JP2766902B2 - 4輪駆動車の動力分配装置 - Google Patents

4輪駆動車の動力分配装置

Info

Publication number
JP2766902B2
JP2766902B2 JP63326503A JP32650388A JP2766902B2 JP 2766902 B2 JP2766902 B2 JP 2766902B2 JP 63326503 A JP63326503 A JP 63326503A JP 32650388 A JP32650388 A JP 32650388A JP 2766902 B2 JP2766902 B2 JP 2766902B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydraulic
oil
transfer
wet
clutch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63326503A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02171332A (ja
Inventor
利雄 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Jukogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Jukogyo KK filed Critical Fuji Jukogyo KK
Priority to JP63326503A priority Critical patent/JP2766902B2/ja
Publication of JPH02171332A publication Critical patent/JPH02171332A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2766902B2 publication Critical patent/JP2766902B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、湿式油圧多板クラッチを介して前後輪の動
力分配する4輪駆動車の動力分配装置に関する。
〔従来の技術〕
このような4輪駆動車の動力分配装置として、特開昭
61−155027号公報に記載のものが従来知られている。こ
れは、変速機出力軸から前後輪へ分岐して動力伝達する
トランスファ内に湿式油圧多板クラッチを介設し、トラ
ンスファから前後輪へ動力伝達可能にしたものであり、
その油圧制御に応じて前後輪への伝達トルクを連続的に
変化して動力分配できるようになっている。ここで前記
湿式油圧多板クラッチは、その作動油や潤滑油がトラン
スファ内の出力歯車列や軸受け類の潤滑油と共用されて
いる。
またトランスアクスル式の手動変速機を有する4輪駆
動車を対象としたものでは、RRベースのトランクアクス
ル装置とフロントディファレンシャル装置とを備え、こ
のフロントディファレンシャル装置の入力軸に湿式油圧
多板クラッチを介設し、前後輪へ動力分配可能な実車例
も知られている。この場合、湿式油圧多板クラッチは、
フロントディファレンシャル装置内のハイポイドギヤ油
に浸漬され、またそのオイルポンプは、トランスアクス
ルやフロントディファレンシャル装置の外部に配置され
て外部配管により湿式油圧多板クラッチに作動油圧を供
給するように回路構成されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような従来は、湿式油圧多板クラッチの作動油や
潤滑油が、トランスミッションまたはトランスファ内の
歯車や軸受け類の潤滑油,あるいはディファレンシャル
装置内のハイポイドギヤ油と共用されるため、4輪駆動
走行状態で大きく転舵して湿式油圧多板クラッチ内にス
ベリ作用を発生させてタイトコーナブレーキング現象を
緩和させる際に、湿式油圧多板クラッチ内のクラッチプ
レート間に適切な摩擦特性が得られず、摩擦トルクが不
安定となってクラッチプレート間にスティックスリップ
が生じ、車室内にこもり音や振動騒音を発生させる問題
がある。
また、手動変速機を備える4輪駆動車の場合、油圧源
がトランスミッションになく、エンジン房内や車体側に
オイルポンプおよび油圧制御装置を設けるために湿式油
