JP2722242B2 - 車両用差動制限装置 - Google Patents

車両用差動制限装置

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JP2722242B2
JP2722242B2 JP1082526A JP8252689A JP2722242B2 JP 2722242 B2 JP2722242 B2 JP 2722242B2 JP 1082526 A JP1082526 A JP 1082526A JP 8252689 A JP8252689 A JP 8252689A JP 2722242 B2 JP2722242 B2 JP 2722242B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両の走行状態あるいは路面状況に応じて
湿式油圧多板クラッチへの作動油圧を制御し、この制御
を通じて車両の左右駆動輪への伝達トルクを可変制御で
きるようにした車両用差動制限装置に関する。
〔従来の技術〕
このような車両用差動制限装置として、特開昭62−14
3719号公報,あるいは特開昭62−134339号公報に記載の
ものが従来知られている。これは、左右輪の差動装置に
おけるディファレンシャルケースとサイドギヤとの間に
差動歯車の差動作用を制限するトルクを発生させる湿式
油圧多板クラッチを構成したものであり、その作動油圧
の制御により差動制限トルクを変化させて良好な旋回性
能を得るようになっている。ここで前記湿式油圧多板ク
ラッチは、クラッチプレートやクラッチディスクなどの
多板クラッチの潤滑油が、ディファレンシャルケース外
側の終減速歯車用の潤滑油(ハイポイドギヤ油)と共用
されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
このように従来は、湿式油圧多板クラッチの潤滑油
が、終減速歯車のかみ合い接触面での高面圧を重視して
極圧添加剤を含んだ終減速歯車用の潤滑油と共用されて
いるため、湿式油圧多板クラッチは広い運転範囲で適切
な摩擦特性が得られず、クラッチ板に必要に応じてスベ
リ作用を与える際に、伝達トルクが不安定となってステ
ィックスリップを起し、車体のこもり音や振動騒音を発
生する問題があった。
そこで本発明は、車両の走行状態や路面状況に応じて
湿式油圧多板クラッチがスベリ作用する際のスティック
スリップの発生を未然に防止し、併せて湿式油圧多板ク
ラチへの作動油圧の制御精度を向上できる車両用差動制
限装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明は、前輪用または後
輪用の独立差動装置におけるディファレンシャルケース
内に固定されるピニオンシャフトに、複数のピニオンを
回転自在に装着し、該ピニオンに噛合し且つ各アクスル
シャフトにそれぞれ結合する一対のサイドギヤを上記デ
ィファレンシャルケース内に回転自在に配設すると共
に、ディファレンシャルケースと一方のアクスルシャフ
トとの間に、作動油圧の制御に応じて伝達トルクを変化
して差動制限する湿式油圧多板クラッチを介設した車両
用差動制限装置において、上記湿式油圧多板クラッチ
を、独立差動装置内の終減速歯車用の潤滑油と分離し
て、上記アクスルシャフトの周囲に設けたクラッチハウ
ジング内に配置し、上記湿式油圧多板クラッチを作動す
ると共に該湿式油圧多板クラッチを潤滑する作動油を貯
溜するオイルパンを、上記終減速歯車用の潤滑油と分離
して独立差動装置本体に設け、上記オイルパンに貯溜さ
れた作動油を昇圧して送出するオイルポンプと、上記オ
イルポンプに連通構成され、上記湿式油圧多板クラッチ
を作動するための該湿式油圧多板クラッチのピストンの
一方側に形成された油圧室へ供給する作動油の作動油圧
を車両の走行状態に応じて制御すると共に、上記湿式油
圧多板クラッチへ潤滑用として供給する作動油の潤滑油
圧を制御する油圧制御装置とを備え、更に、不動部材で
ある上記クラッチハウジングをシリンダとして該クラッ
チハウジングに対し、上記湿式油圧多板クラッチのピス
