JP2786329B2 - アルミン酸塩蛍光体およびこれを用いた蛍光ランプ - Google Patents

アルミン酸塩蛍光体およびこれを用いた蛍光ランプ

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は低圧水銀放電の紫外線により緑色に発光する
アルミン酸塩蛍光体およびこれを用いた蛍光ランプに関
するものである。
従来の技術 近年、屋外でも使用できる大型カラー映像表示装置が
開発され、その普及が進んでいる。このような大型ディ
スプレイの画素などに使用される平面発光形の可変色蛍
光ランプが特開昭61−55851号公報および特開平2−129
847号公報に示されている。これらの可変色蛍光ランプ
は大型ディスプレイの画素とするために、G(緑色)、
R(赤色)、B(青色)に発光する蛍光体をそれぞれ単
色発光させる一つまたは複数組の絵素で構成されてい
る。このような大型ディスプレイ用の平面発光形蛍光ラ
ンプに用いられる蛍光体のうちでG成分蛍光体として
は、たとえばテルビウム付活セリウムマグネシウムアル
ミネート(以下、CATと略す)が使用されている。
発明が解決しようとする課題 第3図に示すように、従来の大型ディスプレイ用の平
面発光形蛍光ランプに使用されるG成分蛍光体として
は、CATで代表されるように3価のテルビウムによる発
光を利用しているため、緑色の色純度が満足なものでな
く、一般のカラーテレビに比べてディスプレイ装置とし
ての色再現範囲が狭いという問題があり、その改善は望
まれていた。同図において、R成分蛍光体は3価のユー
ロピウムで付活されたイットリウムオキサイド(以下、
YOXと略す)、B成分蛍光体は2価のユーロピウムで付
活されたバリウムマグネシウムアルミネート(以下、BA
Mと略す)である。
緑色発光の色純度が良好な蛍光体としては2価のマン
ガンによる発光が適しており、蛍光ランプ用としては、
2価のマンガン付活ケイ酸亜鉛、2価のユーロピウムお
よびマンガンで付活されたバリウムマグネシウムアルミ
ネートおよび2価のマンガンで付活されたセリウムマグ
ネシウムアルミネート等が知られている。上記大型ディ
スプレイ用の蛍光ランプは通常高負荷点灯されるため、
2価のマンガン付活ケイ酸亜鉛と2価のユーロピウムお
よびマンガンで付活されたバリウムマグネシウムアルミ
ネートの場合は寿命中の輝度維持率が劣っており、また
2価のマンガンで付活されたセリウムマグネシウムアル
ミネートの場合は寿命中の輝度維持率は良好であるが、
輝度そのものが低いという欠点があった。
本発明は大型ディスプレイ用等の高負荷条件で点灯さ
れる蛍光ランプに用いられる蛍光体において、良好な色
純度と寿命中を通じて輝度低下の少ないアルミン酸塩蛍
光体およびこれを用いた蛍光ランプを提供するものであ
る。
課題を解決するための手段 本発明のアルミン酸塩蛍光体は、一般式:(Ln,Ce)
(Mg,Eu,Mn)Al2ZO2.5+3Z(ただし、式中Lnはイットリ
ウム、ガドリニウムおよびランタンの中から選ばれた少
なくとも一種であり、Zは4.5〜15である。)で表され
る。
また、本発明の蛍光ランプは、一般式:(Ln、Ce)
(Mg,Eu,Mn)Al2ZO2.5+3Z(ただし、式中Lnはイットリ
ウム、ガドリニウムおよびランタンの中から選ばれた少
なくとも一種であり、Zは4.5〜15である。)で表され
るアルミン酸塩蛍光体からなる蛍光膜をガラス管内面に
備えたものである。
作用 本発明のアルミン酸塩蛍光体は2価のユーロピウムお
よび3価のセリウムの2種類の共付活剤を用いているた
め、その増感作用が顕著に認められるとともに、3価の
セリウムの位置をイットリウム,ガドリニウム,ランタ
ン等の希土類元素で置換することにより安定化を図って
いるため、従来の3価のセリウムだけの共付活の場合に
比べて明らかな輝度向上が得られる。また、蛍光ランプ
に適用した場合にも上記増感作用とともに希土類元素置
換による安定化作用が良好に働き、寿命中を通じて輝度
低下の少ない特性が得られる。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例 第1図は本発明にかかるアルミン酸塩蛍光体(La0.2C
e0.8)(Mg0.79Eu0.01Mn0.2)Al11O19の254nm紫外線励
起による発光スペクトル(曲線1)を従来のEuを含まな
いCeMg0.8Mn0.2Al11O19のもの(曲線2)と比較して示
したものである。第1図から明らかなように、本発明に
かかる蛍光体では360nm付近に存在する3価のセリウム
