JP2022181363A - 乾式処理で均等加圧できる静水圧加圧装置 - Google Patents

乾式処理で均等加圧できる静水圧加圧装置 Download PDF

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Abstract

【課題】静水圧加圧法において被処理物が圧力媒体で汚染しないという乾式法の利点を活かしつつ、湿式法のように精密に全方位から方向性なく均等に圧縮できる静水圧加圧装置を提供する。【解決手段】高圧容器の本体1と蓋2に、下部と上部で勘合する一対の伸縮性材料の成形型を固定して設置し、被処理物を底付き円筒形状の下部成形型の凹部に収納する。第1の工程で蓋の下降に伴ってテーパ状のガイド機構により遠隔操作で円柱状の上部成形型7を下部成形型4の凹部に挿入し、第2の工程で蓋の下降中に両方の成形型の間の空間の大気を真空排気して両成形型を皺入りなく密着させ、第3の工程で蓋と本体を密着する際に上部成形型内の圧力媒体6を絞り出し、第4の工程で上部成形型の内面全面と下部成形型の外面全面を液絡した同じ圧力媒体で同時に静水圧加圧することにより、被処理物を精密に全方位から方向性なく圧縮する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体状の流体である圧力媒体に被処理物が非接触な状態で静水圧加圧する処理装置において、高圧容器内の被処理物が精密に方向性なく均等な圧力で静水圧加圧できる処理装置に関するものである。
被処理物をゴム袋のような変形抵抗の少ない成形モールドの中に密封して液体の圧力媒体中に沈めて液圧を加えると、処理品表面は一様にその液圧に等しい加圧力を受けて、方向性なく圧縮される。静水圧加圧装置は、このパスカルの原理を応用したものであり、その多くは冷間等方圧加圧装置(CIP装置)と呼ばれている。この静水圧加圧法(CIP成形法)は、粉体が充填される成形モールドと圧力を伝達する圧力媒体との関係により、湿式法と乾式法との2種類に分けられる。湿式法は、高圧容器外で成形モールドである蓋付きのゴム型に粉体等の被処理物を充填して密封した後、高圧容器内の圧力媒体中に直接浸漬し、成形モールドの外面に一様な等方圧を作用させて成形する。乾式法は高圧容器内部に圧力媒体をシールするために組み込まれた加圧ゴム型を介して圧力を伝達し、成形ゴム型内部に充填された粉体等の被処理物を成形する。乾式法は圧力の作用する方向により、周・軸加圧法式と周加圧式との2種類に区別されている。周・軸加圧式は帽子状の加圧ゴム型を用いて、ゴム型の外周面法線方向と上面軸方向とから加圧(以下、「周+1軸方向加圧」と呼ぶ)される。周加圧式では円筒状の加圧ゴム型が用いられるため、ゴム型の外周面法線方向のみの加圧(以下、「周方向加圧」と呼ぶ)となる。(非特許文献1等参照)
湿式法は粉末の充填、加圧、処理品の取り出し等の過程で液体状の圧力媒体に触れ、圧力媒体を除去する手間がかかり、被処理物が圧力媒体で汚染する可能性がある。そのため大量生産には向かず、複雑形状や大型製品の多品種少量生産や試作研究に限って利用されている。
乾式法では、周・軸加圧式の場合は外周面法線方向と上面軸方向、周加圧式の場合は外周面法線方向のみの加圧となるため、全方位から完全に方向性なく圧縮されていない。流体的な性質のある被処理物の場合には成形体に等方的な圧力を作用させることができるため、安息角が小さい粉体に限って利用されている。安息角が大きな粉体や鋳造物等の成形品並びに硬質材料成形用のアンビル等の組立品の静水圧加圧には、この方法は使えない。なお、現代の産業界では取り扱う被処理物を限ることで、外周面法線方向のみの加圧となる周加圧式が多用されている。何故ならば、周加圧式では粉末の充填、加圧、処理品の取り出しを液体状の圧力媒体に触れずに行えるため、自動化が容易で大量生産に適しているためである。周加圧式で使用される装置は乾式冷間等方圧加圧装置(乾式CIP装置)と呼ばれている。(特許文献1参照)
変形例として、上記の湿式法の成形モールドである蓋付きのゴム型を、硬質ゴム媒体で満たした上記の乾式CIP装置に収納し、圧力媒体で汚染しない乾式の利点を活かしつつ、全方位から完全に方向性なく圧縮できる方法がないかが模索されている。しかし、特許文献2で開示されたゴム型において、型本体の凹部へ成形材料を充填後、凹部の連通孔内へ蓋体の嵌合突起を嵌め込んで密閉しても、嵌合突起の下端部(上方へ球面状に凹んだ部分)内へ成形材料を充填することは出来ないとされている。これをさらに改良して特許文献3で開示されたゴム型は、ゴム型内のキャビティ(成形室)を真球ではなく縦長の卵型の形状とし、中央余長部を設けて上下の凹凸部を半球状とすることで課題の解決を図ったが、実用には至っていない。また、静水圧加圧法との用語の下では圧力媒体は少なくとも流体(液体と気体)に限られるので、この方法のように固体の硬質ゴムを圧力媒体としたものは、その段階で方向性なく圧縮するという静水圧加圧法とは言えない。すなわち、従来技術では、圧力媒体での汚染がない乾式システムで、全方位から完全に方向性なく圧縮される静水圧加圧法は具現化されていない。
小泉光恵、西原正夫編著「等方加圧技術」日刊工業新聞社、1988年4月13日、p.64-65
特開2005-205427公報 実公平5-34871号公報 特開2011-251336号公報 特開2020-046047号公報
従来技術である静水圧加圧方法の湿式法では全方位から完全に方向性なく圧縮される可能性があるが、被処理物の充填、加圧、処理品の取り出し等の過程で液体状の流体である圧力媒体に触れ、圧力媒体を除去する手間がかかり、被処理物等が圧力媒体で汚染する。一方、乾式法では、圧力媒体で汚染はしないが、全方位から方向性なく圧縮していないため、安息角が小さい粉体に限って利用されている。