圧多板クラッチへの油圧回路が外部配管を要するものと
なり、ジョイントやエルボによる管路断面積の変化や変
曲部での流路抵抗により回路内抵抗が増大して湿式油圧
多板クラッチへの作動油圧の応答性が悪化し、走行状態
に応じて瞬時に前後輪への動力分配比を変えるのに時間
遅れが生じ、低μ路での旋回特性や発進性が悪化すると
いう問題がある。
そこで本発明は、湿式油圧多板クラッチがスベリ作用
する際のスティックスリップの発生を未然に防止でき、
かつ湿式油圧多板クラッチへの作動油圧の応答性を向上
できると共に、FFベースまたはRRベースの手動変速機付
4輪駆動車の双方に適用可能な4輪駆動車の動力分配装
置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明は、クラッチと手動
変速機構間に一方の駆動輪用のディファレンシャル装置
を配設した縦置きトランスアクスルに、他方の駆動輪用
のディファレンシャル装置へ動力伝達するトランスファ
を一体式に備える4輪駆動車において、上記トランスフ
ァ内を隔壁及びシール構造によりトランスアクスル側の
トランクアクスル用潤滑油と分離区画し、手動変速機構
の出力軸をトランスファ内に延長した伝動軸とトランス
ファ出力軸との間に、作動油圧の制御に応じて伝達トル
クを連続的に変化して前後輪の動力分配比を可変する湿
式油圧多板クラッチを介設し、トランスファ内に配置さ
れる上記湿式油圧多板クラッチを潤滑すると共に、該湿
式油圧多板クラッチを作動するための作動油を該トラン
スファ内に貯溜し、更に、上記クラッチからトランスア
クスルへの中空入力軸に挿通して同芯配置されたドライ
ブシャフトを介してエンジンのクランク軸により直接駆
動され、上記トランスファ内に貯溜された作動油を昇圧
して送出するオイルポンプと、上記オイルポンプに連通
構成され、上記湿式油圧多板クラッチのピストンの一方
側に形成された油圧室へ供給する作動油の油圧を調圧す
るバルブ及び油路から構成される油圧制御装置と、車両
の走行状態に応じ、上記油圧制御装置を構成するバルブ
を作動して湿式油圧多板クラッチの油圧室に供給する油
圧を制御する制御ユニットとを備え、上記オイルポンプ
及び油圧制御装置による作動油供給系をトランスアクス
ル用潤滑油と分離して該オイルポンプ及び油圧制御装置
を上記隔壁に配設したことを特徴とする。
〔作 用〕
本発明では、手動変速機構の出力軸をトランスファ内
に延長した伝動軸とトランスファ出力軸との間に、作動
油圧の制御に応じて伝達トルクを変化して前後輪の動力
分配比を可変する湿式油圧多板クラッチを介設し、車両
の走行状態に応じ制御ユニットにより油圧制御装置を介
して湿式油圧多板クラッチのピストンの一方側に形成さ
れた油圧室へ供給する作動油の油圧を制御することで、
その作動油圧の制御に応じて湿式油圧多板クラッチによ
る伝達トルクすなわち前後輪の動力分配比が連続的に変
化し、車両の走行状態や路面状況に応じて前後輪へ任意
の比率で動力伝達される。
また、トランスファ内を隔壁及びシール構造によりト
ランスアクスル側のトランスアクスル用潤滑油と分離区
画し、このトランスファ内に上記湿式油圧多板クラッチ
を配置し、さらに、このトランスファ内に、湿式油圧多
板クラッチを作動すると共に該湿式油圧多板クラッチを
潤滑する作動油を貯溜する。また、オイルポンプ及び油
圧制御装置による作動油供給系をトランスアクスル用潤
滑油と分離し、トランスファ内に貯溜された作動油を上
記オイルポンプにより昇圧して油圧制御装置に送出す
る。そして、制御ユニットにより油圧制御装置を介し
て、湿式油圧多板クラッチのピストンの一方側に形成さ
れた油圧室へ供給する作動油の作動油圧を車両の走行状
態に応じて制御し、この作動油圧による作動油を湿式油
圧多板クラッチの油圧室に供給して該湿式油圧多板クラ
ッチによる伝達トルクを制御する。従って、湿式油圧多
板クラッチの作動、並びに、この湿式油圧多板クラッチ
の潤滑を行うための作動油を、トランスアクスル用潤滑
油と完全に分離することができ、湿式油圧多板クラッチ
は、その潤滑に適正な作動油の使用により、所望の摩擦
特性が得られ、前後輪間に内部循環トルクが発生したり
変化したりする際、もしくは4輪駆動状態で大きく転舵
する場合にも、不快なスティックスリップを伴わずに滑
らかにスベリ作用する。
また、上記オイルポンプ、並びに油圧制御装置を構成
