JP2779328B2 - シートベルト吊持具及びその製造方法 - Google Patents
シートベルト吊持具及びその製造方法Info
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Description
式シートベルトのように、繰出し可能に設けられている
とともに、緊急時に繰出しを停止するように設けられた
シートベルト(ウェービングベルト)の途中部を、折り
返すようにして摺動自在に吊持するシートベルト吊持具
に関する。
図るために、腰部だけを保持する2点式のシートベルト
に加えて、乗員の胸の部分をたすき掛け状に保持する3
点式シートベルトが採用されるようになってきている。
成を説明する自動車1の内部の斜視図である。なお、3
点式シートベルトは自動車1の前部座席および後部座席
の全てに取り付けられるが、説明を簡単化するために、
運転席2のみに設けた例で説明する。
3の下部に設けられた第1のアンカ71と、運転席2と
助手席4との間の床部に取り付けられた第2のアンカ7
2と、センタピラー3の上部に設けられた第3のアンカ
73との3点の間に掛け渡されるようになっている。そ
して、この3点式シートベルト70は、一端が第1のア
ンカ71に取り付けられ、他端が第3のアンカ73の部
分で折り返されてセンタピラー3に内蔵されたリトラク
タ(図示せず)に巻き取られるウェービングベルト74
と、一端が第2のアンカ72に取り付けられ、他端にバ
ックル77を有する固定ベルト75とを備えている。ま
た、ウェービングベルト74の途中には、バックル77
にロックするタング部76が設けられている。
られる従来のシートベルト吊持具78を示す斜視図であ
る。このシートベルト吊持具78は、ボルトを介して第
3のアンカ73に取り付けるためのボルト挿通孔81
と、ウェービングベルト74を挿通するためのシートベ
ルト挿通孔82とを有する鋼板製(金属板製)のベース
部材80を備えており、このベース部材80のシートベ
ルト挿通孔82の周囲は、モールド成形された合成樹脂
製の被覆部材90によって覆われている。
ベルト74は、シートベルト挿通孔82に挿通されて、
被覆部材90に摺動するようにして折り返されるように
なっている。また、ウェービングベルト74には、一般
に、被覆部材90に対する滑り性を良くするために芳香
剤処理がなされている。
ベルト吊持具78においては、図21(c)に示すよう
に、シートベルト挿通孔82の縁部82aがベース部材
80に対して垂直に打ち抜かれているため、万一被覆部
材90が破損した場合には、ウェービングベルト74が
縁部82aの直角状のエッジ部(角部)に当って切れる
おそれがある。このため、被覆部材90に十分な強度を
もたせる必要があり、必然的に被覆部材90を厚く成形
していたので、材料費が多くかかり、コスト高になると
いう問題があった。
して安全性の向上を図ることができ、しかも被覆部材に
かかる材料費を削減してコストの低減を図ることのでき
るシートベルト吊持具及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
に、請求項1に係る発明は、繰出し可能に設けられてい
るとともに、緊急時に繰出しを停止するように設けられ
たシートベルトの途中部を、折り返すようにして摺動自
在に吊持するシートベルト吊持具であって、前記シート
ベルトを挿通するシートベルト挿通孔を有する金属板製
のベース部材と、このベース部材の少なくとも前記シー
トベルト挿通孔の周囲を被覆する合成樹脂製の被覆部材
とを備えてなり、前記シートベルト挿通孔の縁部は、シ
ートベルト挿通孔を形成するための第1の下孔をベース
部材に開けた後、このベース部材の第1の下孔における
少なくともシートベルトの折り返される部分に対応する
部分を曲げて、第1の下孔より大きな第2の下孔を成形
し、この曲げられた第2の下孔の部分を前記曲げた側と
は反対側に押圧して、ベース部材の上下面から突出する
凸部を形成することにより、少なくともシートベルトの
折り返される部分に対応する部分の角部が、第2の下孔
及び上下の各凸部によって、滑らかに湾曲する曲面状に
形成されていることを特徴とするものである。
明において、シートベルト挿通孔における少なくともシ
ートベルトの折り返される部分に対応する位置の縁部
は、第2の下孔及び上下の各凸部を下金型及び上金型に
よって仕上げることにより、角部が滑らかに湾曲し、か
つ断面が上下方向に長軸を有するようなほぼ楕円形状に
形成されていることを特徴とするものである。
られているとともに、緊急時に繰出しを停止するように