現状は乾式法または湿式法の二者択一であり、両者の特徴を兼ね備えた処理装置は考案されていない。すなわち、乾式法のように圧力媒体での汚染がないため自動化が容易で、かつ、湿式法のように全方位から精密に方向性なく圧縮される静水圧加圧法は考案されていない。
本発明は、圧力媒体を除去する手間がなく、被処理物が圧力媒体で汚染しないため自動化が容易という乾式法の利点を活かしつつ、湿式法のように精密に全方位から方向性なく圧縮できる静水圧加圧装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。なお、本明細書の以降では特に断りがない限り、圧力媒体は液体状の流体を指すものとする。
従来技術の乾式法では、被処理物を周方向加圧ないし周+1軸方向加圧しているので、精密に全方位から方向性なく圧縮できないのは明らかである。精密に全方位から方向性なく圧縮できる静水圧加圧とするには、従来技術の湿式法のように全方位から圧縮する必要がある。しかし、被処理物の充填、加圧、処理品の取り出し等の過程で液体状の流体である圧力媒体に触れることなく、圧力媒体を除去する手間がなく、被処理物が圧力媒体で汚染することはない処理(以下、「乾式処理」と呼ぶ)を実現するには、上記の湿式法のように被処理物をゴム袋のような変形抵抗の少ない成形モールドの中に密封して液体の圧力媒体中に沈めて液圧を加える訳にはいかない。上記の加圧ゴム型に相当する加圧モールドを介して被処理物を外周面法線方向と下面軸方向に加えて上面軸方向からも加圧(以下、「周+2軸方向加圧」と呼ぶ)する必要がある。
乾式処理で周+2軸方向加圧とするには、従来の周・軸加圧式で加圧できていない部位に圧力媒体で上面軸方向から加圧できる独立したゴム袋のようなバルーンを配置し、本体の圧力媒体と同期させて加圧すれば良いことは直ぐに思い付く。しかし、精密にバルーンの位置決めができなければ全部位が密着せず、被処理物との局所的な接触が起こり、コーナー部等に静水圧加圧できない部位が残る。また、バルーン自体が折り重なる皺入りになり、非均等な加圧となる上に、バルーン自体が加圧に伴い破れてしまう可能性がある。乾式処理で精密に方向性なく圧縮できる静水圧加圧を実現するには、この1)位置決めと2)密着と皺入りの課題を解決する必要がある。また、可動部が多数生じて、圧力媒体を出し入れするバルーンには、3)大気から圧力媒体に気泡やボイドが入らない対策も必要である。
本発明では、上述の外周面法線方向と下面軸方向および上面軸方向からの2つの加圧モールドの構造を考案し、第1の工程で1)位置決めの課題を解決し、第2の工程で2)密着と皺入りの課題を解決し、第3の工程で3)大気から圧力媒体に気泡やボイドが入らない対策となる手段を考案した。
上記の帽子状の加圧ゴム型に相当する外周面法線方向と下面軸方向からの加圧モールドは、位置を固定するために、従来の乾式CIP装置の成形ゴム型と同様の手法で高圧容器の本体側に固定する。これは、上方に開口部がある底付き中空円筒形状であって、凹部に被処理物を収納する形状とする。また、上記のバルーンに相当する上面軸方向からの加圧モールドは、容易に位置決めできるように高圧容器の蓋の下面に円柱状の容器を固定する。なお、本明細書の以降の項では、本体に固定する外周面法線方向と下面軸方向の加圧モールドを「下部成形型」と呼び、蓋の下面に固定する上面軸方向からの加圧モールドを「上部成形型」と呼ぶ。上部成形型と下部成形型は下部と上部で勘合する一対の伸縮性材料の成形型であり、接触する部位を被処理物の外形形状に沿う形状に加工したものである。下部成形型は上方に開口部がある底付きの円筒形状であり、凹部に被処理物を収納する。上部成形型は円柱状の圧力媒体を内包する容器であり、この凹部に勘合する。
上記の乾式処理で精密に全方位から方向性なく圧縮できる静水圧加圧を行うためには、両成形型中にあって見えない位置にある被処理物と下部成形型と上部成形型を遠隔操作で位置決めをする第1の工程と、皺入りなくぴったりと密着させる第2の工程と、気泡やボイドなく上部成形型に圧力媒体を充填する第3の工程と、上部成形型の内面全面と下部成形型の外面全面を同時に静水圧加圧する第4の工程が必要となる。
第1の工程では、見えない位置にある被処理物と下部成形型と上部成形型を遠隔操作で位置決めをする。これは、高圧容器の蓋締めするために蓋を下降させる段階で、自動的に位置決めされる。すなわち、第1の工程で蓋の下降に伴い、上部成形型は高さ方向の中心位置より下部にあるテーパ状のガイド機構により下部成形型の内壁でガイドされながら、遠隔で自動的に下部成形型の凹部に挿入される。
第2の工程では、高圧容器の本体と蓋を密着させる前に、蓋の下降を途中で一旦止めて、下部成形型と上部成形型との間の空間の大気の真空引きを行う。被処理物の外形形状に沿う形状に加工された伸縮性のある下部成形型と上部成形型は、真空吸引に伴って主に上部成形型の方が伸びることで被処理物を両者で挟み込む形で皺なくぴったりと密着させる。
第3の工程では、第2の工程の真空吸引により伸びて引っ張られた状態で被処理物にぴったりと密着している上部成形型の内側に、気泡やボイドを混入させることなく重力を利用して静かに圧力媒体を送入して満たす。その後、蓋の下降を再開し、高圧容器の本体と蓋を密着する際に上部成形型中から絞り出される圧力媒体を回収することで、上部成形型中の圧力媒体は過不足なく満たされた状態となる。なお、この段階まで、蓋に固定される上部成形型は、加圧ポンプ等の加圧機構とは切り離されている。
第4の工程では、蓋の下面に固定されている上部成形型の圧力媒体の配管経路は切替え操作により加圧ポンプ等の加圧機構に接続し、加圧機構を稼働させて上部成形型と高圧容器の本体側、すなわち上部成形型の内面全面と下部成形型の外面全面を液絡している同じ圧力媒体で同時に静水圧加圧することにより、周方向と上下の2軸方向から被処理物の静水圧加圧処理を行う。
