JP2792262B2 - 自走台車使用の搬送設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たとえば工場内に敷設
したレールに支持案内されて一定経路上を走行自在な自
走台車を有し、この自走台車により治具用などのパレッ
トを搬送する自走台車使用の搬送設備に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の設備としては、たとえば
特開昭60年172451号公報に見られる構成が提供されてい
る。

【０００３】この従来形式では、左右一対のレールに車
輪を介して台車を支持させるとともに、一方の車輪に駆
動装置を連動連結して、この台車を一定経路上で走行自
在に構成している。前記台車の上部には、治具用のパレ
ットを一定経路とは直交する方向に移動自在に支持する
支持ローラ群が配設され、さらにパレットの位置決めを
行うロックピンや、パレットに移動力を付与するフォー
ク形式の可動体が設けられている。

【０００４】そして一定経路の一側方に、前記支持ロー
ラ群が接続自在な支持ローラ群を有するプール部が複数
形成されている。また一定経路の他側方に、段取装置や
加工装置を配設している。

【０００５】この従来形式によると、車輪を介してレー
ル上に載置した台車は、駆動装置により車輪を強制回転
させることで一定経路上を走行する。そして可動体によ
りパレットに移動力を付与することで、このパレット
を、台車と、プール部や段取装置や加工装置との間で受
け渡すのであり、その際にパレットは支持ローラ群上を
移動する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来形式による
と、プール部、段取装置、加工装置、台車にそれぞれ多
数の支持ローラを配設することから、全体構成は複雑に
なり、かつ高価になる。またロックピンのロック動作に
ミスが生じたとき、支持ローラ群上のパレットが走行時
の振動などにより簡単に脱落することになる。

【０００７】本発明の目的とするところは、全体構成を
簡単にかつ安価に提供し得、しかも台車上のパレットは
安定して支持し得る自走台車使用の搬送設備を提供する
点にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために本発明の自走台車使用の搬送設備は、走行レール
に支持されて一定経路上を走行自在な自走台車を設け、
この自走台車の上面をパレットの支持面に形成し、前記
パレットの支持面に支持されない下面に、一定経路とは
直交状の方向に遊転自在な複数の輪体を設け、前記一定
経路の側方に、前記支持面と同様なレベルの輪体支持部
を有するパレットステーションを一定経路の方向に複数
形成し、各パレットステーションの前方でかつ一定経路
の両側に、前記輪体に下方から対向しかつ上昇により前
記支持面と同様なレベルとなる中継部材を昇降自在に設
け、前記自走台車とパレットステーションとの間でパレ
ットを移動させる移動装置を設けている。

【０００９】

【作用】かかる本発明の構成によると、自走台車の走行
時においてパレットは、その下面が支持面に載置されて
面接触していることから、その摩擦力により安定して支
持されるとともに横ずれや脱落などは生じない。そして
中継部材を下降させておくことで、パレットの輪体を中
継部材などに衝突させることなく、自走台車をパレット
ステーション群の前方で走行し得る。

【００１０】自走台車上のパレットをパレットステーシ
ョンに渡すとき、まず目的とする空のパレットステーシ
ョンの前方に自走台車を停止させる。次いで中継部材を
上昇させて輪体に下方から当接させ、この輪体を介して
パレットの持ち上げを行う。この中継部材の上昇はその
上面が支持面と面一になることで停止される。

【００１１】この状態で移動装置を作動してパレットに
引き込み力を作用させる。これによりパレットは、一側
の輪体が中継部材から輪体支持部へと転動し、かつ他側
の輪体が中継部材から支持面、中継部材、輪体支持部へ
と転動することで、パレットステーションに引き込まれ
ることになる。

【００１２】そして空の自走台車に対するパレットの積
み込みは、目的とする実のパレットステーションの前方
に自走台車を停止させたのち、上述とは逆の動作でパレ
ットステーション内のパレットに移動装置により押し込
み力を付与することで行える。