トンを廻り止めして摺動自在に嵌合させ、かつ上記ピス
トンをベアリングを介してクラッチドラム内のクラッチ
板に当接したことを特徴とする。
〔作 用〕
本発明では、独立差動装置のディファレンシャルケー
スと一方のアクスルシャフトとの間に差動歯車の差動作
用を制限するトルクを発生させる湿式油圧多板クラッチ
を介設し、車両の走行状態に応じて油圧制御装置により
湿式油圧多板クラッチのピストンの一方側に形成された
油圧室へ供給する作動油の油圧を制御することで、その
差動油圧の制御に応じて湿式油圧多板クラッチによる差
動制限トルクが連続的に変化し、車両の左右駆動輪へ任
意の比率で動力伝達される。
また、独立差動装置内の終減速歯車用の潤滑油と分離
して、湿式油圧多板クラッチをアクスルシャフトの周囲
に設けたクラッチハウジング内に配置し、さらに、上記
湿式油圧多板クラッチを作動すると共に該湿式油圧多板
クラッチを潤滑する作動油を貯溜するオイルパンを、上
記終減速歯車用の潤滑油と分離して独立差動装置本体に
設け、上記オイルパンに貯溜された作動油をオイルポン
プにより昇圧して油圧制御装置に送出する。そして、こ
の油圧制御装置により、湿式油圧多板クラッチのピスト
ンの一方側に形成された油圧室へ供給する作動油の作動
油圧を車両の走行状態に応じて制御し、この作動油圧に
よる作動油を湿式油圧多板クラッチの油圧室に供給して
該湿式油圧多板クラッチによる差動制限トルクを制御す
ると共に、クラッチハウジング内に配置された上記湿式
油圧多板クラッチへ潤滑用として供給する作動油の潤滑
油圧を制御して、この潤滑油圧による作動油を湿式油圧
多板クラッチに供給して該湿式油圧多板クラッチを潤滑
する。従って、湿式油圧多板クラッチの作動、並びに、
この湿式油圧多板クラッチの潤滑を行うための作動油
を、終減速歯車用潤滑油と完全に分離することができ、
湿式油圧多板クラッチは、その潤滑に適正な作動油の使
用により、所望の摩擦特性が得られ、例えば、舗装路で
大きく転舵して左右輪に差動制限トルクを与えながら走
行する場合にも不快なスティックスリップを伴わずに滑
らかにスベリ作用する。
また、終減速歯車用の潤滑油と分離して独立差動装置
本体に設けたオイルパンに貯溜された作動油をオイルポ
ンプにより昇圧して油圧制御装置に送出し、この油圧制
御装置によって、クラッチハウジング内に配置された上
記湿式油圧多板クラッチへ潤滑用として供給する作動油
の潤滑油圧を制御し、この潤滑油圧による作動油を湿式
油圧多板クラッチに供給するため、終減速歯車用潤滑油
と分離してクラッチハウジング内に配置された湿式多板
クラッチを適正な潤滑油圧によって強制潤滑することが
可能となり、この湿式油圧多板クラッチに対する潤滑性
が向上する。
更に、差動制限装置を構成する湿式油圧多板クラッチ
の作動、並びに、この湿式油圧多板クラッチを潤滑する
油は、兼用することが可能となり、同一の作動油を同一
の油圧源から油圧制御装置を介して供給される。
また、不動部材である上記クラッチハウジングをシリ
ンダとして該クラッチハウジングに対し、上記湿式油圧
多板クラッチのピストンを廻り止めして摺動自在に嵌合
させ、また、ピストンを廻り止めしたことによりベアリ
ングを介して該ピストンをクラッチドラム内のクラッチ
板に当接するので、湿式油圧多板クラッチのピストンに
は遠心油圧が作用せず、これにより、遠心油圧の影響を
受けることなく、差動油圧の制御を正確に行うことが可
能となり、湿式油圧多板クラッチで発生する差動制限ト
ルクの制御精度が向上する。
〔実 施 例〕
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第2図は一実施例が適用される車両の伝動系の概略構
成を示すもので、車体前部にエンジン1,トランスミッシ
ョン2が車体前後方向に縦置き配置され、プロペラシャ
フト3,後輪駆動用の独立差動装置4を介して左右の後輪
5a,5bに動力伝達されるようになっている。
前記独立差動装置4は、第1図(a)に示すようにデ
ィファレンシャルキャリア6内に終減速歯車であるハイ
ポイドピニオンギヤ7,ハイポイドドライブギヤ8および
