JP2793681B2 - 高硬度透明樹脂 - Google Patents

高硬度透明樹脂

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JP2793681B2
JP2793681B2 JP2045844A JP4584490A JP2793681B2 JP 2793681 B2 JP2793681 B2 JP 2793681B2 JP 2045844 A JP2045844 A JP 2045844A JP 4584490 A JP4584490 A JP 4584490A JP 2793681 B2 JP2793681 B2 JP 2793681B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高い表面硬度を有し、耐擦傷性、耐熱性、耐
薬品性に優れた透明樹脂及び該樹脂よりなるグレージン
グ材、ディスプレー装置用保護カバー、光学レンズ、ハ
ードコート材に関する。
〔従来の技術〕
従来メタクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、ポリス
チレン樹脂などは透明性、耐衝撃性、加工性、大量生産
性などに優れていることから、車輌や住居、学校、スポ
ーツ施設などの窓、ベランダ腰板、バルコニーなどのグ
レージング材として、又、各種計器板、コンピューター
ディスプレイ、液晶テレビ、自動販売機前面板などのデ
ィスプレー装置用保護カバー、光学レンズ、照明カバ
ー、看板、保護メガネ、光学式光ディスク基板などに使
用されている。これらの用途への適用として特にグレー
ジング材、ディスプレー装置用保護カバー、光学レンズ
などでは、その透明性、光学物性、機械的強度、剛性な
どとともに、その視認性、美観等の点からの耐擦傷性す
なわち高い表面硬度、及び耐薬品性、耐熱性などが求め
られている。
しかしながら、前述の汎用透明樹脂では、構造が線型
高分子であるために表面硬度や耐薬品性、耐熱性などが
十分とはいえず、またこれらの樹脂に表面硬度、耐薬品
性の向上のためにハードコートを施したものでも、なお
必ずしも十分な性能を有しているとはいえない。
これらの問題を解決するため、ジエチレングリコール
ジアリルカーボネート樹脂やウレタンポリアクリル系エ
ステル、ウレタンポリメタクリル系エステル(特開昭63
−75022号公報)などの架橋構造を有する高分子からな
る透明樹脂が提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記の樹脂は、重合速度の近似したア
リル基やアクリル基、メタクリル基どうしの重合であ
り、重合の制御が難しく、暴走反応を起こし易く、表面
状態が良好で、かつ重合歪みが少ない重合体を得るには
長時間を要するなどの問題がある。
本発明の目的は、重合の制御が容易で、表面硬度が高
く、且つ耐薬品性、耐熱性にも優れた透明樹脂を提供す
ることである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究を
行った。
その結果、1分子中に重合速度の大巾に異なる重合性
官能基を複数兼備した化合物を使用し、重合速度の速い
重合基の重合と、重合速度の遅い重合基の重合を選択的
または段階的に進めることにより、重合時の暴走反応を
容易に抑制することができるため、重合時間の大巾な短
縮が可能となるばかりでなく、本課題の高い表面硬度を
有する透明な樹脂が得られることを見出した。
加えて本樹脂は、高い表面硬度すなわち耐擦傷性及び
耐熱性、耐薬品を有するため、本樹脂からなる板状重合
体は車輌、住居、学校、スポーツ施設などの窓、ベラン
ダ腰板、バルコニーなどのグレージング材、各種計器
板、コンピューターディスプレー、液晶テレビ、自動販
売機前面板などのディスプレー装置用保護カバーなど
に、またレンズ状重合体は光学レンズとして有用である
ことを見い出した。さらに、各種樹脂、金属、木材へ塗
布し重合させた重合体は耐擦傷性、耐薬品性を有する塗
膜すなわちハードコート材としても有用であることを見
い出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、 (1) 1分子中に下記一般式(I)で表される官能基
と、 下記一般式(II)で表わされる官能基とを兼備する単
量体(A)を重合させてなる高硬度透明樹脂、 (式中Rは水素またはメチル基を表わす) (2) (1)記載の単量体(A)と、 および からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
る単量体(B)とを共重合させてなる高硬度透明樹脂、 (3) (1)または(2)記載の高硬度透明樹脂から
なるディスプレー装置用保護カバー、 (4) (1)または(2)記載の高硬度透明樹脂から
なる光学レンズ、 (5) 下記一般式(III)、(IV)、(V)で表わさ
