【0017】次に、スチレン系単量体とは、アミノ基含
有スチレン系単量体を除く一般式化1
【0018】
【化1】 (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 およびR5 は同一また
は異なるものであり、各々水素原子、ハロゲン原子、炭
化水素または置換炭化水素基、炭化水素オキシまたは置
換炭化水素オキシ基を表し、R6 は水素原子または炭素
数1〜4の低級アルキル基を表す。)で示される。
【0019】上記の一般式中のR1 ,R2 ,R3 ,R4
およびR5 の具体例としては、水素原子;塩素、臭素、
ヨウ素などのハロゲン原子;メチル、エチル、プロピ
ル、ビニル、アリル、ベンジル、メチルベンジルなどの
炭化水素基;クロロメチル、ブロモメチルなどの置換炭
化水素基;メトキシ、エトキシ、フェノキシ、モノクロ
ロメトキシなどの炭化水素オキシ基または置換炭化水素
オキシ基などが含まれる。また、R6 の具体例として
は、水素原子、メチル、エチルなどの低級アルキル基な
どが挙げられる。
【0020】スチレン系単量体の具体例としては、スチ
レン、2,4−ジクロルスチレン、p−メトキシスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−
ジビニルベンゼン、p−(クロロメトキシ)−スチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチル−α−メチルスチ
レン、m−メチル−α−メチルスチレン、p−メチル−
α−メチルスチレン、p−メトキシ−α−メチルスチレ
ンなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上の
混合物として用いることができる。これらの中でもスチ
レンが好ましく用いられる。
【0021】次に、アミノ基含有単量体とは、アミノ基
を含有する、プロピレン重合体にグラフト共重合可能な
単量体であって、アミノ基含有スチレン系単量体を除く
ものを意味する。該単量体として一級もしくは二級アミ
ノ基および炭素−炭素二重結合もしくは三重結合を分子
内に有する単量体が好ましく用いられる。具体的にはア
リルアミン、ジアリルアミン、ビニルイミダゾール、ア
リルアニリン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N
−フェニルメタクリルアミドなどが好ましく用いられ
る。該アミノ基含有単量体は単独でまたは2種以上の混
合物として用いることができる。
【0022】本発明の変性プロピレン重合体を調製する
ためのグラフト共重合体成分として、前記の(a)〜
(d)の単量体もしくは単量体の組合せのほかに、スチ
レン系単量体と共重合し得る単量体を、ともに用いるこ
ともできる。
【0023】ここで、そのようなスチレン系単量体と共
重合し得る単量体の具体例としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、フマル酸およびマレイン酸、
ビニルケトン、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸、塩化ビニリデン、マレイン酸エステル、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、アクリル酸エチル、アク
リル酸プロピル、アクリル酸ブチル、塩化ビニル、酢酸
ビニル、ジビニルベンゼン、酸化エチレン、塩化ビニリ
デン、マレイン酸エステル、イソブテン、アルキルビニ
ルエーテル、アネトール、インデン、クマロン、ベンゾ
フラン、1,2−ジヒドロナフタリン、アセナフチレ
ン、イソプレン、クロロプレン、トリオキサン、1,3
−ジオキソラン、プロピレンオキシド、β−プロピオラ
クトン、ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレ
ン、1−ビニルナフタリン、2−ビニルナフタリン、
2,3−ジメチルブタジエン、エチレン、プロピレン、
アリルトリメチルシラン、3−ブテニルトリメチルシラ
ン、ビニルカルバゾール、フマルニトリルなどを挙げる
ことができる。また、これら単量体の誘導体も使用する
ことができる。これらは、単独でまたは2種以上の混合
物として用いることができる。
【0024】本発明の変性プロピレン重合体を製造する
方法としては、懸濁グラフト共重合法、乳化グラフト共
重合法、溶液グラフト共重合法あるいは溶融グラフト共
重合法等が挙げられる。これらの中では、懸濁グラフト
共重合法および溶融グラフト共重合法が好ましい。
【0025】具体的には、水相中にプロピレン重合体、
前記の(a)〜(d)の単量体および単量体の組合せか
らなる群から選ばれた少なくとも1つの単量体もしくは
単量体の組合せ、分散剤、ラジカル開始剤などを投入
し、撹拌しながら昇温することによって、プロピレン重
合体に前記の(a)〜(d)の単量体および単量体の組
合せからなる群から選ばれた少なくとも1つの単量体も
しくは単量体の組合せをグラフト共重合するという懸濁
グラフト共重合法を挙げることができる。
【0026】具体的に好ましい懸濁グラフト共重合法と
しては、10〜50℃の温度において、水、分散剤およ
びプロピレン重合体粒子を分散させた系に、前記の
(a)〜(d)の単量体および単量体の組合せからなる
群から選ばれた少なくとも1つの単量体もしくは単量体
の組合せ、および有機過酸化物などのラジカル開始剤を
導入し、次に該系を20〜80分間かけて100〜13
0℃の温度範囲に昇温した後、該温度範囲にて30〜1
20分間保持反応させてなる方法が挙げられる。
【0027】この際、プロピレン重合体100重量部に
対し前述の(a)〜(d)の単量体および単量体の組合
せからなる群から選ばれた少なくとも1つの単量体もし
くは単量体の組合せを1〜200重量部、プロピレン重
合体と前述の単量体の合計量100重量部に対し水50
〜1000重量部、分散剤0.05〜10重量部および
ラジカル開始剤0.01〜10重量部を使用するのが適
当である。
【0028】該分散剤としては、公知のものを使用でき
るが、特に分散剤として使用する化合物のうち50重量
%以上が、一般式化2、化3で表される化合物であるこ
とが好ましい。
【0029】
【化2】 (ここに、a〜hはそれぞれ5〜1000の数字を表
し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)
【0030】
【化3】 (ここに、i、j、kはそれぞれ10〜1000の数字
を表す。)
【0031】次に、好ましい溶融グラフト共重合法とし
