JP2785721B2 - 越流堰 - Google Patents

越流堰

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JP2785721B2 JP28875894A JP28875894A JP2785721B2 JP 2785721 B2 JP2785721 B2 JP 2785721B2 JP 28875894 A JP28875894 A JP 28875894A JP 28875894 A JP28875894 A JP 28875894A JP 2785721 B2 JP2785721 B2 JP 2785721B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は潅漑用水などの流路に設
けた水量調整用の分水スタンドに取付け下流側への放水
量を一定に制御する越流堰に係る。
【0002】
【従来の技術】分水スタンドとは潅漑用流路などの要所
に設けたコンクリート製などで形成した水槽の一種であ
り、上流側から潅漑用水などを受入れ、流量を調整して
下流側へ放流する水量調整の機能を果たす施設のことを
呼ぶ。分水スタンドは雨水の流入や、他の分水の停止に
よって分水流量が増加したり、逆に上流側における分水
量が増加したために下流側の流量が不足するような不均
衡な流量変動を緩和し、常に定量の分水が下流側へ送水
できるように調整する働きを目的とする。
【0003】この機能を満足するために従来から分水ス
タンドの放水用開口部の前面へ越流堰を設けて、分水ス
タンド内から下流側へ放水する水量を一定に維持するた
めに、可動堰板を手動、または連結したフロートとの連
動によって位置を調整できるように堰本体へ嵌合してい
る。図5〜図7は、従来技術の典型例を示す三面図(一
部断面)であり、越流堰を分水スタンドに介装し下流側
への放水量の制御を行なう具体的な構成である。図にお
いて、分水スタンド2aは潅漑用の流路に設けられ上流
側U、下流側Dと連通する水槽であり、この分水スタン
ド2aの流れ方向に直面する正面に堰本体1aを取付け
ている。分水スタンド2aはコンクリートで成形した垂
直な側板で囲まれ、流れに直面する正面に放水用開口部
22aが下流側へ連通するように切り欠かれている。堰
本体1aは分水スタンド2aの前面で、該放水用開口部
22aと開口幅がほぼ一致する流通口12aを開口した
可動堰板14aを昇降自在に遊嵌している。可動堰板1
4aの頂面中央に吊支金具18aを取付け、吊支金具1
8aは水平の接続杆17aと締結されている。接続杆1
7aの左右両端にはフロート3aが吊支されて分水スタ
ンド2aの中で上流側の水中に浮遊する。
【0004】この構成の結果、可動堰板の位置はフロー
トの位置と連動して昇降し、水位の変動でフロートの位
置が上下すれば可動堰板の位置も同じ垂直距離だけ上下
するので、水面Wに対する流通口12aの相対的位置の
変動がなく、常に定量の放水が水位の変動に関係なく維
持される。フロートと流通口との位置関係は吊支金具1
8aに多数の貫通孔19aを配列し、適宜所望に応じて
接続杆17aとの締結位置を上下することによって調整
することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】水位の変動に対しては
可動堰板が連動することによって吸収し、常に定量の放
水を維持するのであるから、可動堰板の位置の応動が越
流堰の機能の良否に大きな影響を与える要素となる。従
来技術の場合、可動堰板の位置移動を手動で行なうとき
は言うまでもないが、分水スタンド内にフロートを浮遊
させて水位の位置の変動に可動堰板の位置を自動的に応
動させるときでも、可動堰板自体が全面的に分水スタン
ド内の水圧を正面から受けることは避けられないから、
その押圧力によって誘発された堰本体と可動堰板間の摩
擦力に克たなければ移動できない。すなわち、可動堰板
の移動とフロートの応動の関係は、可動堰板の自重とフ
ロートの浮力とのバランスに基づいて始動しまたは停止
するが、それ以外に可動堰板と堰本体との摩擦作用とい
う別の要素も無視することはできない。
【0006】摩擦力は水圧と摩擦係数の積で計算できる
から、水位が上昇すればフロートの浮力が増加して可動
堰板を上方へ引き上げようとするのに対し、分水スタン
ド内の水圧も同時に高まり可動堰板に作用する摩擦力が
増強されるので、フロートの動きに連動しようとする可
動堰板の作動を逆に拘束する抑止力も増大し、放水を定
量に維持しようと動く越流堰の機能は大きく減退する。
【0007】この課題を解決するためには、摩擦力に十
分うち克つようにフロートの容量を増加して浮力を強化
することが必要となるが、これではフロートが大型化
し、これを収容する分水スタンドの容積も大きくならざ
るを得ないなど設備費の高騰と設置面積の増大という負
担を強いられるから、さらに有効な解決策が望まれるこ
とは当然の理である。本発明は以上に述べた課題を解決
するために、分水スタンドの大型化も、フロートの容量
増加も必要としないで、常に安定した定量放水を維持す
る機能を具えた新規な越流堰の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る越流堰は、
潅漑用水などの流路に設けた水量調整用の分水スタンド
に取付け、下流側への放水量を一定に制御する目的で設