れる単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種であ
る単量体(A)を重合させてなる高硬度透明樹脂、 (式中Rは水素またはメチル基を表わす) (式中R,R′は水素またはメチル基を表わす) (式中Rは水素またはメチル基を表わす) (6) (5)記載の単量体(A)と、 および からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
る単量体(B)とを共重合させてなる高硬度透明樹脂を
提供するものである。
本発明の1分子中に下記一般式(I)で表わされる官
能基と、 下記一般式(II)で表わされる官能基とを兼備する単
量体(A)とは、 (式中Rは水素またはメチル基を表わす) たとえば イソプロペニルフェノールと、アクリル酸、メタク
リル酸またはそれらの酸塩化物を反応させて得られる化
合物、 イソプロペニルフェノールに、上記一般式(II)で
表わされる官能基を1つ以上と、イソプロペニルフェノ
ールの有するフェノール性水酸基と反応しうる官能基、
たとえば−COOH基、−COCl基、ハロゲン化アルキル基、
−SO3R(Rはアルキル又はアリール基)基、−NCO基、
−NCS基、 等を1つ以上兼備する化合物を反応させて得られる化合
物、 イソプロペニルフェノールにイソプロペニルフェノ
ールの有するフェノール性水酸基と反応可能な官能基を
1つ以上と、(メタ)アクリル酸またはそれらの酸塩化
物の有する−COOH基または−COCl基と反応可能な官能
基、たとえば、−OH基、−NH2基、ハロゲン化アルキル
基等を1つ以上兼備する化合物を反応させ、得られた化
合物に(メタ)アクリル酸またはそれらの酸塩化物を反
応させて得られる化合物、 (グリシジル基)を1つ以上有する化合物をイソプロペ
ニルフェノールで開環反応し、得られた化合物に(メ
タ)アクリル酸、またはそれらの酸塩化物を反応させて
得られる化合物、 などが挙げられる。
における一般式(II)で表わされる官能基を1つ以
上と、イソプロペニルフェノールの有するフェノール性
水酸基と反応しうる官能基たとえば−COOH基、−COCl
基、ハロゲン化アルキル基、−SO3R(Rはアルキル又は
アリール基)基、−NCO基、−NCS基、 等1つ以上兼備する化合物とは、たとえば2−カルボキ
シエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリ
レート、カルボキシフェニルアクリレート、カルボキシ
フェニルメタクリレート、2−ブロムエチルアクリレー
ト、2−ブロムエチルメタクリレート、2−イソシアナ
ートエチルアクリレート、2−イソシアナートエチルメ
タクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメ
タクリレートなどが例示される。
これらを用いて単量体(A)を得るには、イソプロペ
ニルフェノールの有するフェノール性水酸基と、上記化
合物の有する−COOH基、−COCl基との間のエステル化反
応、ハロゲン化アルキル基、−SO3R(Rはアルキル又は
アリール基)基との間のエーテル化反応、−NCO基、−N
CS基との間のウレタン化反応、 との間の開環反応等、従来公知の方法に準じた反応によ
り得ることができる。
のイソプロペニルフェノールにイソプロペニルフェ
ノールの有するフェノール性水酸基と反応可能な官能基
を1つ以上と、(メタ)アクリル酸またはそれらの酸塩
化物の有する−COOH基または−COCl基と反応可能な官能
基、たとえば、−OH基、−NH2基、ハロゲン化アルキル
基等を1つ以上兼備する化合物を反応させて得られた化
合物とは、たとえば 一分子中にハロゲン化アルキルを2つ以上有する化合
物とイソプロペニルフェノールとのエーテル化反応生成
物でかつハロゲン化アルキル基を1つ以上有する化合
物、例えば1,2−ジプロモエタン、1,3−ジブロモプロパ
ン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、プ
ロモクロロエタン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、
1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロ
ロペンタンなどと、イソプロペニルフェノールとのエー
テル化反応生成物で、かつハロゲン化アルキル基を1つ
以上有する化合物、 一分子中にハロゲン化アルキル基を1つ以上と−OH基
を1つ以上有する化合物と、イソプロペニルフェノール
とのエーテル化反応生成物、例えばエチレンブロモヒド
リン、エチレンクロロヒドリン、1,3−ジブロモ−2−
プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、1,3