設けられたシートベルトの途中部を、折り返すようにし
て摺動自在に吊持するシートベルト吊持具の製造方法で
あって、前記シートベルトを挿通するシートベルト挿通
孔を金属板製のベース部材に形成した後、このベース部
材の少なくとも前記シートベルト挿通孔の周囲を合成樹
脂製の被覆部材で被覆するシートベルト吊持具の製造方
法において、シートベルト挿通孔における少なくともシ
ートベルトの折り返される部分に対応する位置の縁部
は、打ち抜き成形されたシートベルト挿通孔の縁部を塑
性加工によりベース部材の一側面に押し出し、次ぎに押
し出された縁部の一部を押し戻すことによりベース部材
の他側面にも押し出し、しかる後、ベース部材両面に押
し出された縁部をほぼ楕円形状の湾曲断面に形成するこ
とを特徴とする製造方法である。
られているとともに、緊急時に繰出しを停止するように
設けられたシートベルトの途中部を、折り返すようにし
て摺動自在に吊持するシートベルト吊持具の製造方法で
あって、前記シートベルトを挿通するシートベルト挿通
孔を金属板製のベース部材に形成した後、このベース部
材の少なくとも前記シートベルト挿通孔の周囲を合成樹
脂製の被覆部材で被覆するシートベルト吊持具の製造方
法において、前記シートベルト挿通孔については、ベー
ス部材に第1の下孔を開けた後、このベース部材の第1
の下孔における少なくともシートベルトの折り返される
部分に対応する部分を曲げて、第1の下孔より大きな第
2の下孔を成形し、この曲げられた第2の下孔の部分を
前記曲げた側とは反対側に押圧して、ベース部材の上下
面から突出する凸部を形成することにより、少なくとも
シートベルトの折り返される部分に対応する位置の縁部
について、その縁部の角部を第2の下孔及び上下の凸部
によって滑らかに湾曲する曲面状に形成することを特徴
とする製造方法である。
明において、下金型及び上金型によって、第2の下孔及
び上下の各凸部を仕上げることにより、少なくともシー
トベルトの折り返される部分に対応する位置の縁部につ
いて、角部が滑らかに湾曲し、かつ断面が上下方向を長
軸とするようなほぼ楕円形状になるように形成すること
を特徴とする製造方法である。
繰出し可能な状態であれば、例えばシートベルトを引っ
張ることにより、このシートベルトの途中部が被覆部材
で折り返されるようにして、摺動しながら繰り出され
る。しかし、シートベルトの繰出しが停止されると、シ
ートベルトを引っ張る力が被覆部材に直接作用すること
になる。
より、被覆部材が万一破損した場合には、シートベルト
がシートベルト挿通孔の縁部に直接当ることになる。し
かし、シートベルト挿通孔の少なくともシートベルトを
折り返す位置に対応する縁部はその角部が滑らかに湾曲
する曲面状に形成されているから、シートベルトがシー
トベルト挿通孔の縁部に当たって切れるようなことがな
い。すなわち、被覆部材が万一破損した場合でも、シー
トベルト挿通孔の縁部によってシートベルトが切れるこ
とがなく、安全性の向上を図ることができる。
ートベルトを折り返す位置に対応する縁部はその角部が
滑らかに湾曲する曲面状に形成されているから、シート
ベルト挿通孔の縁部に接する位置の被覆部材に生じる応
力集中が極めて小さくなる。このため、本発明の被覆部
材は従来のものに比べて実質的に強度が増加したことに
なるから、この強度の増加した分、被覆部材の厚さを減
少させることができる。したがって、被覆部材の強度の
低下を来すことなく、同被覆部材の材料費を削減するこ
とができ、これによりコストの低減を図ることができ
る。
も、シートベルトが切れることがないから、被覆部材の
強度上の安全率を低減することができる。したがって、
被覆部材をさらに薄く形成することができ、材料費の削
減により、さらにコストの低減を図ることができる。
係る発明と同様の作用効果を奏する。
ト挿通孔における少なくともシートベルトの折り返され
る部分に対応する位置の縁部に、ベース部材の両面から
突出し、かつほぼ楕円形状の湾曲断面形状をもつ膨出部
を成形することができる。
ト挿通孔における少なくともシートベルトの折り返され
る部分に対応する位置の縁部について、その角部が滑ら
かに湾曲する曲面状になるように、第2の下孔及び上下
の各凸部を成形することができる。
ト挿通孔における少なくともシートベルトの折り返され
る部分に対応する位置の縁部について、角部が滑らかに
湾曲し、かつ断面が上下方向に長軸を有するようなほぼ
楕円形状になるように、第2の下孔及び上下の各凸部を
成形することができる。
に説明する。まず、図1〜図8を参照して第1実施例を
説明する。ただし、図21に示す従来例の構成要素と共