するバルブ及び油路は、トランスアクスルとトランスフ
ァとを区画する隔壁に配設されるため、作動油供給源か
ら湿式油圧多板クラッチに至る作動油の流路長が短縮
し、且つ、湿式油圧多板クラッチとの回路構成が外部配
管を用いずにシンプルに構成でき、回路内抵抗が減少し
て湿式油圧多板クラッチへの作動油圧の応答性が向上す
る。
〔実 施 例〕
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第2図は一実施例が適用される4輪駆動車の動力伝達
系のレイアウトを示すもので、同図(a)はFFベースの
4輪駆動車、同図(b)はRRベースの4輪駆動車を示
す。いずれもクラッチと手動変速機構間に一方の駆動輪
用ディファレンシャ装置を介設する縦置きトランスアク
スルに、他方の駆動輪用のディファレンシャル装置へ動
力伝達するトランスファを一体式に備えたものであり、
FFベースでは車体前部にエンジン1,トランスアクスル2,
トランスファ3がこれらの順で車体前後方向に縦置き配
置され、プロペラシャフト4を介してリヤディファレン
シャル装置5に伝動構成されており、トランスアクスル
2内のフロントディファレンシャル装置6を介して左右
の前輪7,7に、またリヤディファレンシャル装置5を介
して左右の後輪8,8に動力伝達されるようになってい
る。なお、RRベースでは車体後部にエンジン1,トランス
アクスル2,トランスファ3が前述のFFベースと逆向きに
縦置き配置され、プロペラシャフト4を介してフロント
ディファレンシャル装置6に伝動構成されるレイアウト
であり、FFベースと較べてレイアウトが車体前後方向に
逆向きとなっているだけであるから、以下、FFベースの
4輪駆動車を対象とした一実施例について説明する。
第1図(a)に示すように、前記トランスアクスル2
内には、エンジン1の出力がクラッチ9を介して入力さ
れる手動変速機構10が内蔵されている。この手動変速機
構10は、入力軸であるインプットシャフト11に高低2段
に変速する副変速機構12を介して接続するメインシャフ
ト13を備えたもので、上記インプットシャフト11および
メインシャフト13は中空に形成されて内部にエンジンの
クランク軸1a内に動力伝達可能に設けられたボス1bの内
径部に形成されたスプラインにより駆動されるオイルポ
ンプドライブシャフト14が挿通されている。また前記メ
インシャフト13には出力軸であるドライブピニオンシャ
フト15が平行配置され、これらが複数組の変速ギヤを介
して動力伝達可能なように噛合うことで前進5段後退1
段の変速段を得るようになっている。そしてこのトライ
ブピニオンシャフト15に取出された変速動力は、ドライ
ブピニオン16を介してフロントディファレンシャル装置
6に入力すると共に、スプラインカップリング17を介し
て伝動軸としてのトランスファドライブシャフト18に入
力する。
トランスファ3は、トランスファドライブギヤ19を一
体形成したトランスファドライブシャフト18に、トラン
スファドリブンギヤ20を回転自在に噛合せてプロペラシ
ャフト4に連結されるトランスファドリブンシャフト21
が平行配置されるもので、上記トランスファドリブンギ
ヤ20とトランスファドリブンシャフト21との間には湿式
油圧多板クラッチ22が介設されている。なお、上記トラ
ンスファドリブンギヤ20は、トランスファドリブンシャ
フト21と同一軸芯上に配置され、ニードルベアリング20
aを介して回転自在に軸支されている。
そしてこのようなトランスファ3は、隔壁23によって
前記トランスアクスル2と仕切られ、トランスファドラ
イブシャフト18に外装したオイルシール24とトランスフ
ァドリブンシャフト21に外装されたオイルシール25およ
びオイルポンプドライブシャフト14に動力伝達可能なよ
うに連結されたオイルポンプドリブンシャフト14aに外
装したオイルシール39とによって内部が液密状態に区画
されており、前記変動変速機構10用の潤滑油とは特性が
異なる湿式油圧多板クラッチ22専用の潤滑油(作動油)
が使用できるようになっている。またこの湿式油圧多板
クラッチ22に圧油を供給すべく、前記隔壁23にはオイル
ポンプドライブシャフト14およびオイルポンプドリブン
シャフト14aを介してエンジン駆動されるオイルポンプ2
6のオイルポンプハウジング26a内に設けられたインナロ
