JP2710453B2 - 軟磁性合金膜 - Google Patents

軟磁性合金膜

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JP2710453B2
JP2710453B2 JP2263577A JP26357790A JP2710453B2 JP 2710453 B2 JP2710453 B2 JP 2710453B2 JP 2263577 A JP2263577 A JP 2263577A JP 26357790 A JP26357790 A JP 26357790A JP 2710453 B2 JP2710453 B2 JP 2710453B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、磁気ヘッド等に適した軟磁性合金膜に関
する。
「従来の技術」 磁気記録の分野においては、記録密度を高めるために
磁気テープ等の記録媒体の高保磁力化が推進されている
が、それに対応する磁気ヘッド用の軟磁性薄膜材料とし
て飽和磁束密度(Bs)の高いものが要求されている。
従来の軟磁性材料(膜)としては、Ni−Fe(パーマロ
イ)及びCo基の非晶質膜等がある。
また最近、Feを主成分とする微細結晶よりなる合金膜
(Fe−N,Fe−C等)において、Feの結晶磁気異方性の軟
磁性に対する悪影響を結晶を微細化することにより軽減
して、高飽和磁束密度でかつ軟磁気特性の優れた膜を得
た例がある。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、磁気ヘッドを組み込んだ装置は小型化、軽
量化する傾向があり、移動に伴う振動にさらされたり、
悪環境のもとで使用されたりすることが多くなってい
る。そこで、磁気ヘッドには、磁気特性が優秀であって
磁気テープに対する耐摩耗性が優れていることはもちろ
ん、湿度や腐食性の雰囲気中での耐用性、すなわち耐環
境性や、耐振動性等が高いことが要求されている。その
ため、ギャップ形成やケースへの組み込み等をガラス溶
着で行うことが必要となり、磁気ヘッドの素材はヘッド
の製造工程におけるガラス溶着工程の高温に耐えうる熱
安定性も合わせて要求されてきている。
しかしながら、前記従来の軟磁性合金膜において、Ni
−Fe膜からなるものは、ガラス溶着工程での高温では、
軟磁気特性が劣化してしまうとともに、電気抵抗が低い
という欠点がある。
また、Co基の非晶質膜では、13000G以上の高い飽和磁
束密度のものも得られているが、従来のアモルファス合
金の飽和磁束密度を高くしようとすると、アモルファス
形成元素であるTi,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W等の添加量を少な
くする必要があるが、添加量を少なくすると、アモルフ
ァス構造の安定性が低下し、ガラス溶着に必要な温度
(約500℃以上)には耐ええない問題がある。飽和磁束
密度を約9000G以下に抑えれば、低融点ガラスによる溶
着は可能であるが、600℃以上での溶着は困難であり、
耐環境性に優れた中〜高融点ガラスを使用できない。
さらに、上述したFeを主成分とする微細結晶からなる
合金膜(Fe−N,Fe−C等)は、高温では結晶成長を起こ
して軟磁性が劣化する(Fe−Cの場合で400℃が最高)
ため、やはりガラス溶着に適したものとはいいがたい。
このような背景から本願発明者らは、特願平1−2782
20号、特願平2−63808号などにおいて、前記の問題を
解決した軟磁性合金膜を特許出願している。
特願平1−278220号明細書において特許出願している
軟磁性合金膜の1つは、組成式が、Fe a M c C dで示さ
れ、組成比aは原子%で50〜96、cは2〜30、dは0.5
〜25、a+c+d=100なる関係を満足するものであっ
た。
また、他の1つは、組成式がFe a Q b M c C dで示さ
れ、組成比aは原子%で50〜96、bは0.1〜10、cは2
〜30、dは0.5〜25、a+b+c+d=100なる関係を満
足するものであった。
さらに、特願平2−63808号明細書において特許出願
している軟磁性合金膜の1つは、組成式が、Fe a Cr c
M d C eで示され、組成比aは原子%で50〜95、cは0.5
〜20、dは2〜25、eは0.5〜25、a+c+d+e=100
なる関係を満足するものであった。
さらにまた、他の1つは、組成式が、Fe a Q b Cr c
M d C eで示され、組成比aは原子%で50〜95、bは0.1
〜10、cは0.5〜20、dは2〜25、eは0.5〜25、a+b
+c+d+e=100なる関係を満足するものであった。
これらの特許出願で提供した軟磁性合金膜は、一部組
成のものは15000G以上の高い飽和磁束密度を有し、従来
の各種材料に比較すると高い熱安定性を備え、通常の使
用環境下では十分な耐食性と耐環境性を有しているが、
可能な熱処理温度は700℃程度が上限であり、これ以上