【００１３】

【実施例】以下に本発明の一実施例を図に基づいて説明
する。１は左右一対の走行レールで、それぞれ取付け部
材２などを介して架台３上に固定してあり、そして並列
間隔は、相対向する内側面間に設けたＵ形状の連結材４
によって維持される。両走行レール１の内側面で上部に
は、サポートブラケット５を介してカバー６が相対向す
る側に連設される。ここで走行レール１とカバー６との
上面は面一であり、そしてカバー６の遊端間に所定幅の
スリット７を形成する。

【００１４】前記走行レール１間でスリット７の下方に
はガイドレール10が配設され、このガイドレール10は前
記連結材４で固定される。このガイドレール10の上端に
は、一方の走行レール１側に向くラック11が取り付けて
あり、そして下部には高速カット用の検出板12が取り付
けてある。一方の走行レール１の内側面には、ブラケッ
ト13などを介して給電装置14が配設されている。

【００１５】20は自走台車で、その本体21の下部四箇所
に設けた車輪22が前記走行レール１に支持される。前記
本体21の前後面それぞれには、検出動作により自走台車
20を停止させる衝突防止センサ23が設けられ、また左右
方向の中央部でかつ前後方向の中間部には走行駆動装置
（モータなど）24が設けられる。この走行駆動装置24や
前記衝突防止センサ23などは、本体21に設けた制御装置
25に接続している。

【００１６】前記走行駆動装置24からの下向きの駆動軸
26は、前記スリット７を通ってカバー６の下方に突出
し、そして下端には、前記ラック11に噛合するピニオン
27が取り付けられる。前記本体21の下部からは前記スリ
ット７を通るブラケット28が垂設され、このブラケット
28は駆動軸26に対して前後に振分けられる。前記ブラケ
ット28の下端間には水平状のベースプレート29が取り付
けられ、このベースプレート29の下面側に前記ガイドレ
ール10の両側面に当接自在な複数のガイドローラ30を取
り付け、以て自走台車20を一定経路８上で走行自在とし
ている。

【００１７】そしてベースプレート29には、前記検出板
12に対応自在な高速カット用の検出装置31と、定位置検
出用の検出装置32とが設けられ、これら検出装置31，32
は前記制御装置25に接続している。前記定位置検出用の
検出装置32が対応自在な検出板15は他方の走行レール１
側に設けられる。さらにベースプレート29には、前記給
電装置14に摺接自在な集電装置33が設けられる。

【００１８】前記本体21の上面は扁平であり、以てパレ
ット40の支持面35に形成される。そして支持面35の中央
部分からパレット40の位置決めピン36が立設され、この
位置決めピン36が嵌入自在な位置決め孔41がパレット40
の中央部に上下方向に形成されている。

【００１９】前記パレット40は平箱状であって、その下
面により形成される被支持面42の幅（一定経路８とは直
交状の方向の幅）は前記支持面35の同方向の幅よりも長
くしてある。そしてパレット40の支持面35に支持されな
い被支持面42側には、その四隅に位置するように輪体43
が設けられ、これら輪体43は前述した幅方向に遊転自在
に構成される。前記パレット40は治具38を載置自在であ
って、その載置姿勢は固定具（図示せず）により維持さ
れる。また治具38に対しては、たとえば部品などの被加
工物が着脱自在となる。

【００２０】前記一定経路８は長円の無端状に形成さ
れ、一つの直線部の両側方に、パレットステーション45
を一定経路８の方向に複数設けている。このパレットス
テーション45は、前記架台３から立設した複数の脚体46
と、脚体46の上端間に固定した前述の幅方向の連結体47
と、この連結体47に上面に固定したレール状の輪体支持
部48とからなり、この輪体支持部48を前記支持面35と同
じレベルに設定するとともに、二本を一組として前記パ
レットステーション45を形成している。