ータ26b,アウタロータ26cが付設されると共に、トラン
スファ3の下部にはオイルパン27が付設されている。
前記湿式油圧多板クラッチ22は、クラッチドラム22a
がトランスファドリブンシャフト21に嵌合して溶接等に
より固定され、クラッチハブ22bがトランスファドリブ
ンギヤ20の側部に同様に溶接固定されている。そしてク
ラッチドラム22aの内周には、複数枚のリング状クラッ
チプレート22cが両端部のリテーナプレート22d,22eと共
にスプライン嵌合し、一方、クラッチハブ22bの外周に
は、複数枚のリンク状クラッチディスク22fが上記クラ
ッチプレート22cと交互に配置されてスプライン嵌合
し、これらのクラッチプレート22c,リテーナプレート22
d,22e,クラッチディスク22fで多板クラッチが構成され
ている。そしてこのような多板クラッチに当接して押圧
力を付与するピストン22gは、前記トランスファドリブ
ンシャフト21にシールリング28を介して摺動自在に嵌合
するカップ状をなし、その外周部をクラッチドラム22a
の内周にシールリング29を介して摺接することでクラッ
チドラム22aとの間に油圧室22hを形成している。また前
記ピストン22gの油圧室22hと反対側に、リテーナリング
30に支持されてリターンスプリング31が付勢され、油圧
室22hの油圧解放時にピストン22gを押戻すようになって
いる。
一方、前記オイルポンプ26は、オイルポンプハウジン
グ26a内にインナロータ26bおよびアウタロータ26cが内
接噛合いしながら圧油を圧送する型式のものであり、第
3図(a)に示すように前記隔壁23内に形成された吸入
ポート32aは、連結穴32b,油路32を介してオイルパン27
内のオイルストレーナ32cに連通する。この隔壁23に
は、吐出ポート33aと連通する油路33を介し、第3図
(b)に示すオイルディストリビュータ45に形成された
油路46と連通する油溝34b,34cがレギュレータバルブ34
に連通され、またトランスファクラッチバルブ35とパイ
ロットバルブ36が油路40,41を介して連通しており、各
種バルブと油路などが一体形成されている。そしてトラ
ンスファクラッチバルブ35が上記隔壁23の油路42と連通
する油路43を介して隔壁23と前記トランスファドリブン
シャフト21に挾まれる油路44に連通し、トランスファド
リブンシャフト21内に形成された油路37を介して湿式油
圧多板クラッチ22の油圧室22hに連通構成されている。
そして前記パイロットバルブ36とトランスファクラッチ
バルブ35をつなぐ油路41の途中には、第3図(c)に示
すように、オイルディストリビュータ48に取り付けられ
たデューティソレノイドバルブ37のポペット弁37aへ油
路41aを介して連通している。なお、第3図(b),
(c)に示す油圧回路は、セパレートプレート47がオイ
ルポンプの吸込回路,吐出回路および各油圧回路の液密
を保つように取付けられており、かつ各バルブ周辺の油
圧回路を第3図(b),(c)のように連通するために
オイルディストリビュータ45,48が設けられる。
ここで湿式油圧多板クラッチ22の油圧制御系について
説明する。これは第4図に示すように前記オイルポンプ
26からレギュレータバルブ34で圧力調圧されて湿式油圧
多板クラッチ22の油圧室22hに至る油路中に介設したト
ランスファクラッチバルブ35をデューティ圧制御するも
ので、パイロットバルブ36を介して上記レギュレータバ
ルブ34からの油圧を一定油圧に減圧してパイロット圧を
得、このパイロットバルブ36から、トランスファクラッ
チバルブ35に至るパイロット圧の油路41中に排出制御用
のデューティソレノイドバルブ37が挿入される。そして
このデューティソレノイドバルブ37のポペット弁37aが
制御ユニット38からのデューティ信号によりパルス幅変
調制御され、トランスファクラッチバルブ35に至る油圧
を所望のデューティ圧に調整することで、トランスファ
クラッチバルブ35はデューティ圧とスプリング35aのバ
ネ力のバランス関係が成立し、所望のクラッチ圧に調整
されるようになっている。なお、デューティ比とデュー
ティ圧およびクラッチ圧との関係は第5図に示すとおり
である。
以上の構成を有する4輪駆動車は、エンジン1のクラ
ンク軸1aからクラッチ9を介して手動変速機構10に伝達
された動力をそこで適宜変速し、ドライブピニオンシャ