ては、プロピレン重合体、前記の(a)〜(d)の単量
体および単量体の組合せからなる群から選ばれた少なく
とも1つの単量体もしくは単量体の組合せ、およびラジ
カル開始剤を配合し、180〜280℃の温度範囲で溶
融混練する方法が挙げられる。
【0032】溶融グラフト共重合法における原料の配合
割合としてはプロピレン重合体100重量部に対して、
前述の(a)〜(d)の単量体および単量体の組合せか
らなる群から選ばれた少なくとも1つの単量体もしくは
単量体の組合せが1〜50重量部が好ましい。ここで、
混練温度が180℃に達していないと各成分を均一に混
練するのが困難であり、また、混練温度が280℃を越
えると混練の際、プロピレン重合体の分解が生じるため
好ましくない。
【0033】混練する装置に特に制限はなく、通常の混
練装置を用いることができる。溶融混練には一般に使用
されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等
の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機
が好ましい。
【0034】本発明でいう変性プロピレン重合体は、プ
ロピレン重合体の1分子中に、前記の(a)〜(d)の
単量体および単量体の組合せからなる群から選ばれた少
なくとも1つの単量体もしくは単量体の組合せから形成
されるグラフト鎖を有するものを意味するが、実際には
前記の共重合反応を行った後でも、該重合物には変性が
生じていない原料プロピレン重合体が含まれることもあ
る。実用に際しては該重合物をそのまま供してもよく、
あるいは溶媒を用いて該重合物中から変性が生じていな
い原料プロピレン重合体を除去してもよい。
【0035】また、アニオン重合によって、まずスチレ
ン系単量体とグリシジルアクリレートの共重合体を製造
し、次にこの共重合体とプロピレン重合体を以下に示す
ようなラジカル開始剤、アミノ基含有スチレン系単量体
等とともに溶融混練して、変性プロピレン重合体を得る
方法や、同様にして、まずスチレン系単量体とアクリロ
ニトリルの共重合体を製造し、次にこの共重合体とプロ
ピレン重合体をスチレン系単量体、アミノ基含有スチレ
ン系単量体および以下に示すようなラジカル開始剤とと
もに溶融混練して、変性プロピレン重合体を得る方法等
が挙げられる。
【0036】ここで、上記変性プロピレン重合体を製造
する際に用いるラジカル開始剤は特に限定されず、例え
ば特開平2−160856号公報に記載されているよう
なラジカル開始剤を適宜選択使用することができる。
【0037】本発明の変性プロピレン重合体には必要に
応じて難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、造核
剤、帯電防止剤、無機または有機系着色剤、防錆剤、架
橋剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、蛍光剤、表面平滑剤、表
面光沢改良剤などの各種添加剤を配合することができ
る。
【0038】難燃剤について更に詳しく説明すると、本
発明において有用な難燃剤は当業者に広く知られている
一群の化合物を含む。一般的には、これらの中でより重
要な化合物、例えば特開平2−160856号公報など
に記載されているような臭素、塩素、アンチモン、リン
および窒素のような難燃性を付与できるこれらの元素を
含む化合物が用いられる。例えば、ハロゲン化有機化合
物、酸化アンチモン、酸化アンチモンとハロゲン化有機
化合物、酸化アンチモンとリン化合物、リン単体あるい
はリン化合物、リン化合物あるいはリン−窒素結合を有
する化合物とハロゲン含有化合物、あるいはこれらの2
種以上を混合したものなどが用いられる。
【0039】次に、本発明は該変性プロピレン重合体と
変性ポリフェニレンエーテルからなる熱可塑性樹脂組成
物に関する。すなわち、本発明は、(A)アミノ基と反
応し得る官能基を分子内に有する化合物で変性されたポ
リフェニレンエーテル、(B)プロピレン重合体100
重量部に、下記の(a)〜(d)の単量体および単量体
の組合せからなる群から選ばれた少なくとも1つの単量
体もしくは単量体の組合せが1〜200重量部グラフト
共重合され、プロピレン重合体1分子当りの平均グラフ
ト鎖数が1〜10であり、グラフト鎖の重量平均重合度
が1〜100であり、重量平均分子量が1000〜50
0,000の変性プロピレン重合体からなり、成分
(A)が99〜1重量%、成分(B)が1〜99重量%
である熱可塑性樹脂組成物に関するものである。 (a)アミノ基含有スチレン系単量体。 (b)スチレン系単量体およびアミノ基含有単量体であ
り、該スチレン系単量体と該アミノ基含有単量体の重量
比が0.01〜100の範囲であるもの。 (c)アミノ基含有スチレン系単量体およびスチレン系
単量体であり、該アミノ基含有スチレン系単量体と該ス
チレン系単量体の重量比が0.01〜100の範囲であ
るもの。 (d)アミノ基含有スチレン系単量体およびアミノ基含
有単量体であり、該スチレン系単量体と該アミノ基含有
単量体の重量比が0.01〜100の範囲内であるも
の。 (ただし、上記のスチレン系単量体およびアミノ基含有
単量体は、アミノ基含有スチレン系単量体を除く。)
【0040】本発明における成分(A)の変性ポリフェ
ニレンエーテルの原料となるポリフェニレンエーテルと
は一般式化4
【0041】
【化4】 (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 およびR5 は水素,ハ
ロゲン原子,炭化水素基もしくは置換炭化水素基から選
ばれたものであり、そのうち、少なくとも1個は水素原
子である。)で示されるフェノール化合物の少なくとも
1種を酸化カップリング触媒を用い、酸素または酸素含
有ガスで酸化重合させて得られる重合体である。
【0042】上記一般式におけるR1 ,R2 ,R3 ,R
4 およびR5 の具体例としては、水素、塩素、臭素、フ
ッ素、ヨウ素、メチル、エチル、n−またはiso−プ
ロピル、pri−、sec−またはt−ブチル、クロロ
エチル、ヒドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジ
ル、ヒドロキシメチル、カルボキシエチル、メトキシカ
ルボニルエチル、シアノエチル、フェニル、クロロフェ
ニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェ
ニル、アリル基などが挙げられる。
【0043】上記一般式の具体例としては、フェノー