の温度では軟磁性が劣化してくる。
通常の磁気ヘッドであれば700℃以下でガラス溶着は
可能であるが、複雑な構造のヘッド、例えば、消去ヘッ
ドと録再ヘッドが一体化した構造のヘッドでは、消去ヘ
ッドと録再ヘッド各々のギャップ形成をガラス溶着で行
い、引き続き両者のヘッドの合体(組み合わせ)をギャ
ップ接合ガラスが溶融しない温度でガラス溶着する必要
があり、ギャップ接合ガラスに高融点のものを使用する
必要がある。このため、最初のギャップ形成を700℃以
上の高温で行うことが望ましい。従って、さらに耐熱性
の高い軟磁性薄膜が要求されている。
また、前記特願平1−278220号において出願されてい
る軟磁性合金膜においては、電気抵抗が従来の非晶質膜
の半分程度と低く、これにより、高周波での透磁率が渦
電流損失により、低下させられるという問題があった。
さらにまた、Feを主成分とするために、悪環境下で使用
された場合に変色あるいは発錆を招くおそれがあった。
そこで本願発明者等はこれらの問題を解決するべく、
透磁率が高く、その特性が熱的に安定であるとともに、
良好な耐食性を有する軟磁性合金膜について特許出願を
した。(特願平2−116256号) この軟磁性合金膜の1つは、組成式が、Fe a L c M e
C fで示され、LはAl,Siのうち、少なくとも一種から
なる元素またはその混合物であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,
Ta,Mo,Wのうち少なくとも一種からなる金属元素または
その混合物であり、組成比a,c,e,fは原子%で、50≦a
≦95、0.2≦c≦25、2≦e≦25、0.5≦f≦25、a+c
+e+f=100なる関係を満足させるとともに、その組
織が基本的に平均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶
粒からなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶相を含む
ものである。
別の軟磁性合金膜では、組成式がFe a L c Cr d M e
C fで示され、組成比a,c,d,e,fは原子%で、50≦a≦9
5、0.2≦c≦25、0.1≦d≦20、2≦e≦25、0.5≦f≦
25、a+c+d+e+f=100なる関係を満足させると
ともに、その組織が基本的に平均結晶粒径が0.08μm以
下の微細な結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物
の結晶相を含むものである。
さらに別の軟磁性合金膜では、組成式がFe a Q b L c
M e C fで示され、QはCo,Niのうち、少なくとも一種
からなる金属元素またはその混合物であり、組成比a,b,
c,e,fは原子%で、50≦a≦95、0.1≦b≦10、0.2≦c
≦25、2≦e≦25、0.5≦f≦25、a+b+c+e+f
=100なる関係を満足させるとともに、その組織が基本
的に平均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からな
り、その一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むものであ
る。
さらに別の軟磁性合金膜では、組成式がFe a Q b L c
Cr d M e C fで示され、組成比a,b,c,d,e,fは原子%
で、50≦a≦95、0.1≦b≦10、0.2≦c≦25、0.1≦d
≦20、2≦e≦25、0.5≦f≦25、a+b+c+d+e
+f=100なる関係を満足させるとともに、その組織が
基本的に平均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒か
らなり、その一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むもの
である。
しかしながら、軟磁性合金膜を特に磁気ヘッドに用い
る場合は、飽和磁歪(λs)の絶対値|λs|の値は小さ
い程好ましく、さらに良好な軟磁気特性を合わせ持つ軟
磁性合金膜が要求されている。
また、磁歪は熱処理温度が高くなるにつれて、正から
負に変化するために、700℃程度の高い温度で熱処理を
行う場合には、磁歪は負になり易く、10-7台の小さな値
のλsの得られる組成は極めて限られた範囲に限定され
てしまうという問題があった。
さらに、磁気ヘッドに適用する場合には、弱い一軸磁
気異方性を膜に付与した方が高周波特性上有利であり、
この方法として、膜に加わる応力による逆磁歪効果を利
用するのが便利である。この場合、膜面内に働く引張り
応力を利用する時には、膜の磁歪は小さな正の値である
方が好ましい。これは、負だと膜面に垂直な異方性成分
を生じてしまうためである。しかし、前記理由により高
温熱処理後に正の磁歪を得ることは困難であるという問
題がある。