置され、中空の箱体よりなる堰本体1の流路に直面する
正面は閉鎖面11、該閉鎖面11と対向する裏面は、分
水スタンド2の放水用開口部22の正面内壁21に固着
してその放水用開口部22と連通する流通口12を開口
する取付面13よりなり、堰本体1の流れ方向と平行す
る両側面には、可動堰板14を昇降可能に遊嵌して越流
口15の有効面積を調整自在に開口することによって前
記の課題を解決した。
【0009】この基本的な構成において、対向する2枚
の可動堰板14のそれぞれの頂面に共通して固定する蓋
板16と連結する接続杆17の両端へ可動堰板14との
位置関係を変動自在にフロート3をそれぞれ吊支するこ
とが望ましい実施の態様である。
【0010】
【作用】本発明の越流堰では、分水スタンド内に取付け
る堰本体は従来技術のような平板状ではなくて立体的な
箱形である。上流側に直面する正面は閉鎖され、流れ方
向と直交する側面に越流口が開口している。可動堰板は
左右から均等に分水スタンド内の水圧を受けるから、堰
本体へは左右対称の押圧力が働いて互に相殺し合って消
滅し、押圧力によって誘発される可動堰板と堰本体間の
摩擦力は発生しない。したがって可動堰板は水位の上下
に応動するフロートの浮力とのバランスによってだけ誘
導される。
【0011】
【実施例】図1は本発明実施例の断面側面図であり、図
2は平面図、図3は一部断面の正面図である。越流堰の
堰本体1は中空の長方体よりなり、分水スタンド2内で
流れ方向に直面する正面は閉鎖面11、閉鎖面に対向す
る裏面は分水スタンド2の正面内壁21に接して取付け
られる取付面13であり、取付面13には分水スタンド
2の放水用開口部22とほぼ重なる位置に共通して開口
する流通口12が開口している。
【0012】分水スタンド2内へ流入した用水が堰本体
内へ流入する越流口15は、堰本体の左右両側面へ遊嵌
する可動堰板14の上部を貫通して穿設されている。両
側面にある可動堰板14の頂面は、蓋板16によって結
合して固定され、蓋板16の中心に固着した垂直の吊支
金具18は、水平の接続杆17と適宜選ばれた貫通孔1
9を通して締結するボルトナットによって連結され、接
続杆17の両端には吊支杆31を介してフロート3がそ
れぞれ吊支されている。この構成により分水スタンド2
内へ上流側Uから流入した用水は、越流堰の堰本体内へ
側面の越流口15から流入し、箱形の堰本体内で方向を
直角に変換して流通口12から放水用開口部22を経由
して下流側Dへ放水される。
【0013】図4(A)(B)(C)はそれぞれ別の本
発明実施例を示す平面図であり、堰本体1の断面が図1
の例のような四角形ではなく多角形である例(A)
(B)、または図(C)のように角形の箱体ではなくて
曲面の筒状体である場合を現している。何れの例も堰本
体の側面に開口する越流口が左右に対称に設けられ、負
荷する水圧が互いに相殺し合って摩擦力が発生しない原
則に立つことは言うまでもない。
【0014】
【発明の効果】本発明は以上に述べたように越流堰が立
体的に構成され、側面から流入する用水が互いの水圧作
用を相殺して摩擦力を誘発しないから、水位の変動に伴
って昇降するフロートと共に昇降する可動堰板の作動が
きわめて軽快であり、機能の発揮がきわめて円滑に維持
される。可動堰の動作が軽快であるから必要なフロート
の浮力も小さくて足り、フロートの小型化、分水スタン
ド容積の低減など、設備に要する負担が軽減される利点
も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の側面断面図である。
【図2】同実施例の平面図である。
【図3】同実施例の一部断面正面図である。
【図4】(A)(B)(C)によってそれぞれ別の実施
例の平面図を示す。
【図5】従来技術の一例の側面断面図である。
【図6】同じ従来技術の平面図である。
【図7】同じ従来技術の一部断面正面図である。
【符号の説明】
1 堰本体 2 分水スタンド 3 フロート 11 閉鎖面 12 流通口 13 取付面 14 可動堰板 15 越流口 16 蓋板 17 接続杆 18 吊支金具 19 貫通孔 21 正面内壁 22 放水用開口部 31 吊支杆 W 水面

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潅漑用水などの流路に設けた水量調整用
    の分水スタンドに取付け、下流側への放水量を一定に制
    御する越流堰において、中空の箱体よりなる堰本体1の
    流路に直面する正面は閉鎖面11、該閉鎖面11と対向
    する裏面は、分水スタンド2の放水用開口部22の正面
    内壁21に固着してその放水用開口部22と連通する流
    通口12を開口する取付面13よりなり、堰本体1の流
    れ方向と平行する両側面には、可動堰板14を昇降可能
    に遊嵌して越流口15の有効面積を調整自在に開口する
    ことを特徴とする越流堰。
  2. 【請求項2】 請求項1において、対向する2枚の可動
    堰板14のそれぞれの頂面を固定する蓋板16と連結す
    る接続杆17の両端へ、可動堰板14との位置関係を変
    動自在にフロート3をそれぞれ吊支することを特徴とす
    る越流堰。
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