ル、o−、m−およびp−クレゾール、2,6−、2,
5−、2,4−、および3,5−ジメチルフェノール、
2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェ
ニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メ
チル−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,
6−および2,4,6−トリメチルフェノール、3−メ
チル−6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチ
ル−6−アリルフェノールなどが挙げられる。さらに、
上記一般式以外のフェノール化合物、たとえばビスフェ
ノール−A、テトラブロモビスフェノール−A、レゾル
シン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のような多価ヒ
ドロキシ芳香族化合物と上記一般式との共重合物もよ
い。これらの化合物の中で好ましいものとしては、2,
6−ジメチルフェノールおよび2,6−ジフェニルフェ
ノールの単独重合体並びに大量部の2, 6−キシレノー
ルと少量部の3−メチル−6−t−ブチルフェノールま
たは2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体が挙
げられる。
【0044】フェノール化合物を酸化重合させる際に用
いられる酸化カップリング触媒は、特に限定されるもの
ではなく、重合能を有するいかなる触媒でも使用し得
る。たとえば、その代表的なものとしては、塩化第1銅
−トリメチルアミンを始めとして、特開平2−1608
56号公報等に記載されている触媒等が挙げられる。
【0045】ポリフェニレンエーテルを得る酸化重合を
40℃より高い温度で行う場合(高温重合) と40℃以
下で行なう場合(低温重合)とでは、得られる重合体の
物性等に違いがあることが知られているが、本発明にお
いては、高温重合または低温重合のどちらでも採用する
ことができる。
【0046】本発明における成分(A)のアミノ基と反
応し得る官能基を分子内に有する化合物で変性されたポ
リフェニレンエーテルとしては、具体的には以下に示す
化合物(a)〜(c)の群から選ばれる1種またはそれ
以上の化合物とポリフェニレンエーテルとを反応させる
ことにより得られるものなどが挙げられる。
【0047】(a)分子内に下記の(I)群から選ばれ
た少なくとも1種の基と、(II)群から選ばれた少な
くとも1種の基を同時に有する化合物。 (I)炭素−炭素二重結合および三重結合。 (II)カルボキシル基、酸無水物基、酸アミド基、イ
ミド基、エポキシ基、カルボン酸エステル基、イソシア
ネート基、メチロール基、オキサゾリン環を有する基お
よび水酸基。
【0048】具体例としては、無水マレイン酸、マレイ
ン酸、フマール酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジ
ド、 無水マレイン酸とジアミンとの反応物、たとえば
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】 (ただし、Rは脂肪族、芳香族基を示す。)などで表さ
れる構造を有するもの、無水メチルナジック酸、無水ジ
クロロマレイン酸、マレイン酸アミド、大豆油、キリ
油、ヒマシ油、アマニ油、麻実油、綿実油、ゴマ油、菜
種油、落花生油、椿油、オリーブ油、ヤシ油、イワシ油
などの天然油脂類、エポキシ化大豆油などのエポキシ化
天然油脂類、アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニ
ル酢酸、メタクリル酸、ベンテン酸、アンゲリカ酸、チ
グリン酸、2−ベンテン酸、3−ベンテン酸、α−エチ
ルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、4−ベンテン
酸、2−ヘキセン酸、2−メチル−2−ベンテン酸、3
−メチル−2−ベンテン酸、α−エチルクロトン酸、
2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−ヘプテン酸、2
−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウンデセン酸、10−
ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、4−
テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、9−ヘキサデセ
ン酸、2−オクタデセン酸、9−オクタデセン酸、アイ
コセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、マイコリベン酸、
2,4−ペンタジエン酸、2,4−ヘキサジエン酸、ジ
アリル酢酸、ゲラニウム酸、2,4−デカジエン酸、
2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン
酸、9,12−オクタデカジエン酸、ヘキサデカトリエ
ン酸、リノール酸、リノレン酸、オクタデカトリエン
酸、アイコサジエン酸、アイコサトリエン酸、アイコサ
テトラエン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、オ
レイン酸、アイコサペンタエン酸、エルシン酸、ドコサ
ジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ド
コサペンタエン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセン酸、
ヘキサコジエン酸、オクタコセン酸、トラアコンテン酸
などの不飽和カルボン酸、あるいはこれら不飽和カルボ
ン酸のエステル、酸アミド、無水物、あるいはアリルア
ルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノ
ール、アリルカルビノール、メチルプロペニルカルビノ
ール、4−ペンテン−1−オール、10−ウンデセン−
1−オール、プロパルギルアルコール、1,4−ペンタ
ジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オー
ル、3,5−ヘキサジエン−2−オール、2,4−ヘキ
サジエン−1−オール、3−ブテン−1,2−ジオー
ル、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオー
ル、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、2,6
−オクタジエン−4,5−ジオールなどの不飽和アルコ
ール、あるいはこのような不飽和アルコールのOH基
が、−NH2 基に置き換った不飽和アミンあるいはグリ
シジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリ
ルグリシジルエーテル等が挙げられる。中でも無水マレ
イン酸、フマール酸、イタコン酸、無水ハイミック酸、
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、
アリルグリシジルエーテルが好適である。
【0051】また、(I)群の官能基を2個以上、(I
I)群の官能基を2個以上(同種または異種)含んだ化
合物も使うことも可能であり、これらの化合物を2種以
上使うことも可能である。
【0052】 (b)一般式(R1 O)m R(COOR2 n (CONR3 4 s 〔ここで、 R:アルキル基(炭素数:2〜20、好ましくは2〜10) R1 :水素、アルキル基、アシル基またはカルボニルジ
オキシ基(炭素数:1〜10、好ましくは1〜6、さらに
好ましくは1〜4、特に好ましくは水素)、またはアリ
ール基(炭素数:6〜20) R2 :水素、アルキル基(炭素数:1〜20、好ましくは
1〜10)、またはアリール基(炭素数:6〜20) R3 およびR4 :水素,アルキル基(炭素数:1〜10、
好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4)、または
アリール基(炭素数:6〜20) m=1 n+s≧2、好ましくは2または3 n≧0 s≧0 (R1 O)はカルボニル基のα位またはβ位に位置し、
1組の近接するカルボニル基において、2〜6個の炭素
原子が存在する。〕によって、表される飽和脂肪族ポリ
カルボン酸およびその誘導体化合物。
【0053】具体的には、飽和脂肪族ポリカルボン酸の
エステル化合物、アミド化合物、無水物、水和物および
塩などを示す。飽和脂肪族ポリカルボン酸として、クエ
ン酸、リンゴ酸、アガリシン酸などである。酸エステル
化合物として、クエン酸のアセチルエステル、モノまた
はジステアリルエステルなどが挙げられる。酸アミド化
合物として、クエン酸のN,N’−ジエチルアミド、
N,N’−ジ・プロピルアミド、N−フェニルアミド、
N−ドデシルアミド、N,N’−ジ・ドデシルアミド、
またリンゴ酸のN−ドデシルアミドなどが挙げられる。
【0054】(c)一般式X−Z−Y 〔式中、Xは式:
【0055】
【化7】 (式中X’は、F、Cl、Br、I、OH、OR5 、ま
たは−O−CO−R5 で、R5 はH、アルキル基または
アリール基である)で表される基であり、Yはカルボキ
シル基、酸無水物基、酸アミド基、イミド基、カルボン
酸エステル基またはヒドロキシル基であり、XおよびY
の基は、炭化水素である結合Zを介して共有的に結合し
ている〕の化合物。具体的には、クロロホルミルこはく
酸無水物、クロロエタノイルこはく酸無水物、トリメリ
ット酸無水物、酢酸無水物、テレフタル酸クロライド等
が挙げられる。(a)から(c)に掲げた、これらの官
能基を分子内に含有する化合物の中で特に好ましいもの
は、不飽和ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0056】本発明において、少なくとも1種の官能基
を分子内に有する化合物(a)〜(c)を変性用に用い
る量は、ポリフェニレンエーテル100重量部に対し、
0.01〜20重量部であり、好ましくは、0.1〜1
0重量部である。該化合物の使用量が0.01重量部未
満の場合、本発明による熱可塑性樹脂組成物の機械的強
度が十分でなく、20重量部を越えると、該樹脂組成物
の着色や流動性低下等がおこり好ましくない。
【0057】ポリフェニレンエーテルと該変性用化合物
を反応させる方法については、周知の溶媒を用いて、ラ
ジカル発生剤の存在下または非存在下にて反応させる方
法や、溶媒の非存在下でポリフェニレンエーテルの溶融
する温度にて溶融混練により効率的に反応させる方法等
があり、いずれの方法を用いてもよい。本発明の熱可塑
性樹脂組成物における成分(A)の変性されたポリフェ
ニレンエーテルに、必要に応じて未変性のポリフェニレ
ンエーテルを配合することもできる。
【0058】本発明の(A)アミノ基と反応し得る官能
基を分子内に有する化合物で変性されたポリフェニレン
エーテルと(B)特定の群から選ばれた少なくとも1種
の単量体もしくは単量体の組合せがグラフト共重合され
た変性プロピレン重合体からなる熱可塑性樹脂組成物
は、耐熱性、機械的特性、外観等種々の面において、単
に変性ポリフェニレンエーテルとプロピレン重合体だけ
の熱可塑性樹脂組成物、あるいは変性ポリフェニレンエ
ーテルと変性プロピレン重合体中のスチレン連鎖の分子
間力だけで界面が形成される熱可塑性樹脂組成物よりも
優れている。本発明におけるこの作用は変性ポリフェニ
レンエーテル中の官能基と変性プロピレン重合体中のア
ミノ基の反応および変性ポリフェニレンエーテルと変性
プロピレン重合体中のスチレン連鎖の分子間力とが相ま
って、本発明による熱可塑性樹脂組成物中の変性プロピ
レン重合体および変性ポリフェニレンエーテルの界面で
の結合力および変性ポリフェニレンエーテルの分散性な
どを著しく向上させるためと考えられる。
【0059】本発明においては、成分(A)、成分
(B)の組成比が特定の範囲内の値をとることによっ
て、目的とする熱可塑性樹脂組成物を得ることができ
る。本発明における成分(A)と成分(B)の比率は成
分(A)が99〜1重量%、成分(B)が1〜99重量%が
好ましい。成分(A)と成分(B)の割合は、成分
(A)が1重量%未満であると組成物の耐熱性が不十分
であり、また99重量%を越すと組成物の加工性、耐薬品
性などが不十分になる。
【0060】本発明の樹脂組成物においては、成分
(A)が分散相、成分(B)が連続相であることがより
好ましい。この場合には、該組成物の耐薬品性、成形性
などが優れ、該組成物成形品の外観も良好であり好まし
い。該組成物において、このような形態を実現するに
は、成分(A)と成分(B)の比率が、成分(A)が8
0〜1重量%、成分(B)が20〜99重量%であるこ
とが好ましい。さらに好ましくは、成分(A)が70〜
1重量%、成分(B)が30〜99重量%がよい。
【0061】本発明の樹脂組成物において、必要に応じ