【００２１】各パレットステーション45の前方でかつ一
定経路８の両側には、前記輪体43に下方から対向しかつ
上昇により前記支持面35と同じレベルとなる中継部材50
を昇降自在に設けている。すなわち一定経路８の両側に
おいて前記架台３からブラケット51が立設され、このブ
ラケット51の相対向する内側面の上部には上下方向のガ
イド筒52が設けられる。このガイド筒52に案内される昇
降体53の下端とブラケット51の下部との間に昇降用のシ
リンダ装置54を設け、そして昇降体53の上端に前記中継
部材50を固定している。

【００２２】各パレットステーション45には、前記自走
台車20とパレットステーション45との間でパレット40を
移動させる移動装置60が設けられる。すなわち両輪体支
持部48間に揺動レール61が配設され、この揺動レール61
はパレットステーション45の奥部に前記一定経路８と平
行に設けた支軸62を介して上下揺動自在に取付られ、そ
して揺動を行わせるシリンダ装置63がブラケット51に設
けられる。

【００２３】前記揺動レール61に支持案内される可動体
64はロッドレスシリンダ（図示せず）により移動自在で
あり、そして可動体64の上面からは係止ピン65が立設さ
れる。なおパレット40には、係止ピン65が下方から係脱
自在な係止孔44が形成されている。

【００２４】前記一定経路８の別の直線部の側方には、
前記パレット40を受け入れて治具38の被加工物に対して
加工を行う加工装置70などが配設してある。次に、上記
実施例における作用を説明する。各車輪22を介して走行
レール１上に載置した自走台車20は、走行指示により走
行駆動装置24を作動させ、ピニオン27を強制回転させる
ことで一定経路８上を走行される。すなわちピニオン27
の回転は、ラック11に噛合していることから確実な走行
力に変えられ、そしてガイドレール10にガイドローラ30
を介して案内されることから、自走台車20は一定経路８
上で所定の速度により走行を行う。

【００２５】通常の走行においては、検出板12を検出装
置31が検出することで高速がカットされて減速に移り、
次いで板出板15を検出装置32が検出することで自走台車
20は、パレットステーション45や加工装置70に対向した
定位置で停止される。そして一定経路８内に人などの障
害物が入ったとき、その障害物を衝突防止センサ23が検
出して自走台車20を非常停止させる。さらに走行は、前
記給電装置14に集電装置33が摺接することで、地上側か
ら自走台車20の制御装置25への信号の授受、ならびに給
電を行って円滑に行われる。

【００２６】前述のような走行時においてパレット40
は、その下面である被支持面42が支持面35に載置されて
面接触していることから、その摩擦力により安定して支
持されるとともに横ずれや脱落などは生じない。さらに
位置決め孔41に位置決めピン36が嵌入していることか
ら、横ずれなどはより強く防止し得る。

【００２７】そして自走台車20がパレットステーション
45群の前方を走行する際には、図１に示すように前記中
継部材50は下降位置にあり、また揺動レール61を介して
可動体64も下降位置にある。したがって自走台車20は、
パレット40の輪体43を中継部材50や可動体64などに衝突
させることなく走行し得る。

【００２８】前記自走台車20上のパレット40をパレット
ステーション45に渡すとき、まず目的とする空のパレッ
トステーション45の前方に自走台車20を停止させる。こ
のとき輪体43は中継部材50の上方に位置し、また係止孔
44は係止ピン65の上方に位置している。

【００２９】次いでシリンダ装置54の作動により中継部
材50を上昇させる。すると中継部材50は輪体43に下方か
ら当接し、この輪体43を介してパレット40の持ち上げを
行う。この中継部材50の上昇は図２に示すように、この
中継部材50の上面が支持面35と面一になることで停止さ
れ、このとき位置決めピン36は抜出状態となる。

【００３０】この状態でシリンダ装置63により揺動レー
ル61を上方に揺動させ、可動体64の係止ピン65を係止孔
44に係合させたのち、可動体64を奥部側に移動させてパ
レット40に引き込み力を作用させる。これによりパレッ
ト40は、一側の輪体43が中継部材50から輪体支持部48へ
と転動し、かつ他側の輪体43が中継部材50から支持面3
5、中継部材50、輪体支持部48へと転動することで、パ
レットステーション45に引き込まれることになる。

