JP2721976B2 - 4輪駆動車の動力分配装置 - Google Patents

4輪駆動車の動力分配装置

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JP2721976B2
JP2721976B2 JP63191146A JP19114688A JP2721976B2 JP 2721976 B2 JP2721976 B2 JP 2721976B2 JP 63191146 A JP63191146 A JP 63191146A JP 19114688 A JP19114688 A JP 19114688A JP 2721976 B2 JP2721976 B2 JP 2721976B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、前後輪への動力分配する湿式油圧多板クラ
ッチを備えた4輪駆動車の動力分配装置に関する。
【従来の技術】
このような4輪駆動車の動力分配装置として、特開昭
61−155027号公報に記載のものが従来知られている。こ
れは、変速機出力軸から前後輪へ分岐して動力伝達する
トランスファ装置のケース内に前輪駆動用と後輪駆動用
との2つの湿式油圧多板クラッチを配置したものであ
り、その油圧制御に応じて連続的に任意の比率で前後輪
へ動力分配できるようになっている。ここでこれらの湿
式油圧多板クラッチは、その作動油がトランスファ装置
内の歯車や軸受類の潤滑油と共用されると共に、クラッ
チプレート押圧用の油圧ピストンがクラッチドラムと一
緒に回転する構成となっている。また、このような場合
には、油圧ピストンにシール部材を設けて油圧ピストン
に作用する制御油圧を有効に用いるようにすることが必
要となる。
【発明が解決しようとする課題】
このように油圧ピストンがクラッチドラムと一緒に回
転する構成のため、油圧ピストン駆動用の油圧室にはク
ラッチドラムの回転に伴って遠心油圧が発生し、これが
制御油圧に加算されて油圧ピストンに作用するようにな
る。従って湿式油圧多板クラッチは、伝達トルクが制御
油圧に応じた設定値よりも過大となって所望の油圧制御
ができなくなると共に、車両が中速から高速域に達して
遠心油圧が大きいときには、直進走行時の車両の軸重配
分の差や加速走行時における重心移動によって前後輪の
タイヤ有効径に差が生じることによって発生する内部循
環トルクを湿式油圧多板クラッチがトルクリミッタとし
て充分に吸収できず、加速性能の低下,燃費の悪化,振
動騒音の発生などを伴う不都合がある。 また湿式油圧多板クラッチはその作動油に歯車類専用
の潤滑油が共用されるため、4輪駆動走行状態で大きく
転舵してスベリ作用が発生する際に、適切な摩擦特性が
得られないためスティックスリップを起こして振動騒音
を発生する問題がある。 さらに、トランスファ装置が2つの湿式油圧多板クラ
ッチを収容して長大化するので、その剛性低下を招いて
駆動系の振動や騒音を増大し、あるいは車室内スペース
を減少する不都合がある。 そこで本発明は、トランスファ側の装置構成がコンパ
クトでありながら前後輪へのトルク分配を任意の比率に
設定可能とし、かつ湿式油圧多板クラッチの油圧室にお
ける遠心油圧の発生およびスベリ作用する際のスティッ
クスリップの発生を未然に防止すると共に、車両の操安
性,発進性能,旋回性能を最大限に発揮でき、ドライバ
の運転の好みにも十分応じられるようにすることを目的
とする。
【課題を解決するための手段】
この目的のため本発明は、2つの湿式油圧多板クラッ
チへの作動油の圧力制御に応じて前後輪を動力分配可能
に伝動構成する4輪駆動車において、トランスファ装置
からそれぞれプロペラシャフトを介して伝動構成される
前輪用独立差動装置および後輪用独立差動装置を備え、
上記2つの湿式油圧多板クラッチはそれぞれ上記前輪用
独立差動装置および後輪用独立差動装置内に区画配置し
て伝動軸の途中に介設し、これらの湿式油圧多板クラッ
チにおける油圧ピストンは、不動部材である上記各独立