フト15からこれを一方はドライブピリオン16を介してフ
ロントディファレンシャル装置6に入力し、他方はトラ
ンスファ3内の湿式油圧多板クラッチ22を介してリヤデ
ィファレンシャル装置5に入力する。そして湿式油圧多
板クラッチ22へのクラッチ圧を走行状態に応じて変化さ
せ、前輪7,7および後輪8,8に動力分配比を変化しつつ4
輪駆動する。この場合、動力分配比は、制御ユニット38
からのデューティ比信号に応じたクラッチ圧の変化によ
り前輪100%,後輪0%のOFF状態から漸次後輪側の分配
を増し前後輪とも直結式の4WD状態までの範囲で変化す
る。そこで制御ユニット38にスロットル開度信号,レン
ジ信号,後輪回転信号,前輪回転信号,アイドル信号等
の各種の信号を入力し、あらかじめ各変速段ごとに設定
されたデューティ比のテーブルマップから上記各信号に
基づいて最適デューティ比をマップ検索して信号出力す
ることにより、自動車の走行状態や路面条件に応じた最
適な前後動力分配が可能となり、走行安定や運転性を向
上することができる。
ここで4輪駆動走行中に、車両の前輪7と後輪8の軸
重配分の差や急加速,登坂時における重心移動によって
前後輪のタイヤ有効径に差が生じた場合には、前後輪間
に相対回転が生じる。このような場合、湿式油圧多板ク
ラッチ22は所望のクラッチ圧に制御されることでトリク
リミッタとして働き、クラッチドラム22a側のクラッチ
プレート22cとクラッチハブ22b側のクラッチディスク22
fとの間にスベリを生じて前後輪7,8の回転差を伴う内部
循環トルクを吸収する。従って4輪駆動走行中の加速性
能や燃費を向上させることができる。
また、4輪駆動走行中に大きく転舵すると、前後輪7,
8の旋回半径の差より前後輪7,8間に内部循環トルクが発
生し、特に低速最大転舵時が最も大きく、必要以上の駆
動力が必要となり、車庫入れなどの時、エンストが発生
するなどの不都合が生じる。このような場合、湿式油圧
多板クラッチ22は、前後輪の回転数信号に基づいてその
回転比あるいは回転差に応じて所望のクラッチ圧になる
ように減圧制御されるのであり、クラッチプレート22c
とクラッチディスク22f間にスベリを生じてこの問題に
対処する。従って、旋回時におけるタイトコーナブレー
キング現象が回避できる。また湿式油圧多板クラッチ22
がこのようなスベリ作用をする際、トランスファ3内は
隔壁23およびオイルシール24,25,39で液密状態に保たれ
ており、湿式油圧多板クラッチ22専用の潤滑油(作動
油)が使用されることから、所望の摩擦特性が得られ、
スティックスリップは発生しない。従って特に低速最大
転舵時などに不快な振動や騒音が生じることがなく、ま
た摩擦材についても所望は信頼性および耐久性が得られ
る。
ここで湿式油圧多板クラッチ22への油圧制御装置は、
トランスファ3の隔壁23にオイルポンプ26への吸込回路
32,32b,32aおよび吐出回路33a,33を形成し、上記吐出回
路に連通するレギュレータバルブ34,レギュレータバル
ブ34の調圧回路とパイロットバルブ36の連通回路および
レギュレータバルブ34の調圧回路とトランスファクラッ
チバルブ35の連通回路,パイロットバルブ36とトランス
ファクラッチバルブ35間の連通回路,トランスファクラ
ッチバルブ35と湿式油圧多板クラッチ22の油圧室22h間
の連通回路などが形成されるから、エンジン房内や車体
側に油圧制御装置を用いるものに対して、回路長さが短
縮できるだけでなく外部配管も不要となり、回路内抵抗
が減少して作動油圧の応答性が向上する。
なお、以上の実施例は、トランスファドライブシャフ
ト18に形成されたトランスファドライブギヤ19と常時噛
合うトランスファドリブンギヤ20に溶接一体形成された
クラッチハブ22bとトランスファドリブンシャフト21間
を湿式多板クラッチ22を介して伝動構成される例を示し
たが、第1図(b)および第1図(c)に示すような構
成にしてもよい。
第1図(b)は、トランスファドライブシャフト18に
クラッチドラム22aを溶接一体結合し、トランスファド
ライブギヤ19にクラッチハブ22bを一体結合し、この間
を湿式油圧多板クラッチ22を介して伝動構成するもので
ある。
この場合、トランスファドライブギヤ19は、トランス
ファドライブシャフト18上のニードルベアリング20aを
介して回転自在に軸支され、トランスファドリブンギヤ