通する要素には同一の符号を付し、その説明を省略す
る。
のセンタピラー3の第3のアンカ73に取り付けられる
シートベルト吊持具10の構成を示す斜視図であり、図
1(b) は図1(a) に示したシートベルト吊持具10のY
−Y線に沿う断面図である。また、図1(c) はシートベ
ルト吊持具10の、被覆部材30を取り付ける前のベー
ス部材20のみの正面図を示している。さらに、図2〜
図8は、シートベルト吊持具10におけるベース部材2
0の各製造工程を示す説明図である。
0は、図1(c) に示されるベース部材20に被覆部材3
0がモールド成形によって形成されて作られる。ベース
部材20は、厚さ3mm程度の鋼板(金属板)材を打ち
抜いて、プレス加工により成形されており、取付部20
Aと、シートベルト保持部20Bとから構成されてい
る。シートベルト保持部20Bは、図1(b) に示すよう
に、取付部20Aに対して所定角度(30度程度)折り
曲げられて形成されている。取付部20Aには、シート
ベルト吊持具10を自動車のセンタピラー3の第3のア
ンカ73(図21(a)参照)に取り付けるためのボルト
挿通孔21が開けられており、シートベルト保持部20
Bには、ウェービングベルト(シートベルト)74(図
1(b)、図21(a)参照)を挿通するための長穴状のシー
トベルト挿通孔22が開けられている。
すように、その縁部22aがベース部材20の一方及び
他方の面から突出し、かつ一方の面と他方の面とをつな
ぐ方向に延びる長軸を有するようなほぼ楕円形状に膨出
した断面形状になっている。すなわち、縁部22aは、
その角部が滑らかに湾曲する曲面状に形成されている。
このため、縁部22aは、ウェービングベルト74を折
り返す側の部分がウェービングベルト74の折り返す方
向に沿って滑らかに湾曲する曲面状に形成されている。
材20のシートベルト保持部20Bのシートベルト挿通
孔22の周囲に、モールド成形によって鋼板材を覆うよ
うに設けられる。だだし、図21(c) において説明した
従来のシートベルト吊持具78では、シートベルト挿通
孔82の縁部82aが垂直に切断されているため、この
縁部82aに直角状のエッジ(角部)が形成されてい
た。このため、被覆部材90には縁部82の角部に対応
する位置に大きな応力集中が生じる結果になっていた。
しかし、この実施例においては、シートベルト挿通孔2
2における縁部22aの角部が曲面状に湾曲しているか
ら、この縁部22aに接する被覆部材30には極めて小
さな応力集中しか生じることがない。
所定の間隔をおいて突設された突起であり、この突起T
は、シートベルト吊持具10を、ボルト(図示しない)
で自動車のセンタピラー3の第3のアンカ73(図21
(a)参照)に取り付ける際に、ボルトの廻り止めとして
作用し、従来のワッシャの効果を発揮する。この結果、
シートベルト吊持具10を取り付ける際に、通常用いる
ようなワッシャが不要になるので、部品点数の減少を図
ることができる。
トベルト挿通孔22の部分の製造方法を図2〜図8を参
照しながら説明する。
ベース部材20の素材としての鋼板Sに、下金型K1及
びパンチK2を用いてシートベルト挿通孔22を成形す
るための第1の下孔S1を開ける。次ぎに、第2工程と
して図3に示すように、下金型K3及び上金型K4を用
いて、第1の下孔S1の上部から鋼板Sの上面にかけて
円弧状の丸みS1aを成形する。さらに、第3工程とし
て図4に示すように、下金型K5及び上金型K6を用い
て、第1の下孔S1の下部から鋼板Sの下面にかけて円
弧状の丸みS1bを成形する。
に、下金型K7及び上金型K8を用いて、第1の下孔S
1の部分を鋼板Sの上方に湾曲させて、第1の下孔S1
より大きな第2の下孔S2を成形する。そして、第5工
程として図6に示すように、下金型K9、上金型K10
及び中間金型11を用いて、上側に突出している第2の
下孔S2の部分を、下側に面押し(押圧)して、鋼板S
の上下面からほぼ同一高さに突出する凸部S3,S4を
成形する。
に、下金型K12及び上金型K13を用いて、上側に突
出する凸部S3を全体に滑らかな曲面を描くように仕上
げる。この際、第2の下孔S2の面もきれいに仕上げ
る。次いで、第7工程として図8に示すように、下金型
K14及び上金型K15を用いて、下側に突出する凸部
S4を全体に滑らかな曲面を描くように仕上げる。この
際にも、第2の下孔S2の面をきれいに仕上げる。そし
て、このように仕上げられた第2の下孔S2によってシ
ートベルト挿通孔22が成形される。また、縁部22a
は、凸部S3,S4によって、鋼板Sに対して上下方向