本発明により乾式法のように被処理物が圧力媒体等で汚染することなく自動化が容易な乾式処理により、湿式法のように全方位から精密に方向性なく圧縮できる静水圧加圧装置が具現化される。これにより従来では乾式CIP装置で取扱いが出来なかった安息角が大きな粉体や、鋳造物等の成形品、並びに、硬質材料成形用のアンビル等の組立品を迅速に大量に静水圧加圧処理できる。以って、当該技術の産業分野への利用に多大な寄与をなしうるものである。
図1は本発明の処理装置の全ての構成を示すための説明図である。 図2は本発明のa.上部成形型と蓋およびb.下部成形型と本体の基本的な構造と、第1の工程のテーパ状のガイド機構の構成の説明図である。 図3は本発明の第2の工程の準備段階での処理装置の構成の説明図である。 図4は図3に続いて蓋と本体を密着させる前の、蓋の下降を一旦止めた状態での処理装置の操作の説明図である。 図5は本発明の第2の工程の改良案となる貫通伸縮チューブを設置した処理装置の準備段階での説明図である。 図6は図5に続いて蓋と本体が殆ど密着した状態の説明図である。上部成形型の下端部は被処理物に接触し、テーパの切り欠き空間を埋める方向に変形する。 図7は高圧容器の蓋の下面に固定して取付けた上部成形型の形状(a.中空円筒型、b.2分割型、c.3分割型、d.4分割型)の説明図である。 図8は本発明の第3の工程の処理装置において、蓋と本体を密着させた直後の段階での圧力媒体と重力式圧力媒体調整槽の状態と操作を示した説明図である。絞り出された圧力媒体は重力式圧力媒体調整槽で回収されている。 図9は加圧機構を動作させた段階での、高圧容器内での圧力媒体6による圧力の釣り合い状態を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。図中に示すバルブは、黒色で塗りつぶされたものは閉状態を示し、白抜きのものは開状態を示す、なお、ここに示す処理装置は単なる例示であって、本発明を限定することを意図するものではない。
本発明の処理装置の基本的な構成を図1で説明する。図1の通り、この処理装置は、高圧容器の本体1、蓋2の中に下部と上部で勘合する一対の伸縮性の材料の成形型である下部成形型4と上部成形型7があり、その中に挟み込まれる形で被処理物3が収納される。
下部成形型4は、上部に開口部がある底付き中空円筒形状である。また、下部成形型4は高圧容器の本体1の内壁に上方の開口部より凹部を大気に露出して固定されている。凹部には外部から操作して被処理物3を設置する。上部成形型7は円柱状の圧力媒体を内包する容器であって、高圧容器の蓋2の下面に上部成形型取付け治具5を介して固定されている。
加圧機構16により圧力媒体6は加圧される。圧力媒体6の注入口として、高圧容器の本体1には下部圧媒パイプ10がバルブ18を介して接続される。また、蓋2を貫通して上部成形型7にはバルブ17を介して上部圧媒パイプ9が接続される。これにより、被処理物3は下部成形型4と上部成形型7を介した乾式処理により圧力媒体6で加圧することが出来る。
上部成形型7と下部成形型4の間の空間の大気を真空吸引する真空ポンプ11がバルブ19を介して設置される。上部成形型7の鉛直方法の高さより上方には上部成形型7の中に圧力媒体6を供給または補充する重力式圧力媒体調整槽15がバルブ21を介して設置される。また、各々の配管系統に大気開放管12と圧媒大気開放管14が設置されている。
本発明の処理装置の構成ではどの部位も、圧力媒体6が大気に曝露されることはない。
本発明の第1の工程を図2で説明する。図2は本発明の下部成形型と上部成形型の基本的な構造と、第1の工程のテーパ状のガイド機構の構成の説明図である。
図2では、a.は上部成形型7と蓋2の関係、b.は下部成形型4と本体1の関係を示す。上部成形型7は上部成形型取付け治具5を介して、蓋2の下面に固定されている。下部成形型4は開口部を上方に向けて本体1に固定されている。上部成形型7の外径は、挿入時の干渉を避けるため、下部成形型4の内径よりも数ミリメートル小さい。また、上部成形型7の長さh1は、下部成形型4の被処理物の充填層を除いた長さh3よりも数センチメートル長い寸法に延長する。上部成形型7の外面には、高さ方向の中心位置より下方のから下端部にかけてテーパを付している。このテーパの下端面からの長さはh2で、テーパを付したことによる下端面の片面の切り欠きの幅の寸法がTである。テーパを付した外面は、蓋2の下降に伴って、下部成形型4の内壁と接触し、下部成形型4の底付き円筒の中央の方に向かって上部成形型7をガイドしながら押し込んでいく。これに伴い、上部成形型7は自動的に下部成形型4と中心軸が一致する状態(同心状態)になる。これをテーパ状のガイド機構と呼ぶ。このガイド機構を動作させるために、伸縮性のある上部成形型7はその形状をある程度保っておらねばならず、上部成形型7の内部の圧力媒体6は圧力のある満杯状態ではないがその形状を保てるだけの量、すなわち内包する圧力媒体6の質量により上部成形型7の外形が維持される量が満たされている状態とする。
また、図2のc.とd.は球形の上部成形型7と下部成形型4の形状例を示す。図2のd.では安息角が大きな粉末状の被処理物3の例を示している。被処理物3の上部は、安息角が大きな台形状となっているが、上部成形型7が押し込まれると共に台形状の山が崩され、上部成形型7の下端の半球形の型枠に馴染んで球形になる。
さらに、図2のe.とf.は正八面体の上部成形型7と下部成形型4の形状例を示す。図2のf.では鋳造品等の固体の被処理物3の例を示している。対象が粉末状ではなく鋳造品等の固体である場合は、非対象形状でも鋳造欠陥の圧密による除去はでき、図2のe.とf.のような全対象形状の型枠を用いなくても良い。
全対象形状の球形、正八面体の場合、下端面の片面の切り欠きの幅の寸法がTは、図2のc.とe.に示す位置となる。
