JP2000109680A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物

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JP2000109680A
JP2000109680A JP10287690A JP28769098A JP2000109680A JP 2000109680 A JP2000109680 A JP 2000109680A JP 10287690 A JP10287690 A JP 10287690A JP 28769098 A JP28769098 A JP 28769098A JP 2000109680 A JP2000109680 A JP 2000109680A
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polyorganosiloxane
polyphenylene ether
resin composition
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JP10287690A
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Satoru Moritomi
悟 森冨
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 難燃性及び耐衝撃性に優れ、ハロゲン及びリ
ンを含有しないポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。 【解決手段】 下記の(A)、(B)、(C)及び
(D)を溶融混練したポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物。 (A):ポリフェニレンエーテル系樹脂 (B):カルボン酸基、酸無水物基、酸アミド基、イミ
ド基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、アミノ基、
イソシアネート基、オキサゾリン環を含有する基及び水
酸基のうち少なくとも一種を含有する化合物 (C):アミノ基、エポキシ基、水酸基、フェノール
基、カルボキシル基、アミド基、メタクリロキシ基、ア
ルコキシ基、エステル基及びイミド基のうち少なくとも
一種を含有するポリオルガノシロキサン) (D)ポリオルガノシロキサン

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂組成物に関するものである。更に詳しく
は、本発明は、難燃性及び耐衝撃性に優れ、かつハロゲ
ン及びリンを含有しないポリフェニレンエーテル系樹脂
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル系樹脂は、優れ
た機械的特性、電気的特性、耐熱性、加水分解性及び寸
法安定性を有し、広範囲に使用されている熱可塑性エン
ジニアリングプラスチック樹脂である。
【0003】ポリフェニレンエーテル系樹脂に、難燃性
を付与する目的で、ハロゲン系化合物又はリン系化合物
を配合することが行われている。しかしながら、近年、
ハロゲン系化合物あるいはリン系化合物を含有する樹脂
組成物の環境に及ぼす影響が懸念され、非ハロゲン系、
非リン系の樹脂組成物の要求が高まっている。
【0004】非ハロゲン系、非リン系化合物を用いた難
燃化組成物に関する検討は、行われているが、耐衝撃性
等の機械的物性と難燃性との物性バランスに優れたポリ
フェニレンエーテル系樹脂組成物は見出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況の下、本発
明が解決しようとする課題は、難燃性及び耐衝撃性に優
れ、かつハロゲン及びリンを含有しないポリフェニレン
エーテル系樹脂組成物を提供する点に存する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ポリフェニ
レンエーテル化合物の難燃性と機械的物性について鋭意
検討した結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂、官能基
を有する化合物、官能基を有するポリオルガノシロキサ
ン及び特定の構造を有するポリオルガノシロキサンを溶
融混練して得られる組成物が上記の課題を解決すること
を見出し、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、下記の(A)、
(B)、(C)及び(D)を溶融混練して得られるポリ
フェニレンエーテル系樹脂組成物に係るものである。 (A):ポリフェニレンエーテル系樹脂 (B):分子内に、カルボン酸基、酸無水物基、酸アミ
ド基、イミド基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、
アミノ基、イソシアネート基、オキサゾリン環を含有す
る基及び水酸基のうち少なくとも一種を含有する少なく
とも一種の化合物(ただし、下記の(C)を除く。) (C):分子内にアミノ基、エポキシ基、水酸基、フェ
ノール基、カルボキシル基、アミド基、メタクリロキシ
基、アルコキシ基、エステル基及びイミド基のうち少な
くとも一種を含有するポリオルガノシロキサン(ただ
し、上記の(B)及び下記の(D)を除く。) (D):下記一般式(I)の構造単位及び下記一般式
(II)の構造単位を含有するポリオルガノシロキサン