に長軸を有するような断面がほぼ楕円形状に膨出する形
状になる。
挿通孔22を有するベース部材20が形成される。な
お、上記ベース部材20は冷間加工により成形される。
また、ベース部材20の製造方法を、上記のように図2
〜図8の7工程に別けて説明したが、実際にはさらに多
くの工程に別れており、徐々に変形させながら成形する
方法をとっている。
具10においては、ウェービングベルト74が繰出し可
能な状態であれば、このウェービングベルト74を引っ
張ることにより、ウェービングベルト74の途中部が被
覆部材30で折り返されるようにして摺動しながら繰り
出される。しかし、ウェービングベルト74の繰出しが
停止されると、このウェービングベルト74を引っ張る
力が被覆部材30に直接作用することになる。
る力により、被覆部材30が万一破損した場合には、ウ
ェービングベルト74がベース部材20のシートベルト
挿通孔22の縁部22aに当ることになる。しかし、シ
ートベルト挿通孔22の縁部22aがほぼ楕円形状に膨
出していて、ウェービングベルト74を折り返す側の縁
部22aがウェービングベルト74の折り返す方向に沿
って滑らかに湾曲する曲面状に形成された状態になって
いるから、ウェービングベルト74がシートベルト挿通
孔22の縁部22aに当たって切れるようなことがな
い。すなわち、被覆部材30が万一破損した場合でも、
シートベルト挿通孔22の縁部22aによってウェービ
ングベルト74が切れるのを防止することができ、安全
性の向上を図ることができる。
部22aの角部が曲面状に湾曲していて、この縁部22
aに接する被覆部材30は応力集中が極めて小さなもの
となっているから、被覆部材30の強度が実質的に増加
したことになる。このため、被覆部材30の強度が増加
した分、被覆部材30の厚さを減少させることができ
る。したがって、被覆部材30の強度を低下させること
なく、同被覆部材30の材料費を削減することができ、
これによりコストの低減を図ることができる。
でも、ウェービングベルト74が切れることがないか
ら、被覆部材30の強度上の安全率を低減することがで
きる。したがって、被覆部材30をさらに薄く形成する
ことができ、材料費の削減により、さらにコストの低減
を図ることができる。
照して説明する。図9(a) は、本発明の第2実施例のシ
ートベルト吊持具10の構成を示す斜視図であり、図9
(b)は図9(a) のZ−Z線に沿う断面図である。ただ
し、図1に示す第1実施例と共通する要素には同一の符
号を付し、その説明を省略する。この第2実施例が第1
実施例と異なる点は、被覆部材30に凸条31,32が
形成されている点である。
実施例のシートベルト吊持具10では、被覆部材30の
表面は平坦であったが、この第2実施例では、長穴状に
形成されたシートベルト挿通孔22の対向する平行な縁
部22a(ベース部材20のボルト挿通孔21に近い方
の縁部22aを上縁部、挿通穴21から遠い方の縁部2
2aを下縁部とする)に対応する被覆部材30に、ウェ
ービングベルト74の挿通方向に沿って凸条31,32
が平行に形成されている。この第2実施例では、シート
ベルト挿通孔22の下縁部に対応する被覆部材30には
11条程度の凸条31が形成されており、上縁部に対応
する被覆部材30には9条程度の凸条32が形成されて
いる。
挿通孔22の下縁部に対応する被覆部材30に凸条31
が形成され、上縁部に対応する被覆部材30に凸条32
が形成されているが、上縁部側の凸条32は省略しても
構わないものである。
1,32の断面形状の一例を示すものである。この図1
0(a)に示す例では凸条31,32の断面は、同じ向き
の円弧が隣接する形状であり、凸状の幅W1は4mm程
度、高さH1は0.8mm程度、円弧の半径R1は2m
m程度となっている。図10(b) は図9(a) に示した凸
条31,32の断面形状の他の例を示すものである。こ
の図10(b)に示す例では凸条31,32の断面は、交
互に反対向きの円弧が隣接する形状であり、下向きの円
弧によって形成される溝と溝との幅W2は4mm程度、
高さH2は0.8mm程度、円弧の半径R2,R3は共
に1mm程度となっている。図10(c) は図9(a) に示
した凸条31,32の断面形状の更に他の例を示すもの
である。この図10(c)に示す例では凸条31,32の
断面は、同じ向きの台形が隣接する形状であり、凸状の
幅W3は4mm程度、高さH1は0.8mm程度となっ
ている。図10(c) に示した凸状31,32は、平坦な
被覆部材30にV溝33を刻むことによっても形成する
ことができる。
縁部と下縁部に対応する被覆部材30に凸条31,32
