JP2765011B2 - 車体ピラー構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、自動車におけるシートベルト取付部の車体
ピラー構造に関する。

［従来の技術］ 従来より、自動車におけるフロントシート用シートベ
ルトの支持部材は車体のセンターピラー部Ａ（第５図参
照）の車室内側に取り付けられる。

そして、第６図に示すように、センターピラー部Ａ
は、車体１の外側部を構成するセンタピラーアウタ３
と、これの内側から結合されるセンタピラーインナ４と
で協働して構成されており、これらのセンタピラーアウ
タ３およびセンタピラーインナ４の上端は車体１のサイ
ドルーフレール1aに結合されている。

そして、第７図に示すように、センタピラーインナ４
の内側には、シートベルトリンフォース５が当接され
（第６図では図示せず）、このシートベルトリンフォー
ス５とセンタピラーインナ４とに対して、室内側よりシ
ートベルト支持部材がボルト11により取り付けられてい
る。

また、上記シートベルトリンフォース５は、その両脚
部5a,5bがセンタピラーアウタリンフォース９の内肩部9
eに当接してこの部分でセンタピラーアウタリンフォー
ス９と結合しており、これにより断面略五角形状の空胴
部ａが形成されている。そして、シートベルトリンフォ
ース５における空胴部ａ内の部分には、上記ボルト11を
締着するウエルドナット10が取り付けられている。

なお、第6,7図中で、1bはルーフ、3bはセンタピラー
アウタ３のフランジ部、６はシートベルト支持部材Ｂを
構成するアジャスタレール、７は同じくシートベルト支
持部材Ｂを構成するスライドアンカ、８はシートベル
ト、8aはシートベルト８のサッシュガイド、12はトリム
部材を示している。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、このような従来の車体ピラー構造で
は、シートベルトリンフォースの両脚部が車外方向（セ
ンタピラーアウタ方向）に向いているため、その脚部の
立ち上がり分だけ空胴部が大きくなり、これによりシー
トベルト取付部がそれだけ車室内側に突き出すことにな
って、後車席からの見栄がよくないなどの問題点があ
る。

本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、
シートベルト支持部材からの入力を確実にピラーアウタ
側へ伝えることができるようにし、しかも、シートベル
ト取付部が車室内側へ突き出るのを少なくして、保全性
と外観の良い車体ピラー構造を提供することを目的とす
る。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するため、請求項１に記載の本発明
の車体ピラー構造は、車体外側部を構成するピラーアウ
タと、該ピラーアウタに車室内側から結合され該ピラー
アウタと協働してピラー部を構成するピラーインナと、
該ピラーインナの内側から該ピラーインナに結合するシ
ートベルトリンフォースと、取付部が該ピラー部の内部
に位置するように該シートベルトリンフォースに取り付
けられたシートベルト支持部材と、該ピラー部材の内部
において該シートベルトリンフォースの該ピラーアウタ
側に設けられ且つ該ピラーアウタの内側から該ピラーア
ウタに結合するピラーアウタリンフォースをそなえ、該
ピラーアウタリンフォースに、該ピラーアウタから離隔
して該シートベルトリンフォースに当接するシートベル
トリンフォース当接面が形成され、該シートベルトリン
フォース当接面にて、上記のシートベルト支持部材およ
びシートベルトリンフォースが一体に結合されているこ
とを特徴としている。

また、請求項２に記載の本発明の車体ピラー構造は、
該ピラーアウタリンフォースにおける該シートベルトリ
ンフォース当接面に、補強用ビードが形成されているこ
とを特徴としている。

［作 用］ 請求項１に記載の本発明の車体ピラー構造では、ピラ
ーアウタリンフォースにピラーアウタから離隔して形成
されたシートベルトリンフォース当接面に、シートベル
ト支持部材とシートベルトリンフォースが一体に取り付
けられて、シートベルト支持部材からの入力を、直接ピ
ラー表装部分にかけることなく、ピラーアウタ側へ確実
に伝えることができ、しかも、シートベルトリンフォー
スの脚部間にシートベルト支持部材が入り込むため、そ
れだけシートベルト取付部が車室内側へ突き出ない。

また、請求項２に記載の本発明の車体ピラー構造で
は、シートベルト支持部材からの入力を受けても、シー
トベルトリンフォース当接面に形成されたビードの作用
により、この入力を十分に受けることができる。

［実施例］ 以下、図面により本発明の一実施例としての車体ピラ
ー構造について説明すると、第１図はその要部縦断面図
（第５図のＩ−Ｉ矢視線で切断した断面図に相当する
図）、第２図は第１図のII−II矢視断面図、第３図は第
１図のIII−III矢視断面図、第４図はそのピラー部の分
解斜視図であり、第１〜４図中、第５〜７図と同じ符号
はほぼ同様の部分を示している。