−ジクロロ−2−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プ
ロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオー
ル、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−
プロパノール、1−クロロ−2−プロパノール、3−ク
ロロ−1−プロパノール、4−クロロ−1−ブタノール
などとイソプロペニルフェノールとのエーテル化反応生
成物、 一分子中に−COOH基、−COCl基、−COBr基を1つ以上
とハロゲン化アルキル基を1つ以上とを併有する化合物
とイソプロペニルフェノールとのエステル化反応生成
物、例えば3−ブロモプロピオニルクロライド、3−ク
ロロプロピオニルクロライド、4−ブロモブチリルクロ
ライド、4−クロロブチリルクロライドなどとイソプロ
ペニルフェノールとのエステル化反応生成物などを挙げ
ることができる。
これらに、(メタ)アクリル酸またはそれらの酸塩化
物を従来公知の方法に準じた反応により、エステル化反
応させることにより単量体(A)を得ることかできる。
1つ以上有する化合物とは、たとえばエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイ
ド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、
エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、グリシドー
ル、エポキシフェノキシプロパン、グリシジルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、グリシジルイソプロ
ピルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチレング
リコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオール
ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリ
シジルエーテル、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビ
スフェノールF系エポキシ樹脂、ビスフェノールS系エ
ポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシ
ジルp−オキシ安息香酸、ビニルシクロヘキセンオキサ
イド、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル
ジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノ
フェノール、ジグリシジルヒダントイン、トリグリシジ
ルイソシアヌレートなどを挙げることができ、これらを
イソプロペニルフェノールで開環反応させ、得られた化
合物の有する−OH基に、(メタ)アクリル酸またはそれ
らの塩化物の−COOH基、または−COCl基を従来公知の方
法に準じた反応によりエステル化させることにより単量
体(A)を得ることができる。
単量体(A)の具体的な化合物の例としては下記一般
式(III)(IV)(V)で示される化合物があげられ
る。
(式中Rは水素またはメチル基を表わす) (式中R,R′は水素またはメチル基を表わす) (式中Rは水素またはメチル基を表わす) 次に、 および からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
る単量体(B)としては、メチルアクリレート、メチル
メタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリ
レート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレー
ト、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリ
レート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシル
メタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタ
クリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエ
チルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エ
トキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2