本発明の第2の工程を図3と図4、さらにこれを発展させた形態を図5と図6で説明する。図3は本発明の第2の工程の準備段階での処理装置の構成の説明図である。
図3の通り、下部成形型4の凹部に被処理物3を収納した後に、蓋締めのために蓋2の下降操作を行う。なお、この段階で高圧容器の本体1の中、すなわち、下部成形型4の外側の領域は、圧力媒体6で満たされている。なお、図3では被処理物3の比重は、圧力媒体6の比重よりも数倍は大きいとの前提であり、被処理物3が浮くことはないとしている。もし被処理物3の比重が小さい場合は、本体1に圧力媒体6は満たさずに抜いておく。
図4は図3に続いて蓋と本体を密着させる前の段階で、蓋の下降を一旦止めた状態での処理装置の操作の説明図である。なお、この段階の圧力媒体6の配管系統では、高圧容器の本体1と接続する下部圧媒パイプ10のバルブ18、および、蓋2を介して上部成形型7に接続する上部圧媒パイプ9のバルブ17は、両方共に閉じており、加圧機構16と切り離されている。真空ポンプ11に至る配管のバルブ19は開けており、大気開放管に至る配管のバルブ20は閉じている。
図4の通り、蓋2の下降と共に、後述のテーパ状のガイド機構により自動的に上部成形型7が下部成形型4の上部の開口部に挿入される。蓋2の下面が本体1と上面と同じ高さになる直前の、図4に相当する高さで蓋2の下降を一旦止める。ここで樹脂材料と接着テープ等の間隙密閉治具8を取り付け、本体1と蓋2の隙間から上部成形型7と下部成形型4の間の被処理物3の上部の空間の大気を真空ポンプ11により真空吸引を開始する。本体1と蓋2の隙間はすきま嵌めとなっているが、本体1と蓋2の隙間を介して上部成形型7の側面部を押し下げて柔軟性のある吸引管や半割り管等を差し込んでも良い。また、真空吸引に並行して、図4の位置から蓋2の下降を再開し、蓋2が本体1とほぼ密着する状態とする。真空吸引に伴い、真空圧で伸びた上部成形型7がその空間を埋めることで上部成形型7と下部成形型4が皺入りすることなくぴったり密着する。両方の成形型をぴったりと空隙なく密着させた後に、間隙密閉治具8や吸引管等を除去し、蓋2の下降を再開し、高圧容器の本体1と蓋2を密着させる。また、真空排気の後に、真空ポンプ11に至る配管のバルブ19は閉じる。これにより、被処理物3の全ての外表面を隙間や皺入りなく両方の成形型で挟み込むことができる。
上記した下部成形型4および上部成形型7の伸縮性の材料には、被処理物3の質量や形状から要求される引張強度や伸びに応じて、天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ネオプレン、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が使用される。
次に本発明の第2の工程の図3と図4を発展させた構成を図5と図6および図7で説明する。図5は蓋3と上部成形型7の中央に貫通伸縮チューブ13を設置した処理装置の準備段階での説明図である。
図5では、図3と図4の基本的な構成に加えて、上部成形型7の中央には蓋8を貫通して可撓性(微弾性とも言う)材料の貫通伸縮チューブ13が設置されている。すなわち、貫通伸縮チューブ13は上部成形型7を貫通して上部成形型7の下端に管の下端面が出ている。なお、この管の下端面は本体1と蓋2を密着した際に被処理物と接触しないように貫通伸縮チューブ13の長さまたは差し込みの高さを調整する。
図6は図5に続いて蓋と本体を密着させる少し前の段階での処理装置の説明図である。第2の工程に着手する段階でのバルブの開閉状況は図4で説明したものと同じである。図6では、図4で蓋2の下降を一旦停止するとした位置を超えて、蓋2を下降させている。
第1の工程で示した通り、上部成形型の高さ(円筒側面の鉛直方向の長さ)を数cm延長させているため、この位置では上部成形型の下端部は既に被処理物に接触しており、下端部が変形した上部成形型がテーパの切り欠き空間を埋めている。
貫通伸縮チューブ13を追加した構成の場合は、図4の間隙密閉治具8等を設置する必要がないため、図6の位置まで下降を継続させることができる。処理時間を短縮するために、図4の蓋2の下降時の停止位置から真空ポンプ11を稼働させて真空吸引を開始しても構わない。また、間隙密閉治具8等を設置する作業の手間も省けるため、この発展させた構成は図4の基本的な構成よりも処理時間を短縮することが可能である。
この図6の真空吸引は、図4と同様に蓋2の下降と並行して行う。真空ポンプ11を稼働させ、貫通伸縮チューブ13を介して下部成形型4と上部成形型7の間隙の大気を真空吸引により放出する。同時に被処理物3内に残留する大気も真空吸引により放出する。蓋2の下降の途中で貫通伸縮チューブ13を僅かに引き抜き、貫通伸縮チューブ13の差し込み高さを調整しても良い。残留する大気を真空吸引することで、下部成形型4と上部成形型7の間隙はなくなり、真空圧で伸びた上部成形型7等がその空間を埋めることで両者が皺入りすることなくぴったり密着する。貫通伸縮チューブ13は真空圧により中空管の形状が僅かに変形するが内部の流体の流通を保っている。最終的には圧力媒体で加圧された際には形状を保てずに閉塞するが、除圧後には形状が元に復帰する。また、真空排気後のバルブの開閉操作は図4で説明した通りである。これにより、被処理物3の全ての外表面を隙間なく両方の成形型で挟み込むことができる。