差動装置のケース部材をそれぞれシリンダとしてこれら
に廻り止めして摺動自在に嵌合させ、かつその作動用油
圧室と反対側の作用端部を上記湿式油圧多板クラッチの
クラッチドラムの端部に内嵌したリテーナプレートにベ
アリングを介して圧接して上記クラッチドラム内のクラ
ッチプレートを押圧するよう構成すると共に、上記両湿
式油圧多板クラッチの制御系には、一方の湿式油圧多板
クラッチを介して前輪にのみ動力伝達するFF走行と、他
方の湿式油圧多板クラッチを介して後輪にのみ動力伝達
するFR走行と、両湿式油圧多板クラッチを介して前後輪
に動力伝達する4WD走行との各走行モードが選択可能な
スイッチ群を設けてなる。
【作用】
このような手段では、伝動軸の回転によりクラッチド
ラム内のクラッチプレートが回転しても、各々の湿式油
圧多板クラッチにおける油圧ピストンは回転せず、これ
らと独立差動装置のケース部材との間に形成される各油
圧室には遠心油圧が発生しない。しかも、油圧ピストン
が回転しないようになっているので、油圧ピストンの回
転によるシール部材の異常摩耗を抑止することができ
る。そして各湿式油圧多板クラッチへの油圧制御により
前後輪へ所望の比率で動力分配される。ここで各湿式油
圧多板クラッチは、所定の組成を有する適切な作動油を
使用することで所望の摩擦特性が得られ、前後輪間の内
部循環トルクの発生の際もしくは、4輪駆動状態で大き
く転舵する場合には、クラッチプレートはスティックス
リップを伴なわずに滑らかにスベリ作用する。そしてス
イッチ群の操作に応じた各湿式油圧多板クラッチの制御
により、FF,FR,前後輪間を動力分配可能な4WDの各走行
モードをドライバが選択可能となる。
【実 施 例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して具体的に説
明する。 第2図は一実施例が適用される4輪駆動車の動力伝達
系を示し、車体前部からエンジン1,クラッチ2,同期噛合
い式の手動変速機3,トランスファ装置4が一体となって
前後方向に縦置き配置され、トランスファ装置4からプ
ロペラシャフト5,6を介して車体前部および後部に独立
した前輪用差動装置7,後輪用差動装置8がそれぞれ配置
される。 前記トランスファ装置4は、第1図(a)に示すよう
に変速機出力軸9とその側方に平行配置したフロントド
ライブ軸10とにそれぞれトランスファドライブスプロケ
ット11およびトランスファドリブンスプロケット12をス
プライン嵌合し、両者をチェーン13を介して伝動構成し
たもので、変速機出力軸9およびフロントドライブ軸10
にはそれぞれコンパニオンフランジ20,21等を介してプ
ロペラシャフト5,6が連結する。 また第2図に示すように前輪用差動装置7および後輪
用差動装置8内の伝動軸の途中には、第1,第2の湿式油
圧多板クラッチ22,28が介設される。そしてエンジン1
からクラッチ2を介して手動変速機3に入力される動力
は、そこで前進5段後退1段に変速されて変速機出力軸
9からトランスファドライブスプロケット11,チェーン1
3,トランスファドリブンスプロケット12,フロントドラ
イブ軸10,プロペラシャフト5,第1の湿式油圧多板クラ
ッチ22を介して前輪用差動装置7に入力し、そこから左
右の前輪23に動力伝達される。また前記変速機出力軸9
からトランスファ装置4の後方に取出される動力は、プ
ロペラシャフト6,第2の湿式油圧多板クラッチ28を介し
て後輪用差動装置8に入力し、そこから左右の後輪24に
動力伝達されるようになっている。 ここで前記第1,第2の2つの湿式油圧多板クラッチ2
2,28は、それぞれ第3図に示すように電動モータもしく
はエンジンにて直接駆動されるオイルポンプ14a,14b,レ
ギュレータバルブ15a,15b,トランスファクラッチバルブ
16a,16b,デューティソレノイドバルブ17a,17b,パイロッ
トバルブ18a,18bを有する専用の油圧制御系により走行
状態に応じて適切な制御油圧が供給されるようになって
いる。これらの油圧制御系は略同構成であるのでその一