リヤディファレンシャル9を収容したもので、ディファ
レンシャルキャリア6の後端部はカバー10で覆われ、ま
た前端部にはエクステンションケース11が連設されてい
る。そしてハイポイドピニオンギヤ7は、前記プロペラ
シャフト3に接続する軸部7aが、ディファレンシャルキ
ャリア6側のダブルテーパローラベアリング12とエクス
テンションケース11側のボールベアリング13とで回転自
在に2点支持されている。またこのハイポイドピニオン
ギヤ7と噛合うハイポイドドライブギヤ8は、リヤディ
ファレンシャル9におけるディファレンシャルケース9a
のフランジ部にボルト固定されている。
前記リヤディファレンシャル9は、ピニオンシャフト
9bに回転自在に支持されたディファレンシャルピニオン
9cやこれに噛合う左右のサイドギヤ9d,9eなどのディフ
ァレンシャルケース9a内に収容したもので、上記サイド
ギヤ9d,9eにスプライン嵌合する左右のアクスルシャフ
ト14,15、ディファレンシャルケース9aの筒部9f,9f内に
回転自在に嵌合して挿通されている。そしてこのディフ
アレンシャルケース9aの筒部9f,9fは、前記ディファレ
ンシャルキャリア6に嵌合固定したリテーナベアリング
16およびクラッチハウジング17にテーパローラベアリン
グ18,18を介して回転自在に支持されており、このよう
なディファレンシャルケース9aの一方の筒部9fとこれに
対応したアクスルシャフト15との間には湿式油圧多板ク
ラッチ19が介設されている。
ここで前記クラッチハウジング17は、湿式油圧多板ク
ラッチ19を覆い、かつ筒部9fに外装したオイルシール20
とアクスルシャフト15に外装したオイルシール21とによ
って内部が液密に区画されており、ハイポイドピニオン
ギヤ7,ハイポイドドライブギヤ8,ダブルテーパローラベ
アリング12,テーパローラベアリング18,リヤディファレ
ンシャル9などの潤滑油がクラッチハウジング17内に浸
入しないようになっている。そしてこのクラッチハウジ
ング17内の湿式油圧多板クラッチ19を専用の潤滑油で潤
滑すると共に、この潤滑油を湿式油圧多板クラッチ19の
油圧室に供給するために、ディファレンシャルキャリア
6の側面には電動式のオイルポンプ22が付設されると共
に、その下面には油圧制御装置23を内蔵するオイルパン
24が付設されている(第1図(b)参照)。
前記湿式油圧多板クラッチ19は、第1図(c)にも示
すようにクラッチドラム19aがアクスルシャフト15の途
中にスプライン嵌合し、かつその一端部がスラストベア
リング31を介してクラッチハウジング17に係止されると
共に、クラッチハブ19bがディファレンシャルケース9a
の筒部9fの外周にスプライン嵌合している。そしてクラ
ッチドラム19aの内周には、複数枚のリング状クラッチ
プレート19cがスプライン嵌合し、一方、クラッチハブ1
9bの外周には、複数枚のリング状クラッチディスク19f
が上記クラッチプレート19cと交互に配置されてスプラ
イン嵌合し、これらのクラッチプレート19c,クラッチデ
ィスク19fで多板クラッチが構成されている。またこの
ような多板クラッチに押圧力を付与するピストン19g
は、不動部材であるクラッチハウジング17の内周とクラ
ッチハウジング17に形成した内側ガイド筒17a外周とに
摺動自在に嵌合するリング状をなしてクラッチハウジン
グ17との間に油圧室19hを形成している。そしてこのよ
うなピストン19gは、クラッチハウジング17に植設した
ガイドピン17bに摺動自在に嵌合して廻り止めされる。
また、上記油圧室19hと反対側の作用端部をスラストベ
アリング32を介してクラッチドラム19a内の前記クラッ
チプレート19cに当接すると共に、復帰用の皿バネ19jに
当接している。
一方、前記オイルポンプ22は、ディファレンシャルキ
ャリア6に形成したオイルポンプキャリア6a内にモータ
駆動されるインナロータ22aおよびこれに噛合うアウタ
ロータ22bを回転自在に収容した内接歯車ポンプであ
り、図示省略した油路を介してオイルパン24内の油圧制
御装置23およびオイルストレーナ25に連通構成されてい