図7は高圧容器の蓋の下面に取付ける上部成形型7の形状の説明図である。図5と図6の上部成形型7には貫通伸縮チューブ13を貫通させる必要がある。円柱状の風船のような上部成形型に接合加工して貫通伸縮チューブ13を貫通させても構わないが、その加工には手間を要するし、接合した部位は損傷しやすいため耐久性の問題が生じる。上部成形型7と貫通伸縮チューブ13とは特に一体型とする必要はなく、上部成形型7の中央に鉛直方向の小さな穴が常に開いた形状でも構わない。すなわち、図7のa.に示す通り、上部成形型7の形状は、円柱状ではなく小さな穴のある中空円筒形でも良い。さらに、上部成形型7の下端面は被処理物3の上面に則する形状とする。被処理物3の上面の形状への追随性を高めるには分割型の方がより良い。従って、高圧容器の蓋2の下面に取付ける上部成形型7の形状は、a.中空円筒型、b.2分割型、c.3分割型、d.4分割型が考えられる。なお、上部成形型7は4分割以上の分割数としても構わない。上部成形型7は、被処理物3の被処理物3の上面の形状により、図7のa.からd.のどれを選択するかを決める。上部成形型7の下端面と下部成形型4の凹部の底面の形状を、可能な限り被処理物3の形状に則したものとすれば、それに伴い静水圧加圧による加圧方向はより完全な等方圧となる。
なお、図2で説明の通り上部成形型7の全ての形状の場合でその外径は、下部成形型4の内径よりも数ミリメートルという僅かに小さな寸法とする。但し、この上部成形型7の外径を僅かに小さくすることより減少する体積は、圧力媒体6の加圧による伸縮材料の伸びにより増加する体積よりも小さくする必要がある。
また、上部成形型7の下端部の外径は、テーパ状のガイド機構を付すために更に数~10センチメートル小さな寸法となっており、上部成形型7の中央下部から下端部にかけて傾斜(テーパ)が付されている。後述の実施例4によれば、上部成形型の直径が10cmから40cmまで、高さが12cmから54cmまでの場合で、テーパを付したことによる下端部での片面の切り欠きの幅は1.2~5.3cmと小さな寸法となっている。なお、テーパ状のガイド機構は多少丸みをおびていても構わない。
一方、上部成形型7の長さ(高さ)は下部成形型4および被処理物3ときっちりと嵌め合うための必要長より数センチメートル長く延長した寸法とする。この寸法を長くすることにより増加する体積は、後述するガイド機構を設けたことによる容積の減少を補償する。後述の実施例4によれば、同上の場合で上部成形型の高さ(円筒側面の鉛直方向の長さ)の延長は1~6cmとなっている。
次に本発明の第3の工程を図8で説明する。図8は図5の構成の処理装置が図6の段階を経た後に、蓋2と本体1を密着させた直後の段階での圧力媒体6と重力式圧力媒体調整槽15の相関を示す説明図である。上部成形型7の形状は、図7のa.からd.のいずれか1つである。
図8は上部成形型7と下部成形型4の間の空間の大気を真空吸引する最終の段階であり、蓋2を介して上部成形型7接続する上部圧媒パイプ9は、バルブ17が閉で加圧ポンプ等の加圧機構16と切り離されている。上部成形型7は前段の第2の工程で、真空圧により伸びて引っ張られ、その内部に追加して流体を吸引できる状況にある。ここで重力式圧力媒体調整槽15と接続する配管のバルブ21と圧媒大気開放バルブ22を開けることにより、上部成形型7に圧力媒体6が供給され、大気圧と重力で載荷される。これにより、残留空気なく、また、大気から気泡・ボイド等を混入させることなく上部成形型7内を圧力媒体6で満たすことができる。
次に高圧容器の蓋2をさらに下降させて本体1に完全に密着させる。上部成形型7に満たされた圧力媒体6は、上部成形型7と下部成形型4が密着する際に上部成形型7から数10~数100立方センチメートルという僅かな量が絞り出される。これにより、上部成形型7は内部の圧力媒体6の圧力に押される形で被処理物3と下部成形型4に皺入りなく完全に密着する。絞り出された圧力媒体6は、上部成形型7の鉛直方法の高さより上方に設置した重力式圧力媒体調整槽15で回収される。上部成形型7の内部の圧力媒体6の圧力は重力式圧力媒体調整槽15の設置高さで調整できる。蓋の密着に伴って圧力媒体6が絞り出された後に重力式圧力媒体調整槽15に至るバルブ21と圧媒大気開放管14に至る配管の圧媒大気開放バルブ22は閉じる。
次に本発明の第4の工程を図9で説明する。なお、この段階では、圧力媒体6の配管系統は、高圧容器の本体1と接続する下部圧媒パイプ10のバルブ18、および、蓋2を介して上部成形型7接続する上部圧媒パイプ9のバルブ17は開け、加圧ポンプ等の加圧機構16と接続する。また、大気開放管12に至る配管の大気開放バルブ20は開ける。
蓋2は締結ボルトやプレスフレーム等の蓋締結具により本体1と蓋締結する。その後に加圧機構16を稼働させて所定の処理圧力まで圧力媒体6を加圧し、上部成形型7の内面全面と下部成形型4の外面全面を同時に同じ圧力媒体6を送入して加圧することにより被処理物3を静水圧加圧処理する。なお、本発明の基本的な構成の範囲では、能動的に加熱操作を行う機構は含まない。
図9には圧力媒体6により力が加わっている大きさと向きを矢印で示しており、加圧機構を動作させた段階での高圧容器内での圧力媒体6による圧力の釣り合い状態を示している。図9に示される通り、高圧容器内では圧力媒体6の加圧により、力の釣り合いと不釣り合いが生じている。同時に同じ圧力媒体6を送入して加圧しているので、上部成形型7と下部成形型4の間の力は両者の伸縮性の材料の薄い膜を介して釣り合っており、この薄い膜が動くことや破れることはない。被処理物3は、全方位から同じ力で完全に方向性なく圧縮される。高圧容器の本体1と蓋2は、それぞれの表面積に応じた力で圧力媒体6から押されており、高圧容器と蓋と蓋締結具の強度により、これを支持している。
図1~図9の高圧容器の本体1と蓋2は、1基の円筒形の容器を縦置きしたものを示した。しかし、これは一例として示したものであり、複数基の高圧容器の本体と蓋を連結させても構わない。
高圧容器の蓋を下降させる方法には、小規模な一軸圧縮プレスや油圧または電動ピストン装置または電動ホイストやチェーンブロック等を用いる。蓋の取り付け精度を高めるために、架台を固定した一軸圧縮プレスや油圧または電動ピストン装置が好ましい。