さて、本実施例にかかる車体ピラー構造も、車体１の
センターピラー部Ａ（第５図参照）におけるシートベル
ト取付部付近の構造に関するものであるが、まず、第１
図および第４図に示すごとく、センタピラー部Ａは、車
体外側部を構成するセンタピラーアウタ３と、このセン
タピラーアウタ３に車室内側から結合されるセンタピラ
ーインナ４とで構成される。

ここで、センタピラーアウタ３は、断面略Ｖ字形の長
手部材で、車体外側に向くＶ形部の底部3aを有してお
り、またセンタピラーインナ４は、たて方向に段突出し
た平面部4aを有する長手部材で、その突出平面部4aは車
体内側に向くようにして設けられている。そして、これ
らのセンタピラーアウタ３およびセンタピラーインナ４
は、互いに両側縁のフランジ部3b,4bにて当接されて結
合しており、かつ、上端部は互いに車体のサイドルーフ
レールおよびルーフ等に結合されている。

また、シートベルトリンフォース５は、断面コ字状を
なし、センタピラーアウタ３およびセンタピラーインナ
４よりも短い長手部材で、センタピラーインナ４の内側
より、その両縁の脚部5a,5aがセンタピラーインナ４の
段部4d,4d内面に当接され、この部分でセンタピラーイ
ンナ４に結合され、ピラーインナ４の突出平面部4aに設
けた開口4eと対向している。

シートベルト支持部材Ｂは、アジャスタレール６と、
これを抱持してスライド可能なスライドアンカ７とが組
み合わされることにより構成されており、アジャスタレ
ール６の両端には、段落した取付片6a,6aが形成され
て、これに取付穴6c,6cが設れられ、前記シートベルト
リンフォース５の両端の取付穴5c,5cと対応している。

さらに、スライドアンカ７の車内側表面部には、図示
しないシートベルトがサッシュガイドを介して取り付け
られ、スライドアンカ７を上下にスライドさせることに
より、シートベルトの固定位置の高さを調整できるよう
になっている。なお、シートベルトあるいはサッシュガ
イドとスライドアンカとの取付関係は、従来と同様であ
る（第６図参照）。

そして、このシートベルト支持部材Ｂは、センタピラ
ー部内部にて、シートベルトリンフォース５の両脚部5
a,5a間に挿入され、センタピラーインナ４の開口4eより
車室内方向に対面し、この部分よりシートベルトが車室
内に垂れ下がっている。

センタピラーアウタリンフォース９は、センタピラー
アウタ３とほぼ同様の断面Ｖ字形の長手部材で、センタ
ピラーアウタ３に内接され、そのＶ字壁面の適所にてセ
ンタピラーアウタ３がスポット溶接（図中×印）により
結合されているもので、シートベルトリンフォース５の
取付穴5c,5cと対応する位置において、両Ｖ字壁面の一
部をセンタピラーアウタ３より離隔するように浮上させ
てシートベルトリンフォース５と当接するシートベルト
リンフォース当接面9aが形成されている。また、このシ
ートベルトリンフォース当接面9aには、前記した取付穴
5cと6cに対向するボルト穴9cが設けられ、ボルト穴9c部
分の裏側には、ウエルドナット10が設けられている。

なお、センタピラーアウタリンフォース９のシートベ
ルトリンフォース当接面9aの両側には、それぞれ溝状の
補強用ビード9dが形成されているが、各ビード9dは、更
にシートベルトリンフォース当接面9aとＶ字壁面との連
接部分、即ちシートベルトリンフォース当接面9aの両側
のつけ根部分へも延在している。

また、センタピラーアウタ３とセンタピラーアウタリ
ンフォース９とセンタピラーインナ４の各フランジ部3
b,9b,4bの両側より、オープニングトリム（図示せず）
が装着されている。

さらに、センタピラーインナ４の車室内側よりはシー
トベルト支持部材Ｂのシートベルト垂下部分を除く他の
部分を被うようにトリム部材12が設けられて表装が施さ
れている。

上記のように構成により、シートベルト支持部材Ｂ
は、シートベルトリンフォース５とともにセンタピラー
アウタ３と一体結合されているセンタピラーアウタリン
フォース９のシートベルトリンフォース当接面9a,9aに
当接されて取り付けられるので、シートベルト支持部材
Ｂよりセンタピラー部Ａに入力される力は、シートベル
トリンフォース５とセンタピラーアウタリンフォース９
とが受け、しかもセンタピラーアウタリンフォース９の
シートベルトリンフォース当接面9aを経由してセンタピ
ラーアウタ３にまで伝わり、これによりシートベルト８
からの入力はセンタピラーＡ全体で受けとめられるの
で、シートベルトはセンタピラー部Ａに対してセンタピ
ラー部の表装部を損なうことがないよう、その保全性が
保たれる。

