JP2782815B2 - オキシチタニウムフタロシアニンの製造法 - Google Patents

オキシチタニウムフタロシアニンの製造法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はオキシチタニウムフタロシアニン(以下TiOP
cと略記する)結晶の製造法に関するものであり、更に
詳しくは、ジクロロチタニウムフタロシアニン(以下Ti
Cl2Pcと略記する)又はジブロモチタニウムフタロシア
ニン(以下TiBr2Ocと略記する)をフェノール類、水、
芳香族炭化水素と水の混合物等と接触処理することによ
り、TiOPc結晶を製造する方法に関するものである。
(従来の技術) フタロシアニン類は、塗料・印刷インキ・樹脂の着色
或は電子材料として有用な化合物であり、近年、電子写
真用材料として盛んに利用されるようになった。
本発明者はTiOPcの製造方法について種々検討した結
果、3種の結晶型の存在を確認し、それらの製造法を提
案した(特開昭62−256865号、特開昭62−256867号、特
開昭63−366号公報参照)。上記製造法は、オルトフタ
ロジニトリルと四塩化チタンを縮合反応してTiCl2Pcと
合成し、水で加水分解後N−メチルピロリドン処理して
TiCPcを得る方法である。
又、特開昭61−2117050号公報によれば、TiCl2Pcを濃
アンモニア水と共に煮沸して加熱分解後、アセトンを用
いてソックスレー抽出器で洗浄してTiOPcを得ている。
物理的手段を用いて特定の結晶型のTiOPcを製造する
方法としては、TiOPcをポリエレングリコールと共にサ
ンドグラインダー摩砕したのち、希硫酸処理して結晶転
移させる方法(特開昭64−17066号公報参照)が提案さ
れている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、前記従来法は縮合反応時の昇温速度、
加水分解時の温度或は摩砕時の撹拌条件等を微妙に制御
する必要があるばかりでなく、目的物中に2種の結晶型
が混在する傾向があり、実用に適するTiOPc結晶の製造
には不向きであった。
本発明者は、かかる問題点を解決すべく鋭意検討を重
ねた結果、TiCl2Pc又はTiBr2Pcに或特定の処理を施すこ
とにより、容易に単一結晶型のTiOPcが生成することを
見出し、本発明に到達した。即ち、本発明の目的は各種
用途に有用なTiOPc結晶を工業的有利に製造することに
ある。
(課題を解決する為の手段) しかして、かかる本発明の目的は、TiCl2Pc又はTiBr2
Pcを A フェノール類と接触させた後、水と接触させるか又
は B 含水フェノール類と接触させる ことにより容易に達成される。
(作 用) 以下本発明を更に詳しく説明する。
本発明に用いられるフェノール類は一価ないし多価フ
ェノールであり、例えばフェノール、カテコール、レゾ
ルシン、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられ
る。忽論上記以外のフェノール類も使用可能である。
フェノール類は一般的に常温で固体であるが、TiCl2P
c又はTiBr2Pcを接触処理するに際しては、使用するフェ
ノール類の融点以上の温度に保つ必要がある。又、必要
に応じて炭化水素、エーテル類或はエステル類等の不活
性溶媒を通常80%程度まで、好ましくは70%以下の量を
共存させて操作性を改善することもできる。
TiCl2Pc又はTiBr2Pcとフェノール類との接触処理温度
は、20〜200℃、好ましくは50〜200℃の範囲である。処
理温度が高過ぎると、フタロシアニンの一部が分解する
恐れがあり、低過ぎると反応速度が低下するため実用的
でない。
TiCl2Pc又はTiBr2Pcとフェノール類の使用比率には特
に制限はないが、両者の接触効率を考慮すれば1:5〜100
の範囲が好適である。フェノール類の使用比率が低過ぎ
ると接触効率が悪くなり、処理時間が長くなる。処理時
間は、処理温度とフェノール類の使用量によって決まる
が、130℃の場合で1〜3時間である。空気を通入しな
がら処理する方法も好結果を与えることが多い。
処理方法は特に制限はないが、撹拌槽内で混合する方
法が好ましい。TiCl2Pc又はTiBr2Pcを充填したカラムに
フェノール類を流通させる方法も可能であり、要するに
両者が効率よく接触する方法であればよい。
含水フェノール類で処理する条件は前記フェノール類
で処理する場合に準ずるが、フェノール類と水との重量
比が1:0.01〜100、好ましくは1:0.05〜50の範囲の含水
フェノール類を使用する。
TiCl2Pc又はTiBr2Pcを水で処理する場合の条件は、特
に制限はなく、TiCl2Pc又はTiBr2Pcをフェノール類で処
理して得られる中間体に対して5〜200倍量、好ましく
は10〜100倍量の水を加えて混合撹拌すればよい。処理
温度は通常20〜100℃、好ましくは50〜100℃である。処
理時間は温度によって異なるが、100℃の場合0.5〜3時
間である。
芳香族炭化水素と水の混合物で処理する場合、両者の
重量比は1:0.5〜200、好ましくは1:1〜100の範囲であ
る。中間物と処理剤(芳香族炭化水素+水)の使用比は
任意に選択できるが、通常重量比で1:5〜200、好ましく
は1:10〜100である。処理温度は20〜100℃、好ましくは
50〜100℃であり、処理時間は0.1〜3時間である。芳香
族炭化水素の種類は特に制限はないが、水との混合を容
易ならしめることを考慮すれば、100℃以下の融点のも
のが好適であって、置換基を有していてもよい。
本発明方法はTiCl2Pc又はTiBr2Pcを A フェノール類と接触させた後、水と接触させるか又
は B 含水フェノール類と接触させる ことを必須の要件とするが、例えば前記A又はBの操作
中又はその前後に他の操作をつけ加えたり、フェノール