方について説明すると、オイルポンプ14aからレギュレ
ータバルブ15aにより所定の油圧に圧力調整されて湿式
油圧多板クラッチ22に至る油圧回路系にデューティ圧制
御されるトランスファクラッチバルブ16aが介在される
と共に、パイロットバルブ18aを有するパイロット圧回
路系に排出制御用のデューティソレノイドバルブ17aが
挿入されたものである。そして両油圧制御系におけるデ
ューティソレノイドバルブ17a,17bが制御ユニット19か
らのデューティ信号によりそれぞれ所望のデューティ圧
に調整することで、トランスファクラッチバルブ16a,16
bがそれぞれ別個に所望のクラッチ圧に調整されるよう
になっている。なおデューティ比とデューティ圧および
クラッチ圧との関係は第4図のとおりである。 このような油圧制御系を備える第1,第2の湿式油圧多
板クラッチ22,28は、その油圧制御系と共に前輪用差動
装置7,および後輪用差動装置8のケース部材であるディ
ファレンシャルキャリア部分にコンパクトにまとめられ
る。ここで両湿式油圧多板クラッチ22,28および差動装
置7,8は、略同構成であるからその一方についてのみ説
明する。第1図(b)に示すようにディファレンシャル
キャリア29には、後輪用差動装置8側のファイナルギヤ
25に噛合うドライブピニオン30の軸部30aとプロペラシ
ャフト6側の入力軸31との遊嵌部を覆うように前方へ突
出して入力軸31周囲のエクステンションケース32に接続
するシリンダ部33が不動部材として一体形成され、第1
図(c)に示すようにこのシリンダ部33の下面に前記各
バルブ15b,16b,17b,18bを一体構成したバルブユニット2
6が、また側面には電動式のオイルポンプ14bがそれぞれ
固定されると共に、シリンダ部33内に第2の湿式油圧多
板クラッチ28が配置されるのである。 ここで第2の湿式油圧多板クラッチ28は、クラッチド
ラム28aが前記入力軸31後端のフランジ部31aに溶接固定
されると共に、クラッチハブ28bが前記ドライブピニオ
ン30の軸部30aにスプライン嵌合されて入力軸31の端部
にスラストワッシャ34を介して係止されている。そして
クラッチドラム28aの内周には複数枚のリング状クラッ
チプレート28cが両端部のリテーナプレート28dと共にス
プライン嵌合し、一方、クラッチハブ28bの外周には複
数枚のリング状クラッチディスク28eが上記各クラッチ
プレート28cと交互に配置されてスプライン嵌合し、こ
れらのクラッチプレート28c,リテーナプレート28d,クラ
ッチディスク28eで多板クラッチが構成されている。そ
して前記リテーナプレート28dに押圧力を付与するリン
グ状のピストン28fは、不動部材である前記シリンダ部3
3内に摺動自在に嵌合してその区画壁33aおよび内側ガイ
ド筒33bとの間に前記トランスファクラッチバルブ16bに
連通する油圧室28gを形成すると共に、この油圧室28gと
反対側の作用端部をアンギュラコンタクトのレリーズベ
アリング35を介して前記リテーナプレート28dに当接す
る。 前記レリーズベアリング35は、ピストン28fに当接す
るアウタレース35aが爪35bを介して前記内側ガイド筒33
bに回転方向に係合し、インナレース35cが前記クラッチ
ドラム28aの内周にスプライン嵌合したもので、アウタ
レース35aが回転規制されることでピストン28fはシリン
ダ部33に対し廻り止めされている。 一方、入力軸31およびドライブピニオン30の軸部30a
には、クラッチドラム28aの外周側とクラッチハブ28bの
内周側とを連通するように油路31b,30bが形成されてい
る。そしてシリンダ部33内の作動油をクラッチドラム28
aの外周でかきあげて図示しないオイルガイドにより油
路30bに給油し、この作動油を油路30bを介してクラッチ
ハブ28bの内周側に導くことで、スプライン部に半径方
向に設けた図示しない油路を通じて、クラッチプレート
28c,クラッチディスク28e等の多板クラッチを潤滑する
ようになっている。なお、この作動油の漏洩を防止すべ