(ただし、上記の(C)を除く。) (式中R1、R2及びR3は、独立して、アルキル基又は
アリール基を表す。)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の(A)は、ポリフェニレ
ンエーテル系樹脂である。
【0009】ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、下記
一般式(III)で示されるフェノール化合物の一種又は
二種以上を酸化カップリング触媒を用い、酸素又は酸素
含有ガスで酸化重合せしめて得られる(共)重合体であ
る。 (式中、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ水素
原子、炭化水素基又は置換炭化水素基から選ばれたもの
であり、そのうち必ず1個は水素原子である。)
【0010】上記一般式におけるR4、R5、R6、R7
びR8の具体例としては、水素、メチル、エチル、n−
又はiso−プロピル、pri−、sec−又はt−ブ
チル、ヒドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、
ヒドロキシメチル、カルボキシエチル、メトキシカルボ
ニルエチル、シアノエチル、フェニル、メチルフェニ
ル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリルなどが
あげられる。
【0011】上記一般式の具体例としては、フェノー
ル、o−、m−又はp−クレゾール、2,6−、2,5
−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−メ
チル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフ
ェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−
6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−又
は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6
−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル−6−
アリルフェノールなどがあげられる。更に、上記一般式
以外のフェノール化合物、たとえば、ビスフェノール−
A、レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のよ
うな多価ヒドロキシ芳香族化合物と上記一般式で示され
るフェノール化合物とを共重合体の原料としてもよい。
これらの化合物の中では、2,6−ジメチルフェノー
ル、2,6−ジフェニルフェノール、3−メチル−6−
t−ブチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェ
ノールが好ましい。
【0012】フェノール化合物を酸化重合せしめる際に
用いる酸化カップリング触媒は、特に限定されるもので
はなく、重合能を有する如何なる触媒でも使用できる。
【0013】かかるポリフェニレンエーテル系樹脂の製
造法は、たとえば米国特許第3306874号公報、同
第3306875号公報及び同第3257357号公報
並びに特公昭52−17880号公報、特開昭50−5
1197号公報、特開平1−304119号公報等に記
載されている。
【0014】本発明におけるポリフェニレンエーテル系
樹脂の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,
4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6
−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−
メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン
エーテル)、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4
−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ブチル−1,
4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロペニ
ル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジ
ラウリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,
6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2,6−ジエトキシ−1,4−フェニレン
エーテル)、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ−1,
4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−ス
テアリルオキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエー
テル)、ポリ(2−メチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(3−メチル−6−t−ブチル−1,4−フ
ェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジベンジル−1,
4−フェニレンエーテル)及びこれらの重合体を構成す
る繰り返し単位の複数種を含む各種共重合体をあげるこ
とができる。共重合体の中には2,3,6−トリメチル
フェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール
等の多置換フェノールと2,6−ジメチルフェノールと
の共重合体等も含む。これらポリフェニレンエーテル系
樹脂のうちで好ましいものはポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンエーテル)及び2,6−ジメチルフ
ェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重
合体である。
【0015】本発明で使用できるポリフェニレンエーテ
ル系樹脂は、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘
度が0.3〜0.7dl/gのものが好ましく、更に好
ましくは0.36〜0.65dl/gであり、最も好ま
しくは0.40〜0.6dl/gである。該固有粘度
が、低すぎると燃焼時の無滴下の達成が困難となる場合
があり、一方該固有粘度が、高すぎると成形加工性が低
下する場合がある。
【0016】本発明で用いるポリフェニレンエーテル系
樹脂は、上記重合体、共重合体に対し、スチレン、α−
メチルスチレン、p−メチルスチレン及びビニルトルエ
ン等のスチレン系化合物をグラフトさせて変性した共重
合体でもよい。
【0017】本発明の(B)は、分子内に、カルボン酸
基、酸無水物基、酸アミド基、イミド基、カルボン酸エ
ステル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、
オキサゾリン環を含有する基及び水酸基のうち少なくと
も一種を含有する少なくとも一種の化合物(ただし、下
記の(C)を除く。)である。
【0018】具体的には、脂肪族のカルボン酸、芳香族
のカルボン酸、あるいはこれらの酸のエステル、酸無水
物、酸アミドまた、これらのカルボン酸及び/又は酸無
水物からのイミド物、あるいは、脂肪族のグリコールや
フェノール類、あるいはトルエンジイソシアネートやメ
チレンビス(4−フェニルイソシアネート)に代表され
るイソシアネート類、あるいは、2−ビニル−2−オキ
サゾリンに代表されるオキサゾリン類、あるいはエピク
ロルヒドリンやグリシジルメタクリレートに代表される
エポキシ化合物、あるいは脂肪族アミン、脂肪族ジアミ
ン、脂肪族トリアミン、脂肪族テトラミン等や、m−フ
ェニレンジアミン、4,4' −メチレンジアニリン、ベ
ンジジン等の芳香族アミン類である。より好ましくは、
無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、マレイミ
ド、マレイン酸ヒドラジド、無水マレイン酸とジアミン
の反応物、無水メチルナジック酸、マレイン酸アミド、
大豆油、キリ油、ヒマシ油、アマニ油、麻実油、綿実
油、ゴマ油、菜種油、落花生油、椿油、オリーブ油、ヤ
シ油、イワシ油などの天然油脂類、エポキシ化大豆油な
どのエポキシ化天然油脂類、アクリル酸、ブチン酸、ク
ロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、ア
ングリカ酸、チブリン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテ
ン酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、
4−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、2−メチル−2−ペ
ンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、α−エチルク
ロトン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−ヘプ
テン酸、2−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウンデセ
ン酸、10−ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデ
セン酸、4−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、9
−テトラデセン酸、2−オクタデセン酸、9−オクタデ
セン酸、アイコセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、テトラ
コセン酸、マイコリペン酸、ジアリル酢酸、ゲラニウム
酸、2,4−デカジエン酸、2,4−ドデカジエン酸、
9,12−ヘキサデカジエン酸、9,12−オクタデカ
ジエン酸、ヘキサダカトリエン酸、リノール酸、リノレ
ン酸、オクタデカトリエン酸、アイコサジエン酸、アイ
コサトリエン酸、アイコサテトラエン酸、リシノール
酸、エレオスデアリン酸、オレイン酸、アイコサペンタ
エン酸、エルシン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン
酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラ
コセイン酸、ヘキサコセン酸、ヘキサコジエン酸、オク