22とトランスファドリブンシャフト21は、一体に構成さ
れる。湿式油圧多板クラッチ22の油圧室22hへの油圧供
給は、トランスファ3後方とトランスファドライブシャ
フト18後端間で挾まれた油圧室44を介して油路37を経由
して供給される。
第1図(c)は、トランスファドライブシャフト18に
クラッチハブ22bを一体形成し、トランスファドライブ
シャフト18に対して同一軸心上に配置されたトランスフ
ァドリブンシャフト21にクラッチドラブ22aを一体構成
したもので、このクラッチハブ22bとクラッチドラム22a
間に湿式油圧多板クラッチ22を介して伝動構成するもの
である。この場合、トランスファドライブシャフト18と
トランスファドリブンシャフト21は、ニードベアリング
20aを介して回転自在に軸支される。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、手動変速機構
の出力軸をトランスファ内に延長した伝動軸とトランス
ファ出力軸との間に、作動油圧の制御に応じて伝達トル
クを変化して前後輪の動力分配比を可変する湿式油圧多
板クラッチを介設し、車両の走行状態に応じ制御ユニッ
トにより油圧制御装置を介して湿式油圧多板クラッチの
ピストンの一方側に形成された油圧室へ供給する作動油
の油圧を制御するので、その作動油圧の制御に応じて湿
式油圧多板クラッチによる伝達トルクすなわち前後輪の
動力分配比が連続的に変化し、車両の走行状態や路面状
況に応じて前後輪へ任意の比率で動力伝達され、4輪駆
動走行中の加速性や燃費を向上させることができると共
に、路面状況に応じた車両の最適な駆動、制動安定性が
得られ、また旋回時におけるタイトコーナブレーキング
現象を回避して車両のコーナリング特性を向上すること
ができる。
また、トランスファ内を隔壁及びシール構造によりト
ランスアクスル側のトランスアクスル用潤滑油と分離区
画し、このトランスファ内に上記湿式油圧多板クラッチ
を配置し、さらに、このトランスファ内に湿式油圧多板
クラッチを作動すると共に該湿式油圧多板クラッチを潤
滑する作動油を貯溜する。また、オイルポンプ及び油圧
制御装置による作動油供給系をトランスアクスル用潤滑
油と分離し、トランスファ内に貯溜された作動油を上記
オイルポンプにより昇圧して油圧制御装置に送出する。
そして、制御ユニットにより油圧制御装置を介して、湿
式油圧多板クラッチのピストンの一方側に形成された油
圧室へ供給する作動油の作動油圧を車両の走行状態に応
じて制御し、この作動油圧による作動油を湿式油圧多板
クラッチの油圧室に供給して該湿式油圧多板クラッチに
よる伝達トルクを制御するので、湿式油圧多板クラッチ
の作動、並びに、この湿式油圧多板クラッチの潤滑を行
うための作動油を、トランスアクスル用潤滑油と完全に
分離することができる。
従って、トランスアクスルに対しては従来と同様に、
噛み合い接触面での高面圧を重視したトランスアクスル
用の潤滑油を用いることができ、また、前後輪への動力
分配装置を構成する上記湿式油圧多板クラッチに対して
は、該湿式油圧多板クラッチの作動、並びにこの湿式油
圧多板クラッチの潤滑に適正な所定の組成を有する作動
油の使用が可能となる。その結果、湿式油圧多板クラッ
チは、その潤滑に適正な作動油の使用により、所望の摩
擦特性が得られ、前後輪間内部循環トルクの発生の際や
4輪駆動状態で大きく転舵する場合に、不快なスティッ
クスリップを伴わずに滑らかにスベリ作用することが可
能となり、スティックスリップによる車室内のこもり音
や振動騒音を解消することができる。
また、上記オイルポンプ、並びに油圧制御装置を構成
するバルブ及び油路は、トランスアクスルとトランスフ
ァとを区画する隔壁に配設されるので、作動油供給源か
ら湿式油圧多板クラッチに至る作動油の流路長が短縮
し、且つ、湿式油圧多板クラッチとの回路構成が外部配
管を用いずにシンプルに構成でき、回路内抵抗が減少し
て湿式油圧多板クラッチへの作動油圧の供給と湿式油圧
多板クラッチからの排油の応答性を向上することが可能
となり、湿式油圧多板クラッチへの作動油圧の応答性の
向上により低μ路での旋回特性や発進性を向上すること
ができる。
更に、本発明は、手動変速機構を内蔵する縦置きトラ
ンスアクスルと一体のトランスファを備える4輪駆動車
を前提とするので、FFベースまたはRRベースの手動変速
