JP2767622B2 - 車両用並列多気筒エンジン - Google Patents

車両用並列多気筒エンジン

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JP2767622B2 JP23068189A JP23068189A JP2767622B2 JP 2767622 B2 JP2767622 B2 JP 2767622B2 JP 23068189 A JP23068189 A JP 23068189A JP 23068189 A JP23068189 A JP 23068189A JP 2767622 B2 JP2767622 B2 JP 2767622B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、左右一対の駆動輪間に搭載される車両用並
列多気筒エンジンに関するものである。
(発明の背景) 車両用エンジンでは、エンジン出力の増加に伴いトル
クコンバータやクラッチなどの大径の回転体が大型化
し、その外径も増大する。従来のエンジンでは、このト
ルクコンバータやクラッチをクランク軸上に配設してい
るためエンジンの全高が増大し、車両へ搭載する場合の
設計自由度が減り、特に乗用車に搭載する場合のデザイ
ン上の制約が増えるという問題があった。
またこのエンジンを左右一対の駆動輪間に搭載し、こ
れら両駆動輪を変速機および差動装置を介して駆動する
車両がある。この場合従来は、変速機のトルクコンバー
タやクラッチを、この差動装置あるいはこの差動装置の
回転を各駆動輪に伝えるアクスル軸に干渉しないよう
に、アクスル軸から離す必要が生じる。このためクラン
ク軸、トルクコンバータ(あるいはクラッチ)およびシ
リンダブロックが差動装置から離れることになり、エン
ジンルームを大きくする必要が生じる。この結果車両の
設計自由度が減るという問題があった。
(発明の目的) 本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、
エンジン全高を小さくし、また小さいエンジンルームへ
の搭載性を良くして車両の設計自由度を増大させること
が可能な車両用エンジンを提供することを目的とする。
(発明の構成) 本発明によればこの目的は、左右一対の駆動輪間に搭
載され、車体幅方向に配設されたクランク軸の回転を変
速機および差動装置を介して前記左右一対の駆動輪に伝
える車両用並列多気筒エンジンにおいて、前記クランク
軸と一体となって回転する出力軸を前記クランク軸を挾
んで前記差動装置の反対側に前記クランク軸と平行に配
設し、前記出力軸の中心線上に大径の回転体および前記
変速機の主軸を配設する一方、前記回転体をクランク軸
に側面視重ね、前記クランク軸に対して前記出力軸を上
方に前記差動装置の中心を下方にそれぞれ配設し、前記
差動装置の上方を覆うようにシリンダブロックを傾斜さ
せたことを特徴とする車両用並列多気筒エンジンにより
達成される。
(実施例) 第1図は本発明の一実施例を一部断面した側面図、第
2図は同じく一部断面した平面図、第3図は車体への搭
載状態を示す平面図である。
この実施例はいわゆるFF(フロントエンジン−フロン
トドライブ)方式の乗用車に本発明を適用したものであ
る。第1、3図において符号10はエンジンルームであ
り、このエンジンルーム10の後部はフロアパネル12(第
1図)によって乗員室14と仕切られ、上部がフード16で
覆われている。18はウィンドシールド、20はラジエタで
ある。
22は水冷式並列6気筒エンジンであり、エンジンルー
ム10内に搭載されている。24(24a、24b)は駆動輪とし
ての操行前輪であり、エンジン22の両側に位置する。す
なわちエンジン22は両前輪24a、24bの間に位置する。
このエンジン22のクランク軸26は車体幅方向に配設さ
れ、このクランク軸26の第2図に示す6つの気筒間と両
端部との合計7ヶ所のジャーナル部がシリンダブロック
28とクランクケース30との間に保持されている。なお第
2図で右側から2番目の気筒のクランクピン31は一対の
クランクアームで保持され、そのクランクアームの一方
はエンジン出力取出し用歯車32となっている。
34はクランク軸と平行な出力軸であり、クランク軸26
より前方かつ上方に位置する。この出力軸34はシリンダ
ブロック28の左上前面(第2図でシリンダブロック28の
右側)に形成した歯車室36を貫通し、その右端(第2図
上で左側)はシリンダブロック28の右上前面(第2図で
左上前面)に突設した軸受部38を貫通している。この出
力軸34には歯車室36内にあってエンジン出力取出し用歯
車32に噛合する歯車40が設けられ、この結果出力軸34は
クランク軸26と常に一体となって回転する。
出力軸34の右端にはプーリ42が固定され、このプーリ
42はエンジン冷却水を送出する水ポンプ(図示せず)
や、パワーステアリング用オイルポンプ(図示せず)、
あるいはエアコン用ポンプ(図示せず)等を駆動する。
また出力軸34には歯車40に隣接するスプロケット44が設
けられている。このスプロケット44は2本の頭上カム軸
46(46a、46b)を駆動する。すなわちシリンダブロック
28の上面にはシリンダヘッド48が固定され、このシリン
ダヘッド48に保持された中間軸50にスプロケット44の回
転が伝えられ、さらにこの中間軸50の回転が両カム軸46
に伝えられるものである。ここにシリンダブロック28は
後方へ傾き、エンジン22の上下寸法の減少が図られてい
る。
52は各気筒に対応する6本の吸気管であってシリンダ
ヘッド48の上面から前方へのび、サージタンク54に接続
されている。このサージタンク54の左端はスロットル弁