【００３１】そして空の自走台車20は走行し得るのであ
り、またパレット40を引き込んだパレットステーション
45においては、前記中継部材50を下降させるとともに揺
動レール61を下降させることで、別な自走台車20の前方
通過を、パレット40の輪体43を中継部材50や可動体64な
どに衝突させることなく行える。

【００３２】なお空の自走台車20に対するパレット40の
積み込みは、目的とする実のパレットステーション45の
前方に自走台車20を停止させたのち、上述とは逆の動作
で行えるのであり、その際にパレットステーション45内
のパレット40は可動体64などを介して自走台車20上に押
し込まれる。

【００３３】上記実施例では自走台車20として、２本の
走行レール１に支持される形式を示したが、これはモノ
レールにより支持案内する形式であってもよく、またモ
ータ利用の走行駆動装置24により走行させる形式を示し
たが、これはリニアにより走行させる形式でもよい。さ
らにパレット40として治具38を支持する形式を示した
が、これは、たとえば自動車用の部品などを直接に支持
する形式でもよい。

【００３４】上記実施例では長円無端状の一定経路８を
示したが、これは直線状の有端経路で自走台車20を往復
走行させる形式でもよく、また有端経路を一方通行とし
て、その上方に作業経路を形成するとともに加工装置を
配設した形式でもよい。さらに一定経路８の両側方にパ
レットステーション45を配設したが、これは一側方にの
み配設してもよい。そして位置決めピン36はシリンダ装
置により昇降させる形式でもよく、また位置決めピン36
を省略した形式でもよい。

【００３５】

【発明の効果】上記した本発明の構成によると、パレッ
トに少数の輪体を設け、各パレットステーションに中継
部材と移動装置とを設けるだけでよいことから、従来の
多数の支持ローラを配設する構成に比べて、全体を簡単
にかつ安価に構成できる。しかも自走台車の走行時にお
いてパレットは、その下面が支持面に載置されて面接触
していることから、その摩擦力により安定して支持で
き、横ずれや脱落などは生じないことになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示し、走行時でのパレット
ステーションと自走台車との縦断正面図である。

【図２】同パレット受け渡し時でのパレットステーショ
ンと自走台車との縦断正面図である。

【図３】同パレットステーション部の要部の前面図であ
る。

【図４】同走行時での走行レール部と自走台車との縦断
正面図である。

【図５】同経路形態を示す概略平面図である。

【符号の説明】

１ 走行レール ８ 一定経路 10 ガイドレール 11 ラック 14 給電装置 20 自走台車 22 車輪 23 衝突防止センサ 24 走行駆動装置 25 制御装置 27 ピニオン 35 支持面 36 位置決めピン 38 治具 40 パレット 41 位置決め孔 42 被支持面 43 輪体 44 係止孔 45 パレットステーション 48 輪体支持部 50 中継部材 60 移動装置 64 可動体 65 係止ピン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B23Q 41/00 - 41/08 B61D 47/00 B65G 35/00 B65G 47/52

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行レールに支持されて一定経路上を走
   行自在な自走台車を設け、この自走台車の上面をパレッ
   トの支持面に形成し、前記パレットの支持面に支持され
   ない下面に、一定経路とは直交状の方向に遊転自在な複
   数の輪体を設け、前記一定経路の側方に、前記支持面と
   同様なレベルの輪体支持部を有するパレットステーショ
   ンを一定経路の方向に複数形成し、各パレットステーシ
   ョンの前方でかつ一定経路の両側に、前記輪体に下方か
   ら対向しかつ上昇により前記支持面と同様なレベルとな
   る中継部材を昇降自在に設け、前記自走台車とパレット
   ステーションとの間でパレットを移動させる移動装置を
   設けたことを特徴とする自走台車使用の搬送設備。