また、本体と蓋を密着後に本体と蓋を締結する方法は、プレスフレーム方式、蓋締結ボルト締め方式、荷重載荷方式等があるが、そのいずれでも構わない。
圧力媒体の加圧機構は、油圧または電動ピストン加圧装置、電動ポンプ装置等の装置が数多く市販されており、型式はいずれのものでも構わない。高い圧力領域で一定の圧力制御を求める場合は、油圧または電動ピストン加圧装置が多く利用されている。最高使用圧力は油圧ピストン加圧装置では700MPa、電動ポンプ装置だけでも100MPaに達するものもある。なお、図1、図6~図9では、油圧ピストン加圧装置の例を示している。
本発明の圧力媒体は液体状の流体としている。温度200°C以下での静水圧加圧には通常は水が用いられるが、被処理物が単純な形状であれば水を圧力媒体とすることで問題ない。被処理物の形状が複雑である場合、それに必要な形状追随性より、表面張力や粘度が低い圧力媒体が求められる。圧力媒体の具体的な液体名の例とその密度等の物性を表1に示す。
表1の通り、メチルアルコールは、表面張力や粘度が低い圧力媒体となる。メチルアルコール、エチルアルコール等は比較的大きく熱膨張するので圧力媒体の温度管理が重要である。なお、シリコーンオイルは表面張力が全般に低い圧力媒体であるが、分子量や重合度および重合時に導入する置換基の種類(メチル系・フェニル系等)により幅広い粘度(動粘度)の多種多様な製品があり、用途に応じてそれらを選定する。本発明の用途の場合は低粘度のジメチルシリコーンオイル等を使用することが好ましい。但し、高圧下では全般に液体状の流体の粘度は高くなるので、その取扱いには注意が必要である。また、低粘度のジメチルシリコーンオイルは圧力による圧縮率が大きく、350MPaの圧力下で、約15%の容積収縮を起こすので、高圧下での取扱いには注意が必要である。
表1
Figure 2022181363000002
注)上表は常圧下で温度20°Cでの物性値
本発明で使用する伸縮材料による上部成形型と下部成形型は、従来のCIP装置用の帽子状の加圧ゴム型やスリーブ状のゴム型と同様の方法で製造する。すなわち、単品生産の場合は、天然ゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の原料をゴム枠に充填し、ランマー等で均一に叩いて充填密度を安定させた後に熱処理炉で焼成している。大量生産の場合は、金型への射出成形や、タイヤのような金型へのホットプレス成型も考えられる。本発明の上部成形型と下部成形型に使用する伸縮材料の候補となるゴムの種類と引張強さ、伸び等の機械的性質を表2に示す。
表2で候補を示した本発明で使用する伸縮材料は、被処理物の形状が複雑である場合は、伸びの大きい天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ネオプレン、ウレタンゴム等を選定する。また、被処理物の形状に突起がある場合は、引張強さが大きい天然ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム等を選定する。
また、これらの伸縮材料をテーパ状のガイド機構のある上部成形型と下部成形型に使用するため、これらの成形型の表面粗度は滑らかである方がより良い。表面粗度を滑らかにするには、上記の製造法のうち、金型成形となる射出成形やホットプレス成型が好ましい。さらに、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム(バイトン)等の潤滑性の良い材料を使用するのが良い。成形型の表面にテフロンなどのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のゴム用潤滑被膜を利用しても良い。
なお、上記では上部成形型の外径を僅かに小さくすることより減少する体積は、圧力媒体の加圧による伸縮材料の伸びにより増加する体積で補償すると述べたが、表2に示した伸縮材料の伸びはJIS K6301の試験方法で少なくとも50%はある。そのため、上部成形型の伸びが足りずに密着せずに隙間が開くという問題は生じない。また、伸縮材料の伸びが変形に追随できずに破断するという問題は生じない。
表2
Figure 2022181363000003
本発明の上部成形型は、中央下部から下端部にかけて外面にテーパを付した前記のテーパ状のガイド機構を設置する必要がある。見えない場所への遠隔操作に必要なガイド機構について一般性のある規格等はない。ここでは切削工具を目視せずにアームを使って工具格納庫から工具を取り出し自動交換しながら切削加工を進めるマシニングセンタのツールシャンク規格である、JIS B6101(2004)を参考にしながら、上部成形型の中央下部から下端部にかけて外面にテーパの形状と寸法を検討した。JIS B6101のツールシャンクのテーパは呼び番号が30~80の間で10種類があり、基準寸法であるテーパの太い側の直径D1が31.75mmから254mmについて規定している。なお、呼び番号すなわち直径D1に係わらずテーパ部分の傾斜は7/24テーパと画一である。なお、7/24テーパとは、テーパ部分の長さが24mmごとに直径が7mm減るという意味である。そのため、このツールシャンクは、7/24テーパシャンクと呼ばれている。従って、呼び番号が80(直径D1が254mm)の場合で、テーパ部分の全長が240mmであれば、細い側の直径D2は184mmとD1の7割程度になる。ここで仮に上部成形型の長さ(高さ)をテーパ部分の全長とすると、その下端部の直径はあまりにも小さくなり、かなりの密着しない大きな面積が生じることとなり、成形型として用を成さないものとなってしまう。但し、この規格はあくまでも、回転部分は必ず円筒形で小さな直径である切削工具をマシニングセンタが自動交換する際の規格であり、用途の異なる上部成形型の場合はそのままを踏襲する必要はない。