タコセン酸、トラアコンテン酸等の不飽和カルブン酸、
あるいはこれら不飽和カルボン酸のエステル、酸アミド
無水物等である。このうち、好ましいものは、酸無水物
であり、最も好ましいのは、無水マレイン酸である。
【0019】エポキシ化合物では、不飽和グリシジルエ
ステル類、不飽和グリシジルエーテル類等があげられ
る。具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメ
タクリレート、イタコン酸グリシジルエステル類、アリ
ルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエ
ーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が例示さ
れる。あるいは、アリルアルコール、クロチルアルコー
ル、メチルビニルカルビノール、アリルカルビノール、
メチルプロペニルカルビノール、4−ペンテン−1−オ
ール、10−ウンデセン−1−オール、プロパルギルア
ルコール、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,4
−ヘキサジエン−3−オール、3,5−ヘキサジエン−
2−オール、2,4−ヘコサジエン−1−オール、3−
ブチン−1,2−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘ
キセン−2,5−ジオール、1,5−ヘキサジエン−
3,4−ジオール、2,6−オクタジエン−4,5−ジ
オールなどの不飽和アルコール、あるいはこのような不
飽和アルコールのOH基がNH 2基に置き換わった不飽
和アミンがあげられる。
【0020】本発明の樹脂組成物中における(B)の含
有量は、(A)100重量部あたり0.01〜10重量
部であることが好ましい。(B)が過少であると難燃性
及び耐衝撃性が悪化する場合があり、一方(B)が過多
であると耐衝撃性、曲げ弾性率等の機械的物性バランス
が低下する場合がある。
【0021】本発明の(C)は、分子内にアミノ基、エ
ポキシ基、水酸基、フェノール基、カルボキシル基、ア
ミド基、メタクリロキシ基、アルコキシ基、エステル基
及びイミド基のうち少なくとも一種を含有するポリオル
ガノシロキサン(ただし、上記の(B)及び下記の
(D)を除く。)である。
【0022】これらの官能基は、ポリオルガノシロキサ
ンの末端あるいは側鎖に導入されたものである。なお、
両末端以外は、前記の一般式(I)のみからなるもので
あっても、前記の一般式(I)及び(II)を含有するも
のであっても構わない。
【0023】本発明の樹脂組成物中における(C)の含
有量は、(A)100重量部あたり0.2〜20重量部
であることが好ましい。(C)が過少であると(A)成
分と(D)成分の相溶性が悪くなり、耐衝撃性及び難燃
性の低下を招く。また、(C)が過多であっても耐衝撃
性及び難燃性が低下する場合がある。
【0024】本発明の(D)は、前記の一般式(I)の
構造単位及び一般式(II)の構造単位を含有するポリオ
ルガノシロキサンである。
【0025】一般式(I)及び一般式(II)におけるR
1、R2及びR3は、独立して、アルキル基又はアリール
基である。アルキル基及びアリール基のうち好ましいも
のは、それぞれメチル基とフェニル基である。ポリオル
ガノシロキサン中のRのうちアリール基は0モル%以上
80モル%未満であることが好ましい。アリール基の割
合が過多の場合、耐衝撃性が低下する場合がある。
【0026】本発明のポリオルガノシロキサンは、ポリ
オルガノシロキサンの一般的な製造方法に従って製造さ
れる。たとえば、ジオルガノジクロロシランとモノオル
ガノトリクロロシランを加水分解して部分的に縮合した
ポリオルガノシロキサンを形成し、更にトリオルガノク
ロロシランと反応させることによって反応を終了させ
る。ポリオルガノシロキサン製造原料中の塩素は、加水
分解反応時に塩酸となり液々抽出によって除かれるの
で、ポリオルガノシロキサン成分中には含有されない。
【0027】本発明においては、前記の一般式(I)の
構造単位及び下記一般式(II)の構造単位の両方を含有
するポリオルガノシロキサンを用いる必要がある。一般
式(I)の構造単位は枝分かれのない直鎖構造を与え、
一般式(II)の構造単位は二次元又は三次元の網目構造
又は枝分かれ構造を与える。一般式(I)で表される構
造単位と一般式(II)で表される構造単位の比率は、
3:1〜1:10程度が好ましい。一般式(II)で表さ
れる構造単位が過少であるとポリオルガノシロキサンの
粘度が低くなり、ポリフェニレンエーテル系樹脂との粘
度差が大きくなり、相溶性が悪化し、耐衝撃性、耐熱性
の低下を招く場合がある。一方、一般式(II)で表され
る構造単位が過多であるとポリフェニレンエーテル系樹
脂との相溶性が低下し、難燃性が悪化する場合がある。
【0028】(B)ポリオルガノシロキサンの末端は、
下記の一般式(III)で表される。
【0029】一般式(III)におけるR9、R10及びR11
は、独立して、アルキル基、アリール基、水酸基又はア
ルコキシ基であるが、難燃性と機械的物性のバランスの
観点から、メチル基及び/又は水酸基が好ましい。
【0030】本発明の樹脂組成物中における(D)の含
有量は、(A)100重量部あたり0.5〜40重量部
重量部であることが好ましく、更に好ましくは1〜30
重量部である。(D)が過少であると難燃性に劣る場合
があり、一方(B)が過多であると耐熱性に劣る場合が
ある。
【0031】本発明の樹脂組成物は上記の(A)〜
