JP2776604B2 - 光ディスク基板 - Google Patents

光ディスク基板

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JP2776604B2
JP2776604B2 JP2034767A JP3476790A JP2776604B2 JP 2776604 B2 JP2776604 B2 JP 2776604B2 JP 2034767 A JP2034767 A JP 2034767A JP 3476790 A JP3476790 A JP 3476790A JP 2776604 B2 JP2776604 B2 JP 2776604B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、再生専用型、追記型や書換型光ディスクと
して情報を記録、再生する上で有用な帯電防止性を有す
る光ディスク基板に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] レーザ光により、高密度にデータを記録再生でき信頼
性の高い情報記録媒体して光ディスクが知られている。
この光ディスクは光ディスク基板と該基板に形成された
記録膜とで構成されている。この光ディスクへの情報の
記録は、通常、レーザ光のスポットビームを基板側から
照射し、記録信号に対応したピット等を形成することに
より行なわれている。また情報の再生は、基板側から入
射したレーザ光の反射又は透過光量の変化に基づいて記
録信号を読み出すことにより行なわれている。従って、
特に光ディスク基板には、レーザ光に対する透過率が高
く、しかも読取り誤差を小さくするため光学的に均質で
あることが要求される。またレーザー光による情報の記
録再生は、通常、対物レンズを用いて集光させて行なわ
れるので、光ディスクへの光は斜め方向から入射され
る。従って、光ディスク基板には、特に斜め入射に対す
る光学的均質性も要求される。
一方、光ディスク基板用材料としては、種々の合成樹
脂、中でも光学的特性が良好なビスフェノールA型ポリ
カーボネートが広く使用されている。
しかしながら、このビスフェノールA型ポリカーボネ
ートは、光弾性定数が大きいため、光弾性定数と残留応
力との積として表される複屈折、特に斜め入射に対する
複屈折が大きく情報の記録再生精度が十分でない。また
スタンパを用いてディスク基板を作製すると、樹脂の冷
却及び流動過程で生じる熱応力、分子配向、ガラス転移
点近傍での容積変化による残留応力等に起因して、複屈
折がさらに大きくなる。
また光ディスクは、通常、記録膜を形成した厚み1.2m
m程度のポリカーボネート製基板を、例えば3600rpm程度
に高速回転させながらピット等を形成することにより作
製されている。しかしながら、上記ビスフェノールA型
ポリカーボネート製基板で形成した光ディスクは、帯電
性が高いので、埃や塵芥が保存中や使用中に付着し易
く、精度よく情報を記録できず、時には記録不良という
問題が生じる。
従って、本発明の目的は、斜め入射に対する複屈折が
小さく、光学的均質性に優れると共に、非帯電性に優れ
た光ディスク基板を提供することにある。
[発明の構成] 本発明者らは、鋭意検討の結果、芳香族ポリカーボネ
ート共重合体に、スルホン酸ホスホニウム塩及び亜リン
酸エステルを添加する場合には、光学的均質性に優れる
と共に帯電防止性能が著しく向上することを見い出し、
本発明を完成した。すなわち、本発明は、4,4′−ジヒ
ドロキシ−2,2,2−トリフェニルエタン55〜75モル%
と、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジ
イソプロピルベンゼン45〜25モル%とがカーボネート結
合した芳香族ポリカーボネート共重合体と、下記一般式
[I] (式中、R1は炭素数1〜40のアルキル基、または置換基
を有していてもよいアリール基を示し、R2、R3、R4及び
R5は、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10の
アルキル基、またはアリール基を示す)で表されるスル
ホン酸ホスホニウム塩と、亜リン酸エステルとを含有す
る光ディスク基板を提供する。
上記一般式[I]で表される化合物において、アルキ
ル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチ
ル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、
デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オク
タデシル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリア
トリアコンタシル、テトラコンタシル基などの炭素数1
〜40の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が例示される。こ
れらのアルキル基の中で炭素数1〜20のアルキル基が好
ましい。
アリール基には、例えば、フェニル、ナフチルおよび
