JP2757586B2 - 軟磁性薄膜 - Google Patents

軟磁性薄膜

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気録画再生装置(V
TR)、磁気録音再生装置等の磁気記録再生装置におけ
る磁気ヘッド等に用いられる軟磁性薄膜に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年の磁気記録分野における高密度記録
化の要求に対して、高保磁力媒体に対応した高性能磁気
ヘッドの開発が進められている。磁気ヘッドの特性は、
それに使用するコア材料の材料特性に密接に関連してお
り、高密度記録を達成するためには、磁気ヘッドのコア
材料の特性として、高い飽和磁束密度(主に記録特性に
影響)と高透磁率(主に再生特性に影響)が要求されて
いる。
【0003】このような要求に対して、従来のパーマロ
イ、センダスト、Co基非晶質合金では、飽和磁束密度
は約1T前後と低く、更に、高密度記録を実現するため
には、これら従来の材料では飽和磁束密度に限界があ
る。
【0004】そこで、高い飽和磁束密度と高透磁率を有
する軟磁性薄膜の研究開発が盛んに行なわれている。そ
の一つとして、Fe−N膜が研究されている。しかし、
このFe−N膜は350℃以上の熱処理で軟磁気特性が
急激に劣化し、軟磁気特性の熱的安定性に問題があるこ
とが知られている。そこで、このFe−N膜の熱安定性
の向上を図る試みとして、Fe−M−N膜(ただし、M
はZr、Hf、Ti、Nb、Ta、V、Mo、Wの少な
くとも1種以上の元素)が研究されている(特開平2−
275605号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このFe−
M−N膜においても、約550℃以上の熱処理で軟磁気
特性が急激に劣化し、軟磁気特性の熱的安定性に課題が
あった。このため、磁気ヘッドを形成する際に高温でガ
ラス接合が出来ず、接合強度が充分で、かつ耐摩耗特性
に優れた高温熱処理を必要とするガラスを用いることが
困難であり、磁気ヘッドの信頼性に課題を生じる。ま
た、前記Fe−M−N膜は薄膜磁歪が比較的大きくて
も、α−Fe主成分の微結晶から成るため、見掛け上結
晶磁気異方性が低下するため、良好な軟磁気特性が得ら
れるが、磁歪の大きな材料では、磁気ヘッド加工プロセ
スに於けるギャップ形成時等の外部応力による逆磁歪効
果により、磁気ヘッドの再生出力が劣化するという課題
が生じる。
【0006】また、パーマロイ、センダスト、Co基非
晶質合金等の金属軟磁性薄膜をコア材料に用いた磁気ヘ
ッドが、磁気記録媒体との相対速度の速い高品位VTR
等の磁気ヘッドとして供され、かつこのVTRに、磁気
ヘッドに対して研削性の強い磁気記録媒体が使用される
場合、前記軟磁性薄膜の摩耗、焼き付き現象により、磁
気ヘッドの再生出力が低下し、磁気ヘッドの信頼性に課
題を生じる。
【0007】本発明は、上述の問題点を解決するために
なされたものであり、高飽和磁束密度と高温熱処理に対
して優れた軟磁気特性(低い保磁力、高い透磁率)、低
い磁歪を有すると共に、信頼性に優れた高性能な軟磁性
薄膜を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、高飽和磁束密
度と高温熱処理に対して、低磁歪の優れた軟磁気特性
(低い保磁力、高い透磁率)を有すると共に、磁気記録
媒体を摺動させた時の摩耗、焼き付き現象を抑制し、信
頼性に優れた高性能な軟磁性薄膜を開発するためになさ
れたものである。Feを主成分とし、B、Nを含むと共
に、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの少なくとも1種以
上の元素を含む系の薄膜について鋭意研究を行なったと
ころ、特定の組成範囲にあるとき、高飽和磁束密度と高
温熱処理に対して低磁歪で優れた軟磁気特性を呈すると
いう事実を見いだし(請求項1)の発明に至った。
【0009】特に、Feを主成分とし、B、Nを含むと
共に、Taを含む系の薄膜は、特定の組成範囲におい
て、高飽和磁束密度と高温熱処理に対して、低磁歪で、
更に優れた軟磁気特性を呈するという事実を見いだし
(請求項2)の発明に至った。
【0010】また(請求項3)に係る発明は、前記組成
範囲の軟磁性薄膜が、α−Feの微結晶とMの窒化物微
粒子(ただし、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの
少なくとも1種以上の元素)または、Mのホウ化物微粒
子、あるいはBN微粒子が混在した微細結晶組織から成
る複合材料であるときに、高飽和磁束密度と高温熱処理
に対して優れた軟磁気特性を示すと共に、高温潤滑剤で
あるBN微粒子が、膜中に均一に分散した組織を有する
ため、磁気記録媒体を摺動させた時の摩耗、焼き付き現
象を抑制する効果がある。
【0011】また(請求項1)〜(請求項3)のいずれ
かに記載のα−FeがM(ただし、Mは、Ta、Zr、
Hf、Nb、Tiの少なくとも1種以上の元素)、N
(窒素)、B(ホウ素)、BN、Mの窒化物、Mのホウ
化物の少なくとも1種以上の元素、あるいは化合物を固
溶し、Feの格子を膨張させた微結晶であるときに、更
に優れた軟磁気特性を呈するという事実を見いだし(請
求項4)の発明に至った。
【0012】特に、(請求項1)〜(請求項4)のいず
れかに記載のα−Feの微結晶の平均粒径が100Å以
下、Mの窒化物微粒子(ただし、Mは、Ta、Zr、H
f、Nb、Tiの少なくとも1種以上の元素)または、
Mのホウ化物微粒子、あるいはBN微粒子の平均粒径が
50Å以下であるとき、更に優れた軟磁気特性を呈する
という事実を見いだし(請求項5)の発明に至った。
【0013】また(請求項1)〜(請求項5)のいずれ
かに記載の軟磁性薄膜の飽和磁歪が絶対値で1×10-6
以下であるときに、逆磁歪効果の影響が小さく、磁気ヘ
ッドの再生出力が優れているという事実を見いだし(請
求項6)の発明に至った。
【0014】
【作用】(請求項1)の発明の構成によれば、Feを主
成分とし、B、Nを含むと共に、Ta、Zr、Hf、N
b、Tiの少なくとも1種以上の元素を含む系の軟磁性
薄膜の組成が特定の範囲にあるものであるから、前記軟
磁性薄膜は、高温熱処理において、低い磁歪の優れた軟
磁気特性と高い飽和磁束密度を併せ持つことが出来る。
【0015】(請求項2)の発明の構成によれば、Fe
を主成分とし、B、Nを含むと共に、Taを含む系の軟
磁性薄膜の組成が特定の範囲にあるものであるから、前
記軟磁性薄膜は、高温熱処理において、更に、低い磁歪
の優れた軟磁気特性と高い飽和磁束密度を併せ持つこと
が出来る。
【0016】また(請求項3)の発明の構成によれば、
前記組成範囲の軟磁性薄膜が、α−Feの微結晶とMの
窒化物微粒子(ただし、Mは、Ta、Zr、Hf、N
b、Tiの少なくとも1種以上の元素)または、Mのホ
ウ化物微粒子、あるいはBN微粒子が混在した微細結晶
組織から成る複合材料であるから、高飽和磁束密度と高
温熱処理に対して優れた軟磁気特性を示すと共に、高温
潤滑剤であるBN微粒子が、膜中に均一に分散した組織
を有するため、磁気記録媒体を摺動させた時の摩耗、焼
き付き現象を抑制することが出来る。
【0017】(請求項4)の発明の構成によれば、(請
求項1)〜(請求項3)のいずれかに記載のα−Feが
M(ただし、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの少
なくとも1種以上の元素)、N(窒素)、B(ホウ
素)、BN、Mの窒化物、Mのホウ化物の少なくとも1
種以上の元素、あるいは化合物を固溶し、Feの格子を
膨張させた微結晶であるから、更に優れた軟磁気特性を
呈することが出来る。
【0018】(請求項5)の発明の構成によれば、(請
求項1)〜(請求項4)のいずれかに記載のα−Feの
微結晶の平均粒径が100Å以下、Mの窒化物微粒子
(ただし、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの少な
くとも1種以上の元素)または、Mのホウ化物微粒子、
あるいはBN微粒子の平均粒径が50Å以下であるか
ら、特に優れた軟磁気特性を呈する軟磁性薄膜である。
【0019】(請求項6)の発明の構成によれば、(請
求項1)〜5のいずれかに記載の軟磁性薄膜の飽和磁歪
が、絶対値で1×10-6以下であるから、逆磁歪効果の
影響が小さく、優れた磁気ヘッドの再生出力を呈するこ
とが出来る。
【0020】
【実施例】
(実施例1)FeTaB、及びFeTaのターゲットを
用い、Arガス中にN2ガスを導入し、反応性スパッタ
法により、膜中B含有量の異なる(膜中Ta及びN含有
量は、ほぼ一定)膜組成を有する軟磁性薄膜(膜厚2μ
m)を非磁性セラミックス基板上に形成し、膜中B含有
量の効果を検討した。作製した膜は、すべて、真空中、
無磁界中で300〜700℃の範囲で1時間の熱処理を
施した。作製した膜の組成を(表1)のNo.1〜No.
