JP2774977B2 - 粉体凝固剤、セメント混和剤、セメント組成物、セメント建材およびペット用墓石ならびにセメント組成物製造方法 - Google Patents

粉体凝固剤、セメント混和剤、セメント組成物、セメント建材およびペット用墓石ならびにセメント組成物製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉体凝固剤、セメント
混和剤、セメント組成物、セメント建材およびペット用
墓石ならびにセメント組成物製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の凝固剤としては、例えば、特開平
2−263890号公報に示すものがある。すなわち、
カルボキシメチルセルロース10重量部と、塩化カルシ
ウム10重量部と、メタケイ酸ナトリウム粉末10重量
部と、シリカ0.3〜100重量部と、炭酸カルシウム
1〜300重量部とから成り、土砂を凝固するために使
用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の凝固剤は、専ら、土砂の凝固に用いられ、土
砂より粒子の微小な粉体を凝固させるのには、用いられ
ていなかった。近年、鋳物の製造に使用された後に廃棄
される鋳物廃砂が廃棄物処理の問題を生じており、これ
を固めて利用しようとする試みがなされている。しかし
ながら、鋳物廃砂は粒子が微小なため、従来の凝固剤で
は凝固しにくく、できあがった組成物は、圧縮強度が充
分でないという問題点があった。
【0004】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、鋳物廃砂などの粒子の微小な粉体
をも充分な圧縮強度に凝固させることができる粉体凝固
剤、セメント混和剤、セメント組成物、セメント建材お
よびペット用墓石ならびにセメント組成物製造方法を提
供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る粉体凝固剤は、セメント100重量部
と、塩化カルシウム5重量部と、ケイ酸ナトリウム4重
量部と、カルボキシルメチルセルロース1重量部とを主
成分とすることを特徴とする。
【0006】本発明に係るセメント混和剤は、塩化カル
シウム5重量部と、ケイ酸ナトリウム4重量部と、カル
ボキシルメチルセルロース1重量部とを主成分とするこ
とを特徴とする。
【0007】本発明に係るセメント組成物は、セメント
100重量部と、塩化カルシウム5重量部と、ケイ酸ナ
トリウム4重量部と、カルボキシルメチルセルロース1
重量部と、粒径200μm以下の粉体110〜130重
量部とを主成分とすることを特徴とする。
【0008】セメントは、ポルトランドセメントが好適
である。セメント組成物は、いかなる大きさ、形状に成
形されてもよい。
【0009】
【0010】前記粉体は、その90%以上が粒径60μ
m以下の粒子から成ることが好ましい。
【0011】前記粉体は、鋳物廃砂から成ることが好ま
しい。鋳物廃砂とは、鋳物の製造に使用された後に廃棄
される砂であり、ケイ砂と鉄分と灰とを主成分とするも
のである。
【0012】本発明に係るセメント建材は、前記のセメ
ント組成物から成ることを特徴とする。
【0013】本発明に係るペット用墓石は、前記のセメ
ント組成物から成ることを特徴とする。
【0014】本発明に係るセメント組成物製造方法は、
セメント100重量部と、塩化カルシウム5重量部と、
ケイ酸ナトリウム4重量部と、カルボキシルメチルセル
ロース1重量部と、粒径200μm以下の粉体110〜
130重量部と、水100〜130重量部とを混合し、
混合後、成形し、成形後、養生することを特徴とする。
【0015】本発明に係る粉体凝固剤、セメント混和剤
およびセメント組成物には、着色剤を添加してもよい。
【0016】
【作用】粉体凝固剤、セメント混和剤およびセメント組
成物に含まれるカルボキシルメチルセルロースは、水溶
性で高い接着性を有している。カルボキシルメチルセル
ロースは、セメントの硬化を促進し、凝固初期の強度を
高める。塩化カルシウムは、石灰質およびケイ酸質の急