アンスリル基などが含まれる。
一般式[I]で表されるスルホン酸ホスホニウム塩の
具体例としては、例えば、ドデシルスルホン酸ホスホニ
ウム塩、ベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、p−トルエンスル
ホン酸ホスホニウム塩、ナフタリンスルホン酸ホスホニ
ウム塩、ドデシルスルホン酸トリメチルホスホニウム
塩、ドデシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、
ドデシルスルホン酸ジエチルホスホニウム塩、ドデシル
スルホン酸トリエチルホスホニウム塩、ドデシルスルホ
ン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸
ジプロピルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸トリプ
ロピルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラプロ
ピルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸ジブチルホス
ホニウム塩、ドデシルスルホン酸トリブチルホスホニウ
ム塩、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム
塩、ドデシルスルホン酸ジペンチルホスホニウム塩、ド
デシルスルホ酸トリペンチルホスホニウム塩、ドデシル
スルホ酸テトラペンチルホスホニウム塩、ドデシルスル
ホン酸ジヘキシルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸
トリヘキシルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テト
ラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸ジフェ
ニルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸トリフェニル
ホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラエチルホス
ホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラプロピルホスホ
ニウム塩、ベンゼンスルホン酸ジブチルホスホニウム
塩、ベンゼンスルホン酸トリブチルホスホニウム塩、ベ
ンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼ
ンスルホン酸ジフェニルホスホニウム塩、ベンゼンスル
ホン酸トリフェニルホスホニウム塩、ドデシルベンゼン
スルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベン
ゼンスルホン酸テトラプロピルホスホニウム塩、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸トリブチルホスホニウム塩、ドデ
シルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、
ドデシルベンゼンスルホン酸ジフェニルホスホニウム
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリフェニルホスホニ
ウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラエチルホスホニ
ウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラプロピルホスホ
ニウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラブチルホスホ
ニウム塩、p−トルエンスルホン酸ジフェニルホスホニ
ウム塩、ナフタリンスルホン酸テトラメチルホスホニウ
ム塩、ナフタリンスルホン酸テトラエチルホスホニウム
塩、ナフタリンスルホン酸テトラプロピルホスホニウム
塩、ナフタリンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩
などが挙げられる。
好ましいスルホン酸ホスホニウム塩は、アルキルスル
ホン酸又はアリールスルホン酸のテトラアルキルホスホ
ニウム塩である。
一般式[I]で表される化合物の添加量は、通常、芳
香族ポリカーボネート共重合体100重量部に対して、0.1
〜20重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。一般式
[I]で表される化合物の添加量が0.1重量部未満であ
る場合には、帯電防止性が十分でなく、20重量部を越え
る場合には、透明性及び機械的特性が低下し易く、溶融
成形品の外観不良が生じ易い。
また本発明では、溶融形成加工による変色とそれに伴
う透明性の低下を防止するため、亜リン酸エステルを添
加する。亜リン酸エステルは、一般式[II−1]又は
[II−2] (式中、R6、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原