る(第3図参照)。
前記油圧制御装置23は、レギュレータバルブ26,クラ
ッチコントロールバルブ27,パイロットバルブ28などを
一体構成したもので、図示省略した油路からクラッチハ
ウジング17に設けた油孔17cを介して湿式油圧多板クラ
ッチ19の油圧室19hに連通している。また湿式油圧多板
クラッチ19の潤滑油は、クラッチハウジング17に設けた
油路17dを介してクラッチハウジング17の内部に連通し
ている。
ここで湿式油圧多板クラッチ19の油圧制御系について
説明する。これは第3図に示すように前記オイルポンプ
22からレギュレータバルブ26で圧力調整されて湿式油圧
多板クラッチ19の油圧室19hに至る油路中に介設したク
ラッチコントロールバルブ27をデューティ圧制御するも
ので、パイロットバルブ28を介してクラッチコントロー
ルバルブ27に至るパイロット圧の油圧回路中に排出制御
用のデューティソレノイドバルブ29が挿入される。そし
てこのデューティソレノイドバルブ29が制御ユニット30
からのデューティ信号により所望のデューティ圧に調整
することで、クラッチコントロールバルブ27は所望のク
ラッチ圧に調整されるようになっている。そしてこのク
ラッチ圧の変化に応じて湿式油圧多板クラッチ19は伝達
トルク(差動制限トルク)を変化するのであり、前記デ
ューティ比とデューティ圧およびデューティ圧と差動制
限トルクとの関係は第4図(a),(b)に示すとおり
である。また前記プレッシャレギュレータバルブ26で圧
力調整されたオイルは、クラッチハウジング17の油路17
dを介してクラッチハウジング17内に至り、そこでクラ
ッチプレート19c,クラッチディスク19fなどを潤滑する
ようになっている。
第5図は、制御ユニット30内において行なわれる処理
の流れを示している。まず、左右駆動輪5a,5bの回転数
を検出して左右輪のスリップの有無を演算し、左右輪の
スリップが設定値以下ならば、スロットル開度,車速,
加速度,ギヤ位置,転舵角等で予め設定したマップから
必要差動制限トルクを検索する。そしてこのクラッチの
トルク伝達容量に対応したデューティ比を選択してデュ
ーティソレノイドバルブ29に出力する。ここで、左右輪
のスリップが所定値以上になるとスリップと判定し、ス
リップ発生時のマップ値を検索してデューティソレノイ
ドバルブ29に出力する。
以上の構成を有する車両は、エンジン1からトランス
ミッション2を介して伝達された動力をそこで適宜変速
し、プロペラシャフト3を介して独立差動装置4に入力
する。そして独立差動装置4内のリヤディファレンシャ
ル9を介して左右の後輪5a,5bに動力達して2輪駆動す
る。
ここでリヤディファレンシャル9のディファレンシャ
ルケース9aの筒部9fとアクスルシャフト15との間には、
伝達トルクが可変の湿式油圧多板クラッチ19が介設れて
いるので、その伝達トルクに応じて差動制限トルクは連
続的に変化する。すなわち制御ユニット30からのデュー
ティ比信号に応じたクラッチ圧の変化により差動制限ト
ルクが連続的に変化するのである。例えばデューティ比
100%で湿式油圧多板クラッチ19の伝達トルクをゼロと
した場合には差動制限作用は行なわれず、左右の後輪5
a,5bは直進状態で路面抵抗が等しい場合、左右のサイド
ギヤ9d,9eにかかる抵抗が等しいのでピニオンは回転せ
ず、ディファレンシャルケース9a,ピニオンシャフト9b
およびサイドギヤ9d,9eは一体となって回転し、左右輪
の駆動トルクは50%,50%に動力分配されると共に、左
右駆動輪の路面抵抗が等しい旋回時には自由に差動作用
する。
しかし、片輪が舗装路等の摩擦係数の高い路面に接
し、反対側が圧雪や泥ねい地等の摩擦係数の低い路面に
接する場合、ディファレンシャルケース9aが回転すると
左右輪からの路面抵抗の差による差動作用が生じ、摩擦
係数の高い路面に接している一方の駆動輪は駆動力を失
ない、例えば泥ねい地,不整地あるいは雪上等からの脱
出は難しくなる。
一方、デューティ比0%として湿式油圧多板クラッチ
19を直結した場合にはリヤディファレンシャル9はロッ
クされ、左右の後輪5a,5bは路面摩擦係数が左右で異な