−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールモノ
アクリレート、1,4−ブチレングリコールモノメタクリ
レート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリ
レート、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、
ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチ
レン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリ
レート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチ
レングリコールジアクリレート、ジエチレングリコール
ジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレー
ト、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピ
レングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコー
ルジメタクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシエ
トキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリ
ロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシプロピ
ロキシフェニル)プロパン、1,3−ブタンジオールジア
クリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネ
オペンチルグリコールエステルジアクリレート、スピロ
グリコールジアクリレート、スピログリコールジメタク
リレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレ
ート、2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,1−ジメ
チル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕
エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕
エチルエステル、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリメタクリレート、ビス(アクリロイロキシエ
チル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(メタ
クリロイロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレ
ート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレ
ート、トリス(メタクリロイロキシエチル)イソシアヌ
レート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサメタクリレート、メチルトリ(アクリロイロ
キシエトキシ)シラン、グリセロールジアクリレート、
グリセロールジメタクリレート、グリセロールモノアク
リレート、グリセロールモノメタクリレート、グリセロ
ールメタクリレートアクリレート、ジブロムプロピルア
クリレート、ジブロムプロピルメタクリレート、ジブロ
ムネオペンチルグリコールジアクリレート、ジブロムネ
オペンチルグリコールジメタクリレート、ウレタンアク
リレート類、ウレタンメタクリレート類などが挙げられ
る。
本発明により高い表面硬度を有する透明樹脂を製造す
る方法としては、前述の単量体(A)を単独重合させる
か、単量体(A)と単量体(B)を共重合させて行う。
本重合はラジカル重合であり、重合方法は熱重合のみ
ならず、紫外線、γ線等を用いた方法も使用でき、また
単独での方法のみならず、組み合わせて行うことも可能
である。
熱重合を行う場合のラジカル重合開始剤は特に限定さ
れず、公知のベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベ
ンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカ
ーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボ
ネート、t−ブチルパーオキシピバレートなどの過酸化
物およびアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物
を0.01〜5重量%の割合で用いる。
紫外線重合による場合の光増感剤も特に限定されず、