子、炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、ア
リール基、およびアラルキル基を示す。R6、R7及びR8
置換基を有していてもよい。但し、R6、R7及びR8は同時
に水素原子でないものとする)で表される。
アルキル基及びアリール基としては、前記と同様の基
が挙げられ、シクロアルキル基には、例えば、シクロペ
ンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などが含ま
れる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェ
ネチル、ベンズヒドリル基などが例示される。
またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及
びアラルキル基の置換基としては、例えば、炭素数1〜
18のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基などが挙
げられる。
好ましい亜リン酸エステルの具体例としては、例え
ば、トリオクタデシルフォスファイト、トリオクチルフ
ォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリ(2
−メチルフェニル)フォスファイト、トリ(4−t−ブ
チルフェニル)フォスファイト、トリ(2−t−ブチル
フェニル)フォスファイト、トリ(2,6−ジメチルフェ
ニル)フォスファイト、トリ(2,6−ジエチルフェニ
ル)フォスファイト、トリ(2−メチル−4−t−ブチ
ルフェニル)フォスファイト、トリ(2−メトキシ−4
−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリ(2−ノ
ニルフェニル)フォスファイト、トリ(2−ノニル−6
−メチルフェニル)フォスファイト、トリ(2−ドデシ
ルフェニル)フォスファイト、トリスノニルフェニルフ
ォスファイト、モノオクチルジフェニルフォスファイ
ト、トリ(2−ドデシル−4−t−ブチルフェニル)フ
ォスファイト、ジデシルモノフェニルフォスファイト、
ジオクチルモノフェニルフォスファイト、モノブチルジ
フェニルフォスファイト、ジイソプロピルモノフェニル
フォスファイト、モノオクチルジ(4−t−ブチルフェ
ニル)フォスファイト、モノ−2−メチルフェニルジ
(2−シクロヘキシルフェニル)フォスファイト、ジ
(4−t−ブチルフェニル)モノ(2−ノニルフェニ
ル)フォスファイト、トリラウリルフォスファイトおよ
びトリラウリルチオフォスファイトなどが挙げられる。
特に好ましい亜リン酸エステルは、トリアリールフォス
ファイト、又はモノアルキルジアリールフォスファイト
である。
亜リン酸エステルは少なくとも一種使用される。
亜リン酸エステルの使用量は、通常、芳香族ポリカー
ボネート共重合体100重量部に対して、0.01〜1.0重量
部、好ましくは0.05〜0.2重量部である。亜リン酸エス
テルの使用量が上記範囲未満である場合には、ポリカー
ボネート共重合体が変色し易く、上記範囲を越える場合
には、成形時の気泡の生成、芳香族ポリカーボネート共
重合体の分子量の低下が生じ易くなる。
本発明の光ディスク基板を構成する芳香族ポリカーボ
ネート共重合体は、光学的に均質で、しかも斜め入射に
対する複屈折や、静的又は高速回転下での帯電量が著し
く小さい。すなわち、特に好ましい芳香族ポリカーボネ
ート共重合体は、下記式[III]で表される4,4′−ジヒ
ドロキシ−2,2,2−トリフェニルエタンと、下記式[I
V]で表される1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−m−ジイソプロピルベンゼンとがカーボネート結合し
た芳香族ポリカーボネート共重合体で構成されている。
芳香族ポリカーボネート共重合体において、前記式
[III]で表される構成単位と式[IV]で表される構成
単位との割合は、式[III]で表される構成単位55〜75
モル%、式[IV]で表される構成単位45〜25モル%程度
である。各構成単位[III][IV]のモル%が上記範囲
を外れると、斜め入射に対する複屈折が大きくなり、光
ディスク基板や光ディスクが帯電し易くなる。
芳香族ポリカーボネート共重合体からなる基板の表面
固有抵抗値は、帯電防止性を高めるため、1×1010Ω未
満、好ましくは1×107〜5×109Ω、さらに好ましくは
7.5×107〜2×109Ω程度であるのが好ましい。
上記芳香族ポリカーボネート共重合体は、機械的強度
及び成形性等を損わない範囲で適宜の分子量を有してい
てもよいが、通常、粘度平均分子量1.3×104〜5.0×104
程度である。粘度平均分子量が1.3×104未満であると、
ポリカーボネート共重合体が脆く、5.0×104を越えると
流動性の低下に伴い成形性が低下する。また芳香族ポリ
カーボネート共重合体のガラス転移温度は、通常、130
℃以上、好ましくは130〜180℃、さらに好ましくは130
〜160℃程度である。
光ディスク基板を構成する芳香族ポリカーボネート共