り、路面抵抗に差が生じた場合においても50%,50%に
動力分配され、駆動力が確保される。
そして特にデューティ比を0%から増加していった場
合には湿式油圧多板クラッチ19の伝達トルクが漸次低下
してデフロック状態は徐々に解除され、差動制限トルク
を低い値にすれば左右の後輪5a,5bは路面抵抗が等しい
旋回時に左右輪の回転差による差動作用が発生し、また
路面摩擦係数が左右で異なる旋回の場合も、高い路面摩
擦係数側の駆動輪は駆動力を失なうことなく作動作用を
行なう。そしてこの差動時および直進状態時には、車両
の走行状態や路面状況に応じた差動制限作用により所定
比率までの範囲で差動制限トルクを自由に変化させなが
ら左右の後輪5a,5bに動力分配されるのである。
そこで制御ユニット30にスロットル開度信号,変速レ
ンジ信号,左右の後輪回転信号,舵角信号等の各種の信
号を入力し、あらかじめ各変速レンジ毎に設定されたデ
ューティ比のテーブルマップから最適チューティ比をマ
ップ検索して信号出力することにより、車両の高速時,
低速時,加速時,減速時,直進時,旋回時などの各種走
行状態や路面条件に応じた最適な左右の後輪5a,5bへの
動力分配が可能となり、走行安定性,運転性,発進性な
どを向上することができる。また、ブレーキ系にアンチ
ロックブレーキシステムを備えた車両では、その作動時
における左右の後輪5a,5b間の差動状態が湿式油圧多板
クラッチ19を解放することで得られるから、アンチロッ
クブレーキの機能を有効に発揮し得る。
ここで車両の路面抵抗が等しい旋回時等における差動
制限作用時の湿式油圧多板クラッチ19の挙動についてみ
ると、差動制限トルクを低い値に制御するように前述の
マップ検索によりデューティソレノイドバルブ29がデュ
ーティ制御されるから、油圧室19hにはクラッチコント
ロールバルブ27で所定値に調圧された作動油圧が作用
し、クラッチプレート19cとクラッチディスク19fとの間
に相対スベリが生じる。この場合、湿式油圧多板クラッ
チ19はハイポイドピニオンギヤ7,ハイポイドドライブギ
ヤ8などの潤滑油(ハイポイドギヤ油)とは分離するよ
うにクラッチハウジング17内に配置されて所定の組成を
有する適切な潤滑油が使用されることから、所望の摩擦
特性が得られ、スティックスリップを伴なわずに滑らか
にスベリ作用する。従って車両は不快な振動や騒音を生
じることがなく、またクラッチプレート19c等の摩擦材
についても所望の信頼性および耐久性が得られる。
また湿式油圧多板クラッチ19のピストン19gは、回転
部材であるクラッチドラム19a内に収納することなく不
動部材であるクラッチハウジング17に廻り止めして嵌合
する構成であるから、クラッチドラム19aやクラッチハ
ブ19bが回転してもピストン19gは回転せず、油圧室19h
内には遠心油圧が発生しない。従って作動油圧の制御は
正確なものとなり、湿式油圧多板クラッチ19は制御精度
が向上し、中速から高速域での駆動,制動安定性が向上
する。
なお、上述した実施例は、フロントエンジン・リヤド
ライブ(FR)方式の2輪駆動車に本発明を適用したもの
を示すが、前輪もしくは後輪側に独立差動装置をもつ4
輪駆動車,あるいは複数の車輪を駆動可能な作業車にも
本発明が適用できることは、言うまでもない。また、独
立差動装置にオイルポンプおよび油圧制御装置を取付け
た構成を示したが、独立差動装置以外の車体もしくはエ
ンジン,トランスミッションに取付け、外部配管で構成
するものにも本発明が適用できることも言うまでもな
い。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、独立差動装置
のディファレンシャルケースと一方のアクスルシャフト
との間に差動歯車の差動作用を制限するトルクを発生さ
せる湿式油圧多板クラッチを介設し、車両の走行状態に
応じて油圧制御装置により湿式油圧多板クラッチのピス
トンの一方側に形成された油圧室へ供給する作動油の油
圧を制御するので、その差動油圧の制御に応じて湿式油
圧多板クラッチによる作動制限トルクが連続的に変化