4に示す。
【0021】
【表1】
【0022】これらの軟磁性薄膜の保磁力Hcの熱処理
温度依存性を(図1)に示す。(図1)より、膜中B含
有量0原子%のFeTaN膜(No.1)では、約55
0℃以上の熱処理温度で軟磁気特性は劣化するが、Bを
含有するFeTaBN膜は、更に高温の熱処理温度に於
いても、低い保磁力Hc(優れた軟磁気特性)を示して
いることが分かる。そして、膜中B含有量の増加と共
に、高温の熱処理温度迄、低い保磁力Hcを示し、B含
有量5原子%の膜では、700℃の熱処理温度に於いて
も良好な軟磁性を示している。
【0023】(図2)に、これらの軟磁性薄膜の飽和磁
束密度Bsの熱処理温度依存性を示す。(図2)より、
いずれの膜に於いても良好な軟磁性を示す高温熱処理で
高いBs(1.2〜1.6T)を示していることが分か
る。次に、これらの軟磁性薄膜の飽和磁歪λsの熱処理
温度依存性を(図3)に示す。(図3)より、FeTa
N膜、FeTaBN膜共に、熱処理温度の上昇に伴い、
飽和磁歪λsは減少する傾向を示し、膜中B含有量の増
加と共に、低磁歪となる熱処理温度が高温側にシフトし
ていることが分かる。
【0024】従って、FeTaN膜では良好な軟磁性と
低磁歪が実現する熱処理温度が500〜550℃である
が、FeTaBN膜では、膜中B含有量を調整すること
により、更に高い熱処理温度で良好な軟磁性と低磁歪
(飽和磁歪が絶対値で1×10 -6以下)を実現すること
が出来、磁気ヘッドを形成する際に高温でガラス接合が
可能となり、ガラスの選択範囲が広がり、接合強度が充
分で、かつ耐摩耗特性に優れた高温熱処理を必要とする
ガラスを用いることが出来、磁気ヘッドの信頼性を高め
ることが出来る。
【0025】(実施例2)FeTaBのターゲットを用
い、Arガス中にN2ガスを導入し、反応性スパッタ法
により、Feを主成分とし、Bを0〜15原子%、Nを
0〜15原子%含むと共にTaを5〜16原子%含む組
成範囲の軟磁性薄膜(膜厚2μm)を非磁性セラミック
ス基板上に形成し、真空中、無磁界中で650℃の温度
で1時間の熱処理を施し、保磁力Hcの測定を行った。
その結果の一部を(表2)に示す。
【0026】(表2)に示した膜組成は、例えば、Fe
81.5原子%、Ta11原子%、B1.5原子%、N6
原子%であれば、Fe81.5Ta111.56の様に記して
いる。
【0027】
【表2】
【0028】(表2)からも分かるように、膜中N含有
量が少ない膜、あるいはN含有量を15原子%以上含む
膜では、Hcが数百A/mの大きな値を示し、磁気ヘッ
ドには使用不可能である。(磁気ヘッドに使用可能なH
cの値は、80A/m以下である。)また、膜中Ta含
有量が7原子%以下、15原子%以上含む膜では、Hc
が数百A/mの大きな値を示し、磁気ヘッドには使用不
可能である。
【0029】また、膜中B添加量は、0.5原子%以上
で高温熱処理において、磁気ヘッドに使用可能な良好な
軟磁性を示す。膜中B含有量が、13原子%以上では良
好な軟磁性を示す熱処理温度が800℃以上の高温にな
り、成膜する基板の耐熱性に課題を生じ、基板の選択範
囲が狭くなる。以上に説明したように、FeTaBN膜
に於いては、Feを主成分とし、Bを0.5〜13原子
%、Nを6〜15原子%含むと共に、Taを7〜15原
子%含む組成範囲で、高温の熱処理温度で良好な軟磁気
特性を示す。
【0030】(実施例3)FeTaBのターゲットを用
い、Arガス中にN2ガスを導入し、反応性スパッタ法
により、FeTaBN膜、及びFeTaN膜を作製し、
熱処理温度(熱処理は真空中、無磁界中で行った。)に
対する膜構造の変化をX線回折により調べた。
【0031】(図4)にFe77原子%、Ta11原子
%、N12原子%の組成を有するFeTaN膜のX線回
折図形を示す。成膜直後は非晶質状態であり、450℃
でα−Feの微結晶が析出し始め、良好な軟磁性を示す
500〜550℃では、α−Feの微結晶とTaの窒化
物(TaN)微粒子が混在した微結晶相から成る複合材
料であることが分かる。 そして、600℃では、Ta
35の粒成長した非磁性の結晶質相が現れ、軟磁気特性
は劣化する。
【0032】(図5)にFe76原子%、Ta10原子
%、B5原子%、N9原子%の組成を有するFeTaB
N膜のX線回折図形を示す。成膜直後はFeTaN膜と