公知のベンゾイル化合物、ベンゾインメチルエーテル、
ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテ
ル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ヒドロキシ−
2−ベンゾイルプロパン、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンジル、チオキサントン、ジフェニルジスルフィ
ドなどを0.01〜5重量%の割合で用いる。
γ線等の放射線を使用する場合は、一般的には重合開
始剤などは必ずしも必要とはしない。
また本発明において、高硬度透明樹脂を用いた板また
はレンズを得る方法は特に限定されず公知の製造方法を
採用できる。代表的な製造方法は、注型重合法である。
例えばガスケットまたはスペーサーとガラスまたは金属
性のモールドとを組み合せた鋳型の中に、前記単量体
(A)、または単量体(A)と(B)の混合物にラジカ
ル開始剤または光増感剤を加え、よく混合脱泡した後注
入し、加熱または紫外線、放射線の照射により重合させ
る。
むろん前記重合前の混合物に紫外線吸収剤、酸化防止
剤、染料、近赤外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤などの
添加剤を重合硬化を妨げない範囲で添加することができ
る。
また薄膜状として用いる場合も公知の薄膜作成方法を
採用できる。すなわち、ロールコーティング、スプレー
コーティング、フローコーティング、ディッピング等を
用いて、前記単量体にラジカル開始剤または光増感剤を
加えたもの、又はそれら混合物を溶媒で希釈したものを
樹脂、金属、木材等の基材へコーティングする。溶媒を
用いた場合は溶媒を発揮させた後、加熱または紫外線、
放射線の照射により硬化させる。この際前記重合前の混
合物に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、顔料、近赤
外線吸収剤、帯電防止剤、無機化合物微粒子などの添加
剤、充填剤等を重合硬化を妨げない範囲で添加すること
ができる。
このようにして得られた光硬度透明樹脂板は耐擦傷
性、耐薬品性、耐熱性、加工性等に優れたグレージング
材、ディスプレー装置用保護カバーなどに用いられる。
またレンズ型のモールド内で重合、もしくは当樹脂を切
削、研磨等の加工をすることにより上記と同様の特徴を
有する光学レンズが得られる。さらに他の樹脂、金属、
木材上での薄膜上の高硬度透明樹脂は、耐擦傷性、耐薬
品性等に優れたハードコート材として用いられる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、
本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものでな
い。
なお、実施例中の部は重量部を表わす。
(実施例1) 4−イソプロペニルフェノール25.0部、ベンゼン150
部、トリエチルアミン24.5部を混合し、氷冷しながらア
クリル酸クロリド19.4部を30分で滴下後、室温で3時間
撹拌して反応を行った。
反応終了後カラムクロマトグラフィーにより精製し、
下記構造式で示される無色液状のエステル化合物29.1部
を得た。
このエステル化合物29.0部にベンゾイルポーオキサイ
ド0.3部を加えて混合、脱泡を行った後、この液を2枚
の5mm厚のガラス板の周辺にポリ塩化ビニル製のスペー
サーを入れ、クランプでしっかりと締め付けた鋳型の中
に注入し、重合用熱風炉の中で60℃から140℃まで2時
間かけて昇温し、重合を行った後、冷却し鋳型から離型
して表面が平滑でわずかに黄色を帯びた透明の樹脂板を
得た。この板は鉛筆硬度(JIS−K−5400法による)が9
H以上であり、耐薬品性(イソプロパノールおよびトル
エンに室温中24時間浸漬後に鉛筆HBで跡の残らないもの
を良好とする)が良好で、金切りノコギリによる切断が
可能であり、眼鏡レンズ加工用の玉摺り機でも研削が可
能であった。
(実施例2) 3−イソプロペニルフェノール15.0部、ベンゼン100
部、トリエチルアミン15.0部を混合し、氷冷しながらメ
タクリル酸クロリド14.0部を20分で滴下後、室温で3時
間撹拌して反応を行った。反応終了後カラムクロマトグ
ラフィーにより精製し、下記構造式で示される無色液状
のエステル化合物16.0部を得た。
このエステル化合物16.0部にベンゾイルパーオキサイ
ド0.1部を加えて混合、脱泡を行った後、この液を2枚
の5mm厚のガラス板の周辺にポリ塩化ビニル製のスペー
サーを入れ、クランプでしっかりと締め付けた鋳型の中
に注入し、重合用熱風炉の中で60℃から140℃まで2時
間かけて昇温し、重合を行ったのち冷却し、鋳型から離
型して表面が平滑で透明な樹脂板を得た。この板は鉛筆