て成分(A)の変性ポリフェニレンエーテルに未変性の
ポリフェニレンエーテルを配合することができ、また成
分(B)の変性プロピレン重合体に未変性のプロピレン
重合体を配合することができる。特に未変性のプロピレ
ン重合体を配合したときには、伸び率が向上する点で好
ましい。ここで、変性ポリフェニレンエーテルと未変性
ポリフェニレンエーテルとは十分に相溶し、また変性プ
ロピレン重合体と未変性プロピレン重合体とは十分に相
溶する。これらの場合においても、上述と同じ理由によ
り、相溶したポリフェニレンエーテル部分が分散相、相
溶したプロピレン重合体部分が連続相であることが好ま
しい。
【0062】本発明における熱可塑性樹脂組成物におい
て成分(B)の変性プロピレン重合体にさらに未変性プ
ロピレン重合体を配合した場合、成分(A)、成分
(B)および未変性プロピレン重合体の各々の比率は、
成分(A)が1〜90重量%、成分(B)が94〜1重
量%、プロピレン重合体が5〜98重量%であることが
好ましい。さらに好ましくは成分(A)が1〜80重量
%、成分(B)が94〜10重量%、プロピレン重合体
が10〜89重量%がよい。
【0063】本発明の樹脂組成物においては、特に耐衝
撃性を改善する目的で所望により成分(C)としてゴム
様物質が用いられる。ここでいうゴム様物質とは、室温
で弾性体である天然および合成の重合体材料を言う。
【0064】その具体例としては、天然ゴム、ブタジエ
ン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共
重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などすべ
て含まれる。)、またはその水素添加物、イソプレン重
合体、クロロブタジエン重合体、ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体、イソブチレン重合体、イソブチレン
−ブタジエン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重
合体、アクリル酸エステル共重合体、エチレン−α−オ
レフィン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体また
はその水素添加物、スチレン−エチレン−ブチレン共重
合体、スチレン−ブチレン共重合体、スチレン−エチレ
ン−プロピレン−共重合体、パーフルオロゴム、フッ素
ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴ
ム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合
体、チオコールゴム、多硫化ゴム、ポリウレタンゴム、
ポリエーテルゴム(例えばプロピレンオキシド等)、エ
ピクロルヒドリンゴム、ポリエステルエラストマー、ポ
リアミドエラストマー、エポキシ基含有共重合体などを
挙げることができる。ここでいうエポキシ基含有共重合
体とは、不飽和エポキシ化合物とエチレン系不飽和化合
物とからなる共重合体である。
【0065】成分(A)と成分(B)の和に対する成分
(C)の組成比については、成分(A)と成分(B)の
重量和 100重量部に対し、成分(C)が0〜60重量部が
好ましい。成分(A)と成分(B)の重量和 100重量部
に対し成分(C)が60重量部を越えると組成物の耐熱性
が大幅に低下し好ましくない。
【0066】本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物に
おいては、特に成形品の剛性、寸法安定性などを改良す
る目的で、所望により無機充填剤が用いられる。このよ
うな無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、ク
レー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化
チタン、アルミナ、石膏等が例示され、中でもタルク、
炭酸カルシウムが好ましく使用される。このような無機
充填剤は平均粒径が0.05〜10μmのものが好ましく用い
られる。 粒径が0.05μm未満だと、成形品の寸法安定
性、剛性の改良効果が小さくなり、また10μmを越すと
成形品の表面光沢が著しく損なわれ、本発明の目的を達
成することができない。また該無機充填剤としてガラス
繊維を用いることもできる。
【0067】本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物に
は上記の各成分の他に、必要に応じて溶融流動性改良剤
を用いることができる。溶融流動性改良剤としては周知
のものを使用することができるが、好ましいものとして
はホワイトオイル、流動パラフィン、低分子量炭化水素
樹脂、低分子量ポリオレフィンなどを挙げることがで
き、これらの変性物も使用することができる。ここでい
うホワイトオイルは特開平2−238051号公報に記載され
ているもの等が用いられる。
【0068】また、流動パラフィンは原油を常圧および
真空蒸留してから、不飽和分、芳香族分、硫黄分などを
除いたものをいう。また、ここでいう低分子量炭化水素
樹脂は特開平2−160858号公報に記載されているもの等
が用いられる。溶融流動性改良剤は、上記に例示のもの
を単独で、もしくは2種以上を併用して用いることがで
きる。
【0069】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に
応じて、さらに酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃
剤、滑剤、帯電防止剤、無機または有機系着色剤、防錆
剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改
良剤などの各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の
加工工程において添加することができる。難燃剤につい
て更に詳しく説明すると、本発明において有用な難燃剤
は当業者に広く知られている一群の化合物を含む。一般
的には、これらの中でより重要な化合物、例えば特開平
2−160856号公報などに記載されているような臭素、塩
素、アンチモン、リンおよび窒素のような難燃性を付与
できるこれらの元素を含む化合物が用いられる。例え
ば、ハロゲン化有機化合物、酸化アンチモン、酸化アン
チモンとハロゲン化有機化合物、酸化アンチモンとリン
化合物、リン単体あるいはリン化合物、リン化合物ある