同様、非晶質状態であり、500℃でα−Feの微結晶
が析出し始め、700℃に於いても、FeTaN膜とは
異なり、微結晶相から成り、良好な軟磁性を示す。
【0033】(図6)に、TaとNを10原子%に固定
しFeの一部をBに置き換えた膜の、膜中B含有量と熱
処理温度に対する相変化を示す。(図6)より、B含有
量の増加と共に、微結晶化し始める熱処理温度が高温側
にシフトし、また、B含有量の増加と共に、良好な軟磁
性を示す微結晶相領域が、高温の熱処理温度に於いても
安定に存在する様になる。
【0034】(実施例4)FeTaBのターゲットを用
い、Arガス中にN2ガスを導入し、反応性スパッタ法
により、FeTaBN膜を作製し、熱処理温後の膜構造
をX線回折、及び透過型電子顕微鏡(TEM)により調
べた。また、化学結合状態をXPSにより調べた。その
結果、α−Feの微結晶とTaの窒化物微粒子または、
Taのホウ化物微粒子、あるいはBNが混在した微細結
晶組織から成る複合材料であるときに、優れた軟磁気特
性を示すと共に、高温潤滑剤であるBN微粒子が、膜中
に均一に分散した組織を有するため、磁気記録媒体を摺
動させた時の摩耗、焼き付き現象を抑制する効果がある
ことが分かった。
【0035】また、α−FeがTa、N(窒素)、B
(ホウ素)、BN、Taの窒化物、Taのホウ化物の少
なくとも1種以上の元素、あるいは化合物を固溶し、α
−Feの格子が0.2〜0.6%膨張した微結晶であると
きに、優れた軟磁気特性を示すことが分かった。また、
TEM観察の結果から、α−Feの微結晶の平均粒径が
100Å以下、Taの窒化物微粒子、または、Taのホ
ウ化物微粒子、あるいはBN微粒子の平均粒径が50Å
以下であるとき、更に優れた軟磁気特性を示すことが分
かった。
【0036】なお、本実施例(実施例1〜実施例4)で
は、FeTaBN膜について説明したが、Feを主成分
とし、Bを0.5〜13原子%、Nを6〜15原子%含
むと共にM(ただし、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、
Tiの少なくとも1種以上の元素)を7〜15原子%含
む組成を有するFeMBN系軟磁性薄膜に於いても、同
様の効果を有した。また、前記軟磁性薄膜に添加物元素
としてCr元素を0.1〜2原子%添加した軟磁性薄膜
は、更に優れた耐食性を併せ持つことが出来た。
【0037】
【発明の効果】
(請求項1)の発明によれば、Feを主成分とし、B、
Nを含むと共に、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの少な
くとも1種以上の元素を含む系の軟磁性薄膜の組成が特
定の範囲にあるものであるから、高温熱処理において、
低い磁歪の優れた軟磁気特性と高い飽和磁束密度を併せ
持つ軟磁性薄膜を提供することが出来る。
【0038】(請求項2)の発明によれば、Feを主成
分とし、B、Nを含むと共に、Taを含む系の軟磁性薄
膜の組成が特定の範囲にあるものであるから、高温熱処
理において、更に、低い磁歪の優れた軟磁気特性と高い
飽和磁束密度を併せ持つ軟磁性薄膜を提供することが出
来、膜中B含有量を制御することにより、良好な磁気特
性を示す高温の熱処理温度を任意に変化させることが出
来る。
【0039】また、(請求項3)の発明によれば、前記
組成範囲の軟磁性薄膜が、α−Feの微結晶とMの窒化
物微粒子(ただし、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、T
iの少なくとも1種以上の元素)または、Mのホウ化物
微粒子、あるいはBN微粒子が混在した微細結晶組織か
ら成る複合材料であるから、高飽和磁束密度と高温熱処
理に対して優れた軟磁気特性を示すと共に、高温潤滑剤
であるBN微粒子が、膜中に均一に分散した組織を有す
るため、磁気記録媒体を摺動させた時の摩耗、焼き付き
現象を抑制することが出来る。
【0040】(請求項4)の発明によれば、(請求項
1)〜(請求項3)のいずれかに記載のα−FeがM
(ただし、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの少な
くとも1種以上の元素)、N(窒素)、B(ホウ素)、
BN、Mの窒化物、Mのホウ化物の少なくとも1種以上