く、シリンダ部33の区画壁33a内周部とエクステンショ
ンケース32前部内周部にはそれぞれオイルシール36,37
が装着されている。また、差動装置内のハイポイドギヤ
用潤滑油と前記作動油は、特性が異なるため区画壁33a
内周部のオイルシール36でお互いに液密を保つように構
成される。 前記制御ユニット19は、スロットル開度信号,後輪回
転信号,前輪回転信号,レンジ信号,アイドル信号等の
各種信号を入力して車両の走行状態を常時判断してお
り、スロットル開度,車速をパラメータとしてあらかじ
め設定されたテーブルマップから最適のデューティ比信
号を前記各デューティソレノイドバルブ17a,17bに出力
して第1,第2の湿式油圧多板クラッチ22,28のクラッチ
圧を制御するようになっている。 ここで制御ユニット19には、FFスイッチ43aからのFF
走行指令信号,FRスイッチ43bからのFR走行指令信号,制
御4WDスイッチ43cからに前後輪間を動力分配可能な4WD
走行指令信号がそれぞれ入力する。そしてこの制御ユニ
ット19は、FF走行指令信号に基づいて一方のデューティ
ソレノイドバルブ17aにのみ0%のデューティ比信号を
出力し、FR走行指令信号に基づいては逆に他方のデュー
ティソレノイドバルブ17bにのみ0%のデューティ比信
号を出力すると共に、前後輪間を動力分配可能な4WD走
行指令信号に基づいて両デューティソレノイドバルブ17
a,17bにあらかじめ設定されたテーブルマップからそれ
ぞれ0%から100%の範囲のデューティ比信号を出力す
るようになっている。 以上の構成を有する4輪駆動車は、エンジン1からク
ラッチ2を介して手動変速機3に伝達された動力をそこ
で適宜変速し、変速機出力軸9からトランスファ装置4,
プロペラシャフト5,第1の湿式油圧多板クラッチ22を介
して前輪用差動装置7に入力し、他方はプロペラシャフ
ト6,第2の湿式油圧多板クラッチ28を介して後輪用差動
装置8に入力することで4輪駆動する。この場合、各湿
式油圧多板クラッチ22,28の伝達トルクに応じて前輪側
および後輪側へ動力分配される。そしてこの分配比は、
制御ユニット19からのデューティ比信号に応じたクラッ
チ圧の変化により前輪100%,後輪0%のFF状態から漸
次後輪側の分配を増して前後輪とも直結式の4WD状態を
経て、さらに前輪0%,後輪100%のFR状態となるまで
の範囲で変化する。 ここで4輪駆動走行中に、車両の前輪と後輪の軸重配
分の差や急加速,登坂時における重心移動によって前後
輪のタイマ有効径に差が生じた場合には、前後輪間に相
対回転が生じる。このような場合、第1もしくは第2の
湿式油圧多板クラッチ22,28は所望のクラッチ圧に制御
されることによりトルクリミッタとして働き、例えばク
ラッチドラム28a側のクラッチプレート28cとクラッチハ
ブ28b側のクラッチディスク28eとの間にスベリを生じて
前後輪の回転差に伴う内部循環トルクを吸収する。従っ
て4輪駆動走行中の加速性能や燃費を向上させることが
できる。また、4輪駆動車走行中に大きく転舵すると、
前後輪の旋回半径の差より前後輪間に内部循環トルクが
発生し、特に低速最大転舵時に最も大きく、必要以上の
駆動力が必要となり、車庫入れなどの時、エンストが発
生するなどの不都合が生じる。このような場合、第1も
しくは第2の湿式油圧多板クラッチ22,28は、前述の前
後回転数を検出し、回転比あるいは回転差に応じて所望
のクラッチ圧になるように減圧制御されて、第1もしく
は第2の湿式油圧多板クラッチ22,28内にスベリを生じ
てこの問題に対処する。従って、旋回時におけるタイト
コーナブレーキング現象が回避できる。また第1もしく
は第2の湿式油圧多板クラッチ22,28がこのようなスベ
リ作用をする際、例えばクラッチプレート28c,クラッチ
ディスク28eなどの多板クラッチが所定の組成による適
切な作動油中に浸漬されていることから所望の摩擦特性
が得られ、スティックスリップは発生しない。従って特
に低速最大転舵時などに不快な振動や騒音が生じること
がなく、また摩擦材についても所望の信頼性および耐久