類を水を初めとする他の物質と混合してTiCl2Pc又はTiB
r2Pcと接触させる等の方法等、上記要件を具備し、且つ
TiOPc結晶の製造という本発明の目的を達し得るもので
ある限り、種々のバリエーションを採用しても良い。
なお、具体的には、 1)フェノール類と接触させ、次いで水、更に芳香族炭
化水素と水の混合物と接触させる。
2)フェノール類と接触させ、次いで水と接触させる。
3)フェノール類と接触させ、次いで芳香族炭化水素と
水の混合物と接触させる。
4)含水フェノール類と接触させ、次いで芳香族炭化水
素と水の混合物と接触させる。
5)含水フェノール類と接触させる。
等の方法が好ましい。
尚、含水フェノール類はTiOPcの貧溶媒である水を含
む為、接触処理に用いたときフェノール類単味と比較し
て該処理後の被処理物の分離が容易である。
本発明方法によれば、X線回折スペクトルにおいて、
ブラッグ角(2θ±0.2゜)27.4゜に主たる回折ピーク
を有する単一の結晶型のTiOPcが製造され、かかるTiOPc
は例えば電子写真感光体の光導電物質として好適であ
り、中でも芳香族炭化水素と水の混合物を用いて接触処
理する操作を含む方法は、電子写真感光体の光導電物質
として特に好ましい特性映を示すTiOPc結晶を与える。
(実施例) 以下に実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の
実施例によって限定されるものではない。
TiCl2Pcの合成例 温度計、撹拌器及び還流冷却器を備えた2反応フラ
スコに、オルトフタロジニトリル184g(0.718モル)と
α−クロロナフタレン1200mlを仕込み、撹拌下四塩化チ
タン40ml(0.364モル)を加えて200℃に昇温して5時間
反応した。反応液を120℃に冷却したのち熱過し、得
られたTiCl2Pcの粗ケーキを120℃のα−クロロナフタレ
ン1000mlで洗浄して精TiCl2Pcの青色湿ケーキ224gを得
た。
元素分析値(乾燥品)は下記の通りであった。
C H N Cl 理論値% 60.88 2.55 17.75 11.23 実測値% 60.66 2.37 17.68 11.08 実施例1 前記合成例で得られたTiCl2Pcの湿ケーキ11.2gとフェ
ノール150gを200ml三角フラスコに仕込み、110℃に昇温
して5時間撹拌したのち生成物を50℃で別し、メタノ
ール100mlで洗浄した。得られたケーキに水100mlを加え
て90〜100℃で1時間撹拌後別し、o−ジクロロベン
ゼン20mlと水150mlを加えて60℃で1時間撹拌したのち
水層を除去し、次いでメタノール洗浄後乾燥してTiOPc
の青色粉末6.2gを得た。
元素分析値は次の通りであった。
C H N 理論値% 66.68 2.80 19.44 実測値% 66.88 2.81 19.61 粉末X線回折スペクトルを図−1に示す。
実施例2 o−ジクロロベンゼンと水の混合物で処理する工程を
省略した以外は実施例1と同様に実験した結果、TiOPc
の青色粉末6.4gを得た。
元素分析値は次の通りであった。
C H N 理論値% 66.68 2.80 19.44 実測値% 66.49 2.83 19.31 粉末X線回折スペクトルを図−2に示す。
実施例3 水で処理する工程を省略した以外は実施例1と同様に
実験した結果、TiOPcの青色粉末6.5gを得た。
元素分析値は次の通りであった。
C H N 理論値% 66.68 2.80 19.44 実測値% 66.67 2.83 19.41 粉末X線回折スペクトルは実施例1と同様であった。
実施例4 フェノールの代りに10%含水フェノールを用い、且つ
水で処理する工程を省略した以外は実施例1と同様に実
験した結果、TiOPcの青色粉末7.0gを得た。
元素分析値は次の通りであった。
C H N 理論値% 66.68 2.80 19.44 実測値% 66.50 2.69 19.29 粉末X線回折スペクトルは実施例1と同様であった。
実施例5 フェノールの代りに20%含水フェノールを用い、且つ
水で処理する工程と、芳香族化合物と水の混合物で処理
する工程を省略した以外は実施例1と同様に処理した結
果、TiOPcの青色結晶7.2gを得た。
元素分析値は次の通りであった。
C H N 理論値% 66.68 2.80 19.44 実測値% 66.51 2.70 19.26 粉末X線回折スペクトルを図−3に示す。
実施例6〜11,比較例1 フェノール類の種類、芳香族炭化水素の種類及び処理
条件を変えた以外は実施例1と同様に実験した結果を次
表に示す。
(発明の効果) 以上詳述した如く、本発明はTiCl2Pc又はTiBr2Pcをフ
ェノール類、芳香族炭化水素等の安価な処理剤を用いて
極めて有用な特定の結晶形のTiCPc結晶が得られ、これ
は電子写真感光体として極めて高感度を示すので、工業
的意義は大である。
【図面の簡単な説明】
図−1,図−2及び図−3は、夫々実施例1,実施例2及び
実施例5で得られたTiOPcの粉末X線回折スペクトルで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09B 67/12 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジクロロチタニウムフタロシアニン又はジ
    ブロモチタニウムフタロシアニンを A フェノール類と接触させた後、水と接触させる か又は B 含水フェノール類と接触させる ことを特徴とするオキシチタニウムフタロシアニン結晶
    の製造法。
  2. 【請求項2】前記水との接触を、水及び芳香族炭化水素
    との接触により行うことを特徴とする特許請求の範囲第
    1項のオキシチタニウムフタロシアニン結晶の製造法。
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