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、
高温での熱処理後の磁歪(λs)の絶対値をより小さく
するとともに、磁歪(λs)の小さくなる熱処理温度範
囲を広げ、高温での熱処理後でも任意の小さな正の磁歪
が得られるようにするものである。
「課題を解決するための手段」 請求項1に記載した本発明は前記課題を解決するため
に、組成式がFe a X c M e C fで示され、XはCu,Pd,A
g,Pt,Auのうち、少なくとも一種からなる元素またはそ
の混合物であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち、
少なくとも一種からなる金属元素またはその混合物であ
り、組成比a,c,e,fは原子%で、50≦a≦95、0.1≦c≦
5、2≦e≦25、0.5≦f≦25、a+c+e+f=100、
なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
る軟磁性合金膜である。
請求項2に記載した発明は前記課題を解決するため
に、組成式がFe a Q b X c M e C fで示され、QはCo,N
iのうち、少なくとも一種からなる金属元素またはその
混合物であり、XはCu,Pd,Ag,Pt,Auのうち、少なくとも
一種からなる金属元素またはその混合物であり、MはT
i,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち少なくとも一種からなる金
属元素またはその混合物であり、組成比a,b,c,e,fは原
子%で、50≦a≦95、0.1≦b≦10、0.1≦c≦5、2≦
e≦25、0.5≦f≦25、a+b+c+e+f=100、なる
関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平均結
晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、その一
部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とする軟
磁性合金膜である。
請求項3に記載した発明は前記課題を解決するため
に、組成式がFe a X c Z d M e C fで示され、XはCu,P
d,Ag,Pt,Auのうち、少なくとも一種からなる金属元素ま
たはその混合物であり、ZはCr,Y,Ru,Ir,Rh,Nのうち、
少なくとも一種からなる元素またはその混合物であり、
MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち、少なくとも一種か
らなる金属元素またはその混合物であり、組成比a,c,d,
e,fは原子%で、50≦a≦95、0.1≦c≦5、0.5≦d≦1
0、2≦e≦25、0.5≦f≦25、a+c+d+e+f=10
0、なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的
に平均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からな
り、その一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特
徴とする軟磁性合金膜である。
請求項4に記載した発明は前記課題を解決するため
に、組成式がFe a Q b X c Z d M e C fで示され、Qは
Co,Niのうち、少なくとも一種からなる金属元素または
その混合物であり、XはCu,Pd,Ag,Pt,Auのうち、少なく
とも一種からなる元素またはその混合物であり、ZはC
r,Y,Ru,Ir,Rh,Nのうち、少なくとも一種からなる元素ま
たはその混合物であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wの
うち少なくとも一種からなる金属元素またはその混合物
であり、組成比a,b,c,d,e,fは原子%で、50≦a≦95、
0.1≦b≦10、0.1≦c≦5、0.5≦d≦10、2≦e≦2
5、0.5≦f≦25、a+b+c+d+e+f=100、なる
関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平均結
晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、その一
部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とする軟
磁性合金膜である。
請求項5に記載した発明は前記課題を解決するため
に、請求項1ないし4に記載の組織が平均結晶粒径0.08
μm以下の微細な結晶粒と非晶質との混在した組織であ
って、微細結晶粒の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含
むことを特徴とする軟磁性合金膜である。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