重合体は、従来慣用の方法、例えば、エステル交換法、
ホスゲン法で製造できる。
エステル交換法では、一般式[III]で表される構成
単位を有するビスフェノール化合物と一般式[IV]で表
される構成単位を有するビスフェノール化合物との混合
物に対して化学量論的に当量よりやや過剰のジフェニル
カーボネートを添加し、通常のカーボネート化触媒の存
在下で反応させることによりポリカーボネート共重合体
が得られる。上記反応に際しては、反応の進行と共に、
不活性雰囲気下で順次、反応温度及び減圧度を大きくす
るのが好ましい。より具体的には、反応当初は、約160
〜180℃の温度で常圧下、不活性ガスを導入しつつ約30
分反応させ、その後、約2時間〜3時間かけて徐々に減
圧しながら昇温し、約180〜220℃の温度下で最終的に10
Torrとし前縮合を終了する。その後、温度及び減圧度を
大きくする。例えば、圧力10Torr、温度270℃下で30分
程度、圧力5Torr、温度270℃下で20分程度反応させ、次
いで、圧力0.5Torr以下、好ましくは0.3Torr〜0.1Torr
の減圧下、温度270℃程度の条件で1.5時間〜2.0時間程
度、後縮合することによりポリカーボネート共重合体が
得られる。
なお、カーボネート結合のためのカーボネート化触媒
としては、リチウム系触媒、カリウム系触媒,ナトリウ
ム系触媒、カルシウム系触媒、錫系触媒等のアルカリ金
属、アルカリ土類金属触媒が適している。より具体的に
は、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水素化ホ
ウ素カリウム、リン酸水素カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化カルシウム、ジブ
チル錫オキシド、酸化第1錫等が例示される。これらの
うち、カリウム系触媒が好ましい。
またホスゲン法では、通常、撹拌機、温度計、ガス導
入管、排気管を備えたフラスコ中で、一般式[III]で
表される構成単位を有するビスフェノール化合物と一般
式[IV]で表される構成単位を有するビスフェノール化
合物との混合物を有機溶媒や水酸化ナトリウム水溶液等
に溶解又は懸濁し、撹拌しながら、ホスゲンを導入する
ことにより、ポリカーボネート共重合体が得られる。な
お、ホスゲン法は、慣用の方法で行なうことができる
が、具体的には次の通りである。
上記有機溶媒としては、ピリジン、ジクロロメタン、
クロロホルム、テトラヒドロフランやこれらの混合溶媒
が使用できる。また反応に際しては、通常、激しく撹拌
した状態でホスゲンを導入する。
なお、ホスゲンが猛毒物質であるから強力なドラフト
中で操作する。また排気末端には、通常、例えば10重量
%水酸化ナトリウム水溶液で余剰ホスゲンを分解して無
毒化するユニットが取付られる。またホスゲンの導入に
際しては、ボンベから、洗気びん、泡数をカウントする
ためのパラフィン等を収容した洗気びん、空の洗気びん
を通してフラスコに導入する。ピリジンのように、有機
溶媒によっては塩が生成する場合がある。この場合、ガ
ス導入管を撹拌機の上側に装着し、析出するピリジン塩
によって閉塞しないようにするため、先端を漏斗状に広
げておくのが好ましい。なお、ガス導入に伴いピリジン
の塩酸塩が析出して内容物が濁ってくる。
反応温度は適宜設定できるが、通常、水冷等により反
応温度を制御しつつ、30℃以下の温度で行なわれる。縮
合反応が進行するにつれて、内容物が粘稠になる。反応
終了後、メタノール等の貧溶媒を加えて重合体を沈澱さ
せ、濾別乾燥する。
生成したポリカーボネート共重合体は塩化メチレン、
ピリジン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等に溶解
するので、これらの溶液からのメタノールで再沈して精
製する。
芳香族ポリカーボネート共重合体にスルホン酸ホスホ
ニウム塩及び亜リン酸エステルを配合する方法として
は、最終成形する直前までの任意の段階で種々の手段に
より行なうことができる。最も簡便な方法は、芳香族ポ
リカーボネート共重合体と上記各成分とをドライブレン
ドする方法であるが、このドライブレンド物を溶融混合
押出してペレットとしてもよい。また所定量以上のスル
ホン酸ホスホニウム塩及び亜リン酸エステルを練込んだ
マスターペレットを調製し、これを希釈用芳香族ポリカ
ーボネート共重合体と混合してもよい。なお、溶融混合
押出しを行なう際、スルホン酸ホスホニウム塩及び亜リ
ン酸エステルの分散性を高めるのが好ましい。分散性を
高めるには、例えば、一軸押出し機を用いる場合にはダ
ルメージタイプのスクリューを用いて、又は二軸押出し
機を用いて、溶融混合押出しすればよい。
最終成形品を得る場合、上記ブレンド物やペレットを
射出、押出し、ブロー、圧縮などの各種成形機に供給し
て、常法に従って、成形すればよいが、場合によって
は、スルホン酸ホスホニウム塩及び亜リン酸エステルを
成形機で添加することもできる。成形時の樹脂温度は、
通常220〜300℃程度に保持するのが好ましい。
スルホン酸ホスホニウム塩及び亜リン酸エステルを含
有する芳香族ポリカーボネート共重合体を用いて厚み1.