上部成形型の場合は、マシニングセンタの切削工具のように切削時の回転力を伝える必要はなく、目的は見えない場所への遠隔操作に必要なガイド機構である。また、ガイドが必要なのは上部成形型の下端部のみであり、高さ方向の中心位置より上部は関係しない。そのため、テーパ状のガイド機構としてテーパを設置けるのは上部成形型の中央下部から下端部にかけて外面に限るものとする。しかしながら、見えない場所への遠隔操作により型合わせすることはマシニングセンタも同様の操作であるため、7/24テーパは踏襲することとする。
これにより、具体的には上部成形型の長さ(高さ)のうち、下端部から3分の1の長さの外面に7/24テーパを付する。試算例として表3には、想定した上部成形型の外径(d1)、高さ(h1)について、図7のaで示した各部位の寸法表示h2、d2、Tについて試算した結果を示す。なお、h2は7/24テーパを付す部分の高さ(円筒側面の鉛直方向の長さ)、d2は上部成形型の下端面の直径、Tは7/24テーパを付したことによる片面の切り欠きの幅の寸法、すなわち、d1からd2を差し引いたものを2で割った数値(T=(d1-d2)/2)を示す。なお、7/24テーパを付す部分の高さh2は、上部成形型の高さh1の下部3分の1とした。
表3によれば、円筒側面の鉛直方向の長さh2はh1の下部3分の1の高さの範囲とすれば、上部成形型の外径が10cmから40cmまでの場合で、JIS規格の7/24テーパを付したことによる下端部での片面の切り欠きの幅の寸法Tは1.2~5.3cmとなった。すなわち、合理的に実現可能なテーパ状のガイド機構を設ける場合の上部成形型の下端部での片面の切り欠きの幅の寸法Tは、5.3センチメートル以下である。
表3では欄外の注1に、高さ延長後の例1-1から高さ延長前の例1-2の実効容積Vを引いた例1の容積差を表記した。同様に注2、注3、注4に、例2、例3、例4の容積差を表記した。上記では上部成形型の下部にガイド機構を設置することにより減少する体積は、上部成形型の高さ(円筒側面の鉛直方向の長さ)を僅かに数cm長くすることで増加する体積で補償できると述べた。表3およびその欄外の注1~注4の数値によれば、以下のことが言える。
例1の上部成形型の外径が100mmの場合は、テーパ状のガイド機構の設置により減少した圧力媒体の容積V2が91cmであるのに対して、上部成形型の高さh1を1.4cm長くすることで、増加する実効容積は注1の92cmと大きい。
例2の上部成形型の外径が200mmの場合は、同様にV2が731cmであるのに対して、上部成形型の高さh1を2.8cm長くすることで、増加する実効容積は注2の734cmと大きい。
例3の上部成形型の外径が300mmの場合は、同様にV2が2,467cmであるのに対して、上部成形型の高さh1を4.2cm長くすることで、増加する実効容積は注3の2,479cmと大きい。
例4の上部成形型の外径が400mmの場合は、同様にV2が5,847cmであるのに対して、上部成形型の高さh1を5.6cm長くすることで、増加する実効容積は注3の5,876cmと大きい。
すなわち、上部成形型の外径が10cmから40cmまで、高さが12cmから54cmまでの場合で、上部成形型の下部のテーパ状のガイド機構の設置により減少した圧力媒体の容積の補償するために上部成形型の延長する高さ(同上)は、1~6cmである。これは、圧力媒体の補給が仮に期待できないとしても、上部成形型の高さ(同上)を6センチメートル延長することで上部成形型内の圧力媒体が不足するという問題は生じないことを意味する。また、圧力媒体が不足することはないので、真空吸引時に伸縮材料の伸びが変形に追随できずに破断するという問題は生じない。
表3
Figure 2022181363000004
注)h2は、h1の下部3分の1の円筒側面の鉛直方向の長さとした
また、表3では、下部のガイド機構を設置したことによる、上部成形型の容積(cm3)の変化とその減少率を算出した結果を付記した。ここで、V1は上部成形型の外径寸法より算出した円筒形の容積、V2はガイド機構を設置したことにより円筒形より減少した容積、Vはガイド機構を設置した上部成形型の実効容積の数値(V=V1-V2)を示す。なお、Sはガイド機構の設置に伴う上部成形型の容積の減少率(%)を示す。
本発明の貫通伸縮チューブは上部成形型を貫通する可撓性(微弾性とも言う)材料の管としている。貫通伸縮チューブはその固有の強度により、真空吸引の際は真空圧により中空管の形状が僅かに変形するが内部の流体の流通を保つことができる。また、圧力媒体で静水圧加圧された際にはあえて形状を保たないように配慮している。すなわち、その場で静水圧加圧に従って中空管の内部空間を閉塞することにより、上部成形型に静水圧に反するような方向の力が加わらないように配慮している。但し、折れつぶれ防止用の補強材にSUS316等の金属線材を使っているものは、貫通伸縮チューブが破損した際に上部成形型を破損する可能性があるため除外する。これにより静水圧加圧時に貫通伸縮チューブが上部成形型の伸縮材料を損傷することはない。また、静水圧加圧を除圧した後には貫通伸縮チューブがもつ本来の機械的特性により形状が元に復帰する。これにより、圧力媒体の静水圧加圧が損なわれることはない。可撓性チューブの例を特許文献4に示す。具体的な製品例としては、トヨックス工業製のハイブリッドトヨシリコーンホースHTSI(耐熱温度130°C、内径12.7~38.1mm、主材質: シリコーンゴム、補強材: ポリエステル糸・耐熱特殊樹脂)等である。
上記では機能や構造を説明するために、周+2軸加圧式として帽子状の加圧ゴム型に相当する下部成形型に、工夫を施した上部成形型を遠隔操作で位置決めし、皺入りなくぴったりと密着させ、気泡やボイドなく圧力媒体を充填する方法を示した。一方、現状、産業界で多用されているのは周加圧式として円筒状の加圧ゴム型を使用した乾式CIP装置である。乾式CIP装置の多くは下蓋を取外し、下方に処理品を取り出している。