いはリン−窒素結合を有する化合物とハロゲン含有化合
物、あるいはこれらの2種以上を混合したものなどが用
いられる。
【0070】本発明における熱可塑性樹脂組成物を製造
する方法に特に制限はなく、通常の公知の方法を用いる
ことができる。例えば、溶液状態で混合し、溶剤を蒸発
させるか、非溶剤中に沈澱させる方法が効果的である
が、工業的見地からみて実際には溶融状態で混練する方
法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸
または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用
いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。混
練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシ
エルミキサーのような装置で均一に混合することが好ま
しいが、必要な場合には混合を省き、混練装置にそれぞ
れ別個に定量供給する方法も用いることができる。混練
された樹脂組成物は、射出成形、押出成形、その他各種
の成形法によって成形されるが、予め混練の過程を経
ず、射出成形や押出成形時にドライブレンドして溶融加
工操作中に混練して本発明の樹脂組成物とし、直接成形
加工品を得ることもできる。
【0071】本発明においては、混練順序に特に制限は
なく、成分(A)、成分(B)および成分(C)を一括
混練してよく、また予め成分(A)と成分(B)を混練
した後、次いで成分(C)を混練してもよい。さらに、
その他の混練順序もとり得る。
【0072】
【発明の効果】本発明の変性プロピレン重合体は、塗装
性、帯電防止性および機械的物性に優れたものであり、
このような特性を生かして射出成形や押出成形により成
形品、シート、チューブ、フィルム、繊維、積層物、コ
ーティング材等に用いられるものである。また、高分子
のアロイ化剤としても用いることができる。本発明の熱
可塑性樹脂組成物は、耐熱性、溶融流動性、加工性、耐
薬品性、耐衝撃性、外観および光沢の優れた樹脂組成物
であり、このような特性を生かして射出成形や押出成形
により成形品、シート、チューブ、フィルム、繊維、積
層物、コーティング材等に用いられるものである。
【0073】本発明の変性プロピレン重合体および熱可
塑性樹脂組成物は、特に自動車部品、例えばバンパー、
グローブボックス、コンソールボックス、ブレーキオイ
ルタンク、ラジエーターグリル、クーリングファン、ラ
ンプハウジング、エアクリーナー、インストルメントパ
ネル、ドアトリム、リアエンドトリム、ドアーパネル、
サイドプロテクター、エアーインテーク、ガーニッシ
ュ、トランクリッド、シロッコファン、ルーフ等の内装
・外装材料、さらには機械部品にも用いられる。また二
輪車用部品として、例えばカバリング材、マフラーカバ
ー、レッグシールド等に用いられる。また、光ファイバ
ーケーブル被覆材、さらに、電気、電子部品としてハウ
ジング、シャーシー、コネクター、プリント基板、プー
リー等に用いられる。特に変性プロピレン重合体は、強
度および帯電防止性の要求される部品に用いられる。ま
た、特に該変性プロピレン重合体とポリフェニレンエー
テルからなる熱可塑性樹脂組成物は、強度および耐熱性
の要求される部品に用いられる。
【0074】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、こ
れらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定される
ことはない。なお、ポリフェニレンエーテルをPPE、
プロピレン重合体をPPと略記することがある。
【0075】(I)プロピレン重合体の物性測定方法 〔重量平均分子量〕プロピレン重合体はすべて実験室で
製造したものを用いた。プロピレン重合体、変性プロピ
レン重合体の重量平均分子量(以下Mwということがあ
る)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法
(以下GPC法ということがある)により常法に従って
求めた。 〔スチレン含量〕変性プロピレン重合体中のスチレン含
量は、ホモプロピレン重合体とポリスチレンの量比を変
えて混合、作成した標準試料を用いて赤外線吸収分光
(IR)検量線を作り、変成プロピレン重合体のIR測
定を行って求めた。 〔アミノ基含有単量体含量〕変性プロピレン重合体中の
アミノ基含有単量体含量は、変成プロピレン重合体中の
窒素含量を原子吸光法で求め、それから換算した。
【0076】〔アミノ基含有スチレン系単量体含量〕上
記スチレン含量を求める場合と同様にしてアミノ基含有
スチレン系単量体含量を求めた。アミノ基含有スチレン
系単量体とアミノ基含有単量体の両者が変性プロピレン
重合体にグラフト共重合している場合は、変性プロピレ
ン重合体中の窒素含量を原子吸光法で求め、それからI
R測定で求めたアミノ基含有スチレン系単量体含量を差
し引いてアミノ基含有単量体含量を求めた。
【0077】〔曲げ弾性率〕プロピレン重合体、変性プ
ロピレン重合体の曲げ弾性率は東芝機械(株)製IS1
50E−V型射出成形機を用いて、成形温度250〜2
30℃、金型冷却温度70℃で射出成形した成形品につ
いて、ASTM D790に従って測定を行った。
【0078】〔塗装性〕塗装性の測定は以下のようにし
て実施した。 塗装テスト用板サンプルの作成:本発明の樹脂組成物を
上記の射出成形機にて樹脂温度230℃にコントロール
して150mm(L)×90mm(W)×2mm(T)
の板状サンプルを得た。 塗装性テスト:上記の板サンプルを1,1,1−トリク
ロルエタン蒸気(74℃)の中で30秒間、表面洗浄し
て常温乾燥後、直接にウレタン系塗料(日本ビーケミカ
ル社製、フレキセン101)をスプレー塗装し、120
℃のオーブン中で30分間焼き付け仕上げを行った。
【0079】次に、この塗装サンプルを24時間放置し
た後、塗装サンプルの塗膜にカミソリ刃にて2mm角の
ゴバン目100個(縦10×横10)を刻み、その上に
24mm幅のセロテープ(商品名、ニチバン(株)製)
を指で圧着した後、その端面をつかんで一気に引きはが
した時に残存したゴバン目の数を残率(%)として評価
した。
【0080】〔表面抵抗〕変性プロピレン重合体の帯電
防止性はその表面抵抗値で評価した。試料の表面抵抗
は、上記射出成形機を用いて作成した10×10×0.
2(mm)のシートについて測定を行った。その際絶縁
抵抗計を使用し、測定温度23℃、印加電圧500Vで
1分後の表面抵抗値を測定した。