をウェービングベルト74の長手方向に沿って形成する
と、被覆部材30とウェービングベルト74との接触面
積が少なくなり、ウェービングベルト74に対する摩擦
を少なくすることができる。この結果、ウェービングベ
ルト74がシートベルト挿通孔22内を移動する時の摩
擦が減り、ウェービングベルト74からの芳香剤等の滑
剤の剥離が少なくなって、リトラクタへの巻取り不良が
起こり難くなる。
ト74の長手方向に設けられているので、自動車の衝突
時にウェービングベルト74の繰出しが停止した場合で
も、このウェービングベルト74がシートベルト挿通孔
22の片側に急激に片寄ることがなくなり、瞬時にウェ
ービングベルト74と被覆部材30との間に大きな摩擦
が生ずることがなく、このため、ウェービングベルト7
4と被覆部材30との間が高温になってウェービングベ
ルト74が変質することもなく、リトラクタのウェービ
ングベルト74の巻取り不良が起こるのも防止すること
ができる。
下縁部の両方、または少なくとも下縁部のみに対応する
被覆部材30に凸条31あるいは凸状32を設けること
により、塵、埃等が凸条31と凸条31との間、あるい
は凸条32と凸条32との間の溝部に落ちるので、ウェ
ービングベルト74に対する被覆部材30の当接部が汚
れにくくなり、静電気の発生も抑えられる(被覆部材3
0に静電気防止材を添加すれば更に静電気の発生が抑え
られる)ので、ウェービングベルト74がシートベルト
吊持具10内を移動し易くなる。この結果、ウェービン
グベルト74のリトラクタからの引き出し、リトラクタ
への巻き取りがスムーズに行われる。
して示したシートベルト吊持具10の図であって、図9
(b) に示したシートベルト吊持具10のB部に相当する
部分の拡大断面図である。この例では、シートベルト挿
通孔22の下縁部に対応する被覆部材30に、凸状31
の延長方向に直交する細長い溝34が形成されている。
この溝34はシートベルト挿通孔22に挿通されるウェ
ービングベルト74の折り返し部74aに対向する部位
に1条だけ設けられているが、図11に一点鎖線で示す
ように、複数本の溝34′を更にこの溝34に平行に設
けても良いものである。上述した溝34,34′は、や
はりウェービングベルト74と合成樹脂製の被覆部材3
0との間の摩擦を少なくすることができる。
吊持具10の図であって、図9(a)のA−A線に沿う断
面図に相当する部分の拡大断面図である。また、図12
(b),(c) は図12(a) における凸条31と凸条31と
の間の溝35の形状を変更した例を示す拡大断面図であ
る。
して示したシートベルト吊持具10の構成を示すもので
ある。このシートベルト吊持具10の構成は図9(a) で
説明したシートベルト吊持具10の構成と殆ど同じであ
り、異なる点は、被覆部材30の凸条31の延長方向の
両端部分の近傍に、更にウェービングベルト74の長手
方向に沿った細い溝36が形成されている点のみであ
る。この細い溝36も、ウェービングベルト74と被覆
部材30との摩擦を少なくする対策(ガムアップ対策と
いう)の一つである。
例として示したシートベルト吊持具10の正面図であ
る。また、図14(b) は図14(a) のC−C線に沿う断
面図を示している。この第3の他の例ではシートベルト
挿通孔22の上縁部に対応する被覆部材30には凸条3
2が設けられておらず、下縁部に対応する被覆部材30
にのみ凸条31が形成されている。更に、この例ではベ
ース部材20のシートベルト挿通孔22の形状に合わせ
て、被覆部材30が略U字状に設けられている。また、
シートベルト挿通孔22の下端部に対応する被覆部材3
0には、図14(b)に示すように、ウェービングベルト
74の折り返し部74a(図11参照)に対向する部位
に溝34が1条だけ設けられている。
明する部分拡大図であり、シートベルト挿通孔22の両
端部分に対応する被覆部材30にそれぞれ設けられた逃
げ穴37の形状を詳細に説明するものである。逃げ穴3
7の入口部の幅W6は2〜3mmであり、中央部の逃げ
穴37の幅W4+W5はほぼ7mm程度、逃げ穴37の
内側の円弧の半径R5は6mm程度、逃げ穴37の外側
の円弧の半径は6mm程度となっている。また、逃げ穴
37の入口部の内側の円弧の半径は7mm程度となって
いる。
して示したシートベルト吊持具10の斜視図であり、図
9(a) で説明した前述の第2実施例のシートベルト吊持
具10と同じ構成部材に付いては、同じ符号を付してそ
の説明を省略する。この第4の他の例のシートベルト吊
持具10が図9(a) のシートベルト吊持具10と異なる
点は、シートベルト挿通孔22の下縁部に対応する被覆