硬度が4Hで耐薬品性も良好であり、金切りノコギリによ
る切断、眼鏡レンズ加工用の玉摺り機での研削も可能で
あった。
(実施例3) 4−イソプロペニルフェノール20.0部を20%水酸化ナ
トリウム水溶液40部に溶解し、還流させる。ここに2−
ブロモエタノール22.3部を滴下し、滴下終了後還流下で
1時間撹拌して反応させる。反応終了後放置すると2層
に分離するので油層を分液し、熱水にて洗う。油層を脱
水後濾過し、減圧蒸留により無色透明液体状のエーテル
生成物を18.9部得た。
このエーテル化合物15.0部にベンゼン75部、トリエチ
ルアミン11.1部を混合し、氷冷しながらアクリル酸クロ
リド8.8部を30分で滴下後、室温で3時間撹拌して反応
を行った。反応終了後、カラムクロマトグラフィーによ
り精製し、下記構造式で示される無色液状のエステル化
合物15.3部を得た。
このエステル化合物15.0部にベンゾイルパーオキサイ
ド0.2部を加えて混合、脱泡を行った後、この液を2枚
の5mm厚のガラス板の周辺にポリ塩化ビニル製のスペー
サーを入れ、クランプでしっかりと締め付けた鋳型の中
に注入し、重合用熱風炉の中で60℃から140℃まで2時
間かけて昇温し、重合を行ったのち冷却し鋳型から離型
して、表面が平滑で透明な樹脂板を得た。この板は鉛筆
硬度が9H以上で耐薬品性も良好であり、金切りノコギリ
による切断、眼鏡レンズ加工用の玉摺り機での研削も可
能であった。
(実施例4) プロピレンオキサイド14.0部、3−イソプロペニルフ
ェノール26.8部、水酸化ナトリウム0.4部、エタノール5
0部を混合し、還流下で加熱撹拌して開環反応を行っ
た。反応終了後、反応液を濃縮し、抽出及び再結晶によ
り精製し、プロピレンオキサイドの3−イソプロペニル
フェノールによる開環生成物を32.4部を得た。
この開環生成物30.0部にベンゼン150部、トリエチル
アミン20.5部を混合し、氷冷しながらアクリル酸クロリ
ド16.2部を20分で滴下後、室温で3時間撹拌して反応を
行った。反応終了後カラムクロマトグラフィーにより精
製し、下記構造式で示される無色液状のエステル化合物
29.8部を得た。
このエステル化合物29.0部にベンゾイルパーオキサイ
ド0.30部を加えて混合、脱泡を行った後、この液を2枚
の5mm厚のガラス板の周辺にポリ塩化ビニル製のスペー
サーを入れ、クランプでしっかりと締め付けた鋳型の中
に注入し、重合用熱風炉の中で60℃から140℃まで2時
間かけて昇温し、重合を行ったのち冷却し、鋳型から離
型して表面が平滑で透明な樹脂板を得た。この板は鉛筆
硬度が7Hで耐薬品性も良好であり、金切りノコギリによ
る切断、眼鏡レンズ加工用の玉摺り機での研削も可能で
あった。
(実施例5) 3−イソプロペニルフェノール30.0部に、2−イソシ
アナートエチルメタクリレート34.7部、トルエン20部、
ジブチルスズジラウレート0.3部を加え、内温が50℃に
なる様に加熱撹拌し、反応を行った。反応終了後、反応
液を濃縮した。濃縮液はカラムクロマトグラフィーによ
り精製し、下記構造式で示される無色液体状のウレタン
化合物56.3部を得た。
このウレタン化合物55.0部にベンゾイルパーオキサイ
ド0.6部を加えて混合、脱泡を行った後、この液を2枚
の5mm厚のガラス板の周辺にポリ塩化ビニル製のスペー
サーを入れ、クランプでしっかりと締め付けた鋳型の中
に注入し、重合用熱風炉の中で60℃から140℃まで2時
間かけて昇温し、重合を行ったのち冷却し、鋳型から離
型して表面が平滑でわずかに黄味を帯びた透明な樹脂板
を得た。この板は鉛筆硬度が4Hで耐薬品性も良好であ
り、金切りノコギリによる切断、眼鏡レンズ加工用の玉
摺り機での研削も可能であった。
(実施例6) 実施例3のエステル化合物20.2部にトリメチロールプ
ロパントリメタクリレート11.3部、ベンゾイルパーオキ
サイド0.3部を加えて混合、脱泡を行った後、この液を
2枚の5mm厚のガラス板の周辺にポリ塩化ビニル製のス
ペーサーを入れ、クランプでしっかり締め付けた鋳型の
中に注入し、重合用熱風炉の中で60℃から140℃まで2
時間かけて昇温し、重合を行ったのち冷却し、鋳型から
離型して表面が平滑で透明な樹脂板を得た。この板は鉛
筆硬度が4Hで耐薬品性も良好であり、金切りノコギリに
よる切断、眼鏡レンズ加工用の玉摺り機での研削も可能
であった。
(実施例7) 実施例1のエステル化合物30部にベンゾイルパーオキ
サイド0.2部を加えよく混合、脱泡し、加圧下で孔径5
μmのフィルターを通して濾過し、ジエチレングリコー
ルジアリルカーボネート用の+2ジオプター用のレンズ
型に注入し、60℃から140℃まで3時間かけて昇温し、
重合を行ったのち冷却し、鋳型から離型して表面が平滑
で透明な凸レンズを得た。表面の鉛筆硬度は9H以上であ
り、アッベ屈折計による屈折率は1.58であった。
(実施例8) 実施例1のエステル化合20.0部にベンゾイルパーオキ