速結合作用を有し、セメントの硬化時間を短縮させる。
ケイ酸ナトリウムは、加水分解してシロップ状となり、
粉体間に浸透して長期的に凝固の強度を高める。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例について説明する。
セメント組成物は、粉体凝固剤と鋳物廃砂と水とから製
造される。粉体凝固剤は、セメント100重量部と、セ
メント混和剤10重量部とを均一に混合して成る。セメ
ント混和剤は、塩化カルシウム5重量部と、ケイ酸ナト
リウム4重量部と、カルボキシルメチルセルロース1重
量部とを均一に混合して成る。図1に示すように、鋳物
廃砂は、その90%以上が粒径60μm以下の粒子から
成る粒径200μm以下の粉体から成る。
【0018】すなわち、セメント組成物は、セメント1
00重量部と、塩化カルシウム5重量部と、ケイ酸ナト
リウム4重量部と、カルボキシルメチルセルロース(C
MC)1重量部と、鋳物廃砂121重量部と、水112
重量部とを混合し、混合後、成形し、成形後、養生する
ことにより製造される。
【0019】成形はその用途に応じて種々の形状に行う
ことができ、セメント組成物は建築用のセメント建材と
して、あるいは、ペット用墓石として利用することがで
きる。これにより、廃棄物として問題になっていた鋳物
廃砂の有効利用を図ることができる。
【0020】骨材別にセメント混和剤がセメント組成物
にもたらす強度の効果をみるため、セメント組成物の骨
材別の強度試験を行った。セメント組成物の調合割合を
表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】試験に用いたセメント組成物は、表1の調
合割合のセメント混和剤、鋳物廃砂および/または標準
砂ならびに水と、セメント520gとを混合、成形、養
生して製造した。セメント混和剤には、塩化カルシウム
とケイ酸ナトリウムとCMCとが1:1:1の割合の混
合物を用いた。鋳物廃砂および/または標準砂の総量は
容積を一定にし、鋳物廃砂および標準砂の両方を用いた
ものでは、それぞれの容積を等量にした。標準砂は、豊
浦標準砂を用いた。セメントは、ポルトランドセメント
を用いた。製造したA〜Fのセメント組成物について、
製造から7日後および28日後に、JIS−R 520
1に基づき、圧縮強度試験および曲げ強度試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2に示すように、セメント混和剤を添加
しない場合、骨材に鋳物廃砂を用いたものでは、骨材に
標準砂を用いたものに比べて、圧縮強度および曲げ強度
がともに顕著に低下していることがわかる。セメント混
和剤を添加した場合、骨材に標準砂を用いたものでは、
圧縮強度および曲げ強度がともに低下してしまうのに対
し、骨材に鋳物廃砂を用いたものでは、圧縮強度および
曲げ強度がともに顕著に高まることがわかる。このこと
から、セメント混和剤は、骨材が鋳物廃砂のように微細
な粒子から成る場合には、逆に、強度を高める効果をも
たらすことがわかる。
【0025】骨材に鋳物廃砂を用いた場合に、セメント
混和剤がセメント組成物にもたらす凝結時間の効果をみ
るため、JISのセメント凝結試験に基づき、セメント
組成物の凝結試験を行った。セメント組成物の調合割合
およびその結果を表3に示す。なお、セメント混和剤に
は、塩化カルシウムとケイ酸ナトリウムとCMCとが
1:1:1の割合の混合物を用いた。また、用いた水量
は、標準軟度より決定した。
【0026】
【表3】
【0027】表3に示すように、鋳物廃砂を用いた場
合、セメント混和剤を添加したとき、凝結時間が短縮さ
れることがわかる。
【0028】骨材に鋳物廃砂を用いた場合に、セメント
混和剤がセメント組成物にもたらす長期的な強度の効果
をみるため、製造から1週間後、4週間後、12週間
後、24週間後に、JIS−R 5201に基づき、圧
縮強度試験を行った。試験に用いたセメント組成物は、
セメント520g、セメント混和剤0gまたは15.6
g、鋳物廃砂629.6g、水583g、フロー14.