また、シートベルトリンフォース５の両脚5a,5aは車
内方向に向いていて、センタピラーアウタリンフォース
９との間には、三角形状の空胴部ｂが形成されており、
前述した従来のものの五角形状の空胴部ａよりも小さ
く、しかも、シートベルト支持部材Ｂはシートベルトリ
ンフォース５の両脚5a,5aの間に挿入され、その中に収
まるようにして取り付けられているので、両作用によ
り、シートベルト支持部材Ｂの取付面が低くなり、いい
かえればシートベルト取付部が車室内方向へ突き出さな
いようになっており、これにより車室の体裁、特に後部
シートからの見栄を良くする効果がある。

さらに、シートベルト支持部材Ｂのスライドアンカな
どに不具合が生じた場合などは、従来では板金部を切断
しなければ補修できなかったものを、取付けボルトを外
すことによって容易に行なえるという効果も得られる。

また、シートベルトリンフォース当接面9aに形成され
た補強用ビード9dはシートベルトリンフォース当接面を
平板状でないようにして、強度低下を防止している。従
って、シートベルト支持部材取付の保全性を増し、か
つ、ピラー部の強度保持に十分役立つ効果がある。

なお、本ピラー構造は、自動車のセンタピラー部の構
造に限定されるものではなく、その他、車両においてシ
ートベルト支持部材取付部を有するピラー部において
も、同様に適用できるものである。

［発明の効果］ 以上詳述したように、請求項１に記載の本発明の車体
ピラー構造によれば、ピラーアウタリンフォースに、ピ
ラーアウタから離隔するシートベルトリンフォース当接
面を形成させ、これにシートベルト支持部材およびシー
トベルトリンフォースが結合されているので、シートベ
ルトからの入力をシートベルトリンフォースおよびピラ
ーアウタリンフォースとそれより浮いた状態に在るシー
トベルトリンフォース当接面とで受けて、更にはピラー
アウタ側へ伝えることができ、これにより、ピラー部表
装部分への影響をなくし、センタピラー全体として、保
全性の十分にあるシートベルト保持が有効に確保される
効果がある。

そして、シートベルトリンフォースの脚部が車室内方
向に向き、かつ、シートベルト支持部材がシートベルト
リンフォースの脚部内に収納されているので、シートベ
ルト取付面を車室内側に向け低くして車室内への突き出
しを少なくすることができ、これにより車室内の体裁な
いし見栄えを改善できる効果がある。

さらに、シートベルト支持部材の取付がボルト締め構
成によるものなので、シートベルト支持部に不具合が生
じたときなどでも、その修理作業が容易であるという利
点がある。

また、請求項２に記載の本発明の車体ピラー構造によ
れば、シートベルト支持部材を取り付けるためのピラー
アウタリンフォースにおけるシートベルトリンフォース
当接面に、補強用ビードが設けられているので、ピラー
部の強度増加に一段と有効である。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は本発明の一実施例としての車体ピラー構造
を示すもので、第１図はその要部縦断面図（第５図のＩ
−Ｉ矢視線で接断した断面図に相当する図）、第２図は
第１図のII−II矢視断面図、第３図は第１図のIII−III
矢視断面図、第４図はそのピラー部の分解斜視図であ
り、第５図は自動車の斜視図であり、第６図は従来例に
よる車体ピラー構造の縦断面図、第７図は第６図のVII
−VII矢視断面図である。 １……車体、３……センタピラーアウタ、3a……底部、
3b……フランジ部、４……センタピラーインナ、4a……
突出平面部、4b……フランジ部、4d……段部、4e……開
口、５……シートベルトリンフォース、5a……脚部、5c
……取付穴、６……アジャスタレール、6a……取付片、
6c……取付穴、７……スライドアンカ、８……シートベ
ルト、8a……サッシュガイド、９……センタピラーアウ
タリンフォース、9a……シートベルトリンフォース当接
面、9b……フランジ部、9c……ボルト穴、9d……補強用
ビード、10……ウエルドナット、11……ボルト、12……
トリム部材、Ａ……ピラー部、Ｂ……シートベルト支持
部材。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B62D 25/04

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体外側部を構成するピラーアウタと、該
   ピラーアウタに車室内側から結合され該ピラーアウタと
   協働してピラー部を構成するピラーインナと、該ピラー
   インナの内側から該ピラーインナに結合するシートベル
   トリンフォースと、取付部が該ピラー部の内部に位置す
   るように該シートベルトリンフォースに取り付けられた
   シートベルト支持部材と、該ピラー部材の内部において
   該シートベルトリンフォースの該ピラーアウタ側に設け
   られ且つ該ピラーアウタの内側から該ピラーアウタに結
   合するピラーアウタリンフォースとをそなえ、該ピラー
   アウタリンフォースに、該ピラーアウタから離隔して該
   シートベルトリンフォースに当接するシートベルトリン
   フォース当接面が形成され、該シートベルトリンフォー
   ス当接面にて、上記のシートベルト支持部材およびシー
   トベルトリンフォースが一体に結合されていることを特
   徴とする、車体ピラー構造。
2. 【請求項２】該ピラーアウタリンフォースにおける該シ
   ートベルトリンフォース当接面に、補強用ビードが形成
   されている請求項１に記載の車体ピラー構造。