56(第3図)を介してエアクリーナ(図示せず)に接続
されている。第1図で58は排気管である。
このエンジン22はドライサンプ式の潤滑系を有する。
ここにオイルリザーバタンク60はクランクケース30の前
面に固定されている。すなわち前記クランクケース30は
2つの部材30a、30bを結合したもので、部材30bの前面
にオイルタンク60が固定される。クランクケース30とシ
リンダブロック28との間に形成されたクランク室に溜る
潤滑オイルは、部材30bに形成した油路62を通りオイル
ポンプ64によってオイルリザーバタンク60に汲み上げら
れる。このリザーバタンク60のオイルは、オイルストレ
ーナ66を介してオイルポンプ64に吸入され、さらにオイ
ルフィルタ(図示せず)を介してエンジン各部へ圧送さ
れた後クランク室下部へ戻る。なおオイルポンプ64は第
2図に示すように出力軸34の途中に設けられ、この出力
軸34により駆動される。第1図中の矢印はオイルの流れ
を示す。
シリンダブロック28およびクランクケース30の左側面
には自動変速機68が取付けられている。この自動変速機
68の主軸70は出力軸34と同一中心線上に位置する。出力
軸34の回転は大径の回転体としてのトルクコンバータ72
と、この主軸70上に配列された公知の変速用遊星歯車群
および湿式多板クラッチ群(図示せず)とを介して主軸
70に伝えられる。この主軸70の回転は歯車74、76を介し
て副軸78に伝えられる。
80は差動装置であり、前記トルクコンバータ72の斜め
後下方に位置し、その中心Aは左右の前輪24の間に位置
する。副軸78上の小減速歯車82はこの差動装置80の大減
速歯車84に噛合し、差動装置80の出力は左右一対のアク
スル軸86(86a、86b)および等速ジョイント(図示せ
ず)を介し両前輪24に伝えられる。
ここに差動装置80の中心Aは第1図に明らかなように
クランク軸26の中心よりも下方に位置する。すなわちこ
のクランク軸26の中心を通る水平面Bよりも下方に位置
する。このため大径の大減速歯車84を有する差動装置80
の位置が低くなるが、シリンダブロック28は後方へ傾斜
して差動装置80の上方をこのシリンダブロック28が覆う
ようにしたから、エンジン22全体の全高は小さく抑える
ことができる。また出力軸34はクランク軸26の前上方に
位置し、この出力軸34上のトルクコンバータ72は側面視
重なると共に、クランク軸26出力軸34と差動装置80の中
心Aの間に位置する。このため大径のトルクコンバータ
72が差動装置80やアクスル軸86に干渉せず、出力軸34を
クランク軸26に接近させることができる。
この実施例ではトルクコンバータ72はクランク軸26の
中心に側面視重なるが(第1図)、本発明はクランク軸
26の中心には重ならずクランクウェブにのみ重なるもの
であってもよい。
第4図は他の実施例の一部断面図である。この実施例
のエンジン22Aは自動変速機68に代えて足動式乾式単板
クラッチ72A突きの手動変速機68Aを設けたものであり、
ここではクラッチ72Aが大径の回転体となる。この図に
おいては第2図と同一部分に同一符号を付したのでその
説明は繰り返さない。
(発明の効果) 本発明は以上のように、クランク軸と平行でかつクラ
ンク軸より上方に位置する出力軸上に変速機の主軸を配
設したから、トルクコンバータやクラッチなどの大径の
回転体がこの出力軸上に位置することになり、この回転
体がエンジンから下方へ突出することがない。また差動
装置の中心をクランク軸より下方に位置させると共に、
シリンダブロックをこの差動装置の上方を覆うように傾
斜させたから、差動装置の大減速歯車の部分が下方へ突
出したとしてもエンジン全体としての高さを小さく抑え
ることができる。また大径の回転体が配設される出力軸
はクランク軸を挟んで差動装置の反対側に位置させたか
ら、クランク軸を差動装置に十分接近させることが可能
になり、また大径の回転体がクランク軸に側面視重なる
から出力軸をクランク軸に接近させることができ、エン
ジン全体の前後寸法も小さくできる。このため狭いエン
ジンルームへのエンジンの搭載性が良好になり車両の設
計自由度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を一部断面した側面図、第2
図は同じく一部断面した平面図、第3図は車体への搭載
状態を示す平面図である。また第4図は他の実施例の一
部断面図である。 22、22A……エンジン、 24……前輪、26……クランク軸、 34……出力軸、68……自動変速機、 68A……手動変速機、 72……トルクコンバータ、 72A……クラッチ、 80……差動装置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】左右一対の駆動輪間に搭載され、車体幅方
    向に配設されたクランク軸の回転を変速機および差動装
    置を介して前記左右一対の駆動輪に伝える車両用並列多
    気筒エンジンにおいて、 前記クランク軸と一体となって回転する出力軸を前記ク
    ランク軸を挾んで前記差動装置の反対側に前記クランク
    軸と平行に配設し、前記出力軸の中心線上に大径の回転
    体および前記変速機の主軸を配設する一方、前記回転体
    をクランク軸に側面視重ね、前記クランク軸に対して前
    記出力軸を上方に前記差動装置の中心を下方にそれぞれ
    配設し、前記差動装置の上方を覆うようにシリンダブロ
    ックを傾斜させたことを特徴とする車両用並列多気筒エ
    ンジン。
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