JP2774683B2 - 高圧処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、高圧下で食品素材の殺菌、変性、酵素反応
制御等の処理を行なう高圧処理装置に関する。

（従来の技術） 従来、食品の処理は、主に熱を利用することによって
行なわれてきたが、近年、圧力と云う熱力学的変数を積
極的に利用する動きが出てきた。

食品加工への圧力利用の一例として二軸エクストルー
ダが挙げられる。しかし、これは、あくまでも温度と練
り、剪断等の機械的作用によって食品の変性、組織化を
行おうとするものであって、圧力は意図的に制御される
ものではなく、食品の物性によって変化し、また例えば
1000kgf/cm²と云ったような高圧を作用させることもで
きない。

そこで、冷間等方加圧装置を用い、高圧容器の加圧室
に圧媒を供給して加圧することにより、処理室内の被処
理物に圧力を付与して処理する技術が提案されている。

この場合、被処理物と圧媒とを隔絶する必要があり、
最も一般的には真空パックのような袋体を用いる方法、
可撓性の壁体で隔絶する方法等がある。

（発明が解決しようとする課題） 前述従来技術のうち、特開平２−89877号公報で開示
されているように、可撓性壁体を高圧容器の上蓋に固設
することによってモジュール化し、高圧容器外での予加
熱が可能なシステムが提案されている。

しかしながら、可撓性壁体を比較的強度の高いステン
レス製のベローズで製作した場合でも、被処理物の容量
が大きくなった場合には、その重量によって搬送中に過
変形を起こすほか、予加熱温度が高い場合には、搬送中
の熱ロスも無視できないという問題点があった。

本発明は、高圧容器の開口部に設けた上蓋に、可撓性
壁体を設けることによって、上蓋とともに可撓性壁体を
高圧容器の開口部より挿脱可能にすべくモジュール化し
て高い生産性を確保したにも拘わらず過度な変形を防止
し、かつ搬送中の熱ロスをできるだけおさえ得るように
したことを目的とする高圧処理装置を提供するものであ
る。

（課題を解決するための手段） 本発明は、圧媒により圧力を付与することが可能な加
圧室６を有する高圧容器１と、前記加圧室６内で圧媒と
被処理物とを隔絶する可撓性壁体９を有し、該可撓性壁
体９が、前記高圧容器１の開口部に挿脱自在な上蓋４に
固設されている高圧処理装置において、前述の目的を達
成するために、次の技術的手段を講じている。

すなわち、本発明は、前記可撓性壁体９を包囲支承す
るように、開孔12を有する保持体13が前記上蓋４と一体
的に設けられていることを特徴とするものである。

なお、前記保持体13が断熱部材をも兼ねるようにして
もよく、また、前記保持体13と可撓性壁体９との間若し
くは保持体13を包囲して断熱部材16を設けることができ
る。

（作 用） 可撓性壁体９内の被処理物を処理する際には、高圧容
器１の加圧室６に圧媒を供給し、圧媒によって被処理物
を加圧する。

この加圧処理の際、可撓性壁体９を包囲支承するよう
に保持体13を設けていても、該保持体13は開孔12を有す
るので圧媒による被処理物の加圧処理はなされる。

加圧処理前後、すなわち、加圧処理前における予加熱
においては、上蓋４と保持体13によって包囲支承してい
る可撓性壁体９とを第２図で示す如くモジュール化して
この状態で被処理物を充填した後、予備加熱装置に掛
け、搬送中において、可撓性壁体９の過度の変形および
熱発散は、保持体13によって防止される。

また、加圧処理後においても、搬送中の過変形等は防
止される。

（実施例） 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。

第１図は、冷間等方圧加圧装置を利用した本発明に係
る高圧処理装置であって、円筒状の高圧容器１における
上・下開口部1A,1Bには、シールリング2,3を介して上蓋
４および下蓋５が挿脱自在に設けられている。高圧容器
１の内側に形成される加圧室６には、圧媒槽７から圧媒
ポンプ８を介して、圧媒が供給されるようになってい
る。圧媒としては、水が最も好ましいものとして推奨さ
れる。