サイド0.2部を加えよく混合、脱泡し、鋼板上にコーテ
ィングバーを用いて膜厚50μmとなる様に塗布し、140
℃の温度にて30分加熱硬化させ表面が平滑で透明な塗膜
を得た。この塗膜の鉛筆硬度は9H以上であり、碁盤目試
験(JIS K5400による)が良好であり、耐熱性(120℃
の熱風乾燥器中に10時間放置して異常が見られなかった
ものを良好とする)も良好であった。
(比較例1) ジエチレングリコールアリルカーボネート100部にベ
ンゾイルパーオキサイド3.0部を加え混合、脱泡を行
い、この液を2枚の5mm厚のガラス板の周辺に5mm厚のポ
リ塩化ビニル製のスペーサーを入れ、クランプでしっか
りと締め付けた後、この鋳型の中に注入し、重合用熱風
炉の中で50℃から120℃まで3時間かけて昇温加熱重合
を行う途中70℃付近で急激な重合がおこり、ガラスモー
ルドから重合物が剥離、黄色に着色した。
50℃から120℃まで10時間かけて昇温加熱重合するこ
とにより、始めて剥離のない樹脂板を得ることが可能で
あったが、得られた樹脂の鉛筆硬度は3Hであった。
(比較例2) メチルメタクリレート20.0部にm−キシリレンジイソ
シアネート18.8部を加え、さらにジブチルスズジラウレ
ート0.5部を加え、内温が60℃となるように加熱しなが
らヒドロキシエチルメタクリレート26.0部を徐々に加え
て、赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収がほ
とんど消えた粘稠なウレタン化合物のメチルメタクリレ
ート混合物を得た。これにベンゾイルパーオキサイド0.
3部を加え混合、脱泡を行い、この液を2枚の5mm厚のガ
ラス板の周辺に5mm厚の塩化ビニル製のスペーサーを入
れ、クランプでしっかりと締め付けた鋳型の中に注入し
重合用熱風炉の中で45℃から120℃まで3時間かけて昇
温加熱重合を行う途中、65℃付近で急激な重合が起りガ
ラスモールドから重合物が剥離した。
〔発明の効果〕
本発明の樹脂は、重合過程における重合制御が際めて
容易であり、従って成型重合において剥離や白化、ヒビ
割れを起すことなく成型性が極めて良好であり、精度の
高い成型が可能である。更に本発明の樹脂は高い表面硬
度を有し、透明性にも優れている。
また本発明の樹脂は耐薬品性、耐熱性にも優れてお
り、高い表面硬度と相まって、切断や切削などの加工性
にも優れている。
従って、グレージング材、ディスプレー装置用保護カ
バー、光学レンズ、ハードコート材、などに好適に使用
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 1/04 G02B 1/04 (56)参考文献 特開 昭58−11521(JP,A) 特開 昭62−161846(JP,A) 特開 平2−40345(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 12/22 - 12/24 C08F 20/10 - 20/40 C08F 20/54 - 20/60 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1分子中に下記一般式(I)で表わされる
    官能基と、 下記一般式(II)で表わされる官能基とを兼備する単量
    体(A)を重合させてなる高硬度透明樹脂。 (式中Rは水素またはメチル基を表わす)
  2. 【請求項2】請求項1記載の単量体(A)と および からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
    る単量体(B)とを共重合させてなる高硬度透明樹脂。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の高硬度透明樹脂か
    らなるディスプレー装置用保護カバー。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載の項硬度透明樹脂か
    らなる光学レンズ。
  5. 【請求項5】下記一般式(III)、(IV)、(V)で表
    わされる単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種
    である単量体(A)を重合させてなる高硬度透明樹脂。 (式中Rは水素またはメチル基を表す) (式中R,R′は水素またはメチル基を表す) (式中Rは水素またはメチル基を表す)
  6. 【請求項6】請求項5記載の単量体(A)と および からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
    る単量体(B)とを共重合させてなる高硬度透明樹脂。
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