し、車両の走行状態や路面状況に応じて左右駆動輪へ任
意の比率で動力伝達され、泥ねい地、不整地等からの脱
出や走行を容易にすることができると共に、路面状況に
応じた車両の最適な駆動、制動安定性が得られ、旋回時
における車両のコーナリング特性を制御することができ
る。
また、独立差動装置内の終減速歯車用の潤滑油と分離
して、湿式油圧多板クラッチをアクスルシャフトの周囲
に設けたクラッチハウジング内に配置し、さらに、上記
湿式油圧多板クラッチを作動すると共に該湿式油圧多板
クラッチを潤滑する作動油を貯溜するオイルパンを、上
記終減速歯車用の潤滑油と分離して独立差動装置本体に
設け、上記オイルパンに貯溜された作動油をオイルポン
プにより昇圧して油圧制御装置に送出する。そして、こ
の油圧制御装置により、湿式油圧多板クラッチのピスト
ンの一方側に形成された油圧室へ供給する作動油の作動
油圧を車両の走行状態に応じて制御し、この作動油圧に
よる作動油を湿式油圧多板クラッチの油圧室に供給して
該湿式油圧多板クラッチによる差動制限トルクを制御す
ると共に、クラッチハウジング内に配置された上記湿式
油圧多板クラッチへ潤滑用として供給する作動油の潤滑
油圧を制御して、この潤滑油圧による作動油を湿式油圧
多板クラッチに供給して該湿式油圧多板クラッチを潤滑
するので、湿式油圧多板クラッチの作動、並びに、この
湿式油圧多板クラッチの潤滑を行うための作動油を、終
減速歯車用潤滑油と完全に分離することができる。
従って、終減速歯車に対しては従来と同様に、噛み合
い接触面での高面圧を重視した極圧添加剤を含んだ終減
速歯車用の潤滑油を用いることができ、また、差動制限
装置を構成する湿式油圧多板クラッチに対しては、該湿
式油圧多板クラッチの差動、並びに、この湿式油圧多板
クラッチの潤滑に適正な所定の組成を有する作動油の使
用が可能となる。その結果、湿式油圧多板クラッチは、
その潤滑に適正な作動油の使用により、所望の摩擦特性
が得られ、路面抵抗の等しい舗装路で大きく転舵して左
右輪に差動制限トルクを与えながら走行する場合にも不
快なスティックスリップを伴わずに滑らかにスベリ作用
することが可能となる。
また、終減速歯車用の潤滑油と分離して独立差動装置
本体に設けたオイルパンに貯溜された作動油をオイルポ
ンプにより昇圧して油圧制御装置に送出し、この油圧制
御装置によって、クラッチハウジング内に配置された上
記湿式油圧多板クラッチへ潤滑用として供給する作動油
の潤滑油圧を制御し、この潤滑油圧による作動油を湿式
油圧多板クラッチに供給するため、差動制限装置を構成
する湿式油圧多板クラッチを強制潤滑することが可能と
なり、この湿式油圧多板クラッチに対する潤滑性を向上
することができ、皿に、油圧制御装置により適切に潤滑
油圧が制御されるため、終減速歯車用の潤滑油と分離し
てクラッチハウジング内に配置された湿式油圧多板クラ
ッチを、常に適正に潤滑することができる効果を有す
る。
更に、上記クラッチハウジング内に配置された湿式油
圧多板クラッチを潤滑し、且つ、ピストンの一方側の油
圧室に供給して該湿式油圧多板クラッチを作動するため
の作動油は、独立差動装置本体に別途設けたオイルパン
から供給するので、経時使用により作動油が劣化して
も、このオイルパンにより容易に作動油を交換すること
ができる。
また、差動制限装置を構成する湿式油圧多板クラッチ
の作動、並びに、この湿式油圧多板クラッチを潤滑する
油は、兼用することが可能となり、同一の作動油を同一
の油圧源から油圧制御装置を介して供給されるため、ス
ティックスリップの防止、差動制限装置を構成する湿式
油圧多板クラッチの潤滑性の向上を、構成簡素にして実
現することができる効果を有する。
更に、不動部材である上記クラッチハウジングをシリ
ンダとして該クラッチハウジングに対し、上記湿式油圧
多板クラッチのピストンを廻り止めして摺動自在に嵌合
させ、また、ピストンを廻り止めしたことによりベアリ
ングを介して該ピストンをクラッチドラム内のクラッチ
板に当接するので、湿式油圧多板クラッチのピストンに
は遠心油圧が作用せず、従って、遠心油圧の影響を受け
ることなく、差動油圧の制御を正確に行うことが可能と