部材30に、ウェービングベルト74の長手方向に沿っ
た複数の凸条ではなく、ウェービングベルト74の長手
方向に沿って並ぶ複数のドーム状の突起38が連続して
並べて設けられている点のみである。
被覆部材30に連続して並べて設けても、ウェービング
ベルト74と被覆部材30との接触面積を減らすことが
でき、ウェービングベルト74に対する摩擦を少なくす
ることができる。この結果、ウェービングベルト74が
シートベルト挿通孔22内を移動する時の摩擦が減り、
ウェービングベルト74からの芳香材の剥離が少なくな
って、リトラクタへの巻取り不良が起こり難くなる。な
お、突起38の形状は球面に限定されるものではない。
図19を参照して説明する。ただし、図1〜図8に示す
第1実施例と共通する要素には同一の符号を付し、その
説明を簡略化する。図16は、本発明の第3実施例のシ
ートベルト吊持具10であって、図1のY−Y線に沿う
断面図に相当する断面図であり、図17〜図19は、図
2〜図8の製造工程とは異なる工程についてのみ説明し
た説明図である。この第3実施例が第1実施例と異なる
点は、縁部22aがシートベルト保持部20Bの一方の
面側にのみ膨出している点である。
持部20Bの一方の面側にのみ膨出しており、その膨出
している側も、膨出していない側も、ウェービングベル
ト74の折り返される方向に沿って、滑らかな曲面状に
形成されている。すなわち、縁部22aは、その角部が
滑らかに湾曲する曲面状に形成されている。なお、この
実施例の場合、縁部22aは、シートベルト挿通孔22
の全周にわたって同じ形状に形成されている。
具10は、図17〜図19のようにして製造される。た
だし、図17の前工程は、図2〜図5の各工程と共通し
ている。すなわち、図5に示す第4工程により、第1の
下孔S1の部分を鋼板Sの上方に湾曲させて、第2の下
孔S2を成形した後、第5工程として図17に示すよう
に、下金型K15及び上金型K16を用いて、上側に突
出している第2の下孔S2の部分を、下側に面押し(押
圧)して、鋼板Sの上面からほぼ一定の一高さに突出す
る凸部S3を成形する。
に、下金型K17及び上金型K18を用いて、上側に突
出する凸部S3と反対側の縁S5を滑らかな曲面を描く
ように仕上げる。この際、第2の下孔S2の面もきれい
に仕上げる。次いで、第7工程として図19に示すよう
に、下金型K19及び上金型K20を用いて、上側に突
出する凸部S3を全体に滑らかな曲面を描くように仕上
げる。この際にも、第2の下孔S2の面をきれいに仕上
げる。そして、このように仕上げられた第2の下孔S2
によってシートベルト挿通孔22が成形される。また、
縁部22aは、凸部S3、縁S5によって、鋼板Sの上
面側に滑らかな曲面状に突出したものとなる。
具10においても、第1実施例と同様の作用効果を奏す
る。
いては、縁部22aをほぼ楕円形状に膨出するように形
成したが、この縁部22aは円形状に膨出するように形
成してもよく、また他の滑らかな曲面状に形成してもよ
い。したがって、請求項における「ほぼ楕円形状」は、
円形状及び他の滑らかな曲面状を含むものと解釈される
べきである。さらに、ほぼ楕円形状に膨出する縁部22
aをシートベルト挿通孔22の全周にわたって形成した
が、このように形成した縁部22aはウェービングベル
ト74の折り返される部分に対応する位置に設けるよう
に構成してもよい(図20参照)。また、第3実施例で
示した縁部22aについても、縁部22aをシートベル
ト挿通孔22の全周にわたって形成したが、この縁部2
2aをウェービングベルト74の折り返される部分にの
み設けるように構成してもよい(図20参照)。
明によれば、シートベルト挿通孔の少なくともシートベ
ルトを折り返す位置に対応する縁部の角部が滑らかに湾
曲する曲面状に形成されているから、被覆部材が万一割
れ、シートベルトがシートベルト挿通孔の縁部に当たる
ようなことがあっても、シートベルト挿通孔の縁部によ
ってシートベルトが切れるようなことがない。すなわ
ち、被覆部材が万一破損した場合でも、シートベルト挿
通孔の縁部によってシートベルトが切れるのを防止する
ことができ、安全性の向上を図ることができる。
ートベルトを折り返す位置に対応する縁部の角部が滑ら
かに湾曲する曲面状に形成されているから、このシート
ベルト挿通孔の縁部に接する被覆部材における応力集中
が極めて小さなものとなる。このため、被覆部材は実質
的に強度が増加したことになるから、この強度の増加し
た分、被覆部材の厚さを減少させることができる。した
がって、被覆部材の強度の低下を来すことなく、同被覆