の元素、あるいは化合物を固溶し、Feの格子を膨張さ
せた微結晶であるから、更に優れた軟磁気特性を有する
軟磁性薄膜を得ることが出来る。
【0041】(請求項5)の発明によれば、(請求項
1)〜(請求項4)のいずれかに記載のα−Feの微結
晶の平均粒径が100Å以下、Mの窒化物微粒子(ただ
し、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの少なくとも
1種以上の元素)または、Mのホウ化物微粒子、あるい
はBN微粒子の平均粒径が50Å以下であるから、特に
優れた軟磁気特性を有する軟磁性薄膜を得ることが出来
る。
【0042】(請求項6)の発明によれば、(請求項
1)〜(請求項5)のいずれかに記載の軟磁性薄膜の飽
和磁歪が、絶対値で1×10-6以下であるから、逆磁歪
効果の影響が小さく、優れた磁気ヘッドの再生出力を得
ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で作製した軟磁性薄膜の保磁力
Hcと熱処理温度との関係を示す図である。
【図2】軟磁性薄膜の飽和磁束密度Bsと熱処理温度と
の関係を示す図である。
【図3】軟磁性薄膜の飽和磁歪λsと熱処理温度との関
係を示す図である。
【図4】FeTaN膜の熱処理温度に対するX線回折図
である。
【図5】FeTaBN膜の熱処理温度に対するX線回折
図である。
【図6】膜中B含有量と熱処理温度に対する相変化を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−251104(JP,A) 特開 平3−237701(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 10/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主成分とし、Bを0.5〜13原
    子%、Nを6〜15原子%含むと共にM(ただし、M
    は、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの少なくとも1種以
    上の元素)を7〜15原子%含む組成を有し、かつα−
    Feの微結晶とMの窒化物微粒子(ただし、Mは、T
    a、Zr、Hf、Nb、Tiの少なくとも1種以上の元
    素)または、Mのホウ化物微粒子、あるいはBN微粒子
    が混在した微細組織から成る複合材料であり、前記α−
    FeがM(ただし、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、T
    iの少なくとも1種以上の元素)、N(窒素)、B(ホ
    ウ素)、BN、Mの窒化物、Mのホウ化物の少なくとも
    1種以上の元素、あるいは化合物を固溶し、α−Feの
    格子を膨張させた微結晶であり、前記α−Feの微結晶
    の平均粒径が100Å以下、Mの窒化物微粒子(ただ
    し、Mは、Ta、Zr、Hf、Nb、Tiの少なくとも
    1種以上の元素)または、Mのホウ化物微粒子、あるい
    はBN微粒子の平均粒径が50Å以下であることを特徴
    とする軟磁性薄膜。
  2. 【請求項2】 Feを主成分とし、Bを0.5〜13原
    子%、Nを6〜15原子%含むと共にTaを7〜15原
    子%含む組成を有し、かつα−Feの微結晶とTaの窒
    化物微粒子または、Taのホウ化物微粒子、あるいはB
    N微粒子が混在した微細組織から成る複合材料であり、
    前記α−FeがTa、N(窒素)、B(ホウ素)、B
    N、Taの窒化物、Taのホウ化物の少なくとも1種以
    上の元素、あるいは化合物を固溶し、α−Feの格子を
    膨張させた微結晶であり、前記α−Feの微結晶の平均
    粒径が100Å以下、Taの窒化物微粒子または、Ta
    のホウ化物微粒子、あるいはBN微粒子の平均粒径が5
    0Å以下であることを特徴とする軟磁性薄膜。
  3. 【請求項3】 軟磁性薄膜の飽和磁歪が絶対値で1×1
    0-6以下であることを特徴とする請求項1または2のい
    ずれかに記載の軟磁性薄膜。
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