JP2774487B2 - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents

薄膜磁気ヘッド

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JP2774487B2 JP27295897A JP27295897A JP2774487B2 JP 2774487 B2 JP2774487 B2 JP 2774487B2 JP 27295897 A JP27295897 A JP 27295897A JP 27295897 A JP27295897 A JP 27295897A JP 2774487 B2 JP2774487 B2 JP 2774487B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面内記録再生用ま
たは垂直記録再生用の薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜磁気ヘッドとしては、面内記録再生
用と垂直記録再生用の2種類の方式のものが知られてい
る。図11は特開昭55ー84020号公報等により知
られた面内記録再生用薄膜磁気ヘッドの要部の斜視図、
図12は同じく要部の断面図である。1はセラミック構
造体でなる基体で、一般には、Al2O3・TiC等で構成され
た基体部分101の上にAl2O3等でなる保護膜102を
被着させてある。2は下部の磁性膜、3はアルミナ等で
なるギャップ膜、4は上部の磁性膜、5はコイル膜、6
はノボラック樹脂等の有機絶縁樹脂で構成された有機絶
縁膜、7、8は引出リード部、9は絶縁膜、10はアル
ミナ等の保護膜である。磁性膜2及び磁性膜4の先端部
はギャップ膜3を隔てて対向するポール部21、41と
なっており、このポール部21、41において読み書き
を行なう。
【0003】上述の薄膜磁気ヘッドは、IC製造プロセ
スと同様のフォトリソグラフィと称される高精度パター
ン形成技術によって製造される。次に、製造プロセスの
うち、コイル膜の製造プロセスについて、その1例を図
6及び図21を参照して説明する。
【0004】まず、図13、図21(a)に示すよう
に、基体1の上に形成された磁性膜2及びギャップ膜3
の上に、有機絶縁膜61を形成する。有機絶縁膜61
は、一般には、ノボラック系のポジタイプレジスト膜を
コーティングし、所定の温度及び時間的条件でソフトベ
ークを行なった後、露光、現像及び水洗の処理を施し、
続いて、熱処理をそれぞれ行なって形成する。
【0005】この有機絶縁膜61は、磁性膜2のポール
部21の周辺部を除き、磁性膜2及びギャップ膜3の全
体を覆うように形成する。ポール部21には、図12に
示したように、磁性膜4のポール部41がギャップ膜3
を介して対向するように形成される。また、ポール部2
1は磁気記録媒体と接触する読み書き部分となるから、
磁性膜4を持たない垂直記録再生用薄膜磁気ヘッドにお
いても、保護膜10で覆い、耐摩耗性を確保する必要が
ある。これらの理由から、ポール部21は有機絶縁膜6
1によって覆わない。
【0006】次に、図14、図21(b)に示すよう
に、有機絶縁膜61の表面にスパッタリングにより下地
導体膜501、502を積層形成する。一般に、下地導
体膜501は、約100〜200オングストロームの膜
厚を有するTi膜で構成され、下地導体膜502は約1
500オングストロームの膜厚を有するCu膜として形
成される。磁性膜2のポール部21及びその上に被着さ
れたギャップ膜3は、有機絶縁膜61によって覆われて
いないので、これらの上にも、下地導体膜501及び5
02が付着する。
【0007】次に、図15、図21(c)に示すよう
に、下地導体膜502の表面にポジレジスト膜62を塗
布し、所定の温度及び時間的条件でソフトベークを行な
う。
【0008】次に、図16に示すように、ポジレジスト
膜62の上にフォトマスク11を位置決めし、露光を行
なう。これにより、図17に示すように、フォトマスク
11のパターンと一致した均一な露光パターンが得られ
る。フォトマスク11のパターンは渦巻状である。
【0009】次に、図18に示すように、Cuメッキ膜
でなる導体膜503をレジスト膜62の除去された部分
621(図17参照)に付着させる。これにより、CU
メッキ膜によるコイル状パターンの導体膜503が形成
される。
【0010】次に、図19に示すように、レジスト膜6
2を除去した後、下地導体膜501、502のうち、導
体膜503の下にある部分を残して、他をイオンミリン
グで除去し、導体膜503によるコイルパターンに従っ
てパターン化する。これにより、図20、図21(d)
に示すように、有機絶縁膜61の上に、下地導体膜50
1、502及び導体膜503の積層でなるコイル膜5が
形成される。
【0011】この後、図13〜図20の工程を繰返すこ
とにより、図11及び図12に示した如く、有機絶縁膜
62、コイル膜5及び有機絶縁膜63を積層し、更に有
機絶縁膜63の表面に磁性膜4を形成し、その上から保
護膜10をスパッタリング等の手段によって付着させ
る。
【0012】上記実施例では、面内記録再生用の薄膜磁
気ヘッドの製造方法を示したが、垂直記録再生用の薄膜
磁気ヘッドの製造方法も同様の工程となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の薄膜磁気ヘッドでは、面内記録再生用及び垂直
記録再生用の別を問わず、図22に示す如く、磁性膜2
のポール部21の側面211、212及びその周辺に、
下地導体膜501、502を構成する金属成分(イ)が
付着し、付着した金属が酸化され、薄膜磁気ヘッドの特
性を劣化させ、品質及び信頼性を低下させるという問題
点があった。金属付着の原因としては、次の2つの理由
が考えられる。 (a)磁性膜2のポール部21は、コイル膜形成工程を
通して、有機絶縁膜61〜63によって覆われることな
く、外部に露出しているから、下地導体膜501、50
2が付着する。磁性膜2のポール部21の表面に付着し
た下地導体膜501、502は、イオンミリングでほぼ
除去できるが、側面211、212に付着した下地導体
膜501、502は、イオンミリングによるイオンの照
射方向とほぼ平行になり、ポール部21が影となり易い
めに、イオンミリングによって完全に除去することが困
難である。通常、磁性膜2はフレーム.メッキ法によっ
て形成されるので、その側面211、212は、図23
に示すように、向かって角度θで開くオバーハング状の
傾斜面となっており、イオンミリングに対するシャドウ
作用が強く出る。このため、側面211、212に付着
した下地導体膜501、502の金属成分(イ)が完全
に除去されずに残る。 (b)メッキ下地膜をイオンミリングで除去する際に、
磁性ポール21の周辺の下地金属膜がポール21の側面
に再付着される。
【0014】そこで、本発明の課題は、上述する従来の
問題点を解決し、磁性膜のポール部周辺に対する金属付
着をなくし、安定した磁気特性を有する高品質及び高信
頼度の薄膜磁気ヘッドを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述する課題を解決する
ため、本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、基体上に薄膜磁
気回路を有する。前記磁気回路は、磁性膜と、有機絶縁
膜と、コイル膜とを含む。前記磁性膜は、突出するポー
ル部を有して前記基体上に形成されている。前記有機絶
縁膜は、前記ポール部を除いて前記磁性膜を覆ってい
る。前記コイル膜は、前記有機絶縁膜によって支持され
ている。
【0016】前記有機絶縁膜によって覆われない前記ポ
ール部の側面と、前記基体の面とによって形成される角
部に絶縁充填膜が設けられている。前記絶縁充填膜は、
無機絶縁物でなり、前記ポール部側から前記基体側に向
かって下降傾斜する斜面を有し、前記コイル膜の下地導
体膜を構成する金属成分が前記ポール部周辺に付着する
のを防止するために用いられる。
【0017】有機絶縁膜によって覆われないポール部の
側面と、基体の面とによって形成される角部に絶縁充填
膜が設けられており、絶縁充填膜は、ポール部側から基
体側に向かって下降傾斜する斜面を有するので、下地導
体膜の不要部分をイオンミリングによって除去する際、
ポール部の側面において、絶縁充填膜の傾斜面に付着し
ている下地導体膜が、イオンミリングの際のイオン照射
方向と向き合うようになり、ポール部が影になることが
ない。すなわち、絶縁充填膜は、コイル膜の下地導体膜
を構成する金属成分がポール部周辺に付着するのを防止
するために用いられる。このため、磁性膜のポール部の
側面及びその周辺に、下地導体膜を構成する金属成分が
付着することがなくなる。更に、前記効果によりミリン
グ効率が高まるため、再付着膜も完全に除去される。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る薄膜磁気ヘッ
ドの要部における斜視図、図2は同じくポール部の拡大
斜視図である。図において、図11及び図12と同一の
参照符号は同一性ある構成部分を示している。12、1
3はアルミナ等で構成される絶縁充填膜である。これら
の絶縁充填膜12、13は、有機絶縁膜6によって覆わ
れないポール部21の側面211、212と、基体1の
面とによって形成される角部に、その段差を埋めるよう
に充填されている。絶縁充填膜12、13は、ポール部
21側から基体1側に向かって下降傾斜する斜面12
1、131を有する。斜面121、131の形状は、曲
面であってもよい。
【0019】上述のような絶縁充填膜12、13がある
と、下地導体膜の不要部分をイオンミリングによって除
去する際に、ポール部21が影になることがない。イオ
ンミリングの際のAr+イオンは、ポール部21の側部
に位置する斜面121、131上にある下地導体膜に直
接に作用するようになる。すなわち、絶縁充填膜12、
13は、コイル膜5の下地導体膜を構成する金属成分が
ポール部周辺に付着するのを防止するために用いられ
る。このため、ポール部21の側面及びその周辺に、下
地導体膜を構成する金属成分が付着することがなくな
る。次に、一般的な製造プロセスを参照して、更に具体
的に説明する。
【0020】図3〜図10は本発明に係る薄膜磁気ヘッ
ドの製造工程を示す図である。図において、図6及び図
21と同一の参照符号は同一性ある構成部分を示してい
る。
【0021】まず、図3に示すように、基体1の上に形
成された磁性膜2及びギャップ膜3の上に、有機絶縁膜
61を形成すると共に、有機絶縁膜61によって覆われ
ていないポール部21の端部側において、側面211、
212と基体1の面とによって形成される角部に、その
段差を埋めるように、絶縁充填膜12、13を充填して
おく。絶縁充填膜12、13は上述したようにアルミナ
等である。
【0022】次に、図4に示すように、有機絶縁膜61
の表面にスパッタリングにより下地導体膜501、50
2を積層形成する。ポール部21を覆っているギャップ
膜3及び絶縁充填膜12、13は、有機絶縁膜61によ
って覆われていないので、これらの上にも、下地導体膜
501及び502が付着する。
【0023】次に、図5に示すように、下地導体膜50
2の表面にポジレジスト膜62を塗布し、所定の温度及
び時間的条件でソフトベークを行なった後、図6に示す
ように、ポジレジスト膜62の上にコイルパターンを有
するフォトマスク11を位置決めし、露光、現像を行な
う。これにより、図7に示すように、フォトマスク11
のパターンに従ってレジスト膜62の除去された部分6
21が得られる。
【0024】次に、図8に示すように、Cuメッキ膜で
なる導体膜503を、レジスト膜62の除去された部分
621に付着させる。これにより、CUメッキ膜による
コイル状パターンの導体膜503が形成される。
【0025】次に、図9に示すように、レジスト膜62
を除去した後、下地導体膜501、502を、導体膜5
03の下にある部分を残して、他をイオンミリングで除
去し、導体膜503によるコイルパターンに従ってパタ
ーン化する。このとき、絶縁充填膜12、13の傾斜面
121、131上にある下地導体膜501、502に
も、Ar+イオンが充分に照射される。このため、図1
0に示すように、ポール部21の側面及びその周辺に、
下地導体膜501、502を構成する金属成分を残留付
着させることなく、有機絶縁膜61の上に、下地導体膜
501、502及び導体膜503の積層でなるコイル膜
5を形成できる。Al23等でなる絶縁充填膜12、1
3は、除去せずにそのまま残しておく。
【0026】この後、図3〜図10の工程を繰返すこと
により、図11及び図12に示した如く、有機絶縁膜6
2、コイル膜5及び有機絶縁膜63を積層し、更に有機
絶縁膜63の表面に磁性膜4を形成し、その上から保護
膜10をスパッタリング等の手段によって付着させる。
保護膜10が絶縁充填膜12、13と同一の材料、例え
ばアルミナ等で構成された場合でも、両者間の接触界面
には、光学的手段等によって識別可能な境界が生じる。
これは、同一の材料を用いた場合でも、両者が異なるプ
ロセスを経るため、両者間で組成が異なり、屈折率が変
化する等の現象を伴うからと推測される。
【0027】実施例では、面内記録再生用の薄膜磁気ヘ
ッドを例にとって説明したが、垂直記録再生用の薄膜磁
気ヘッドにも同様に適用できる。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ポ
ール部周辺に対する金属付着をなくし、安定した磁気特
性を有する高品質及び高信頼度の薄膜磁気ヘッドを提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの磁気変換素子部
分の斜視図である。
【図2】図1に示した磁気ヘッドのポール部の拡大斜視
図である。
【図3】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法におけ
る工程を示す図である。
【図4】図3に示した工程の後の工程を示す図である。
【図5】図4に示した工程の後の工程を示す図である。
【図6】図5に示した工程の後の工程を示す図である。
【図7】図6に示した工程の後の工程を示す図である。
【図8】図7に示した工程の後の工程を示す図である。
【図9】図8に示した工程の後の工程を示す図である。
【図10】図9に示した工程の後の工程を示す図であ
る。
【図11】従来の薄膜磁気ヘッドの磁気変換素子部分の
斜視図である。
【図12】図11に示した薄膜磁気ヘッドの断面図であ
る。
【図13】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法における工
程を示す図である。
【図14】図13に示した工程の後の工程を示す図であ
る。
【図15】図14に示した工程の後の工程を示す図であ
る。
【図16】図15に示した工程の後の工程を示す図であ
る。
【図17】図16に示した工程の後の工程を示す図であ
る。
【図18】図17に示した工程の後の工程を示す図であ
る。
【図19】図18に示した工程の後の工程を示す図であ
る。
【図20】図19に示した工程の後の工程を示す図であ
る。
【図21】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法における工
程を示す図である。
【図22】従来の問題点を説明する図である。
【図23】従来の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
1 基体 2 磁性膜 21 ポール部 3 ギャップ膜 5 コイル 501、502 下地導体膜 503 導体膜 6、61〜63 有機絶縁膜 12、13 絶縁充填膜

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に薄膜磁気回路を設けた薄膜磁気
    ヘッドであって、 前記磁気回路は、磁性膜と、有機絶縁膜と、コイル膜と
    を含み、 前記磁性膜は、突出するポール部を有して前記基体上に
    形成されており、 前記有機絶縁膜は、前記ポール部を除いて前記磁性膜を
    覆っており、 前記コイル膜は、前記有機絶縁膜によって支持されてお
    り、 前記有機絶縁膜によって覆われない前記ポール部の側面
    と、前記基体の面とによって形成される角部に、絶縁充
    填膜が設けられており、 前記絶縁充填膜は、無機絶縁物でなり、前記ポール部側
    から前記基体側に向かって下降傾斜する斜面を有し、前
    記コイル膜の下地導体膜を構成する金属成分が前記ポー
    ル部周辺に付着するのを防止するために用いられる薄膜
    磁気ヘッド。
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