部材の材料費を削減することができ、これによりコスト
の低減を図ることができる。
も、シートベルトが切れることがないから、被覆部材の
強度上の安全率を低減することができる。したがって、
被覆部材をさらに薄く形成することができ、材料費の削
減によって、さらにコストの低減を図ることができる。
同様の作用効果を奏する。
ト挿通孔における少なくともシートベルトの折り返され
る部分に対応する位置の縁部に、ベース部材の両面から
突出し、かつほぼ楕円形状の湾曲断面形状をもつ膨出部
を成形することができる。
ト挿通孔における少なくともシートベルトの折り返され
る部分に対応する位置の縁部について、その角部が滑ら
かに湾曲する曲面状になるように、第2の下孔及び上下
の各凸部を成形することができる。
ト挿通孔における少なくともシートベルトの折り返され
る部分に対応する位置の縁部について、角部が滑らかに
湾曲し、かつ断面が上下方向に長軸を有するようなほぼ
楕円形状になるように、第2の下孔及び上下の各凸部を
成形することができる。
吊持具の図であって、(a) は斜視図、(b) は(a)のY−
Y線に沿う断面図、(c) はベース部材を示す正面図であ
る。
際の第1の製造工程を示す説明図である。
際の第2の製造工程を示す説明図である。
際の第3の製造工程を示す説明図である。
際の第4の製造工程を示す説明図である。
際の第5の製造工程を示す説明図である。
際の第6の製造工程を示す説明図である。
際の第7の製造工程を示す説明図である。
吊持具の図であって、(a) は斜視図、(b) は(a)のZ−
Z線に沿う断面図である。
あって、(a) は同凸条の第1の断面形状を示す説明図、
(b) は同凸条の第2の断面形状を示す説明図、(c) は同
凸条の第3の断面形状を示す説明図である。
シートベルト吊持具の図であって、図9(b) のB部に相
当する位置の拡大断面図である。
図であって、(a) は図9(a)のA−A線に沿う断面に相
当する位置の拡大断面図である。また、(b) 及び(c) は
(a) における凸条と凸条との間の溝の形状を変更した例
を示す拡大断面図である。
シートベルト吊持具を示す正面図である。
シートベルト吊持具の図であって、(a) は正面図、(b)
は(a) のC−C線に沿う断面図、(c) は(a) のD部を示
す拡大図である。
シートベルト吊持具の斜視図である。
ト吊持具の図であって、図1のY−Y線に沿う位置に相
当する位置の断面図である。
る際の第5の製造工程を示す説明図である。
る際の第6の製造工程を示す説明図である。
る際の第7の製造工程を示す説明図である。
ト挿通孔の縁部の他の例を示す図であって、(a)はベ
ース部材を示す正面図、(b)は(a)のE−E線に沿
う断面図である。
って、(a) は同3点式シートベルトの全体の構成を示す
斜視図、(b) は従来のシートベルト吊持具を示す斜視
図、(a)は(b)のX−X線に沿う断面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 繰出し可能に設けられているとともに、
緊急時に繰出しを停止するように設けられたシートベル
トの途中部を、折り返すようにして摺動自在に吊持する
シートベルト吊持具であって、 前記シートベルトを挿通するシートベルト挿通孔を有す
る金属板製のベース部材と、 このベース部材の少なくとも前記シートベルト挿通孔の
周囲を被覆する合成樹脂製の被覆部材とを備えてなり、 前記シートベルト挿通孔の縁部は、シートベルト挿通孔
を形成するための第1の下孔をベース部材に開けた後、
このベース部材の第1の下孔における少なくともシート
ベルトの折り返される部分に対応する部分を曲げて、第
1の下孔より大きな第2の下孔を成形し、この曲げられ
た第2の下孔の部分を前記曲げた側とは反対側に押圧し
て、ベース部材の上下面から突出する凸部を形成するこ
とにより、少なくともシートベルトの折り返される部分
に対応する部分の角部が、第2の下孔及び上下の各凸部
によって、滑らかに湾曲する曲面状に形成されているこ
とを特徴とするシートベルト吊持具。 - 【請求項2】 シートベルト挿通孔における少なくとも
シートベルトの折り返される部分に対応する位置の縁部
は、第2の下孔及び上下の各凸部を下金型及び上金型に
よって仕上げることにより、角部が滑らかに湾曲し、か
つ断面が上下方向に長軸を有するようなほぼ楕円形状に
形成されていることを特徴とする請求項1記載のシート
ベルト吊持具。 - 【請求項3】 繰出し可能に設けられているとともに、
緊急時に繰出しを停止するように設けられたシートベル
トの途中部を、折り返すようにして摺動自在に吊持する