本発明でも下方に処理品を取り出す構成の処理装置とすることは可能である。すなわち、上記の下部成形型と上部成形型を鉛直方向に180°入れ替えた構成とし、被処理物の収納と製品の取り出しを下蓋に固定した成形型により行うことができる。または、帽子状の加圧ゴム型に相当する下部成形型ではなく、円筒状の加圧ゴム型を使用して下蓋には単純に円筒形の成形型を固定し、製品の取り出し時のみに開閉することで、本発明の構成で下方に処理品を取り出すことができる。なお、この場合は被処理物の収納は上蓋に固定した成形型を利用するので下蓋に固定した成形型には上述した工夫は必要ない。
1.高圧容器
2.蓋
3.被処理物
4.下部成形型
5.上部成形型取付け治具
6.圧力媒体
7.上部成形型
8.間隙密閉治具
9.上部圧媒パイプ
10.下部圧媒パイプ
11.真空ポンプ
12.大気開放管
13.貫通伸縮チューブ
14.圧媒大気開放管
15.重力式圧力媒体調整槽
16.加圧機構
17.上部圧媒バルブ
18.下部圧媒バルブ
19.真空ポンプバルブ
20.大気開放バルブ
21.圧媒調整槽バルブ
22.圧媒大気開放バルブ
小泉光恵、西原正夫編著「等方加圧技術」日刊工業新聞社、1988年4月13日、p.33-65
伸びの大きい天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ネオプレン、ウレタンゴム等を選定する。また、被処理物の形状に突起がある場合は、引張強さが大きい天然ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム等を選定する。
また、これらの伸縮材料をテーパ状のガイド機構のある上部成形型と下部成形型に使用するため、これらの成形型の表面粗度は滑らかである方がより良い。表面粗度を滑らかにするには、上記の製造法のうち、金型成形となる射出成形やホットプレス成型が好ましい。
さらに、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム(バイトン)等の潤滑性の良い材料を使用するのが良い。成形型の表面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のゴム用潤滑被膜を利用しても良い。

Claims (9)

  1. 高圧容器内に被処理物を収納して液体状の流体である圧力媒体により静水圧加圧する処理装置であって、
    高圧容器内に下部と上部で勘合する一対の伸縮性材料の成形型があり、
    上部成形型は高圧容器の蓋の下面に固定して取付けられた円柱状の容器であって、
    上部成形型には圧力媒体の注入配管と圧力媒体を回収する容器への配管が接続されており、
    下部成形型は凹部に被処理物を収納した上方に開口部がある底付き中空円筒形状であって、高圧容器の本体の内壁に固定して取付けられており、
    高圧容器の本体には圧力媒体の注入配管が接続されており、
    下部成形型は凹部に被処理物を収納した後に、
    高圧容器の蓋締めの際に上部成形型の下部のテーパ状のガイド機構により遠隔操作で上部成形型を下部成形型中に挿入しながら蓋を下降させる第1の工程と、
    蓋と本体を密着する直前に上部成形型と下部成形型の間の空間の大気を真空吸引することにより両方の成形型を密着させる第2の工程と、
    蓋と本体を密着する際に上部成形型内に予め満した圧力媒体を絞り出すことで鉛直方法の上方に設置した容器で回収する第3の工程と、
    蓋を締結後に上部成形型の内面全面と下部成形型の外面全面を液絡している同じ圧力媒体で同時に静水圧加圧する第4の工程により、
    被処理物を圧力媒体に非接触な状態で、均等な圧力で静水圧加圧できることを特徴とする処理装置。
  2. 請求項1に記載の処理装置において、前記上部成形型の高さ方向の中心位置より下部のみにJIS規格の7/24テーパの構造に基づくテーパ状のガイド機構を設けた処理装置。
  3. 前記処理装置において、前記上部成形型の下端部のテーパ状の前記ガイド機構による片面の切り欠きの幅の寸法が5.3センチメートル以下である処理装置。
  4. 前記処理装置において、前記上部成形型の下部のテーパ状の前記ガイド機構の設置により減少した圧力媒体の容積を補償するために、はめ合いの必要長から延長する上部成形型の高さが1センチメートル以上で6センチメートル以下である処理装置。
  5. 前記処理装置において、前記高圧容器の蓋の下面に取付けた前記上部成形型の形状は、中空円筒型、縦割り状の2分割型、同・3分割型、または、同・4分割型である処理装置。
  6. 前記処理装置において、前記成形型の伸縮性材料は、天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ネオプレン、または、ウレタンゴムを用いた処理装置。
  7. 前記処理装置において、前記第1の工程から前記第2の工程に至る高圧容器の蓋を下降させる操作に並行して、真空吸引を行うことができる処理装置。
  8. 前記処理装置の前記第3の工程において、前記上部成形型の鉛直方法の高さよりも上方に設置した容器から前記圧力媒体を重力で供給することにより、前記上部成形型内部を残留空気なく前記圧力媒体で満たすことができる処理装置。
  9. 前記処理装置において、前記下部成形型は底付き中空円筒形状ではなく円筒状の加圧ゴム型とし、新たに下蓋に固定した円柱状の成形型を加えることにより、鉛直方法の下方に処理品の取り出しができる処理装置。
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