による発光が低下し、450nm付近に2価のユーロピウム
による発光が新たに得られることが見いだされた。すな
わち、従来の3価のセリウムに2価のユーロピウムを加
えた2種類の共付活剤としたことにより、2価のマンガ
ンの発光が高められるとともに、2価のユーロピウムの
発光も得られることになり本発明の効果が発揮されるも
のである。
また、第2図は一般式:(La0.4Ce0.6)(Mg0.8−xE
uxMn0.2)Al15O25で表される本発明にかかる一連の蛍光
体の254nm紫外線励起による発光の色度点を従来の大型
ディスプレイ用の平面発光形蛍光ランプに用いられてい
るCAT,YOX,BAMのものとともにx,y座標上に示したもので
ある。第2図において、G,R,Bは一般のカラーテレビに
用いられているNTSC方式の色度座標である。第2図か
ら、本発明による蛍光体の色純度は良好であり、従来の
例えばYOXおよびBAMと組み合わせることにより一般のカ
ラーテレビと同等の色再現を実現していることがわか
る。
本発明にかかるアルミン酸塩蛍光体は、以下の製造方
法により得ることができる。
蛍光体原料にはセリウムを置換するものとしてイット
リウム,ガドリニウムおよびランタン化合物の中から選
ばれた少なくとも一種(Ln)、セリウム源として酸化セ
リウム,硝酸第1セリウム等のセリウム化合物の中より
選ばれる化合物の少なくとも一種、マグネシウム源とし
ては塩基性炭酸マグネシウム,フッ化マグネシウム等の
マグネシウム化合物の中より選ばれる化合物の少なくと
も一種、ユーロピウム源として酸化ユーロピウム,フッ
化ユーロピウム等のユーロピウム化合物の中より選ばれ
る化合物の少なくとも一種、マンガン源として炭酸マン
ガン等のマンガン化合物の中から選ばれる化合物の少な
くとも一種、アルミニウム源として酸化アルミニウム,
水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物の中から選
ばれる化合物の少なくとも一種を用いる。これらの原料
を所定量秤量し、十分に混合する。この混合物をるつぼ
に入れて空気中、1200〜1600℃で2〜4時間焼成する。
得られた焼成物を粉砕後、るつぼに再び入れ、還元雰
囲気において1400〜1600℃で2〜4時間焼成する。焼成
物を粉砕,水洗等の処理を行い本発明の緑色発光アルミ
ン酸塩蛍光体を得た。
上記した本発明にかかる蛍光体の製造方法において、
アルミン酸塩蛍光体に用いられるフラックス材料として
よく知られているフッ化アルミニウムやフッ化マグネシ
ウムなどのフッ化物或はホウ酸や酸化ホウ素等の添加は
適当量であれば輝度向上に効果的である結果を得た。
次に、本発明の実施例を述べる。
実施例1 La2O3 0.10 モル CeO2 0.80 モル Mg(OH) 0.79 モル Eu2O3 0.005モル MnCO3 0.20 モル Al2O3 5.50 モル 上記原料を十分に混合し、空気中において1400℃で3
時間焼成する。得られた焼成物を粉砕混合後、還元性雰
囲気において1600℃で4時間焼成し粉砕,水洗,混合し
て蛍光体を得た。
得られた蛍光体の組成は(La0.2Ce0.8)(Mg0.79Eu
0.01Mn0.2)Al11O19であった。この蛍光体をガラスバル
ブ内面に塗布し、FCL30/28蛍光ランプを作製した。この
蛍光ランプの輝度は、比較として焼成した従来知られて
いる蛍光体であるCu(Mg0.8Mn0.2)Al11O19を用いて同
様に作製した蛍光ランプの輝度に対して125%であっ
た。また、定格電圧での2000時間点灯後の輝度維持率に
関しても本実施例の蛍光ランプでは92.5%であり、比較
として作製した蛍光ランプでは87.0%であった。すなわ
ち、本発明による蛍光体を用いた蛍光ランプでは輝度お
よび輝度維持率の両者で明らかに改善された特性が得ら
れた。
実施例2 La2O3 0.20 モル Ce2(NO3・6H2O 0.30 モル MgO 0.88 モル Eu2O3 0.0025モル MuCO3 0.10 モル Al2O3 7.50 モル MgF2 0.015 モル 上記原料を用いた実施例1と同様の処理により蛍光体
を得た。得られた蛍光体の組成は(La0.4Ce0.6)(Mg
0.895Eu0.005Mn0.10)Al15O25であった。
この蛍光体をガラスバルブ内面に塗布し、FCL30/28蛍
光ランプを作製した。この蛍光ランプの輝度は、比較と
して焼成したCe(Mg0.9Mn0.1)Al15O25を用いて同様に
作製した蛍光ランプの輝度に対して113%であった。ま