シートベルト吊持具の製造方法であって、前記シートベ
ルトを挿通するシートベルト挿通孔を金属板製のベース
部材に形成した後、このベース部材の少なくとも前記シ
ートベルト挿通孔の周囲を合成樹脂製の被覆部材で被覆
するシートベルト吊持具の製造方法において、シートベ
ルト挿通孔における少なくともシートベルトの折り返さ
れる部分に対応する位置の縁部は、打ち抜き成形された
シートベルト挿通孔の縁部を塑性加工によりベース部材
の一側面に押し出し、次ぎに押し出された縁部の一部を
押し戻すことによりベース部材の他側面にも押し出し、
しかる後、ベース部材両面に押し出された縁部をほぼ楕
円形状の湾曲断面に形成することを特徴とするシートベ
ルト吊持具の製造方法。 - 【請求項4】 繰出し可能に設けられているとともに、
緊急時に繰出しを停止するように設けられたシートベル
トの途中部を、折り返すようにして摺動自在に吊持する
シートベルト吊持具の製造方法であって、前記シートベ
ルトを挿通するシートベルト挿通孔を金属板製のベース
部材に形成した後、このベース部材の少なくとも前記シ
ートベルト挿通孔の周囲を合成樹脂製の被覆部材で被覆
するシートベルト吊持具の製造方法において、 前記シートベルト挿通孔については、ベース部材に第1
の下孔を開けた後、このベース部材の第1の下孔におけ
る少なくともシートベルトの折り返される部分に対応す
る部分を曲げて、第1の下孔より大きな第2の下孔を成
形し、この曲げられた第2の下孔の部分を前記曲げた側
とは反対側に押圧して、ベース部材の上下面から突出す
る凸部を形成することにより、少なくともシートベルト
の折り返される部分に対応する位置の縁部について、そ
の縁部の角部を第2の下孔及び上下の凸部によって滑ら
かに湾曲する曲面状に形成することを特徴とするシート
ベルト吊持具の製造方法。 - 【請求項5】 下金型及び上金型によって、第2の下孔
及び上下の各凸部を仕上げることにより、少なくともシ
ートベルトの折り返される部分に対応する位置の縁部に
ついて、角部が滑らかに湾曲し、かつ断面が上下方向を
長軸とするようなほぼ楕円形状になるように形成するこ
とを特徴とする請求項4記載のシートベルト吊持具の製
造方法。
Priority Applications (9)
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PCT/JP1996/000289 WO1996024512A1 (fr) | 1995-02-10 | 1996-02-09 | Boucle de suspension de ceinture de securite |
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JPH08216830A JPH08216830A (ja) | 1996-08-27 |
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ID=12100292
Family Applications (1)
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JP7023075A Expired - Lifetime JP2779328B2 (ja) | 1995-02-10 | 1995-02-10 | シートベルト吊持具及びその製造方法 |
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JP2014118052A (ja) * | 2012-12-17 | 2014-06-30 | Autoliv Development Ab | スルーアンカおよびシートベルト装置 |
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JPH0735801Y2 (ja) * | 1989-03-15 | 1995-08-16 | 富士オートリブ株式会社 | 安全ベルトのウエビング連結用金具 |
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-
1995
- 1995-02-10 JP JP7023075A patent/JP2779328B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH08216830A (ja) | 1996-08-27 |
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