【0081】(II)熱可塑性樹脂組成物の物性測定方
法 物性測定は二軸押出機を用いてシリンダー温度 260〜33
0 ℃で組成物を混練した後、東芝機械(株)製IS 150
E−V型射出成形機を用いて、成形温度 260℃〜 330
℃、金型温度70〜140 ℃で射出成形した成形品について
行った。荷重たわみ温度試験(HDT) はJIS K72
07、アイゾット衝撃強度(厚さ3.2 mm)はJIS K
7110に従い測定した。ポリフェニレンエーテルの還元粘
度(ηSP/c)は 0.5g/dl溶液のクロロホルム溶液に
ついて25℃で測定した値である。プロピレン重合体のメ
ルトフローインデックス(MI)はJIS K6758に従
い、温度230 ℃、荷重2.16kgで測定した。
【0082】射出成形品の外観は以下の基準で評価し
た。 ○:外観は美しく、フローマーク、色調変化などは認め
られない。 ×:成形品表面にフローマーク、色調変化などが認めら
れる。 組成物の形態観察は、次の通り行なった。射出成形品を
ミクロトームで切削して、四塩化炭素でエッチングす
る。それを走査型電子顕微鏡を用いて観察して、次のよ
うに分類した。 A:ポリフェニレンエーテル部分(変性PPEおよび未
変性PPE)が分散相、プロピレン重合体部分(変性P
Pおよび未変性PP)が連続相。 B:ポリフェニレンエーテル部分が連続相、プロピレン
重合体が分散相。
【0083】曲げ弾性率はASTM D790 に従って、
射出成形品のウエルド部、非ウエルド部の各々について
測定した。面衝撃強度はレオメトリックス社(米国)製
High Rate Impact Tester (RIT-8000型)を用い3mm
厚の平板試験機片を2インチの円形保持具で固定し、5
/8インチ(先端球面5/16インチR) のインパクトプ
ローブを用い、23℃で該インパクトプローブを速度 1.5
m/秒で試験片にあて、評価した。材料が破壊するに要
するエネルギー値をジュール(J)で表示した。
【0084】(III)熱可塑性樹脂組成物の原料 (1)成分(A)の変性ポリフェニレンエーテル (i)ηSP/c=0.35の日本ポリエーテル(株)製ポリ
フェニレンエーテル 100重量部に無水マレイン酸 6.1重
量部、スチレン 2.9重量部をラジカル開始剤(商品名パ
ーブチルPV、日本油脂(株)製)、安定剤(商品名イ
ルガノックス1010、チバガイギー社製)と共に配合
しヘンシェルミキサーを用いて混合後、東芝機械(株)
製二軸押出機を使用してシリンダー温度 265℃で造粒し
変性ポリフェニレンエーテルを得た。以下該変性ポリフ
ェニレンエーテルをA−1と略記する。 (ii)ηSP/c=0.4 の日本ポリエーテル(株)製ポ
リフェニレンエーテル100重量部に無水マレイン酸 8.1
重量部、スチレン5重量部をラジカル開始剤(商品名パ
ーブチルPV)、安定剤(商品名イルガノックス101
0)と共に配合しヘンシェルミキサーを用いて混合後、
東芝機械(株)製二軸押出機を使用してシリンダー温度
270℃で造粒し変性ポリフェニレンエーテルを得た。以
下該変性ポリフェニレンエーテルをA−2と略記する。
【0085】(2)成分(B)の変性プロピレン重合体 (i)ホモポリプロピレン(MI=4.9 ) 100重量部、
p−アミノスチレン(東京化成(株)製) 3.9重量部を
ラジカル開始剤(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート)、安定剤とともに二軸押出機に投入し、
窒素雰囲気下で、シリンダー温度 270℃で混練を行い、
変性プロピレン重合体を得た。以下該変性プロピレン重
合体をB−1と略記する。 (ii)p−アミノスチレン(東京化成(株)製) 3.9
重量部の替わりにアミノメチルスチレン 2.3重量部、ス
チレン 5.9重量部を用いた以外はB−1の場合と同様に
して変性プロピレン重合体を得た。以下該変性プロピレ
ン重合体をB−2と略記する。 (iii)ブロックポリプロピレン(MI=6.2 ) 100
重量部、p−アミノスチレン(東京化成(株)製)12重
量部、スチレン6重量部、グリシジルメタクリレート3
重量部をラジカル開始剤(商品名パーブチルPV)、分
散剤(商品名プルロニックF68、旭電化(株)製)、
水とともにオートクレーブ中に投入し、窒素雰囲気下97
℃で約1時間反応させて変性プロピレン重合体を得た。
以下該変性プロピレン重合体をB−3と略記する。
【0086】(iv)プロピレン重合体として、ホモポ
リプロピレン(MI=3.8 )のペレット 100重量部を、
スチレンモノマー12重量部、グリシジルメタクリレート
1重量部、ジアリルアミン14重量部を分散剤(商品名メ
トローズ90SH−100、信越化学工業(株)製)、
ラジカル開始剤(商品名パーブチルPV)、および水と
ともにオートクレーブ中に投入し、窒素を吹き込みなが
ら、 100℃で約1時間反応させた後冷却し、変性プロピ
レン重合体を回収した。以下この変性プロピレン重合体
をB−4と略記する。 (v)ジアリルアミンを使用しなかった以外はB−4と
同様にして変性プロピレン重合体を製造した。以下この
変性プロピレン重合体をB−5と略記する。 (vi)プロピレン重合体としてブロックプロピレン重
合体(MI=7.4 )のペレット 100重量部、スチレン27
重量部、アリルアニリン5重量部、ジアリルアミン4重
量部を分散剤(商品名プルロニックF68)、ラジカル
開始剤(1,1 −ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5 −
トリメチルシロキサン)、水とともにオートクレーブ中
に投入し、窒素を吹き込みながら90℃で約1時間反応さ
せた後冷却し、変性プロピレン重合体を回収した。以下
この変性プロピレン重合体をB−6と略記する。 (3)成分(C)のゴム様物質 略 称 内 容 C−1:無水マレイン酸およびスチレンで変性したエチレン−プロピレン−ジエ ン共重合体ゴム C−2:エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム 商品名エスプレン E301(住友化学工業(株)製、ML1+4 100℃=55) C−3:エチレン−エポキシアクリレート共重合体 商品名ボンドファスト2C (住友化学工業(株)製)
【0087】実施例1 原料ホモプロピレン重合体(Mw=12600)100
重量部、スチレン11重量部、ジアリルアミン28重量
部を水500重量部、分散剤(メトローズ90SH−1
00(商品名)、信越化学工業(株)製)1.6重量部
をラジカル開始剤t−ブチルパーオキシピバレート1.