80cmの条件で製造した。セメント混和剤には、塩化
カルシウムとケイ酸ナトリウムとCMCとが1:1:1
の割合の混合物を用いた。その結果を表4に示す。
【0029】
【表4】
【0030】表4に示すように、鋳物廃砂を用いた場
合、セメント混和剤を添加したものでは、添加しないも
のに比べて、長期間経過するほど圧縮強度がより高まる
ことがわかる。
【0031】骨材に鋳物廃砂を用いた場合に、強度を高
めるセメント混和剤の各成分の最適な割合を調べるた
め、JIS−R 5201に基づき、各成分を単独で使
用したセメント組成物の圧縮強度試験を行った。試験に
用いたセメント組成物は、セメント520gと、各成分
を混和剤としてセメント重量に対し1〜7%と、鋳物廃
砂629.6gと、水583gとを混合、成形、養生し
て製造した。セメント混和剤には、塩化カルシウムとケ
イ酸ナトリウムとCMCとが1:1:1の割合の混合物
を用いた。その結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
【0033】表5に示すように、鋳物廃砂を用いた場
合、セメント重量に対し、塩化カルシウムは5%、ケイ
酸ナトリウムは4%、CMCは1%の割合のときに、圧
縮強度を最も高めることがわかる。
【0034】表5から成分の割合を決定したセメント混
和剤がセメント組成物にもたらす強度の効果を確かめる
ため、製造から7日後および28日後に、JIS−R
5201に基づき、セメント混和剤の成分比別にセメン
ト組成物の圧縮強度試験を行った。試験に用いたセメン
ト組成物は、セメント520gと、表6に各成分の分量
を示すセメント混和剤と、鋳物廃砂629.6gと、水
583gとを混合、成形、養生して製造した。その結果
を表6に示す。
【0035】
【表6】
【0036】表6に示すように、鋳物廃砂を用いた場
合、セメント混和剤は、セメント重量に対し、塩化カル
シウム5%、ケイ酸ナトリウム4%、CMC1%の割合
のときに、圧縮強度を最も高め、各成分が1:1:1の
割合のものに比べて、圧縮強度が2割程度高まることが
わかる。このように、塩化カルシウム5%、ケイ酸ナト
リウム4%、CMC1%の割合のセメント混和剤を用い
れば、鋳物廃砂を充分な圧縮強度に凝固できることがわ
かる。
【0037】
【発明の効果】本発明に係る粉体凝固剤、セメント混和
剤、セメント組成物、セメント建材およびペット用墓石
ならびにセメント組成物製造方法によれば、鋳物廃砂な
どの粒子の微小な粉体をも充分な圧縮強度に凝固させる
ことができる。これにより、骨材に鋳物廃砂を用いた場
合には、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】廃砂のフルイわけ試験結果を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C04B 22:12 28:26 24:38 18:14) 103:14 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 28/02 E04H 13/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント100重量部と、塩化カルシウム
    5重量部と、ケイ酸ナトリウム4重量部と、カルボキシ
    ルメチルセルロース1重量部とを主成分とすることを特
    徴とする粉体凝固剤。
  2. 【請求項2】塩化カルシウム5重量部と、ケイ酸ナトリ
    ウム4重量部と、カルボキシルメチルセルロース1重量
    部とを主成分とすることを特徴とするセメント混和剤。
  3. 【請求項3】セメント100重量部と、塩化カルシウム
    5重量部と、ケイ酸ナトリウム4重量部と、カルボキシ
    ルメチルセルロース1重量部と、粒径200μm以下の
    粉体110〜130重量部とを主成分とすることを特徴
    とするセメント組成物。
  4. 【請求項4】前記粉体は、その90%以上が粒径60μ
    m以下の粒子から成ることを特徴とする請求項3記載の
    セメント組成物。
  5. 【請求項5】前記粉体は、鋳物廃砂から成ることを特徴
    とする請求項3または請求項4記載のセメント組成物。
  6. 【請求項6】請求項3,4または5記載のセメント組成
    物から成ることを特徴とするセメント建材。
  7. 【請求項7】請求項3,4または5記載のセメント組成
    物から成ることを特徴とするペット用墓石。
  8. 【請求項8】セメント100重量部と、塩化カルシウム
    5重量部と、ケイ酸ナトリウム4重量部と、カルボキシ
    ルメチルセルロース1重量部と、粒径200μm以下の
    粉体110〜130重量部と、水100〜130重量部
    とを混合し、混合後、成形し、成形後、養生することを
    特徴とするセメント組成物製造方法。
JP6272914A 1994-10-11 1994-10-11 粉体凝固剤、セメント混和剤、セメント組成物、セメント建材およびペット用墓石ならびにセメント組成物製造方法 Expired - Fee Related JP2774977B2 (ja)

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