加圧にともなって、上蓋４および下蓋５に作用する軸
力は図示省略したプレスフレームによって支承される。

９は可撓性壁体であって、処理室10内の被処理物と圧
媒とを隔絶するものであり、上方が開口する袋状に形成
されており、その開口縁部11は、多数の開孔12を有し、
かつ可撓性壁体９を外側から包囲支承するコップ形状の
保持体13のフランジ部14によって上蓋４に圧着固定さ
れ、開口縁部11と上蓋４との間には、シールリング15が
介挿されることで処理室10の密閉性を保っている。

さらに、図示の例では、保持体13と可撓性壁体９との
間には断熱部材16が介挿されることで、予加熱された被
処理物からの熱放散を抑制しうるようになっている。断
熱部材16としては、可撓性壁体９の外周部に密接された
可撓性を有するもの（例えば、テフロンコーティングの
如きもの）が構成上最も望ましい。

なお、可撓性壁体９の袋銅部は例えばステンレス材を
ベローズ形状に形成することが構成される。

上蓋４には被処理物（液状処理物）を充填するための
管路17および排出用の管路18が設けられており、それぞ
れの管路17,18には入口弁19および出口弁20が設けられ
ている。24は被処理物充填物のエアー抜き用の管路、22
は同管路に設けられた開閉弁であり、又23は圧媒のエア
ー抜き用の管路、24は同管路に設けられた開閉弁であ
る。

なお、排出用の管路18は、処理室10内において、管路
17からのガス加圧による被処理物の取り出しを規定し
て、下部まで可撓管18Aが延長されている。

以上の構成とされた本実施例の高圧処理装置において
は、すでに述べたところの高圧容器１外部での被処理物
の充填と、例えば第２図に示す如く、被処理物の貯槽25
から、ポンプ26によって、熱交換器27を経て予加熱状態
で行い、その後上蓋４と一体化されたモジュールＡを、
高圧容器１内に移送し、所定の高圧処理ののち再び高圧
容器１から取り外し、外部で被処理物の取り外しを行
い、かつ、このようなモジュールを複数基保有すること
によって、極めて効率的な生産を行なうことが可能とな
る。

この際、保持体13による可撓性壁体９の支承によっ
て、可撓性壁体９は過変形による損傷を受けること少な
く、又断熱部材16の存在によって移送中さらには高圧容
器内での熱放散が抑制されて、熱効率の点でも好ましい
ものとなる。

なお、断熱部材16については、保持体13自体が断熱機
能を有する構造部材であってもよく、或いは保持体13を
断熱材で包囲するように設けてもよい。さらには、上蓋
４の下側に断熱部材を配するることは、処理室から上方
への熱放散をも抑制する点で好ましいものである。

（発明の効果） 本発明は以上の通りであり、可撓性壁体を包囲支承す
るように、開孔を有する保持体が前記上蓋と一体的に設
けられているので、高圧処理を高い生産性のもとに、可
撓性壁体の損傷ならびに熱エネルギーロスを招くことな
く可能とし、もって食品加工の実生産化を一段と促進
し、当該分野の発展に寄与しうるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は立断面図、第２
図は被処理物充填状態を示す立断面図である。 １……高圧容器、４……上蓋、６……加圧室、９……可
撓性壁体、10……処理室、12……開孔、13……保持体。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧媒により圧力を付与することが可能な加
   圧室（６）を有する高圧容器（１）と、前記加圧室
   （６）内で圧媒と被処理物とを隔絶する可撓性壁体
   （９）を有し、該可撓性壁体（９）が、前記高圧容器
   （１）の開口部に挿脱自在な上蓋（４）に固設されてい
   る高圧処理装置において、 前記可撓性壁体（９）を包囲支承するように、開孔（1
   2）を有する保持体（13）が前記上蓋（４）と一体的に
   設けられていることを特徴とする高圧処理装置。