(D)の成分を溶融混練して得られる。溶融混練方法の
一例としては押出機等を用いて溶融混練する方法があげ
られるが、一般に行われている混練方法であれば特に制
限を受けない。フィード方法は、材料を一括で投入する
方法、材料の一部をサイドフィードする方法、予備混練
物をフィードする方法が考えられるが、(A)成分、
(B)成分及び(C)成分の溶融混練物に(D)成分を
添加し溶融混練する方法が好ましい。具体的には、複数
のフィード口を有する単軸もしくは2軸の押出し機を用
い、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を溶融混練
した後にそれよりも下流側のフィード口から(D)成分
をフィードし、溶融混練する方法、又は、 (A)成
分、(B)成分及び(C)成分を溶融混練し、一旦、冷
却固化した後に該混合物と(D)成分を溶融混練する方
法があげられる。混練温度はPPEのガラス転移点(約
210℃)以上であれば良いが、好ましくは220〜4
00℃、より好ましくは230〜350℃の範囲であ
る。
【0032】本発明では、必須成分である(A)〜
(D)の成分ニ加えて、本発明の特徴及び効果を損わな
い範囲で必要に応じて他の付加的成分を添加しても構わ
ない。たとえば、耐衝撃改良材として、スチレン系エラ
ストマーやポリオレフィンが用いられる。ここで、スチ
レン系エラストマーは公知のものを用いることがでる。
たとえばポリスチレン及びポリブタジエンセグメントを
それぞれ1以上有するスチレン−ブタジエンブロック共
重合体、ポリスチレン及びポリイソプレンセグメントを
それぞれ1以上有するスチレン−イソプレン共重合体、
ポリスチレン及びイソプレン−ブタジエンの共重合体を
それぞれ1つずつ以上有するブロック共重合体、又はこ
れらのイソプレン部やブタジエン部の不飽和部分が選択
的に水素添加されたブロック共重合体、エチレン、プロ
ピレン、ブテン、ジエン成分を共重合したポリオレフィ
ンエラストマーにスチレンをグラフト重合したものであ
る。
【0033】ポリオレフィンとしては、たとえばポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、
更にはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体、エチレン−プロピレンゴム(E
PR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)などがあげられる。このなかで好ましい耐衝撃改良
材はイソプレン部やブタジエン部の不飽和部分が選択的
に水素添加されたスチレン系のブロック共重合体と、エ
チレン、プロピレン、ブテン、ジエン成分を共重合した
ポリオレフィンエラストマーにスチレンをグラフト重合
したものである。
【0034】また、(A)成分以外の熱可塑性樹脂を添
加することも可能である。(A)成分以外の熱可塑性樹
脂としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレ
ン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、
ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレー
ト等が例示される。
【0035】また、強化用、機能付与あるいは増量(コ
ストダウン)等を目的に充填剤を添加して用いることが
できる。充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、
アラミド繊維、アルミニウムやステンレスなどの強化用
繊維及び金属のウィスカー、シリカ、アルミナ、炭酸カ
ルシウム、タルク、マイカ、クレー、カオリン、硫酸マ
グネシウム、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜
鉛、三酸化アンチモン、のような無機充填剤を用いるこ
とができる。更に、酸化防止剤、耐候性改良剤、ポリオ
レフィン用造核剤、スリップ剤、難燃剤、難燃助剤、可
塑剤、各種着色剤、帯電防止剤、離型剤等を添加するこ
とができる。
【0036】本発明の樹脂組成物の成形方法は射出成
形、押出成形、圧縮成形、中空成形など、一般に行われ
ている成形方法であれば特に問題はなく、得られる樹脂
組成物の形状は何等限定されるものではなく、成形方法
による制約を受けることはない。
【0037】また、得られた成形品は、難燃性が要求さ
れる用途、たとえば、フライバックトランス、偏向ヨー
ク、コネクター、リレーのハウジング、コイルボビン等
の電気・電子部品用途、バッテリーケース等の電槽用
途、現像タンク、ファン及びファンハウジング、OA機
器のハウジング、OA機器のシャーシ、トレー等の機構
部品用途等に使用することができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
【0039】使用した略号の意味を示す。PPE :ポリフェニレンエーテル樹脂(クロロホルム溶
媒中、30℃で測定した固有粘度が0.46dl/gの
ポリ(2,6−ポリジメチル−1,4−フェニレンエー
テル)HIPS :ハイインパクトポリスチレン樹脂(日本ポリ
スチレン社製「H554」)SEBS :水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロッ
ク共重合体(クラレ社製「SEPTON8006」)SIP1 :一般式(I)及び(II)の構造単位を含有す