性が得られる。 このような4輪駆動車は、FF,FR,前後輪間を動力分配
可能な4WDの各走行モードが選択可能である。例えば前
記FFスイッチ43aを操作すると、一方のデューティソレ
ノイドバルブ17aにのみ0%のデューティ比信号が出力
されて第1の湿式油圧多板クラッチ22のみが直結し、第
2の湿式油圧多板クラッチ28は解放となることから、前
輪にのみ動力伝達されてFF走行モードとなる。またFRス
イッチ43bを操作すると、他方のデューティソレノイド
バルブ17bにのみ0%のデューティ比信号が出力されて
第1の湿式油圧多板クラッチ22は解放し、第2の湿式油
圧多板クラッチ28のみ直結することから、後輪にのみ動
力伝達されてFR走行モードとなる。そして制御4WDスイ
ッチ43cの操作では、両デューティソレノイドバルブ17
a,17bにそれぞれ0%から100%の範囲のデューティ比信
号が出力されて第1,第2の湿式油圧多板クラッチ22,28
への作動油の圧力を、走行状態に応じて変化させ、こう
して前後輪に常時動力分配される制御4WD走行モードと
なる。従って各走行モードを適宜選択することで、車両
の操安性,発進性能,旋回性能を最大限に発揮すること
ができ、またドライブの運転の好みに十分応じることが
できる。 ここで各湿式油圧多板クラッチ22,28自体の挙動につ
いてみると、入力軸31の回転に伴いクラッチドラム28a
と共にクラッチプレート28c,レリーズベアリング35のイ
ンナレース35cなどが回転しても、ピストン28fは不動部
材であるシリンダ部33に廻り止めされて回転しない。そ
のためピストン28fとシリンダ部33との間に形成される
油圧室28g内に遠心油圧が発生することがなく、クラッ
チプレート28cなどに制御油圧による押圧力以外に不要
な押圧力が加わらない。従って油圧室28gの油圧制御は
正確なものとなり、微妙な油圧制御も可能となる。しか
も、ピストン28fは、上述したように回転させないよう
になつているので、シール部材の異常摩耗の発生が防止
される。 またこのような湿式油圧多板クラッチ22,28は、前輪
用差動装置7,および後輪用差動装置8内に配置されるか
ら、トランスファ装置4が長大化せず、装置の構成がコ
ンパクトとなって剛性が保持され、駆動系の振動や騒音
を増大することがない。また、車室内スペースを減少す
ることもない。 なお、以上の実施例はフロントエンジンの4輪駆動車
をベースとしたが、リヤエンジンの4輪駆動車をベース
に構成してもよい。 またオイルポンプは第1,第2の湿式油圧多板クラッチ
に対応して2つ設けたが、外部配管などで油圧回路を構
成することにより1つのオイルポンプを共用するように
してもよい。 またマニュアルトランスミッション車に限らずオート
マチックトランスミッション車,無段変速機付車両にも
適用可能である。
【発明の効果】
以上説明したとおり本発明によれば、伝動軸の回転に
よりクラッチドラムが回転しても、各々の湿式油圧多板
クラッチにおける油圧ピストンは回転せず、これらと独
立差動装置のケース部材との間に形成される各油圧室に
は遠心油圧が発生しない。従って各湿式油圧多板クラッ
チは制御油圧に応じた適切な伝達トルクにより前後輪へ
任意の比率で動力分配するようになる。しかも、油圧ピ
ストンが回転しない状態とされるので、シール部材の異
常摩耗が起こらないようにできる。これにより、油圧ピ
ストンの動作不良の発生をほとんど完全になくして適正
な動力分配に必要とされる制御油圧の設定を正確に行う
ことが可能になる。また前輪と後輪間の回転差に伴なう
内部循環トルクの発生の際には各湿式油圧多板クラッチ
が所定の組成による適切な作動油を使用することで、湿
式油圧多板クラッチに所望の摩擦特性を発揮させてステ
ィックスリップを伴なわずに滑らかにスベリ作用するこ
とでこれを充分に吸収するから、旋回時のタイトコーナ
ブレーキング現象を回避し、また直進走行時の加速性能
および燃費を向上させると共に、振動騒音の発生も防止
できる。 またトランスファ装置には湿式油圧多板クラッチを配