前記合金膜の生成方法としては、合金膜をスパッタ、
蒸着等の薄膜形成装置により作製する。スパッタ装置と
しては、RF2極スパッタ、DCスパッタ、マグネトロンス
パッタ、3極スパッタ、イオンビームスパッタ、対向タ
ーゲット式スパッタ、等の既存のものを使用することが
できる。
また、Cを膜中に添加する方法としては、ターゲット
板上にグラファイトのペレットを配置して複合ターゲッ
トとし、これをスパッタする方法、あるいは、Cを含ま
ないターゲット(Fe−X−M系、Fe−Q−X−M系、Fe
−X−Z−M系あるいはFe−Q−X−Z−M系)を用
い、Ar等の不活性ガス中にメタン(CH4)等の炭化水素
ガスを混合したガス雰囲気中でスパッタする反応性スパ
ッタ法等を用いることができ、特に反応性スパッタ法で
は膜中のC濃度の制御が容易であるので所望のC濃度の
優れた膜を得ることができる。
このようにして作製したままの膜は非晶質相をかなり
の割合で含んだものであり、飽和磁束密度が低く、軟磁
気特性も不十分であるので、400℃以上の熱処理を施す
ことにより微結晶を析出させる。この熱処理は無磁場中
で行っても良好な軟磁気特性が得られるが、静磁場中あ
るいは回転磁場中で行うことにより、優れた磁気特性が
得られる。また、この熱処理は磁気ヘッドの製造工程に
おけるガラス溶着工程と兼ねて行うことができる。
なお、前記微結晶の析出工程は、完全に行なわれる必
要はなく、微結晶が相当数(好ましくは50%以上)析出
していれば良いので、アモルファス成分が一部残留して
いても差し支えなく、残留したアモルファス成分が特性
向上の障害となることはない。
以下、前記のように成分を限定した理由について述べ
る。
Feは主成分であり、磁性を担う元素である。少なくと
もフェライト(Bs 5000G)以上の飽和磁束密度を得る
ためには、a≧50at%が必要である。また、良好な軟磁
気特性を得るためには、a≦95at%でなければならな
い。
元素M(即ちTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,W)は軟磁気特性を良
好にするために必要であり、また、Cと結合して炭化物
の微細結晶を形成する。この炭化物の微粒子がFeを主成
分とする結晶の成長を妨げるはたらきをして、高い耐熱
性が得られる。
良好な軟磁気特性を維持するためには、e≧2at%と
する必要がある。しかしながら、多すぎると飽和磁束密
度が低下し、また軟磁気特性の低下を招くので、e≦25
at%とする必要がある。
Cは軟磁気特性を良好にするために、及び、耐熱性を
向上させるために必要であり、また、Cは元素Mと結合
して炭化物の微細結晶を形成する。
良好な軟磁気特性、及び、熱安定性を維持するために
は、f≧0.5at%とする必要がある。しかしながら、多
すぎると飽和磁束密度の低下、及び、軟磁気特性の低下
を招くので、f≦25at%とする必要がある。
以上説明のFeと元素MとCの成分限定理由は特願平1
−278220号の場合とほぼ同様である。
元素X(即ちCu,Pd,Ag,Pt,Au)は熱処理温度を高くし
た場合にも磁歪を零にすることができるもので、元素X
の添加がない膜では、熱処理温度が低い場合には磁歪は
正の値となり、熱処理温度が高い場合には負の値にな
る。即ち、元素Xは磁歪を正の側にシフトさせる効果の
あるものであるが、少なくとも、0.1at%以上添加しな
いと磁歪を調整する効果がでない。また、元素Xの添加
量が多すぎると磁歪は逆に正の側に大きくなり過ぎ、軟
磁気特性が得られにくくなるので、c≦5at%とする必
要がある。
元素Q(即ち、Co,Ni)は、主に磁場中熱処理によっ
て生じる誘導磁気異方性エネルギーを大きくする働きが
ある。磁化困難方向でより高周波までフラットな透磁率
の周波数特性を得たいときに添加すると有効である。
元素Qも磁歪を正にする効果があるが、同時に異方性
エネルギーも大きくなるので、磁歪のみ制御したいとき
は元素Xの添加が必要である。元素Qは多くなり過ぎる
と異方性エネルギーと磁歪がともに大きくなり過ぎて、
軟磁気特性を得にくくなるので、b≦10at%とする必要
がある。
元素Z(即ち、Cr,Y,Ru,Ir,Rh,N)は耐食性、耐環境
性を改善するために添加する元素であるが、0.5%以上
添加しないと改善効果が十分でない。また、添加量が10
at%を越えると飽和磁束密度が低くなり過ぎるととも
に、良好な軟磁気特性が得られなくなるので好ましくな
い。
元素Mの炭化物の微細結晶は膜中に均一に分散させる
ことにより、Feの微結晶が熱処理により成長し、粗大化
して軟磁性を損なうことを防止するはたらきがある。つ
まり、Feの結晶粒が成長して大きくなると結晶磁気異方
性の悪影響が大きくなり、軟磁気特性が悪化するが、元
素Mの炭化物の微結晶がFeの粒成長の障壁としてはたら
くことにより軟磁気特性の悪化を防止する。
さらに、金属組織が基本的に0.08μm以下の微結晶か