るポリオルガノシロキサン(本発明によるもの)(東レ
ダウコーニング社製「SF8417」)アミノ基含有
(アミノ当量1800)SIP2 :一般式(I)及び(II)の構造単位を含有す
るポリオルガノシロキサン(本発明によるもの)(東レ
ダウコーニング社製「DC3037」) R:フェニル基 35mol%、メチル基 65mol
% 末端機:メトキシ基 18wt%(ポリオルガノシロキ
サンに対するメトキシ基の重量%)、残りの末端基はメ
チル基
【0040】次に実施例における物性値等の評価方法を
以下に示す。 (1)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に規定された方法による。試験片の
厚みは、3.2mmであり、ノッチ付きの衝撃強度を評
価する。測定温度は、23℃である。 (2)燃焼試験(難燃性) ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物をシリンダー温度
320℃、金型温度80℃の条件で1.6mm厚及び
0.8mm厚のテストピースを射出成形してUL94垂
直燃焼性試験を行った。 V−0:燃焼時間が10秒以下で滴下による着火なし V−1:燃焼時間が30秒以下で滴下による着火なし V−2:燃焼時間が30秒以下で滴下による着火あり 非該当:燃焼時間が30秒以上もしくはサンプル取り付
け用のクランプまで燃焼する
【0041】実施例1 表1に示す配合割合のPPE、MAH、HIPS、SE
BSを、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数2
00rpmに設定した2軸混錬機(東芝機械製TEM5
0A)を用いて溶融混練した。ついで、この溶融混練物
とSIP1及びSIP2を表1に示す割合で配合し、シ
リンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpmに
設定した2軸混錬機(東洋精機製20mm押出し機)を
用いて、溶融混練してペレット化した。このペレットを
シリンダー温度320℃、金型温度80℃で射出成形
し、0.8mm厚、1.6mm厚及び3.2mm厚の試
験片を作製した。評価結果を表1に示す。
【0042】比較例1、2 表1に示す配合割合の各成分を用い、シリンダー温度2
80℃、スクリュー回転数70rpmに設定した2軸混
錬機(東洋精機製20mm押出し機)を用いて、溶融混
練してペレット化した。このペレットをシリンダー温度
320℃、金型温度80℃で射出成形し、0.8mm
厚、1.6mm厚及び3.2mm厚の試験片を作製し
た。評価結果を表1に示す。
【0043】比較例3 表1に示す配合割合のPPE、MAH、HIPS、SE
BSを、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数2
00rpmに設定した2軸混錬機(東芝機械製TEM5
0A)を用いて溶融混練した。ついで、この溶融混練物
とSIP1を表1に示す割合で配合し、シリンダー温度
280℃、スクリュー回転数70rpmに設定した2軸
混錬機(東洋精機製20mm押出し機)を用いて、溶融
混練してペレット化した。このペレットをシリンダー温
度320℃、金型温度80℃で射出成形し、0.8mm
厚、1.6mm厚及び3.2mm厚の試験片を作製し
た。評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、難
燃性及び耐衝撃性に優れ、かつハロゲン及びリンを含有
しないポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供する
ことができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)、(B)、(C)及び
    (D)を溶融混練して得られるポリフェニレンエーテル
    系樹脂組成物。 (A):ポリフェニレンエーテル系樹脂 (B):分子内に、カルボン酸基、酸無水物基、酸アミ
    ド基、イミド基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、
    アミノ基、イソシアネート基、オキサゾリン環を含有す
    る基及び水酸基のうち少なくとも一種を含有する少なく
    とも一種の化合物(ただし、下記の(C)を除く。) (C):分子内にアミノ基、エポキシ基、水酸基、フェ
    ノール基、カルボキシル基、アミド基、メタクリロキシ
    基、アルコキシ基、エステル基及びイミド基のうち少な
    くとも一種を含有するポリオルガノシロキサン(ただ
    し、上記の(B)及び下記の(D)を除く。) (D):下記一般式(I)の構造単位及び下記一般式
    (II)の構造単位を含有するポリオルガノシロキサン
    (ただし、上記の(C)を除く。) (式中R1、R2及びR3は、独立して、アルキル基又は
    アリール基を表す。)
  2. 【請求項2】 (B)が酸無水物である請求項1記載の
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (B)が無水マレイン酸である請求項1
    記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (C)がアミノ基を有するポリオルガノ
    シロキサンである請求項1記載の樹脂組成物。
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