た、定格電圧での2000時間点灯後の輝度維持率に関して
も本実施例の蛍光ランプでは94.0%であり、比較として
作製したランプでは89.0%であった すなわち、本発明による蛍光体を用いたランプでは輝
度および輝度維持率の両者で明らかに改善された特性が
得られ本発明の効果が認められた。
実施例3 Y2O3 0.10 モル CeO2 0.80 モル Mg(OH) 0.80 モル Eu2O3 0.025モル MnCO3 0.15 モル Al2O3 6.00 モル H3BO3 0.003モル 上記原料を用い実施例1と同様の処理により蛍光体を
得た。得られた蛍光体の組成は(Y0.2Ce0.8)(Mg0.8E
u0.05Mn0.15)Al12O20.5であった。この蛍光体をガラス
バルブ内面に塗布し、FCL30/28蛍光ランプを作製した。
この蛍光ランプの輝度は、比較として焼成したCe(Mg
0.85Mn0.15)Al12O20.5を用いて同様に作製した蛍光ラ
ンプの輝度に対して110%であった。また、定格電圧で
の2000時間点灯後の輝度維持率に関しても本実施例の蛍
光ランプでは92.5%であり、比較として作製した蛍光ラ
ンプでは89.0%であった。
すなわち、本発明による蛍光体を用いたランプでは輝
度および輝度維持率の両者で明らかに改善された特性が
得られ本発明の効果が認められた。
実施例4 Gd2O3 0.20モル Ce2(CO3・6H2O 0.30モル Mg(OH) 0.40モル Eu2O3 0.10モル MnCO3 0.40モル Al(OH) 20.00モル 上記原料を用い実施例1と同様の処理により蛍光体を
得た。得られた蛍光体の組成は(Gd0.4Ce0.6)(Mg0.4E
u0.2Mn0.4)Al20O32.5であった。この蛍光体をガラスバ
ルブ内面に塗布し、FCL30/28蛍光ランプを作製した。こ
の蛍光ランプの輝度は、比較として焼成したCe(Mg0.4M
n0.4)Al20O32.5を用いて同様に作製したランプの輝度
に対して106%であった。また、定格電圧での2000時間
点灯後の輝度維持率に関しても本実施例の蛍光ランプで
は91.0%であり、比較として作製した蛍光ランプでは8
5.0%であった。
すなわち、本発明による蛍光体を用いた蛍光ランプで
は輝度および輝度維持率の両者で明らかに改善された特
性が得られ本発明の効果が認められる。
なお、本発明にかかるアルミン酸塩蛍光体は前記大型
ディスプレイ用の平面発光形蛍光ランプや高負荷で点灯
される一般照明用の蛍光ランプにおいてのみならず、真
空紫外域の励起を利用する蛍光ランプ分野においてもそ
の効果が認められるものである。
発明の効果 以上説明したように、本発明によれば、2価のユーロ
ピウムおよび3価のセリウムの2種類の共付活剤を同時
に使用するとともに3価のセリウムの位置を希土類元素
により置換することで安定化を図っているため、従来の
3価のセリウムだけの共付活では得られなかった高輝度
で、かつ寿命中を通じて輝度維持率の良好な2価のマン
ガンにより緑色発光蛍光体が得られるものである。ま
た、本発明にかかる蛍光体を大型ディスプレイ用の平面
発光形蛍光ランプや高負荷で点灯される蛍光ランプに適
用することにより、その色純度の良好な緑色発光を利用
できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかるアルミン酸塩蛍光体の発光スペ
クトルを従来のものと比較して示す図、第2図は本発明
の実施例1の蛍光体の色度をx,y色度図上に示す図、第
3図は従来の大型ディスプレイ用に用いられている平面
発光形蛍光ランプのB,G,Rの色度をx,y色度図上に示す図
である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式:(Ln,Ce)(Mg,Eu,Mn)Al2ZO
    2.5+3Z(ただし、式中Lnはイットリウム、ガドリニウ
    ムおよびランタンの中から選ばれた少なくとも一種であ
    り、Zは4.5〜15である。)で表されることを特徴とす
    るアルミン酸塩蛍光体。
  2. 【請求項2】一般式:(Ln,Ce)(Mg,Eu,Mn)Al2ZO
    2.5+3Z(ただし、式中Lnはイットリウム、ガドリニウ
    ムおよびランタンの中から選ばれた少なくとも一種であ
    り、Zは4.5〜15である。)で表されるアルミン酸塩蛍
    光体からなる蛍光膜をガラス管内面に備えたことを特徴
    とする蛍光ランプ。
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