らなっているために、非晶質に比べて熱的安定性に優れ
ており、添加元素を少なくでき、飽和磁束密度を高くす
ることができる。
「作用」 上記軟磁性合金膜においては、その組織がFeに富む結
晶を主体とし、飽和磁束密度を低下させる成分の添加が
制限されているから、非晶質状態に比べ鉄原子1個あた
りの磁気モーメント及びキュリー温度が高くなってお
り、高い飽和磁束密度が得られる。
また、元素M及びCが含まれているとともに、金属組
織が微細な結晶粒からなっており、結晶磁気異方性によ
る軟磁性への悪影響が軽減されるので、良好な軟磁気特
性が得られる。
さらに、元素Mの炭化物が析出してFeを主成分とする
結晶粒の成長を抑えるので、ガラス溶着工程において加
熱されても、結晶粒が粗大化することがない。
さらにまた、元素Zを特定量添加しているので耐食性
が向上し、耐環境性に優れる。
また、元素X(Cu,Pd,Ag,Pt,Au)を添加し、またその
添加量の調整により、幅広い熱処理温度範囲において、
磁歪を小さくすることができる。特に、少ない添加量で
容易に磁歪を調整できるために軟磁気特性を維持でき、
飽和磁束密度の低下も小さく抑えることができる。
「実施例」 (1)成膜 RF2極スパッタ装置を用いて、後記の第1表に示す組
成の合金膜を形成した。
使用したターゲットは、Feターゲット上にTa,Zr,Cu,P
d,Ag,Pt,Au,グラファイト等の各種ペレットを適宜配置
して構成した場合ターゲットを用い、純Arガス雰囲気中
でスパッタを行って、膜厚5〜6μmの薄膜を形成し
た。
(2)熱処理および測定 成膜後、静磁場中において550℃で20分間保持するア
ニールを行って作成した合金の初透磁率(at5MHz)、保
磁力(Oe)、磁歪定数、飽和磁束密度を第1表に示し
た。
また、無磁場中において650℃で20分間保持するアニ
ールを行って作成した合金の、保磁力(Oe)、磁歪定数
を第2表に示した。
尚、比較例として、スパッタにより成膜した元素Xを
含有しない合金膜(特願平1−278220号において特許出
願している発明に係る合金膜)について、上記本実施例
の軟磁性合金膜と同等のアニール後の前記磁気特性の測
定値を示した。
尚、初透磁率と保磁力は磁化困難軸方向で測定した。
第1表から、元素X(Cu,Pd,Ag,Pt,Au)を添加するこ
とにより、磁歪は正にシフトすることがわかる。他の磁
気特性(初透磁率、保磁力、飽和磁束密度)の劣化は問
題には値しないものである。
第2表から、元素Xを添加しない膜(比較例)におい
ては、熱処理温度が650℃での磁歪は熱処理温度が550℃
のよりも減少し、650℃よりも低いある温度において零
磁歪となり、また、元素Xの添加された膜では、650℃
の熱処理後の磁歪はプラス側にシフトし、添加量を調整
することにより、650℃において零磁歪ないし任意の小
さな正の磁歪を得ることができることがわかる。
「発明の効果」 以上説明したように本発明は、Feを主成分とする微細
な結晶粒を主とする軟磁性合金膜であり、飽和磁束密度
を低下させる成分の添加が制限されているので、高い飽
和磁束密度が得られる。このことにより、高い記録特性
を有する磁気ヘッドを提供できる。
さらに、従来のアモルファス合金膜とは異なり、無磁
場中で熱処理を行っても高い透磁率を発揮する膜を得る
ことができ、磁気ヘッド製造時のガラス溶着等の工程を
磁場をかけて熱処理する場合よりも簡略化をなしえる。
また、元素M(Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W)及びCとい
う軟磁性を良好とする成分が添加されるとともに、金属
組織が微細な結晶粒からなり、結晶磁気異方性による軟
磁性への悪影響が軽減されるので、良好な軟磁気特性が
得られる。
さらに、微細な結晶粒からなるとともに、添加された
元素MがCと炭化物を形成し、その炭化物が膜中に均一
に分散されていることにより、Feを主成分とする微結晶
が熱処理により成長することを防ぐ働きがある。すなわ
ち、結晶の成長に伴って結晶磁気異方性の悪影響が大き
くなることによる軟磁性の劣化を防ぐ働きがある。この
ことで、溶着ガラスとして中〜高融点ガラスを用いるこ
とができる。
また、上記組成に加えて、元素X(Cu,Pd,Ag,Pt,Au)
を添加し、その添加量を調整することにより、幅広い熱
処理温度範囲において、磁歪を小さくすることができ
る。従って、少ない添加量で容易に磁歪を調整できるた
め、軟磁気特性も維持でき、飽和磁束密度の低下も小さ
く抑えることができる。
またさらに、元素Q(即ち、Co,Ni)は、主に磁場中
熱処理によって生じる誘導磁気異方性エネルギーを大き
くする働きがあり、磁化困難方向でより高周波までフラ
ットな透磁率の周波数特性を得る効果がある。
また、前記成分に元素Z(Cr,Y,Ru,Ir,Rh,N)を特定
量添加することにより、Fe基の合金としては耐食性に優
れ、悪環境下にあっても変色や発錆を生じない特徴があ
る。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組成式がFe a X c M e C fで示され、Xは
    Cu,Pd,Ag,Pt,Auのうち、少なくとも一種からなる元素ま
    たはその混合物であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wの
    うち、少なくとも一種からなる金属元素またはその混合
    物であり、組成比a,c,e,fは原子%で 50≦a≦95 0.1≦c≦5 2≦e≦25 0.5≦f≦25 a+c+e+f=100 なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
    均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
    の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
    る軟磁性合金膜。
  2. 【請求項2】組成式がFe a Q b X c M e C fで示され、
    QはCo,Niのうち、少なくとも一種からなる金属元素ま
    たはその混合物であり、XはCu,Pd,Ag,Pt,Auのうち、少
    なくとも一種からなる金属元素またはその混合物であ
    り、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち少なくとも一種
    からなる金属元素またはその混合物であり、組成比a,b,
    c,e,fは原子%で 50≦a≦95 0.1≦b≦10 0.1≦c≦5 2≦e≦25 0.5≦f≦25 a+b+c+e+f=100 なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
    均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
    の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
    る軟磁性合金膜。
  3. 【請求項3】組成式がFe a X c Z d M e C fで示され、
    XはCu,Pd,Ag,Pt,Auのうち、少なくとも一種からなる金
    属元素またはその混合物であり、ZはCr,Y,Ru,Ir,Rh,N
    のうち、少なくとも一種からなる元素またはその混合物
    であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wのうち、少なくと
    も一種からなる金属元素またはその混合物であり、組成
    比a,c,d,e,fは原子%で、 50≦a≦95 0.1≦c≦5 0.5≦d≦10 2≦e≦25 0.5≦f≦25 a+c+d+e+f=100 なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
    均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
    の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
    る軟磁性合金膜。
  4. 【請求項4】組成式がFe a Q b X c Z d M e C fで示さ
    れ、QはCo,Niのうち、少なくとも一種からなる金属元
    素またはその混合物であり、XはCu,Pd,Ag,Pt,Auのう
    ち、少なくとも一種からなる元素またはその混合物であ
    り、ZはCr,Y,Ru,Ir,Rh,Nのうち、少なくとも一種から
    なる元素またはその混合物であり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,
    Ta,Mo,Wのうち少なくとも一種からなる金属元素または
    その混合物であり、組成比a,b,c,d,e,fは原子%で 50≦a≦95 0.1≦b≦10 0.1≦c≦5 0.5≦d≦10 2≦e≦25 0.5≦f≦25 a+b+c+d+e+f=100 なる関係を満足させるとともに、その組織が基本的に平
    均結晶粒径が0.08μm以下の微細な結晶粒からなり、そ
    の一部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とす
    る軟磁性合金膜。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4に記載の組織が平均結晶
    粒径0.08μm以下の微細な結晶粒と非晶質との混在した
    組織であって、微細結晶粒の一部に元素Mの炭化物の結
    晶相を含むことを特徴とする軟磁性合金膜。
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