2重量部とともにオートクレーブ中に投入し、窒素雰囲
気下、102℃で約1時間反応させた。この重合反応に
より得られた重合体中から、メチルエチルケトン処理に
より、変性プロピレン重合体と同時に生成した未グラフ
トのスチレンおよびジアリルアミンの共重合体を抽出し
た。次にキシレン処理によりホモプロピレン重合体を抽
出除去することにより変性プロピレン重合体を得た。こ
の際のグラフト効率は83%であった。以下該変性プロ
ピレン重合体をP−1と略称することがある。
【0088】ここでメチルエチルケトン処理で抽出され
た未グラフトのスチレンとジアリルアミンの共重合体の
MwをGPC法を用いて測定してグラフト鎖のMwを求
めた。またこのMwと変性前後のプロピレン重合体のM
wから換算して変成プロピレン重合体(A−1)一分子
中の平均グラフト鎖数を求めた。これらの結果を表1に
示す。以下の変性プロピレン重合体でも同様にして平均
グラフト鎖数を求めた。得られた変性プロピレン重合体
の諸物性を表2に示す。
【0089】図1に得られた変成プロピレン重合体(A
−1)および原料ホモプロピレン重合体のIRスペクト
ルを示す。また図2にポリスチレンのIRスペクトル
(赤外線吸収図説総攬,三共出版)、図3にスチレン単
量体、および図4にジアリルアミン単量体のIRスペク
トル(IRスペクトルのアルドリッチ図説、THE A
LDRICH LIBRARY OF INFRARE
D SPECTRA)を示す。該変成プロピレン重合体
(A−1)には、そのIRスペクトルからこれらフリー
の単量体は存在しないことがわかる。図1に矢印で示す
ように、約700、755および890cm-1に、ホモ
プロピレン重合体にはないIR吸収が変成プロピレン重
合体にはあり、これらはグラフト共重合したスチレンお
よびジアリルアミンに基づくものであることがわかる。
【0090】比較例1 ホモプロピレン重合体(Mw=12600)の諸物性を
表2に示す。
【0091】実施例2 ホモプロピレン重合体(Mw=18000)100重量
部、スチレン9重量部、ビニルイミダゾール46重量
部、グリシジルメタクリレート12重量部を水400重
量部、分散剤(メトローズ90SH−100(商品
名)、信越化学(株)製)3.1重量部、ラジカル開始
剤t−ブチルパーオキシピバレート0.8重量部ととも
にオートクレーブ中に投入し、96℃で約1時間反応さ
せた後、重合体を回収し真空乾燥を行った。さらに実施
例1と同様の処理を行って変性プロピレン重合体を得
た。この際のグラフト効率は72%であった。以下該変
性プロピレン重合体をP−2と略称することがある。得
られた変性プロピレン重合体のグラフト鎖数等を表1
に、諸物性を表2に示す。
【0092】比較例2 ホモプロピレン重合体(Mw=18000)の諸物性を
表2に示す。
【0093】実施例3 ランダムプロピレン重合体(エチレン含量2.1重量
%,Mw=45100)100重量部、アリルアニリン
7重量部、p−アミノスチレン9重量部を安定剤(イル
ガノックス1010(商品名)、チバガイギー社製)
0.1重量部、ラジカル開始剤t−ブチルパーオキシピ
バレート1.2重量部とともに二軸押出機に投入し、シ
リンダー温度230℃で溶融混練を行った。得られた重
合体を実施例1の場合と同様の処理を行って変性プロピ
レン重合体を得た。この際のグラフト効率は52%であ
った。以下該変性プロピレン重合体をP−3と略称する
ことがある。得られた変性プロピレン重合体のグラフト
鎖数等を表1に、諸物性を表2に示す。
【0094】比較例3 ホモプロピレン重合体(Mw=45100)の諸物性を
表2に示す。
【0095】実施例4 実施例2で得られた変性プロピレン重合体(P−2)7
5重量部とホモプロピレン重合体(Mw=18000)
25重量部を、ラジカル開始剤t−ブチルパーアセテー
ト0.4重量部、安定剤(イルガノックス1010(商
品名)、チバガイギー社製)0.3重量部とともに二軸
押出機に投入し、シリンダー温度230℃で溶融混練し
て変性プロピレン重合体組成物を得た。得られた変性プ
ロピレン重合体組成物の物性を表2に示す。以上の実施
例、比較例から、本発明の変性プロピレン重合体は優れ
た塗装性、帯電防止性、機械的物性を示すことがわか
る。
【0096】実施例5〜12、比較例4〜12 表3〜6に示す組成で各成分を配合、混練し、物性測定
を行った。得られた結果を表3〜6に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の本発明の変性ポリプロピレンと原料
のホモポリプロピレンのIRスペクトルである。 (変性ポリプロピレン───実線、ホモポリプロピレン
───点線)
【図2】ポリスチレンのIRスペクトルである。
【図3】スチレンのIRスペクトルである。
【図4】ジアリルアミンのIRスペクトルである。
フロントページの続き (72)発明者 山本 正志 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−129351(JP,A) 特開 平5−209025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 255/02 C08G 81/02 C08L 51/06 C08L 51/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロピレン単独重合体またはプロピレンと
    炭素数2〜18個の範囲の他のα−オレフィンとのラン
    ダムもしくはブロック共重合体よりなる結晶性プロピレ
    ン重合体100重量部に、下記の(a)〜(d)の単量
    体および単量体の組み合わせからなる群から選ばれた少
    なくとも1つの単量体もしくは単量体の組み合わせが1
    〜200重量部グラフト共重合され、プロピレン重合体
    1分子当りの平均グラフト鎖数が1〜10であり、グラ
    フト鎖の重量平均重合度が1〜100であ、重量平均
    分子量が1000〜500,000の変性プロピレン重
    合体。 (a)アミノ基含有スチレン系単量体。 (b)スチレン系単量体およびアミノ基含有単量体であ
    り、該スチレン系単量体と該アミノ基含有単量体の重量
    比が0.01〜100の範囲であるもの。 (c)アミノ基含有スチレン系単量体およびスチレン系
    単量体であり、該アミノ基含有スチレン系単量体と該ス
    チレン系単量体の重量比が0.01〜100の範囲であ
    るもの。 (d)アミノ基含有スチレン系単量体およびアミノ基含
    有単量体であり、該アミノ基含有スチレン系単量体と該
    アミノ基含有単量体の重量比が0.01〜100の範囲
    であるもの。 (ただし、上記のスチレン系単量体およびアミノ基含有
    単量体は、アミノ基含有スチレン系単量体を除く。)
  2. 【請求項2】 結晶性プロピレン重合体が、高結晶性プロ
    ピレン重合体であることを特徴とする請求項1記載の変
    性プロピレン重合体。
  3. 【請求項3】 結晶性プロピレン重合体が、プロピレンの
    ホモポリマーまたはブロックコポリマーの第1工程で重
    合された第1セグメントであるプロピレンのホモポリマ
    ー部分の沸騰ヘプタン不溶部のアイソタクチック・ペン
    タッド分率が0.970以上のものであることを特徴と
    する請求項1記載の変性プロピレン重合体。
  4. 【請求項4】 (A)アミノ基と反応し得る官能基を分子
    内に有する化合物で変性されたポリフェニレンエーテ
    ル、(B)請求項1〜3のいずれかに記載の変性プロピ
    レン重合体からなり、成分(A)が99〜1重量%、成
    分(B)が1〜99重量%である熱可塑性樹脂組成物。
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