なり、特に中速から高速域において湿式油圧多板クラッ
チの制御精度が向上し、駆動、制動安定性を向上するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明の一実施例を示す要部断面図、第
1図(b)は第1図(a)のB−B線断面図、第1図
(c)は要部の拡大断面図、第2図は一実施例が適用さ
れる車両の伝動系の概略構成図、第3図は一実施例に使
用する油圧制御回路図、第4図(a)はデューティ圧の
特性図、第4図(b)は差動制限トルクの特性図、第5
図は制御装置内の演算処理の流れ図を示すものである。 1……エンジン、2……トランスミッション、3……プ
ロペラシャフト、4……独立差動装置、5a,5b……後
輪、6……ディファレンシャルキャリア、7……ハイポ
イドピニオンギヤ、7a……軸部、8……ハイポイドドラ
イブギヤ、9……リヤディファレンシャル、9a……ディ
ファレンシャルケース、9b……ピニオンシャフト、9c…
…ディファレンシャルピニオン、9d,9e……サイドギ
ヤ、9f……筒部、10……カバー、11……エクステンショ
ンケース、12……ダブルテーパローラベアリング、13…
…ボールベアリング、14,15……アクスルシャフト、16
……リテーナベアリング、17……クラッチハウジング、
17a……内側ガイド筒、17b……ガイドピン、17c……油
孔、17d……油路、18……テーパローラベアリング、19
……湿式油圧多板クラッチ、19a……クラッチドラム、1
9b……クラッチハブ、19c……クラッチプレート、19f…
…クラッチディスク、19g……ピストン、19h……油圧
室、19j……皿バネ、20,21……オイルシール、22……オ
イルポンプ、23……油圧制御装置、24……オイルパン、
25……オイルストレーナ、26……レギュレータバルブ、
27……クラッチコントロールバルブ、28……パイロット
バルブ、29……デューティソレノイドバルブ、30……制
御ユニット、31,32……スラストベアリング。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前輪用または後輪用の独立差動装置におけ
    るディファレンシャルケース内に固定されるピニオンシ
    ャフトに、複数のピニオンを回転自在に装着し、該ピニ
    オンに噛合し且つ各アクスルシャフトにそれぞれ結合す
    る一対のサイドギヤを上記ディファレンシャルケース内
    に回転自在に配設すると共に、ディファレンシャルケー
    スと一方のアクスルシャフトとの間に、作動油圧の制御
    に応じて伝達トルクを変化して差動制限する湿式油圧多
    板クラッチを介設した車両用差動制限装置において、 上記湿式油圧多板クラッチを、独立差動装置内の終減速
    歯車用の潤滑油と分離して、上記アクスルシャフトの周
    囲に設けたクラッチハウジング内に配置し、 上記湿式油圧多板クラッチを作動すると共に該湿式油圧
    多板クラッチを潤滑する作動油を貯溜するオイルパン
    を、上記終減速歯車用の潤滑油と分離して独立差動装置
    本体に設け、 上記オイルパンに貯溜された作動油を昇圧して送出する
    オイルポンプと、 上記オイルポンプに連通構成され、上記湿式油圧多板ク
    ラッチを作動するため該湿式油圧多板クラッチのピスト
    ンの一方側に形成された油圧室へ供給する作動油の作動
    油圧を車両の走行状態に応じて制御すると共に、上記湿
    式油圧多板クラッチへ潤滑用として供給する作動油の潤
    滑油圧を制御する油圧制御装置とを備え、 更に、不動部材である上記クラッチハウジングをシリン
    ダとして該クラッチハウジングに対し、上記湿式油圧多
    板クラッチのピストンを廻り止めして摺動自在に嵌合さ
    せ、かつ上記ピストンをベアリングを介してクラッチド
    ラム内のクラッチ板に当接したことを特徴とする車両用
    差動制限装置。
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