2mm程度の光ディスク基板を成形したとき、該基板の静
的帯電量は、通常50mV未満、動的帯電量は、通常150mV
以下であり、高速回転下での帯電量が小さい。従って、
光ディスクの製造に際しては、帯電防止性が高く、ディ
スクに塵芥や埃等が付着しないので、情報を精度よく記
録再生できる光学的に均質な光ディスクを製造できる。
なお、静的帯電量は回転前の基板の帯電量を意味し、動
的帯電量は回転速度3600rpmで回転させたときの飽和帯
電量を意味する。なお、帯電量は、温度20℃、相対湿度
55%の環境下での値である。
また光ディスク基板は、斜め入射に対する複屈折も小
さい。従って、レーザ光により信号を記録したり、レー
ザ光の反射率又は透過率の変化により記録信号を再生す
る光学式情報記録用ディスク材料として有用である。
なお、光ディスク基板は、従来慣用の方法で製造でき
る。例えば、原盤から作製したスタンパに基づいて、特
定の比率で共重合した芳香族ポリカーボネート共重合体
を射出成形機等を用いて射出成形したり、芳香族ポリカ
ーボネート共重合体からなる基板に塗布した紫外線硬化
型樹脂層をスタンパに押圧して紫外線照射により硬化さ
せる、いわゆる2P(Photo−Polymer)法により、トラッ
キンググルーブが形成された光ディスク基板を作製でき
る。なお、基板はトラッキンググルーブが形成されてい
ない基板であってもよい。基板は、通常、厚み1.2mm程
度に形成される。
光ディスクは、光ディスク基板上に、反射膜、記録膜
等を形成することにより作製できる。反射膜及び記録膜
は、記録再生方式により適宜選択できる。反射膜は、通
常、アルミニウムのスパッタリング膜や蒸着膜等で構成
でき、記録膜は、追記型記録膜、書換型記録膜で構成で
きる。記録膜は誘電体層や保護膜等を有していてもよ
い。なお、反射膜や記録膜は、蒸着法、スパッタリング
法、CVD法等の種々の成膜手段で形成できる。
[発明の効果] 以上のように、本発明の光ディスク基板によれば、斜
め入射に対する複屈折が小さく、光学的均質性及び帯電
防止性に優れている。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
実施例1 撹拌機、温度計、ガス導入管及び排気管を備えたフラ
スコに、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液を注入する
と共に、4,4′−ジヒドロキシ−2,2,2−トリフェニルエ
タン55モル%と、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−m−ジイソプロピルベンゼン45モル%とを投入し
て均一に溶解させた。次いで、ジクロロメタンを添加
し、激しく撹拌しながらホスゲンガスを導入した。な
お、ホスゲンは、ボンベから、空の洗気ビン、水を収容
した洗気ビンおよび空の洗気ビンを通してフラスコに導
入した。またホスゲンガス導入中の反応温度は、水冷に
より25℃以下に保った。
反応終了後、反応溶液をメタノールに注入し、濾別、
水洗し、この操作を繰返した。そして、精製した芳香族
ポリカーボネート共重合体をジクロロメタンに溶解し、
メタノールに注入して再沈し、精製し、乾燥した。
得られた芳香族ポリカーボネート共重合体は、粘度平
均分子量16500、熱分解温度449℃、ガラス転移温度136
℃であった。なお、粘度平均分子量は、ジクロロメタン
を溶媒として温度20℃における溶液粘度から算出した。
熱分解温度はTG−DTA(理学電機(株)製、商品名サー
モフレックス)、ガラス転移温度は示差走査熱量計(パ
ーキン−エルマー社製、商品名DSC−2C)を用いて測定
した。
実施例2 4,4′−ジヒドロキシ−2,2,2−トリフェニルエタン60
モル%と、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
m−ジイソプロピルベンゼン40モル%とを用いる以外、
上記実施例1と同様にして芳香族ポリカーボネート共重
合体を得た。この芳香族ポリカーボネート共重合体は、
粘度平均分子量16400、熱分解温度451℃、ガラス転移温
度138℃であった。
実施例3 4,4′−ジヒドロキシ−2,2,2−トリフェニルエタン75
モル%と、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
m−ジイソプロピルベンゼン25モル%とを用いる以外、
上記実施例1と同様にして芳香族ポリカーボネート共重
合体を得た。この共重合体は、粘度平均分子量17000、
熱分解温度453℃、ガラス転移温度160℃であった。
比較例1 1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイ
ソプロピルベンゼンを100モル%用いる以外、上記実施
例1と同様にして芳香族ポリカーボネートを得た。芳香
族ポリカーボネートは、粘度平均分子量24800、熱分解
温度435℃、ガラス転移温度102℃であった。
比較例2 ビスフェノールA型ポリカーボネート(帝人化成
(株)製、商品名AD−5503)を用いた。
各実施例及び各比較例の芳香族ポリカーボネート100
重量部に対してドデシルスルホン酸テトラブチルホスホ
ニウム塩3重量部、およびモノオクチルジフェニルフォ
スファイト0.1重量部を添加し、射出成形機(名機製作
所製、ダイナメルター)を用いて、成形温度340℃、射
出圧力800kgf/cm2、金型温度120℃の条件で、直径130m
m、厚み1.2mmの円盤状基板を作製した。
そして、基板の硬度を鉛筆硬度として調べると共に、
吸水率を、温度25℃の水中に24時間浸漬後の値として求
めた。屈折率を、アッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて
可視光で測定した。基板の光弾性定数及び複屈折を波長
633nm、入射角30゜の条件で測定した。また基板の引張
強度及び伸びをASTM D 638に準拠して、アイゾット
衝撃強度をASTM D 256に準拠して、全光線透過率をA
STM D 1003に準拠して測定した。
さらに、光ディスク基板の表面固有抵抗を、1×1012
Ωまでのものについては、表面固有抵抗測定器(日本電
気(株)製、タイプTR−2)で測定し、1×1012Ω以上
のものについては、従来慣用の表面固有測定器で測定し
た。
また光ディスク基板の帯電特性は、静電気帯電減衰測
定器(サイトウ技研(株)製、商品名タイプS−4104)
を用いて、温度20℃、相対湿度55%の環境下で、基板を
回転させる前の静的帯電量と、3600rpmで回転させた後
の動的帯電量である飽和帯電量を測定した。
結果を表に示す。
この表から明らかなように、実施例1〜3の芳香族ポ
リカーボネート共重合体にスルホン酸ホスホニウム塩及
び亜リン酸エステルを添加した基板及び光ディスクは、
各比較例のポリカーボネートに比べて、斜め入射時の複
屈折及び帯電量が著しく小さいだけでなく、機械的特性
などにも優れている。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4,4′−ジヒドロキシ−2,2,2−トリフェニ
    ルエタン55〜75モル%と、1,1′−ビス(4−ヒドロキ
    シフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン45〜25モル
    %とがカーボネート結合した芳香族ポリカーボネート共
    重合体と、下記一般式[I] (式中、R1は炭素数1〜40のアルキル基、または置換基
    を有していてもよいアリール基を示し、R2、R3、R4及び
    R5は、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10の
    アルキル基、またはアリール基を示す)で表されるスル
    ホン酸ホスホニウム塩と、亜リン酸エステルとを含有す
    ることを特徴とする光ディスク基板。
  2. 【請求項2】芳香族ポリカーボネート共重合体100重量
    部に対して、スルホン酸ホスホニウム塩0.1〜20重量
    部、および亜リン酸エステル0.01〜1重量部含有する請
    求項1記載の光ディスク基板。
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