機構付4輪駆動車の双方に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明の一実施例を示す要部断面図、第
1図(b),(c)は本発明の他の実施例を示す要部断
面図、第2図(a),(b)は本発明が適用される4輪
駆動車の伝動系の概略構成図、第3図(a)は第1図
(a)のIII−III線端面図、第3図(b),(c)は第
3図(a)の油圧回路構成を示す概略図、第4図は一実
施例に使用する油圧回路図、第5図はデューティ圧およ
びクラッチ圧の特性図である。 1……エンジン、2……トランスアクすル、3……トラ
ンスファ、4……プロペラシャフト、5……リヤディフ
ァレンシャル装置、6……フロントディファレンシャル
装置、7……左右の前輪、8……左右の後輪、9……ク
ラッチ、10……手動変速機構、11……インプットシャフ
ト、12……副変速機構、13……メインシャフト、14……
オイルポンプドライブシャフト、15……ドライブピニオ
ンシャフト、16……ドライブピニオン、17……スプライ
ンカップリング、18……トランスファドライブシャフ
ト、19……トランスファドライブギヤ、20……トランス
ファドリブンギヤ、21……トランスファドリブンシャフ
ト、22……湿式油圧多板クラッチ、22a……クラッチド
ラム、22b……クラッチハブ,22c……クラッチプレー
ト、22d,22e……リテーナプレード、22f……クラッチデ
ィスク、22g……ピストン、22h……油圧室、23……隔
壁、24,25,39……オイルシール、26……オイルポンプ、
26a……オイルポンプハウジング、27……オイルパン、2
8,29……シールリング、30……リテーナリング、31……
リターンスプリング、32,33,37……油路、34……レギュ
レータバルブ、35……トランスファクラッチバルブ、36
……パイロットバルブ、37……デューティソレノイドバ
ルブ、38……制御ユニット。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クラッチと手動変速機構間に一方の駆動輪
    用のディファレンシャル装置を配設した縦置きトランス
    アクスルに、他方の駆動輪用のディファレンシャル装置
    へ動力伝達するトランスファを一体式に備える4輪駆動
    車において、 上記トランスファ内を隔壁及びシール構造によりトラン
    スアクスル側のトランクアクスル用潤滑油と分離区画
    し、 手動変速機構の出力軸をトランスファ内に延長した伝動
    軸とトランスファ出力軸との間に、作動油圧の制御に応
    じて伝達トルクを連続的に変化して前後輪の動力分配比
    を可変する湿式油圧多板クラッチを介設し、 トランスファ内に配置される上記湿式油圧多板クラッチ
    を潤滑すると共に、該湿式油圧多板クラッチを作動する
    ための作動油を該トランスファ内に貯溜し、 更に、上記クラッチからトランスアクスルへの中空入力
    軸に挿通して同芯配置されたドライブシャフトを介して
    エンジンのクランク軸により直接駆動され、上記トラン
    スファ内に貯溜された作動油を昇圧して送出するオイル
    ポンプと、 上記オイルポンプに連通構成され、上記湿式油圧多板ク
    ラッチのピストンの一方側に形成された油圧室へ供給す
    る作動油の油圧を調圧するバルブ及び油路から構成され
    る油圧制御装置と、 車両の走行状態に応じ、上記油圧制御装置を構成するバ
    ルブを作動して湿式油圧多板クラッチの油圧室に供給す
    る油圧を制御する制御ユニットとを備え、 上記オイルポンプ及び油圧制御装置による作動油供給系
    をトランスアクスル用潤滑油と分離して該オイルポンプ
    及び油圧制御装置を上記隔壁に配設したことを特徴とす
    る4輪駆動車の動力分配装置。
JP63326503A 1988-12-23 1988-12-23 4輪駆動車の動力分配装置 Expired - Fee Related JP2766902B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63326503A JP2766902B2 (ja) 1988-12-23 1988-12-23 4輪駆動車の動力分配装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63326503A JP2766902B2 (ja) 1988-12-23 1988-12-23 4輪駆動車の動力分配装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02171332A JPH02171332A (ja) 1990-07-03