置しない構造であり構成がコンパクトとなるから、駆動
系の曲げ剛性を維持して振動や騒音の増大を回避すると
共に、車室内スペースの減少も解消することができる。 そしてスイッチ群の操作により、FF,FR,および前後輪
を動力分配可能な制御4WDの各走行モードが選択可能と
なり、車両の操安性,発進性能,旋回性能を最大限に発
揮でき、またドライバの運転の好みにも十分応じること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),第1図(b)は本発明の一実施例を示す
要部断面図、第1図(c)は第1図(b)のC−C線断
面図、第2図は一実施例が適用される4輪駆動車の伝動
系の概略構成図、第3図は一実施例に使用する油圧回路
図、第4図はデューティ圧およびクラッチ圧の特性図で
ある。 1……エンジン、2……クラッチ、3……同期噛合い式
の手動変速機、4……トランスファ装置、5,6……プロ
ペラシャフト、7……前輪用差動装置、8……後輪用差
動装置、9……変速機出力軸、10……フロントドライブ
軸、11……トランスファドライブスプロケット、12……
トランスファドリブンスプロケット、13……チェーン、
14a,14b……オイルポンプ、15a,15b……レギュレータバ
ルブ、16a,16b……トランスファクラッチバルブ、17a,1
7b……デューティソレノイドバルブ、18a,18b……パイ
ロットバルブ、19……制御ユニット、20,21……コンパ
ニオンフランジ、22……第1の湿式油圧多板クラッチ、
23……前輪、24……後輪、25……ファイナルギヤ、26…
…バルブユニット、28……第2の湿式油圧多板クラッ
チ、28a……クラッチドラム、28b……クラッチハブ、28
c……クラッチプレート、28d……リテーナプレート、28
e……クラッチディスク、28f……ピストン、28g……油
圧室、29……ディファレンシャルキャリア、30……ドラ
イブピニオン、30a……軸部、30b……油路、31……入力
軸、31a……フランジ部、31b……油路、32……エクステ
ンションケース、33……シリンダ部、33a……区画壁、3
3b……内側ガイド筒、34……スラストワッシャ、35……
レリーズベアリング、35a……アウタレース、35b……
爪、35c……インナレース、36,37……オイルシール、43
a……FFスイッチ、43b……FRスイッチ、43c……制御4WD
スイッチ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2つの湿式油圧多板クラッチへの作動油の
    圧力制御に応じて前後輪を動力分配可能に伝動構成する
    4輪駆動車において、 トランスファ装置からそれぞれプロペラシャフトを介し
    て伝動構成される前輪用独立差動装置および後輪用独立
    差動装置を備え、上記2つの湿式油圧多板クラッチはそ
    れぞれ上記前輪用独立差動装置および後輪用独立差動装
    置内に区画配置して伝動軸の途中に介設し、 これらの湿式油圧多板クラッチにおける油圧ピストン
    は、不動部材である上記各独立差動装置のケース部材を
    それぞれシリンダとしてこれらに廻り止めして摺動自在
    に嵌合させ、かつその作動用油圧室と反対側の作用端部
    を上記湿式油圧多板クラッチのクラッチドラムの端部に
    内嵌したリテーナプレートにベアリングを介して圧接し
    て上記クラッチドラム内のクラッチプレートを押圧する
    よう構成すると共に、 上記両湿式油圧多板クラッチの制御系には、一方の湿式
    油圧多板クラッチを介して前輪にのみ動力伝達するFF走
    行と、他方の湿式油圧多板クラッチを介して後輪にのみ
    動力伝達するFR走行と、両湿式油圧多板クラッチを介し
    て前後輪に動力伝達する4WD走行との各走行モードが選
    択可能なスイッチ群を設けてなる4輪駆動車の動力分配
    装置。
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