JP2771674B2 - 軟磁性合金膜 - Google Patents

軟磁性合金膜

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JP2771674B2 JP2116256A JP11625690A JP2771674B2 JP 2771674 B2 JP2771674 B2 JP 2771674B2 JP 2116256 A JP2116256 A JP 2116256A JP 11625690 A JP11625690 A JP 11625690A JP 2771674 B2 JP2771674 B2 JP 2771674B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、磁気ヘッド等に適した軟磁性合金膜に関
する。
「従来の技術」 磁気記録の分野においては、記録密度を高めるために
磁気テープ等の記録媒体の高保磁力化が推進されている
が、それに対応する磁気ヘッド用の軟磁性薄膜材料とし
て飽和磁束密度(Bs)の高いものが要求されている。
従来の軟磁性材料(膜)としては、Ni−Fe(パーマロ
イ)及びCo基の非晶質膜等がある。
また最近、Feを主成分とする微細結晶よりなる合金膜
(Fe−N,Fe−C等)において、Feの結晶磁気異方性の軟
磁性に対する悪影響を結晶を微細化することにより軽減
して、高飽和磁束密度でかつ軟磁気特性の優れた膜を得
た例がある。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、磁気ヘッドを組み込んだ装置は小型化、軽
量化する傾向があり、移動に伴う振動にさらされたり、
悪環境のもとで使用されたりすることが多くなってい
る。そこで、磁気ヘッドには、磁気特性が優秀であって
磁気テープに対する耐摩耗性が優れていることはもちろ
ん、湿度や腐食性の雰囲気中での耐用性、すなわち耐環
境性や、耐振動性等が高いことが要求されている。その
ため、ギャップ形成やケースへの組み込み等をガラス溶
着で行うことが必要となり、磁気ヘッドの素材はヘッド
の製造工程におけるガラス溶着工程の高温に耐えうる熱
安定性も合わせて要求されてきている。
しかしながら、前記従来の軟磁性合金膜において、Ni
−Fe膜からなるものは、ガラス溶着工程での高温は、軟
磁気特性が劣化してしまうとともに、電気抵抗が低いと
いう欠点がある。
また、Co基の非晶質膜では、13000G以上の高い飽和磁
束密度のものも得られているが、従来のアモルファス合
金の飽和磁束密度を高くしようすると、アモルファス形
成元素であるTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W等の添加量を少なく
する必要があるが、添加量を少なくすると、アモルファ
ス構造の安定性が低下し、ガラス溶着に必要な温度(約
500℃以上)には耐ええない問題がある。飽和磁束密度
を約9000G以下に抑えれば、低融点ガラスによる溶着は
可能であるが、600℃以上での溶着は困難であり、耐環
境性に優れた中〜高融点ガラスを使用できない。
さらに、上述したFeを主成分とする微細結晶からなる
合金膜(Fe−N,Fe−C等)は、高温では結晶成長を起こ
して軟磁性が劣化する(Fe−Cの場合で400℃が最高)
ため、やはりガラス溶着に適したものとはいいがたい。
このような背景から本願発明者らは、特願平1−2782
20号などにおいて、前記の問題を解決した軟磁性合金膜
を特許出願している。また、平成2年3月14日付で行っ
た特許出願において前記の問題を解決した軟磁性合金膜
の特許出願をしている。
特願平1−278220号明細書において特許出願している
軟磁性合金膜の1つは、組成式が、Fe a M c C d
で示され、組成比aは原子%で50〜96、cは2〜30、d
は0.5〜25、a+c+d=100なる関係を満足するもので
あった。
また、他の1つは、組成式がFe a T b M c C
dで示され、組成比aは原子%で50〜96、bは0.1〜1
0、cは2〜30、dは0.5〜25、a+b+c+d=100な
る関係を満足するものであった。
さらに、平成2年3月14日付けで特許出願している軟
磁性合金膜の1つは、組成式が、Fe a Cr c M d C
eで示され、組成比aは原子%で50〜95、cは0.5〜2
0、dは2〜25、eは0.5〜25、a+c+d+e=100な
る関係を満足するものであった。
さらにまた、他の1つは、組成式が、Fe a Tb Cr c
M d C eで示され、組成比aは原子%で50〜95、
bは0.1〜10、cは0.5〜20、dは2〜25、eは0.5〜2
5、a+b+c+d+e=100なる関係を満足するもので
あった。
これらの特許出願で提供した軟磁性合金膜は、一部組
成のものは15000G以上の高い飽和磁束密度を有し、従来
の各種材料に比較すると高い熱安定性とを備え、通常の
使用環境下では十分な耐食性と耐環境性を有している
が、可能な熱処理温度は700℃程度が上限であり、これ
以上の温度では軟磁性が劣化してくる。通常の磁気ヘッ
ドであれば700℃以下でガラス溶着は可能であるが、複
雑な構造のヘッド、例えば、消去ヘッドと録再ヘッドが
一体化した構造のヘッドでは、消去ヘッドと録再ヘッド
各々のギャップ形成をガラス溶着で行い、引き続き両者
のヘッドの合体(組み合わせ)をギャップ接合ガラスが
溶融しない温度でガラス溶着する必要があり、ギャップ
接合ガラスに高融点のものを使用する必要がある。この
ため、最初のギャップ形成を700℃以上の高温で行うこ
とが望ましい。従って、さらに耐熱性の高い軟磁性薄膜
が要求されている。
また、前記特願平1−278220号において出願されてい
る軟磁性合金膜においては、電気抵抗が従来の非晶質膜
の半分程度と低く、これにより、高周波での透磁率が渦
電流損失により、低下させられるという問題があった。
さらにまた、Feを主成分とするために、悪環境下で使用
された場合に変色あるいは発錆を招くおそれがあった。
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、
透磁率が高く、その特性が熱的に安定であるとともに、
良好な耐食性を有する軟磁性合金膜を提供することをこ
とを目的とするものである。
「課題を解決するための手段」 請求項1に記載した本発明は前記課題を解決するため
に、組成式がFe a X c M e C fで示され、XはA
l,Siのうち、少なくとも一種からなる元素またはその混
合物であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち少なく
とも一種からなる金属元素またはその混合物であり、組
成比a,c,e,fは原子%で、50≦a≦95、8<c≦25、2
≦e≦25、0.5≦f≦25、a+c+e+f=100なる関係
を満足させるとともに、その組織が基本的に平均結晶粒
径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部に
元素Mの炭化物の結晶相を含むものである。
請求項2に記載した発明は前記課題を解決するため
に、組成式がFe a X c Cr d M e C fで示さ
れ、XはAl,Siのうち、少なくとも一種からなる元素ま
たはその混合物であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wの
うち少なくとも一種からなる金属元素またはその混合物
であり、組成比a,c,d,e,fは原子%で、50≦a≦95、0.2
≦c≦25、0.1≦d≦20、2≦e≦25、0.5≦f≦25、a
+c+d+e+f=100なる関係を満足させるととも
に、その組織が基本的に平均結晶粒径が0.08μm以下の
微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結
晶相を含むものである。
請求項3に記載した発明は前記課題を解決するため
に、組成式がFe a T b X c M e C fで示さ
れ、TはCo,Niのうち、少なくとも一種からなる金属元
素またはその混合物であり、XはAl,Siのうち、少なく
とも一種からなる元素またはその混合物であり、MはT
i,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち少なくとも一種からなる金
属元素またはその混合物であり、組成比a,b,c,e,fは原
子%で、50≦a≦95、0.1≦b≦10、0.2≦c≦25、2≦
e≦25、0.5≦f≦25、a+b+c+e+f=100なる関
係を満足させるとともに、その組織が基本的に平均結晶
粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、その一部
に元素Mの炭化物の結晶相を含むものである。
請求項4に記載した発明は前記課題を解決するため
に、組成式がFe a T b X c Cr d M e C fで
示され、TはCo,Niのうち、少なくとも一種からなる金
属元素またはその混合物であり、XはAl,Siのうち、少
なくとも一種からなる元素またはその混合物であり、M
はTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち少なくとも一種からな
る金属元素またはその混合物であり、組成比a,b,c,d,e,
fは原子%で、50≦a≦95、0.1≦b≦10、0.2≦c≦2
5、0.1≦d≦20、2≦e≦25、0.5≦f≦25、a+b+
c+d+e+f=100なる関係を満足させるとともに、
その組織が基本的に平均結晶粒径が0.08μm以下の微細
な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶相
を含むものである。
請求項5に記載した発明は前記課題を解決するため
に、請求項1ないし4に記載の組織が平均結晶粒径0.08
μm以下の微細な結晶粒と非晶質との混在した組織であ
って、微細結晶粒の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含
むものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
前記合金膜の生成方法としては、合金膜をスパッタ、
蒸着等の薄膜形成装置により作製する。スパッタ装置と
しては、RF2極スパッタ、DCスパッタ、マグネトロンス
パッタ、3極スパッタ、イオンビームスパッタ、対向タ
ーゲット式スパッタ、等の既存のものを使用することが
できる。
また、Cを膜中に添加する方法としては、ターゲット
板上にグラファイトのペレットを配置して複合ターゲッ
トとし、これをスパッタする方法、あるいは、Cを含ま
ないターゲット(Fe−X−M系、Fe−X−Cr−M系、Fe
−T−X−M系あるいはFe−T−X−Cr−M系)を用
い、Ar等の不活性ガス中にメタン(CH4)等の炭化水素
ガスを混合したガス雰囲気中でスパッタする反応性スパ
ッタ法等を用いることでき、特に反応性スパッタ法では
膜中のC濃度の制御が容易であるので所望のC濃度の優
れた膜を得ることができる。
このようにして作製したままの膜は非晶質相をかなり
の割合で含んだものであり、飽和磁束密度が低く、軟磁
気特性も不十分であるので、400℃以上の熱処理を施す
ことにより微結晶を析出させる。この熱処理は無磁場中
で行っても良好な軟磁気特性が得られるが、静磁場中あ
るいは回転磁場中で行うことにより、優れた磁気特性が
得られる。また、この熱処理は磁気ヘッドの製造工程に
おけるガラス溶着工程と兼ねて行うことができる。
なお、前記微結晶の析出工程は、完全に行なわれる必
要はなく、微結晶が相当数(好ましくは50%以上)析出
していれば良いので、アモルファス成分が一部残留して
いても差し支えなく、残留したアモルファス成分が特性
向上の障害となることはない。
以下、前記のように成分を限定した理由について述べ
る。
Feは主成分であり、磁性を担う元素である。少なくと
もフェライト(Bs 5000G)以上の飽和磁束密度を得る
ためには、a≧50at%が必要である。また、良好な軟磁
気特性を得るためには、a≦95at%でなければならな
い。
元素T(即ちCo,Ni)は、磁歪の調整の目的で添加す
る元素である。元素Tの添加がない膜では、熱処理温度
が低い場合、もしくは、Siの添加量が少ない場合には磁
束が正の値となり、逆に熱処理温度が高い場合、もしく
は、Siの添加量が多い場合には磁歪が負の値となる。磁
歪が零になる熱処理温度は元素MやCの濃度にも依存す
る。しかし、Siの添加量を多くして、熱処理温度を高く
する必要(ガラス溶着温度)がある場合には、磁歪が負
になるので、磁歪を正にする効果のある元素T(即ちC
o,Ni)を添加することにより、磁歪を零に調節すること
ができる。なお、熱処理温度やSiの添加量が適当な場合
には、元素Tの添加は特に必要ではない。ただし、元素
Tの添加量は正の磁歪が+10-5台以上まで大きくならな
いようにb≦10at%としなくてはならない。
元素M(即ちTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,W)は軟磁気特性を良
好にするために必要であり、また、Cと結合して炭化物
の微細結晶を形成する。この炭化物の微粒子がFeを主成
分とする結晶の成長を妨げるはたらきをして、高い耐熱
性が得られる。
良好な軟磁気特性を維持するためには、e≧2at%と
する必要がある。しかしながら、多すぎると飽和磁束密
度が低下し、また軟磁気特性の低下を招くので、e≧25
at%とする必要がある。
Cは軟磁気特性を良好にするために、及び、耐熱性を
向上させるために必要であり、また、Cは元素Mと結合
して炭化物の微細結晶を形成する。良好な軟磁気特性、
及び、熱安定性を維持するためには、f≧0.5at%とす
る必要がある。しかしながら、多すぎると飽和磁束密度
の低下、及び、軟磁気特性の低下を招くので、f≦25at
%とする必要がある。
以上説明のFeと元素Tと元素MとCの成分限定理由は
特願平1−278220号の場合とほぼ同様である。
元素X(即ちAl,Si)はFeを主成分とする微細結晶が
もつ結晶磁気異方性エネルギーを低下させて、結晶の大
きさがある程度成長しても軟磁気特性を保つはたらきを
するため、耐熱性を向上させることができる。
さらに、電気抵抗を高くして、渦電流損失による高周
波透磁率の低下を改善するはたらきもある。
上記の効果を発揮するためには、少なくともc≧0.2a
t%とする必要がある。しかしながら、元素Xの含有量
を多くしすぎると飽和磁束密度が低下するので、c≦25
at%とする必要がある。また、軟磁性合金膜が組成式Fe
aXcMeCfで示され、しかも組成比a,e,fは原子%で50≦a
≦95、2≦e≦25、0.5≦f≦25の範囲としたときの、
組成比cは8<c≦25とされる。
Crは耐食性、耐環境性を改善するために添加する元素
である。Crの添加なしでも実用上は十分な耐食性、耐環
境性を得られるが、より厳しい環境下での使用のために
もCrの添加により耐食性や耐環境性を改善することがで
きる。Crの含有量は耐食性や耐環境性を向上させるため
には、d≧0.1at%しなければならない。しかしなが
ら、Crの含有量が多すぎると、飽和磁束密度が低くなり
すぎる(フェライト以下になる)ので、d≦20at%とす
る必要がある。
元素Mの炭化物の微細結晶は膜中に均一に分散させる
ことにより、Feの微結晶が熱処理により成長し、粗大化
して軟磁性を損なうことを防止するはたらきがある。つ
まり、Feの結晶粒が成長して大きくなると結晶磁気異方
性の悪影響が大きくなり、軟磁気特性が悪化するが、元
素Mの炭化物の微結晶がFeの粒成長の障壁としてはたら
くことにより軟磁気特性の悪化を防止する。
本発明では、元素X(即ちAl,Si)の添加により、Fe
を主成分とする結晶個々の結晶磁気異方性エネルギーが
低下しており、高温の熱処理によって、ある程度結晶が
大きくなっても軟磁気特性が維持できるという特徴を有
する。
さらに、金属組織が基本的に0.08μm以下の微結晶か
らなっているために、非晶質に比べて熱的安定性に優れ
ており、添加元素を少なくでき、飽和磁束密度を高くす
ることができる。
「作用」 上記軟磁性合金膜においては、その組織がFeに富む結
晶を主体とし、飽和磁束密度を低下させる成分の添加が
制限されているから、非晶質状態に比べ鉄原子1個あた
りの磁気モーメント及びキュリー温度が高くなってお
り、高い飽和磁束密度が得られる。また、元素M及びC
が含まれているとともに、金属組織が微細な結晶粒から
なっており、結晶磁気異方性による軟磁性への悪影響が
軽減されるので、良好な軟磁気特性が得られる。さら
に、元素Mの炭化物が析出してFeを主成分とする結晶粒
の成長を抑えるので、ガラス溶着工程において加熱され
ても、結晶粒が粗大化することがない。さらにまた、Cr
を特定量添加しているので耐食性が向上し、耐環境性に
優れる。
また、元素X(Al,Si)の添加により、電気抵抗が高
くなり、高周波での渦電流損失が低減され、高周波透磁
率が高くなる。
「実施例」 (1)成膜 RF2極スパッタ装置を用いて、後記の第1表に示す組
成の合金膜を形成した。
使用したターゲットは、Feターゲット上にSi,Al,Co,T
a,グラファイト等の各種ペレットを適宜配置して構成し
た複合ターゲットを用い、Arガス雰囲気中でスパッタを
行って、膜厚5〜6μmの薄膜を形成した。
(2)熱処理 成膜後、無磁場中において650℃で20分間保持するア
ニールを行った。
(3)測定 前記のように製造された合金膜と、スパッタにより成
膜した元素Xを含有しない合金膜(特願平1−278220号
において特許出願している発明に係る合金膜)につい
て、無磁場アニール後における飽和磁束密度(Bs)、初
透磁率(μ、at1MHz)、保磁力(Hc)、磁歪定数(λ)
と比抵抗(ρ、μΩ・cm)の測定を行った、以上の結果
を第1表に示す。
第1表で試料1の比較例aは本発明者らが先に特許出
願しているものである。本発明に係る合金膜(b〜k)
はいずれもaよりも比抵抗(電気抵抗)が高くなってお
り、磁気特性(飽和磁束密度,初透磁率,保磁力,磁歪
定数)もaと同様ないしはそれ以上の値が得られてい
る。
前記と同様な方法で作成した合金膜の軟磁気特性の熱
安定性(耐熱性)を特願平1−278220号にて出願済の合
金膜と比較して第2表に示す。
第2表より比較例にあげた合金膜よりも本発明の合金
膜の方が高い熱安定性を示すことがわかる。また、750
℃で熱処理をした比抵抗は比較例の比抵抗に比べて約3
倍の高い値を示した。
「発明の効果」 以上説明したように本発明は、Feを主成分とする微細
な結晶粒から主になる軟磁性合金膜であり、飽和磁束密
度を低下させる成分の添加が制限されているので、高い
飽和磁束密度が得られる。このことにより、高い記録特
性を有する磁気ヘッドを提供できる。
さらに、従来のアモルファス合金膜とは異なり、無磁
場中で熱処理を行っても高い透磁率を発揮する膜を得る
ことができ、磁気ヘッド製造時のガラス溶着等の工程を
磁場をかけて熱処理する場合よりも簡略化をなしえる。
また、元素M(Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W)及びCとい
う軟磁性を良好とする成分が添加されるとともに、金属
組織が微細な結晶粒からなり、結晶磁気異方性による軟
磁性への悪影響が軽減されるので、良好な軟磁気特性が
得られる。
さらに、微細な結晶粒からなるとともに、添加された
元素MがCと炭化物を形成し、その炭化物が膜中に均一
に分散されていることにより、Feを主成分とする微結晶
が熱処理により成長することを防ぐ働きがある。すなわ
ち、結晶の成長に伴って結晶磁気異方性の悪影響が大き
くなることによる軟磁性の劣化を防ぐ働きがある。
また、上記組成に加えて、元素X(Al,Si)が添加さ
れていることにより、Feを主成分とする結晶個々の結晶
磁気異方性エネルギーが低下して、ある程度結晶が大き
くなっても、軟磁性を維持でき、高温での熱処理に耐え
うる。このことにより、溶着ガラスとして信頼性の高い
中〜高融点ガラスを用いることができるとともに、多段
階のガラス溶着を必要とする複雑な構造の磁気ヘッドの
加工プロセスにおける熱履歴にも耐えることができる。
さらに、SiやAlが添加されていることにより、電気抵
抗が高くなり、高周波での渦電流損失が低減され、高周
波での透磁率を高めることができる。
またさらに、元素T(CO,Ni)を加えることにより、
磁歪を調整し、磁気ヘッド製造工程で生じる種々の歪に
よる軟磁気特性の劣化を防ぐことができるものである。
また、前記成分にCrを特定量添加することにより、Fe
基の合金としては耐食性に優れ、悪環境下にあっても変
色や発錆を生じない特徴がある。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組成式がFe a X c M e C fで示され、
    XはAl,Siのうち、少なくとも一種からなる元素または
    その混合物であり、MはTi.Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち
    少なくとも一種からなる金属元素またはその混合物であ
    り、組成比a,c,e,fは原子%で 50≦a≦95 8<c≦25 2≦e≦25 0.5≦f≦25 a+c+e+f=100 なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
    均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
    の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
    る軟磁性合金膜。
  2. 【請求項2】組成式がFe a X c Cr d M e C fで示
    され、XはAl,Siのうち、少なくとも一種からなる元素
    またはその混合物であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W
    のうち少なくとも一種からなる金属元素またはその混合
    物であり、組成比a,c,d,e,fは原子%で 50≦a≦95 0.2≦c≦25 0.1≦d≦20 2≦e≦25 0.5≦f≦25 a+c+d+e+f=100 なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
    均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
    の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
    る軟磁性合金膜。
  3. 【請求項3】組成式がFe a T b X c M e C fで示
    され、TはCo,Niのうち、少なくとも一種からなる金属
    元素またはその混合物であり、XはAl,Siのうち、少な
    くとも一種からなる元素またはその混合物であり、Mは
    Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち少なくとも一種からなる
    金属元素またはその混合物であり、組成比a,b,c,e,fは
    原子%で、 50≦a≦95 0.1≦b≦10 0.2≦c≦25 2≦e≦25 0.5≦f≦25 a+b+c+e+f=100 なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
    均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
    の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
    る軟磁性合金膜。
  4. 【請求項4】組成式がFe a T b X c Cr d M e
    C fで示され、TはCo,Niのうち、少なくとも一種か
    らなる金属元素またはその混合物であり、XはAl,Siの
    うち、少なくとも一種からなる元素またはその混合物で
    あり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち少なくとも一
    種からなる金属元素またはその混合物であり、組成比a,
    b,c,d,e,fは原子%で 50≦a≦95 0.1≦b≦10 0.2≦c≦25 0.1≦d≦20 2≦e≦25 0.5≦f≦25 a+b+c+d+e+f=100 なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
    均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
    の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
    る軟磁性合金膜。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4に記載の組織が平均結晶
    粒径0.08μm以下の微細な結晶粒と非晶質との混在した
    組織であって、微細結晶粒の一部に元素Mの炭化物の結
    晶相を含むことを特徴とする軟磁性合金膜。
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