JP2766902B2 true JP2766902B2 (ja) 1998-06-18

Family

ID=18188558

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63326503A Expired - Fee Related JP2766902B2 (ja) 1988-12-23 1988-12-23 4輪駆動車の動力分配装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2766902B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4519296B2 (ja) * 2000-09-14 2010-08-04 富士重工業株式会社 4輪駆動車のトランスミッション装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5873442A (ja) * 1981-10-27 1983-05-02 Fuji Heavy Ind Ltd 自動変速機付車両

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02171332A (ja) 1990-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5148903A (en) Power transmission system for a four-wheel drive motor vehicle
US7448977B2 (en) Motor vehicle transaxle having a differential mechanism controlled by an on-demand clutch
EP0390362A2 (en) Power transmission system of a motor vehicle
US7743888B2 (en) Transmission and transfer case having integrated lubrication systems
JP2013533440A (ja) 伝動装置アッセンブリ
US5215161A (en) Power transmission system for a four-wheel drive motor vehicle
US4903811A (en) Transfer device for a four-wheel drive motor vehicle
US5868642A (en) Right/left driving torque distributing device for vehicle
JP2766902B2 (ja) 4輪駆動車の動力分配装置
JP2652673B2 (ja) 4輪駆動車の動力分配装置
JP2722241B2 (ja) 車両用差動制限装置
JP2736786B2 (ja) 4輪駆動車の動力分配用湿式油圧多板クラッチ
JP2652671B2 (ja) 4輪駆動車の動力分配装置
JP3430754B2 (ja) 四輪駆動車
JP2721977B2 (ja) 4輪駆動車の動力分配装置
JP2883902B2 (ja) 4輪駆動車
JP2652674B2 (ja) 4輪駆動車の動力分配装置
JPH0292729A (ja) 4輪駆動車の動力分配装置
JP2722242B2 (ja) 車両用差動制限装置
JP2652672B2 (ja) 4輪駆動車の動力分配装置
JP2721976B2 (ja) 4輪駆動車の動力分配装置
JP2577755B2 (ja) 4輪駆動車用動力伝達装置
JPS6337728B2 (ja)
JP7433701B2 (ja) オイル供給構造
JP2619880B2 (ja) 4輪駆動車用動力伝達装置における潤滑装置

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees