JP2782897B2 - アルカリ金属アルコラートの精製法 - Google Patents

アルカリ金属アルコラートの精製法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアルコラート中に不純物として含まれる水酸
化物を除去することにより純粋なアルコラートを得る方
法に関する。
〔従来の技術〕
アルカリ金属アルコラート中に不純物として含まれる
水酸化物は、アルコラート等への溶解度が大きく、それ
を除去することはかなり困難で、使用に当たってその存
在がしばしば問題となることがある。
これまでは、水酸化物の多いアルコラートを精製する
には、無機酸エステル添加法(特公昭37−11808)、再
結晶法(米国特許3761529)、共沸脱水法(特公昭36−2
172、特開昭63−264430他)等、限られた方法しかなか
った。しかしながら、これらの方法では添加物中の不純
物による汚染が生じたり、多量のエネルギーが必要であ
り、また、収率が低いなど種々の問題があった。
このため、高純度のアルコラートを得るには、製造段
階から高純度の原料及び高純度のアルコラートを使用
し、しかも製造中はアルコールやアルコラートが吸湿性
であるため絶えず水分の混入防止に細心の注意を払って
水酸化物の増加を抑えなければならないなどかなりの努
力を必要とした。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、前記問題を解決し、高純度のアルコ
ラートを高収率で得るための簡便な方法を提供すること
である。
〔課題を解決するための手段〕
前記問題点を克服するための本発明の要旨は、アルコ
ラート中の水酸化物を一酸化炭素と反応させることによ
り不溶性の蟻酸塩を生成させ、その不溶物を濾過除去す
ることにより高純度のアルコラートを高収率で得る簡便
な精製法である。
本発明において使用するアルコラートは炭素数には特
に制限はなく、また1価、多価アルコラートのいずれで
も良い。その溶媒はアルコールまたはアルコラートと反
応しない不活性溶媒あるいはそれらの混合溶媒のいずれ
でもよい。
本発明においてアルコラート中に含有する水酸化物の
濃度には特に制限がなく、低濃度、高濃度のいずれでも
よいが、低濃度の方が効率よく精製できる。
本発明における反応温度は、アルコラートの種類によ
って一様ではないが、通常、室温〜沸点、好ましくは20
〜50℃までの範囲で行えば反応を容易に行うことが出来
る。反応温度が違うのは、アルコラートの種類によって
一酸化炭素とアルコラートが反応する温度が違い、アル
コラートの消費をできるだけ抑える温度に設定するため
である。
本発明におけるアルコラート溶液の濃度は、特に制限
はないが、濃度が薄い方が効率よく精製でき、アルコラ
ートの種類によって一様ではないが、通常20%以下の濃
度が好ましい。
本発明における一酸化炭素の吹き込み量には特に制限
はないが、吹き込み量を多くしても反応速度にほとんど
影響せず、通常、アルコラートに対して1〜10倍モル/
時間程度が良く、好ましくは、2〜5倍モル/時間とす
るのが適当である。
本発明において使用する一酸化炭素は、ガスであるこ
とから簡単に高純度の物が得られるため不純物混入によ
る汚染は考慮する必要がない。
本発明においては、一酸化炭素はそのまま、あるい
は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに希釈し
ても良く、その効果には違いがない。
本発明においては、一酸化炭素の吹き込み方法は、溶
液中にい吹き込む方法、あるいは、溶液の表面を通過さ
せて接触する方法のいずれでも良いが、溶液中に吹き込
む方法の方が効率が良い。なお、一酸化炭素をシールガ
スとして使用すれば、保管中、アルコラート溶液に水酸
化物が増加するのを防止すると共に放置するだけで精製
することが出来る。
本発明における反応方式は、特に制限はなく、例え
ば、バッチ式、連続式などのいずれの反応方式でも行う
ことが出来る。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1) 300mlの4ツ口フラスコにカリウムtert−ブチラート
(純度88.6%、水酸化カリウム11.0%含有)の10%tert
−ブタノール溶液150gを仕込み、フラスコ内を窒素置換
する。溶液の温度を35℃に調節しながら、CO:N2=1:2の
混合ガスを、ガス吹き込み管の先端を液中に2cm程度差
込み、吹き込みを続ける。4時間後、吹き込みを終了し
不溶解物を濾過した後、溶液を乾燥させてアルコラート
の結晶を得た。結晶を分析した結果、アルコラートの純
度は98.7%で、水酸化カリウムは0.6%に減少してい
た。アルコラートの回収率は93%であった。
(実施例2) 実施例1において、アルコラートにナトリウムエチラ
ート(純度93.2%、水酸化ナトリウム6.0%含有)の15
%エタノール溶液を、反応温度を40℃とした他は実施例
1と同様の方法で実施した。その結果、得たアルコラー
トの純度は99.1%で、水酸化ナトリウムは0.4%に減少
していた。アルコラートの回収率は97%であった。
(実施例3) 実施例1において、アルコラートにナトリウムn−オ
クチレート(純度92.5%、水酸化ナトリウム7.5%含
有)の8%n−オクタノール溶液を、反応温度を40℃と
した他は実施例1と同様の方法で実施した。その結果、
得たアルコラートの純度は99.7%で、水酸化ナトリウム
は0.2%に減少していた。アルコラートの回収率は100%
であった。
(実施例4) 実施例1において、アルコラートにリチウムメチラー
ト(純度90.1%、水酸化リチウム9.8%含有)の5%メ
タノール溶液を、反応温度を50℃とした他は実施例1と
同様の方法で実施した。その結果、得たアルコラートの
純度は97.0%で、水酸化リチウムは2.1%に減少してい
た。アルコラートの回収率は99%であった。
〔発明の効果〕
以上の結果から明らかなように、本発明によれば、水
酸化物を多く含むアルカリ金属アルコラート溶液に一酸
化炭素を吹き込むことにより不溶性の蟻酸塩を生成さ
せ、それを濾過除去することにより高純度のアルコラー
トを高収率で簡単に得ることが出来る。
そして、更に次のような効果を奏することができる。
(1) 本発明によれば、反応後にアルコラートを精製
できるため、アルコラートの製造に当たり高純度の原料
や高純度のアルコールを使用する必要がない。従って、
安価な原料を使用できるため製造コストがかからず工業
上著しく有利である。
(2) 本発明において、反応温度を高くすることによ
り水酸化物のみならずアルコラートをも反応させて除去
することができるため、蒸留せずにアルコールその他の
溶媒の精製に利用することが出来る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ金属アルコラート溶液を一酸化炭
    素と接触もしくは吹き込み処理し、生成した不溶物を除
    去することを特徴とするアルカリ金属アルコラートの精
    製法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲(1)記載の方法において
    アルコラート溶液を必要に応じて加温することを特徴と
    するアルコラートの精製法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲(1)記載の方法において
    一酸化炭素を必要に応じて不活性ガスで希釈することを
    特徴とするアルコラートの精製法。
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